JP4054153B2 - 孔を有する鍛造部品の製造方法および製造装置 - Google Patents

孔を有する鍛造部品の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は孔を有する鍛造部品の製造方法および製造装置に関し、さらに詳細には、特に、孔形状がその軸線に対して非対称でありかつ複雑形状の鍛造部品の製造に適した精密鍛造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
孔を有する部品を製造する場合、例えば、図8(a)または(b)に示すように、外周と内周が軸線X方向にストレートで、しかも孔aの形状が軸線Xに対して対称であるような鍛造部品W1 (W1a, W1b)を、成形、せん断等の塑性加工により製造する場合は、一般に冷間鍛造法が用いられる。
【0003】
この冷間鍛造法の基本的な工程について説明すると、図9に示すように、まず、鍛造用の素材を最終製品である部品W1 の形状寸法に対応して切断し(素材切断工程)、この素材を後方押出し機により、孔aを穿孔しながら部品W1 を鍛造成形する(後方押出し工程)。続いて、このように鍛造された部品W1 の孔aを孔抜きした後(孔抜き工程)、最後に部品W1 全体にしごきを施して製品とする(しごき工程)。また、この基本工程において、軟化のための焼鈍、スケールを取るためのデスケーリング(スケール取り)、潤滑皮膜を施す工程等が、必要に応じて適宜入れられる。このような冷間鍛造法によれば、高精度の鍛造部品を製造することができる。
【0004】
一方、例えば、図10に示すように、外周と内周が軸線X方向にストレートで、孔cの形状が軸線Xに対して非対称であるような異形鍛造部品W2 にあっては、冷間鍛造での成形が極めて困難である。
【0005】
このような鍛造部品W2 の場合は、予め熱間鍛造により粗素材を造り、続いてこの粗素材の外周壁部と孔の内壁部に機械加工を施して、これら部位の仕上げ精度を高めるのが一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、熱間鍛造には、以下に列挙するように種々の方法があるが、これら熱間鍛造においてもそれぞれ問題点があり、さらなる改良が要望されていた。
【0007】
(1) 一般的な熱間鍛造においては、図11のように抜き勾配部f,gの付いた粗素材W′を造り、粗素材W′の外周部と孔内部における抜き勾配部f,gを機械加工により削り取って、図10に示すような外内周部がストレートの完成品とする。
【0008】
しかし、この方法では機械加工に要する工程数が比較的多く、製造コスト・製品コストの上昇を招いていた。
【0009】
(2) また、図11に示すような粗素材W′を造った後に、その鍛造時の自熱を利用して、温間鍛造領域で、粗素材W′の外周と内周をシェービングして、外、内周をストレートにする加工法(シェービング鍛造法)もある。
【0010】
しかし、この方法では、シェービング型の型磨耗による精度劣化や面粗さの低下等により、所定の寸法精度の鍛造部品W2 を得られ難いという問題があった。
【0011】
(3) 密閉状態で熱間鍛造する方法(熱間密閉鍛造法)においては、粗素材W′に上述したような抜き勾配部f,gを付ける必要はないが、反面、粗素材W′の上面に成形パンチと成形ダイとの間のクリアランスによるバリが発生するため、そのバリは後工程で機械加工によって除去する必要がある。
【0012】
また、この場合、上記バリの機械加工による除去は、鍛造部品W2 の上面dが平面である場合には比較的容易であるが、例えば図10に示すように、鍛造部品W2 の上面dが曲面である場合には、そのバリの除去工程数も必然的に大きくなり、製造コスト・製品コストの上昇を招くことになる。
【0013】
(4) 図10の鍛造部品W2 において、その上面dと下面eが平行平面であり、かつその高さhと幅wとの比率h/wが小さい場合には、ファインブランク法を利用して、内外周を金型を用いて剪断する場合もある。
【0014】
ただし、上面dと下面eとが平行平面でない場合や,あるいは、h/wの比率が一定値より大きい、つまり高さhが幅wに比して大きい場合には、ファインブランク法の活用は困難である。
