JP2001192847A - 高分子成形材のメッキ形成方法 - Google Patents

高分子成形材のメッキ形成方法

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JP2001192847A
JP2001192847A JP2000004420A JP2000004420A JP2001192847A JP 2001192847 A JP2001192847 A JP 2001192847A JP 2000004420 A JP2000004420 A JP 2000004420A JP 2000004420 A JP2000004420 A JP 2000004420A JP 2001192847 A JP2001192847 A JP 2001192847A
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plating
fluence
polymer
laser
molding material
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Satoshi Hirono
聡 廣野
Hirokazu Tanaka
宏和 田中
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Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子成形材とメッキ膜間の密着性が照射領
域で位置によらず所望の値以上になる高分子成形材のメ
ッキ形成方法を提供することである。 【解決手段】 高分子材料に無機フィラーを充填した高
分子成形材に照射するレーザの下限のフルーエンスを、
メッキ形成に必要な最低フルーエンス以上で高分子成形
材の表面粗さが増加傾向にある範囲で決定し、レーザの
上限のフルーエンスを、高分子材料のアブレーションし
きい値もしくは充填した無機フィラーのアブレーション
しきい値のうち低い方で決定し、フルーエンスを、下限
のフルーエンスと上限のフルーエンスとの間の一定範囲
内に収めるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子成形材、例
えば、基板、電子部品のパッケージ等にレーザ照射した
後、無電解及び電解メッキを施すメッキ形成方法に係
り、特に、高分子成形材とメッキ膜との間の密着性が照
射領域の全域で所望の値以上になるための高分子成形材
のメッキ形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、高分子材料からなる成形品に
は、表面を化学薬品によって粗面化し、Pdを吸着させ
た後、無電解メッキを施すようにしている。但し、Pd
のみの吸着は困難であるので、錫パラジウム化合物を吸
着させた後、還元する必要がある。
【0003】ところで、化学薬品による粗面化は選択的
に行うことができないため、特定箇所のみをメッキする
場合には、一旦、全面をメッキした後、フォトレジスト
による露光・現像処理を行う必要があった。このため、
簡単に高分子成形品の表面にメッキ形成する方法が嘱望
されていた。
【0004】そこで、特開平4−183873号公報に
示すように、高分子材料からなる成形品に紫外線レーザ
を照射することにより、特定箇所へのメッキを可能にす
る方法が提案された。
【0005】この方法によれば、高分子材料からなる成
形品に紫外線レーザを照射し、この成形品をPdコロイ
ド水溶液に浸漬した後、無電解メッキを行うだけで特定
箇所のみをメッキすることが可能である。すなわち、紫
外線レーザの照射により、照射領域のみが正に帯電する
ので、陰イオン性のPdコロイド水溶液に浸漬すると、
簡単に照射領域のみにPdコロイドを付着させることが
できる。そして、Pdコロイド水溶液に還元剤を含有さ
