JP2001192383A - 配位子に促進された触媒不斉ジヒドロキシル化 - Google Patents

配位子に促進された触媒不斉ジヒドロキシル化

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JP2001192383A JP2000335775A JP2000335775A JP2001192383A JP 2001192383 A JP2001192383 A JP 2001192383A JP 2000335775 A JP2000335775 A JP 2000335775A JP 2000335775 A JP2000335775 A JP 2000335775A JP 2001192383 A JP2001192383 A JP 2001192383A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】配位子に促進された触媒不斉ヂヒドロシル化 【解決手段】 【化1】 (式中、R’は、p−クロロベンゾイルであり、Ar
は、 【化2】 である)を有することを特徴とするジヒドロキニンエス
テル又はジヒドロキニジンエステル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】背景技術 天然において、動物、微生物および植物の有機成分は、
キラル分子、または、左右像を示す分子、から成り立っ
ている。鏡像異性体は、その立体配置(成分原子の配
列)がお互いの鏡像である立体異性体またはキラル分子
であり;キラル中心での絶対立体配置は、優先性を各置
換基に割り合てる一組の規則によって決定され、Rおよ
びSと呼ばれる。鏡像異性体の物理的性質は、それらが
偏光面を回転させる方向を除き、同一であって:1つの
鏡像異性体は偏光面を右に回転させ、他方の鏡像異性体
はそれを左に回転させる。しかしながら、各々によって
ひき起こされる回転の大きさは、同一である。
【0002】鏡像異性休の化学的性質もまた、それら
の、光学的に活性な試薬との相互作用を除けば同一であ
る。光学的に活性な試薬は、結果として大きく変わり得
る反応速度を生じる異なる速度で、そしてある場合に
は、1つの鏡像異性体または異性体との反応が起こらな
いほど異なる速度で、鏡像異性体と相互作用する。この
ことは特に生物学系において明らかであり、そこでは、
酵素(生物学的触媒)および酵素が働く基質のほとんど
は光学的に活性であるので、立体化学的特異性が通則で
ある。
【0003】等量の両鏡像異性体を含有する混合物は、
ラセミ化合物(またはラセミ変態)である。1つの異性
体の分子によりひき起こされる偏光の回転が、その鏡像
異性体の分子によりひき起こされる回転に等しくて反対
方向であるという事実の結果として、ラセミ化合物は、
光学的に不活性である。光学的に活性でない化合物であ
るラセミ化合物は、ほとんどの合成法の生成物である。
鏡像異性体のほとんどの物理的特性の同一性のため、こ
れらは、分別蒸留(それらが同一沸点を有するため)、
分別結晶(溶媒が光学的に活性でない限りこれらは溶媒
に等しく溶解し得るので)およびクロマトグラフィー
(吸着剤が光学的に活性でない限り、与えられた吸着剤
上にこれらが等しくしっかりと保持されるため)のよう
な通常使用される方法によって分離することができな
い。その結果、ラセミ混合物の各鏡像異性体への分割は
容易には達成されず、費用と時間がかかるものであり得
る。
【0004】最近では、昆虫ホルモン類およびフェロモ
ン類、プロスタグランジン類、抗腫瘍化合物、およびそ
の他の薬のような高い光学的純度をもつ錯有機分子に対
する需要が増大しつつあるため、キラル化合物の合成に
おける関心が大きくなってきている。このことは、生体
系では、一方の鏡像異性体は有効に機能し、他方の鏡像
異性体は生物学的活性を持たない、および/または第一
の鏡像異性体の生物学的機能を妨げる、ということはし
ばしば起こるので、例えば薬については、特に重大な考
察である。
【0005】現実に、与えられた化学反応に包含される
酵素触媒は、反応が不斉に進行して、正しい鏡像異性体
(すなわち、生物学的または生理学的に機能的である鏡
像異性体)のみを生成することを確実にする。しかしな
がら、これは実験室合成には当てはまらず、所望のキラ
ル分子(例えば選択された鏡像異性体の)の不斉生成を
実施することができる方法を開発することにおける興味
およびそれに費したエネルギーにもかかわらず、これま
でには限られた成功しか得られていない。
【0006】2つの鏡像異性体のラセミ化合物から所望
の分子を分割することに加えて、例えば、キラルプール
(Chiral pool)または鋳型法(templ
atemethod)によって、選択された不斉分子を
生成することも可能であり、この方法では、その選択さ
れた分子を、先在する天然に生じる不斉分子から“造り
上げる”。不斉均一水素化および不斉エポキシ化も、キ
ラル分子を生成するために使用されてきた.不斉水素化
が、天然に起こる不斉反応を模擬するための最初の人工
反応とみられている。シャープレス,ケイ・ビー(Sh
arpless,K.B),ケミストリー・イン・ブリ
テン(Chemistry in Britain)
1986年1月,第38−44ページ;モシャー,エイ
チ・エス(Mosher,H.S.)およびジェイ・デ
ィー・モリソン(J.D.Morrison),サイエ
ンス(Science)221;1013−1019
(1983);マウ・ティー・エイチ(Maugh,
T.H.),サイエンス(Science)221
351−354(1983);スティンソン・エス(S
tinson,S.),ケミストリー・アンド・エンジ
ニアリング・ニューズ(Chemistry and
Engineering News), :24(6/2
/86)。
【0007】しかしながら、現在利用できる不斉合成法
は、それらの適用性において制限される。有効な触媒不
斉合成反応は非常にまれであり;それらは指示基を必要
とし、このため基質によって制限される。このような反
応はまれであり、キラリティが、薬、フェロモン類およ
び他の生物学的機能性組成物においては例外的に重要で
あり得るので、触媒的な不斉ジヒドロキシル化法は、非
常に有用であろう。さらに、多くの天然に生ずる生成物
は、ジヒドロキシル化されあるいは、相当するビシナル
ジオール誘導体から容易に誘導されることができる。
【0008】発明の概要 近接異種原子含有官能基をもつかまたはもたないオレフ
ィン類またはアルケン類は、本発明の主題であるオスミ
ウム触媒法を用いて、不斉にジヒドロキシル化、オキシ
アミノ化またはジアミノ化される。本発明の方法に有用
な、新規アルカロイド誘導体、特にジヒドロキニジン誘
導体またはジヒドロキニーネ誘導体、であるキラル配位
子もまた、本発明の主題である。親アルカロイド類、例
えば、キニジンまたはキニーネも使用することができる
が、触媒作用の速度はやや遅い。本発明の不斉変形また
は付加法においては、オレフィン、選択されたキラル配
位子、有機溶媒、水、酸化体、オスミウム源および、場
合により、オスミウム酸エステル中間体の加水分解を促
進する添加剤を、反応が起こるのに適当な条件下で合わ
せる。本発明の配位子により促進された触媒作用法は、
関心のあるオレフィンの不斉ジヒドロキシル化、不斉オ
キシアミノ化および不斉ジアミノ化を達成するのに有用
である。この触媒不斉法の特別の利点は、少量のオスミ
ウム触媒しか必要としないことである。
【0009】図面の簡単な説明 第1図は、本発明の方法によって実施される、配位子に
促進された触媒作用による不斉ジヒドロキシル化を図式
的に表わしたものである。
【0010】第2図は、本発明の方法によって実施され
る、スチルベンの不斉触媒オキシアミノ化を図式的に表
わしたものである。第3図は、スチレンの触媒シス−ジ
ヒドロキシル化についての二次反応速度定数Kに対する
アミン濃度のプロットである。点aではアミンは加えな
かった。従って点aは、加えられたアミン配位子の不在
における触媒法の速度を表わす。線bは、変化する量
の、事実上触媒反応を遅延させる配位子であるキヌクリ
ジンの存在におけるこの触媒法の速度を表わす。線c
は、第1図に表わされた安息香酸ジヒドロキニジン誘導
体1の存在における、この触媒法の速度を表わす。Kは
Kobs/[OsO4O定義され、ここで速度=−d
[スチレン]/dt=Kobs[スチレン]である。条
件:25℃,[OsO4O=4×10-4M,[NMO]
O=0.2M[スチレン]O=0.1M。
【0011】第4図は、提案された触媒オレフィンジヒ
ドロキシル化のメカニズムを、図式によって表わしたも
のである。この図式は、本発明の配位子により促進され
た触媒作用に関係すると考えられる2つのジオール生成
サイクルを示す。式1は、アルカロイド−オスミウム錯
体を表わし;式2は、モノグリコラートエステルを表わ
し;式3は、オスミウム(VIII)−トリオキソグリコラ
ート錯体を表わし;式4は、ビスグリコラートオスミウ
ムエステルを表わし;そして式5はジオキソビスグリコ
ラートを表わす。
【0012】発明の詳細な説明 不斉エポキシ化は、過去8年における多くの研究の主題
であった。初期の仕事は、チタン−酒石酸塩エポキシ化
触媒が実際にお互いとの動的平衡にあるエポキシ化触媒
の錯混合物であること、および存在する主要な種(すな
わち2:2構造)が最良の触媒であること(すなわち、
酒石酸塩を帯びないチタンイソプロポキシドよりも約6
倍活性)を証明した。この仕事はまた、この速度の有利
さは、それが、この触媒反応はキラル配位子を有する種
を通して道を開かれることを確実にするので、この方法
の成功には必須のものであることをも示した。
【0013】四酸化オスミウム(OsO4)とオレフィ
ンとの反応は、高度に選択的で確かな有機変形である。
この反応が求核配位子によって促進されることは長い間
知られていた。クリージー,アール(Criegee,
R),Justus Liebigs Ann.che
.,522:75(1936);クリージー,アール
(Criegee,R.)外、Justus Lieb
igs Ann.chem.,550:99(194
2);ファンレーネン(Van Rheenen)外、
Tetrahedron Lett.,1973(19
76)。非常に有効なオスミウム−触媒法を、化学量論
的不斉オスミル化法のような先に公知のへントゲスらの
方法に置き換えるために使用することができることが今
示された。へントゲス,エス・ジー(Hentges,
S.G.)およびケイ・ビー・シャープレス(K.b.
