JP2001187753A - 含酸素炭化水素合成プラント - Google Patents

含酸素炭化水素合成プラント

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JP2001187753A
JP2001187753A JP37517399A JP37517399A JP2001187753A JP 2001187753 A JP2001187753 A JP 2001187753A JP 37517399 A JP37517399 A JP 37517399A JP 37517399 A JP37517399 A JP 37517399A JP 2001187753 A JP2001187753 A JP 2001187753A
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solvent
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reaction
reactor
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Kenji Ide
健志 出
Keijiro Yamashita
慶次郎 山下
Keiji Murata
圭治 村田
Hiroko Onoda
裕子 小野田
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応熱除去が容易で原料ガスの拡散性に優
れ、高いパーパス収率と空時収量が達成できるととも
に、触媒の劣化を効果的に抑制でき、含酸素炭化水素を
溶媒から効率良く分離可能な含酸素炭化水素合成プラン
トを提供する。 【解決手段】 ガス圧縮機1、トリクルベット型反応器
2、高温高圧気液分離器3、低温高圧気液分離器4、高
温低圧気液分離器5、低温低圧気液分離器6、精留装置
7を有し、これらの各機器を接続する配管に、熱交換器
11,12、冷却器13〜15、減圧弁16,17、流
量調整バルブ18〜20、ポンプ21を設ける。トリク
ルベット型反応器2の下部出口に多孔板8を設け、その
上方に粒状触媒9を収容する。多孔板8に、粒状触媒9
の粒径よりも小さい多数の孔を設ける。反応溶媒として
は、テトラグライム10を用い、その供給部分を、シャ
ワー構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタノール、ジメ
チルエーテル等の含酸素炭化水素を接触水素化方法によ
り合成する含酸素炭化水素合成プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、含酸素炭化水素の一種であるメ
タノールの工業的な合成方法としては、一酸化炭素また
は二酸化炭素と水素とを原料とし、所定の反応条件下で
触媒反応させる接触水素化方法が知られている。含酸素
炭化水素の一種であるジメチルエーテルの合成の場合、
メタノール合成触媒と脱水触媒を併用し、上記のメタノ
ール合成反応とメタノールの脱水縮合反応を組合わせる
方法が一般的である。ここで、これらの合成方法は、触
媒反応プロセスの相違から、原料を気相で反応させる気
相合成法と、原料を液相で反応させる液相合成法とに分
けられる。
【0003】[気相合成法]まず、気相合成法の一例
を、図7に示す。すなわち、ガス圧縮機1および熱交換
器11,203を介して、原料ガス及び未反応ガスから
成る合成ガス25が、反応器201における外部容器2
04の下部空間206に供給される。すると、合成ガス
25は、触媒充填部207における各二重管208の内
管208a内を上昇して上部空間205に到達した後、
上部空間205から各二重管208の内管208aと外
管208bとの間の環状流路を通過して下降し、この通
過中に粒状触媒9に接触しメタノール合成反応が生じ
る。
【0004】生成したメタノール34、水35、および
未反応ガス24は、各二重管208の外管208bの下
端部で集められ、排出ガスとして外部に排出される。合
成反応によって発生した反応熱は、各二重管208の外
管208bと外部容器204との空間209を流れる冷
却水によって除去される。反応器201から排出された
生成ガスと未反応ガス流24からなる排出流26は、熱
交換器11を介して分離器202に供給される。分離器
202においては、メタノール34及び水35が取り出
された後に残る未反応ガス流24を、その一部をパージ
ガス36として外部に排出した後、原料ガス22の供給
流路に戻す。
【0005】反応器201における具体的な合成方法と
しては、一酸化炭素と水素を原料ガスとするものに、亜
鉛−クロム系触媒を用いて反応させる高圧合成法と、銅
−亜鉛系触媒を用いて反応させる低圧合成法とがある。
また、二酸化炭素と水素とを原料ガスとするものに、銅
−亜鉛系触媒を用いて反応させる方法がある(特開平6
−178938号公報及び特開平5−168936号公
報等参照)。
【0006】[液相合成法]次に、液相合成法の一例を
図8に示す。すなわち、反応器221の外部容器222
内に、合成ガス供給部68を介して原料ガス及び未反応
ガスから成る合成ガス25が供給されると、粉末触媒が
分散した触媒縣濁液62内を通過し、この通過中にメタ
ノール合成反応が生じる。生成したメタノール34、水
35および未反応ガス流24などは、触媒縣濁液62を
通過した後、排出流26として反応器221の外部容器
222の上方から外部に排出される。
【0007】反応器221には、触媒縣濁液62が循環
する外部循環路223が設けられている。外部循環路2
23上には、冷却器224、サージタンク225及びポ
ンプ226が設けられている。メタノール合成反応によ
って発生した反応熱は、外部循環路223上の冷却器2
24で触媒縣濁液62を冷却する事によって除去され
る。
【0008】なお、反応器221における具体的な合成
反応としては、米国のエアプロダクツアンドケミカルズ
(Air Products and Chemica
ls)社により、H2/CO/CO2を原料ガスとするメ
タノール合成方法が提案されている(特公平6−601
12号公報及び特開平5−97732号公報等参照)。
また、三井東圧化学(株)では、一酸化炭素を含まない
2/CO2を原料ガスとするメタノール合成法を提案し
ている(特開平3−151337号公報、特開平3−2
58737号公報及び特許第2764114号公報等参
照)。
【0009】そして、日本鋼管(株)により、粉末メタ
ノール合成触媒と粉末脱水触媒を分散させた触媒縣濁液
62を用い、H2/CO/CO2を原料ガスとしてジメチ
ルエーテルを合成する方法が提案されている(特開平1
0−180083号公報及び特開平9−286754号
公報等参照)。
【0010】[改良型液相合成法]反応によって生成す
るメタノールと親和性の高い溶媒を用いて収率の向上を
ねらった液相メタノール合成法に関する研究も行われて
いる。これは、生成したメタノールを同時に溶媒中に溶
解させることで平衡を崩し、平衡値以上のパーパス収率
を得ようとするものである(“Continuous
Operationof the Berty Rea
ctor for the Solvent Meth
anol Process” in Ind. En
g. Chem. Res. 1991, 30, 1
413−1418)。
【0011】また、二酸化炭素を原料としたメタノール
合成法では、反応により目的成分であるメタノールが生
成すると同時に等モルの水が生成するが、液相プロセス
においては、この水の存在が、触媒上で熱力学的平衡の
妨げになる。そこで、反応温度(200〜250℃)程
度でも熱分解が起こらない極性の高いジエチレングリコ
ールジエチルエーテル等の親水性のエーテルを用いるこ
とによって、高いパーパスメタノール収率を得る研究が
行われている(特許第2713684号公報等参照)。
【0012】一方、工業技術院らは、メタノール水溶液
とほとんど溶解し合わないドデカン等を反応溶媒として
用い、反応容器から反応溶媒とメタノール水溶液を液体
で取り出す液相合成法を提案している。(“Effec
tive Liquid−Phase Methano
l Synthesis Utilizing Liq
uid−Liquid Separation” in
Energy Convers. Mgmt V
ol.36、 No.6−9, pp.581−58
4, 1995,特開平9−227423号,特公平7
−47554及び特開平7−53421号公報等参
照)。
【0013】また、米国のブルックヘブン(Brook
haven)国立研究所により、天然ガスの部分酸化法
により得られる合成ガスを原料とし、揮発性の液体触媒
を用いる低温液相反応によりメタノールを合成する方法
が開発されている。
【0014】さらに、気相合成法の優れた点を組み込ん
だ液相合成法として、トリクルベット型反応器を用いた
メタノールの合成方法がある。トリクルベット型反応器
では、固定床触媒上に溶媒として鉱物油を滴らせながら
原料ガスを供給する。溶媒が触媒上を滴り落ちる間に触
媒を冷却して反応熱を除去し、かつ触媒上への高級炭化
水素などの堆積を抑制する。反応は原料ガスが触媒に直
接接触しているため通常の気相合成法と同様の反応が起
こる(“Low H2/CO Ratio Synth
esis Gas Conversion to Me
thanolin a Trickle Bed Re
actor” in Ind. Eng. Chem.
Res. Vol.32, pp.2602−26
07,1993,“Methanol Synthes
is in a Trickle−Bed React
or” in AIChE Journal, Vo
l.36, No.7, pp.1054−106
0, July, 1990等参照)。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来の含酸素炭化水素合成プラントには、以下のよう
な問題点があった。
【0016】[気相合成法]気相合成法においては、含
酸素炭化水素合成の合成反応は発熱を伴うとともにモル
数が減少する平衡反応であり、化学平衡上低温高圧であ
るほど有利な反応であるので、反応を有利に進めるため
には、反応熱の除去を十分に行わなければならない。
【0017】しかし、気相合成法では、反応器201内
の触媒層での熱伝達率が低いために熱拡散効果が小さ
く、反応熱の除去を効率良く行うことができない。この
ため、原料ガスの急激な温度上昇を防止しようとすると
パーパス収率が低く抑えられてしまう。
【0018】また、少しでも熱拡散効果を高めるため
に、図7に示すように、反応器を熱交換型にすると、反
応器の構造が複雑で、大型化が難しく、コストが増大し
てしまう。さらに、気相合成法では、触媒の表面に付着
した高級炭化水素や炭素等が脱離しにくく、このため触
媒の被毒により触媒が劣化しやすいという問題がある。
【0019】[液相合成法]図8に示したような、液相
合成法を用いた含酸素炭化水素の合成方法においては、
触媒懸濁液62を介して反応熱を容易に除去できるが、
原料ガスの液体への溶解度および液体中での拡散係数が
小さいので反応が拡散律速となり、原料ガスが触媒縣濁
液62内に分散した粉末触媒の表面まで到達しにくく、
その結果反応速度が小さくなり、空時収量が低下してし
まうという問題がある。
【0020】[改良型液相合成法]含酸素炭化水素と親
和性の高い溶媒を使用することによってパーパス収率を
向上させることをねらった液相合成法の場合には、液相
合成プロセスを連続的に運転するために、溶媒を逐次反
応器から取り出し、溶媒に溶解した含酸素炭化水素を分
離する必要がある。しかし、含酸素炭化水素を効率良く
溶媒から分離する方法については提案されておらず、こ
のため、収率を大きく向上させるプロセスを構築するに
は至っていない。
【0021】また、工業技術院提案の液相合成法では、
反応温度(250℃程度)で生成したメタノール、水が
液相となる条件下でメタノールの合成を行う必要がある
ため、反応圧力(原料ガス分圧+メタノール蒸気圧+水
蒸気圧の和)は非常に高く、15MPa程度となる。こ
のため、原料ガスの圧縮動力は大きく、合成効率が低下
する。また、反応容器から取り出した溶媒とメタノール
水溶液を分離する方法として、温度を下げて溶媒とメタ
ノール水溶液とに液液分離する方法を採用しているた
め、分離された溶媒を再利用する際、反応温度まで加熱
しなければならず効率が良くない。
【0022】さらに、上述の2つの改良型の液相合成法
では、通常の液相合成法と同様、原料ガスの液体への溶
解度および液体中での拡散係数が小さいので、原料ガス
が触媒懸濁液内に分散した粉末触媒の表面まで到達しに
くく、その結果反応速度が小さくなり、空時収量が低下
してしまう抑えられてしまうという問題がある。
【0023】また、ブルックヘブン国立研究所の開発に
よる低温液相法は、反応プロセスにおける反応温度が1
20℃と極めて低いので、化学平衡上高いパーパス収率
が得られ、未反応ガスの再循環が不要となる可能性があ
る。しかし、微量の二酸化炭素または水等によって触媒
が失活するため、これらを原料ガスから完全に除去する
前処理工程が必要となり、原料精製コストがかさむとい
う問題がある。
【0024】また、気相合成法の利点を組み込んだ液相
合成法では、原理的に気相合成の平衡収率以上の収率は
得られない。そして、通常の液相合成法より反応速度が
速いとはいえ、触媒表面の鉱物油による濡れにより反応
面積が低下する分は、気相合成法より反応速度が遅く、
空時収量が低下してしまうという問題がある。
【0025】本発明は、以上のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
反応熱除去が容易で原料ガスの拡散性に優れ、高いパー
パス収率と空時収量が達成できるとともに、触媒の劣化
を効果的に抑制でき、含酸素炭化水素を溶媒から効率良
く分離可能な含酸素炭化水素合成プラントを提供するこ
とにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、酸化炭素と水素とを原料として含酸素炭
