JP2001192214A - ガラス塊の浮上方法、ガラス塊の製造方法及び成形ガラスの製造方法並びにこれらの方法に用いる装置 - Google Patents

ガラス塊の浮上方法、ガラス塊の製造方法及び成形ガラスの製造方法並びにこれらの方法に用いる装置

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 気流によりガラス塊を浮上させる方法及び浮
上または製造装置の提供。 【解決手段】 ガラス塊を気流の作用により浮上保持す
るための凹部2、及び凹部2の開口端付近に設けられ、
凹部2の底部に向かって気体を供給してガラス塊浮上用
の気流を生成させるための気体供給口3を有する。気体
供給口3から凹部底へ向かって気体を供給することで、
層状の気流が凹部2の内面に沿って生じる。凹部2とガ
ラス塊との間に凹部開口側から凹部底側に向かう気流の
層が存在する事により、ガラス塊は凹部とは非接触に保
持される。例えば、ガラスのプレス成形においては、下
型1の凹状成形面の一部又は全部に沿って、下型の開口
側から底部に向って噴射される気流によりガラス塊を浮
上させながらプレス成形に適した温度に調整し、このあ
とガラス塊をプレス成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス塊の浮上方
法、ガラス塊の製造方法、及び成形ガラスの製造方法、
並びにこれらの方法に使用する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、非球面ガラスレンズ等の製造法と
して成形型による高精度熱間プレス成形技術が開発され
発展をとげている。本成形に用いる成形予備体(以下プ
リフォームと言う)は、ミリグラム単位の重量精度が要
求され、かつ用途上、脈理、デビ、傷、泡などの欠陥や
洗浄で除去できない表面付着物の存在は許されない。
【0003】このようなプリフォームを安価に量産する
方法としては、例えば、特開平2−14839号公報に
記載の方法が知られている。本方法では、流出パイプか
ら流下する溶融ガラスを成形型の凹部で受ける際、この
凹部に開口する細孔から、空気、不活性ガス等の気体を
吹き出し、溶融ガラス塊と成形型凹部の内面との間に気
体の層を作り、溶融ガラス塊の少なくとも表面の一部が
軟化点温度以下に達するまで、溶融ガラス塊を前記凹部
内面と実質的に非接触状態で凹部内に保持し、冷却して
ガラス塊を作製している。本方法によれば、上下面とも
自由表面となるため、表面品質の良好なプリフォームを
得ることができる。また本方法では、溶融ガラスを自然
滴下または切断刃で切断することによって溶融ガラスを
落下させるため、実用レベルの重量精度を得ることも可
能となる。
【0004】また上記の細孔を開けた成形型の代わりに
多孔質材料からなる受け型を使用し、その受け型からガ
スが噴出している状態で溶融ガラスを受け、同様に非接
触状態で凹部内に溶融ガラス塊を保持しながら冷却し、
ガラス塊を得る方法が、特開平6−122526号、特
開平6−144845号、特開平6−206730号等
に開示されている。また半球状の凹部を持つ多孔質材料
の受け型からガスを噴出させた状態で溶融ガラスを受
け、溶融ガラス塊を非接触状態で回転させながら冷却す
ることで球状ガラスを得る方法が特開平11−1162
52号に開示されている。その他、水や液状有機化合物
などを含浸させた多孔質材料の受け型で溶融ガラスを受
け、蒸発ガスの圧力により溶融ガラスを浮上させながら
冷却し、ガラス塊を得る方法が特開平10−13946
5号に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例においては、それぞれ以下のような欠点があった。
特開平2−14839号公報に記載の方法では、凹型の
細孔からガスを噴出させ溶融ガラスを浮上させる。この
ような浮上方式において、ガス流量を増やし溶融ガラス
を完全に浮上させようとすると、溶融ガラス表面にミカ
ン肌状の凹みができることがあった。この凹みは細孔か
らの噴出ガス圧でガラスが凹むことが原因なので、表面
凹みが起こらない程度にガス流量を下げてやる必要があ
った。しかし、ガス流量を下げてしまうと、特にガラス
の流下初期段階などにおける成形型とガラスの一時的な
接触を完全に防止することはできない。そこで、この方
法では凹部表面を鏡面仕上げし、一時的接触によるガラ
ス表面のキズ発生や汚れ付着を防止している。
【0006】ところが上記方法では品質の良いプリフォ
ームが作製できないガラスもある。例えば流下温度域で
成分揮発が多いガラスを成形する場合、揮発成分ガスが
低温設定の成形型に凝結して堆積しやすく、型に堆積し
た揮発成分が、型とガラスの接触によりガラス表面に再
付着するという現象が起こる。揮発成分が多いガラスと
は、組成的には高温での蒸気圧が高い成分、例えばNa
2O、K2O、Li2Oなどのアルカリ成分やB2O3等を多く含む
ガラス、そしてガラスの液相温度が高いガラスや高温で
の粘性が高いガラスなど、やむをえず流出温度が高くな
るガラスが例として挙げられる。通常のガラスはアルカ
リ成分を含むので、液相温度が900℃以上のガラスは揮
発物の問題が起こりやすい。
【0007】また型との接触を防止できたとしても、型
からの浮上量が小さいため、型とガラスの間の揮発成分
濃度が高まり、ガラスに揮発成分が付着しやすい。また
流出温度付近で結晶化(失透)しやすいガラスを成形する
場合、流下直後の型とガラスの接触が結晶化の引き金に
なりガラス表面が結晶化する場合がある。以上のよう
に、流下温度域で揮発物が多いガラスや結晶化しやすい
ガラスを成形するには、型とガラスを完全に非接触状態
に保つ必要がある。
【0008】また流下温度域で揮発物が多いガラスを成
形するには、ガス流量を増やして型とガラス融液の隙間
での揮発物濃度を低下させ、隙間から揮発成分を追い出
してやることが必要である。
【0009】特開平6−122526号公報などに記載
されているように多孔体からなる受け型を使用して、噴
出ガス流を均一化することにより、より完全な浮上状態
を得ることができる。しかし実際には、以下のように多
孔体そのものに起因する問題も多い。例えば、均一なガ
スの噴出状態を実現するには、気孔径が小さい多孔体を
選ぶ必要がある。しかし、気孔径が小さい多孔体を用い
る場合、浮上に充分なガス流量を得るには、非常に高い
ガス圧が必要となり、装置的にコスト高となる欠点があ
る。また多孔体の場合、ガス透過性の個体差が大きく、
成形型ごとにガス流量を大きく調整しなければならない
欠点がある。また多少の差はあるが、多孔体内のガス透
過性には分布があり、そのために安定した浮上状態を得
ることは容易でない。多孔質素材としては、カーボンや
セラミックス、そして耐熱金属などの多孔体を使用でき
るが、脆性材料であるカーボンやセラミックスの多孔体
は素材強度が低く、型組立時に多孔体が破損したり、成
形時に熱衝撃などで多孔体表面が脱落し、破片が溶融ガ
ラス表面に付着するなどの問題も起こりやすい。一方、
耐熱金属からなる多孔体は、上記のような素材強度上の
問題は少ない。しかし素材に靱性があるために、型加工
時に表面気孔が目つぶれしやすく、均一なガス噴出状態
が得られないことが多い。
【0010】以上のように、浮上ガスの均一化が多孔体
を使用する目的であるが、意図したような理想的な浮上
状態を得るのが容易ではなかった。また、ガスの流し忘
れなどのミスで、型にガラスが接触すると、型が破損し
やすいという欠点もあった。その他、多孔体の素材コス
トや加エコストが高く、また揮発成分が付着した場合、
洗浄や再研磨などによる再生がきかないなどの問題もあ
