JP2001182961A - 空気調和機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】軸流ファンからの風が熱交換器のフィンに衝突
することによって発生する騒音を低下させた空気調和機
を提供することを目的とする。 【解決手段】ファンと熱交換器と距離が最も近い部分の
熱交換器にメッシュ状の板を設ける。このメッシュ状の
板を通過した空気が微量の乱流が発生し、熱交換器のフ
ィンを通過する風の向きが変更され、フィンの風切り音
が低減する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機器に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】空気調和機は、主に居間に据付ける家庭
が多いが、近年、寝室や子供部屋への増設需要が増し、
今後、更に推移することが予想される。

【０００３】寝室や子供部屋の広さは、平均すると６畳
が最も多いという調査結果がある。６畳の部屋では、家
具や窓が設けられることによって、据付けスペースが極
端に狭くなってしまい、カーテンボックスや家具の上等
しか据付けスペースが取れない場合がる。

【０００４】そこで、壁以外の据付けが可能な空気調和
機として、例えば、天吊形空気調和機や天井埋込形空気
調和機がる。天吊形空気調和機は、天井裏の梁等に固定
された金具が天井板を貫通して室内まで垂下され、この
金具に室内機を吊下げるものである。天井埋込形空気調
和機は、天井に室内ユニットが挿入出来る大きさの穴を
開け、この穴に室内ユニットを埋め込み、天井裏の梁等
を利用して固定するものである。

【０００５】一般的な天吊形空気調和機として、例えば
特開昭６１−９６３３９号公報があげられる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記壁掛形空気調和機
は、据付けが比較的簡単であることから、家庭用として
主流になっているが、小部屋にこの壁掛形空気調和機を
据付けた場合は、快適性については、必ずしも満足でき
るもとは言えない。

【０００７】この壁掛形空気調和機は、室内空気を前面
から吸込み、下方の吹出し口から空調空気を室内に吹出
す構造となっている。この構造であると、吹出し口が一
ヶ所であるため、特に小部屋であると気流感が強くな
り、不快感を感じる人もいる。また、室内ユニットが壁
から室内方向に張出すため、室内ユニットの厚みが居住
者への圧迫感となってしまい不快感を感じる人もいる。

【０００８】これに対して、天吊形や埋込形空気調和機
は、吹出し口が３方向、或いは４方向であるため、気流
が柔らかくなり気流に対する不快感が和らぐ。また、い
ずれも天井面に室内ユニットがあるため、圧迫感も和ら
ぐ。しかしながら、何れも据付け工事が極めて困難であ
るという点から、一般家庭向きではない。特に、部屋が
和室の場合は、吊り天井が多く、強度的に不向きであ
る。

【０００９】そこで、上記天吊形空気調和機に壁掛形空
気調和機並みに簡単な据付け工事と、小部屋向けで気流
感が小さな送風機能を持った天吊タイプの空気調和機が
要求されている。

【００１０】ところで、天吊タイプの空気調和機には、
室内空気を下面から吸込み、筐体の前面及び左右側面方
向に設けられた吹出口から吹出す構造が一般的である。
これらの吹出口に空気を均等に供給するには、遠心ファ
ンが最も相応しい。この遠心ファンは、空気をファンの
回転軸方向に吸引し、ファンの遠心方向に空気を吹出す
構造となっているため、上記天吊形空気調和機には有効
である。

【００１１】ところが、この遠心ファンは、ファンを形
成する翼の傾斜角度に対し、空気の流出速度の方向と翼
列線への垂線とのなす角度をもって空気が吹出されるた
め、空気が熱交換器のフィンに対して斜め方向から吹付
けられることになる。従って、空気がフィン先端を通過
するときに風切音となって騒音が発生するという問題が
ある。尚、この風切音は、４ｍ/s以上の風が熱交換器の
フィンに対し角度６０°〜８０°の範囲で入射すると発
生する言われている。

【００１２】この現象は、ファンとフィンとの距離に比
例し、距離が近いほど騒音が大きくなるという問題があ
る。

【００１３】ところで、前述した天吊形空気調和機や天
井埋込形空気調和機器は、筐体そのものが大きく設計さ
れているため、ファンと熱交換器との距離を大きくと
れ、騒音は比較的小さい。