化水素を合成する含酸素炭化水素合成プラントにおい
て、以下のような技術的特徴を有する。
【0027】請求項1記載の発明の特徴は以下の通りで
ある。すなわち、触媒が充填された内部において、酸化
炭素及び水素を含有する原料ガスから生成した含酸素炭
化水素を、溶媒に溶解して排出流として排出する反応器
を有している。また、前記排出流を、前記反応器に近い
温度及び圧力で、生成物及び未反応ガスが溶解した溶媒
に富む液体排出流と、生成物の蒸気及び未反応ガスに富
む気体排出流とに気液分離する第1の分離部、前記液体
排出流を減圧し、溶媒から生成物と未反応ガスとを脱気
させ、生成物の蒸気及び未反応ガスに富む気体生成物流
と、前記溶媒からなる溶媒流とに気液分離する第2の分
離部、前記気体排出流を、未反応ガス流と、生成物を含
む液体生成物流とに気液分離する第3の分離部、前記気
体生成物流と前記液体生成物流とを、未反応ガス流、生
成物流及び溶媒流とに分離する第4の分離部を有してい
る。さらに、前記溶媒流を前記反応器に循環させるポン
プを有している。
【0028】以上のような請求項1記載の発明では、反
応によって生成した含酸素炭化水素に対して、溶媒によ
る抽出作用が働くため、触媒表面で生成した含酸素炭化
水素は、触媒表面からすばやく脱離して溶媒に溶解す
る。この結果、触媒表面の含酸素炭化水素濃度が低下し
て平衡が崩れ、含酸素炭化水素合成反応が進行する。す
なわち、熱力学的制限が緩和され、含酸素炭化水素合成
反応のパーパス収率は、気相反応における平衡値を大き
く超えることが可能になる。
【0029】また、反応条件下において、生成した含酸
素炭化水素を溶解する溶媒には、一般的に反応条件下で
液体の高沸点有機溶媒が使われ、このような溶媒は、気
体に比べて高い熱伝導率と熱容量を有し、熱拡散効果が
大きく、また高級炭化水素や炭素も溶解する。このた
め、反応器において触媒上を溶媒が流れる際に、反応熱
を効率良く除去でき、また触媒表面に付着した高級炭化
水素や炭素などが脱離しやすくなるので、触媒の劣化を
抑制することができる。
【0030】また、反応器から排出される排出流中の含
酸素炭化水素は、溶媒に溶解しているのものと、未反応
ガスに富む気相中で蒸気となっているものがある。溶解
している含酸素炭化水素と、その蒸気とは、平衡になっ
ており、すなわち、反応器において反応温度、圧力で気
相と溶媒相との間で平衡になっている。このため、反応
器から排出された排出流から、第1の分離部によって分
離した液体排出流を、第2の分離部において減圧するだ
けで、上記の平衡が崩れ、溶媒に溶解していた含酸素炭
化水素は脱気されるので、容易に溶媒と含酸素炭化水素
との気液分離ができる。
【0031】さらに、上記の分離は比較的高い温度で行
われるので、溶媒流に対して最小限の再予熱を行うだけ
で、ポンプによって反応器に戻すことができる。さら
に、気体生成物流からは溶媒の大半が除去されているの
で、第4の分離部においては、生成物流と未反応ガス流
に分離するだけ済む。すなわち、量が多く熱容量が大き
い溶媒を精留しなくて済むためプラントのエネルギー効
率を向上することができる。
【0032】請求項2記載の発明の特徴は以下の通りで
ある。すなわち、触媒を充填された内部において、酸化
炭素及び水素を含有する原料ガスから生成した含酸素炭
化水素を溶媒に溶解し、生成物及び未反応ガスが溶解し
た溶媒に富む液体排出流と、溶媒と生成物の蒸気及び未
反応ガスに富む気体排出流とが排出される反応器を有す
る。また、前記気体排出流と前記液体排出流とを、未反
応ガス流、生成物流及び溶媒流に分離する分離部と、前
記溶媒流を前記反応器に循環させるポンプとを有する。
【0033】以上のような請求項2記載の発明では、あ
らかじめ液体排出流と気体排出流とに分かれて反応器か
ら排出される。すなわち、反応器内で、エネルギーを消
費することなく、液体排出流と気体排出流とに気液分離
され、このため、それぞれの排出流に適した方法で、未
反応ガス流、溶媒流、生成物流に分離することができ
る。すなわち、分離効率を向上させることが可能とな
る。また、分離部に、気体生成物流と液体生成物流とに
分離する分離器が不要なので、分離部の小型化が可能と
なる。
【0034】請求項3記載の発明の特徴は以下の通りで
ある。酸化炭素及び水素を含有する原料ガスから生成し
た含酸素炭化水素を溶媒に溶解し、生成物及び未反応ガ
スが溶解した溶媒に富む液体排出流として排出する反応
器とを有する。また、前記液体排出流を、未反応ガス
流、生成物流及び溶媒流とに分離する分離部と、前記溶
媒流を前記反応器に循環させるポンプとを有する。
【0035】以上のような請求項3記載の発明では、未
反応ガスを主成分とした気体排気流が、反応器より排出
されない。このため、気体排気流から生成物流や未反応
ガス流に分離する装置や、未反応ガスをリサイクルする
システムおよび動力が不要となる。すなわち、含酸素炭
化水素合成プラントの小型化、高効率化が可能になる。
また、反応器より排出される未反応ガスは、排出される
溶媒に溶解している分のみ、すなわち、反応器において
その運転温度、圧力で平衡になっている分のみが溶解し
ており非常に少ない。この結果、プラントのパーパス収
率が限りなく100%に近づく。
【0036】請求項4記載の発明は、請求項2又は請求
項3記載の含酸素炭化水素合成プラントにおいて、前記
分離部は、前記液体排出流を減圧し、溶媒から生成物と
未反応ガスとを脱気させ、生成物の蒸気及び未反応ガス
に富む気体生成物流と、前記溶媒からなる溶媒流とに気
液分離する分離部を有することを特徴する。
【0037】以上のような請求項4記載の発明では、反
応器において、溶媒に溶解している含酸素炭化水素とそ
の蒸気とは平衡になっており、すなわち、反応温度、圧
力で気相と溶媒相との間で平衡になっている。この含酸
素炭化水素が溶解した溶媒が液体排出流として反応器か
ら排出されるので、分離部において、この液体排出流を
減圧するだけで、上記の平衡が崩れ、溶媒に溶解してい
た含酸素炭化水素は脱気され、容易に溶媒と含酸素炭化
水素とを気液分離ができる。
【0038】この結果、上記の分離は比較的高い温度で
行われるので、溶媒流に対して最小限の再予熱を行うだ
けで、ポンプによって反応器に戻すことができる。さら
に、生成物を得るためには、溶媒の大半が除去された気
体生成物流から、生成物流と未反応ガス流に分離するだ
け済む。すなわち、量が多く熱容量が大きい溶媒を精留
しなくて済むため、プラントのエネルギー効率を向上す
ることができる。
【0039】請求項5記載の発明は、請求項1〜4のい
ずれか1項に記載の含酸素炭化水素合成プラントにおい
て、前記反応器は、トリクルベット型反応器であること
を特徴とする。
【0040】以上のような請求項5記載の発明では、ト
リクルベット型反応器内では、溶媒が触媒上を滴り落ち
る。この結果、触媒上を溶媒が滴り落ちる周辺部では、
原料ガスが直接触媒と接するため、気相反応と同様の速
い反応速度が得られる。この結果、原料ガスの供給速度
を上げても、高いパーパス収率が得られる。すなわち、
含酸素炭化水素の空時収量が向上し、反応器をコンパク
トにすることができる。
【0041】請求項6記載の発明は、請求項1〜5のい
ずれか1項に記載の含酸素炭化水素合成プラントにおい
て、前記反応器における前記溶媒の供給部が、前記触媒
が充填された部分の途中であることを特徴とする。
【0042】以上のような請求項6記載の発明では、反
応器は、原料ガスのみが触媒と接触して、含酸素炭化水
素合成反応が生じる部分と、この反応ガスと溶媒が触媒
上で接触する部分で構成される。このような反応器で
は、まず溶媒で濡れていない触媒上で原料ガスを気相反
応させるので、速い反応速度で原料ガスを反応させるこ
とができる。
【0043】また、この部分で含酸素炭化水素濃度を高
くした反応ガスが溶媒と接触するため、溶媒と反応ガス
の含酸素炭化水素の濃度差が大きい。このため、効率良
く含酸素炭化水素が溶媒へ溶解し、更に含酸素炭化水素
合成反応が進行する。これらの結果、原料ガス流量を大
きくしても、容易に気相合成と同様の平衡収率まで達す
ることができ、かつ、それ以上に反応を進めることがで
きる。すなわち、パーパス収率を上げられ、かつパーパ
ス生産量を上げることができる。
【0044】請求項7記載の発明は、請求項1〜4のい
ずれか1項に記載の含酸素炭化水素合成プラントにおい
て、前記反応器は、前記触媒が充填された触媒充填部
と、溶媒循環部とを備え、前記触媒充填部と前記溶媒循
部とは、反応により生成した生成物の蒸気と未反応ガス
とからなる反応ガスが移動可能な多孔質壁によって仕切
られていることを特徴とする。
【0045】以上のような請求項7記載の発明では、触
媒充填部では、触媒が溶媒で濡れないため、反応速度が
速い気相反応が起こり容易に平衡に達する。一方、多孔
質壁の内部において、反応ガスと溶媒とが接しているた
め、触媒充填部において生成した含酸素炭化水素は、多
孔質壁内を抜けて、容易に溶媒に溶解する。これらの結
果、原料ガスの供給速度を上げても高いパーパス収率が
得られる。すなわち、含酸素炭化水素の空時収量が向上
し、反応器をコンパクトにすることができる。
【0046】請求項8記載の発明は、請求項7記載の含
酸素炭化水素合成プラントにおいて、前記多孔質壁にお
ける平均孔径分布が、前記触媒充填部側より前記溶媒循
環部側が小さくなるように傾斜化されていることを特徴
とする。
【0047】以上のような請求項8記載の発明では、溶
媒と多孔質壁内部の細孔内壁との間に生じる表面張力
は、孔径の小さい側が大きい側より大きくなる。すなわ
ち、多孔質壁内の平均孔径分布を触媒充填部側より溶媒
循環部側が小さくなるように傾斜化させると、溶媒と反
応ガスの界面の位置が溶媒循環部に近くなる。
【0048】なお、反応ガスと溶媒との界面において溶
媒に溶解した含酸素炭化水素は、溶媒中を、常に新しい
溶媒が供給されるために含酸素炭化水素濃度が低い溶媒
循環部に拡散する。しかし、一般的に溶媒中の含酸素炭
化水素の移動速度は、反応ガス中のそれに比べて遅い。
このため、反応ガスと溶媒との界面から、溶媒循環部ま
での距離が短い方が、この界面付近の含酸素炭化水素濃
度が低下し、含酸素炭化水素が溶媒へ溶解する速度が速
くなる。すなわち、原料ガスの供給速度を上げても高い
パーパス収率が得られ、含酸素炭化水素の空時収量が向
上し、反応器をコンパクトにすることができる。
【0049】請求項9記載の発明は、請求項7又は請求
項8記載の含酸素炭化水素合成プラントにおいて、前記
触媒充填部より前記溶媒循環部の圧力が小さいことを特
徴とする。
【0050】以上のような請求項9記載の発明では、触
媒充填部と溶媒循環部とで圧力差をつけることによっ
て、容易に溶媒が触媒充填部側に流出しないようにでき
る。このため、上記の細孔径を大きくできる。この結
果、原料ガスの供給速度を上げても高いパーパス収率が
得られる。すなわち、含酸素炭化水素の空時収量が向上
し、反応器をコンパクトにすることができる。
【0051】請求項10記載の発明は、請求項7〜9の
いずれか1項に記載の含酸素炭化水素合成プラントにお
いて、前記反応器に、前記分離装置で分離した溶媒流を
冷却液として循環させる冷却器が設けられていることを
特徴とする。
【0052】以上のような請求項10記載の発明では、
反応器を大型化して溶媒だけでは、反応熱を除去しきれ
なくなった場合でも、冷却器で反応器の反応熱を回収で
きる。このため、反応器内を均一に近い温度に維持で
き、触媒を局所的に高温になることを防止できる。すな
わち、触媒劣化を抑制でき、またパーパス収率が向上す
る。この結果、反応器を大型化して含酸素炭化水素合成
反応のパーパス収率を上げ、かつパーパス生産量を上げ
ることができる。
【0053】また、冷却液として、分離装置で分離さ
れ、反応器に戻す前の溶媒流を用いるため、冷却器を、
反応器と同様の圧力に維持できる。このため反応器全体
が圧力差で生じる応力の分布にムラがなくなるため、機
械的強度が向上し、かつ反応器の外部容器だけを耐圧に
すればよく反応器の内部構造をシンプルにすることがで
きる。この結果、反応器の製造コストを低減することが
できる。また、溶媒用の予熱器を小型化でき、あるいは
不要となる。この結果、含酸素炭化水素合成プラントの
小型化、低コスト化を可能にする。
【0054】請求項11記載の発明は、請求項1〜10
のいずれか1項に記載の含酸素炭化水素合成プラントに
おいて、未反応ガス流の一部または全量を燃料として利
用可能に設けられ、プラント内の構成機器の熱源を供給
する燃焼部を有することを特徴とする。
【0055】以上のような請求項11記載の発明では、
未反応ガスを燃焼させて、分離装置等の熱源として利用
することにより、含酸素炭化水素合成プラントのエネル
ギー効率が向上する。また、精留装置で生成物を精製す
る際、未反応ガスを燃やして得た熱を利用すれば、反応
器で回収した反応温度に近い熱を利用した場合以上の温
度で精留装置の運転ができる。この結果、効果的に含酸
素炭化水素を精製できると同時に、高純度で溶媒を回収
し再利用することができる。
【0056】従って、パーパス収率を向上でき、含酸素
炭化水素合成プラント全体のエネルギー効率を向上でき
る。また、反応器から排出される未反応ガスの量が少な
い場合は、未反応ガスの全量を燃焼させることにより、
反応器への未反応ガスのリサイクルラインが不要にな
る。このため含酸素炭化水素合成プラントを小型化でき
る。
【0057】請求項12記載の発明は、請求項1〜11
のいずれか1項に記載の含酸素炭化水素合成プラントに
おいて、前記溶媒は、炭素数nが8以上、水素数mがn
以上2n+2以下、酸素数lが1以上n/2以下の範囲
とした化学式Cnmlで表される含酸素炭化水素から
選択された材料を含むことを特徴とする。
【0058】また、請求項13記載の発明は、請求項1
〜12のいずれか1項に記載の含酸素炭化水素合成プラ
ントにおいて、前記溶媒は、ノナン、デカン、ドデカン
を含む炭素数8〜14の飽和炭化水素及び不飽和炭化水
