JP2001179380A - 孔を有する鍛造部品の製造方法および製造装置 - Google Patents

孔を有する鍛造部品の製造方法および製造装置

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JP2001179380A
JP2001179380A JP37161199A JP37161199A JP2001179380A JP 2001179380 A JP2001179380 A JP 2001179380A JP 37161199 A JP37161199 A JP 37161199A JP 37161199 A JP37161199 A JP 37161199A JP 2001179380 A JP2001179380 A JP 2001179380A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 孔を有する鍛造部品を製造するに際して、孔
形状の対称性の如何を問わず、機械加工を不要として、
高精度でしかも大幅なコストダウンを図ることができる
精密鍛造技術を提供する。 【解決手段】 孔を有する鍛造部品の製造方法が、熱間
鍛造により、下孔iを有する粗素材W′を成形する粗素
材成形工程と、プレス加工により、粗素材W′の外周を
サイジングして中間素材W″を成形するサイジング工程
と、プレス仕上げ加工により、中間素材W″を孔成形抜
きして仕上げ素材である鍛造部品W2 を成形する孔成形
抜き工程とから構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は孔を有する鍛造部
品の製造方法および製造装置に関し、さらに詳細には、
特に、孔形状がその軸線に対して非対称でありかつ複雑
形状の鍛造部品の製造に適した精密鍛造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】孔を有する部品を製造する場合、例え
ば、図8(a)または(b)に示すように、外周と内周が軸
線X方向にストレートで、しかも孔aの形状が軸線Xに
対して対称であるような鍛造部品W1 (W1a, W1b
を、成形、せん断等の塑性加工により製造する場合は、
一般に冷間鍛造法が用いられる。
【0003】この冷間鍛造法の基本的な工程について説
明すると、図9に示すように、まず、鍛造用の素材を最
終製品である部品W1 の形状寸法に対応して切断し(素
材切断工程)、この素材を後方押出し機により、孔aを
穿孔しながら部品W1 を鍛造成形する(後方押出し工
程)。続いて、このように鍛造された部品W1 の孔aを
孔抜きした後(孔抜き工程)、最後に部品W1 全体にし
ごきを施して製品とする(しごき工程)。また、この基
本工程において、軟化のための焼鈍、スケールを取るた
めのデスケーリング(スケール取り)、潤滑皮膜を施す
工程等が、必要に応じて適宜入れられる。このような冷
間鍛造法によれば、高精度の鍛造部品を製造することが
できる。
【0004】一方、例えば、図10に示すように、外周
と内周が軸線X方向にストレートで、孔cの形状が軸線
Xに対して非対称であるような異形鍛造部品W2 にあっ
ては、冷間鍛造での成形が極めて困難である。
【0005】このような鍛造部品W2 の場合は、予め熱
間鍛造により粗素材を造り、続いてこの粗素材の外周壁
部と孔の内壁部に機械加工を施して、これら部位の仕上
げ精度を高めるのが一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、熱間鍛造に
は、以下に列挙するように種々の方法があるが、これら
熱間鍛造においてもそれぞれ問題点があり、さらなる改
良が要望されていた。
【0007】(1) 一般的な熱間鍛造においては、図11
のように抜き勾配部f,gの付いた粗素材W′を造り、
粗素材W′の外周部と孔内部における抜き勾配部f,g
を機械加工により削り取って、図10に示すような外内
周部がストレートの完成品とする。
【0008】しかし、この方法では機械加工に要する工
程数が比較的多く、製造コスト・製品コストの上昇を招
いていた。
【0009】(2) また、図11に示すような粗素材W′
を造った後に、その鍛造時の自熱を利用して、温間鍛造
領域で、粗素材W′の外周と内周をシェービングして、
外、内周をストレートにする加工法(シェービング鍛造
法)もある。
【0010】しかし、この方法では、シェービング型の
型磨耗による精度劣化や面粗さの低下等により、所定の
寸法精度の鍛造部品W2 を得られ難いという問題があっ
た。
【0011】(3) 密閉状態で熱間鍛造する方法(熱間密
閉鍛造法)においては、粗素材W′に上述したような抜
き勾配部f,gを付ける必要はないが、反面、粗素材
W′の上面に成形パンチと成形ダイとの間のクリアラン
スによるバリが発生するため、そのバリは後工程で機械
加工によって除去する必要がある。
【0012】また、この場合、上記バリの機械加工によ
る除去は、鍛造部品W2 の上面dが平面である場合には
比較的容易であるが、例えば図10に示すように、鍛造
部品W2 の上面dが曲面である場合には、そのバリの除
去工程数も必然的に大きくなり、製造コスト・製品コス
トの上昇を招くことになる。
【0013】(4) 図10の鍛造部品W2 において、その
上面dと下面eが平行平面であり、かつその高さhと幅
wとの比率h/wが小さい場合には、ファインブランク
法を利用して、内外周を金型を用いて剪断する場合もあ
る。
【0014】ただし、上面dと下面eとが平行平面でな
い場合や,あるいは、h/wの比率が一定値より大き
い、つまり高さhが幅wに比して大きい場合には、ファ