【0015】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、孔形状の対称性の如何を問わず、機械加工を不要として、高精度でしかも大幅なコストダウンを図ることができる精密鍛造技術を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る孔を有する鍛造部品の製造方法は、下孔を有する粗素材を成形する粗素材成形工程と、プレス加工により、上記粗素材の外周をサイジングして中間素材を成形するサイジング工程と、プレス仕上げ加工により、孔抜きパンチを用いて、上記中間素材を孔成形抜きして最終製品である鍛造部品を成形する孔成形抜き工程とからなり、上記サイジング工程と孔成形抜き工程を一つの成形型内で連続して行うとともに、上記孔抜きパンチの先端部は、上記中間素材の下孔内周面に対して円滑に挿入加圧可能な先細のテーパ外周面を有するとともに、このテーパ外周面のテーパ角度αと上記中間素材の抜き勾配βとの関係をα≧βとして、これにより、上記中間素材の下孔内の材料を、横方向、斜め方向の側方向へ流動させながら成形するように設定することを特徴とする。
ここに「孔成形抜き」とは、孔抜きパンチを上記中間素材の下孔内に貫通させながら、完全密閉状態で成形と孔抜きを行うことを意味する。
【0017】
好適な実施態様として、上記下孔を有する粗素材は熱間鍛造品である。
【0018】
また、本発明に係る孔を有する鍛造部品の製造装置は、上記孔を有する鍛造部品の製造方法の実施に使用されるものであって、上記製造方法におけるサイジング工程と孔成形抜き工程とを連続して行う単一の成形手段を備えてなり、この成形手段は、上記中間素材を孔成形抜きして最終製品である鍛造部品を成形する孔抜きパンチを備え、この孔抜きパンチの先端部は、上記中間素材の下孔内周面に対して円滑に挿入加圧可能な先細のテーパ外周面を有するとともに、このテーパ外周面のテーパ角度αと上記中間素材の抜き勾配βとの関係がα≧βとされて、これにより、上記中間素材の下孔内の材料を、横方向、斜め方向の側方向へ流動させながら成形するように設定されていることを特徴とする。
【0019】
好適な実施態様として、上記成形手段は、固定側に設けられる下部成形型と、可動側に設けられる上部成形型とを備え、上記下部成形型は、鍛造部品の最終外周形状を成形する外周成形面を有する成形ダイと、この成形ダイの下側に配置されて前記鍛造部品の最終孔形状に対応した位置に孔抜き空間を有する孔抜きダイとを備えてなり、上記上部成形型は、上記下部成形型の成形ダイに密嵌状に嵌合可能で、上記鍛造部品の最終上面を成形する上面成形面を有する成形パンチと、上記下部成形型の孔抜きダイの孔抜き空間に挿入可能で、上記鍛造部品の最終孔を成形する孔抜きパンチとを備えてなる。
【0020】
また、上記成形パンチに貫通孔が貫設されるとともに、この貫通孔に上記孔抜きパンチが相対的に摺動可能に組み合わされてなり、この孔抜きパンチは、昇降動作するラムに固定的に取付け固定され、上記成形パンチは、上記ラムに対して相対的に昇降方向へ移動可能に装置されるとともに、加圧シリンダ装置に駆動連結されている。
【0021】
本発明の製造方法においては、予め下孔を有する粗素材を成形した後(粗素材成形工程)、この粗素材の外周を、プレス加工により、半密閉状態でサイジングして中間素材を成形し(サイジング工程)、最後に、この中間素材を、プレス仕上げ加工により、完全密閉状態で孔成形抜きして最終製品である鍛造部品を成形する(孔成形抜き工程)。
【0022】
すなわち、上記粗素材成形工程では、冷間鍛造での成形が極めて困難な複雑な形状の鍛造部品、例えば、図10に示すような異形鍛造部品W2 の製造にも対処可能な粗素材を成形する。
【0023】
この粗素材を続くサイジング工程でサイジングすることにより、粗素材の高さが一定寸法に揃えられるとともに、その外周の抜き勾配もほぼストレートになる。このサイジング工程における粗素材の材料の流動メカニズムは、高さ方向の加圧力により生ずる余肉(余った材料)の一部が外周側へ流動して、外周の抜き勾配をなくしながらストレート形状に修正するとともに、残りの部分が内周側にも流動して、下孔の開口面積は小さくなる。
【0024】
そして、最後の孔成形抜き工程では、上述したような形状寸法を有する孔抜きパンチを用いて、中間素材の下孔に孔成形抜きを施すことにより、つまり中間素材に対して孔抜きしながら成形を施すことにより、下孔内の余肉の一部が成形型内の隙間へ流動して充填されるとともに、残りの部分がスクラップとして成形型内から排出される。この孔成形抜きの完了状態においては、成形型内は完全密閉状態にあり、これにより、成形型内の仕上がり素材(鍛造部品)の各部の寸法精度は高く、重量バラツキも極めて少ないものとなる。