せておくことにより、無電解メッキの触媒となるPdの
みを析出させることが可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たレーザ照射による方法では、次のような問題点があり
採用されるに至っていないのが現状である。
【0007】すなわち、レーザを高フルーエンスで照射
した場合、照射領域(特定箇所)の周囲のみ帯電するた
め、低フルーエンスで行う必要があるが、それでは、帯
電量が不十分となり、Pdコロイドが充分に付着しな
い。また、レーザを相当数照射する必要が生じ、作業性
が悪化する。具体的には、レーザを、0.05J/cm
2 /パルスの低フルーエンスで照射した場合、充分な帯
電量を得るためには照射回数を1000回としなければ
ならない。
【0008】そして、特に、レーザを低フルーエンスで
照射した場合、照射領域の表面粗さが小さくなり、形成
したメッキ膜が剥離しやすい。
【0009】本発明は、上記した問題点を解決するもの
であり、高分子成形材とメッキ膜間の密着性が照射領域
で位置によらず所望の値以上になる高分子成形材のメッ
キ形成方法を提供することを目的にしている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る高分子成形材のメッキ形成方法は、
高分子材料に無機フィラーを充填した高分子成形材にレ
ーザを照射し、当該照射部にメッキを行う高分子成形材
のメッキ形成方法であって、レーザの下限のフルーエン
スを、メッキ形成に必要な最低フルーエンス以上で高分
子成形材の表面粗さが増加傾向にある範囲で決定し、レ
ーザの上限のフルーエンスを、高分子材料のアブレーシ
ョンしきい値もしくは充填した無機フィラーのアブレー
ションしきい値のうち低い方で決定し、下限のフルーエ
ンスと上限のフルーエンスとの間の一定範囲内のフルー
エンスを照射に用いるようにしたものである。
【0011】そして、メッキが、高分子材料に無機フィ
ラーを充填した高分子成形材にレーザを照射し、照射部
に正の表面電位を生じさせた後、照射部に無電解メッキ
の触媒を析出させ、その後、高分子成形材を無電解メッ
キ液に浸漬して行われる無電解メッキであり、また、メ
ッキが、高分子材料に無機フィラーを充填した高分子成
形材にレーザを照射し、照射部に導電性を付与した後、
高分子成形材を電解メッキ液に浸漬して行われる電解メ
ッキである。
【0012】このように、高分子材料に無機フィラーを
充填した高分子成形材に照射するレーザの下限のフルー
エンスを、メッキ形成に必要な最低フルーエンス以上で
高分子成形材の表面粗さが増加傾向にある範囲で決定
し、レーザの上限のフルーエンスを、高分子材料のアブ
レーションしきい値もしくは充填した無機フィラーのア
ブレーションしきい値のうち低い方で決定し、フルーエ
ンスを、下限のフルーエンスと上限のフルーエンスとの
間の一定範囲内に収めることで、ピール強度値が照射領
域全域で所望の値(LCPの場合3N/cm以上)を満
たすようになり、高分子成形材とメッキ膜間の密着性が
照射領域で位置によらず良好になる。
【0013】このために、メッキ膜が容易に剥離するこ
とがなくなり、SMT実装(表面実装)にて部品のシェ
ア強度が低下すること、COB実装にてD/Bのシェア
強度が低下すること、といった問題を解消することがで
きる。
【0014】また、上記した本発明に係る高分子成形材
のメッキ形成方法において、レーザの全投入エネルギ
が、10〜500J/cm2 であることが好ましく、ま
た、高分子成形材の高分子材料が液晶ポリマであり、レ
ーザがKrFエキシマレーザであって、KrFエキシマ
レーザの一定範囲のフルーエンスは0.2〜0.3J/
cm2 /パルスであることが好ましく、また、高分子材
料が液晶ポリマであり、レーザがYAG第3高調波であ
って、YAG第3高調波の一定範囲のフルーエンスは
0.1〜0.2J/cm2 /パルスであることが好まし