インブランク法の活用は困難である。
【0015】本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてな
されたものであって、その目的とするところは、孔形状
の対称性の如何を問わず、機械加工を不要として、高精
度でしかも大幅なコストダウンを図ることができる精密
鍛造技術を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る孔を有する鍛造部品の製造方法は、次
の工程からなることを特徴とする。 (1) 熱間鍛造により、下孔を有する粗素材を成形する粗
素材成形工程 (2) プレス加工により、上記粗素材の外周をサイジング
して中間素材を成形するサイジング工程 (3) プレス仕上げ加工により、上記中間素材を孔成形抜
きして前記鍛造部品を成形する孔成形抜き工程
【0017】上記サイジング工程と孔成形抜き工程は、
異なる成形型内で行う場合と、一つの成形型内で連続し
て行うことを行う場合がある。
【0018】また、本発明に係る孔を有する鍛造部品の
製造装置は、上記孔を有する鍛造部品の製造方法の実施
に使用されるものであって、上記製造方法におけるサイ
ジング工程と孔成形抜き工程とを連続して行う単一の成
形手段を備えてなることを特徴とする。
【0019】好適な実施態様として、上記成形手段は、
固定側に設けられる下部成形型と、可動側に設けられる
上部成形型とを備え、上記下部成形型は、鍛造部品の最
終外周形状を成形する外周成形面を有する成形ダイと、
この成形ダイの下側に配置されて前記鍛造部品の最終孔
形状に対応した位置に孔抜き空間を有する孔抜きダイと
を備えてなり、上記上部成形型は、上記下部成形型の成
形ダイに密嵌状に嵌合可能で、上記鍛造部品の最終上面
を成形する上面成形面を有する成形パンチと、上記下部
成形型の孔抜きダイの孔抜き空間に挿入可能で、上記鍛
造部品の最終孔を成形する孔抜きパンチとを備えてな
る。
【0020】また、上記成形パンチに貫通孔が貫設され
るとともに、この貫通孔に上記孔抜きパンチが相対的に
摺動可能に組み合わされてなり、この孔抜きパンチは、
昇降動作するラムに固定的に取付け固定され、上記成形
パンチは、上記ラムに対して相対的に昇降方向へ移動可
能に装置されるとともに、加圧シリンダ装置に駆動連結
されている。
【0021】本発明の製造方法においては、熱間鍛造に
より、予め下孔を有する粗素材を成形した後(粗素材成
形工程)、この粗素材の外周を、プレス加工により、半
密閉状態でサイジングして中間素材を成形し(サイジン
グ工程)、最後に、この中間素材を、プレス仕上げ加工
により、完全密閉状態で孔成形抜きして最終製品である
鍛造部品を成形する(孔成形抜き工程)。
【0022】すなわち、上記粗素材成形工程では、冷間
鍛造での成形が極めて困難な複雑な形状の鍛造部品、例
えば、図10に示すような異形鍛造部品W2 の製造にも
対処可能な粗素材を成形する。
【0023】この粗素材を続くサイジング工程でサイジ
ングすることにより、粗素材の高さが一定寸法に揃えら
れるとともに、その外周の抜き勾配もほぼストレートに
なる。このサイジング工程における粗素材の材料の流動
メカニズムは、高さ方向の加圧力により生ずる余肉(余
った材料)の一部が外周側へ流動して、外周の抜き勾配
をなくしながらストレート形状に修正するとともに、残
りの部分が内周側にも流動して、下孔の開口面積は小さ
くなる。
【0024】そして、最後の孔成形抜き工程では、中間
素材の下孔に孔成形抜きを施すことにより、下孔内の余
肉の一部が成形型内の隙間へ流動して充填されるととも
に、残りの部分がスクラップとして成形型内から排出さ
れる。この孔成形抜きの完了状態においては、成形型内
は完全密閉状態にあり、これにより、成形型内の仕上が
り素材(鍛造部品)の各部の寸法精度は高く、重量バラ
ツキも極めて少ないものとなる。
【0025】また、機械加工が不要であるため、従来に
比して大幅なコストダウンを図ることが可能であり、特
に、上記サイジング工程と孔成形抜き工程を本発明の製
造装置を用いて行うことにより、これら一連の工程が単
一の成形型内で行われる結果、製造時間の短縮と高い寸
法精度維持がより確実に実現可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。
【0027】実施形態1 本発明に係る孔を有する鍛造部品の製造方法は、例え
ば、図10に示すような異形部品W2 、つまり、その外
周と内周が軸線X方向にストレートで、かつ孔cの形状
が軸線Xに対して非対称であって、冷間鍛造での成形が
極めて困難であるような鍛造部品の製造に適した製造方
法である。以下、この図10に示される異形鍛造部品W
2 を製造する場合を具体例として説明する。
【0028】本発明の製造方法は、粗素材成形工程、サ
イジング工程および孔成形抜き工程の3つの工程を主要
な工程として構成されてなる。
【0029】(1)粗素材成形工程:粗素材成形工程
は、熱間鍛造により、下孔iを有する粗素材W′を成形
する工程であり、具体的には、従来の一般的な熱間鍛造
により、図11に示すように、抜き勾配部f,gの付い
た、下孔iを有する粗素材W′を造る。
【0030】(2)サイジング工程:サイジング工程
は、プレス加工により、上記粗素材W′の高さを一定に
成形すると同時に、その外周をサイジング(寸法出し成
形)して中間素材W″を成形する工程であり、このサイ
ジング工程は、半密閉状態の成形型構造を備えたプレス
機を用いて行う。
【0031】この成形型構造は、具体的には、図1(a)
および図1(b)に示すように、固定側に設けられる成形
ダイ1と、可動側に設けられる成形パンチ2とを備えて