【0025】
また、機械加工が不要であるため、従来に比して大幅なコストダウンを図ることが可能であり、特に、上記サイジング工程と孔成形抜き工程を本発明の製造装置を用いて行うことにより、これら一連の工程が単一の成形型内で行われる結果、製造時間の短縮と高い寸法精度維持がより確実に実現可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
実施形態1
本発明に係る孔を有する鍛造部品の製造方法は、例えば、図10に示すような異形部品W2 、つまり、その外周と内周が軸線X方向にストレートで、かつ孔cの形状が軸線Xに対して非対称であって、冷間鍛造での成形が極めて困難であるような鍛造部品の製造に適した製造方法である。以下、この図10に示される異形鍛造部品W2 を製造する場合を具体例として説明する。
【0028】
本発明の製造方法は、粗素材成形工程、サイジング工程および孔成形抜き工程の3つの工程を主要な工程として構成されてなる。
【0029】
(1)粗素材成形工程:
粗素材成形工程は、熱間鍛造により、下孔iを有する粗素材W′を成形する工程であり、具体的には、従来の一般的な熱間鍛造により、図11に示すように、抜き勾配部f,gの付いた、下孔iを有する粗素材W′を造る。
【0030】
(2)サイジング工程:
サイジング工程は、プレス加工により、上記粗素材W′の高さを一定に成形すると同時に、その外周をサイジング(寸法出し成形)して中間素材W″を成形する工程であり、このサイジング工程は、半密閉状態の成形型構造を備えたプレス機を用いて行う。
【0031】
この成形型構造は、具体的には、図1(a) および図1(b)に示すように、固定側に設けられる成形ダイ1と、可動側に設けられる成形パンチ2とを備えてなる。
【0032】
成形ダイ1は、鍛造部品W2 の最終外周形状に対応したストレートの外周成形面1aを有する。一方、成形パンチ2は、図1(b) に示すように、上記成形ダイ1に密嵌状に嵌合可能で、鍛造部品W2 の最終上面dに対応した上面成形面2aを有する。
【0033】
そして、粗素材W′を成形ダイ1内へと投入するとともに(図1(a))、成形パンチ2を下降させる(図1(b))。これにより、粗素材W′は成形パンチ2により成形されて、その高さが一定寸法に揃えられるとともに、その外周の抜き勾配部fもほぼストレートに成形されて、中間素材W″となる。
【0034】
このサイジング工程における粗素材W′の材料の流動メカニズムは、高さ方向の加圧力により生ずる余肉(余った材料)の一部が外周側へ流動して、外周の抜き勾配部fをなくしながらストレート形状に修正するとともに、残りの部分が内周側にも流動する。これにより、下孔iの開口面積は、粗素材W′のときよりも減小することとなる。なお、図1(b)に示されるように、中間素材W″の外周面の下部には隙間3がある場合もある。要するに、このサイジング工程は半密閉状態で行われるため、中間素材W″の外周、外壁部のストレート成形は不完全な状態にある。
【0035】
また、このサイジング工程に際して、粗素材W′の硬度が大きく、硬過ぎてサイジングし難い場合は、その前工程として、上記粗素材成形工程の後に素材軟化のための熱処理を施し、その後デスケーリング(スケール取り)をし、さらに潤滑皮膜を施してから、サイジング工程を行う。一方、粗素材W′が適切な硬度であれば、そのまま潤滑処理を施してサイジングを行う。
【0036】
(3)孔成形抜き工程:
孔成形抜き工程は、プレス仕上げ加工により、前記中間素材W″を孔成形抜きして前記鍛造部品W2 を成形する工程であり、この孔成形抜き工程は、完全密閉状態の成形型構造を備えたプレス機を用いて行う。
【0037】
この成形型構造は、具体的には、図1(c)に示すように、固定側に設けられる下部成形型10と、可動側に設けられる上部成形型11とを備えてなる。
【0038】
下部成形型10は、成形ダイ15と孔抜きダイ16からなる。成形ダイ15は、鍛造部品W2 の最終外周形状を成形するストレートの外周成形面15aを有する。また、孔抜きダイ16は、この成形ダイ15の下側に配置されて鍛造部品W2 の最終孔形状に対応した位置に孔抜き空間16aを有する。
【0039】