い。
【0015】また、上記した本発明に係る高分子成形材
のメッキ形成方法において、光学手段により一定範囲内
のフルーエンスを照射するようにしてもよいし、光学手
段として、プリズム形、カライドスコープ形及びフライ
アイ形のホモジェナイザーを使用するようにしてもよ
い。
【0016】このように、光学手段(ホモジェナイザ
ー)を用いてレーザビーム内のフルーエンス分布を均一
化すれば、切り出し部で除去されたエネルギを有効に使
うことが可能であり、単位照射面積が大きくなり、レー
ザでのパターン形成時間が短縮できるといった効果が得
られる。
【0017】また、上記した本発明に係る高分子成形材
のメッキ形成方法において、レーザ照射領域が重複する
照射手順により、レーザ内の一定範囲内のフルーエンス
を照射した後、レーザ内のメッキ形成に必要な最低フル
ーエンス以上で一定範囲の下限フルーエンス未満のフル
ーエンスを照射に用いるようにしてもよい。
【0018】このように、ビームを切り出さず、ビーム
周辺の下限フルーエンス以下でメッキ形成に必要な最低
フルーエンス以上のフルーエンスを利用してパターンを
形成すると、表面粗さに影響を及ぼさず、メッキ形成に
必要なエネルギを投入できるため、照射時間がビームを
切り出す場合と比して少なくなり、パターン形成時間が
短縮できる効果や、メッキ形成が安定する効果が得られ
る。
【0019】また、高分子成形材として基板、電子部品
のパッケージを使用して、基板やパッケージにおける導
電パターンを無電解もしくは電解メッキで形成すること
ができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る高分子成形材
のメッキ形成方法の実施の形態を説明する。
【0021】図1はメッキ膜のピール強度値とレーザの
フルーエンスとの関係を示す線図、図2の(a)は高分
子材料としてのLCPに無機フィラーとしてのガラスフ
ィラーを添加し、この材料を射出成形して得られた高分
子成形材の断面図、図2の(b)〜(e)は、表面にレ
ーザの照射によるパターンを施した高分子成形材の断面
図、図3乃至図5はメッキ膜の剥離量とピール(剥離)
強度との関係を示す線図である。
【0022】レーザ照射後無電解メッキを施す方法にお
いて、高分子材料中に無機フィラーを混入し、高分子材
料とメッキ膜間の密着性を高めるようにしたものがある
が、このメッキ形成方法では、例えばLCP(Liqu
id Crystal Polymer:液晶ポリマ)
成形材上にKrFエキシマレーザ(λ=248mm)
を、マスク投影により四角形の照射面積a×bで照射し
た後、移動量aもしくはbで、次の照射面積a×bの照
射を行う方法でパターンを形成したものを、ピール強度
測定を行うと、単位照射面積内の中央では強度が強く、
周辺では強度が弱くなり、密着性が照射領域内で不安定
になる。
【0023】また、LCPの場合、密着性はピール強度
値としてすくなくとも3〜4N/cmを保つ必要がある
が、単位照射面積内の周辺の強度の弱い箇所では3N/
cm以下になる。これは、例えば、その部分からの剥離
が生じること、SMT実装(表面実装)にて部品のシェ
ア強度が低下すること、COB実装にてD/Bのシェア
強度が低下することに繋がる。
【0024】本発明に係る高分子成形材のメッキ形成方
法では、高分子材料に無機フィラーを充填した高分子成
形材31にレーザを照射し、当該照射部にメッキを行う
高分子成形材のメッキ形成方法であって、レーザの下限
のフルーエンスαを、メッキ形成に必要な最低フルーエ
ンスH以上で高分子成形材31の表面粗さが増加傾向に
ある範囲で決定し、レーザの上限のフルーエンスβを、
高分子材料のアブレーションしきい値もしくは充填した
無機フィラーのアブレーションしきい値のうち低い方で
決定し、下限のフルーエンスαと上限のフルーエンスβ
との間の一定範囲B内のフルーエンスを照射に用いるよ