なる。
【0032】成形ダイ1は、鍛造部品W2 の最終外周形
状に対応したストレートの外周成形面1aを有する。一
方、成形パンチ2は、図1(b) に示すように、上記成形
ダイ1に密嵌状に嵌合可能で、鍛造部品W2 の最終上面
dに対応した上面成形面2aを有する。
【0033】そして、粗素材W′を成形ダイ1内へと投
入するとともに(図1(a))、成形パンチ2を下降させる
(図1(b))。これにより、粗素材W′は成形パンチ2に
より成形されて、その高さが一定寸法に揃えられるとと
もに、その外周の抜き勾配部fもほぼストレートに成形
されて、中間素材W″となる。
【0034】このサイジング工程における粗素材W′の
材料の流動メカニズムは、高さ方向の加圧力により生ず
る余肉(余った材料)の一部が外周側へ流動して、外周
の抜き勾配部fをなくしながらストレート形状に修正す
るとともに、残りの部分が内周側にも流動する。これに
より、下孔iの開口面積は、粗素材W′のときよりも減
小することとなる。なお、図1(b)に示されるように、
中間素材W″の外周面の下部には隙間3がある場合もあ
る。要するに、このサイジング工程は半密閉状態で行わ
れるため、中間素材W″の外周、外壁部のストレート成
形は不完全な状態にある。
【0035】また、このサイジング工程に際して、粗素
材W′の硬度が大きく、硬過ぎてサイジングし難い場合
は、その前工程として、上記粗素材成形工程の後に素材
軟化のための熱処理を施し、その後デスケーリング(ス
ケール取り)をし、さらに潤滑皮膜を施してから、サイ
ジング工程を行う。一方、粗素材W′が適切な硬度であ
れば、そのまま潤滑処理を施してサイジングを行う。
【0036】(3)孔成形抜き工程:孔成形抜き工程
は、プレス仕上げ加工により、前記中間素材W″を孔成
形抜きして前記鍛造部品W2 を成形する工程であり、こ
の孔成形抜き工程は、完全密閉状態の成形型構造を備え
たプレス機を用いて行う。
【0037】この成形型構造は、具体的には、図1(c)
に示すように、固定側に設けられる下部成形型10と、
可動側に設けられる上部成形型11とを備えてなる。
【0038】下部成形型10は、成形ダイ15と孔抜き
ダイ16からなる。成形ダイ15は、鍛造部品W2 の最
終外周形状を成形するストレートの外周成形面15aを
有する。また、孔抜きダイ16は、この成形ダイ15の
下側に配置されて鍛造部品W 2 の最終孔形状に対応した
位置に孔抜き空間16aを有する。
【0039】一方、上部成形型11は、成形パンチ17
と孔抜きパンチ18とからなる。成形パンチ17は、上
記下部成形型10の成形ダイ15に密嵌状に嵌合可能
で、鍛造部品W2 の最終上面dを成形する上面成形面1
7aを有する。また、孔抜きパンチ18は、鍛造部品W
2 の最終孔cを成形するもので、成形パンチ17の中央
部分に高さ調整可能に保持されている。この孔抜きパン
チ18は、成形パンチ17の下面つまり上面成形面17
aから下方へ突出するとともに、下部成形型10の孔抜
きダイ16の孔抜き空間16aに挿入可能とされてい
る。
【0040】孔抜きパンチ18の先端部18aの形状寸
法は、中間素材W″の下孔i内の材料を、横方向、斜め
方向の側方向へ流動させながら成形する必要から、下孔
i内の抜き勾配部gの抜き勾配の程度に応じて設計され
る。
【0041】図示の実施形態において、孔抜きパンチ1
8の先端部18aは、中間素材W″の下孔i内周面に対
して円滑に挿入加圧可能な先細のテーパ外周面を有して
なり、図2を参照して、この孔抜きパンチ18の先端部
18aのテーパ外周面のテーパ角度αと中間素材W″の
抜き勾配βとの関係は、α≧βとされ、先端部18aの
高さHは、中間素材W″の高さH0 を勘案して適宜設定
される。
【0042】ちなみに、孔抜きパンチ18の先端部18
aのテーパ角度αと中間素材W″の抜き勾配βとの関係
がα<βとなると、図3に示すように、中間素材W″の
下孔i内周面部分に孔抜きパンチ18の先端部18aが
喰い付き、この部分の材料をむしりとるような形にな
り、この結果、下孔iの内周面にクラックが入り、また
横方向への材料の流動もスムースではなくなる。そし
て、このようなむしれが発生すると、その部分の潤滑被
膜がきれ、孔抜きパンチ18と中間素材W″との焼付き
が発生し、その後の生産も不可能となり、量産性がなく
なってしまう。
【0043】これに対して、α≧βの場合は、孔抜きパ
ンチ18の進行(下降)に際して、先端部18aのテー
パ外周面と中間素材W″の下孔iの接触表面との間の潤
滑効果を保持しながら、なおかつ余肉の流動を孔抜きパ
ンチ18の横方向へ与えて、成形ダイ15内への充填性
を高める効果がある。また、これに関連して、孔抜きパ
ンチ18の先端部18aの基部18bを、図示のような
断面直線状から、先端部18aから円滑に連続する断面
円弧状としても良い。
【0044】そして、サイジング工程で造られた中間素
材W″を下部成形型10の成形ダイ15内へと投入する
とともに、上部成形型11(成形パンチ17+孔抜きパ
ンチ18)を下降させる。この下降に連れて、孔抜きパ
ンチ18が中間素材W″の下孔i内の材料に接触して、
さらに孔抜きパンチ18の下降に伴って、これら下孔i
内の余った材料(余肉)を横方向および斜め下方向へ押
圧排除しながら、中間素材W″の外周面下部の隙間3に
充填させるとともに、下孔i内を成形して鍛造部品W2
が完成する。
【0045】この孔成形抜き工程が完了した瞬間の状態
においては、図1(c)に示すように、成形パンチ17が
成形ダイ15に密嵌状に嵌合して、鍛造部品W2 の上面
を押さえ付け、鍛造部品W2 は完全密封状態下にある。