る。
【0011】また特開平10−139465号に記載さ
れている、多孔質材料中の水などの蒸発ガス圧力で溶融
ガラスを浮上させる方法においても次のような問題点が
ある。型で溶融ガラスを受ける前に液体が蒸発してしま
うのを防ぐため、多孔質型の温度は液体の沸点以下にす
る必要がある。そのために、溶融ガラスの表面温度が急
激に低下しやすく、大きめのガラス塊を成形する場合に
は、所謂カン割れなどが起こる可能性が高い。
【0012】また、細孔を有する型を用いる方法、及
び、受け皿に多孔体を用いる方法のいずれの方法におい
ても、受け皿に微細な孔を設ける必要があり、構造が複
雑であるために製造コストが高い。また、洗浄も容易で
ない上、この孔が汚れやガラスからの揮発物などで目詰
まり、目つぶれしやすく、型の寿命が短いという欠点が
ある。また、従来法では、凹部内壁に存在する細孔又は
多孔体の孔より、直接気体が高圧で噴出されている為、
直接気体が当たるガラス塊の部分において、どうしても
変形が生じ易くなるという欠点がある。また、従来法で
は、凹部に十分な大きさの溶融ガラス滴が侵入して初め
て、凹部内壁とガラス塊の間に層状の気流が発生して浮
上力が得られるため、溶融ガラス滴が十分な大きさにな
るまでの初期の浮上状態が不安定で、凹部との接触が起
こりやすいという欠点があった。また、凹部の大きさに
対してガラス塊が十分に小さいと、気体流がガラス塊の
周囲より上方に逃げてしまい、浮上力がうまく働かない
という問題があった。そのため、ガラス塊の大きさに応
じた大きさの浮上装置を用意する必要もあった。
【0013】本発明の目的は、上記のような問題を解決
し、ガラス塊とガラス塊を浮上保持すための凹部との間
の非接触状態を、ガラス塊の大きさに係わらず良好に保
つことができるガラス塊の浮上方法を提供することにあ
る。さらに本発明の目的は、ガラス塊の大きさに係わら
ずガラス塊とガラス塊を浮上保持するための凹部との間
の非接触状態を良好に維持し、流下温度域で成分揮発が
多いガラスや結晶化傾向の強いガラスにおいても、表面
品質が良いガラス塊または球状ガラス塊を容易に製造す
ることのできる方法を提供することである。さらに本発
明の目的は、ガラス塊の大きさに係わらずガラス塊とガ
ラス塊を浮上保持するための凹部との間の非接触状態を
良好に維持し、流下温度域で成分揮発が多いガラスや結
晶化傾向の強いガラスにおいても、表面品質が良いガラ
ス塊を製造し、このガラス塊を効率的に成形して成形ガ
ラスを製造する方法を提供することにある。また、本発
明は上記本発明の方法に使用できる装置を提供すること
にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は以下のとおりである。ガラス塊を浮上保持す
るための凹部を有する装置を用いて気流によりガラス塊
を浮上させる方法であって、前記気流は、前記凹部の内
面の一部又は全部に沿って、前記凹部の開口側から底部
に向うものであることを特徴とする方法〔請求項1〕。
請求項1の方法において、気流は、前記凹部の開口端ま
たは開口端と底部との間の内面に設けられた気流供給口
から供給されることができる。また、浮上させるガラス
塊としては、溶融ガラス塊又は軟化ガラス塊を挙げるこ
とができる。
【0015】上記目的を達成するための本発明(別の態
様)は以下のとおりである。溶融ガラス塊を浮上保持す
るための凹部を有する装置を用いて気流により溶融ガラ
ス塊を浮上させながら冷却してガラス塊を製造する方法
であって、前記気流は、前記凹部の内面の一部又は全部
に沿って、前記凹部の開口側から底部に向うものである
ことを特徴とする方法〔請求項4〕。請求項4の製造方
法において、前記溶融ガラス塊は、溶融ガラス流出ノズ
ルから流出した溶融ガラスを、前記凹部上において前記
気流により浮上させながら形成されたものであることが
できる。また、請求項4に記載の製造方法においては、
溶融ガラス流出ノズルから流出する溶融ガラスを前記凹
部の外部に設けられたガラス受け部に受け、ガラス受け
部上に受けた溶融ガラスを流出ノズルから切断して溶融
ガラス塊とし、この溶融ガラス塊を凹部に導入すること
ができる。また、この方法において、ガラス受け部は、
凹部を有する装置上の凹部の開口に隣接して設けられて
いるものであることができる。また、前記溶融ガラスの
流出ノズルからの切断は、前記ガラス受け部を下方に移
動させるか、または前記溶融ガラス流出ノズルを上方に
移動させることで行うことができる。また、請求項4の
製造方法においては、溶融ガラス塊を浮上中に球状化す
ることができる。
【0016】上記目的を達成するための本発明(別の態
様)は以下のとおりである。ガラス塊を浮上保持するた
めの凹部を有する装置を用いて気流により軟化したガラ
ス塊を浮上させながら球状化する、球状ガラス塊の製造
方法であって、前記気流は、前記凹部の内面の一部又は
全部に沿って、前記凹部の開口側から底部に向うもので
あることを特徴とする方法〔請求項10〕。
【0017】さらに目的を達成するための本発明(別の
態様)は以下のとおりである。上記請求項4または10
に記載の方法により得られたガラス塊を、対向する位置
に成形面を有する上型及び下型を用いてプレス成形する
ことを特徴とする成形ガラスの製造方法〔請求項11〕。
請求項11の製造方法においては、102〜1010ポイズの
粘度のガラス塊をプレス成形することができる。
【0018】さらに目的を達成するための本発明(別の
態様)は以下のとおりである。対向する位置に成形面を
有する上型及び下型を用いて軟化ガラス塊をプレス成形
する成形ガラスの製造方法であって、前記下型の凹状成
形面の一部又は全部に沿って、前記下型の開口側から底
部に向う気流によりガラス塊を浮上させながらプレス成
形に適した温度に調整する工程、及び前記ガラス塊をプ
レス成形する工程を含む前記製造方法〔請求項12〕。請
求項12の製造方法においては、102〜1010ポイズの粘
度のガラス塊をプレス成形することができる。また、請
求項4、10及び11の方法において、前記気流は、前
記下型の開口端または前記開口端と底部との間の内面に
設けられた気流供給口から供給されるものであることが
でき、ガラス塊を構成するガラスの液相温度は900℃以
上であることができる。
【0019】上記目的を達成するための本発明(別の態
様)は以下のとおりである。ガラス塊を気流の作用によ
り浮上保持するための凹部、及び前記凹部の内面の一部
又は全部に沿って、前記凹部の開口側から底部に向うガ
ラス塊浮上用の気流を生成させるための気体供給口を有
することを特徴とするガラス塊の浮上または製造装置
〔請求項16〕。請求項16の装置において、前記気流
供給口は、前記凹部の開口端または前記開口端と底部と
の間の内面に設けることができる。また、前記ガラス塊
は溶融ガラス塊または軟化ガラスであることができ、前
記凹部の内面は、プレス成形型の成形面であることがで
きる。さらに、溶融ガラス塊を気流の作用により浮上保
持するための凹部、及び前記凹部の内面の一部又は全部
に沿って、前記凹部の開口側から底部に向うガラス塊浮
上用の気流を生成させるための気体供給口を有し、かつ
溶融ガラス流出ノズルからの溶融ガラスを載置して溶融
ガラス塊とし、この溶融ガラスを前記凹部に導入するた
めのガラス受け部を、前記凹部の開口に隣接して有する
ことを特徴とするガラス塊の製造装置〔請求項18〕。
請求項18の装置において、前記気流供給口は、前記凹
部の開口端または前記開口端と底部との間の内面に設け
ることができる。また、前記凹部の内面は、プレス成形