うにしたものである。
【0025】このように、フルーエンスを、下限のフル
ーエンスαと上限のフルーエンスβとの間の一定範囲B
内に収めることで、ピール強度値が照射領域全域で所望
の値(3N/cm以上)を満たすようになり、高分子成
形材とメッキ膜間の密着性を良好に維持するようにな
る。
【0026】そして、メッキが、高分子材料に10〜5
0%の前記無機フィラーを充填した高分子成形材に波長
600nm以下のレーザを照射し、照射部に正の表面電
位を生じさせた後、高分子成形材を陰イオン性のPd化
合物またはPdコロイドを含む水溶液に浸漬して、照射
部に無電解メッキの触媒となるPdのみを析出させた
後、高分子成形材を無電解メッキ液に浸漬して行われる
無電解メッキであり、また、メッキが、高分子材料に1
0〜50%の無機フィラーを充填した高分子成形材に波
長600nm以下のレーザを照射し、照射部に導電性を
付与した後、高分子成形材を電解メッキ液に浸漬して行
われる電解メッキである。
【0027】この場合、高分子材料は、LCP(Liq
uid Crystal Polymer:液晶ポリ
マ)等が使用される。無機フィラーとしては、ガラスフ
ィラー、セラミックス粒子等が挙げられ、形状をφ1〜
20μm、長さ10μm以上のファイバー状、または、
φ0.5〜20μmの粒子状で、その高分子材料に対す
る添加量を10〜50重量%とすると、より一層デブリ
ーの飛散を抑制することが可能になる。
【0028】また、レーザとしては、エキシマレーザ
(波長λ=193、248、308、351nm)、Y
AG第2高調波(波長λ=532nm)、YAG第3高
調波(波長λ=355nm)等の波長が600nm以下
のものであれば使用できる。
【0029】また、レーザによる全投入エネルギの総計
を、10〜500J/cm2 とすると、無電解メッキの
場合、レーザの照射領域の帯電状態を貴金属を析出させ
るのに適した状態にすることができるし、また、電解メ
ッキの場合、レーザの照射領域の導電性を電解メッキ膜
の形成に適した状態にすることが可能である。
【0030】本発明者は、高分子材料に10〜50%の
無機フィラーを充填し、この材料を射出成形し、得られ
た高分子成形材に波長600nm以下のレーザを照射
し、照射部に正の表面電位を生じさせた後、陰イオン性
のPd化合物またはPdコロイドを含む水溶液に浸漬し
た後、無電解メッキを行う方法、及び高分子材料に10
〜50%の無機フィラーを充填した高分子成形材に波長
600nm以下のレーザを照射し、照射部に導電性を付
与した後、直接電解メッキを行うメッキ形成方法におい
て、高分子成形材とメッキ層間の密着性は表面粗さと相
関があり、表面粗さはフルーエンスと相関があるとの新
しい知見を実験から得た。
【0031】フルーエンスとピール強度値との関係は図
1に示すようになり、その時の各フルーエンスと表面粗
さの関係は図2の(b)〜(e)に示すようになる。
【0032】図1において、領域・は、メッキ形成に必
要な最低フルーエンスH以上のフルーエンスの増加に伴
いピール強度値が増加する領域であり、領域・はフルー
エンスの増加でピール強度が減少する領域である。な
お、図1において、投入エネルギ量は各フルーエンスで
一定している。
【0033】図2の(a)は、高分子材料としてのLC
P11に無機フィラーとしてのガラスフィラー21を添
加し、この材料を射出成形して得られた高分子成形材3
1であり、この高分子成形材31の表面31Aには、レ
ーザの照射によるパターン形成は行われておらず(図1
において、フルーエンス0の場合)、表面31Aは平滑
であって、その表面形状包絡線イには凹凸が現れていな
いものである。
【0034】図2の(b)は、高分子成形材31の表面
31Aに、レーザの照射(図1において、フルーエンス
Aの範囲の場合)によるパターン形成が行われたもので
あり、表面31AにはLCP11の凹凸11Bと、ガラ