なお、この孔抜きパンチ18の下降で余った材料つまり
余肉は、スクラップsとして、孔抜きダイ16の孔抜き
空間16aから排出される。
【0046】しかして、以上のように構成された製造方
法においては、予め下孔iを形成された粗素材W′に対
して、半密閉状態でサイジングを施して中間素材W″と
した後、この中間素材W″を成形パンチ17で押さえ付
けて、孔抜きパンチ18を下孔i内に貫通させながら、
完全密閉状態で成形と孔抜きを行うことにより、最終製
品である鍛造部品W2 の各部の仕上がり寸法精度は非常
に高く、重量バラツキも極めて少ない。
【0047】また、本製造方法によれば、機械加工が不
要であるため、従来のこの種の製造方法に比して大幅な
コストダウンを図ることが可能である。
【0048】実施形態2 本実施形態は図4に示されており、実施形態1における
製造工程の一部が改変されたものである。
【0049】すなわち、実施形態1においては、サイジ
ング工程と孔成形抜き工程を異なる成形型内で行ってい
たが、本実施形態においては、サイジング工程と孔成形
抜き工程を一つの成形型内で連続して行う構成とされて
いる。
【0050】本実施形態におけるサイジング工程と孔成
形抜き工程を連続して行うプレス機の単一の成形型構造
は、具体的には、図示のように、固定側に設けられる下
部成形型20と、可動側に設けられる上部成形型21と
を備えてなる。
【0051】下部成形型20は、成形ダイ25と孔抜き
ダイ26からなる。成形ダイ25は、鍛造部品W2 の最
終外周形状を成形するストレートの外周成形面25aを
有する。また、孔抜きダイ26は、成形ダイ25の下側
に配置されて鍛造部品W2 の最終孔形状に対応した位置
に孔抜き空間26aを有する。この孔抜き空間26a
は、後述する孔抜きパンチ28が挿入可能な形状寸法を
有するとともに、孔抜き空間26aの上端開口縁34
が、孔抜きパンチ28と協働するせん断刃とされてい
る。
【0052】一方、上部成形型21は、成形パンチ27
と孔抜きパンチ28とからなる。成形パンチ27は、上
記下部成形型20の成形ダイ25に密嵌状に嵌合可能
で、鍛造部品W2 の最終上面dを成形する上面成形面2
7aを有する。また、孔抜きパンチ28は、鍛造部品W
2 の最終孔cを成形するもので、成形パンチ27の中央
部分に摺動可能に保持されている。この孔抜きパンチ2
8は、成形パンチ27の下面、つまり上面成形面27a
から下方へ突出退入可能とされるとともに、下部成形型
20の孔抜きダイ26の孔抜き空間26aに挿入可能と
されている。孔抜きパンチ28の先端部28aの形状寸
法は、実施形態1の孔抜きパンチ18の先端部18aの
形状寸法と同様の条件で設計される。
【0053】次に、以上のように構成されたプレス機を
用いた鍛造部品W2 の製造方法を説明する。
【0054】(1)粗素材成形工程:この工程は実施形
態1の場合と同様であって、従来の一般的な熱間鍛造に
より、図11に示すように、抜き勾配部f,gの付いた
粗素材W′を造る。
【0055】(2)サイジング工程:粗素材成形工程で
造られた粗素材W′を、図4(a)に示すように、下部成
形型20の成形ダイ25内へと投入するとともに、上部
成形型21(成形パンチ27+孔抜きパンチ28)を成
形ダイ25へ接近(下降)させる。この状態において
は、孔抜きパンチ28は、成形パンチ27に対して相対
的に停止状態にある。
【0056】さらに、図4(b)に示すように、上部成形
型21が成形ダイ25へ接近するとともに、成形パンチ
27の下降停止面27bが成形ダイ25の係合端面25
bに接触するまで、成形パンチ27の上面成形面27a
が粗素材W′を下方に押し付ける。これにより、粗素材
W′は成形パンチ27により成形されて、その高さが一
定寸法に揃えられるとともに、その外周の抜き勾配部f
もほぼストレートに成形されて、前記中間素材W″とな
る。この場合の材料の流動メカニズムは、実施形態1の
サイジング工程における材料の流動メカニズムと同様で
ある。
【0057】(3)孔成形抜き工程:成形パンチ27に
よる粗素材W′の部分成形が完了した状態、つまり上記
中間素材W″が成形された状態から、孔抜きパンチ28
が下降し始める。この孔抜きパンチ28の下降に連れ
て、孔抜きパンチ28が中間素材W″の下孔i内の材料
に接触するとともに、さらなる下降に伴ってこれら下孔
i内の余った材料(余肉)を横方向および斜め下方向へ
押圧排除しながら、中間素材W″の外周面下部の隙間3
に充填させるとともに、下孔i内を成形して鍛造部品W
2 が完成する。この場合、孔抜きパンチ28の下降で余
った材料つまり余肉は、スクラップsとして、孔抜きダ
イ26の孔抜き空間26aから排出されるなど、実施形
態1の孔成形抜き工程と同様である。
【0058】この孔成形抜き工程においては、図4(b)
に示すように、成形パンチ27の下降停止面27bが成
形ダイ25の係合端面25bに接触して、成形パンチ2
7の上面成形面27aが中間素材W″を下方に押し付け
た静止状態にあり、中間素材W″の高さ寸法がそのまま
高い精度をもって維持されるとともに、孔成形抜き工程
が完了した瞬間の状態においては、図4(c)に示すよう
に、鍛造部品W2 は完全密封状態下にある。
【0059】したがって、仕上がり素材である鍛造部品
2 は、粗素材W′の重量バラツキの有無に拘らずほぼ
一定と重量のものが得られる。つまり、粗素材W′の重
量バラツキは、孔抜きダイ26の孔抜き空間26aから
排出されるスクラップsの重量のバラツキとなって表れ
て、このスクラップにより吸収される結果、鍛造部品W
2 の重量はほぼ一定となる。その他の構成および作用は
実施形態1と同様である。
【0060】実施形態3 本実施形態に係る鍛造部品の製造装置が図5〜図7に示