Sharpless)ジャーナル・オブ・ジ・アメリカ
ン・ケミカル・ソサエティ(Journal of t
he American chemical Soci
ety),102:4263(1980)。本発明の方
法は、選択された配位子の結合によって不斉誘導および
反応速度の増大という結果になる。本発明の配位子に促
進された触媒法の使用によって、不斉ジヒドロキシル
化、不斉ジアミノ化または不斉オキシアミノ化を達成す
ることができる。
【0014】この方法の結果として、2個のヒドロキシ
ル基は、立体特異的に、炭化水素の骨組内に導入され
(その中に埋込まれ)、その結果シス−ビシナルジヒド
ロキシル化がおこる。本発明の新規な触媒法は、有用な
不斉導入水準と同様に、事実上改良された速度およびタ
ーンオーバー数(これまで利用可能であった方法と比較
したとき)を達成する。さらに、この改良された反応速
度およびターンオーバー数のため、本発明の方法におい
てはこれまで公知の方法におけるよりもより少ないオス
ミウム触媒が必要とされる。結果として、これまで公知
の方法に付随する費用および可能な毒性の問題が減少す
る。
【0015】本発明の方法を、特にE−スチルベン(C
65CH:CHC65)およびトランス−3−へキセン
(CH3CH2CH:CHCH2CH3)の不斉ジヒドロキ
シル化におけるその使用に関して下に例示する。この方
法は、下に示したように一般的に説明することができ、
この説明およびこれに続く例示は、配位子に促進された
触媒作用の劇的で予想外の結果を証明するばかりでな
く、また、この方法の平易性および有効性を明白にす
る。
【0016】本発明の不斉ジヒドロキシル化法は、第1
図に具体的に示した図式によって表わされる。本発明の
方法に従えば、選択されたオレフィンの不斉ジヒドロキ
シル化が、配位子に促進された触媒作用の結果として達
成される。すなわち、本方法に従えば、選択されたオレ
フィンを適当な条件下で、選択されたキラル配位子(こ
れは一般にキラル置換されたキヌクリジンであろう)、
有機溶媒、水、酸化体および四酸化オスミウムおよび、
場合により酢酸塩化合物と合わせる。一つの具体化で
は、選択されたオレフィン、キラル配位子、有機溶媒、
水および酸化体を合わせ;オレフィンおよび他の成分を
合わせた後、OsO4を加える。こうして得られる組み
合わせ物を、オレフィンのジヒドロキシル化が起こるの
を助ける条件(たとえば、温度、かきまぜなど)下に保
持する。別法として、オレフィン、有機溶媒、キラル配
位子、水およびOsO4を合わせ、酸化体を、こうして
得られる組み合わせ物に加える。これらの添加は、時間
的に非常に近接して(すなわち、続いて、または同時
に)起こることができる。
【0017】本発明の好ましい具体化においては、最初
の反応組み合わせ物を形成させるために反応混合物の成
分を合わせ、それに、一般に、かくはんのような、頻繁
なまたは一定のかきまぜを行ないながら、オレフィンを
ゆっくり(徐々に)加える。例えばオレフィンを拾数時
間かけて添加することを意味する。この、“ゆっくりし
た添加”法と呼ばれる具体化では、有機溶媒、キラル配
位子、水、OsO4および酸化体を合わせる。次にオレ
フィンを、他の反応体にゆっくり加えることができる。
かきまぜ、好ましくはかくはん、をオレフィンの添加中
適用することは重要である。驚くべきことに、たとえ大
部分のオレフィンではないとしても、多くのオレフィン
について、最初の組み合わせ物へのオレフィンのゆっく
りした添加の結果、上記の方法(すなわち、反応のはじ
めに全部のオレフィンが存在する方法)よりもはるかに
良好な鏡像異性体過剰(ee)およびより速い反応速度
が得られる。ゆっくりしたオレフィン添加の有益な効果
(すなわち、より高いee)が、第3表(第6欄)に示
されている。このゆっくりした添加法の特別の利点は、
不斉ジヒドロキシル化法を適用することができるオレフ
ィンの型の範囲が大きく広げられることである。すなわ
ち、それは、芳香族置換基または他の官能基をもたない
簡単な炭化水素オレフィンに適用することができる。こ
の方法では、eeを最大にするために必要に応じてオレ
フィンをゆっくり(例えば時間を超過して)加える。こ
の方法は、それがより高いeeおよびより速い反応時間
をもたらすので、特に有用である。
【0018】本方法のもう一つの具体化では、オスミウ
ム酸エステル中間体の加水分解を促進する添加剤を、場
合により、反応組み合わせ物に加えることができる。こ
れらの添加剤は、可溶性の、有機−可溶化対イオン(例
えばテトラアルキルアンモニウムイオン)とのカルボン
酸塩であることができる。本反応で好ましいカルボン酸
塩は、有機媒質中および有機/水性補助溶媒系中に可溶
である。例えば、酢酸テトラエチルアンモニウムは、い
くつかのオレフィンの反応速度およびeeを増大させる
ことが示された(第3表)。添加剤は、この反応におい
てアルカロイドに置き換わらない。使用することができ
る化合物としては、酢酸ペンジルトリメチルアンモニウ
ム、酢酸テトラメチルアンモニウムおよび酢酸テトラエ
チルアンモニウムがある。しかしながら、その他のオキ
シアニオン化合物(例えばスルホネート類またはホスフ
ェート類)もまたオスミウム酸エステル中間体を加水分
解する際に有用である。この化合物は、オレフィンの添
加前に、反応容器中の有機溶媒、キラル配位子、水およ
びOsO4の反応組み合わせ物に添加することができ
る。オレフィンの添加の間、反応組み合わせ物をかきま
ぜる(例えばかくはんによって)ことが重要である。こ
の添加剤はまた、全部のオレフィンが反応の初めに加え
られる上述の反応組み合わせ物に加えることができる。
一つの具体化では、添加剤の量は、一般にほぼ2当量で
あり;一般には、約1ないし約4当量が用いられるであ
ろう。
【0019】本発明のもう一つの具体化では、この方法
は、トルエンのような有機無極性溶媒中で行なうことが
できる。この具体化は、特に、ゆっくりした添加法にお
いて有用である。好ましくは、オスミウム酸エステル中
間体の加水分解を促進するカルボン酸塩化合物(例え
ば、酢酸・テトラエチル−またはテトラメチル−アンモ
ニウム)を加える。この具体化は、“相間移動”法と呼
ばれる。この具体化では、アセトン/氷またはアセトニ
トリル/水の混合物中に可溶でないかまたは限定された
溶解度を有する固体オレフィンを、トルエン中に溶解さ
せ、次に、ゆっくり、有機溶媒、キラル配位子、水およ
びOsO4の混合物を添加する。カルボン酸塩は、そこ
ではそれがオスミウム酸エステルの加水分解を促進する
ことができる有機相中でアセテートイオンを可溶化する
こと、および加水分解のために必須である有機相内にそ
れを伴なった水を運ぶこと、という2つの機能を果た
す。より高いeeは、この方法を用いて、多くの基質に
ついて得られる。本発明のさらに別の具体化では、ホウ
酸それ自体(すなわちB(OH)3)またはフェニルホ
ウ酸(すなわち、Ph−B(OH)2)のようなホウ酸
またはホウ酸誘導体(R−B(OH)2R=アルキル、
アリールまたはOH)を、反応混合物に加えることがで
きる。ゆっくりした添加法では、ホウ酸を、オレフィン
の添加前に配位子−有機溶媒−OsO4混合物に添加す
る。加えるホウ酸の量は、反応で生成されるジオールの
ホウ酸エステルを形成させるのに十分な量である。理論
でしばられることは望まないが、ホウ酸はオスミラムエ
ステルを加水分解し、反応中に発生するジオール類を捕
えると考えられる。水も、カルボン酸テトラアルキルア
ンモニウムのような可溶性カルボン酸塩も、本反応にお
いてオスミウムエステルを加水分解することは必要でな
い。水の存在は、水溶性ジオール類の単離および回収を
困難にし得るので、ホウ酸の添加は、これらのジオール
類の単離をより容易にする。特に、アリールまたはアル
キルホウ酸の場合には、ジオールの代りに、生成物が、
続いて加水分解されてジオールとなることのできる環状
ホウ酸エステルであるので、それは容易である。イワサ
ワ(Iwasawa)外、ケミストリー・レターズ(C
hemistry Letters),第1721−1
724ページ(1988)。ホウ酸の添加は、ゆっくり
した添加法において特に有用である。
【0020】反応混合物に加えられる水の量は、本方法
においては重要な因子である。加えられる水の最適量
は、経験に基づいて決定することができ、一般に、最大
eeをもたらす量である。一般に、ほぼ10ないし16
当量の水を加えることができ、好ましくは13ないし1
4当量を用いるべきである。興味あるオレフィンは、本
発明に従って不斉ジヒドロキシル化を受けることができ
る。例えば、官能基として少なくとも1個の炭素−炭素
二重結合を含有するどの炭化水素でも、主題方法に従っ
て不斉にジヒドロキシル化することができる。この方法
は、興味あるどのオレフィンにも適用することができ、
プロキラルオレフィン(すなわち、キラリティまたは左
右像を示す生成物に変換することができるオレフィン)
の不斉ジヒドロキシル化を達成するのに特に適する。本
発明の方法を用いてキラルオレフィンを不斉ジヒドロキ
シル化する場合には、一方の鏡像異性体が、他方よりも
より反応性であろう。その結果、鏡像異性体を、分離ま
たは動力学的に分割することが可能である。すなわち、
適当に選択された反応体の使用によって、不斉にジヒド
ロキシル化された生成物を未反応の出発物質から分離す
ることが可能であり、生成物および回収された出発物質
の両方が、鏡像異性体に富むであろう。
【0021】不斉ジヒドロキシル化法で使用するキラル
配位子は、一般に、アルカロイドまたは塩基性窒素性有
機化合物であり、この塩基性窒素性有機化合物は一般に
複素環性であり、広く天然に生ずるのが見られる。不斉
ジヒドロキシル化法においてキラル配位子として使用す
ることができるアルカロイドの例は、キニーネ、キニジ
ン、シンコニン、およびシンコニジンのようなキナ皮ア
ルカロイドである。本発明の方法で有用なアルカロイド
誘導体の例を、第1表に示す。以下に詳細に述べるよう
に、2つのキナ皮アルカロイド、キニーネおよびキニジ
ンは、第1図に表わした図式においてジアステレオマー
よりもより鏡像異性体のように働く。
【0022】第1図に表わすように、そして第2表に結
果で示すように、ジヒドロキニジン誘導体(DHQDと
表わす)およびジヒドロキニーネ誘導体(DHQと表わ
す)は、本方法において疑似鏡像異性体関係を有してい
る(DHQDおよびDHQは実際にはジアステレオマー
である)。すなわち、これらは、反対の、対立する面の
選択を示す。他の形を使用することができるけれども、
このような誘導体は、一般にエステル類であろう。ジヒ
ドロキニジンを配位子として使用するときは、2個のヒ
ドロキシル基の配給は、ジヒドロキシル化されているオ
レフィンの上部または上側の画から起こる(第1図に表
わすように)。すなわち、この場合には、re−または
re−,re−面の直接攻撃が起こる。対照的に、ジヒ
ドロキニーネ誘導体が使用される配位子であるときは、
2個のヒドロキシル基は、これも第1図に表わすよう
に、オレフィンの底部または下側の面(si−またはs
i−,si−面)から配給される。このことは、第2表
のエントリー1,2および5を参照することにより最も
よく説明される。示す通り、DHQD(ジヒドロキニジ
ンエステル類)を使用するときは、得られるジオール
は、RまたはR,R立体配置を有しており、配位子2
(ジヒドロキニーネエステル類)を使用するときは、得
られるジオールは、SまたはS,S立体配置を有してい
る。
【0023】
【化4】
【0024】
【表1】
【0025】下記の例は、ホスホリル誘導体であり、そ
のため上に示したカルボン酸エステル誘導体とは異なっ
ている;リン原子は、アルカロイドの酸素原子に直接結
合している。
【0026】Ph2P(O) ジフェニルホスフィン
酸エステル 69 97.5
【0027】
【表2】
【0028】aかっこ内の鏡像異性体過剰は、指示され
た時間をかけてオレフィンをゆっくり添加して、他に説
明がある場合を除き0℃ でかくはんして得た。指示さ
れた通りのいくつかの場合には、酢酸テトラエチルアン
モニウム四水和物を添加した。