素、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリ
エチレングリコールジメチルエーテルを含む炭素数nが
8以上の化学式Cn2n+2n/2若しくはCn2nn/2
表されるエーテル及び多価アルコール、炭素数nが8以
上の化学式Cn2nn/2、Cn2n-2n/2、C nn
n/2のいずれか一つの化学式で表される環状エーテル、
ケトン及びアルデヒドの少なくとも一種を含むことを特
徴とする。
【0059】以上のような請求項12及び請求項13記
載の発明では、溶媒として用いられる材料が、反応器の
運転条件においても蒸気圧が低く液体である。また、こ
れらの溶媒は、分子内に酸素原子を持っており、同じく
分子内に酸素原子を持つ含酸素炭化水素との親和性が強
い。すなわち、反応器の運転温度、運転圧力下でも反応
によって生成した含酸素炭化水素に対して優れた抽出作
用が得られる。
【0060】
【発明の実施の形態】本発明の含酸素炭化水素合成プラ
ントの実施の形態を、図1〜図6を参照して説明する。
以下の各実施の形態は、説明の簡略化の観点から、一酸
化炭素や二酸化炭素などの酸化炭素と水素を原料とし
て、含酸素炭化水素の一種であるメタノールを合成する
メタノール合成プラントとして説明する。なお、図1〜
6は、プラント全体を示す概略図である。
【0061】1.第1の実施の形態 [1−1.構成]本実施の形態の構成を図1に基づいて
説明する。すなわち、本実施の形態は、ガス圧縮機1、
トリクルベット型反応器2、高温高圧気液分離器3、低
温高圧気液分離器4、高温低圧気液分離器5、低温低圧
気液分離器6、精留装置7を有し、これらの各機器を接
続する配管に、熱交換器11,12、冷却器13〜1
5、減圧弁16,17、流量調整バルブ18〜20、ポ
ンプ21などが設けられている。
【0062】トリクルベット型反応器2は、下部出口に
多孔板8を有しており、この多孔板8の上方には粒状触
媒9が収容されている。この粒状触媒9には、銅−亜鉛
系のメタノール合成触媒を円筒型(φ3mm×H3m
m)の多孔質粒にしたものが使用されている。また、多
孔板8には、粒状触媒9の粒径よりも小さい多数の孔が
設けられている。
【0063】トリクルベット型反応器2に供給される反
応溶媒としては、テトラグライム10(テトラエチレン
グリコールジメチルエーテル)を用いるが、トリクルベ
ット型反応器2内にテトラグライム10を供給する部分
は、テトラグライム10が粒状触媒9上に均一に降りか
けられるように、シャワー構造になっている。
【0064】高温高圧気液分離器3、低温高圧気液分離
器4、高温低圧気液分離器5、低温低圧気液分離器6と
しては、これらの気液分離器の作動条件が違うだけで、
通常のフラッシュ型気液分離器を用いる。各冷却器1
3,14,15は、廃熱をスチーム等にして精留装置7
もしくはメタノール合成プラント以外で利用できるよう
に、熱交換型冷却器を用いる。
【0065】[1−2.作用]次に、本実施の形態の動
作手順を流体の流れに沿って説明する。なお、以下の各
項目は、動作の中心となる機器を示す。
【0066】[1−2−1.トリクルベット型反応器]
まず、水素、一酸化炭素、二酸化炭素を主成分とする原
料ガス22は、未反応ガス流23,24aとともにガス
圧縮機1で反応圧力まで加圧・混合されて、合成ガス2
5とされる。未反応ガス流23は、高圧であるため、ガ
ス圧縮機1の途中から導入される。
【0067】この合成ガス25は、熱交換器11で予熱
された後、トリクルベット型反応器2の上方から供給さ
れる。なお、合成ガス25の温度が上がり過ぎないよう
に、熱交換器11に導入する合成ガス25の量が、流量
調整バルブ18によって調整される。
【0068】一方、反応溶媒であるテトラグライム10
は、熱交換器12で予熱されて、トリクルベット型反応
器2の上方から供給され、粒状触媒9の上部に、シャワ
ー状に均一に降りかけられる。なお、テトラグライム1
0の温度調整は、熱交換器12に導入するテトラグライ
ム10の量を流量調整バルブ19で調整することによっ
て行う。
【0069】トリクルベット型反応器2は、通常、圧力
5〜15MPa、温度200〜300℃で運転されてお
り、合成ガス25が粒状触媒9と接触してメタノールの
合成反応が生じ、メタノール、水などの副生成物が生成
される。また、反応溶媒であるテトラグライム10は、
合成ガス25、生成したメタノール、水などの生成物か
らなる反応ガスと接触しながら粒状触媒9上を滴り落ち
ていく。
【0070】トリクルベット型反応器2内で反応せずに
残った未反応ガスや、反応で生成したメタノール、水な
どの生成物、テトラグライム10などは、排出流26と
してトリクルベット型反応器2の下部から外部に排出さ
れる。
【0071】[1−2−2.気液分離器]排出流26
は、ほとんど圧力、温度を保持したまま高温高圧気液分
離器3に送られ、未反応ガスと生成物の蒸気などからな
る気体排出流27と、生成物などが溶解しているテトラ
グライム10からなる液体排出流28とに気液分離され
る。
【0072】気体排出流27は、高温高圧気液分離器3
の上部より排出され、ほとんど圧力を保持したまま、熱
交換器11において合成ガス25と熱交換されて温度低
下した後、冷却器13で20℃程度まで冷却され、低温
高圧気液分離器4に送られる。
【0073】この過程で、気体排出流27中のメタノー
ル、水、テトラグライム10の蒸気は凝縮し、低温高圧
気液分離器4においては、メタノール、水、テトラグラ
イム10などからなる液体生成物と未反応ガスとに気液
分離が行われ、それぞれ、低温高圧気液分離器4の下部
より液体生成物流29として、上部より未反応ガス流2
3として排出される。
【0074】生成物やテトラグライム10が除去された
未反応ガス流23は、ほとんど圧力を保持したままガス
圧縮機1に戻され、原料ガス22と混合して反応圧力ま
で加圧される。すなわち、未反応ガス流23は、ガス圧
縮機1の途中から導入され、分離過程において生じた圧
損分だけが加圧される。また、液体生成物流29は、減
圧弁17において適当な圧力まで減圧されて、液体生成
物に溶解していた未反応ガスを脱気させてから、低温低
圧気液分離器6に送られる。
【0075】一方、高温高圧気液分離器3の下部より排
出される液体排出流28は、熱交換器12においてテト
ラグライム10と熱交換して温度低下した後、減圧弁1
6で所定の圧力まで減圧され、冷却器14で所定の温度
まで冷却されて、高温低圧気液分離器5に送られる。こ
の過程で、液体排出流28中のテトラグライム10に溶
解していたメタノール、水などの生成物と未反応ガスは
脱気され、高温低圧気液分離器5において、メタノール
と水などの生成物の蒸気と未反応ガスからなる気体生成
物とテトラグライム10とに気液分離される。そして、
それぞれ高温低圧気液分離器5の上方より気体生成物流
30として、下方より溶媒流31(テトラグライム1
0)として排出される。
【0076】生成物および未反応ガスの大半が除去され
た溶媒流31は、ポンプ21で反応圧力まで加圧された
後、熱交換器12で反応温度まで予熱してから、トリク
ルベット型反応器2に戻される。一方、テトラグライム
10の大半が除去された気体生成物流30は、冷却器1
5で冷却して、メタノール、水など生成物と残存してい
るテトラグライム10の蒸気を凝縮させてから低温低圧
気液分離器6に送られる。
【0077】なお、高温低圧気液分離器5において、上
記のように液体排出流28を気体生成物流30と溶媒流
31とに気液分離することは容易である。すなわち、テ
トラグライム10とメタノール及び副生成物の水とは、
200℃近くの沸点差がある。常圧における沸点は、テ
トラグライム275℃、水100℃、メタノール64。
7℃である。
【0078】ここで、液体排出流28中において、メタ
ノール、水などの生成物は、テトラグライム10に溶解
しているのものと、未反応ガスに富む気相中で蒸気とな
っているものがある。また、未反応ガスの一部がテトラ
グライム10に溶解している。この溶解しているメタノ
ール、水などの生成物とそれらの蒸気とは、また、同じ
く溶解している未反応ガスと気相中の未反応ガスは、平
衡になっている。つまり、高温高圧気液分離器3におけ
る作動温度、圧力(反応器における運転温度、圧力)
で、気体排出流と液体排出流との間で平衡になってい
る。
【0079】このため、液体排出流28は、所定の圧力
に減圧されるだけで、上記の平衡が崩れ、テトラグライ
ム10に溶解していたメタノール、副生成物、未反応ガ
スの大半が気化して脱気される。一方、液体排出流28
を冷却器14で所定の温度まで冷却することにより、気
体生成物流30中のテトラグライム10の蒸気を減らす
ことができる。これらの結果、高温低圧気液分離器5で
液体排出流30中のテトラグライム10の大部分が溶媒
流31として分離されトリクルベット型反応器2に戻す
ことができる。
【0080】ただし、各流体には各流体の主成分以外の
成分も若干含まれており、気体生成物流30中にはテト
ラグライム10の蒸気が、溶媒流31中にはメタノール
/水が混入している。なお、本実施の形態の場合、高温
低圧気液分離器5における作動条件である上記の所定の
温度、圧力は、200℃、0.1MPa程度が最も望ま
しいが、触媒活性およびその劣化度、原料ガス22(合
成ガス25)組成、テトラグライム10や原料ガス22
の供給速度などによって変わってくる。
【0081】次に、それぞれの過程を経た液体生成物流
29と気体生成物流30は、低温低圧気液分離器6にお
いて再度気液分離が行われる。本実施の形態の場合、低
温低圧気液分離器6の作動温度・圧力は、20℃、0.
1MPa程度が最も望ましいが、これに限定するもので
はない。この結果、低温低圧気液分離器6において、各
生成物流に残存していた生成物を主成分とし、若干のテ
トラグライム10を含む液体と未反応ガスとに気液分離
され、上方より未反応ガス流24として、下方より生成
物流32として排出される。
【0082】低温高圧気液分離器4の作動圧力は高圧の
ため、液体生成物流29中に溶解している未反応ガスは
少なくない。この未反応ガス及び気体生成物流30に含
まれている未反応ガスは、低温低圧気液分離器6で分離
される。なお、未反応ガス流24にも、若干のメタノー
ル/水が含まれるが、生成物流32に比べれば極めて少
ない。
【0083】さらに、未反応ガス流24は、一部を未反
応ガス流24bとしてパージし、残りの未反応ガス流2
4aをガス圧縮機1に戻す。このパージ量は、流量調整
バルブ20で調整される。
【0084】[1−2−3.精留装置]生成物流32
は、精留装置7に送られる。精留装置7では、メタノー
ル、水、テトラグライム10の沸点差が大きいため蒸留
塔で容易に精留できる。したがって、精留装置7から
は、メタノール34、水35、テトラグライム10、未
反応ガス流24cとして排出される。このうちのメタノ
ール34が製品メタノールとなる。また、テトラグライ
ム10は、溶媒流31と合流させてポンプ21において
反応圧力にした後、トリクルベット型反応器2に戻され
る。
【0085】一方、未反応ガス流24cは量が少ないの
で、上記の未反応ガス流24bとともに空気33と混合
させて燃焼し、精留装置7の熱源として利用する。燃焼
後のガスは、パージガス36としてメタノール合成プラ
ントの外部に排出される。
【0086】なお、本実施の形態では記載を省略した
が、トリクルベット型反応器2において、メタノール、
水以外の物質も副生成物として生成する。これらの副生
成物は、常に各生成物流、排出流等に含まれており、最
終的には精留装置7より排出される。一方、高沸点の副
生成物は溶媒流31に含まれており、これを除去する装
置を、溶媒流31がトリクルベット型反応器2に戻され
る前に組み込むことも可能である。また、各冷却器1
3,14,15において、熱交換により得られた廃熱
は、スチーム等にして精留装置7若しくはメタノール合
成プラント以外で利用する。
【0087】[1−3.効果]以上のような本実施の形
態の効果は以下の通りである。すなわち、テトラグライ
ム10は、反応条件下でほとんどが液体であるため、気
体に比べて高い熱伝導率と熱容量を有し、熱拡散効果が
大きい。このため、粒状触媒9上をテトラグライム10
が滴り落ちる間に反応熱を効率良く除去できる。また、
反応熱による反応温度の上昇が小さいため、トリクルベ
ット反応器2内を均一に近い温度に維持できるととも
に、温度制御も容易となる。この結果、反応の暴走を抑
制でき、かつパーパス収率を上げることができる。
【0088】また、粒状触媒9の表面に付着した高級炭
化水素や炭素などに対しても、テトラグライム10によ
る抽出作用が働くため、これらが粒状触媒9上から脱離
しやすくなる。この結果、触媒の劣化を抑制することが
できる。
【0089】また、テトラグライム10が触媒9上を滴
り落ちる周辺部では、合成ガス25が直接触媒9と接触
しているため、気相反応と同様の速い反応速度が得られ
る。そして、トリクルベット型反応器2内で生成したメ
タノールは、テトラグライム10に溶解する。このた
め、粒状触媒9の表面で生成したメタノールは、粒状触
媒9の表面からすばやく脱離してテトラグライム10に
溶解する。さらに、反応ガス中のメタノールもテトラグ
ライム10に溶解し、反応ガス中のメタノール濃度が低
下するため、同じく粒状触媒9上のメタノールが脱離し
て反応ガス中に拡散する。これらの結果、粒状触媒9の
表面のメタノール濃度が低下して平衡が崩れ、メタノー
ル合成反応が進行する。すなわち、メタノール合成反応
のパーパス収率は、気相反応における平衡値を大きく超
えることが可能になる。
【0090】また、上記のように精留装置7でメタノー
ルを精製する前に、高温低圧気液分離器5において、メ
タノール、水などの生成物とテトラグライム10を容易
に分離することができる。すなわち、精留装置7では、
このプラントで循環するテトラグライム10の全量を精
留しなくて済むため、少ないエネルギー消費でメタノー
ルを精製できる。
【0091】また、低温高圧気液分離器4において、未
反応ガスの大半を高圧で、かつメタノールや水を低濃度
で分離して再利用することができるので、未反応ガスを