スフィラー21による凹凸21Bとが生じており、その
表面形状包絡線ロに凹凸が現れていて、表面粗さが出現
している。
【0035】図2の(c)は、高分子成形材31の表面
31Aに、レーザの照射(図1において、フルーエンス
Bの範囲の場合)によるパターン形成が行われたもので
あり、表面31AにはLCP11の凹凸11Bと、ガラ
スフィラー21による凹凸21Bとが図2の(b)の場
合より大きく生じており、その表面形状包絡線ハには凹
凸が現れていて、表面粗さが出現している。
【0036】図2の(d)は、高分子成形材31の表面
31Aに、レーザの照射(図1において、フルーエンス
Cの範囲の場合)によるパターン形成が行われたもので
あり、表面31AにはLCP11の平滑化された部分と
凹凸11Bと、ガラスフィラー21による凹凸21Bと
が生じており、その表面形状包絡線ニには凹凸が現れて
いて、表面粗さが出現している。
【0037】図2の(e)は、高分子成形材31の表面
31Aに、レーザの照射(図1において、フルーエンス
Dの範囲の場合)によるパターン形成が行われたもので
あり、表面31Aにはガラスフィラー21による凹凸2
1Bのみ生じており、その表面形状包絡線ホに表面粗さ
が出現している。
【0038】図1のメッキ形成に必要な最低フルーエン
スH以上のフルーエンスの増加に伴いピール強度値が増
加する領域・では、図2の(b)から図2の(c)のよ
うに無機フィラーであるガラスフィラー21で形成され
る凹凸21Bに加え、高分子材料であるLCP11の凹
凸11Bが増加し表面粗さが増加する。
【0039】図1のフルーエンスの増加でピール強度が
減少する領域・では、図2の(d)のようにLCP11
上で平滑化される箇所が現れて表面粗さが減少する。特
に、フルーエンスがLCP11のアブレーションしきい
値を充分越えてピール強度が弱い領域では、図2の
(e)のようにLCP11全域にわたっての表面が平滑
化され表面粗さは減少する。
【0040】このとき、無機フィラーとしてのガラスフ
ィラー21のアブレーションしきい値がLCP11のア
ブレーションしきい値より小さい場合、領域・はガラス
フィラー21が平滑化されることで発生する。
【0041】これから、高分子成形材31に応じた所望
のピール強度を照射領域の全域で得るためには、表面粗
さを一定範囲に収める必要があり、そのためには、図1
の下限フルーエンスαと上限フルーエンスβの間で決定
される一定範囲B内のフルーエンス分布とする必要があ
る。
【0042】例えば、無機フィラーとしてφ10μmの
ガラスフィラー31を30%添加したLCP11へのK
rFエキシマレーザの照射では、ピール強度3N/cm
以上を満足する一定範囲(フルーエンス範囲)Bは0.
2〜0.3J/cm2 /パルスとなる。
【0043】上記したように単位照射面積内の周辺でピ
ール強度が弱くなるのは、KrFエキシマレーザのよう
なレーザビーム内で比較的均一なフルーエンス分布をも
つレーザであってもビーム周辺ではフルーエンスが低下
し0.2J/cm2 /パルス未満となるためであり、フ
ルーエンスを上記の一定範囲B内に収めることで、ピー
ル強度値が照射領域全域で3N/cm以上を満たすよう
になる。
【0044】レーザビームのフルーエンス分布を一定範
囲B内に収めるためには、レーザビームを切り出し照射
すればよい。
【0045】また、例えば、プリズム型、カライドスコ
ープ型、フライアイ型のホモジェナイザー(光学手段)
を用いてレーザビーム内のフルーエンス分布を均一化す
れば、切り出し部で除去されたエネルギーを有効に使う
ことが可能であり、単位照射面積が大きくなり、レーザ
でのパターン形成時間が短縮できるといった効果が得ら
れる。
【0046】さらに、レーザビームを切り出さず、レー
ザビーム周辺の図1の下限フルーエンスα以下でメッキ
形成に必要な最低フルーエンスH以上のフルーエンスを
利用してパターンを形成すると、表面粗さに影響を及ぼ