されており、実施形態2の製造方法の実施に使用される
プレス機である。
【0061】このプレス機は、実施形態2のサイジング
工程と孔成形抜き工程とを連続して行う単一の成形型構
造(成形手段)を備えてなり、具体的には、前述した実
施形態2の成形型構造つまり下部成形型20と上部成形
型21を備える成形型構造を主要部として構成されてい
る。以下、実施形態2と同一の参照符号は、同じ構成要
素または構成部材を示す。
【0062】下部成形型20の成形ダイ25は、プレス
機のベッド30上にダイホルダ31,32,33を介し
て固定的に装着されており、その内径面25aが、図示
のごとく、鍛造部品W2 の最終外周形状を成形する垂直
なストレートの外周成形面を形成している。
【0063】また、下部成形型20の孔抜きダイ26
は、上記成形ダイ25の下側に連続して配置されてお
り、その内部に孔抜き空間26aを備える。この孔抜き
空間26aは、鍛造部品W2 の最終孔形状に対応した位
置に配置されて、後述する孔抜きパンチ28が挿入可能
な形状寸法を有するとともに、孔抜き空間26aの上端
開口縁34が、孔抜きパンチ28と協働するせん断刃と
されている。
【0064】さらに、下部成形型20の下側に、成形ス
クラップ排出部(手段成形スクラップ排出手段)35が
設けられている。
【0065】この成形スクラップ排出部35は、孔成形
抜き工程で生成される余肉のスクラップを成形型外部へ
排出するもので、スクラップ排出路36と排出空気供給
装置37とからなる。
【0066】スクラップ排出路36は、具体的には、上
記孔抜きダイ26とダイホルダ33内に、上記孔抜き空
間26aの下端と連通して設けられている。このスクラ
ップ排出路36は水平に延びて設けられており、その先
端36aが図外のスクラップ回収部に連通するととも
に、その基端36bが上記排出空気供給装置37に連通
されている。スクラップ排出路36の先端側底部は、図
示のごとく先端にむけて下向き傾斜状に形成されて、ス
クラップの排出が円滑に行われる構造とされている。
【0067】排出空気供給装置37は、スクラップ排出
路36に排出空気を供給するもので、具体的には送風機
等を備える従来周知の基本構造を備える空気供給回路か
ら構成されている。
【0068】38は、孔成形抜き後の鍛造部品W2 を成
形ダイ25から取り出すためのノックアウト部を示して
おり、具体的には、成形ダイ25内の鍛造部品W2 の底
面を突き上げるためのノックアウトピン38aを主要部
として備えており、このノックアウトピン38aは、プ
レス機本体のノックアウトバー39により昇降動作され
る。
【0069】上部成形型21の成形パンチ27と孔抜き
パンチ28は、プレス機の昇降動作するラム(スライ
ド)40下面に固定されたダイセットのアッパープレー
ト41に装着されている。具体的には、孔抜きパンチ2
8は、孔抜きパンチホルダ42、43、44を介して上
記アッパープレート41に固定されている。一方、成形
パンチ27は、成形パンチホルダ46、47、48を介
して加圧シリンダ装置50に固定されている。
【0070】図示の実施形態においては、上記成形パン
チ27の中央部に貫通孔55が上下垂直方向へ貫設され
るとともに、この貫通孔55に、昇降動作するラム40
に固定的に取付け固定された上記孔抜きパンチ28が相
対的に摺動可能に組み合わされてなる。成形パンチ27
は、上記ラム40に対して相対的に昇降方向へ移動可能
に装置されるとともに、上記加圧シリンダ装置50に駆
動連結されている。
【0071】加圧シリンダ装置50は、油圧により駆動
する油圧シリンダの形態とされ、具体的には、シリンダ
室50aが、上記アッパープレート41とこのアッパー
プレート41に一体的に組合されたピストンホルダ51
とから形成されるとともに、ピストン50bが、上記シ
リンダ室50a内に供給される圧油により、ピストンホ
ルダ51に摺動案内されて昇降動作するように構成され
ている。上記シリンダ室50aは、図示しないが、油圧
制御回路を介して油圧供給源に連通されており、その内
部の油供給量が適宜制御される。また、ピストン50b
の昇降ストロークの下端は、上記ピストンホルダ51の
係止肩部51aとピストン50bの下面との当接係合に
より規定される。
【0072】上記ピストン50bには、上記成形パンチ
27が成形パンチホルダ46、47、48を介して取付
け固定されている。成形パンチ27を保持する成形パン
チホルダ47は、上記アッパープレート41に、垂直に
装着された複数本(図面には1本のみ示されている)の
ガイドポスト60に対して、ガイドブッシュ61を介し
て上下方向へ摺動可能に案内支持されている。これによ
り、成形パンチ27は、上記ラム40さらにはこのラム
40と一体の固定された孔抜きパンチ28に対して、相
対的に昇降方向へ移動可能とされている。
【0073】そして、油圧供給源から油圧制御回路を介
して上記シリンダ室50aに供給される油供給量が制御
されると、ピストン50bを介して、成形パンチ27に
所定の油圧が伝達され、これにより、ラム40の昇降動
作と協働して、後述する成形パンチ27によるサイジン
グ工程と、孔抜きパンチ28による孔成形抜き工程が連
続して行われる。
【0074】なお、成形パンチ27は、下部成形型20
の成形ダイ25に密嵌状に嵌合可能で、鍛造部品W2
最終上面dを成形する上面成形面27aを有し、一方、
孔抜きパンチ28は、鍛造部品W2 の最終孔cを成形す
る外径寸法を有する筒状外周面を備えるとともに、その
先端部28aが、中間素材W″の下孔i内周面に対して
円滑に挿入加圧可能な先細形状を備える。孔抜きパンチ