再圧縮する際の動力が小さくて済み、かつトリクルベッ
ト型反応器2における合成ガス25のパーパス転化率を
向上させることができる。すなわち、メタノール合成プ
ラントを小型化しながらプラント全体のエネルギー効
率、パーパス生産量が向上する。
【0092】また、未反応ガス流24の一部をトリクル
ベット型反応器2に戻すのではなく、燃焼させて得た熱
を精留装置7で利用する。この結果、ガス圧縮機1への
未反応ガスのリサイクル量が減るため、上記の未反応ガ
ス流24aのリサイクルラインを小規模にでき、リサイ
クルガスを再圧縮する動力が減らせる。さらに、メタノ
ール合成プラントを小型化でき、エネルギー効率が向上
するので、トリクルベット型反応器2で回収した反応温
度に近い熱を利用した場合以上の温度で精留装置の運転
ができる。
【0093】また、精留装置7で生成物流32を精製す
る際、未反応ガス流24b,24cを燃やすことによっ
て得た高熱を利用するため、トリクルベット型反応器2
で回収した反応温度に近い熱を利用した場合より高い温
度で精留装置7の運転ができる。この結果、効果的にメ
タノールを精製できると同時に、純度が高い溶媒を回収
し再利用ができるため、メタノール合成プラントのパー
パス収率が向上する。
【0094】2.第2の実施の形態 [2−1.構成]本実施の形態の構成を図2に基づいて
説明する。なお、上述の第1の実施の形態と同様の構成
部分は同一の符号を付して説明を省略する。すなわち、
本実施の形態は、ガス圧縮機1、溶媒途中導入式のトリ
クルベット型反応器39、高温低圧気液分離器5、低温
低圧気液分離器6、精留装置7を有し、各機器を接続す
る配管に、熱交換器12,37、冷却器14,15、減
圧弁16、流量調整バルブ18,19,49、ポンプ2
1などが設けられている。
【0095】このうち、トリクルベット型反応器39
は、下部出口に多孔板8を有しており、この多孔板8の
上方には粒状触媒9が所定の高さまで収容されており、
その粒状触媒9の上部からトリクルベット型反応器39
の上部入り口付近まで、粒状触媒51が収容されてい
る。粒状触媒9及び粒状触媒51には、銅−亜鉛系のメ
タノール合成触媒を円筒型多孔質粒にしたものが使用さ
れるが、そのサイズが異なる。すなわち、粒状触媒9と
しては、サイズがφ3mm×H3mmのものを使用し、
粒状触媒51としては、粒状触媒9よりもサイズが小さ
いものを使用する。また、多孔板8には、粒状触媒9の
粒径よりも小さい多数の孔が設けられている。
【0096】また、トリクルベット型反応器39に供給
される反応溶媒としては、トリグライム38(トリエチ
レングリコールジメチルエーテル)を用いる。トリクル
ベット型反応器2内にトリグライム38を供給する部分
は、触媒充填層の途中である粒状触媒9の上方だが、ト
リグライム38が粒状触媒9上に均一に降りかけられる
ように、シャワー構造になっている。
【0097】[2−2.作用]次に、本実施の形態の動
作手順を流体の流れに沿って説明する。なお、以下の各
項目は、動作の中心となる機器を示す。
【0098】[2−2−1.トリクルベット型反応器]
まず、水素、一酸化炭素、二酸化炭素を主成分とする原
料ガス22は、ガス圧縮機1で反応圧力まで加圧されて
合成ガス25とされる。合成ガス25は、熱交換器37
で予熱された後、トリクルベット型反応器39の上方か
ら供給される。なお、合成ガス25の温度が上がり過ぎ
ないように、熱交換器37に導入する合成ガス25の量
が、流量調整バルブ18によって調整される。
【0099】一方、反応溶媒であるトリグライム38
は、熱交換器12で予熱されてトリクルベット型反応器
39の途中、すなわち、粒状触媒9が充填されている部
分の上方から粒状触媒9に降りかけられる。なお、トリ
グライム38の温度調整は、熱交換器12に導入するト
リグライム38の量を流量調整バルブ19で調整するこ
とによって行う。
【0100】トリクルベット型反応器39は、通常、圧
力5〜15MPa、温度200〜300℃で運転されて
おり、合成ガス25が粒状触媒51や粒状触媒9と接触
してメタノールの合成反応が生じ、メタノールと水など
の副生成物が生成される。また、反応溶媒であるトリグ
ライム38は、合成ガス25、生成したメタノール、副
生成物からなる反応ガスと接触しながら粒状触媒9上を
滴り落ちていく。
【0101】したがって、粒状触媒51が充填されてい
る部分での反応は、気相合成であり、粒状触媒9が充填
されている部分では、通常の気相合成ではなく、生成物
を溶解する溶媒を用いたトリクルベット型の反応が生じ
ている。
【0102】このトリクルベット型反応器39内で反応
せずに残った未反応ガスや、反応で生成したメタノー
ル、水などの生成物、トリグライム38などは、液体排
出流28としてトリクルベット型反応器39の下部から
外部に排出される。
【0103】なお、本実施の形態のメタノール合成プラ
ントでは、トリクルベット型反応器39から排出される
未反応ガスが、トリクルベット型反応器39から排出さ
れるトリグライム38に溶解している分のみになるよう
に、気体の未反応ガスが排出されないような条件でトリ
クルベット型反応器39を作動させる。
【0104】このためには、トリグライム38と合成ガ
ス25のトリクルベット型反応器39への導入量を、そ
れぞれ、ポンプ21と流量調整バルブ49で調整する。
あるいは、トリクルベット型反応器39における反応温
度、反応圧力などの反応条件を変えて、合成ガス25か
らメタノールへの生成反応の反応速度を調整する。
【0105】このいずれかの方法によって、気相の未反
応ガス量が減り、反応器下部に液溜ができ、トリグライ
ム38に溶解している未反応ガスのみが排出される。す
なわち、トリクルベット型反応器39の下部には、反応
で生成したメタノール、水などの生成物と未反応ガスが
溶解したトリグライム38などからなる液体溶液50の
みが溜まっており、その底より液体排出流28としてト
リクルベット型反応器39の外部に排出される。
【0106】[2−2−2.気液分離器]液体排出流2
8は、熱交換器37で合成ガス25と熱交換し、熱交換
器12でトリグライム38と熱交換することによって温
度低下させた後、減圧弁16で所定の圧力まで減圧さ
れ、冷却器14で所定の温度に冷却されて高温低圧気液
分離器5に送られる。
【0107】この過程で、液体排出流28中のトリグラ
イム38に溶解していたメタノール、水などの生成物と
未反応ガスが脱気され、高温低圧気液分離器5におい
て、メタノール、水などの生成物の蒸気及び未反応ガス
からなる気体生成物と、トリグライム38とに気液分離
される。
【0108】生成物及び未反応ガスの大半が除去された
トリグライム38の溶媒流31は、高温低圧気液分離器
5の下方より排出され、ポンプ21で反応圧力まで加圧
された後、熱交換器12で反応温度まで予熱してからト
リクルベット型反応器39に戻される。
【0109】一方、トリグライム38の大半が除去され
た気体生成物流30は、高温低圧気液分離器5の上方よ
り排出され、冷却器15でさらに冷却してメタノール、
水などの生成物と残存しているテトラグライム10の蒸
気を凝縮させてから低温低圧気液分離器6に送られる。
【0110】なお、高温低圧気液分離器5において、上
記のように液体排出流28を気体排出流30と溶媒流3
1とに気液分離することは容易である。すなわち、トリ
グライム38とメタノール及び副生成物の水は、100
℃以上の沸点差がある。常圧における沸点は、トリグラ
イム216℃、水100℃、メタノール64.7℃であ
る。
【0111】ここで、トリクルベット型反応器39の下
部において、トリグライム38(液体溶液50)に溶解
しているメタノール、水などの生成物とそれらの蒸気と
は、また、同じく溶解している未反応ガスと気相の未反
応ガスとは、平衡になっている。つまり、トリクルベッ
ト型反応器39の運転温度、圧力で、液体溶液50とそ
の上部の気相との間で平衡になっている。このメタノー
ル、水などの生成物、未反応ガスが溶解したトリグライ
ム38が液体排出流28として、トリクルベット型反応
器39から排出される。
【0112】このため、この液体排出流28は、所定の
圧力に減圧されるだけで、上記の平衡が崩れ、トリグラ
イム38に溶解していたメタノール、副生成物、未反応
ガスの大半が気化して脱気される。一方、液体排出流2
8を冷却器14で所定の温度まで冷却することにより、
気体排出流30中のトリグライム38の蒸気を減らすこ
とができる。すなわち、高温低圧気液分離器5で液体排
出流30中のトリグライム38の大部分を溶媒流31と
してトリクルベット型反応器39に戻すことができる。
【0113】ただし、各流体には各流体の主成分以外の
成分も若干含まれており、気体生成物流30中にはトリ
グライム38の蒸気が、溶媒流31中には、メタノール
/水が混入している。なお、本実施の形態の場合、高温
低圧気液分離器5の運転条件である上記の所定の温度、
圧力は、150℃、0.1MPa程度が最も望ましい
が、触媒活性およびその劣化度、原料ガス22(合成ガ
ス25)組成、トリグライム38や原料ガス22の供給
速度などによって変わってくる。
【0114】次に、冷却器15で冷却された気体生成物
流30は、低温低圧気液分離器6において再度気液分離
が行われる。本実施の形態の場合、低温低圧気液分離器
6の作動温度・圧力は、20℃、0.1MPaが最も望
ましいが、これに限定するものではない。この結果、低
温低圧気液分離器6において、気体生成物流30中の未
反応ガスと、生成物を主成分とし若干のトリグライム3
8を含む液体とに気液分離され、上方より未反応ガス流
24として、下方より生成物流32として排出される。
【0115】[2−2−3.精留装置]生成物流32
は、精留装置7に送られる。精留装置7では、メタノー
ル、水、トリグライム38の沸点差が大きいため蒸留塔
で容易に精留できる。したがって、精留装置7からは、
メタノール34、水35、トリグライム38、未反応ガ
ス流24cとして排出される。このうちのメタノール3
4が製品メタノールとなる。また、トリグライム38は
溶媒流31と合流させてポンプ21において反応圧力に
した後、トリクルベット型反応器39に戻される。
【0116】一方、未反応ガス流24cは、トリクルベ
ット型反応器(溶媒途中導入)39の作動温条件におけ
る、液体溶液50に溶解している量のみと少ない。この
ため、本プラントでは、未反応ガス流24の全量を空気
33と混合させて燃焼し、精留装置7の熱源として利用
する。燃焼後のガスは、パージガス36としてメタノー
ル合成プラントの外部に排出される。
【0117】また、未反応ガス流24にも若干のメタノ
ール/水が含まれる。しかし、未反応ガス流24中のメ
タノール/水の量は、未反応ガスの量に対する低温低圧
気液分離器6の作動条件における蒸気圧分のメタノール
/水しかない。上記のように未反応ガス流24の量は少
ないので、その流体中のメタノール/水の量は、生成物
流32中のそれに比べれば極めて少ない。
【0118】なお、本実施の形態では記載を省略した
が、トリクルベット型反応器39において、メタノー
ル、水以外の物質も副生成物として生成する。これらの
副生成物は、常に各生成物流、排出流等に含まれてお
り、最終的には精留装置7より排出される。一方、高沸
点の副生成物は溶媒流31に含まれており、これを除去
する装置を、溶媒流31がトリクルベット型反応器39
に戻される前に組み込むことも可能である。また、各冷
却器14、15において、熱交換により得られた廃熱
は、スチーム等にして精留装置7若しくはメタノール合
成プラント以外で利用する。
【0119】[2−3.効果]以上のような本実施の形
態の効果は以下の通りである。すなわち、本実施の形態
においては、第1の実施の形態と同様の構成及び作用を
有し、トリグライム38は第1の実施の形態におけるテ
トラグライム10と同様の役割を果たすため、第1の実
施の形態と同様の効果が得られる。
【0120】さらに、本実施の形態においては、トリク
ルベット型反応器39において、触媒が充填された部分
の途中から溶媒を供給するが、粒状触媒51が充填され
ている部分では、気相反応が生じており、また、粒状触
媒51は、トリクルベット型の反応が行われる粒状触媒
9より小さいので、反応速度が速い。
【0121】また、粒状触媒51を通過することによ
り、合成ガス25をある程度反応させた反応ガスが、ト
リクルベット型の反応が行われる粒状触媒9が充填され
た部分に供給される。すなわち、少ない粒状触媒51に
よって、合成ガス25にすばやくメタノール合成反応を
生じさせ、メタノール濃度をある程度高くした状態で、
さらにトリクルベット型の反応をさせることによって、
高いパーパス収率を得ることができる。
【0122】また、トリクルベット型の反応が行われる
粒状触媒9が充填された部分に導入される反応ガスは、
メタノール、水などの生成物の濃度が高まっているた
め、トリグライム38中と反応ガス中では、これらの生
成物の濃度差が大きい。この結果、メタノール、水など
の生成物のトリグライム38への抽出スピードが向上す
る。従って、同様のパーパス生産量(単位時間あたりの
メタノール生成量)を得るために、本実施の形態のトリ
クルベット型反応器39は、通常のトリクルベット型反
応器よりも小型化することができ、かつ、パーパス収率
を向上させることができる。
【0123】さらに、パーパス収率が向上すると、未反
応ガスやリサイクルする溶媒の量が少なくなるため、分
離プロセスの小型化やエネルギー消費の低減が可能であ
る。つまり、本実施の形態のメタノール合成プラントで
は、高パーパス収率、高パーパス生産量(単位時間あた
りのメタノール生成量)が得られ、かつ、小型化、消費
エネルギーの低減が可能になる。
【0124】また、未反応ガスがトリクルベット型反応
器39の作動条件において液体溶液50に溶解している
量のみであり、非常に少ない。この結果、限りなくパー
パス収率が100%に近づく。
【0125】また、トリクルベット型反応器39から排
出される未反応ガスの量が少ないため、未反応ガスを主
成分とする気体の排出流からメタノールを精製する分離