さず、メッキ形成に必要なエネルギーを投入できるた
め、照射時間がレーザビームを切り出す場合と比して少
なくなり、パターン形成時間が短縮できる効果や、メッ
キ形成が安定する効果が得られる。
【0047】
【実施例】以下、本発明に係る高分子成形材のメッキ形
成方法を、実施例によりさらに詳細に説明する。
【0048】(実施例1)高分子材料としてLCPを使
用し、これに無機フィラーとして、直径φ10μmのガ
ラスフィラーを30%添加した。そして、この材料を射
出成形し、得られた高分子成形材の表面に、マスク面積
15×10mm2 を照射面積5×3.3mm2 に1/3
縮小投影したKrFエキシマレーザ(λ=248mm)
を、平均フルーエンス:0.2J/cm2 /パルス、パ
ルス数:200パルス、発振周波数:20Hzで照射
し、移動量は3.3mmとして横幅5mmのパターンを
形成した。
【0049】その後、同様の照射面積のKrFエキシマ
レーザを、平均フルーエンス:0.2J/cm2 /パル
ス、パルス数:2パルス、発振周波数:20Hzで周辺
デブリに照射して、このデブリを除去し、その後に、塩
化パラジウム粉末190mgをイオン交換水500ml
に溶かした溶液に15分間浸漬してパラジウムを吸着
し、Ni無電解メッキ液に15間浸漬してNi無電解メ
ッキを施した後、Cuの電解メッキを厚さ20μm施し
た。
【0050】このように形成されたメッキ膜にピール強
度試験を行った。その結果、ピール強度波形は図3のよ
うになり、ピール(剥離)強度が3N/cmを下回る箇
所が存在することを確認した。
【0051】(実施例2)高分子材料としてLCPを使
用し、これに無機フィラーとして、直径φ10μmのガ
ラスフィラーを30%添加した。そして、この材料を射
出成形し得られた高分子成形材の表面に、マスク面積1
5×6mm2 を照射面積5×2mm2 に1/3縮小投影
したKrFエキシマレーザ(λ=248mm)を、実施
例1と同じ照射条件で照射し、移動量2mmとしてパタ
ーンを形成した。
【0052】その後、実施例1と全く同じ方法でCuの
電解メッキまで形成し、実施例1と全く同様の手順でピ
ール強度試験を行った。その結果、ピール強度波形は図
4のようになり、ピール強度が3N/cm以上で安定す
ることを確認した。
【0053】(実施例3)レーザ出射口と投影マスク間
に、フライアイ形のホモジエナイザー(光学手段)を挿
入し、レーザビーム内のフルーエンス分布を一定にした
後、マスク面積15×10mm2 を照射面積5×3.3
mm2 に1/3縮小投影したKrFエキシマレーザ(λ
=248mm)を実施例1と同じ照射条件で照射し、移
動量3.3mmとしてパターンを形成した。
【0054】その後、実施例1と全く同じ方法でCuの
電解メッキまで形成し、実施例1と全く同様の手順でピ
ール強度試験を行った。その結果、ピール強度が3N/
cm以上で安定し、且つ、実施例2に比べて同様の長さ
のパターンを形成する時間が短縮できた。
【0055】(実施例4)高分子材料としてLCPを使
用し、これに無機フィラーとして、直径φ10μmのガ
ラスフィラーを30%添加した。そして、この材料を射
出成形し得られた高分子成形材の表面に、出射径φ6m
mでフルーエンス分布がガウシャン分布(正規分布)を
持つYAG第3高調波(λ=355mm)を照射して、
メッキ形成を行った。YAG第3高調波(λ=355m
m)では、LCPでピール強度試験のピール強度が3N
/cm以上を満たすフルーエンス範囲は0.1〜0.2
J/cm2 /パルスとなり、また、メッキ形成の最低フ
ルーエンスは、0.05J/cm2 /パルスとなる。
【0056】今回、ビームプロファイラで、0.1J/
cm2 /パルス以上を満たすレーザビーム径がφ2m
m、0.05J/cm2 /パルス以上を満たすレーザビ
ーム径がφ4mmであることを測定した。
【0057】まず、0.1J/cm2 /パルス以上1.