28の先端部28aの具体的な形状寸法は、実施形態2
と同様、実施形態1の孔抜きパンチ18の先端部18a
の形状寸法と同様の条件で設計される。
【0075】次に、以上のように構成されたプレス機を
用いた鍛造部品W2 の製造方法を説明する。
【0076】(1)粗素材成形工程:この工程は実施形
態1および実施形態2の場合と同様であって、従来の一
般的な熱間鍛造により、図11に示すように、抜き勾配
部f,gの付いた粗素材W′を造る。
【0077】(2)サイジング工程:粗素材成形工程で
造られた粗素材W′を、図5に示すように、下部成形型
20の成形ダイ25内へと投入するとともに、ラム40
の第一の下降動作により、成形パンチ27が前記サイジ
ング工程を行う。
【0078】すなわち、ラム40が下降して、このラム
40に装着された上部成形型21(成形パンチ27+孔
抜きパンチ28)が下部成形型20の成形ダイ25へ接
近(下降)する。この状態においては、孔抜きパンチ2
8は、図示のごとく、成形パンチ27に対して相対的に
停止状態にあり、また、成形パンチ27の上面には、油
圧シリンダ装置50の油圧による圧力が加えられてい
る。
【0079】さらに、図6に示すように、上部成形型2
1が成形ダイ25へ接近して、成形パンチ27を保持す
る成形パンチホルダ46の下面46aが成形ダイ25の
係合端面25bに接触するまで、成形パンチ27の上面
成形面27aが粗素材W′を下方に押し付ける。
【0080】換言すれば、成形パンチ27がの上面成形
面27aが粗素材W′に接触し始めると、油圧シリンダ
装置50の油圧が作用して、粗素材W′の成形が始ま
り、ラム40が下降し続けて、成形パンチホルダ46の
下面46aが成形ダイ25の係合端面25bに当接停止
すると、サイジング工程の成形が完了する。つまり、成
形パンチ27は油圧シリンダ装置50による油圧駆動で
あるため、何らかのストッパ手段を設けないと、上記成
形動作がどんどん進行していく、成形パンチホルダ46
はこのストッパの役割を担っている。この成形完了時点
のラム40の下降位置は、まだ昇降ストローク(ラム行
程)の下死点に達しておらず、その下降中間位置にあ
り、図示の実施形態においては、ラム40の昇降ストロ
ーク(ラム行程)の下死点上ほぼ中間素材W″の高さ位
置にある。
【0081】以上の動作により、粗素材W′は成形パン
チ27により成形されて、その高さが一定寸法に揃えら
れるとともに、その外周の抜き勾配部fもほぼストレー
トに成形されて、上記中間素材W″となる。この場合の
材料の流動メカニズムは、実施形態1のサイジング工程
における材料の流動メカニズムと同様である。
【0082】(3)孔成形抜き工程:成形パンチ27に
よる粗素材W′の部分成形が完了した状態、つまり上記
中間素材W″が成形された状態から、続く、ラム40の
第二の下降動作により、孔抜きパンチ28が上記孔成形
抜き工程を行うとともに、この間において、上記成形パ
ンチ27には、油圧シリンダ装置50により一定の加圧
力が付与される。
【0083】すなわち、ラム40のさらなる下降に伴っ
て、孔抜パンチホルダ42、43、44を介して、孔抜
きパンチ28が、成形パンチ27の上面成形面27aか
ら突出して、下降し始める。そして、この孔抜きパンチ
28は、ラム40の下降に連れて中間素材W″の下孔i
の中へと進入していき、同時に下孔i内の成形と余分な
材料(余肉)の排除を行いながら下降を続ける。この下
降時において、成形パンチ27を固定している油圧シリ
ンダ装置50のシリンダ室50a内の油が、油圧制御回
路を介して油タンクへ還流排除されて、その油量が減少
していく。この結果、ピストン50bは作動せず、成形
パンチ27は静止した状態にある。
【0084】そして、ラム40がその昇降ストロークの
下死点に達した時点で、この孔成形抜き工程における成
形と孔抜き作業が完了して、鍛造部品W2 が完成する
と、ラム40は再び上死点近傍へと上昇復帰する。ま
た、孔抜きパンチ28の下降で余った材料つまり余肉
は、ラム40の昇降ストロークの下死点近傍において孔
抜きダイ26のせん断刃34により切断され、スクラッ
プとして、孔抜きダイ26の孔抜き空間26aからスク
ラップ排出路36へ落下排出された後、排出空気供給装
置37から供給される排出空気により成形型外部のスク
ラップ回収部へ排出供給される。
【0085】なお、この場合の孔抜きパンチ28による
中間素材W″の成形と孔抜き作業時における材料の移動
のメカニズムは実施形態2の孔成形抜き工程と同様であ
る。
【0086】また、上述したサイジング工程を行うため
のラム40の第一の下降動作と孔成形抜き工程を行う第
二の下降動作は、本実施形態においては連続した動作と
して行われるが、目的に応じて断続的なつまり不連続な
動作となる場合もある。その他の構成および作用は実施
形態2と同様である。
【0087】なお上述した実施形態1〜3はあくまでも
本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明は
これに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更
が可能である。
【0088】例えば、成形型の具体的構造は、成形対象
である鍛造部品W2 の形状寸法に対応して設計され、図
示のものに限定されない。
【0089】また、実施形態3におけるプレス機の成形
型構造の具体的構成も、同一条件を満たす限り、つまり
上述したサイジング工程と孔成形抜き工程を連続して行
うことができる限り、他の構成に適宜改変することが可
能である。
【0090】さらに、本発明は、図示の実施形態で説明
したように、図10に示すように、その外周と内周がス