【００１４】本発明の目的は、騒音の低減を図った空気
調和機を提供することにある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記目的は、室内機内部
に設けられ、この室内機下部に設けられた空気吸い込み
口からファンの回転軸方向に空気を吸い込み径方向に空
気を排出するファンと、このファンの径方向に対向する
位置に設けられ、複数のフィンを有する熱交換器とを備
えた空気調和機において、前記ファンとフィンとの間に
風向変換手段を設けたことにより達成される。

【００１６】

【発明の実施の形態】本発明の実施例を図１、図２、図
３、図４を用いて説明する。図１は、本発明を備えた空
気調和機の斜視図である。図２は、空気調和機の上面断
面図である。図３は、空気調和機の側面断面図である。
図４は、整流板の斜視図、図５は、ファンと熱交換器と
の距離に対する騒音の関係を示すグラフである。

【００１７】図１において、室内機本体１は、家屋の壁
７に図示しない空気調和機本体１の背面に設けられた取
付部６となる据付金具によって取付けられている。据付
金具は、壁７に取付けられる部分が空気調和機本体１の
幅よりもやや狭い幅広となっており、壁７が取付けられ
ている柱部材などの骨材等の構造部材（木造家屋の場
合）に木ねじ等によって固定される。幅広部上部からは
奥行き方向の断面が逆Ｌ字状となるように天井と平行に
互いに空気調和機本体１の幅方向に平行な２本のレール
が延びている。これらレールに室内機本体１の上部に設
けられている本体側取付け部が係合して室内機本体１が
支持される。また、天井と室内機本体１との間には、これ
ら取付け部材が見えないように目隠しされている。

【００１８】室内機本体１の正面には、インジケータ１
５が設けられており、空気調和機の冷房、暖房、除湿若し
くは送風の各運転モードに対応した表示が発光ダイオー
ドの発光色によってなされる。

【００１９】室内機本体１の筐体２の下部には吸込みグ
リル３が設けられ、この吸込みグリル３から吸込まれた
室内の空気は、筐体２内に取り込まれ、空気調和機本体１
の正面であってインジケータ１５の上部に設けられた空
気吹出し口、正面に向かって左右の側面に夫々設けられ
た空気吹出し口４から吹出される。なお、吹出し口４に
は、吹出し方向を左右方向に変えるルーバ（図示せず）
及び上下方向に変えるルーバ５設けられており、この上
下方向に変えるルーバが閉じられることにより運転をし
ていないときのごみの侵入を防止する。

【００２０】現在市販されている空気調和機には、壁掛
け型、天吊り型及び天井埋め込み型の種類があるが、天井
埋め込み型は、天井に大きな穴を開ける必要があり工事
が大掛りとなり、天吊り型は空気調和機の重量を天井が
支える構造であることから天井の補強が必要となる。一
方、壁掛け型は、取付工事が比較的簡単であるものの、空
気を本体正面から吸込んで、正面下部から吹出す構造で
あるため、吹出し口が正面１箇所となり吹出された空気
は風速が速く、この強い風が身体に当たらぬようにした
いという要望がある。また、吹出し口が１箇所であるた
め、居室の構造によっては必ずしも温度の均一化が図ら
れていない。

【００２１】また、最近の家屋は、窓を大きく取るため天
井面と窓上部との寸法が小さく、ここにカーテンレール
や鴨居がある場合、壁掛け型の空気調和機は、例えば、特
開平９−４２７０６号公報に示されているように、筐体
内部に正面高さ方向に設けられた熱交換器とその上部に
逆Ｖ字形熱交換器を配して高さ寸法を抑えているもの
の、取付が厳しい場合がある。

【００２２】前記吸込グリル３は、複数本の格子からな
り、図示していないが前記筐体の一部に軸支され、開閉
できるようになっている。この吸込グリル３の内面に
は、フィルタが取付けられ、吸込グリル３を開いてフィ
ルタを着脱できるようになっている。

【００２３】ところで、この空気調和機は、空気吹出口
４が３方向に設けられているため、３方向の空気吹出し
口を有効に使うためには、吹出口を遮蔽しないように部
屋の中央に据付けるの理想であるが、部屋の据付け条件
によっては、部屋の角に据付けなけてはならない。その
場合、左右いずれか一方の吹出口が壁に面するので、風
向板を動作させるモータの通電を停止させ、吹出口４を
発砲スチロール等の断熱材で閉塞しておく必要がある。
これは、特に冷房運転時に冷気が壁に直接あたることに
よって壁が冷やされ、壁に露が発生してしまうことを防
止するためである。