【0029】
【表3】
【0030】aかっこ内の鏡像異性体過剰は、指示され
た時間をかけてゆっくりオレフィンを添加して、他に説
明がある場合を除き0℃でかくはんして得た。指示され
た通りのいくつかの場合には、酢酸テトラエチルアンモ
ニウム四水和物を添加した。
【0031】
【表4】
【0032】aかっこ内の鏡像異性体過剰は、指示した
時間をかけてゆっくりオレフィンを添加して、他に説明
がある場合以外は0℃でかくはんして得た。指示した通
りのいくつかの場合には、酢酸テトラエチルアンモニウ
ム四水和物を添加した。
【0033】
【表5】
【0034】aかっこ内の鏡像異性体過剰は、指示した
時間をかけてゆっくりオレフィンを添加して、他に説明
がある場合以外は0℃でかくはんして得た。指示したよ
うないくつかの場合には、酢酸テトラエチルアンモニウ
ム四水和物を添加した。
【0035】
【表6】
【0036】aかっこ内の鏡像異性体過剰は、指示され
た時間をかけてゆっくりオレフィンを添加して、他に説
明がある場合以外は0℃でかくはんして、得た。指示さ
れた通りのいくつかの場合には、酢酸テトラエチルアン
モニウム四水和物を添加した。
【0037】
【表7】
【0038】aすべての化学量論的反応を、アセトン−
水、10:1V/V中、0℃で各試薬0.15Mの濃度
で実施した。bすべての反応を、参考文献、ジャコブセ
ン等によるJACS110:(1968)に報告された
原法に従って0℃で実施した。cすべての反応を、2当
量のEt4NOAc・4H2Oが存在することを除き、厳
密に、参考文献、ジャコブセン等によるJACS11
0:(1968)に記載した通り(すなわち、ゆっくり
した添加はしない)に実施した。 dすべての反応を、ア
ルカロイド濃度0.25Mでトランス−3−へキセンに
対し0℃で実施した。オレフィンのゆっくりした添加の
ための期間は、かっこ内に示している。表中に示したe
eは配位子としてp−クロロ安息香酸ジヒドロキニジン
を用いて得た。同じ条件下で、疑似鏡像異性体であるp
−クロロ安息香酸ジヒドロキニーネは、eeが5−10
%低い生成物を与える。すべての場合に、単離された収
率は85−95%であった。eこの反応は、完了するの
に7日かかった。f添加期間16時間とすると、63お
よび65%というeeが各々0℃および20℃で得ら
れ;16時間かけたゆっくりした添加と0℃での1当量
のEt4NOAc・4H2Oの存在とを組み合わせると、
81%というeeが実現した。gこの反応は、完了する
のに5日かかった。hこの反応を20℃で実施し、オレ
フィンを24時間かけて添加したとき、59%いうee
を得た。
【0039】この表面選択規則または現象のために、本
方法および適当なキラル配位子の使用により、ジヒドロ
キシル化生成物の絶対立体配置を予備決定することが可
能である。
【0040】第2表でも明らかなように、広範囲にわた
る種々のオレフィン不斉ジヒドロキシル化は、本発明に
よってうまく実施された。記載された各具体化は不斉ジ
ヒドロキシル化を起こし、“ゆっくりした添加”法は、
この目的のために特に有用である。絶対立体配置が確定
された表中に表わされた場合の各々において、表面選択
“規則”(第1図に表わされた配向に関連させて説明さ
れる通り)が適合した:すなわちDHQDの使用は、上
部または上側の画から起こる攻撃または,ジヒドロキシ
ル化を結果としてもたらし、DHQの使用はオレフィン
の底部または下側の画から起こる攻撃またはヒドロキシ
ル化を結果としてもたらした。このことは各々、Rまた
はR,R立体配置をもつ生成物およびSまたはS,S立
体配置を有する生成物の形成という結果をもたらした。
【0041】一般に、使用されるキラル配位子の濃度
は、0.01Mないし2.0Mの範囲であろう。下に例
示した一つの具体化では、溶液は、アルカロイド1(ジ
ヒドロキニジン誘導体)中0.26Mである。室温で実
施される方法の一つの具体化では、第1図に表わされた
両方のアルカロイドの濃度は、0.25Mである。この
ようにして、使用する条件下で得られる鏡像異性体過剰
が最大になる。本発明の方法に必要なキラル配位子の量
は、反応が起こる温度が変わるにつれて変えることがで
きる。例えば、反応が実施される温度が変えられるにつ
れて使用するアルカロイド(または他のキラル配位子)
の量を減少させることが可能である。例えば、もしそれ
が、ジヒドロキニジン誘導体を用いて0℃で実施される
ならば、アルカロイド濃度は、0.15Mであることが
できる。0℃で実施されるもう一つの具体化では、アル
カロイド濃度は0.0625Mであった。
【0042】多くの酸化体(すなわち、事実上すべての
酸素源)を、本発明に使用することができる。例えば、
アミンオキシド類(例えばトリメチルアミンオキシド
類)、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化水
素、および酸素プラス金属触媒(例えば、銅(Cu+
Cu++/O2),白金(Pt/O2),パラジウム(Pd
/O2))を使用することができる。本発明の一つの具
体化では、N−メチルモルホリンN−オキシド(NM
O)を酸化体として使用する。NMOは商業的に手に入
れることができる[例えば、アルドリッチ・ケミカルズ
(AldrichChemicals),97%NMO
無水物、または水中の60%溶液として]。
【0043】その他の源(例えば三塩化オスミウム無水
物、三塩化オスミウム水和物)を使用することができる
けれども、オスミウムは一般に、本発明の方法において
は、四酸化オスミウム(OsO4)の形で提供されるで
あろう。OsO4は、固体としてまたは溶液で、加える
ことができる。
【0044】本発明の方法で使用するオスミウム触媒
は、次に続く反応で再使用するために、再循環させるこ
とができる。このことは、この方法の費用を減少させる
ことばかりでなく、また有毒なオスミウム触媒を回収す
ることをも可能にする。例えば、オスミウム触媒は、次
のようにして再循環させることができる:還元触媒(例
えばPd−C)を用いると、オスミウムVIII種が還元さ
れて、還元触媒上に吸着される。こうして得られる固体
を濾過し、再懸濁させる。NMO(または酸化体)、ア
ルカロイドおよび基質(オレフィン)を加えると、その
結果Pd−C固体に結合しているオスミウムがOsO4
まで再酸化されて溶液に再び入り、所望のジオールの形
成においてその通常の触媒の役割を演じる。この方法
(下に表わされる)は、いくつかのサイクルによって、
すなわち、オスミウム種を再使用して、実施することが
できる。パラジウムまたは炭素は、例えば固定床中に、
またはカートリッジ中に、固定させることができる。
【0045】
【化5】
【0046】一つの具体化においては、再結晶させたト
ランス−スチルべン(C65CH:CHC65)のよう
なオレフィンを、キラル配位子(例えばp−クロロベン
ゾイルヒドロキニジン)、アセトン、水およびNMOと
合わせる。これらの成分は、順次または同時に添加する
ことができ、これらが合わせられる順序は変えることが
できる。この具体化では、これらの成分を合わせた後、
得られる組み合わせ物を冷却し(例えばトランス−スチ
ルベンの場合にはほぼ0℃まで):冷却は、氷−水浴を
用いて実施することができる。次に、OsO4を、有機
溶媒中(例えばトルエン中)のOsO4の溶液の形で加
える(例えば注入により)。OsO4を添加した後、得
られる組み合わせ物を、ジヒドロキシル化反応が進行す
るのに適した条件下に保持する。
【0047】もう一つの好ましい具体化においては、キ
ラル配位子(例えば、4−クロロ安息香酸ジヒドロキニ
ジン),NMO、アセトン、水および OsO4(5Mト
ルエン溶液として)を合わせる。これらの成分は、順次
または同時に加えることができ、これらを合わせる順序
は、変えることができる。この具体化では、成分を合わ
せた後、得られる組み合わせ物を冷却(例えばほぼ0℃
まで)するが;冷却は、氷−水浴を用いて実施すること
ができる。この組み合わせ物をかきまぜる(例えばかく
はんする)ことが特に好ましい。この十分にかくはんし
た混合物にオレフィン(例えばトランス−3−へキセ
ン)をゆっくり添加する(例えば注入により)。最適添
加速度(すなわち最大eeを与える)は、オレフィン性
基質の性質によって変わるであろう。トランス−3−へ
キセンの場合には、このオレフィンを、約16−20時
間かけて添加する。オレフィン添加後、混合物を低温で
さらに(トランス−3−へキセンの場合には1時間)か
くはんすることができる。より良好なeeおよびより速
い反応時間をもたらすので、ゆっくりした添加法が好ま
しい。
【0048】もう一つの具体化では、オスミウム酸エス
テル中間体の加水分解を促進する化合物(例えば、酢酸
テトラエチルアンモニウムのような可溶性カルボン酸
塩)を、反応混合物に加える。この化合物(ほぼ1−4
当量)は、キラル配位子、水、溶媒、酸化体およびオス
ミウム触媒およびオレフィンの混合物に加えるか、また
は、もしもオレフィンのゆっくりした添加法が用いられ
るならば、オレフィンの添加前に加えることができる。
【0049】オレフィンのゆっくりした添加法が用いら
れるときに働くと考えられるジオール生成メカニズムの
図式は、第4図に表わされる。提案されたメカニズムに
従えば、少なくとも2つのジオール−生成サイクルが存
在する。第4図に示すように、第1のサイクルだけが、
高eeをもたらすと思われる。基本の中間体は、第4図
に式3として示されるオスミウム(VIII)トリオキソグ
リコラート錯体であり、これは下記の一般式を有する:
【0050】
【化6】
【0051】(式中、Lはキラル配位子であり、R1
2、R3およびR4は、オレフィンに相当する有機官能
基である)。例えば、R1、R2、R3およびR4は、アル
キル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基
または、反応工程に適合した他の有機官能基であること
ができた。使用することができるオレフィンおよびそれ
らの官能基の例は、本明細書中の上記の第2表に示され
ている。 この錯体は、2つのサイクルの間の接合点で
中枢の位置を占め、ジオール生成がどのように2つのサ
イクルの間に分割されるかを決定する。トリオキシグリ
コール酸オスミウム(VIII)錯体(第4図,式3)が中
間物であることを支持する証拠は、第4図の結果が化学
量論的条件下で段階的に工程を行なうことによって模写
されることができることを見出すことにより提供され
る。これらの実験は、トルエン中で、無水条件下で行な
った。第4図に示した方法では、1当量のアルカロイド
オスミウム錯体(第4図,式1として示した)を、オレ
フィンと反応させて、エメラルドグリーンのモノグリコ
ラートエステル(第4図,式2)を得る。次に別のオレ
フィンを加えた後、当量の無水アミンNオキシドを加え
ると、迅速なビスグリコラートエステル(第4図,式
4)の形成が観察される。このビスグリコラートエステ
ルを還元加水分解すると、正確に1当量の各ジオールが
遊離する。これらの実験は、おそらくオスミウムトリオ
キソグリコラート錯体によって、第2のサイクルが、オ
レフィンからジオールを生成する際に第1のものと同様
に有効であることを示している。また、この直列の添加
順序を実施するために両方の段階に同じオレフィンを使
用することもできる。オレフィンとして1−フェニルシ
クロへキセンを用いてこの方法を行なったときは、第1
段階についてのeeは、81%であり、第2段階につい
てのeeは、反対方向で(すなわち、第1段階における
重要でない鏡像異性体のために)7%であった。従っ
て、この基質については第2のサイクルのどんな侵入も
特に損傷を与えるものであり、原法の触媒条件下では1
−フェニルシクロへキセンは、8%eeを与えるだけで
あった(第3表,エントリー3)。
【0052】低下したeeはまさに、第2のサイクル上
の回転の、意図とは逆の結果を招く部分であって;低下
したターンオーバーは、他の不利な点である。ビスオス
ミウム酸エステル(第4図,式4)は、通常、再酸化お
よび加水分解するのが遅く、このため、触媒と結びつく