装置が不要となる。特に、未反応ガスが少ないと、その
全量をトリクルベット型反応器39に戻すことなく、燃
焼させ、得られた熱を精留装置7で利用することができ
る。このため、未反応ガスをガス圧縮機1へリサイクル
する必要がなく、未反応ガスのリサイクルラインが不要
となり、かつリサイクルガスを反応圧力に再圧縮するた
めの動力が不要となる。従って、メタノール合成プラン
トを小型化、低コスト化、高エネルギー効率化すること
ができる。
【0126】3.第3の実施の形態 [3−1.構成]本実施の形態の構成を図3に基づいて
説明する。なお、上述の第2の実施の形態と同様の構成
部分は同一の符号を付して説明を省略する。すなわち、
本実施の形態は、ガス圧縮機1、熱交換式トリクルベッ
ト型反応器45、高温低圧気液分離器5、低温低圧気液
分離器6、精留装置7を有し、各機器を接続する配管
に、冷却器14,15、減圧弁16、流量調整バルブ4
9、ポンプ21などが設けられている。
【0127】このうち、熱交換式トリクルベット型反応
器45は、反応管53、冷却液槽44、上部空間54、
下部空間55によって構成されている。冷却液槽44
は、反応管53の外部に位置し、下部が閉じられ、その
底から反応管53の上部まで冷却液56で満たされてい
る。一方、冷却液槽44の上部は、開放されており、そ
こからあふれ出た冷却液56が、反応管53の中に供給
されるようになっている。
【0128】図3では、反応管53は、2本のみが記載
されているが、実際のプラントでは、1本以上の複数本
で構成される。反応管53は、下部出口に多孔板8を有
しており、この多孔板8の上方には粒状触媒9が収容さ
れている。この粒状触媒9には、銅−亜鉛系のメタノー
ル合成触媒を円筒型(φ3mm×H3mm)の多孔質粒
にしたものが使用される。また、多孔板8には、粒状触
媒9の粒径よりも小さい多数の孔が設けられている。
【0129】また、熱交換式トリクルベット型反応器4
5に供給される反応溶媒としては、テトラグライム10
(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)を用い
るが、これは冷却液56を兼ねている。合成ガス25
は、冷却液槽44の下部より導入され、合成ガスの気泡
43となって、冷却液56とともに冷却液槽44中を上
昇するように構成されている。
【0130】さらに、冷却液槽44内の冷却液56を熱
交換式トリクルベット型反応器45の外部に取り出して
冷却するための、冷却器47と外部循環路46とポンプ
48が設けられている。
【0131】[3−2.作用]次に、本実施の形態の動
作手順を流体の流れに沿って説明する。なお、以下の各
項目は、動作の中心となる機器を示す。
【0132】[3−2−1.熱交換式トリクルベット型
反応器]まず、水素、一酸化炭素、二酸化炭素を主成分
とする原料ガス22は、ガス圧縮機1で反応圧力まで加
圧されて合成ガス25とされる。この合成ガス25は、
熱交換式トリクルベット型反応器45中の冷却液槽44
の下部より導入される。冷却液槽44では、冷却液56
が満たされており、導入された合成ガス25が、合成ガ
スの気泡43となる。合成ガスの気泡43は、冷却液5
6と熱交換しながら冷却液槽44内を上昇して、合成ガ
ス25が上部空間54に送られる。この間、合成ガス2
5は反応温度まで予熱され、反応管53の上部より反応
管53に供給される。
【0133】熱交換式トリクルベット型反応器45は、
通常、圧力5〜15MPa、温度200〜300℃で運
転されており、反応管53では、合成ガス25が粒状触
媒9と接触してメタノールの合成反応が生じ、メタノー
ル、水などの生成物が生成される。
【0134】一方、反応溶媒であるテトラグライム10
は、冷却液56を兼ねており、熱交換式トリクルベット
型反応器45内の冷却液槽44の下部より導入され、冷
却液槽44内で反応管53と熱交換されて予熱される。
つまり、反応管53においては、メタノールの合成反応
による反応熱が生じ、反応管53が加熱される。この加
熱された反応管53をテトラグライム10が冷却し、テ
トラグライム10は反応温度まで加熱される。その間、
合成ガス25の気泡43が予熱される。
【0135】テトラグライム10は、冷却液槽44より
あふれ出て、反応管53の上部より反応管53に供給さ
れ、生成したメタノール、水などの生成物と未反応ガス
からなる反応ガスと接触しながら粒状触媒9上を滴り落
ちる。この間、上記メタノールや水などの生成物は、テ
トラグライム10に溶解する。
【0136】また、粒状触媒9は、メタノールの合成反
応による反応熱で加熱されるが、運転温度の200℃〜
300℃以上にならないように、粒状触媒9上を滴り落
ちるテトラグライム10が触媒の反応熱を除去し、反応
管53内の温度分布を均一にする。
【0137】なお、パーパス収率が高い場合、あるい
は、パーパス生産量を上げるため合成ガス25の導入量
を多くすると、冷却液56(テトラグライム10)のみ
では、上記の反応熱を回収しきれない場合がある。かか
る場合には、冷却液56(テトラグライム10)の温度
が上昇し反応温度以上にならないように、外部循環路4
6上のポンプ48によって冷却液56を反応器外部に取
り出して、冷却器47で所定の温度まで冷却した後、再
び熱交換式トリクルベット型反応器45に戻す。
【0138】また、熱交換式トリクルベット型反応器4
5内で反応せずに残った未反応ガスや、反応で生成した
メタノール、水などの生成物、テトラグライム10など
は、液体排出流28として熱交換式トリクルベット型反
応器45の下部から外部に排出される。
【0139】なお、本実施の形態のメタノール合成プラ
ントでは、熱交換式トリクルベット型反応器45から排
出される未反応ガスが、熱交換式トリクルベット型反応
器45から排出されるテトラグライム10に溶解してい
る分だけになるように、すなわち、気体の未反応ガスが
排出されないような条件で熱交換式トリクルベット型反
応器45を作動させる。
【0140】このためには、テトラグライム10と合成
ガス25の熱交換式トリクルベット型反応器45への導
入量が、所定の量になるように、それぞれポンプ21と
流量調整バルブ49で調整される。あるいは、熱交換式
トリクルベット型反応器45における反応温度、反応圧
力などの反応条件を変えて、合成ガス25からメタノー
ルへの生成反応の反応速度を調整する。いずれかの方法
で、テトラグライム10に溶解している未反応ガスのみ
が排出されることになる。
【0141】熱交換式トリクルベット型反応器45の下
部の下部空間55には、反応で生成したメタノール、水
などの生成物と少量の未反応ガスが溶解したテトラグラ
イム10などからなる液体溶液50のみが溜まってお
り、その底より液体排出流28として熱交換式トリクル
ベット型反応器45の外部へ排出される。
【0142】[3−2−2.気液分離器]液体排出流2
8は、減圧弁16で所定の圧力まで減圧され、冷却器1
4で所定の温度に冷却されて、高温低圧気液分離器5に
送られる。この結果、高温低圧気液分離器5においてメ
タノールと水など生成物の蒸気と未反応ガスからなる気
体生成物流30とテトラグライム10とに気液分離さ
れ、高温低圧気液分離器5の上方より気体生成物流30
として、下方よりテトラグライム10の溶媒流31とし
て排出される。
【0143】生成物および未反応ガスの大半が除去され
た溶媒流31(テトラグライム10)は、ポンプ21で
反応圧力まで加圧された後、熱交換式トリクルベット型
反応器45に戻される。一方、テトラグライム10の大
半が除去された気体生成物流30は、冷却器15でさら
に冷却されテトラグライム10、メタノール、水などの
蒸気を凝縮させてから低温低圧気液分離器6に送られ
る。
【0144】なお、高温低圧気液分離器5において、熱
交換式トリクルベット型反応器45の下部からの液体排
出流28(液体溶液50)を、気体排出流30と溶媒流
31へ気液分離することは、熱交換式トリクルベット型
反応器45の運転温度、圧力で液体溶液50とその上部
の気相との間で平衡になっているため、上述の実施の形
態と同様の理由によって容易である。以降の手順は、上
記の第2の実施の形態と同様であるため、説明を省略す
る。
【0145】[3−3.効果]以上のような本実施の形
態の効果は以下の通りである。すなわち、本実施の形態
においては、第2の実施の形態と同様の構成及び作用を
有し、テトラグライム10は第2の実施の形態のトリグ
ライム38と同様の役割を果たすため、第2の実施の形
態と同様の効果が得られる。
【0146】さらに、本実施の形態においては、熱交換
式トリクルベット型反応器45において、反応管53の
周囲に冷却液槽44を設け、冷却液槽44内に下部より
上部に向かって冷却液56を流すことにより、反応熱を
効率良く回収することができる。その結果、反応管53
内を均一に近い温度に維持でき、触媒が局所的高温にな
ることを防止できるため、触媒の劣化を抑制できる。
【0147】また、上記のメタノール合成反応に最も適
した温度で反応させることができるため、反応管53を
大型化させて冷却液槽を設けない場合に比べてパーパス
収率を向上することができる。
【0148】また、冷却液56として、反応溶媒である
テトラグライム10を用いているので、反応熱によって
テトラグライム10を予熱することができる。この結
果、反応溶媒であるテトラグライム10を予熱するため
の予熱器や熱交換器を小型化でき、あるいは不要となる
ため、プラントを小型化できる。
【0149】また、合成ガス25の予熱を上記の冷却液
56と熱交換することによって行っているため、上記と
同様、反応熱によって合成ガス25を予熱することがで
きる。この結果、合成ガス25を予熱するための予熱器
や熱交換器を小型化でき、あるいは不用となるため、プ
ラントを小型化できる。
【0150】また、冷却液56中では、合成ガス25が
合成ガスの気泡43として予熱されるため、冷却液56
が攪拌される。この結果、冷却液槽44の温度が均一に
なり、冷却液としての上記の効果がいっそう得られるよ
うになる。
【0151】なお、熱交換式トリクルベット型反応器4
5内では、温度分布が反応温度近くで均一になるだけで
なく、熱交換式トリクルベット型反応器45内の圧力分
布も反応圧力近くで均一なる。また、温度分布にムラが
小さいため、温度差による応力が発生を抑制できる。こ
れらの結果、熱交換式トリクルベット型反応器45の外
容器のみ耐圧構造にすれば良く、内部は、さほど耐圧を
考慮しなくて済む。すなわち、熱交換式トリクルベット
型反応器45内部をシンプルにできる。あるいは、プラ
ントの運転条件に最適化した構造が複雑であっても、そ
れを可能にするともに、低コストでできるようになる。
従って、メタノール合成プラントを大型化した場合であ
っても、コストダウンにつながり、コンパクトな反応器
にすることが可能である。
【0152】また、熱交換式トリクルベット型反応器4
5に、冷却液槽44内の冷却液56を冷却するための冷
却器47およびポンプ48を設け、冷却液槽44の上部
より冷却液56を抜き出し、所定の温度まで冷却した
後、冷却液槽44の下部に戻すことによって、冷却液槽
44内を均一に近い温度に維持できるとともに、温度制
御も容易となる。すなわち、反応管53内を均一に近い
温度に維持できるとともに、温度制御も容易である。こ
の結果、上記のメタノール合成反応に最も適した温度で
反応させることができるため、熱交換式トリクルベット
型反応器45を大型化して冷却器およびポンプを設けな
い場合に比べて、パーパス収率を向上することができ
る。
【0153】4.第4の実施の形態 [4−1.構成]本実施の形態の構成を図4に基づいて
説明する。なお、上記の第2の実施の形態と同様の構成
部分は同一の符号を付して説明を省略する。すなわち、
本実施の形態は、ガス圧縮機1、スラリー床反応器6
1、高温低圧気液分離器5、低温低圧気液分離器6、精
留装置7、熱交換器37、冷却器14,15、減圧弁1
6、流量調整バルブ18,20,49,スラリーポンプ
73などによって構成されている。
【0154】スラリー床反応器61内には、テトラグラ
イム10中に粉末触媒を高分散させた触媒懸濁液62
が、スラリー床として収容されている。スラリー床反応
器61内の下部71には、合成ガス25を供給するため
の合成ガス供給部68が配置されている。スラリー床反
応器61内の上部70には、触媒懸濁液62を供給する
ための触媒懸濁液供給部69が配置されている。この触
媒懸濁液供給部69は、触媒懸濁液62がシャワー状に
噴射されるように、シャワー構造となっている。
【0155】この触媒懸濁液62は、スラリー床反応器
61中に、メタノール合成反応における反応熱を除去す
るために配置された複数本の冷却管72を介して、触媒
懸濁液供給部69から供給される構成となっている。
【0156】[4−2.作用]次に、本実施の形態の動
作手順を流体の流れに沿って説明する。なお、以下の各
項目は、動作の中心となる機器を示す。
【0157】[4−2−1.スラリー床反応器]まず、
水素、一酸化炭素、二酸化炭素を主成分とする原料ガス
22は、未反応ガス流24aとともにガス圧縮機1で反
応圧力まで加圧・混合されて合成ガス25とされる。こ
こで、未反応ガス流23は、高圧であるのでガス圧縮機
1の途中から導入される。この合成ガス25は、熱交換
器37で予熱された後、スラリー床反応器61にその下
部から供給される。なお、合成ガス25の温度が上がり
過ぎないように、熱交換器11に導入する合成ガス25
の量を流量調整バルブ18で調整する。
【0158】一方、反応溶媒であるテトラグライム10
中に粉末触媒を分散させた触媒懸濁液62は、スラリー
床反応器61の上部にある触媒懸濁液供給部69からシ
ャワー状に供給される。
【0159】スラリー床反応器61は、通常、圧力5〜
15MPa、温度200〜300℃で運転されており、
その下部では、合成ガス供給部68から合成ガス25を
触媒懸濁液62中を均一にバブリングすることにより、
この合成ガス25の気泡63が触媒懸濁液62の中を粉
末触媒と接触しながら上昇し、その間にメタノールの合
成反応が生じる。
【0160】スラリー床反応器61内で反応せずに残っ