トレートで、かつ孔cの形状がその軸線に対して非対称
であって、冷間鍛造での成形が極めて困難であるような
異形鍛造部品W2 の製造に最適な製造技術ではあるが、
もちろん、例えば、図8(a)、(b)に示すように、外周
と内周がストレートで、しかも孔aの形状がその軸線X
に対して対称であるような部品W1 (W1a, W1b)にも
適用可能である。
【0091】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の製造方法
によれば、熱間鍛造により、下孔を有する粗素材を成形
する粗素材成形工程、プレス加工により、上記粗素材の
外周をサイジングして中間素材を成形するサイジング工
程、および、プレス仕上げ加工により、上記中間素材を
孔成形抜きして前記鍛造部品を成形する孔成形抜き工程
からなるから、孔形状の対称性の如何を問わず、機械加
工を不要として、高精度でしかも大幅なコストダウンを
図ることができる精密鍛造技術を提供することができ
る。
【0092】すなわち、上記粗素材成形工程では、冷間
鍛造での成形が極めて困難な複雑な形状の鍛造部品、例
えば、図10に示すような異形鍛造部品W2 の製造にも
対処可能な粗素材を成形することができる。
【0093】また、この粗素材を、続くサイジング工程
でサイジングすることにより、粗素材の高さが一定寸法
に揃えられるとともに、その外周の抜き勾配もほぼスト
レートに成形することができる。つまり、このサイジン
グ工程における粗素材の材料の流動メカニズムは、高さ
方向の加圧力により生ずる余肉の一部が外周側へ流動し
て、外周の抜き勾配をなくしながらストレート形状に修
正するとともに、残りの部分が内周側にも流動して、下
孔の開口面積は小さくなる。
【0094】さらに、最後の孔成形抜き工程では、中間
素材の下孔に孔成形抜きを施すことにより、下孔内の余
肉の一部が成形型内の隙間へ流動して充填されるととも
に、残りの部分がスクラップとして成形型内から排出さ
れるところ、この孔成形抜きの完了状態においては、成
形型内は完全密閉状態にある。この結果、成形型内の仕
上がり素材(鍛造部品)の各部の寸法精度はきわめて高
い。
【0095】また、粗素材の重量バラツキは、孔成形抜
き工程において排出されるスクラップの重量のバラツキ
となって表れて、このスクラップにより吸収される。こ
の結果、仕上がり素材である鍛造部品は、粗素材の重量
バラツキの有無に拘らずほぼ一定の重量のものが得られ
ることとなり、重量バラツキも非常に少ないものが得ら
れる。
【0096】また、機械加工が不要であるため、機械加
工による切削加工が極めて困難な鍛造部品も製造可能で
あり、部品設計の自由度が従来に比して大きくなるとと
もに、従来に比して大幅なコストダウンを図ることも可
能である。
【0097】とりわけ、上記サイジング工程と孔成形抜
き工程を本発明の製造装置を用いて連続して行うことに
より、これら一連の工程が単一の成形型内で行われる結
果、製造時間の短縮と高い寸法精度維持がより確実に実
現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態1である孔を有する鍛造
部品の製造方法の工程を示す断面図で、図1(a) は粗素
材成形工程を完了した粗素材をサイジング工程用の成形
ダイ内に投入した状態を示し、図1(b) は同粗素材にサ
イジングを施した状態を示し、図1(c) はサイジング工
程を完了した中間素材に孔成形抜き工程用の成形ダイ内
で孔成形抜きを施した状態を示す。
【図2】同製造方法の孔成形抜き工程において用いる孔
抜きパンチの先端部の形状寸法と、粗素材の下孔との関
係を一部拡大して示す正面図である。
【図3】同孔抜きパンチの先端部の形状寸法が適切でな
い場合に、同孔抜きパンチにより孔成形抜きを行ったと
きの粗素材の下孔の状態を説明するための正面断面図で
ある。
【図4】本発明に係る実施形態2である孔を有する鍛造
部品の製造方法の工程を示す断面図で、図4(a) は粗素
材成形工程を完了した粗素材を成形ダイ内に投入した状
態を示し、図4(b) は同粗素材にサイジングを施した状
態を示し、図4(c) はサイジング工程を完了した中間素
材に同じ成形ダイ内で連続して孔成形抜きを施した状態
を示す。
【図5】本発明に係る実施形態3である孔を有する鍛造
部品の製造方法に使用する製造装置を示す断面図で、粗
素材成形工程を完了した粗素材を成形ダイ内に投入した
状態を示す。
【図6】同じく同製造装置について、粗素材にサイジン
グを施した状態を示す断面図である。
【図7】同じく同製造装置について、サイジング工程を
完了した中間素材に孔成形抜きを施した状態を示す断面
図である。
【図8】孔を有する鍛造部品の一例である、孔形状がそ
の軸線に対して対称である鍛造部品を示す平面図と断面
図である。
【図9】同鍛造部品を冷間鍛造方により製造する場合の
一般的な製造工程を示すブロック図である。
【図10】冷間鍛造での成形が極めて困難な孔を有する
鍛造部品の一例である、孔形状がその軸線に対して非対
称である鍛造部品を示し、図10(a) は平面図であり、
図10(b) は断面図である。
【図11】熱間鍛造により造られた同鍛造部品の粗素材
を示し、図11(a) は平面図であり、図11(b) は断面
図である。
【符号の説明】