傾向がある。例えば、1−フェニルシクロへキセンは、
原法の条件(上に挙げた8%ee)下で完了に到達する
のに7日かかる。オレフィンをゆっくり添加すると、こ
の酸化は、1日で完了し、95%収率および78%ee
でジオールが得られる(第3表,エントリー3)。
【0053】第4図に示したメカニズム図式から生ずる
最も重要な予言は、もしオレフィンをゆっくり加えるな
らば、第2のサイクルが最小になることである。オレフ
ィンのゆっくりした添加は多分、オスミウム(VIII)ト
リオキソグリコラート中間体に、オレフィンと反応する
ことによってオスミウム触媒が第2サイクル内に捕捉さ
れないような十分な加水分解時間を与える。繰り返す
と、関係する錯体のあるものは再酸化および/加水分解
が遅いので、第2サイクルは、eeをひき下げるばかり
でなく、ターンオーバーを妨げもする。最適供給速度
は、オレフィンに依存し;それは、本明細書中に記載し
たように経験に基づいて決定することができる。
【0054】触媒法において得ることができる最大ee
は、オレフィン(すなわち、第3表の最初の欄)へのア
ルカロイドオスミウム錯体(第4図,式1)の付加によ
って決定される。従って、もし3(第4図)の加水分解
を、第2のオレフィン分子との別の反応を抑えて4(第
4図)を生ずるように行なうことができるならば、化学
量論的付加は、触媒法において到達するかまたは近づく
ことができるee−最高限度を人が決定するために使用
することができる。末端オレフィンのスチレン(第3
表)の場合には、ゆっくりした添加、または、オスミウ
ム酸エステル加水分解用添加剤の効果は、eeをわずか
に増大させるだけなので、トリオキソグリコラートエス
テルは迅速に加水分解する。しかしながら、ほとんどの
オレフィンは、オスミウム酸エステル中間体(第4図,
3)の加水分解を促進するいずれの改良からも大きな利
益を得る(第3表,エントリー2−5)。そして極端な
場合には、オスミウム酸エステル−加水分解添加剤の効
果もゆっくりした添加も、単独では十分でない。ジイソ
プロピルエチレン(第3表,エントリー4)は酢酸塩の
存在で実施するゆっくりした添加を行なって、両方の効
果を一斉に使用したときにのみ、その最高限度−eeに
近づく。表中のその他のエントリーは、ゆっくりした添
加だけによってその最適eeに達するが、しかしこれら
の場合でさえ、もしも酢酸テトラアルキルアンモニウム
のような化合物が存在するならば、添加時間を事実上短
縮することができる。
【0055】多くの場合に、温度もまた、eeに影響を
与える。eeが第2サイクルによってひき下げられると
きは、温度を上げることによってしばしばそれを増大さ
せることができる。例えば、ジイソプロピルエチレン
は、0℃で46%eeを与え、そして25℃で59%e
eを与える(どちらの場合もゆっくりした添加時間24
時間)。オスミウムトリオキソグリコラート中間体の加
水分解の速度は、明らかに、そのオレフィンとの反応の
速度よりもさらに温度依存性である。この温度効果は、
水をしばって加水分解を開始させるためにオスミウム錯
体(3)からキラル配位子を解離することの期待される
必要性によって容易に説明されるが、配位子はオレフィ
ンの付加が起こるために解離する必要はない(事実、こ
の第2サイクルのオレフィン付加段階もまた配位子に促
進されそうである)。
【0056】以下は、特定のオレフィンに対する最適条
件をどのようにして決定することができるかについての
説明である。オスミウムに触媒される不斉ジヒドロキシ
ル化を最適にするためには:1)もし公知の側から、最
高限度eeが何でありそうかについて疑いがあるなら、
アセトン/水中、0℃で、1当量 OsO4−アルカロイ
ド錯体を用いて化学量論的オスミル化を行うことによっ
て決定することができる;2)0℃でのゆっくりした添
加:第1表の最後の欄を、与えられた温度で各オレフィ
ンはそれ自身の“最も速い”添加速度を有し、それを越
えると、第2のサイクルが始まるのでeeが損害を受け
ることを心に留めながら、添加時問を選ぶための手引き
として使用することができる。オレフィンの添加速度が
十分遅いときは、反応混合物は黄−橙色(第4図,1の
色)のままであり;速度が速すぎるときは、溶液は黒味
がかった色がつき、暗褐色から黒色のビスグリコラート
錯体(第4図,4)が発生していることを示す;3)も
し、最高限度eeが段階1および2の後に到達されない
ときは、0℃で、ゆっくりした添加プラス酢酸テトラア
ルキルアンモニウム(またはオスミウム酸エステル中間
体の加水分解を助ける他の化合物)を使用することがで
きる;4)室温で、ゆっくりした添加プラス酢酸テトラ
アルキルアンモニウムのような可溶性カルボン酸塩を使
用することもできる。これらのすべての変化について
は、全反応期間中混合物をかきまぜる(例えばかくはん
する)ことが好ましい。
【0057】本発明の方法は、広い温度範囲にわたって
実施することができ、この範囲の限界は、例えば使用す
る有機溶媒の限界によって決定されるであろう。この方
法は、例えば約40℃から約30℃までの温度範囲で実
施することができる。個々の反応体(例えば、キラル配
位子、酸化体など)の濃度は、本発明の方法を実施する
温度とともに変えることができる。飽和点(例えば、結
果が最大になるキラル配位子の濃度)は、温度に依存す
る。先に説明した通り、例えば、この方法を比較的低い
温度で実施するときは、使用するアルカロイドの量を減
少させることが可能である。
【0058】本方法で使用する有機溶媒は、例えば、ア
セトン、アセトニトリル、THF、DME、エタノー
ル、メタノール、ピナコロン、tert−プタノールま
たは2以上の有機溶媒の混合物、であることができる。
【0059】例に記載した方法を用いたとき、HPLC
分析は、得られるジオールの鏡像異性体過剰が78%で
あることを証明した。本発明の別の具体化では、スチレ
ンを、キラル配位子(DHQD)、アセトン、水および
NMOおよび OsO4と合わせた。スチレンの触媒によ
シス−ジヒドロキシル化についての、2次速度定数K
対アミン濃度のスポットを第2図に表わす。第2図の動
力学データは明確に、本発明の方法の使用によって達成
される配位子に促進される触媒作用の劇的な効果を示し
ている。第2図の点aは、アミン配位子のない触媒法の
速度を表わす(tl/2=108分)。線bは、変動量
のキヌクリジン、すなわち、事実上触媒作用を妨げる配
位子、の存在でのこの方法の速度を示している(0.1
Mより多いキヌクリジンでは、tl/2は30時間より
大きい)。観察されたキヌクリジンの妨害作用(配位子
に減速させられる触媒作用)のため、線cによって表わ
される結果は、予想外のものであった。すなわち、本方
法が安息香酸ジヒドロキニジン誘導体1の存在で起こる
とき(第1図参照)、アルカロイド成分はその構造中に
キヌクリジン成分が存在するにもかかわらず、すべての
濃度で、触媒法を強力に促進する(配位子1=0.4
M,tl/2=4.5分)。
【0060】スチレンの四酸化オスミウムとの化学量論
的反応の速度および相当する触媒法の速度を比較した。
この比較は、両者が同一速度定数[Kstoic=
(5.1±0.1)×102 -1min-1およびKca
t=(4.9±0.4)×102 -1min-1]有する
こと、およびこれらが、配位子1を添加すると同じ速度
促進を受けることを示す。低下したオスミウム種の加水
分解および再酸化、すなわち触媒のターンオーバーを達
成する段階は、スチレンに関する触媒法においては、動
力学的には重要ではない。制限段階は、両方の方法にお
いて同一であり、オスミウム酸エステルを形成する最初
の付加反応より成る(第1図,2)。詳細なメカニズム
的研究は、加えられた配位子1による観測速度促進が、
スチレンの場合には遊離の四酸化オスミウムよりも23
倍反応性の四酸化オスミウム−アルカロイド錯体の形成
によることを示す。速度は配位子1の(ほぼ)0.25
濃度を超える最大で一定の値に達する。この速度飽和
の始まりは、むしろ弱い結合定数(Keq=18±2
-1)をもつDHQDと四酸化オスミウムとの間の予備平
衡に相当する。DHQDの濃度を0.25より上に増
大させても、生成物ジオールの鏡像異性体過剰の相当す
る増大は起こらない。事実、配位子−促進効果のため、
この方法のeeは、最大速度に到達するよりもはるかに
速くその最大値に近づき、このことは最適eeは、むし
ろ低アルカロイド濃度で達成することができることを意
味する。
【0061】少なくともスチレンの場合には、アルカロ
イドの存在における速度促進は、最初のオスミル化段階
の促進によって説明される。触媒作用に関するキヌクリ
ジンおよびDHQDの著しく反する効果は、キヌクリジ
ンもオレフィンへの四酸化オスミウムの付加を促進する
けれども、それは非常に強く得られるオスミウム(V
I)エステル中間体に結合して、サイクルの加水分解/
再酸化段階を妨害することにより触媒のターンオーバー
を妨げる、という事実に関係づけることができる。対照
的に、アルカロイドは、そのジヒドロキシル化触媒作用
の促進剤としての役割についてそれをほとんど完全にす
る平衡作用を達成すると思われる。それは、オレフィン
への付加を促進するのに十分なほど強く結合するが、そ
れが触媒サイクルの次に続く段階を妨げる(キヌクリジ
ンがするように)ほどしっかりとは結合しない。0.2
Mのキレート第三アミン類[例えば、2,2−ビピリジ
ンおよび(−)−(R,R)−N,N,N’,N’−テ
トラメチル−1,2−シクロへキサンジアミン)は、完
全にこの触媒作用を阻害する。0.2Mのピリジンも同
じ作用をもつ。
【0062】第2表に表わしたように、本発明の方法
は、多くのオレフィンに適用された。各々の場合に、上
に述べた表面選択規則が当てはまることが示された(第
1図に表わされたようなオレフィンの配向に関して)。
すなわち、ジヒドロキニジン誘導体がキラル配位子であ
る不斉ジヒドロキシル化反応の場合には、攻撃は、re
−またはre,re−面上で起こり、ジヒドロキニーネ
誘導体がキラル配位子である場合には、攻撃は、si−
またはsi,si−面上で起こる。従って、第2表に示
したデータにより証明されるように、本発明の方法は、
触媒不斉ジヒドロキシル化を達成する際に有効であり;
すべての場合に、ジオールの収率は80−95%であっ
て、ゆっくりした添加法を用いると、ほとんどのオレフ
ィンは4090%の範囲のeeを与える。
【0063】本発明の方法は、薬のような、生物学的に
活性なキラル分子のための重要な構成単位であるキラル
中間体を合成するために使用することができる。一つの
具体化では、本方法は、薬のディルティアズム(カルデ
ィゼムとしても公知である)を合成するのに使用する光
学的に純粋な中間体を生成するために用いられた。この
反応を、下記の反応工程に示す:
【0064】
【化7】
【0065】本発明の方法はまた、オレフィンの不斉ピ
シナルオキシアミノ化を行なうのに有用であり、不斉ビ
シナルジキシアミノ化に有用であることができる。2個
の窒素または1個の窒素と酸素を置換する場合、アミノ
誘導体は、アミノ転移剤としておよび酸化剤として用い
られる。例えば、修飾するオレフィン、有機溶媒、水、
キラル配位子、アミノ誘導体およびオスミサム含有化合
物を組み合わせ、その組み合わせを、行なう反応に適し
た条件下で保持させる。アミノ誘導体は、例えばN−ク
ロロカルバメートまたはクロロアミンTであることがで
きる。本発明の方法による、再結晶化したトランス形ス
チルベンの不斉接触オキシアミノ化を、第2図に示す。
【0066】実施例1 スチルベンの不斉ジヒドロキシ
ル化 下記のものを2lの壜(またはフラスコ)に順次に入れ
た。再結晶化したトランス形スチルベン(アルドリッチ
(Aldorich)96%)を180.2g(1.0
モル)、ヒドロキニジンのp−クロロ安息香エステル
(1)を62.4g(0.134モル;0.134当
量)、アセトンを450ml、水を86ml(溶液はア
ルカロイド(1)中の0.261モルである)および固
体のN−メチルモルホリン−N−オキシド(NMO、ア
ルドリッチ97%)を187.2g(1.6モル、1.