4mm2 のマスクで切り出したレーザビームで、パルス
数800パルス、発振周波数10Hzで各位置で照射
し、移動量は1.4mmとして横幅5.6mmのパター
ンを形成した。
【0058】その後、実施例1と全く同じ方法出Cuの
電解メッキまで形成し、ピール強度試験を行った。その
結果、ピール強度波形は図5のようになり、ピール強度
が3N/cm以上で安定することを確認した。
【0059】これに対し、レーザビームを切り出さず、
0.05J/cm2 /パルス以上0.1J/cm2 /パ
ルス未満の領域を利用し、パルス数550パルス、発振
周波数10Hzで各位置で照射し、移動量は1.4mm
として横幅5.6mmのパターンを形成した。
【0060】その後、実施例1と全く同じ方法でCuの
電解メッキまで形成し、ピール強度試験を行った。その
結果、ピール強度波形は図5のようになり、ピール強度
が3N/cm以上で安定することを確認した。
【0061】なお、本発明に係る高分子成形材のメッキ
形成方法を用いることで、高分子成形材としての基板、
電子部品のパッケージ等における導電パターンを無電解
もしくは電解メッキで形成することが可能になる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る高分
子成形材のメッキ形成方法によれば、高分子材料に無機
フィラーを充填した高分子成形材に照射するレーザの下
限のフルーエンスを、メッキ形成に必要な最低フルーエ
ンス以上で高分子成形材の表面粗さが増加傾向にある範
囲で決定し、レーザの上限のフルーエンスを、高分子材
料のアブレーションしきい値もしくは充填した無機フィ
ラーのアブレーションしきい値のうち低い方で決定し、
フルーエンスを、下限のフルーエンスと上限のフルーエ
ンスとの間の一定範囲内に収めることで、ピール強度値
が照射領域全域で所望の値(LCPの場合3N/cm以
上)を満たすようになり、高分子成形材とメッキ膜間の
密着性が照射領域で位置によらず良好になる。このため
に、メッキ膜が容易に剥離することがなくなり、SMT
実装(表面実装)にて部品のシェア強度が低下するこ
と、COB実装にてD/Bのシェア強度が低下するこ
と、といった問題を解消することができる。
【0063】また、レーザビームのフルーエンス分布を
一定範囲内に収めるためには、レーザビームを切り出し
照射してもよい。この場合、光学手段(ホモジェナイザ
ー)を用いてレーザビーム内のフルーエンス分布を均一
化すれば、切り出し部で除去されたエネルギーを有効に
使うことが可能であり、単位照射面積が大きくなり、レ
ーザでのパターン形成時間が短縮できるといった効果が
得られる。
【0064】さらに、ビームを切り出さず、ビーム周辺
の下限フルーエンス以下でメッキ形成に必要な最低フル
ーエンス以上のフルーエンスを利用してパターンを形成
すると、表面粗さに影響を及ぼさず、メッキ形成に必要
なエネルギーを投入できるため、照射時間がビームを切
り出す場合と比して少なくなり、パターン形成時間が短
縮できる効果や、メッキ形成が安定する効果が得られ
る。
【0065】また、高分子成形材として基板、電子部品
のパッケージを使用して、基板やパッケージにおける導
電パターンを無電解もしくは電解メッキで形成すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メッキ膜のピール強度値とレーザのフルーエン
スとの関係を示す線図である。
【図2】(a)は高分子材料としてのLCPに無機フィ
ラーとしてのガラスフィラーを添加し、この材料を射出
成形して得られた高分子成形材の断面図である。(b)
〜(e)は、表面にレーザの照射によるパターンを施し
た高分子成形材の断面図である。
【図3】メッキ膜の剥離量とピール強度との関係を示す
線図である。
【図4】メッキ膜の剥離量とピール強度との関係を示す
線図である。
【図5】メッキ膜の剥離量とピール強度との関係を示す
線図である。
【符号の説明】
11 LCP(高分子材料) 11B 凹凸 21 ガラスフィラー(無機フィラー) 21B 凹凸 31 高分子成形材 31A 表面 α 下限フルーエンス β 上限フルーエンス B 一定範囲のフルーエンス H メッキ形成に必要な最低フルーエンス イ〜ホ 表面形状包絡線