【００２４】図２、図３、図４において、筺体２の内部
には、吹出口４と対向する位置に熱交換器８が設けられ
ている。この熱交換器８は、直線状の冷媒管８ａに複数
のフィン８ｂを挿入して折り曲げたものである。９は、
遠心ファンであり、空気が吹出す３方向を前記熱交換器
８が覆っている。この遠心ファン９は、モータ１０によ
って回転する。１１は、露受皿であり、前記熱交換器８
の下方に位置し、熱交換器８から滴下した露を受け、図
示していないが接続されたドレンホースによって露を屋
外に排出している。１２は、吸込グリル３の内面に取付
けられたフィルタであり、吸込まれた室内の空気中の塵
埃を付着させるものである。この空気調和機は、軸流フ
ァン９が回転することによって、室内の空気が矢印のよ
うに吸込まれ、その室内の空気が熱交換器８と熱交換さ
れた空調空気が矢印で示すように、吹出口４から吹出さ
れる。

【００２５】１３は、遠心ファン９と熱交換器８との間
にあって、その間隔がもっとも接近した部分に設けられ
たメッシュ状の板である。この板１３は、図４に示すよ
うに、軸流ファン９が最も熱交換器８に接近する複数枚
のフィン８ｂを覆うものである。この板１３は、熱交換
器８自体に固定しても良く。筐体２の内面に固定しても
良い。本実施の形態では、板１３の穴１３ａに図示して
いないが取付け冶具を挿入し、熱交換器８の冷媒管８ａ
に挟み込むようにしている。また、実施例では、この板
１３を金網で形成したが、金網に限らずメッシュ状に成
形した樹脂材でも良い。

【００２６】この板１３を取付けことによって、軸流フ
ァン９からある一定の角度をもって吹出された空気は、
板１３のメッシュを通過することによって微量の乱流が
発生し、フィン１３ｂの面に吹き付け力が弱まり、フィ
ン先端での風切り音が低下する。

【００２７】尚、本実施の形態では、遠心ファンからの
空気の進行方向がフィンと平行になるようにすれば騒音
の低減を図ることができるものであるため、空気を整流
させ、空気がフィンと平行に流れるような整流板を設け
ても良い。

【００２８】図５にその効果を示す。実機にて計測した
結果、図に示すように、ファンと熱交換器との隙間が約
５０mm以上であると発生する騒音は約３０dBであり、板
を付けたものと付けないものとに差が生じないが、１０
mm〜５０mmにかけては板を取付けた場合と取付けていな
い場合とでは騒音に差を生じる。特に１０mm以下である
と、板なしの場合、５０dB以上となるが、板ありの場
合、４０dBに抑えることが出来た。本実施例では、隙間
が約３０mmであり、３０mmであった場合でも板なしと板
ありとでは、約５dBの差が確認できた。

【００２９】このように、本発明によれば、ファンと熱
交換器との間にメッシュ状の板を取りつけることによ
り、騒音の低減を達成できる。尚、本願発明は、フィン
を風の進行方向に傾斜させることによっても同じ効果を
得ることができる。

【００３０】

【発明の効果】本発明によれば、騒音の低減を図った空
気調和機を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を備えた空気調和機器斜視図。

【図２】本発明を備えた空気調和機の上面断面図。

【図３】本発明を備えた空気調和機の側面断面図。

【図４】本発明の実施れいを備えたメッシュ状板の斜視
図。

【図５】ファンとフィンとの距離と騒音レベルの解析結
果を示したグラフ。

【符号の説明】

１…空気調和機本体、２…筐体、３…吸込口、４…吹出
口、５…風向板、６…据付面、７…壁、８…熱交換器、
９…軸流ファン、１０…モータ、１１…露受皿、１２…
フィルタ、１３…板。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 洋 栃木県下都賀郡大平町富田709番地の２ 株式会社日立栃木エレクトロニクス内 (72)発明者 飯島 清一 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 (72)発明者 安永 泰久 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 Ｆターム(参考） 3L049 BB02 BB04 BB10 BC02 BC03 3L051 BJ04 BJ10

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】室内機内部に設けられ、この室内機下部に
   設けられた空気吸い込み口からファンの回転軸方向に空
   気を吸い込み径方向に空気を排出するファンと、このフ
   ァンの径方向に対向する位置に設けられ、複数のフィン
   を有する熱交換器とを備えた空気調和機において、前記
   ファンとフィンとの間に風向変換手段を設けた空気調和
   機。