6当量)。壜に蓋をして30秒間振とうし、氷水浴を用
いて0℃〜4℃まで冷却した。OsO 4 (トルエン中、
OsO 4 0.120g/ml:0.002モル%;
0.002当量を用いて調製した溶液4.25ml)を
加えた。壜を振とうし、約4℃で冷蔵庫に置いて時々振
とうを行なった。暗紫色に発色し、徐々に深赤黄色のも
のに変わり、すなわち、不均一な反応混合が、次第に均
一になり、反応の最後に、透明な赤黄色の溶液を得た。
反応は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって好
都合に観察を行うことができる(シリカゲル;CH2
2を用いて規定の移動率(Rf)での出発物質の消失
を観察した)。17時間後、固体のメタ重亜硫酸ナトリ
ウム(Na225)100gを加え、反応混合物を振
とうし(1分間)、20℃で15分間放置した。次に、
反応混合物は、同量のCH2Cl2で希釈し、および無水
Na2SO4(100g)を加えた。更に15分に、固形
物は、セライトのパッドを通して濾過することによって
除去し、CH2Cl2 250mlずつで3回洗浄し、溶
媒は、真空下で蒸発させた(ロータリー・エバポレータ
ーを用い、浴温度は30℃〜35℃で行なった)。
【0067】この未精製油を酢酸エチル(750ml)
に溶解させ、500mlずつの2.0モルHClで3回
抽出し、2.0モルNaOHで1回抽出してNa2SO4
上で乾燥させ、真空中で濃縮することにより粗ジオール
190g(89%)が淡黄色固形物として残った。粗
R,R−ジオールの対掌休過剰量(enantiome
ric excess)は、誘導体の二酢酸塩の高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)分析を行うことによ
って78%であると測定した(溶出液として5%イソプ
ロパノール/ヘキサン混合物を用いるピルクル(Pir
kle)1Aカラムを用いた)。保持時間は、t1が1
8.9分であり、t2が19.7分である。CH2Cl2
約1000mlからの再結晶化により、精製ジオール
(ee=90%)150g(70%)を得た。2度目の
再結晶化によってee =99%のジオール115g
(収率55%)を得た。ee(対掌体過剰量(enan
tiomeric excess)は、例えば対掌体R
についての関係式 %e.e.=[(R)−(S)]/[(R)+(S)]
×100 から計算する。
【0068】水性層を0℃まで冷却し、2.0モルNa
OH(約500ml)でpH7になるまで処理を行なっ
た。塩化メチレン(500ml)を加え、pHは、2.
0モルNaOH(約500ml)を更に用いて10〜1
1に調整した。水性層を分離し、塩化メチレンで2回抽
出し(2×300ml)、合わせた有機層をNa22
4上で乾燥させた。溶媒を真空中で除去して、黄色の泡
沫としてアルカロイドを得た。この粗アルカロイドをエ
ーテル(1000ml)に溶解させ、0℃まで(氷浴
で)冷却し、乾燥HClで酸性のpH(約1〜2)にな
るまで処理した。p−クロロべンゾイルヒドロキニジン
塩酸塩の薄黄色の沈殿を濾過して集め、高度の真空下
(0.01mmHg)で乾燥させた。
【0069】遊離塩基は、酢酸エチル(500ml)に
塩を懸濁させることによって遊離させ、0℃まで冷却し
て28%NH4OHをpHが11になるまで加えた。分
離後、水性層を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機
層をNa224上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去し
て遊離塩基を白色の泡沫として生じた。
【0070】実施例2 スチルベンの不斉ジヒドロキシ
ル化 スチルベンの不斉ジヒドロキシル化は、NMOを1.2
当量用いたことを除いては、実施例1に記載のように行
なった。
【0071】実施例3 スチルベンの不斉ジヒドロキシ
ル化 スチルベンの不斉ジヒドロキシル化は、NMOを1.2
当量を水中62重量%溶液として用いたことを除いて
は、実施例1に記載のように行なった。
【0072】実施例4 ジヒドロキニジン誘導体の調整 キニジンの接触還元によるジヒドロキニジンの調整 10%H 2 SO 4 (H 2 O 150ml中、濃H 2 SO4
5g)150ml中のキニジン(0.05モル)16.
2gに溶液に、Pdcl2 0.2g(0.022当量;
0.0011モル)を加えた。反応混合物は、パール・
シェイカー(Parr shaker)中で圧力50p
siで水素化を行なった。2時間後、触媒を、セライト
のパッドを通して濾過することによって除去し、水15
0mlで洗浄した。このようにして得られた薄黄色溶液
は、撹拌したNaOH水性溶液(H 2 O 150ml中、
NaOH 15g)を徐々に加えた。直ちに白色沈殿が
生じた溶液のpHを、過剰の15%水性NaOHを加え
ることによって10〜11にした。沈殿は、濾過して集
め、加圧乾燥してエタノール(175ml)に懸濁させ
た。沸騰溶液を直ちに濾過し、室温まで冷却することに
よって、白色の針状結晶が晶出した。結晶を集め、真空
下で(90℃、0.05mmHg)一夜乾燥させた。こ
れにより、融点が169.5℃〜170℃の精製ジヒド
ロキニジン8.6g(52.7%)を得た。母液を−1
5℃で冷凍庫中に一夜置いた。濾過して結晶を乾燥させ
た後、別の精製物質4.2g(21.4%)を得て、ジ
ヒドロキニジンの総量は12.8g(74.1%)に増
加した。
【0073】p−クロロ安息香酸ジドロキニジン(リガ
ンド1)の調整ジヒドロキニジン塩酸塩(アルドリッ
チ)から 乾燥CH2Cl2 300ml中、ジヒドロキニジン塩酸
塩100g(0.275モル)の冷却した(0℃)懸濁
液に、CH2Cl2 50mlに溶解したトリエチルアミ
ン115ml(0.826モル;3当量)を、30分間
を要して十分に撹拌しながら加えた。滴下漏斗を、更に
CH2Cl2 20mlで洗浄した。0℃で30分間撹拌
した後、CH2Cl2 120mlに溶解した塩化p−ク
ロロベンゾイル42ml(0.33モル;57.8g;
1.2当量)を2時間を要して滴加した。次に、不均一
な反応混合物を、0℃で30分問および室温で1時間撹
拌した後、3.0モルNaOH溶液700mlを、pH
が10〜11になるまで徐々に加えた。分離後、水性層
をCH2Cl2 100mlずつ3回抽出した。合わせた
有機層を、Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を真空中(ロ
ータリー・エバポレータ一)で除去した。未精製油をエ
ーテル1lに溶解させて0℃まで冷却し、エーテル溶液
のpHが湿ったpH試験紙を用いて約2になるまでHC
lガスで処理を行なった。僅かに黄色の沈殿を集め、真
空下で乾燥させ、p−クロロ安息香酸ジヒドロキニジン
塩酸塩126g(91.5%)を得た。
【0074】この塩は、酢酸エチル500mlに懸濁さ
せて0℃まで冷却し、pHが11になるまで28%NH
4OHで処理を行なった。分離後、水性層は、酢酸エチ
ル200mlずつ2回抽出を行なった。合わせた有機層
を、Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を真空下で除去し
て、遊離塩基(1)が白色の泡沫として残った(112
g;全体で88%)。この物質は、更に精製することな
く用いることができ、または最少量の熱アセトニトリル
から再結晶させて約70%〜80%の回収率で無色結晶
を生じることができる。
【0075】融点:102〜104℃;[α]25 D−
76.5°[c1.11,エタノール] ;IR(CH2
Cl2 )2940,2860,1720,1620,1
595,1520,1105,1095,1020cm
-1 1 H−NMR(CDCl3)8.72(d,1H,J=5
Hz),8.05(brd,3H,J=9.7Hz),
7.4(m,5H),6.72(d,1H,J=7.2
Hz),3.97(s,3H),3.42(dd,1
H,J=9,19.5Hz)2.9−2.7(m,4
H),1.87(m,1H),1.75(br s,1
H),1.6−1.45(m,6H),0.92(t,
3H,J=7Hz). C2729ClN23についての 分析計算値:C,69.74;H,6.28;Cl,7.62;N,6.02 実測値:C,69.95;H,6.23;Cl,7.81;N,5.59ジヒドロキニジンから CH2Cl2 30ml中、ジヒドロキニジン1.22g
(0.0037モル)の0℃溶液に、トリエチルアミン
0.78ml(0.0056モル;1.5当量)を加
え、続いてCH2Cl2 の1ml中、塩化p−クロロベ
ンゾイル0.71ml(0.005モル;1.2当量)
を加えた。0℃で30分間および室温で1時間撹拌した
後、10%Na2SO3 (20ml)を加えることによ
って反応を消失させた。分離後、水性層は、CH2Cl
2 10mlずつで3回抽出を行なった。合わせた有機層
は、Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を真空下で除去し
た。粗生成物は、前記のように精製を行なった。p−ク
ロロ安息香酸ジヒドロキニジン(1)を白色泡沫として
収率91%(1.5g)で得た。
【0076】p−クロロ安息香酸ジヒドロキニジンの回
水性の酸性抽出物(実施例1を参照されたい)を合わせ
て0℃まで冷却し、pHが7になるまで2.0モルNa
OH溶液(500ml)で処理を行なった。塩化メチレ
ン(500ml)を加え、更に2.0モルNaOHを用
いてpHを10〜11に調整した。水性層を分離し、3
00mlずつのCH2Cl2で2回抽出を行なった。合わ
せた有機層は、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮すること
により黄色泡沫として粗アルカロイドが残った。粗p−
クロロ安息香酸ジヒドロキニジン(1)をエーテル1l
に溶解させて0℃まで冷却し、湿ったpH試験紙を用い
て、pHが1〜2になるまでHClガスを溶液中に吹き
込んだ。塩酸塩の塩として(1)の淡黄色沈殿を濾過し
て集め、高度の真空下(0.01mmHg)で乾燥させ
た。遊離塩基は、酢酸エチル(500ml)に塩を懸濁
させ、不均一混合物を0℃まで冷却して、pH11にな
るまで28%NH4OH(または15%NaOH)を加
えることによって遊離させた。分離後、水性層は、酢酸
エチル100mlずつで2回抽出を行ない、合わせた有
機層はNa2SO4 上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去
することにより精製p−クロロ安息香酸ジヒドロキニジ
ン(1)56g(回収率91%)を白色泡沫として得
た。
【0077】実施例5 ジヒドロキニジン誘導体の調製 p−クロロ安息香酸ジヒドロキニジンの調整 接触水素化およびp−クロロベンゾイル化は、p−クロ
ロ安息香酸ジヒドロキニジンについて記載のように行な
って、白色非晶質固形物を収率85%〜90%で得た。
この固形物は、更に精製することなく用いることがで
き、または最少量の熱アセトニトリルから再結晶させて
無色結晶を得ることができる。
【0078】融点:130〜133℃;[α]25 D+
150°[c1.0,エタノール].再結晶化前の固形
物(すなわち「白色非晶質固形物」)の物理的性質は、
下記の通りである: [α]25 D+142.1°[c=1,エタノール]; IR(CH2Cl2 )2940,2860,1720,
1620,1595,1508,1115,1105,
1095,1020cm-1 1 H−NMR(CDCl3)8.72(d,1H,J=5
Hz),8.05(brd,3H,J=8Hz),7.