フロントページの続き Fターム(参考) 4F073 AA01 AA28 BA47 CA46 EA01 EA52 GA07 HA11 4K022 AA26 AA42 BA14 BA35 CA06 CA08 CA12 CA21 DA01 4K024 AA09 AB02 AB17 BA14 BB11 DA10 FA23 GA01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子材料に無機フィラーを充填した高
    分子成形材にレーザを照射し、当該照射部にメッキを行
    う高分子成形材のメッキ形成方法であって、 前記レーザの下限のフルーエンスを、前記メッキ形成に
    必要な最低フルーエンス以上で前記高分子成形材の表面
    粗さが増加傾向にある範囲で決定し、前記レーザの上限
    のフルーエンスを、前記高分子材料のアブレーションし
    きい値もしくは充填した前記無機フィラーのアブレーシ
    ョンしきい値のうち低い方で決定し、 前記下限のフルーエンスと前記上限のフルーエンスとの
    間の一定範囲内の前記フルーエンスを前記照射に用いる
    ようにしたことを特徴とする高分子成形材のメッキ形成
    方法。
  2. 【請求項2】 前記メッキが、前記高分子材料に前記無
    機フィラーを充填した前記高分子成形材に前記レーザを
    照射し、前記照射部に正の表面電位を生じさせた後、前
    記照射部に無電解メッキの触媒を析出させ、その後、前
    記高分子成形材を無電解メッキ液に浸漬して行われる無
    電解メッキである請求項1に記載の高分子成形材のメッ
    キ形成方法。
  3. 【請求項3】 前記メッキが、前記高分子材料に前記無
    機フィラーを充填した前記高分子成形材に前記レーザを
    照射し、前記照射部に導電性を付与した後、前記高分子
    成形材を電解メッキ液に浸漬して行われる電解メッキで
    ある請求項1に記載の高分子成形材のメッキ形成方法。
  4. 【請求項4】 前記レーザの全投入エネルギが10〜5
    00J/cm2 である請求項1乃至請求項3に記載の高
    分子成形材のメッキ形成方法。
  5. 【請求項5】 前記高分子材料が液晶ポリマであり、前
    記レーザがKrFエキシマレーザであり、前記KrFエ
    キシマレーザの前記一定範囲のフルーエンスは0.2〜
    0.3J/cm2 /パルスである請求項1乃至請求項3
    に記載の高分子成形材のメッキ形成方法。
  6. 【請求項6】 前記高分子材料が液晶ポリマであり、前
    記レーザがYAG第3高調波であり、前記YAG第3高
    調波の前記一定範囲のフルーエンスは0.1〜0.2J
    /cm2 /パルスである請求項1乃至請求項3に記載の
    高分子成形材のメッキ形成方法。
  7. 【請求項7】 光学手段により前記一定範囲内のフルー
    エンスを前記照射に用いるようにした請求項1乃至請求
    項3に記載の高分子成形材のメッキ形成方法。
  8. 【請求項8】 前記光学手段として、プリズム形、カラ
    イドスコープ形及びフライアイ形のホモジェナイザーを
    使用するようにした請求項7に記載の高分子成形材のメ
    ッキ形成方法。
  9. 【請求項9】 レーザ照射領域が重複する照射手順によ
    り、前記レーザ内の前記一定範囲内のフルーエンスを照
    射した後、前記レーザ内の前記メッキ形成に必要な最低
    フルーエンス以上で前記一定範囲の前記下限フルーエン
    ス未満のフルーエンスを前記照射に用いるようにした請
    求項1乃至請求項3に記載の高分子成形材のメッキ形成
    方法。
  10. 【請求項10】 前記高分子成形材が基板、電子部品の
    パッケージである請求項1乃至請求項9に記載の高分子
    成形材のメッキ形成方法。
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