型の成形面であることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明のガラス塊の浮上方法、ガ
ラス塊または球状ガラス塊の製造方法及び成形ガラスの
製造方法では、ガラス塊をその上に浮上保持するための
凹部を有する装置を用いて気流により浮上させる。
【0021】本発明におけるガラス塊とは、塊状に形成
されているガラスのことであって、溶融ガラス塊、軟化
ガラス塊、固体ガラス塊を含む。また、ガラスには結晶
化ガラスも含む。これらのガラス塊は常温であっても加
熱状態であってもよい。但し、加熱状態にあり、粘着性
が出たり、或いは変形し易いガラス塊の場合、本発明の
方法は最適である。また本発明の方法は、ガラス以外に
高分子等からなる塊についても適用可能である。本発明
のガラス塊の浮上方法は、これらのガラス塊を製造、成
形、処理、移送する際等に使用できる。例えば、ガラス
塊を浮上状態で保持して、加熱、冷却処理等を行うこと
ができる。本発明のガラス塊の製造方法及び成形ガラス
の製造方法は、上記本発明の方法を利用するものであ
る。例えば、ガラス塊が溶融ガラス塊の場合、溶融ガラ
ス塊を浮上させながら冷却してガラス塊を製造すること
ができる。また、溶融ガラス塊が、流出ノズルから流下
する溶融ガラスから得られる場合も同様である。さら
に、本発明の方法を利用してガラス塊を加熱軟化させ、
次いでプレス成形して成形ガラスを得ることもできる。
また、本発明の方法により得られたガラス塊は、プレス
成形のためのプリフォームとして使用出来る。
【0022】本発明の方法において上記ガラスは、通常
レンズの成形などに用いられる光学ガラスであることが
できる。また、従来製造が難しかった液相温度が高いガ
ラスや、失透しやすいガラスなどであることもできる。
溶融ガラス流出ノズルから流出するガラスの粘度は10〜
50ポイズ程度であるが、このような溶融ガラスは上記凹
部で浮上させながら冷却し、移送しても変形が生じない
温度(Tg以下の温度、この時粘度は1013ポイズ以上とな
る)になったところで、取出す事ができる。また、軟化
ガラスを浮上させながら成形する場合には、ガラスの粘
度が大きすぎると十分に成形できず、ガラスの粘度が低
すぎると、折れ込み等の現象が発生する。そのため、ガ
ラスの粘度は102〜103ポイズ程度の粘度で浮上させなが
ら成形するのが好ましい。
【0023】本発明において気流発生のために使用する
気体としては、窒素などの不活性ガスや空気が好ましく
使用できる。また、気体は常温であっても、所定温度に
加熱されたものであっても良い。例えば、溶融ガラス塊
を冷却する場合には、常温の気体を用いることができ
る。また、逆に常温のガラス塊や予め加熱されたガラス
塊を所定温度に調整する場合には、加熱した気体を用い
ることができる。
【0024】本発明のガラス塊の浮上方法、ガラス塊ま
たは球状ガラス塊の製造方法及び成形ガラスの製造方法
では、気流が、前記凹部の内面の一部又は全部に沿っ
て、前記凹部の開口側から底部に向って供給される。具
体的には、上記気流は、前記凹部の開口端に設けられた
気体供給口から内面の底部に向って供給されるか、また
は開口端と底部との間(途中)の内面に設けられた気体
供給口から内面の底部に向って供給される。また、凹部
の底部に向かって供給される気流は凹部の内面に沿って
層状に供給されることが、ガラス塊を安定して浮上させ
るという観点から好ましい。また、気流の供給は、凹部
の内面の一部について行われるか、または、凹部の内面
の全体について行われる。この点については、装置の説
明において詳述する。
【0025】尚、本発明において気流とは、気体の流れ
のことである。この気流は、凹部内面とガラス塊との間
に存在し、ガラス塊を凹部と接触させずに浮上保持する
為のクッションとして働くと共に、ガラス塊を球状化す
る際には、その流れによってガラス塊を回転させる。本
発明の方法では、例えば、凹部の開口部近傍の一部又は
全部から凹部の内面に沿って底部に向かって気体を供給
し、気流を発生させる。そのため、ガラス塊に直接この
気流がぶつかることはなく、その結果、ガラス塊に気流
が原因となる凹凸を生じることもない。また後述する
が、凹部周囲から供給する気体のバランスを故意に崩す
ことにより、ガラス塊の下部に特定方向に流れる気流を
入り込ませることができ、ガラス塊の回転が容易にな
る。
【0026】本発明のガラス塊の製造方法においては、
溶融ガラス塊を浮上保持しながら気流により冷却する。
ここで、溶融ガラス塊は、溶融ガラス流出ノズルから流
出した溶融ガラスから、前記凹部上において気流により
装置と溶融ガラスとの非接触状態を維持しながら形成さ
れたものであることができる。溶融ガラス塊の形成は、
例えば図1に示すように、溶融ガラス流出ノズルから流
出する溶融ガラスを気流により保持し、次いで前記装置
を下方に移動させるか、または溶融ガラス流出ノズルを
上方に移動させることにより、流出溶融ガラスを切断す
ることで行うことができる。このようにすることで、溶
融ガラスを非接触状態で塊にすることができ、しかも、
ガラス塊の重量を均一にすることもできる。
【0027】より具体的には、凹部の開口側より底側に
向かう気流を凹部内面に沿って発生させ、溶融ガラスを
浮上させる。この時、凹部底側で互いに衝突しあった気
流の層は、上昇気流を発生する。まず流下した溶融ガラ
スは、この上昇気流の浮力を受けながら降下し、降下後
は凹部内面の気流によって、型との非接触状態が保たれ
る。気流の流速を充分に上げることで、型との非接触状
態を安定して維持することが可能となる。また、この上
昇気流は気体の衝突による乱れた上昇気流であるため、
気体の流速を上げた状態でも溶融ガラス表面に凹み等の
欠陥を生じにくい。次いで装置を下方に移動させるか、
または溶融ガラス流出ノズルを上方に移動させることに
より、流出溶融ガラスを切断することでガラス塊が得ら
れる。このガラス塊と型との非接触状態を保持した状態
で冷却する事によりガラス塊が得られる。
【0028】溶融ガラス流出ノズルから溶融ガラスを流
出させて溶融ガラス塊を作製するには、上記方法以外
に、溶融ガラス流出ノズルから流出する溶融ガラスをガ
ラス受け部に受け、ガラス受け部に受けられた溶融ガラ
スが所望の重量になった時点で、溶融ガラスを溶融ガラ
ス流出ノズルから切断し、ガラス受け部に所望の重量の
溶融ガラスを得、次いでこの溶融ガラスを受け部から、
凹部へ導入するようにしてもよい。ガラス受け部に溶融
ガラスを受けることで、所望の重量の溶融ガラスを重量
精度良く得ることができる。溶融ガラスを流出ノズルか
ら切断する手段としては、流出ノズルを上方に移動させ
るか、ガラス受け部を下方に移動させる方法を取ること
ができる。さらに、ガラス受け部が凹部を有する装置に
一体に成形されている場合には、装置を下方に移動させ
れば良い。ガラス受け部は、溶融ガラス流出ノズルから
流出する溶融ガラスを受け、所望の重量をためておくこ
とができるものであれば良い。例えば、板状の部材、皿
状の部材などを用いる事ができる。また、溶融ガラス
は、流出ノズルから滴下し、または切断して、溶融ガラ
ス塊となった後に、凹部の外部に設けられたガラス受け
部に受けることもできる。
【0029】また、上記ガラス受け部は、前記凹部の開
口に隣接して有することが好ましく、例えば、図11に示
すように、凹部20を有する装置の凹部開口21側の周
囲に、溶融ガラス23が凹部20に向かって落下するよ
うな向きに傾きを持った面を一体に形成したものである
ことが好ましい。具体的には、図11に示すように、凹部
20の周囲に一部かぶさるように形成された、気体供給
口を形成するための突出部25を内側に有する部材の上