た未反応ガスや、反応で生成したメタノール、水などの
生成物が溶解しているテトラグライム10および粉末触
媒からなる触媒懸濁液62は、液体排出流28として熱
交換式スラリー床反応器61の下部から外部に排出され
る。
【0161】本実施の形態のメタノール合成プラントで
は、スラリー床反応器61から排出される未反応ガス
が、触媒懸濁液62に溶解している分だけになるよう
に、すなわち、気体の未反応ガスが排出されないような
条件でスラリー床反応器61を作動させる。このために
は、スラリー床反応器61への触媒懸濁液62と合成ガ
ス25の導入量が、所定の量になるように、それぞれポ
ンプ21と流量調整バルブ49で調整される。
【0162】あるいは、スラリー床反応器61における
反応温度、反応圧力などの反応条件を変えて、合成ガス
25からメタノールへの生成反応の反応速度を調整す
る。いずれかの方法で、触媒懸濁液62に溶解している
未反応ガスのみがスラリー床反応器61の外部に排出さ
れるようになる。
【0163】スラリー床反応器61の上部の反応器上部
70には、気体の未反応ガスがたまる場合もあるが、メ
タノール等が溶解していない触媒懸濁液62を触媒懸濁
液供給部69からシャワー状に噴射することによって、
未反応ガスと接触させる。この結果、メタノール合成反
応が進み気体の未反応ガスを減少させる。なお、不活性
なガス等が原料ガス22に含まれている場合など、触媒
懸濁液62に溶解しない分は、反応器上部70に溜まっ
てくるので、時々パージする。但し、このパージライン
は図8においては表示を省略している。
【0164】また、触媒懸濁液62をシャワー状に噴射
することによって、合成ガス25を触媒懸濁液62にバ
ブリングする際に、反応器上部70に生じる泡をなくす
ことができる。一方、反応器下部71には、合成ガス供
給部とスラリー床反応器61の底との間を空けることに
よって、気泡63が液体排出流28と一緒に排出されな
いようにする。
【0165】[4−2−2.気液分離器]スラリー床反
応器61より排出された液体排出流28は、触媒懸濁液
62のまま熱交換器37で合成ガス25と熱交換して温
度低下した後、減圧弁16によって所定の圧力まで減圧
され、冷却器14で所定の温度に冷却されて、高温低圧
気液分離器5に送られる。
【0166】この過程で、液体排出流28中の触媒懸濁
液62に溶解していたメタノール、水などの生成物と未
反応ガスが脱気され、高温低圧気液分離器5においてメ
タノールと水など生成物の蒸気と未反応ガスからなる気
体生成物と触媒懸濁液62に気液分離される。
【0167】触媒懸濁液62の大半が除去されて高温低
圧気液分離器5の上方より排出された気体生成物流30
は、冷却器15でさらに冷却されて、テトラグライム1
0、メタノール、水などの蒸気を凝縮させてから低温低
圧気液分離器6に送られる。なお、高温低圧気液分離器
5において、液体排出流28(触媒懸濁液62)を気体
排出流30と溶媒流31へ気液分離することは、上述の
実施の形態と同様に容易である。
【0168】一方、生成物および未反応ガスの大半が除
去されて高温低圧気液分離器5の下方より排出された溶
媒流31(触媒懸濁液62)は、スラリーポンプ73で
反応圧力まで加圧された後、スラリー床反応器61に戻
されるが、この際、溶媒流31は、スラリー床反応器6
1内に設けられている複数本の冷却管72の中を通して
予熱される。すなわち、溶媒流31(触媒懸濁液62)
が、スラリー床反応器61で生じる反応熱を冷却する冷
却液を兼ねており、その反応熱によって、触媒懸濁液6
2は反応温度まで予熱される。この触媒懸濁液62が、
触媒懸濁液供給部69より、再度スラリー床反応器61
内に戻される。
【0169】また、冷却器15で冷却された気体生成物
流30は、低温低圧気液分離器6において再度気液分離
が行われる。以降の手順は、上記の第2の実施の形態と
ほぼ同様である。なお、未反応ガス流24は、一部を未
反応ガス流24bとしてパージし、残りの未反応ガス流
24aは、ガス圧縮機1に戻されるが、パージ量は、流
量調整バルブ20で調整される。未反応ガスは、スラリ
ー床反応器61の作動温条件における液体排出流28
(触媒懸濁液62)に溶解している量のみと少ないの
で、未反応ガス流24全量を(未反応ガス流24bとし
て)パージすることができる。この場合、未反応ガスa
のリサイクルガスラインおよびガス圧縮機1での再圧縮
は、不要となる。
【0170】[4−3.効果]以上のような本実施の形
態の効果は、以下の通りである。すなわち、本実施の形
態においては、第2の実施の形態と同様の作用効果を有
し、テトログライム10は第2の実施の形態のトリグラ
イム38と同様の役割を果たすため、第2の実施の形態
と同様の効果が得られる。
【0171】さらに、本実施の形態においては、スラリ
ー床反応器61内において、縦方向に複数本の冷却管7
2を設けており、冷却管72の上部から下部に向かって
冷媒を流す事によって反応熱を効率良く回収することが
できる。この結果、スラリー床反応器61内を均一に近
い温度に維持でき、触媒が局所的に高温になることを防
止できるため、触媒の劣化を抑制できる。また、上記の
メタノール合成反応に最も適した温度で反応させること
ができるため、スラリー床反応器61を大型化して冷却
器を設けない場合に比べて、パーパス収率を向上でき
る。
【0172】また、予熱されたメタノール等が溶解して
いない触媒懸濁液62を、触媒懸濁液供給部69からシ
ャワー状に噴射することにより、反応器上部70に溜ま
っている気体の未反応ガスが、メタノール等が溶解して
いない触媒懸濁液62の噴霧と接触するので、効率よく
メタノール合成反応が進み、メタノールに転化され、気
体の未反応ガスが減少する。
【0173】また、合成ガス25を触媒懸濁液62にバ
ブリングすることによって、反応器上部70に生じる泡
をなくすことができる。さらに、反応器下部71におい
ては、合成ガス供給部とスラリー床反応器61の底との
間が空いているので、気泡63が液体排出流28と一緒
に排出されない。
【0174】5.第5の実施の形態 [5−1.構成]本実施の形態の構成を図5に基づいて
説明する。なお、上記の第1の実施の形態と同様の構成
部分は同一の符号を付して説明を省略する。すなわち、
本実施の形態は、ガス圧縮機1、多孔管反応器74、低
温高圧気液分離器4、高温低圧気液分離器5、低温低圧
気液分離器6、精留装置7、熱交換器11,12、冷却
器13〜15、減圧弁16,17、流量調整バルブ18
〜20、ポンプ21などから構成されている。
【0175】多孔管反応器74は、多孔質内管75(触
媒充填部)、溶媒循環部83、外部容器79によって構
成されている。なお、多孔質内管75は、図5では1本
のみが記載されているが、実際のプラントでは、外部容
器79内に1本以上、複数本で構成される。また、外部
容器79を管状にし、多孔質内管75との二重管にする
ことも可能である。
【0176】多孔質内管75は、下部出口に多孔板8を
有しており、この多孔板8の上方には粒状触媒51が収
容されている。この粒状触媒51には、銅−亜鉛系のメ
タノール合成触媒を円筒型(φ2mm×H2mm)多孔
質粒にしたものが使用されている。また、多孔板8に
は、粒状触媒51の粒径よりも小さい多数の孔が設けら
れている。
【0177】多孔質内管75の外側、すなわち、多孔質
内管75と外部容器79との間の溶媒循環部83には溶
媒82が満たされている。多孔質内管75は多孔質管壁
84を有し、この多孔質管壁84内は、孔径が内部側よ
り外部側が小さくなるように傾斜化されている。なお、
溶媒82としては、テトラグライム10を使用してい
る。
【0178】[5−2.作用]次に、本実施の形態の動
作手順を流体の流れに沿って説明する。なお、以下の各
項目は、動作の中心となる機器を示す。
【0179】[5−2−1.多孔管反応器]まず、水
素、一酸化炭素、二酸化炭素を主成分とする原料ガス2
2は、未反応ガス流23,24aとともにガス圧縮機1
で反応圧力まで加圧・混合されて合成ガス25とされ
る。未反応ガス流23は、高圧であるのためガス圧縮機
1の途中から導入される。
【0180】この合成ガス25は、熱交換器11で予熱
された後、多孔管反応器74における多孔質内管75の
上部から供給される。なお、合成ガス25の温度が上が
り過ぎないように、熱交換器11に導入する合成ガス2
5の量が、流量調整バルブ18で調整される。
【0181】一方、テトラグライム10は、熱交換器1
2で予熱されて、多孔管反応器74における溶媒循環部
83の上方より供給され、溶媒循環部83を流れて、そ
の下方より液体排出流28として排出される。なお、テ
トラグライム10が、多孔質内管75内に染み出してこ
ないように、多孔質内管75の内外には、圧力差を持た
せてある。すなわち、後述する気体排出流27の圧力を
減圧弁17で調整し、液体排出流28の圧力を減圧弁1
6で調整することによって、多孔質内管75内部の圧力
を溶媒循環部83より若干高くする。この圧力差は、
0.001〜0.1MPaとし、多孔質管壁84の空孔
の大きさや溶媒82の密度や粘性によって変わってく
る。本実施の形態では、0.01MPa程度が望まし
い。
【0182】この多孔管反応器74では、通常、圧力5
〜15MPa、温度200〜300℃で運転され、多孔
質内管75内において、合成ガス25が粒状触媒51と
接触してメタノールの合成反応が生じ、メタノールと水
などの生成物が生成する。溶媒循環部83を流れる溶媒
82(テトラグライム10)は、多孔質内管75内で生
じた反応熱で加熱された多孔質内管75を冷却する。
【0183】多孔質管壁84内は、孔径が内部側より外
部側が小さくなるように傾斜化されているので、外部寄
りの孔内に、合成ガス25と生成したメタノール、水な
どの生成物からなる反応ガスと溶媒82との界面が存在
する。この結果、溶媒82は、生成した反応ガス中のメ
タノールを吸収する。すなわち、テトラグライム10
が、溶媒循環部83内を降下する間に、反応ガスと接触
しながら、その間、メタノールや水などの生成物を吸収
する。
【0184】また、この多孔質内管75内の反応で生成
し、テトラグライム10に溶解しなかったメタノール、
水などの生成物と、テトラグライム10の蒸気や反応せ
ずに残った未反応ガスを主成分とする気体排出流27
は、多孔質内管75の下方から多孔管反応器74の外部
に排出される。
【0185】[5−2−2.気液分離器]気体排出流2
7は、ほとんど圧力を保持したまま、熱交換器11にお
いて合成ガス25と熱交換して温度低下された後、冷却
器13で20℃程度まで冷却され、低温高圧気液分離器
4に送られる。この過程で、気体排出流27中のメタノ
ール、水、テトラグライム10の蒸気は凝縮し、低温高
圧気液分離器4において、未反応ガス流23と、メタノ
ール、水、テトラグライム10からなる液体生成物流2
9とに分離される。このうち、液体生成物流29は、減
圧弁17で適当な圧力まで減圧して、溶解していた未反
応ガスを脱気させてから低温低圧気液分離器6に送られ
る。そして、未反応ガス流23は、ガス圧縮器1の途中
に戻される。
【0186】一方、溶媒循環部83の下部より排出され
た液体排出流28は、テトラグライム10を主成分とし
ており、メタノール、水などの生成物と若干の未反応ガ
スが溶解している。この液体排出流28は、熱交換器1
2において溶媒流31と熱交換されて温度低下した後、
減圧弁16で所定の圧力まで減圧され、冷却器14で所
定の温度に冷却されて高温低圧気液分離器5に送られ
る。高温低圧気液分離器5においては、メタノールと水
など生成物の蒸気と未反応ガスからなる気体生成物流3
0とテトラグライム10とに気液分離され、高温低圧気
液分離器5の上方より気体生成物流30として、下方よ
り溶媒流31として排出される。この後の手順は、上記
の第1の実施の形態と同様である。
【0187】なお、本実施の形態では、記載を省略した
が、多孔管反応器74において、メタノール、水以外の
物質も副生成物として生成する。これらの副生成物は、
常に各生成物流、排出流等に含まれており、最終的には
精留装置7より排出される。また、高沸点の副生成物は
溶媒流31に含まれており、これを除去する装置を、溶
媒流31が多孔管反応器74に戻される前に組み込むこ
とも可能である。
【0188】[5−3.効果]以上のような本実施の形
態の効果は以下の通りである。すなわち、本実施の形態
においては、第1の実施の形態と同様の構成及び作用を
有し、テトログライム10を用いるので、第1の実施の
形態と同様の効果が得られる。
【0189】さらに、本実施の形態においては、多孔質
内管75(触媒充填部)内では、触媒が溶媒で濡れない
ため、反応速度が速い気相反応が起こり容易に平衡に達
する。そして、多孔質内管75内で生成したメタノール
は反応条件下で溶媒循環部83内のテトラグライム10
に溶解するので、多孔質内管75内において合成ガス2
5中のメタノール濃度を低下する。この結果、触媒表面
で生成したメタノールは触媒表面からすばやく脱離する
ので、触媒表面のメタノール濃度が低下し、反応が進行
する。これにより、熱力学的制限が緩和されるため、メ
タノール合成のパーパス収率が気相反応における平衡値
を大きく超えることも可能となる。また、原料ガスの供
給速度を上げても高いパーパス収率が得られる。従っ
て、メタノールの空時収量が向上し、反応器をコンパク
トにできる。
【0190】また、多孔質内管75内部より溶媒循環部
83とで圧力差をつけることによって、溶媒が触媒充填
されている多孔質内管75内部側に流出しないようにし
ているので、上記の細孔径を大きくすることができ、原
料ガスの供給速度を上げても高いパーパス収率が得ら
れ、メタノールの空時収量が向上し、反応器をコンパク
トにできる。
【0191】6.第6の実施の形態 [6−1.構成]本実施の形態の構成を図6に基づいて
説明する。なお、第2の実施の形態と同様の構成部分は
同一の符号を付して説明を省略する。すなわち、本実施
の形態は、ガス圧縮機1、トリクルベット型反応器2、
低温高圧液液分離器77、低温低圧気液分離器6、精留
装置7を有し、各機器を接続する配管に、熱交換器1