4(m,5H),6.7(d,1H,J=8Hz),
4.0(s,3H),3.48(dd,1H,J=8.
5,15.8Hz)3.19(m,1H),3.08
(dd,1H,J=11,15Hz),2.69(dd
d,1H,J=5,12,15.8Hz),2.4(d
t,1H,J=2.4,15.8Hz),1.85−
1.3(m,8H),0.87(t,3H,J=H
z). C2729ClN23についての 分析計算値:C,69.74;H,6.28;Cl,7.62;N,6.02. 実測値:C,69.85;H,6.42;Cl,7.82;N,5.98.p−クロロ安息香酸ジヒドロキニジン(2)の回収 この方法は、(1)の回収について前記に記載した方法
と同様に行なう。
【0079】実施例6 「漸次付加」条件下でトランス
−3−ヘキセンを不斉ジヒドロキシル化する方法 4−クロロ安息香酸ジヒドロキニジン0.465g(1
ミリモル、0.25当量=1l中0.25モル)(アル
ドリッチ、98%)と、N−メチルモルホリンN−オキ
シド(アルドリッチ、97%)0.7g(6ミリモル、
1.5当量)と、四酸化オスミウムの0.5モルのトル
エン溶液32l(16モル、4×10-3当量)とを、ア
セトン−水混合物(10:1v/v)4ml中、0℃で
十分に撹拌した混合物に、トランス−3−ヘキセン(ウ
ィリー(Wiley)、99.9%)正味0.5ml
(0.34g4ミリモル)を、注射器ポンプで調節され
た気密注射器を用いて、注射針の先端を反応混合物に浸
漬させて16時間を要して徐々に加えた。混合物は、不
均一から均一に徐々に変化した。添加を完了した後、生
じる透明な赤黄色液体を、0℃で更に1時間撹拌した。
固体のメタ重亜硫酸ナトリウム(Na225 、1.2
g)を加え、混合物を5分間撹拌した後、ジクロロメタ
ン(8ml)で希釈して乾燥させた(Na2SO4 )。
固形物を濾過して除去し、ジクロロメタンで3回洗浄し
た。合わせた濾液を濃縮し、残留油は、シリカゲルのフ
ラッシュカラムクロマトグラフィー(25g、ジエチル
エーテル:ジクロロメタン2:3v/vで溶出、Rfは
0.33)を行ない、適当な画分を集めることによりヘ
キサンジオール0.30〜0.32g(収率85〜92
%)を得た。ジオールの対掌体過剰量は、誘導されたビ
ス−モシャー(Mosher)エステルの気液クロマト
グラフィー分析(5%フェニル−メチルシリコン、フィ
ルム0.25m、直径0.317mm、長さ29m)に
よって測定し、70%であった。
【0080】前記の反応をアセトン4ml中、60%水
性NMO(アルドリッチ)1.2ml(6ミリモル、
1.5当量)を用いて繰り返し、ee71%を得た。し
たがって、この水性NMOにより、同等の結果が得ら
れ、しかも97%固体級よりもほぼ20倍経済的であ
る。わずか0.1モル(すなわち0.186g)のアル
カロイド濃度でしかもオレフィン添加に0℃で20時間
を要すると、対掌体過剰量は、65%であった。したが
って、対掌体過剰量の少量の犠牲によって、アルカロイ
ドを多量に節約することになる。0℃で、トランス−3
−ヘキセンおよびトランス−β−メチルスチレンの両方
ともが、アルカロイド濃度0.20〜0.25モルでそ
の最大のee値に達する。
【0081】実施例7 1−フェニルシクロヘキセンの
Et4NOAc・4H2O(酢酸テトラエチルアンモニウ
ム)による不斉ジヒドロキシル化 1−フェニルシクロヘキセン(0.1モル)をトランス
−スチルべンに置き換えることを除いては、実施例1に
示した方法を行なった。反応は、3日間行なうことを要
した後、ジオールヘの転化率はわずか40%であった
(ee8%)。前記の方法を、酢酸テトラエチルアンモ
ニウム(Et4NOAc・4H2O)当量を反応開始時
に反応混合物に加えるという相違点をもって繰り返し
た。この方法を用いてee52%を得て、この反応は、
約1日で終了した。
【0082】実施例8 トルエン中の「相転移」条件下
でのトランス−スチルベンの不斉ジヒドロキシル化 ヒドロキニジンのp−クロロ安息香酸塩58.2mg
(0.125ミリモル;0.25当量)、トルエン1m
l、N−メチルモルホリン−N−オキシド88mg
0.75ミリモル;1.5当量)、水酸化テトラメチル
アンモニウム五水化物181mg(1ミリモル;2当
量)、酢酸57μl(2ミリモル;2当量)、水0.1
mlおよびOsO4(トルエン中、OsO4 121mg
/ml;0.004モル%、0.004当量を用いて調
製した溶液4.2μl)の室温で十分攪拌した混合物
に、トランス−スチルベン90mg(0.4ミリモル)
のトルエン溶液(1ml)を、注射器ポンプで調節され
た気密注射器で、しかも注射針の先端を反応混合物に浸
漬させて24時間を要して徐々に加えた。添加完了後、
10%NaHSO3溶液(2.5ml)を混合物に加
え、生じる混合物を1時間攪拌した。有機物質を酢酸エ
チルで抽出し、合わせた抽出物をブラインで洗浄し、N
2SO4上で乾燥させた。溶媒は、減圧下で蒸発させ、
残留物は、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(5
g、ヘキサン:酢酸エチルの2:1v/vで溶出、Rf
は0.17)を行なってジオール67.3mg(63
%)を得た。ジオールの対掌休過剰量は、誘導された二
酢酸塩を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析
(溶出液として5%イソプロパノール/ヘキサン混合物
を用いるピルクル1Aカラム、保持時間は、t1が2
2.6分間;t2が23.4分間)を行なうことによっ
て測定し、94%であった。
【0083】実施例9 トルエン中の相転移条件下での
4−メトキシケイ皮酸トランス−メチルの不斉ジヒドロ
キシル化 ジヒドロキニジンのp−クロロ安息香酸塩116.3m
g(0.25当量)、トルエン2ml、N−メチルモル
ホリンN−オキシド175.8mg(1.5ミリモル;
1.5当量)、酢酸テトラエチルアンモニウム四水化物
522mg(2ミリモル;2当量)、水0.2mlおよ
びOsO4 121mg/ml;0.004モル%、0.
004当量を用いて調製した溶液8.4μl)の室温で
十分攪拌した混合物に、4−メトキシケイ皮酸トランス
−メチル192mg(1ミリモル)のトルエン溶液(1
ml)を、注射器ポンプで調節された気密注射器で、し
かも注射針の先端を反応混合物に浸漬させて24時間を
要して徐々に加えた。添加を完了した後、10%NaH
SO3溶液(5ml)を混合物に加え、生じる混合物を
1時間攪拌した。有機物質を酢酸エチルで抽出し、合わ
せた抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥さ
せた。溶媒は、減圧下で蒸発させ、残留物は、シリカゲ
ルのカラムクロマトグラフィー(10g、ヘキサン:酢
酸エチルの2:1 v/vで溶出、Rfは0.09)を
行なってジオール118.8mg(53%)を得た。ジ
オールの対掌体過剰量は、誘導された二酢酸塩を高速液
体クロマトグラフィー分析(溶出液として10%イソプ
ロバノール/ヘキサン混合物を用いるピルクル共有結合
性フェニルグリシンカラム、保持時間は、t1が25.
9分間;t2が26.7分間)を行なうことによって測
定し、84%であった。
【0084】実施例10 ホウ酸存在下のトランス−ス
チルベンの不斉ジヒドロキシル化 ヒドロキニジンのp−クロロ安息香酸塩58.2mg
(0.125ミリモル;0.25当量)、N−メチルモ
ルホリンN−オキシド70mg(0.6ミリモル;1.