面に、凹部20に向かって落ち込むような傾きを有する
面を形成させる事により、この傾きを有する面をガラス
受け部22とする事ができる。傾きを有する面は曲面で
もよい。但し、受け部22に溶融ガラス23が滞留する
時間が長いと、溶融ガラス表面の一部に比較的粘度の高
い部分が生じ、製造されるガラス塊の形状がいびつにな
り、球状化が困難になる。従って、ガラス受け部に設け
る傾きの角度、曲率、形状等を調整する事により、溶融
ガラス23が流出ノズル24から切断するとほぼ同時
に、凹部20内へ溶融ガラス塊が導入されるようにする
ことが好ましい。溶融ガラス塊の自重により、凹部内へ
自然に溶融ガラス塊が導入されるようにされるのがより
好ましい。このような構成とすることにより、複雑な装
置を用いることなく、受け部において形成された溶融ガ
ラス塊をすばやく自動的に、凹部へ導入することができ
るようになる。ガラス受け部の構造及び配置は、ガラス
受け部におけるガラスの滞留時間が5秒以下となるよう
にすることが好ましい。そのため、ガラス受け部は、凹
部開口の近傍に設けるまたは隣接して設けることが好ま
しい。ここで、凹部開口の近傍とは、ガラス流がガラス
受け部に接触してから5秒以下で凹部に溶融ガラス塊を
導入できる範囲を意味する。ガラス受け部が、凹部開口
の近傍ではあるが、凹部開口に隣接していない場合、ガ
ラス受け部と凹部開口との間に、溶融ガラス塊が受け部
から凹部開口に自然に移動し得る程度の傾きを持った通
路を設けることが好ましい。この場合にも、ガラス流が
ガラス受け部に接触してから溶融ガラス塊が凹部に導入
されるまでの時間は5秒以下となるように、通路の長さ
を考慮して、通路の傾きは決定される。
【0030】但し、このように凹部を有する装置の凹部
開口の近傍または隣接して凹部に向かって傾きを持った
受け部は、傾きが大きすぎるなどの場合、流出した溶融
ガラスがガラス受け部にたまらずに、凹部の方へ流れて
しまったり、流れぎみとなったり、という恐れがある。
このような場合にはガラス塊の重量が変動しやすくなる
ので、ガラス受け部の形状や、ガラス融液を受ける位置
を最適に調整することが好ましい。また、溶融ガラス流
がガラス受け部に接触した後、溶融ガラス流が切断され
ない速度で、流出ノズルと受け部の間の相対的な距離を
広げながら、溶融ガラスをガラス受け部上に流出、載置
する事によって、ガラス受け部から凹部への溶融ガラス
の流出を抑制する事もできる。これは、例えば、溶融ガ
ラス流の流出中に、溶融ガラス流が切断されない速度
で、流出ノズルを上方に移動させるか、または受け部を
下方に移動させることにより行うことができる。この方
法は、受け部との接触面積を少なくできるとともに、滞
留中の融液の扁平化を防止できる(特に、球成形に有利
である)という観点から好ましい。この場合も、所望の
重量の溶融ガラスが得られた所で、溶融ガラス流を流出
ノズルから切断し、溶融ガラス塊を形成することができ
る。溶融ガラス流の切断は、例えば、溶融ガラスが切断
されるのに十分な速度で、流出ノズルを上方に移動させ
るか、または受け部を下方に移動させることにより行う
ことができる。
【0031】本発明の方法は、溶融ガラス塊を浮上中に
所望の形状、例えば、球状化することもできる。溶融ガ
ラス塊の球状化は、例えば後述するように図5に示すよ
うに、気流の吹き出しを、凹部の中心から一定の角度を
持たせた方向に行うことで、ガラス塊を回転(自転)さ
せることにより可能である。気流の吹き出し量(速度)
と吹き出し角度とを変化させることで、溶融ガラス塊の
粘度に応じて、球状化に必要な時間を適宜変化させるこ
とができる。あるいは、後述する図12に示すように、
一部が欠けたリング状の板状の部材15を、部材6と凹部
を有する部材の凹部の周囲の間に挟み込み、リングの欠
けている部分に相当する凹部の周囲のみから気流を噴射
するようにして、溶融ガラス塊の球状化を行うこともで
きる。この場合、凹部にあるガラス塊は、図のA部分に
多少寄った形で安定して浮上し、型の内面に沿ってBか
らA方向に向かう気流がガラス塊の下部に潜り込むこと
により、安定した回転が得られる。球状のガラス塊は、
成形型を用いたレンズ成形などの際に下型の成形面の中
心に配置することが容易であり、好ましい。
【0032】本発明では、溶融ガラス塊以外に、常温の
ガラス塊(例えばプリフォーム)を再加熱し、軟化させ
たものを球状化することもできる。この場合、常温のガ
ラス塊を浮上中に加熱して軟化させることもでき、ま
た、予め加熱軟化させたガラス塊を装置に供給し、浮上
させながら球状化することもできる。例えば、上述のよ
うに、気流の吹き出しを、凹部の中心から一定の角度を
持たせた方向に行うことで、ガラス塊を回転(自転)さ
せることにより球状化することができる。気流の吹き出
し量(速度)と吹き出し角度とを変化させることで、溶
融ガラス塊の粘度に応じて、球状化に必要な時間を適宜
変化させることができる。浮上させて球状化を行い、冷
却してガラス塊を取り出すこともできる。又、冷却を行
わずにプレス工程へ移行することも可能である。
【0033】ガラス塊の浮上には、ガラス塊を気流の作
用により浮上保持するための凹部、及び前記凹部の内面
の一部又は全部に沿って、前記凹部の開口側から底部に
向って気体を供給してガラス塊浮上用の気流を生成させ
るための気体供給口を有することを特徴とするガラス塊
の浮上または製造装置(本発明の装置)を用いることがで
きる。
【0034】本発明の方法及び製造方法に使用される、
ガラス塊等をその上に浮上保持するための凹部を有する
装置としては、本発明の浮上または製造装置を用いるこ
とができる。以下、本発明の浮上または製造装置につい
て概説する。尚、以下の説明では、浮上または製造装置
のことを、単に浮上装置ということがある。図1は、本
発明の浮上装置1の断面図及びその一部拡大図(右下)で
ある。また図2は、上部が本発明の浮上装置1の上方か
らの図であり、下部が本発明の浮上装置1の断面図及び
その一部拡大図(右下)である。図1及び2に示す本発明
の浮上装置1は、ガラス塊を気流の作用により浮上保持
するための凹部2、及び凹部2の開口端付近に設けら
れ、凹部2の底部に向かって気体を供給してガラス塊浮
上用の気流を生成させるための気体供給口3を有する。
気体供給口3から凹部底へ向かって気体を供給すること
で、層状の気流が凹部2の内面に沿って生じる。凹部2
とガラス塊との間に凹部開口側から凹部底側に向かう気
流の層が存在する事により、ガラス塊は凹部とは非接触
に保持される。また、凹部内面とガラス塊との間に気流
が存在することで、ガラス塊を凹部に置いた直後の初期
の浮上状態や、凹部に対して十分小さなガラス塊の浮上
状態も安定に保つ事ができる。
【0035】図2に示されるように、凹部底側に集まっ
てきた層状の気流は互いにぶつかり合い、上昇気流を発
生する。この上昇気流は、ガラス塊を浮上させるのに寄
与し、浮上量を高くする事ができる。また、この上昇気
流は気体の衝突による乱れた上昇気流であるため、気体
の流速を上げた状態でもガラス塊に窪みや凹み等の欠陥
を生じにくい。本発明の方法及び装置では、ガラス塊に
向かって直接気体の噴射を行なわなくても良いので、ガ
ラス塊など変形しやすい物の場合、窪みや凹みなどの欠
陥が生じにくい。
【0036】また、本発明のガラス塊等の製造方法にお
いては、気流を凹部開口側から凹部底側に向かわせるた
め、ガラス塊に窪みや凹みを生じさせることなく、ガラ
ス塊の浮上量及び気体の流量を大きくできる。そのた
め、良好な非接触状態を保つ事ができ、溶融ガラス塊や
軟化したガラス塊から発生する揮発性の物質が凹部とガ