2,37、冷却器14、減圧弁17、流量調整バルブ1
8,19,49、ポンプ21,78が設けられている。
【0192】トリクルベット型反応器2は、上記の第1
の実施の形態と同様の構成を有しているが、反応溶媒と
しては、デカン80を用いる。また、低温高圧液液分離
器77には、ポンプ81を介してメタノールの抽出媒体
として抽出液79を供給する構成となっている。この抽
出液としては、精留装置7で生成物流32から分離され
た水35を利用する。つまり、精留装置7において、生
成物流32からメタノールを精製する際に副精製物とし
て生じる水が、ポンプ81で低温高圧液液分離器77に
送られるように構成されている。[6−2.作用]
【0193】次に、本実施の形態の動作手順を流体の流
れに沿って説明する。なお、以下の各項目は、動作の中
心となる機器を示す。
【0194】[6−2−1.トリクルベット型反応器]
まず、反応媒体としてデカン80を用いる以外は、トリ
クルベット型反応器2をにおける作用は、第1の実施の
形態と同様である。また、このトリクルベット型反応器
2内で反応せずに残った未反応ガスや、反応で生成した
メタノール、水などの生成物、デカン80などは、液体
排出流28としてトリクルベット型反応器2の下部から
外部に排出される。
【0195】トリクルベット型反応器2から排出される
未反応ガスが、トリクルベット型反応器2から排出され
るデカン80に溶解している分だけになるように、すな
わち、気体の未反応ガスが排出されないような条件でト
リクルベット型反応器2を作動させる。
【0196】このためには、デカン80と合成ガス25
のトリクルベット型反応器2への導入量を、それぞれ、
ポンプ21と流量調整バルブ49で調整する。あるい
は、トリクルベット型反応器2における反応温度、反応
圧力などの反応条件を変えて、合成ガス25からメタノ
ールへの生成反応の反応速度を調整する。いずれかの方
法で、デカン80に溶解している未反応ガスのみが排出
されることになる。
【0197】なお、トリクルベット型反応器2の下部に
は、反応で生成したメタノール、水などの生成物と未反
応ガスが溶解したデカン80などからなる液体溶液50
のみが溜まっており、その底より液体排出流28として
トリクルベット型反応器2の外部に排出される。
【0198】[6−2−2.液液分離器]この液体排出
流28は、ほとんど圧力を保持したまま熱交換器37で
合成ガス25と熱交換され、熱交換器12で排出流31
と熱交換して温度低下された後、冷却器14で20℃程
度まで冷却され、低温高圧液液分離器77に送られる。
この過程で、液体排出流28中のデカン80、メタノー
ル、水等の生成物は、低温高圧液液分離器77におい
て、上方にデカン80を主成分とする溶媒相31a、下
方にメタノール、水等の生成物を主成分とする液体生成
物相29aの2相に相分離する。
【0199】ここで、デカン80と液体生成物29が相
分離しても、溶媒相31a中に溶解するメタノール量は
小さくないので、デカン80とメタノールを高純度に分
離するのは容易ではない。そこで、本実施の形態におい
ては、低温高圧液液分離器77にポンプ81を介してメ
タノールを抽出する抽出液79を供給するようにする。
すると、この抽出液79によってデカン80とメタノー
ルを高純度で分離することができる。
【0200】すなわち、抽出液79として水35を用い
た場合、低温高圧液液分離器77に供給された水35に
よって、液体生成物相29a中のメタノール濃度を低下
させ、溶媒相31a中のメタノールを液体生成物相29
a側に抽出する事ができる。
【0201】ただし、各相には各相の主成分以外の成分
も若干量含まれており、溶媒相31a中にはメタノール
や水が、液体生成物相29a中にはデカン80が混入し
ている。また、低温高圧液液分離器77で相分離した溶
媒相31aは、ポンプ78で溶媒流31として抜き取ら
れ、熱交換器12で反応温度まで予熱してからトリクル
ベット型反応器2に戻される。液体生成物相29aは、
減圧弁17で減圧するだけで、テトラグライム10の大
半が除去された液体生成物流29として低温高圧液液分
離器77の下部から排出される。
【0202】ここで、トリクルベット型反応器2におい
て、反応条件下における溶解度に相当する未反応ガスが
液体溶液50に溶解している。このため、その溶解度は
低温高圧ほど大きくなり、反応条件下で液体溶液50に
溶解した未反応ガスは、液体排出流28を反応条件より
昇温か減圧でもしない限り溶出することはない。
【0203】この結果、低温高圧液液分離器77におい
ては、平衡的には、上部に未反応ガスなどの気相が存在
するが極めて少量であり、排出される未反応ガスの大半
が溶媒相31aと液体生成物相29aに溶解している。
すなわち、溶媒流31および液体生成物流29中に未反
応ガスが含まれている。
【0204】なお、未反応ガスの溶解度は、メタノール
/水溶液よりデカン80の方が大きいため、ほとんどの
未反応ガスが溶媒流31に溶解し、溶媒流31とともに
トリクルベット型反応器2に戻される。
【0205】[6−2−3.気液分離器]液体生成物流
29は、減圧弁17において適当な圧力まで減圧して、
液体生成物に溶解していた未反応ガスを脱気させてから
低温低圧気液分離器6に送られ、気液分離が行われる。
本実施の形態の場合、低温低圧気液分離器6の作動温度
・圧力は、20℃、0.1MPaが最も望ましいが、こ
れに限定するものではない。
【0206】この結果、低温低圧気液分離器6におい
て、残存していた未反応ガスと、生成物を主成分とし若
干のデカン80を含む液体とに気液分離され、上方より
未反応ガス流24として、下方より生成物流32として
排出される。また、未反応ガス流24にも若干のメタノ
ール/水が含まれるが、生成物流32に比べれば極めて
少ない。そして、未反応ガス流24は、一部を未反応ガ
ス流24bとしてパージし、残りの未反応ガス流24a
はガス圧縮機1に戻される。パージ量は、流量調整バル
ブ20で調整される。一方、生成物流32は、精留装置
7に送られる。
【0207】[6−2−4.精留装置]精留装置7で
は、メタノール、水、デカン80の沸点差が大きいため
蒸留塔で容易に精留できる。すなわち、常圧における沸
点は、デカン160.3℃、水100℃、メタノール6
4。7℃である。したがって、精留装置7からは、メタ
ノール34、水35、デカン80、未反応ガス流24c
として排出される。このうち、メタノール34が製品メ
タノールとなる。
【0208】水35の一部は、抽出液79としてポンプ
81で加圧した後低温高圧液液分離器77に供給され
る。また、デカン80は、ポンプ21で反応圧力まで加
圧した後、溶媒流31と合流させてトリクルベット型反
応器2に戻される。
【0209】一方、未反応ガス流24cは量が少ないの
で上記の未反応ガス流24bとともに空気33と混合さ
せて燃焼し、精留装置7の熱源として利用する。燃焼後
のガスは、パージガス36としてメタノール合成プラン
トの外部に排出される。
【0210】[6−3.効果]以上のような本実施の形
態の効果は以下の通りである。すなわち、本実施の形態
においては、第2の実施の形態と同様の構成及び作用を
有し、デカン80は、第2の実施の形態のトリグライム
38と同様の役割を果たすため、第2の実施の形態と同
様の効果が得られる。
【0211】また、本実施の形態では、低温高圧液液分
離77において未反応ガスの多くが溶解している溶媒相
31aは、溶媒流31としてトリクルベット型反応器2
に戻されるので、トリクルベット型反応器2から排出さ
れた未反応ガスの多くが、同反応器に戻されることにな
り、原料ガスの転化率が向上する。従って、収率が限り
なく100%に近づき、供給される原料ガスの大部分が
メタノールに変換される。
【0212】さらに、抽出液79に用いる水をプラント
の外部から供給した場合、大型プラントの場合や水資源
が貴重な地域で使用するプラントの場合には、そのコス
トがかかるが、本実施の形態では、低温低圧気液分離器
6から生成物流32を精留装置7へ送ってメタノール、
水、デカン80の精留を行う際に、この精留装置7から
排出される水の一部をメタノールの抽出液79として再
利用しているので、コストの節約が可能となる。
【0213】7.他の実施の形態 本発明は上記のような実施の形態に限定されるものでは
なく、例えば、以下のような実施の形態も構成可能であ
る。すなわち、ガス圧縮機1より排出される合成ガス2
5の温度が低いと熱交換器11のみでは、適当な温度ま
で予熱されない可能性がある。この場合、熱交換器11
の後に予熱器を設置するか、あるいは反応器において、
生じた反応熱で合成ガスを所定の温度まで予熱できる構
造にする。逆に、ガス圧縮機1より排出される合成ガス
25の温度が高い場合は、熱交換器11と流量調整バル
ブ18が不要となり、新たに冷却器を設置する必要があ
る。この場合、新たに設置する冷却器は熱交換型とすれ
ば、回収した熱を精留装置7あるいは他の装置で利用で
きる。
【0214】また、メタノール合成プラント以外のプラ
ントからの高温廃熱が利用できる場合、未反応ガス流2
4b、24cを空気33と混合して燃焼させる必要はな
い。あるいは、燃焼させた熱を上記の合成ガス25用の
予熱器や他の装置などの熱源に利用することができる。
【0215】また、第1の実施の形態において、例え
ば、高温高圧気液分離器3と同様の機能をトリクルベッ
ト型反応器2内部に設けることができる。すなわち、高
温高圧気液分離器3の作動温度・圧力は、トリクルベッ
ト型反応器2のそれと同じか近い条件である。このた
め、トリクルベット型反応器2の下部に液溜を設置する
ことにより、容易に未反応ガスと生成物の蒸気などから
なる気体排出流27と、生成物などが溶解したテトラグ
ラムからなる液体排出流28に気液分離される。
【0216】この場合、トリクルベット型反応器2か
ら、液溜の下部より液体排出流28として、液溜の上方
の気相より気体排出流27として排出されるが、その作
用と効果は、高温高圧気液分離器3を用いた場合と同様
である。トリクルベット型反応器2の下部にこのような
液溜を設けた場合は、トリクルベット型反応器2から高
温高圧気液分離器3に至る排出流26のラインと高温高
圧気液分離器3は不要である。
【0217】また、第2の実施の形態においては、例え
ば、反応溶媒の種類や、トリクルベット型反応器39の
運転条件を変えることによって、未反応ガス成分の溶媒
への溶解度を小さくできる。すなわち、気体生成物流3
0中の未反応ガスの量が少なくなり、この場合、高温低
圧気液分離器5より排出された気体生成物流30を冷却
器15で冷却後、直接精留装置7に導入してメタノール
を精製しても精留装置7のランニングコストが大きくな
らない。この場合、低温低圧気液分離器6や未反応ガス
流24のリサイクルライン等が不要となり、メタノール
合成プラントの小型化・抵コスト化ができる。
【0218】また、トリクルベット型反応器39を反応
器から液体の排出流だけでなく気体の排出流(未反応ガ
ス)が排出される条件で作動させることもできる。この
場合、分離システム等のトリクルベット型反応器39以
外の部分は、第1の実施の形態のメタノール合成プラン
トと同様の構成、作用、効果になる。また、反応溶媒と
してトリグライム38でなくテトラグライム10を使用
しても、第2の実施の形態のメタノール合成プラントの
作用、効果は変わらない。
【0219】また、第3の実施の形態において、熱交換
式トリクルベット型反応器45、高温低圧気液分離器5
や精留装置7等の作動条件によっては、溶媒流31の温
度が、熱交換式トリクルベット型反応器45に導入する
テトラグライム10の温度条件より高い場合がある。こ
の場合、ポンプ21と熱交換式トリクルベット型反応器
45の間に冷却器を設けて、溶媒流31を所定の温度に
冷却してから熱交換式トリクルベット型反応器45に導
入する。なお、この場合の冷却器は、熱交換型冷却器と
すれば、廃熱をスチーム等にして精留装置7の熱源ある
いはメタノール合成プラント以外の装置で利用すること
ができる。
【0220】一方、熱交換式トリクルベット型反応器4
5に導入するテトラグライム10の温度条件より低い場
合は、ポンプ21と熱交換式トリクルベット型反応器4
5の間に予熱器、あるいは、液体排出流28との熱交換
器を設けて、溶媒流31を所定の温度に予熱してから熱
交換式トリクルベット型反応器45に導入する。
【0221】また、第4の実施の形態において、スラリ
ー床反応器61の作動条件によっては、メタノール合成
反応の反応速度が遅くなる。それに対応するため、通
常、スラリー床反応器61を縦方向に長くして気泡63
と触媒懸濁液62との接触時間を長くする。すなわち、
反応時間が長くなる。しかし、そのようにした場合、ス
ラリー床反応器61の下部になるほど気泡63中のメタ
ノール濃度が低く、上部でテトラグライム10に吸収さ
れたメタノールが気泡63中に拡散して、気泡63中の
メタノール濃度が高くなる。このため、反応速度が遅く
なる。
【0222】これに対応するため、本実施の形態の変形
例として触媒懸濁液供給部69を反応器下部71に設
け、液体排出流28は、触媒懸濁液62の上部より排出
する。これにより、メタノール等が溶解していない触媒
懸濁液62がスラリー床反応器61の下部より供給さ
れ、その上方に設けられている合成ガス供給部68より
供給された合成ガス25および粉末触媒と接触しながら
上昇して、メタノール合成反応が進む。また、生成した
メタノールがテトラグライム10に溶解していく。十分
反応が進行しメタノール濃度が高くなったテトラグライ
ム10(触媒懸濁液62)は、触媒懸濁液62の上部よ
り液体排出流28として反応器の外部に排出される。
【0223】なお、本実施の形態の構成を変えることな
く、スラリー床反応器61内に触媒懸濁液62を攪拌す
る仕組みを設けることによっても上記の問題を解決する
ことができる。
【0224】また、第5の実施の形態において、多孔質
管壁84内の平均孔径分布を多孔質内管75内部側より
溶媒循環部83側が小さくなるように傾斜化させること
ができる。このようなプラントの場合、次のような効果