2当量)、ホウ酸37mg(0.6ミリモル;1.2当
量)、ジクロロメタン0.5ml、およびOsO4 (ト
ルエン中、OsO4 121mg/ml;0.004モル
%、0.004当量を用いて調製した溶液4.2μl)
の室温で十分攪拌した混合物に、トランス−スチルべン
90mg(0.5ミリモル)のジクロロメタン溶液(1
ml)を、注射器ポンブで調節された気密注射器で、し
かも注射針の先端を反応混合物に浸漬させて24時間を
要して徐々に加えた。添加を完了した後、10%NaH
SO3溶液(2.5ml)を混合物に加え、生じる混合
物を1時間攪拌した。有機物質を酢酸エチルで抽出し、
合わせた抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾
燥させた。溶媒は、減圧下で蒸発させ、残留物は、シリ
カゲルのカラムクロマトグラフィー(5g、ヘキサン:
酢酸エチルの2:1v/vで溶出、Rfは0.17)を
行なってジオール78.3mg(73%)を得た。ジオ
ールの対掌体過剰量は、誘導されたビス−モシャーエス
テルを1H−核磁気共鳴法(NMR)(溶媒:CDC
3)分析を行なうことによって測定し、94%であっ
た。
【0085】実施例11 ホウ酸存在化の4−メトキシ
ケイ皮酸トランス−メチルの不斉ジヒドロキシル化 ヒドロキニジンのp−クロロ安息香酸塩116.3mg
(0.25ミリモル;0.25当量)、N−メチルモル
ホリンN−オキシド175.8mg(1.5ミリモル;
1.5当量)、ホウ酸74.4mg(1.2ミリモル;
1.2当量)、ジクロロメタン1ml、およびOsO4
(トルエン中、OsO4 121mg/ml;0.004
モル%、0.004当量を用いて調製した溶液8.4μ
l)の室温で十分攪拌した混合物に、4−メトキシケイ
皮酸トランス−メチル192mg(1ミリモル)のジク
ロロメタン溶液(1ml)を、注射器ポンプで調節され
た気密注射器で、しかも注射針の先端を反応混合物に浸
漬させて24時間を要して徐々に加えた。添加を完了し
た後、10%NaHSO3溶液(5ml)を混合物に加
え、生じる混合物を1時間攪拌した。有機物質を酢酸エ
チルで抽出し、合わせた抽出物をブラインで洗浄し、N
2SO4上で乾燥させた。溶媒は、減圧下で蒸発させ、
残留油は、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(1
0g、ヘキサン:酢酸エチルの2:1v/vで溶出、R
fは0.09)を行なってジオール151.1mg(6
7%)を得た。ジオールの対掌体過剰量は、誘導された
二酢酸塩を高速液体クコマトグラフィー分析(溶出液と
して10%イソプロバノール/ヘキサン混合物を用いる
ピルクル共有結合性フェニルグリシンカラム、保持時間
は、t1が24.0分間;t2が24.7分間)を行なう
ことによって測定し、76%であった。
【0086】実施例12 ホウ酸存在下のトランス−β
―メチルスチレンの不斉ジヒドロキシル化
【0087】
【化8】
【0088】ヒドロキニジンのp−クロロ安息香酸塩5
8.2mg(0.125ミリモル;0.25当量)、N
−メチルモルホリンN−オキシド70mg(0.6ミリ
モル;1.2当量)、フェニルホウ酸72mg(0.6
ミリモル;1.2当量)、ジクロロメタン0.5mlお
よびOsO4(トルエン中、OsO4 121mg/m
l;0.004モル%、0.004当量を用いて調製し
た溶液4.2μl)の0℃で十分攪拌した混合物に、ト
ランス−β−メチルスチレン65μl(0.5ミリモ
ル)のジクロロメタン溶液(0.5ml)を、注射器ポ
ンプで調節された気密注射器で、しかも注射針の先端を
反応混合物に浸漬させて24時間を要して徐々に加え
た。添加を完了した後、10%NaHSO3溶液(2.
5滅ml)を混合物に加え、生じる混合物を1時間攪拌
した。有機物質を酢酸エチルで抽出し、合わせた抽出物
をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。溶媒
は、減圧下で蒸発させ、残留油は、シリカゲルのカラム
クロマトグラフィー(5g、ヘキサン:酢酸エチルの
2:1v/vで溶出、Rfは0.62)を行なってホウ
酸フェニル10mg(91%)を得た。ホウ酸フェニル
をアセトン(3ml)および1,3−プロパンジオール
(0.5ml)に溶解させ、生じる混合物を室温で2時
間置いた。溶媒は減圧下で蒸発させ、残留油は、シリカ
ゲルのカラムクロマトグラフィー(5g、ヘキサン:酢
酸エチルの2:1v/vで溶出、Rfは0.10)を行
なってジオール48.6mg(70%)を得た。ジオー
ルの対掌体過剰量は、誘導された二酢酸塩を高速液体ク
ロマトグラフィー分析(溶出液として0.5%イソプロ
パノール/ヘキサン混合物を用いるピルクル1Aカラ
ム、保持時間は、t1が17.1分間;t2が18.1分
間)を行なうことによって測定し、73%であった。
【0089】均等範囲 当該分野の技術者は、日常実験の内で水明細書に記載の
具体的な物質および方法についての多数の変形について
理解し、または確認できるものである。このような均等
範囲は本発明に含まれるものであり、且つ下記請求の範
囲に包含される。本発明の実施の態様は次の通りであ
る。 1.配位子促進触媒作用の方法であって、オレフィン、
キラル配位子、有機溶媒、水、酸化剤およびオスミウム
触媒を、反応が生ずるに適当な条件下で混合することか
ら成る、方法。 2.オスミウムに触媒されるオレフィンヘの不斉付加の
方法であって、オレフィン、キラル配位子、有機溶媒、
水、酸化剤およびオスミウム触媒を、オレフィンへの不
斉付加が生ずるに適当な条件下で混合することから成
る、方法。 3.キラル配位子がアルカロイドまたはアルカロイド誘
導体であり、有機溶媒がアセトンであり、酸化剤がアミ
ンオキシド、過酸化水素、t−ブチルヒドロベルオキシ
ド、金属触媒/酸素結合N−クロロ−N−金属カルバメ
ートおよびクロラミン−Tから成る群から選択され、且
つオスミウム含有化合物が四酸化オスミウムである、上
記2に記載の方法。 4.可溶性カルボン酸塩を加えることを更に含んで成
る、上記2に記載の方法。 5.可溶性カルボン酸塩が、テトラアルキル酢酸アンモ
ニウムである、上記4に記載の方法。 6.オスミウムに触媒されるオレフィンの不斉ジヒドロ
キシル化の方法であって、オレフィン、選択されたキラ
ル配位子、アセトン、水、アミンオキシドおよびオスミ
ウムの触媒量を与えるのに十分な量のオスミウム含有化
合物を、不斉ジヒドロキシル化が生ずるに適当な条件下
で混合することから成る、方法。 7.キラル配位子が、アルカロイドまたはアルカロイド
誘導体であり、アミンオキシドが、N−メチルモルホリ
ンN−オキシドであり、且つオスミウム含有化合物が、
四酸化オスミウ ムである、上記6に記載の方法。 8.アルカロイド誘導体が、ジヒドロキニジン誘導体ま
たは ジヒドロキニジン誘導体である、上記7に記載の
方法。 9.カルボン酸テトラアルキルアンモニウムを加えるこ
とを更に含んで成る、上記6に記載の方法。 10.カルボン酸テトラアルキルアンモニウムが、酢酸
テトラアルキルアンモニウムである、上記9に記載の方
法。 11.オスミウムに触媒されるオレフィンの不斉ジヒド
ロキシル化の方法であって、オレフィン、選択されたキ
ラル配位子、有機溶媒、ホウ酸誘導体、アミンオキシド
およびオスミウムの触媒量を与えるのに十分な量のオス
ミウム含有化合物を、不斉ジヒドロキシル化が生ずるに
適当な条件下で混合することから成る、方法。 12.キラル配位子が、アルカロイドまたはアルカロイ
ド誘導体であり、アミンオキシドが、N−メチルモルホ
リンN−オキシドであり、且つオスミウム含有化合物
が、四酸化オスミウムである、上記11に記載の方法。 13.アルカロイド誘導体が、ジヒドロキニジン誘導体
またはジヒドロキニチン誘導体である、上記12に記載
の方法。 14.有機溶媒が、ジクロロメタンまたはクロロホルム
である、上記12に記載の方法。 15.オレフィンの不斉ジヒドロキシル化のオスミウム
に触媒される方法であって、(a) オレフィン、キナ
・アルカロイドまたはその誘導体、有機溶媒、水および
選択されたアミンオキシドを混合し、(b) オスミウ
ム含有触媒を、(a)で形成された混合物に加え、
(c)(b)で生成されて生じる混合物を、オレフィン
の不斉ジヒドロキシル化が生ずるに適当な条件下で保持
することから成る、方法。 16.キナ・アルカロイド誘導体が、ジヒドロキニジン
誘導体 またはジヒドロキニデン誘導体であり、アミン
オキシドが、N−メチルモルホリンN−オキシドであ
り、且つオスミウム含有化合物が、四酸化オスミウムで
ある、上記15に記載の方法。 17.不斉ジヒドロキシル化したオレフィンを製造する
ためのオスミウムに触媒される方法であって、(a)
(1)オレフィン、(2)キナ・アルカロイド誘導体、
(3)有機溶媒および(4)N−メチルモルホリンN−
オキシドを混合して、キナ・アルカロイドが約0.01
モル〜約2.0モルの濃度で存在する反応混合物を形成
し、(b)反応混合物に触媒量の四酸化オスミウムを加
え、(c)工程(b)の生成物を、オレフィンのジヒド
ロキシル化が生ずるに適当な条件下で保持することから
成る、方法。 18.オレフィンの不斉オキシアミノ化のオスミウムに
触媒される方法であって、オレフィン、キラル配位子、
有機溶媒、水、金属−クロラミン誘導体およびオスミウ
ム含有化合物を、不斉オキシアミノ化が生ずるに適当な
条件下で混合することから成る、方法。 19.キラル配位子が、アルカロイドまたはアルカロイ
ド誘導体である、上記18に記載の方法。 20.オスミウムに触媒されるオレフィンの不斉ジアミ
ノ化の 方法であって、オレフィン、キラル配位子、有
機溶媒、金属−クロラミン誘導体、アミンおよびオスミ
ウム含有化合物を、不 斉ジアミノ化が生ずるに適当な
条件下で混合することから成る、方法。 21.キラル配位子が、アルカロイドまたはアルカロイ
ド誘導 体である、上記20に記載の方法。 22.オスミウムに触媒されるオレフィンへの不斉付加
の方法であって、オレフィン、オスミウム−アルカロイ
ド触媒錯体(この錯体はオスミウム含有組成物とアルカ
ロイドもしくはその誘導体とを含んで成る)および有機
溶媒;水;および酸化剤を、オレフィンへの不斉付加が
生ずるに適当な条件下で混合することから成る、方法。 23.オレフィンの不斉ジヒドロキシル化のオスミウム
に触媒される方法であって、(a)アルカロイドまたは
アルカロイド誘導体、有機溶媒、水および選択されたア
ミンオキシドを混合し、(b)オスミウム含有触媒を、
(a)で形成された混合物に加え、(c)(b)で形成
された混合物に、オレフィンの不斉ジヒドロキシル化が
生じるに適当な条件下でオレフィンを徐々に加えること
からなる、方法。 24.アルカロイドが、キナ・アルカロイドであり、ア
ミンミキシドが、N−メチルモルホリンN−オキシドで
あり、且つオスミウム含有化合物が、四酸化オスミウム
である、上記23に記載の方法。 25.可溶性カルボン酸塩を加えることを更に含んで成
る、上記24に記載の方法。 26.可溶性カルボン酸塩が、酢酸テトラアルキルアン
モニウムである、上記25に記載の方法。 27.オレフィンを有機溶媒に溶解させてから、そのオ
レフィンを工程(c)で徐々に加えることを更に含んで
成る、上記24に記載の方法。 28.オスミウムに触媒されるオレフィンの不斉ジヒド
ロキシル化方法であって、 (a)アルカロイドまたは
アルカロイド誘導体、有機溶媒、ホウ酸またはホウ酸誘
導休および選択されたアミンオキシドをを混合し、
(b)オスミウム含有触媒を、(a)で形成された混合
物に加え、(c)(b)で形成された混合物に、オレフ
ィンの不斉ジヒドロキシル化が生じるに適当な条件下で
オレフィンを徐々に加えることからなる、方法。29.