ラス塊の間に滞留したり、型に付着した揮発性物質が再
付着する事が無い。その結果、従来製造が困難であった
流下温度域で成分揮発が多いガラス素材や結晶化傾向の
強いガラス、例えば液相温度の高いガラス素材であって
も、良質なガラス塊を容易に製造する事が可能である。
【0037】図3及び4は、上部が本発明の浮上装置1
の上方からの図であり、下部が本発明の浮上装置1の断
面図及びその一部拡大図(右下)である。図3に示すよう
に、凹部の開口側より底側に向かう気流は、凹部開口側
近傍に、フィルム状(層状)に気体を噴射できる気体噴
射口4等の気体供給手段を配置し、成形型内面2に沿う
よう下方向に気体を噴射することにより発生させること
ができる。この場合、凹部内面に沿った層状の気流が形
成できる。又、気体供給手段は、図2に示すように、気
体噴射口の形状が線状のものが使用できるが、複数の気
体供給手段を破線状に並べたものや、点を線上に並べた
ものなど実質的に層(フィルム)状に気体を噴射できるも
のであれば良い。図3及び4に示すように、気体供給手
段の先端をリング状とし、スリット状の噴射口4から凹
部内面に凹部の全周より気体を噴射する方法が更に好ま
しい。
【0038】尚、図4に示すように噴射口4を凹部内面
に突き出すように設置することで、気流を凹部の底側に
確実にもぐり込ませることができ、ガラス塊12の浮上
をより確実にすることができる。また、気体供給手段で
あるスリット状の噴射口4の位置や断面形状、更には、
は、凹部内面の断面形状は、図4に示す以外に図6〜9
に示すような変形が可能である。尚、図6〜10は、い
ずれも本発明の浮上装置1の断面図である。凹部内面2
の断面形状は、図4及び6に示すように半球状、図7に
示すように円筒状、図8及び9に示すように円錐状等で
あることができる。但し、図8に示す円錐は、円錐の頂
上(凹部の底部)が平らであり、図9に示す円錐は、円
錐の頂上(凹部の底部)が半球状である。また、図示し
ていないが、図7に示す円筒状の凹部の底部の形状も、
半球状等であることもできる。図1〜3に示すように、
気体供給口3の位置は、開口端付近であるか、図4に示
すように、凹部内面の開口端と底部との中間であること
ができる。あるいは、図6〜9に示すように、気体供給
口4の位置は、開口端と底部との間ではあるが、凹部の
底部に近い位置であることもできる。また、図10に示
すように、凹部内面2の開口端と底部との中間に窒素ガ
ス等の気流の供給ハ゜イフ゜を通し、供給ハ゜イフ゜の凹部内面2
の端部に、気流を凹部の底部に向ける部材6を設けて気
体供給口4を形成することもできる。
【0039】一方、気体供給手段と凹部は、互いの相対
位置を調整後に固定することが望ましい。これは相対位
置が変化すると、安定した浮上状態が得られなくなるか
らである。凹部を有する部材と気体供給手段が、機械的
に一体化されているか、一体に成形されていると更に好
ましい。溶融ガラスを凹部に受けてガラス塊を製造する
場合、ノズルから次々に流出する溶融ガラスを連続的に
受けて成形するため、成形型は移動テーブル上に乗せら
れることが多いが、型の凹部と気体供給手段を一体化す
ることで、型の移動に合わせて気体供給手段を移動させ
る必要もなくなる。
【0040】なお、本発明のガラス塊の浮上または製造
装置においては、ガラス塊を取り出す為や装置の清掃を
容易にする為等の目的で、必要に応じてこの浮上または
製造装置を複数に分割可能に形成しても良い。この場
合、例えば、浮上状態で保持したガラス塊を、装置を分
割する事により装置下部より取出し、成形装置に移す場
合などに使用できる。
【0041】また、本発明の方法において、凹部周辺よ
り凹部の中心に向かって複数の気流供給口から等量の気
体を供給する場合のみならず、複数の気流供給口からの
気流供給量を、各供給口について変化させることによ
り、ガラス塊の保持状態、回転状態、形状などを制御す
る事もできる。このように、ガラス塊を回転しながら浮
上保持することで、溶融ガラス塊や軟化したガラス塊を
球状化することができる。気体を供給する位置は、凹部
の周囲における位置、凹部の深さ方向における位置とも
に必要に応じて、調整、選択する事ができる。
【0042】流速バランスの崩しすぎは型外へのガラス
融液の飛び出しにつながるが、適当にバランスを微調整
すると、任意の位置にガラス融液を安定浮上させること
ができる。特に型の容積に対しガラス融液が小さい場合
には、型の一定位置にガラス塊を浮上させ、ランダムに
回転させることが可能となる。更にガス流速を上げてゆ
くと、ガラス融液には公転運動が加わる。よって、これ
らの回転運動(自転)により、球状のガラスを成形する
ことができる。但し、ガラス融液の容量増大にともな
い、球状プリフォームの成形は技術的に困難となる。こ
れは、成形中にガラス融液の内部外部で温度差が大きく
なること、そして滴下時においてガラス融液の下部が浮
上ガスで冷やされ、部分的に硬い部分ができるためであ
る。そこで大容量の球状プリフォームに関しては、再加
熱による成形方法が実用的である。つまり、浮上させな
がら再加熱することで、球状でないガラス塊を球状化す
ることができる。ガラス融液を直接成形する方法では、
ガス流量を大きくすると、低粘性であるためガラス表面
に折れ込み等の表面欠陥を生じやすい。しかし再加熱で
はガラス粘度を成形に最適化できるため、表面欠陥を生
じることがない。なお再加熱時のガラスの粘性は、102
〜105ポアズの範囲が好ましい。また浮上ガスによる部
分的な温度低下を避けるため、球状化過程では浮上ガス
を加熱することが好ましい。
【0043】尚、多種多様なレンズの製造のために、大
型で球状のプリフォームを安価に提供する事が望まれて
いる。従来はこのようなプリフォームの作製は冷間加工
で行っておりコスト高であった。大型のゴブ状プリフォ
ームは、上面が扁平化したものしか得られないため、曲
率が小さいレンズのプレス成形には適さない。よってこ
のようなレンズの成形には、大型の球プリフォームが有
効である。また曲率が大きい下型にプリフォームを落下
させてレンズを製造する場合にも、球状プリフォームは
型の中心に自然に移動するため好ましい。しかも、球状
のプリフォームは特定の方向を有しないため、移送、洗
浄等の際の取り扱いが容易であると共に、これらに関わ
る装置が簡単なものですむという利点がある。
【0044】気体を供給する向きは、凹部内面に凹部開
口側から凹部底部に向かう気流を生じる向きであればよ
く、必ずしも凹部中央底部方向に真下に向けて気体を供
給する必要はないが、凹部の底側で気流の同士の衝突が
有効に生じるように供給するのが、安定的に保持すると
いう観点からは好ましい。また、気流同士の衝突は、必
ずしも凹部底部中央である必要はなく、ガラス塊の浮上
の安定性や回転状態を考慮して調整すればよい。図5
(b)に示すように、気流を供給する向きを選択する事
により、凹部底側でサイクロン状の渦を巻かせるように
する事もできる。この場合、安定した浮上状態が得ら
れ、ガラス塊を回転させる効果もあるので、球状のガラ
ス塊を製造する際に有用である。
【0045】凹部に供給する気体は、凹部の周囲から均
一に供給する事もできるが、供給する気流のバランスを
崩すこともできる。気流のバランスを調整することによ
り、大型のガラス塊を安定して回転させる事ができる。
これは、例えば、凹部の周囲の位置によって供給する気
流発生用の気体の量を変化させるか、また凹部の周囲の
一部のみから気流発生用の気体を供給することにより行
うことができる。例えば、凹部の周囲の2割〜4割程度を
占める連続した部分から気流を噴出し、残りの部分につ