2 鍛造部品 f,g 抜き勾配部 W′ 粗素材 W″ 中間素材 i 下孔 1 成形ダイ 1a 成形ダイの外周成形面 2 成形パンチ 2a 成形パンチの上面成形面 10 下部成形型 11 上部成形型 15 成形ダイ 15a 成形ダイの外周成形面 16 孔抜きダイ 16a 孔抜きダイの孔抜き空間 17 成形パンチ 17a 成形パンチの上面成形面 18 孔抜きパンチ 20 下部成形型 21 上部成形型 25 成形ダイ 25a 成形ダイの外周成形面 25b 成形ダイの係合端面 26 孔抜きダイ 26a 孔抜きダイの孔抜き空間 27 成形パンチ 27a 成形パンチの上面成形面 27b 成形パンチの下降停止面 28 孔抜きパンチ 28a 孔抜きパンチの先端部 34 せん断刃 35 成形スクラップ排出部(手段成形スク
ラップ排出手段) 36 スクラップ排出路 37 排出空気供給装置 38 ノックアウト部 40 ラム(スライド) 50 油圧シリンダ装置(加圧シリンダ装
置) 50a 油圧シリンダ装置のシリンダ室 50b 油圧シリンダ装置のピストン 55 成形パンチの貫通孔

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の工程からなることを特徴とする孔を
    有する鍛造部品の製造方法。 (1) 熱間鍛造により、下孔を有する粗素材を成形する粗
    素材成形工程 (2) プレス加工により、前記粗素材の外周をサイジング
    して中間素材を成形するサイジング工程 (3) プレス仕上げ加工により、前記中間素材を孔成形抜
    きして前記鍛造部品を成形する孔成形抜き工程
  2. 【請求項2】 前記サイジング工程を半密閉状態で行う
    とともに、前記孔成形抜き工程を完全密閉状態で行うこ
    とを特徴とする請求項1に記載の孔を有する鍛造部品の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記粗素材成形工程の後、前記粗素材に
    素材軟化のための熱処理を施し、デスケーリングをして
    から前記サイジング工程を行うことを特徴とする請求項
    1に記載の孔を有する鍛造部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記サイジング工程と孔成形抜き工程を
    異なる成形型内で行うことを行うことを特徴とする請求
    項1に記載の孔を有する鍛造部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記サイジング工程と孔成形抜き工程を
    一つの成形型内で連続して行うことを行うことを特徴と
    する請求項1に記載の孔を有する鍛造部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 下孔を有する粗素材の外周をサイジング
    して中間素材を成形するサイジング工程と、前記中間素
    材を孔成形抜きして前記鍛造部品を成形する孔成形抜き
    工程とを連続して行う単一の成形手段を備えてなること
    を特徴とする孔を有する鍛造部品の製造装置。
  7. 【請求項7】 前記成形手段は、固定側に設けられる下
    部成形型と、可動側に設けられる上部成形型とを備え、 前記下部成形型は、鍛造部品の最終外周形状を成形する
    外周成形面を有する成形ダイと、この成形ダイの下側に
    配置されて前記鍛造部品の最終孔形状に対応した位置に
    孔抜き空間を有する孔抜きダイとを備えてなり、 前記上部成形型は、前記下部成形型の成形ダイに密嵌状
    に嵌合可能で、前記鍛造部品の最終上面を成形する上面
    成形面を有する成形パンチと、前記下部成形型の孔抜き
    ダイの孔抜き空間に挿入可能で、前記鍛造部品の最終孔
    を成形する孔抜きパンチとを備えてなることを特徴とす
    る請求項6に記載の孔を有する鍛造部品の製造装置。
  8. 【請求項8】 前記成形パンチに貫通孔が貫設されると
    ともに、この貫通孔に前記孔抜きパンチが相対的に摺動
    可能に組み合わされてなり、 この孔抜きパンチは、昇降動作するラムに固定的に取付
    け固定され、前記成形パンチは、前記ラムに対して相対
    的に昇降方向へ移動可能に装置されるとともに、加圧シ
    リンダ装置に駆動連結されていることを特徴とする請求
    項7に記載の孔を有する鍛造部品の製造装置。
  9. 【請求項9】 前記ラムの第一の下降動作により、前記
    成形パンチが前記サイジング工程を行い、続く第二の下
    降動作により、前記孔抜きパンチが前記孔成形抜き工程
    を行うとともに、この孔成形抜き工程において、前記成
    形パンチには、前記加圧シリンダ装置により一定の加圧
    力が付与されるように構成されていることを特徴とする
    請求項8に記載の孔を有する鍛造部品の製造装置。
  10. 【請求項10】 前記孔抜きパンチの先端部は、前記中
    間素材の下孔内周面に対して円滑に挿入加圧可能な先細
    形状を備えることを特徴とする請求項7から9のいずれ
    か一つに記載の孔を有する鍛造部品の製造装置。
  11. 【請求項11】 前記下部成形型の下側に、成形スクラ
    ップ排出手段が設けられ、 この成形スクラップ排出手段は、前記孔抜きダイの孔抜
    き空間およびスクラップ回収部に連通するスクラップ排
    出路と、このスクラップ排出路に排出空気を供給する排
    出空気供給装置とを備えてなることを特徴とする請求項
    7から10のいずれか一つに記載の孔を有する鍛造部品
    の製造装置。
  12. 【請求項12】 前記孔抜きダイの孔抜き空間開口縁
    に、前記孔抜きパンチと協働するせん断刃が設けられて
    いることを特徴とする請求項7から11のいずれか一つ
    に記載の孔を有する鍛造部品の製造装置。
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