アルカロイドが、キナ・アルカロイドであり、アミンオ
キシドが、N−メチルモルホリンN−オキシドであり、
且つオスミウム含有化合物が、四酸化オスミウムであ
る、上記28に記載の方法。 30.オレフィンを有機溶媒に溶解させてから、そのオ
レフィンを工程(c)で徐々に加えることを更に含んで
成る、上記28に記載の方法。 31.不斉ジヒドロキシル化したオレフィンの製造のた
めのオスミウムに触媒される方法であって、(a)
(1)キナ・アルカロイド誘導体、(2)有機溶媒、
(3)N−メチルモルホリンN−オキシド、(4)カル
ボン酸テトラアルキルアンモニウム化合物、(5)水お
よび(6)四酸化オスミウム触媒を混合して、(b)
(a)で形成された混合物に、オレフィンのジヒドロキ
シル化が生ずるに適当な条件下でオレフィンを徐々に加
えることから成る、方法。 32.キナ・アルカロイド誘導体が、ジヒドロキニジン
誘導体 またはジヒドロキニチン誘導体であり、テトラ
アルキルアンモ ニウム化合物が、酢酸テトラエチルア
ンモニウムである、上記31に記載の方法。 33.オレフィンを有機溶媒に溶解させてから、そのオ
レフィンを工程(b)で徐々に加えることを更に含んで
成る、上記32に記載の方法。 34.次の群から選択されるアルカロイド誘導体: a.アセチルジヒドロキニジン; b.ジメチルカルバモイルジヒドロキニジン; c.べンゾイルジヒドロキニジン; d.4−メトキシべンゾイルジヒドロキニジン; e.4−クロロべンゾイルジヒドロキニジン; f.2−クロロベンゾイルジヒドロキニジン; g.4−ニトロベンゾイルジヒドロキニジン; h.3−クロロベンゾイルジヒドロキニジン; i.2−メトキシベンゾイルジヒドロキニジン; j.3−メトキシベンゾイルジヒドロキニジン; k.2−ナフトイルジヒドロキニジン; l.シクロへキサノイルジヒドロキニジン; m.p−フェニルべンゾイルジヒドロキニジン; n.アセチルジヒドロキニン; o.ジメチルカルバモイルジヒドロキニン; p.ベンゾイルジヒドロキニン; q.4−メトキシべンゾイルジヒドロキニン; r.4−クロロべンゾイルジヒドロキニン; s.2−クロロべンゾイルジヒドロキニン; t.4−ニトロベンゾイルジヒドロキニン; u.3−クロロべンゾイルジヒドロキニン; v.2−メトキシべンゾイルジヒドロキニン; w.3−メトキシべンゾイルジヒドロキニン; x.2−ナフトイルジヒドロキニン; y.シクロへキサノイルジヒドロキニン; z.p−フェニルベンゾイルジヒドロキニン;および a’.メトキシジヒドロキニジン。 35.式
【0090】
【化9】
【0091】(式中、R'は、p−クロロベンゾイルで
あり、Arは、
【0092】
【化10】
【0093】である)を有するジヒドロキニジンエステ
ル。 36.式:
【0094】
【化11】
【0095】(式中、R'は、p−クロロベンゾイルで
あり、Arは、
【0096】
【化12】
【0097】である)を有するジヒドロキニンエステ
ル。 37.四酸化オスミウムおよびアルカロイド誘導体を含
んで成るオスミウム−アルカロイド触媒錯体であって、
アルカロイド誘導体が、 a.アセチルジヒドロキニジン; b.ジメチルカルバモイルジヒドロキニジン; c.べンゾイルジヒドロキニジン; d.4−メトキシべンゾイルジヒドロキニジン; e.4−クロロべンゾイルジヒドロキニジン; f.2−クロロベンゾイルジヒドロキニジン; g.4−ニトロべンゾイルジヒドロキニジン; h.3−クロロベンゾイルジヒドロキニジン; i.2−メトキシべンゾイルジヒドロキニジン; j.3−メトキシベンゾイルジヒドロキニジン; k.2−ナフトイルジヒドロキニジン; l.シクロへキサノイルジヒドロキニジン; m.p−フェニルべンゾイルジヒドロキニジン; n.アセチルジヒドロキニン; o.ジメチルカルバモイルジヒドロキニン; p. ベンゾイルジヒドロキニン; q.4−メトキシべンゾイルジヒドロキニン; r.4−クロロベンゾイルジヒドロキニン; s.2−クロロべンゾイルジヒドロキニン; t.4−ニトロべンゾイルジヒドロキニン; u.3−クロロベンゾイルジヒドロキニン; v.2−メトキシべンゾイルジヒドロキニン; w.3−メトキシべンゾイルジヒドロキニン; x.2−ナフトイルジヒドロキニン; y.シクロヘキサノイルジヒドロキニン; z.p−フェニルベンゾイルジヒドロキニン;および a'.メトキシジヒドロキニジン。 から成る群から選択されるもの。 38.式:
【0098】
【化13】
【0099】(式中、R'は、p−クロロベンゾイルで
あり、Arは、 d.4−メトキシべンゾイルジヒドロキニジン; e.4−クロロべンゾイルジヒドロキニジン; f.2−クロロべンゾイルジヒドロキニジン; g.4−ニトロベンゾイルジヒドロキニジン; h.3−クロロべンゾイルジヒドロキニジン; i.2−メトキシべンゾイルジヒドロキニジン; j.3−メトキシべンゾイルジヒドロキニジン; k.2−ナフトイルジヒドロキニジン; l.シクロへキサノイルジヒドロキニジン; m.p−フェニルべンゾイルジヒドロキニジン; n.アセチルジヒドロキニン; o.ジメチルカルバモイルジヒドロキニン; p.ベンゾイルジヒドロキニン; q.4−メトキシべンゾイルジヒドロキニン; r.4−クロロべンゾイルジヒドロキニン; s.2−クロロベンゾイルジヒドロキニン; t.4−ニトロベンゾイルジヒドロキニン; u.3−クロロべンゾイルジヒドロキニン; v.2−メトキシべンゾイルジヒドロキニン; w.3−メトキシべンゾイルジヒドロキニン; x.2−ナフトイルジヒドロキニン; y.シクロへキサノイルジヒドロキニン; z.p−フェニルべンゾイルジヒドロキニン;および a’.メトキシジヒドロキニジン。 から成る群から選択される、上記41に記載の錯体。
【図面の簡単な説明】
【図1】、本発明の方法によって実施される、配位子に
促進された触媒作用による不斉ジヒドロキシル化を図式
的に表わしたフローシート。
【図2】本発明の方法によって実施される、スチルベン
の不斉触媒オキシアミノ化を図式的に表わしたフローシ
ート。
【図3】スチレンの触媒シス−ジヒドロキシル化につい
ての二次反応速度定数Kに対するアミン濃度のグラフ。
【図4】提案された触媒オレフィンジヒドロキシル化の
メカニズムを、図式によって表わしたフローシート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07M 7:00 C07M 7:00 (72)発明者 シャープレス,ケー・バリー アメリカ合衆国マサチューセッツ州02146, ブルックリン,チルトン・ストリート 8

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 【化1】 (式中、R’は、p−クロロベンゾイルであり、Ar
    は、 【化2】 である)を有することを特徴とするジヒドロキニンエス
    テル又はジヒドロキニジンエステル。
  2. 【請求項2】 四酸化オスミウムおよび次の群から選択
    されるアルカロイド誘導体: a.アセチルジヒドロキニジン; b.ジメチルカルバモイルジヒドロキニジン; c.べンゾイルジヒドロキニジン; d.4−メトキシべンゾイルジヒドロキニジン; e.4−クロロべンゾイルジヒドロキニジン; f.2−クロロベンゾイルジヒドロキニジン; g.4−ニトロベンゾイルジヒドロキニジン; h.3−クロロベンゾイルジヒドロキニジン; i.2−メトキシベンゾイルジヒドロキニジン; j.3−メトキシベンゾイルジヒドロキニジン; k.2−ナフトイルジヒドロキニジン; l.シクロへキサノイルジヒドロキニジン; m.p−フェニルべンゾイルジヒドロキニジン; n.アセチルジヒドロキニン; o.ジメチルカルバモイルジヒドロキニン; p.ベンゾイルジヒドロキニン; q.4−メトキシべンゾイルジヒドロキニン; r.4−クロロべンゾイルジヒドロキニン; s.2−クロロべンゾイルジヒドロキニン; t.4−ニトロベンゾイルジヒドロキニン; u.3−クロロべンゾイルジヒドロキニン; v.2−メトキシべンゾイルジヒドロキニン; w.3−メトキシべンゾイルジヒドロキニン; x.2−ナフトイルジヒドロキニン; y.シクロへキサノイルジヒドロキニン; z.p−フェニルベンゾイルジヒドロキニン;および a’.メトキシジヒドロキニジン を含むオスミウム−アルカロイド触媒錯体。
  3. 【請求項3】 オレフィンの不斉ジヒドロキシル化の際
    に形成されるトリオキソグリコール酸オスミウム(VII
    I)錯体であって、式: 【化3】 (式中、Lは、請求項2のキナ・アルカロイドから選択
    されるキラル配位子であり、R1、R2、R3およびR
    4は、オレフィンに相当する有機官能性基である)を有
    するもの。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のジヒドロキニンエステ
    ル又はジヒドロキニジンエステルと四酸化オスミウムと
    の錯体。
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