いては、ほとんど気流を噴射しないか、全く噴射しない
ようにすることができる。例えば、図4に示すように、
スリット状の気体噴射口4が凹部の周囲全体に備えられ
ている場合には、ステンレス板等の板状の部材6と、凹
部を有する部材との間の気体の通路の一部に、板状の部
材を挟み込む事によって、その部分における気体の流通
を遮断し、凹部の周囲の一部のみから気流を噴射するよ
うにすることができる。
【0046】あるいは、図12に示すように、一部が欠
けたリング状の板状の部材15を、部材6と凹部を有する
部材の凹部の周囲の間に挟み込み、リングの欠けている
部分に相当する凹部の周囲のみから気流を噴射させるこ
とができる。この時、凹部にあるガラス塊は、図のA部
分に多少寄った形で安定して浮上し、型の内面に沿って
BからA方向に向かう気流がガラス塊の下部に潜り込むこ
とにより、安定した回転を付与される。このような構成
は、大型のガラスを回転、球状化させる際に有用であ
る。この場合、周囲から均一に気体を噴射した時に比較
して、気流同士の衝突は起こりにくくなるが、型とガラ
ス塊の間には気流が流れているため、型との非接触状態
を保つ事ができる。また、気流を噴射しないA側では、
図に示すようにBからA方向に流れる気流が型の内面及
び、気体供給口を形成しているスリット部分の内周を通
って、上方に抜けるので、この部分においても型とガラ
ス塊の間に気流の層が存在し、ガラス塊がA側に寄って
いてもこの部分で型とガラス塊が接触する事がない。な
お、凹部の開口周縁部の一部のみから気体を供給する場
合、必要に応じて、浮上中に気体が供給される凹部開口
周縁部の位置を変化させるようにしても良い。
【0047】本発明のガラス塊の浮上または製造装置に
おける凹部の形状は、ガラス塊の形状、製造するガラス
塊の形状などに応じて、適宜選択する事ができる。例え
ば、上述のように、図4及び6に示すように半球状、図
7に示すように円筒状、図8及び9に示すように円錐状
等であることができる。但し、図8に示す円錐は、円錐
の頂上(凹部の底部)が平らであり、図9に示す円錐
は、円錐の頂上(凹部の底部)が半球状である。また、
図示していないが、図7に示す円筒状の凹部の底部の形
状も、半球状等であることもできる。但し、凹部の形状
は、ガラス塊を凹部に浮上保持できる形状であれば良い
が、製造するガラス塊に近似した形状であるのが、ガラ
ス塊を安定して浮上又は回転させる観点から好ましい。
本発明のガラス塊の浮上または製造装置は、ガラス塊を
浮上させながら製造、成形、処理、移送する際等に使用
できる。本発明の浮上または製造装置は凹部内面に細孔
が無くても良い簡単な構造が可能である。このため、製
造コストが安く済み、洗浄が容易で、目詰まり、目つぶ
れなどの心配が無い。また、ガラス塊等を浮上させるた
めに高圧を必要としない。さらに、ガラス塊等との非接
触状態が良好に保てるので、ガラス塊との接触による破
損なども生じない。従って、本発明のガラス塊等の製造
装置を用いれば、低コストで装置の寿命を長く保つ事が
できる。
【0048】また、本発明のガラス塊の浮上または製造
装置は、浮上または製造装置の凹部に、気流吹き出し用
の細孔を設けることもできる。この場合、気体供給口か
らの気流と凹部に設けた気流吹き出し用の細孔とからの
気流を併用して、ガラス塊を浮上させることができる。
気体供給口からの気流を併用することで、凹部に設けた
気流吹き出し用の細孔とからの気流の量を低減でき、凹
部に設けた気流吹き出し用の細孔とからの気流のみを用
いた場合に生じる問題、例えば、ガラス塊表面への窪み
の生成等、を回避することができる。また、本発明のガ
ラス塊の浮上または製造装置は、凹部の全部または一部
を多孔質からなる材料で形成し、多孔質材料から気体を
噴出させるとともに、前記凹部の内面に沿って、前記凹
部の開口端周辺近傍の全部又は一部から底部に向って気
体を供給するようにする事もできる。また、凹部の内面
に細孔を設け、そこから凹部開口側に噴出する気体と併
用することもできる。これにより、大型のガラス塊を安
定して浮上、回転して成形することができる。
【0049】本発明のガラス塊の浮上または製造装置が
有する凹部には、細孔がなくても良い。その為、直接こ
の浮上または製造装置をプレス成形用の成形型として使
用する事もできる。例えば、ガラス塊を凹部に保持した
浮上または製造装置を下型として、このガラス塊を所定
形状の成形面を備えた上型でプレスする事により、所定
形状のガラス塊を製造する事ができる。また、溶融ガラ
スを本発明の浮上または製造装置で受け、プレス成形可
能な温度にまでこの型上で冷却した後、所定形状の成形
面を備えた上型でプレスする事ができる。即ち、本発明
は、本発明の浮上または製造装置を、成形面を有する下
型(この成形面がガラス塊を保持する為の凹部に相当す
る)とし、下型の成形面に対向する位置に成形面を有す
る上型を用い、軟化ガラス塊をプレス成形する成形ガラ
スの製造方法を包含する。この方法は、ガラス塊を前記
気流により浮上させながらプレス成形に適した温度に調
整する工程、及び前記ガラス塊をプレス成形する工程を
含む。プレス成形に適した温度は、ガラスの種類やガラ
ス塊の大きさ、プレス圧力等を考慮して適宜決定するこ
とができる。また、プレス成形の条件も適宜決定でき
る。また、上型及び下型を含む成形装置やその材質等は
公知の装置と同様にすることができる。
【0050】本発明の方法で溶融ガラスから得られたガ
ラス塊は、プレス成形用のプリフォームとして用いるこ
とができる。プレス成形は、通常行われる方法が使用で
きる。例えば、本発明の方法で製造されたガラス塊はプ
レス成形装置へと移送される。プレス成形装置は製造さ
れる成形ガラスの形状に相応する成形面を対向する位置
に有する上型及び下型を有するものであることができ
る。ガラス塊は通常下型へと移送され、ガラス塊の粘度
が106〜1010ポイズ、好ましくは108ポイズオーダーにな
る温度に加熱され、上型及び下型間で押圧されて所望の
形状に成形される。冷却された成形ガラスは、洗浄、ア
ニールされガラス製品となる。なお、ガラス塊の粘度が
もっと低い範囲でのプレス成形も勿論可能である。
【0051】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を用いて
説明する。 (実施例1)図1は上端が溶融ガラス槽に取り付けられ
た貴金属製流出ノズル10付近の図面である。流出ノズ
ル10は図示しないヒーターで加熱されており、ノズル
に溶接した熱電対と温度制御装置によりガラスが流出可
能な温度域(ガラスの粘性で3〜50ポアズ)に温度制御さ
れている。後述する型の凹部で流出した溶融ガラス11
を一定時間受けた後、型を降下させてガラスの流れを切
断し、ガラス流出位置から型と成形ガラスを退避させ
る。また型の退避と同時に別の型をガラス流出位置に配
置し、上記の成形操作を繰り返す。なお急激な温度低下
による成形ガラスの割れを防ぐため、成形型はヒーター
でガラス転移温度付近まで予備加熱しておき、成形後は
ゆっくりとガラスを冷却する。
【0052】以下に成形型1について図2を用いて詳し
く説明する。耐熱ステンレス鋼を直径40mm、長さ40mmの
円柱状に機械加工し、その上端に深さ7mmで底部のアー
ルが4mmの凹部を加工した。なお凹部2の内面は鏡面仕
上とし、酸化防止のために厚み8μmの金をコートした。
次に気体の噴射ノズル3について説明する。外径2mmで
管の厚みが0.3mmの銅パイプ先端部をつぶし、 200μmの
スリット状の噴射口を持つ幅3mmの噴射ノズルを作製し
た。この噴射ノズル8個を上記の凹部外周に均等に配置
し、ノズル先端を下向きに曲げ、噴射気体が凹部内面に