が得られる。すなwち、溶媒と多孔質管壁84内の細孔
内壁との間に生じる表面張力は、孔径の小さい側が大き
い側より大きくなる。つまり、多孔質管壁84内の平均
孔径分布を多孔質内管75内部側より前記溶媒循環部側
が小さくなるように傾斜化させることにより、溶媒と反
応ガスの界面の位置が溶媒循環部83に近くなる。な
お、反応ガスと溶媒82との界面において溶媒に溶解し
たメタノールは、溶媒82中を、常に新しい溶媒が供給
されるために、メタノール濃度が低い溶媒循環部83に
拡散する。しかし、一般的に溶媒中のメタノールの移動
速度は、反応ガス中のそれに比べて遅い。このため、反
応ガスと溶媒82との界面から、溶媒循環部83までの
距離が短い方が、この界面付近のメタノール濃度が低下
し、メタノールが溶媒82への溶解速度が速くなる。す
なわち、原料ガスの供給速度を上げても高いパーパス収
率が得られ、メタノールの空時収量が向上し、反応器を
コンパクトにできる。
【0225】また、多孔管反応器74において、多孔質
内管75における多孔質管壁84の細孔分布を多孔質内
管75の外側より内側を小さくすることによって、多孔
質内管75内に溶媒82を、多孔質内管75外部に合成
ガス25を流すことも可能である。この場合、多孔質内
管75外部の下方に多孔板8を設け、その上に粒状触媒
51を充填し、多孔質内管75内外の圧力差は、外側の
圧力を高くする。この結果得られる効果は上記と同じで
あり、多孔質管壁84の製法や製造コスト、強度、合成
ガス25と溶媒82の供給速度などにによって使い分け
る。
【0226】なお、一般的にセラミックス多孔管など
は、外側の孔径を小さい構造の方が製造しやすい。金属
メッシュ管などはそれに限らない。また、多孔質内管7
5を可能な限り細くして本数を増やす方が、合成ガス2
5と溶媒82との接触面積が増加し溶媒82へのメタノ
ールの吸収効率や反応熱の除熱が良くなる。
【0227】また、多孔管反応器74において、粒状触
媒51の代わりに粉末触媒を使用することもできる。こ
の場合、合成ガス25は、多孔管反応器74内の多孔質
内管75の下部より供給され、反応後の気体排出流27
はその上部より排出される。この結果、多孔質内管75
内では、多孔板8の上で合成ガス25の流れに沿って粉
末触媒が舞い、触媒流動床が形成される。すなわち、合
成ガス25と粉末触媒の接触面積が増加し反応速度が増
す。この結果、同様のパーパス収率を得る場合、多孔質
内管75を短くでき、多孔管反応器74を小型化でき
る。
【0228】なお、溶媒82(テトラグライム10)も
多孔管反応器74内の溶媒循環部83の下部より供給さ
れ、メタノール等を吸収して液体排出流28としてその
上部より排出される。
【0229】また、多孔管反応器74から排出される排
出流を液体排出流28のみにすることも可能である。そ
の方法と、得られる効果は、第2の実施の形態のメタノ
ール合成プラントと同じである。
【0230】また、第6の実施の形態において、反応溶
媒として、デカン80の代わりに更に分子量が大きいド
デカン80等の炭化水素を使用できる。このような溶媒
を用いると、反応条件下におけるメタノールの溶解性能
は、デカン80より低下する。すなわち、溶媒によるメ
タノール抽出能力が低下する分、パーパス収率の向上さ
せる効果が低下する。しかし、このような溶媒にドデカ
ン80を用いた場合、低温高圧液液分離器77の作動温
度(ほぼ常温近く)まで冷却すると、溶媒とメタノール
とが相分離し、溶媒相31a中のメタノール濃度が低く
できる。すなわち、上記のデカン80を溶媒に用いた場
合のように、低温高圧液液分離器77に、抽出液9(水
35)を供給しなくて済む。この結果、、ポンプ81等
の抽出液79を低温高圧液液分離器77に供給するため
のシステムが不要となる。
【0231】一方、反応溶媒にデカン80より分子量が
小さいノナン等を使用した場合、上記とは逆に反応条件
下のメタノール親和性が向上し反応気のパーパス収率が
向上する。但し、低温高圧液液分離器77への水35の
供給量を増やさないければならない。
【0232】なお、溶媒としては、上記の実施の形態で
示したもの以外にも様々なものを用いることができる。
すなわち、触媒性能、その性能よって決まる反応器の温
度、圧力、プラントの規模や立地条件によって、反応溶
媒を使い分け、それに合わせたプラント構成とする。望
ましい溶媒としては、炭素数nが8以上、水素数mがn
以上2n+2以下、酸素数lが1以上n/2以下の範囲
とした化学式Cnm lで表される含酸素炭化水素から
選択された材料を含むものである。より具体的には、ノ
ナン、デカン、ドデカンを含む炭素数8〜14の飽和炭
化水素及び不飽和炭化水素、テトラエチレングリコール
ジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエ
ーテルを含む炭素数nが8以上の化学式Cn2n+2n/2
若しくはCn2nn/2で表されるエーテル及び多価アル
コール、炭素数nが8以上の化学式Cn2nn/2、Cn
2n-2n/2、Cnnn/2のいずれか一つの化学式で表
される環状エーテル、ケトン及びアルデヒドからなるグ
ループの中から選択された材料を用いることが望まし
い。
【0233】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
反応熱除去が容易で原料ガスの拡散性に優れ、高いパー
パス収率と空時収量が達成できるとともに、触媒の劣化
を効果的に抑制でき、含酸素炭化水素を溶媒から効率良
く分離可能な含酸素炭化水素合成プラントを提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による含水素炭化水素合成プラントの第
1の実施の形態示す全体概略図
【図2】本発明による含水素炭化水素合成プラントの第
2の実施の形態示す全体概略図
【図3】本発明による含水素炭化水素合成プラントの第
3の実施の形態示す全体概略図
【図4】本発明による含水素炭化水素合成プラントの第
4の実施の形態示す全体概略図
【図5】本発明による含水素炭化水素合成プラントの第
5の実施の形態示す全体概略図
【図6】本発明による含水素炭化水素合成プラントの第
6の実施の形態示す全体概略図
【図7】気相合成法を用いた従来のメタノール合成方法
の一例を示す全体概略図
【図8】液相合成法を用いた従来のメタノール合成方法
の一例を示す全体概略図
【符号の説明】
1…ガス圧縮機 2…トリクルベット型反応器 3…高温高圧気液分離器 4…低温高圧気液分離器 5…高温低圧気液分離器 6…低温低圧気液分離器 7…精留装置 8…多孔板 9,51…粒状触媒 10…テトラグライム 11,12,37,203…熱交換器 13,14,15,47,224…冷却器 16,17…減圧弁 18,19,20,49…流量調整バルブ 21,48,78,81,226…ポンプ 22…原料ガス 23,24,24a,24b,24c…未反応ガス流 25…合成ガス 26…排出流 27…気体排出流 28…液体排出流 29…液体生成物流 30…気体生成物流 31…溶媒流 32…生成物流 33…空気 34…メタノール 35…水 36…パージガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 43/04 C07C 43/04 D (72)発明者 村田 圭治 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 小野田 裕子 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 Fターム(参考) 4H006 AA04 AC41 AC43 BB11 BB15 BB16 BB25 BD20 BD80 BD81 BD84 BE20 BE40 BE41 FE11 GP01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化炭素と水素とを原料として含酸素炭
    化水素を合成する含酸素炭化水素合成プラントにおい
    て、 触媒が充填された内部において、酸化炭素及び水素を含
    有する原料ガスから生成した含酸素炭化水素を、溶媒に
    溶解して排出流として排出する反応器と、 前記排出流を、前記反応器に近い温度及び圧力で、生成
    物及び未反応ガスが溶解した溶媒に富む液体排出流と、
    生成物の蒸気及び未反応ガスに富む気体排出流とに気液
    分離する第1の分離部と、 前記液体排出流を減圧し、溶媒から生成物と未反応ガス
    とを脱気させ、生成物の蒸気及び未反応ガスに富む気体
    生成物流と、前記溶媒からなる溶媒流とに気液分離する
    第2の分離部と、 前記気体排出流を、未反応ガス流と、生成物を含む液体
    生成物流とに気液分離する第3の分離部と、 前記気体生成物流と前記液体生成物流とを、未反応ガス
    流、生成物流とに分離する第4の分離部と、 前記溶媒流を前記反応器に循環させるポンプと、を有す
    ることを特徴とする含酸素炭化水素合成プラント。
  2. 【請求項2】 酸化炭素と水素とを原料として含酸素炭
    化水素を合成する含酸素炭化水素合成プラントにおい
    て、 触媒を充填された内部において、酸化炭素及び水素を含
    有する原料ガスから生成した含酸素炭化水素を溶媒に溶
    解し、生成物及び未反応ガスが溶解した溶媒に富む液体
    排出流と、溶媒と生成物の蒸気及び未反応ガスに富む気
    体排出流とが排出される反応器と、 前記気体排出流と前記液体排出流とを、未反応ガス流、
    生成物流及び溶媒流に分離する分離部と、 前記溶媒流を前記反応器に循環させるポンプと、を有す
    ることを特徴とする含酸素炭化水素合成プラント。
  3. 【請求項3】 酸化炭素と水素とを原料として含酸素炭
    化水素を合成する含酸素炭化水素合成プラントにおい
    て、 触媒を充填された内部において、酸化炭素及び水素を含
    有する原料ガスから生成した含酸素炭化水素を溶媒に溶
    解し、生成物及び未反応ガスが溶解した溶媒に富む液体
    排出流として排出する反応器と、 前記液体排出流を、未反応ガス流、生成物流及び溶媒流
    とに分離する分離部と、 前記溶媒流を前記反応器に循環させるポンプと、を有す
    ることを特徴とする含酸素炭化水素合成プラント。
  4. 【請求項4】 前記分離部は、前記液体排出流を減圧
    し、溶媒から生成物と未反応ガスとを脱気させ、生成物
    の蒸気及び未反応ガスに富む気体生成物流と、前記溶媒
    からなる溶媒流とに気液分離する分離部を有することを
    特徴する請求項2又は請求項3記載の含酸素炭化水素合
    成プラント。
  5. 【請求項5】 前記反応器は、トリクルベット型反応器
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に
    記載の含酸素炭化水素合成プラント。
  6. 【請求項6】 前記反応器における前記溶媒の供給部
    が、前記触媒が充填された部分の途中であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の含酸素炭化
    水素合成プラント。
  7. 【請求項7】 前記反応器は、前記触媒が充填された触
    媒充填部と、溶媒循環部とを備え、 前記触媒充填部と前記溶媒循部とは、反応により生成し
    た生成物の蒸気と未反応ガスとからなる反応ガスが移動
    可能な多孔質壁によって仕切られていることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載の含酸素炭化水素
    合成プラント。
  8. 【請求項8】 前記多孔質壁における平均孔径分布が、
    前記触媒充填部側より前記溶媒循環部側が小さくなるよ
    うに傾斜化されていることを特徴とする請求項7記載の
    含酸素炭化水素合成プラント。
  9. 【請求項9】 前記触媒充填部より前記溶媒循環部の圧
    力が小さいことを特徴とする請求項7又は請求項8記載
    の含酸素炭化水素合成プラント。
  10. 【請求項10】 前記反応器に、前記分離装置で分離し
    た溶媒流を冷却液として循環させる冷却器が設けられて
    いることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記
    載の含酸素炭化水素合成プラント。
  11. 【請求項11】 未反応ガス流の一部または全量を燃料
    として利用可能に設けられ、プラント内の構成機器の熱
    源を供給する燃焼部を有することを特徴とする請求項1
    〜10のいずれか1項に記載の含酸素炭化水素合成プラ
    ント。
  12. 【請求項12】 前記溶媒は、炭素数nが8以上、水素
    数mがn以上2n+2以下、酸素数lが1以上n/2以
    下の範囲とした化学式Cnmlで表される含酸素炭化
    水素から選択された材料を含むことを特徴とする請求項
    1〜11のいずれか1項に記載の含酸素炭化水素合成プ
    ラント。
  13. 【請求項13】 前記溶媒は、ノナン、デカン、ドデカ
    ンを含む炭素数8〜14の飽和炭化水素及び不飽和炭化
    水素、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ト
    リエチレングリコールジメチルエーテルを含む炭素数n
    が8以上の化学式Cn2n+2n/2若しくはCn2nn/2
    で表されるエーテル及び多価アルコール、炭素数nが8
    以上の化学式Cn2nn/2、Cn2n-2n/2、Cnn
    n/2のいずれか一つの化学式で表される環状エーテル、
    ケトン及びアルデヒドの少なくとも一種を含むことを特
    徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の含酸素
    炭化水素合成プラント。
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