沿って下方向に層状に流れるように調整し固定した。な
お窒素などの不活性気体をノズルから噴射することで、
ガラスの完全な浮上状態が得られる。完全な浮上に必要
な流量は溶融ガラスの重量により変化するが、1グラム
程度のガラスであれば、合計量で毎分7.5リットル以
上流せば、完全な浮上状態が得られる。流量バランスの
関係で、安定した浮上状態が得られない場合には、各ノ
ズルごとの気体流量を微調整すれば良い。
【0053】(実施例2)溶融ガラスの成形法は実施例
1と同様なので、実施例1と異なる型構造のみ図3を用
いて説明する。実施例1と同様なステンレス型1の上面
に、直径が30mmで深さ300μmの一段低い平面部を加工し
た。次に凹部を囲む形で、一段低い部分に直径3mmの穴
5を8個均等に貫通させた。次に外径40mm、厚み約1mm
で中心部に型の凹部より僅かに小さい穴が開いており、
穴の縁部が斜め下方向に1mm突出しているステンレス板
6を加工した。このステンレス板6の穴の中心と成形型
の凹部の中心を合わせた後、両者を図のように一体化し
た。一体化した状態で直径3mmの穴5からガスを流すこ
とで、型の凹部上端から底部中央に向かう層状の気流を
発生させることができる。つまり型上部に一体化したス
テンレス板6の端部4が、実質的に気体の噴射ノズルと
して働く。
【0054】(実施例3)基本的な構造は実施例2と同
様であるが、型の凹部形状のみが異なる実施例について
図4を用いて説明する。図4のように、型の凹部の深さは
7.4mmで、底部はアール4.4mmの球面となっている。ま
た底部から2.5mm以上はラッパ状に口が広がっており、
広がり角度は約50°である。また型上面の板状のノズル
先端4’は3mm突き出ており、実施例1、2よりも突き
出し量が大きい。本成形型を使用し、型内面に毎分9.
5リットルの下向きの窒素気流を発生させ、980mgの溶
融ガラス塊12を型中央に滴下した。その結果、溶融ガ
ラス塊12は成形型の凹部内で浮上しながら回転し、ほ
ぼ球状のガラス塊が得られた。以上のように、型凹部の
内面に下向きに層状の気流を発生させることで、型とガ
ラスの接触を完全に防止できるとともに、型凹みの形状
とノズル先端4’の位置を最適化することで、溶融ガラ
スを回転させることが可能となり、球状のガラスを成形
することもできる。
【0055】(実施例4)実施例2と同様の成形型をヒータ
ーで400℃に余熱しておき、720℃に加熱した窒素ガスを
毎分13リットル流した。次に、実施例1で作製したガラ
スゴブを型の凹みに投入した。ガラスゴブはランダムに
回転しながら浮上状態を保ち、約6分で球状化した。次
に窒素ガス温度を下げながらガラス塊を浮上冷却したと
ころ、固化した球状のガラスが得られた。
【0056】(実施例5)直径12mmで厚みが5mmのネジ穴
付きステンレス円板を用意し、片面を研磨仕上げした。
この研磨表面に金を8μmコート後、プレス用の軸をネジ
固定しガラスゴブのプレス用平面型とした。このプレス
用平面型を浮上成形装置のエアシリンダ部に装着し、ガ
ラスゴブを加圧可能とした。次に、実施例1の方法でガ
ラスゴブを成形し、ガラスゴブが580℃に達した時、430
℃の平面型でガラスゴブを20秒間加圧した。次に平面型
からプレス品を離型後、室温まで冷却した。プレス品は
片面がアール約4mmの球面で、もう片面が平面に成形さ
れていた。
【0057】(実施例6)図11はガラス融液を型上面の
外周で受け、球状のガラスを成形する実施例の説明図で
ある。以下に成形型の製造法について図で説明する。図
のように、耐熱ステンレス綱を直径40mm、長さ40mmの
円柱状に機械加工し、その上端部に深さ7.9mmで、底部
アールが4.8mmで、スロープの開き角度が80°の凹部を
加工した。凹部の内面は鏡面仕上げし、酸化防止のため
10μmのNiメッキを施した。更に、凹部の外周は最外周
より0.5mm低くなるよう研削加工し、円柱の底部側から
貫通する直径1.5mmの穴を一段低い部分に8個形成した。
一方、耐熱ステンレス綱で直径が40mm、厚みが3.5mmで
下側に4.8mm突き出した構造の気体噴射ノズルに加工し
た。図のように、本ノズルの突き出し部のテーパーは凹
部のテーパー部に係合するよう同じ開き角とした。また
中央には開き角15°の貫通穴を形成し、穴上面の角部に
6mmのアールを形成した。図のように、気体噴射ノズル
の下側先端の断面は刃物状に加工されている。上記の円
柱状部品と同様に、気体噴射ノズルの上面と内側面は鏡
面研磨仕上げし、酸化防止のため10μmのNiメッキを施
した。
【0058】上記二つの部品を組み合わせ、以下のよう
にガラス球の成形型を組み立てた。図11の拡大図に示す
ように、二つの部品の中心位置をずらしてネジ固定し
た。拡大図において右側は気体噴射ノズルの隙間が100
μmとし、左側を10μm以下とした。このように気体噴射
ノズルの隙間をアンバランスに調整するとノズルからの
気体噴射流量に大きな差が生じ、ガラス融液を効率よく
回転させる一方向の気流を発生させることができる。つ
まり球成形に限っては、ほぼ一方向の気流の方が融液の
回転能力が高く望ましい。気流のバランスが崩れると成
形体が窪みから飛び出す現象が起こりやすい。しかし対
向する気流が全く無い場合でも、気体噴射ノズルの隙間
を200μm以下にし、かつノズルから噴出気体流量を少な
くることで成形体の飛び出しを防止することは可能であ
る。次にガラス球の成形操作について説明する。
【0059】回転テーブルの外周上に複数個設置した球
成形型のうち一つを、ガラスが流出している白金合金製
の流出ノズルの下に設置し、型上面凹部の外周でガラス
融液23を受けた。ガラス融液が一定重量溜まった段階
で成形型を降下し図11(b)のようにガラス融液を凹部
に落下させた。このとき白金合金ノズル24の中心は、
型上面の平坦部とアール部の境界付近に設置することが
望ましい。このような設置状態とした場合、型の降下と
同時にガラス融液をスムーズに型の凹部20に落下させ
ることができる。型の降下後に速やかに回転テーブルを
回転させ成形型をノズル位置から退避させるとともに、
別の成形型をノズル下部に移動させ、連続的に球成形を
行った。
【0060】図11(b)のように、型の底面には一方向
の層状気流が流れており、落下したガラス融液23はこ
の気流に乗って高速回転する。噴出流量の最適値は噴射
ノズルの隙間の大きさによって異なるが、隙間が80〜10
0μmの場合には0.8〜2.0L/分と少ない流量で球を成形
することができる。落下直後のガラス融液23′は図11
(c)のようにいびつであるが、ガラスが方向を変えな
がら高速回転することで、図11(d)のように非常に真
球度の良い球ガラス23″となる。なお本成形型の底面
アール(曲率半径)は4.8mmなので、直径が9.3mmの球ま
で成形可能であった。このとき球直径の長短径差は100
μm以下であり、ガラスモールドレンズのプリフォーム
として充分な真球度であった。また連続成形した2000個
の球状ガラスの重量変動を調査した結果、1250mgの目標
重量に対し±10mgの範囲に入っていた。
【0061】
【発明の効果】本発明のガラス塊の浮上方法、ガラス塊
または球状ガラス塊の製造方法、及び成形ガラスの製造
方法によれば、ガラス塊等の安定した浮上状態が保て、
高い浮上量が実現できる為、ガラス塊と凹部内面を完全
な非接触状態に維持する事が可能になる。そのため、従
来製造が困難であった流下温度域で成分揮発が多いガラ
ス素材や結晶化傾向の強いガラス素材においても良質な
ガラス塊を容易に製造する事ができる。また、本発明の
ガラス塊の製造方法によれば、ガラス塊に直接的に気体
を噴射する必要が無い為、ガラス塊に凹み、窪み等を生
じる事が無く、表面状態の良好なガラス塊を製造する事
が可能である。さらに、本発明のガラス塊の浮上または
製造装置は凹部内面に細孔が無くても良い簡単な構造で
あり、装置の製造コストが安く済み、洗浄が容易で、目
詰まり、目つぶれなどの心配が無い。また高圧を必要と
しなくともガラス塊との非接触状態が良好に保てるの
で、ガラス塊と凹部の接触による破損なども生じない。
本発明の浮上または製造装置をガラス塊の製造に用いれ
ば、低コストでガラス塊を製造でき、装置の寿命を長く
保つ事ができる。また、本発明のガラス塊の浮上または
製造装置は、凹部内面に細孔が無くても良い為、直接プ
レス成形型としても利用する事ができ、ガラス塊等の製
造工程を簡略化する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のガラス塊の浮上または製造装置の概
略図。
【図2】 本発明のガラス塊の浮上または製造装置の概
略図。
【図3】 本発明のガラス塊の浮上または製造装置の概
略図。
【図4】 本発明のガラス塊の浮上または製造装置の概
略図。
【図5】 本発明のガラス塊の浮上または製造装置の概
略図。
【図6】 本発明のガラス塊の浮上または製造装置の概
略図。
【図7】 本発明のガラス塊の浮上または製造装置の概
略図。
【図8】 本発明のガラス塊の浮上または製造装置の概
略図。
【図9】 本発明のガラス塊の浮上または製造装置の概
略図。
【図10】 本発明のガラス塊の浮上または製造装置の
概略図。
【図11】 本発明のガラス塊の浮上または製造装置の
概略図。
【図12】 本発明のガラス塊の浮上または製造装置の
概略図。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス塊を浮上保持するための凹部を有
    する装置を用いて気流によりガラス塊を浮上させる方法
    であって、前記気流は、前記凹部の内面の一部又は全部
    に沿って、前記凹部の開口側から底部に向うものである
    ことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記気流が、前記凹部の開口端または前
    記開口端と底部との間の内面に設けられた気流供給口か
    ら流出する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記ガラス塊が溶融ガラス塊又は軟化ガ
    ラス塊である請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 溶融ガラス塊を浮上保持するための凹部
    を有する装置を用いて気流により溶融ガラス塊を浮上さ
    せながら冷却してガラス塊を製造する方法であって、前
    記気流は、前記凹部の内面の一部又は全部に沿って、前
    記凹部の開口側から底部に向うものであることを特徴と
    する方法。
  5. 【請求項5】 前記溶融ガラス塊が、溶融ガラス流出ノ
    ズルから流出した溶融ガラスを、前記凹部上において前
    記気流により浮上させながら形成されたものである、請
    求項4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 溶融ガラス流出ノズルから流出する溶融
    ガラスを前記凹部の外部に設けられたガラス受け部に受
    け、ガラス受け部上に受けた溶融ガラスを流出ノズルか
    ら切断して溶融ガラス塊とし、この溶融ガラス塊を凹部
    に導入する請求項4に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ガラス受け部は、凹部を有する装置
    上の凹部の開口に隣接して設けられている請求項6に記
    載の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記溶融ガラスの流出ノズルからの切断
    を、前記ガラス受け部を下方に移動させるか、または前
    記溶融ガラス流出ノズルを上方に移動させることで行う
    請求項6又は7に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 溶融ガラス塊を浮上中に球状化する請求
    項4〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 ガラス塊を浮上保持するための凹部を
    有する装置を用いて気流により軟化したガラス塊を浮上
    させながら球状化する、球状ガラス塊の製造方法であっ
    て、前記気流は、前記凹部の内面の一部又は全部に沿っ
    て、前記凹部の開口側から底部に向うものであることを
    特徴とする方法。
  11. 【請求項11】 請求項4〜10のいずれか1項に記載
    の方法により得られたガラス塊を、対向する位置に成形
    面を有する上型及び下型を用いてプレス成形することを
    特徴とする成形ガラスの製造方法。
  12. 【請求項12】 対向する位置に成形面を有する上型及
    び下型を用いて軟化ガラス塊をプレス成形する成形ガラ
    スの製造方法であって、前記下型の凹状成形面の一部又
    は全部に沿って、前記下型の開口側から底部に向う気流
    によりガラス塊を浮上させながらプレス成形に適した温
    度に調整する工程、及び前記ガラス塊をプレス成形する
    工程を含む方法。
  13. 【請求項13】102〜1010ポイズの粘度のガラス塊をプ
    レス成形する請求項11又は12に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記気流が、前記下型の開口端または
    前記開口端と底部との間の内面に設けられた気流供給口
    から供給される請求項4〜13のいずれか1項に記載の
    方法。
  15. 【請求項15】 ガラス塊を構成するガラスの液相温度
    が900℃以上である請求項4〜14のいずれか1項に記
    載の製造方法。
  16. 【請求項16】 ガラス塊を気流の作用により浮上保持
    するための凹部、及び前記凹部の内面の一部又は全部に
    沿って、前記凹部の開口側から底部に向うガラス塊浮上
    用の気流を生成させるための気体供給口を有することを
    特徴とするガラス塊の浮上または製造装置。
  17. 【請求項17】 前記ガラス塊が溶融ガラス塊または軟
    化ガラスである請求項16に記載の装置。
  18. 【請求項18】 溶融ガラス塊を気流の作用により浮上
    保持するための凹部、及び前記凹部の内面の一部又は全
    部に沿って、前記凹部の開口側から底部に向うガラス塊
    浮上用の気流を生成させるための気体供給口を有し、か
    つ溶融ガラス流出ノズルからの溶融ガラスを載置して溶
    融ガラス塊とし、この溶融ガラスを前記凹部に導入する
    ためのガラス受け部を、前記凹部の開口に隣接して有す
    ることを特徴とするガラス塊の製造装置。
  19. 【請求項19】 前記気流供給口が、前記凹部の開口端
    または前記開口端と底部との間の内面に設けられている
    請求項16〜18のいずれか一項に記載の装置。
  20. 【請求項20】 前記凹部の内面がプレス成形型の成形
    面である請求項16〜19のいずれか1項に記載の装
    置。
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