一方、上部成形型11は、成形パンチ17と孔抜きパンチ18とからなる。成形パンチ17は、上記下部成形型10の成形ダイ15に密嵌状に嵌合可能で、鍛造部品W2 の最終上面dを成形する上面成形面17aを有する。また、孔抜きパンチ18は、鍛造部品W2 の最終孔cを成形するもので、成形パンチ17の中央部分に高さ調整可能に保持されている。この孔抜きパンチ18は、成形パンチ17の下面つまり上面成形面17aから下方へ突出するとともに、下部成形型10の孔抜きダイ16の孔抜き空間16aに挿入可能とされている。
【0040】
孔抜きパンチ18の先端部18aの形状寸法は、中間素材W″を孔成形抜きして鍛造部品W 2 を成形する作用をなすため、つまり、中間素材W″の下孔i内の材料を、横方向、斜め方向の側方向へ流動させながら成形する必要から、下孔i内の抜き勾配部gの抜き勾配の程度に応じて、上記孔成形抜き機能を発揮し得るように設計される。
【0041】
図示の実施形態において、孔抜きパンチ18の先端部18aは、中間素材W″の下孔i内周面に対して円滑に挿入加圧可能な先細のテーパ外周面を有してなり、図2を参照して、この孔抜きパンチ18の先端部18aのテーパ外周面のテーパ角度αと中間素材W″の抜き勾配βとの関係は、α≧βとされ、先端部18aの高さHは、中間素材W″の高さH0 を勘案して適宜設定される。
【0042】
ちなみに、孔抜きパンチ18の先端部18aのテーパ角度αと中間素材W″の抜き勾配βとの関係がα<βとなると、図3に示すように、中間素材W″の下孔i内周面部分に孔抜きパンチ18の先端部18aが喰い付き、この部分の材料をむしりとるような形になり、この結果、下孔iの内周面にクラックが入り、また横方向への材料の流動もスムースではなくなる。そして、このようなむしれが発生すると、その部分の潤滑被膜がきれ、孔抜きパンチ18と中間素材W″との焼付きが発生し、その後の生産も不可能となり、量産性がなくなってしまう。
【0043】
これに対して、α≧βの場合は、孔抜きパンチ18の進行(下降)に際して、先端部18aのテーパ外周面と中間素材W″の下孔iの接触表面との間の潤滑効果を保持しながら、なおかつ余肉の流動を孔抜きパンチ18の横方向へ与えて、成形ダイ15内への充填性を高める効果がある。また、これに関連して、孔抜きパンチ18の先端部18aの基部18bを、図示のような断面直線状から、先端部18aから円滑に連続する断面円弧状としても良い。
【0044】
そして、サイジング工程で造られた中間素材W″を下部成形型10の成形ダイ15内へと投入するとともに、上部成形型11(成形パンチ17+孔抜きパンチ18)を下降させる。この下降に連れて、孔抜きパンチ18が中間素材W″の下孔i内の材料に接触して、さらに孔抜きパンチ18の下降に伴って、これら下孔i内の余った材料(余肉)を横方向および斜め下方向へ押圧排除しながら、中間素材W″の外周面下部の隙間3に充填させるとともに、下孔i内を成形して鍛造部品W2 が完成する。
【0045】
この孔成形抜き工程が完了した瞬間の状態においては、図1(c)に示すように、成形パンチ17が成形ダイ15に密嵌状に嵌合して、鍛造部品W2 の上面を押さえ付け、鍛造部品W2 は完全密封状態下にある。なお、この孔抜きパンチ18の下降で余った材料つまり余肉は、スクラップsとして、孔抜きダイ16の孔抜き空間16aから排出される。
【0046】
しかして、以上のように構成された製造方法においては、予め下孔iを形成された粗素材W′に対して、半密閉状態でサイジングを施して中間素材W″とした後、この中間素材W″を成形パンチ17で押さえ付けて、孔抜きパンチ18を下孔i内に貫通させながら、完全密閉状態で成形と孔抜きを行うことにより、最終製品である鍛造部品W2 の各部の仕上がり寸法精度は非常に高く、重量バラツキも極めて少ない。
【0047】
また、本製造方法によれば、機械加工が不要であるため、従来のこの種の製造方法に比して大幅なコストダウンを図ることが可能である。
【0048】
実施形態2
本実施形態は図4に示されており、実施形態1における製造工程の一部が改変されたものである。
【0049】
すなわち、実施形態1においては、サイジング工程と孔成形抜き工程を異なる成形型内で行っていたが、本実施形態においては、サイジング工程と孔成形抜き工程を一つの成形型内で連続して行う構成とされている。
【0050】
本実施形態におけるサイジング工程と孔成形抜き工程を連続して行うプレス機の単一の成形型構造は、具体的には、図示のように、固定側に設けられる下部成形型20と、可動側に設けられる上部成形型21とを備えてなる。
【0051】
下部成形型20は、成形ダイ25と孔抜きダイ26からなる。成形ダイ25は、鍛造部品W2 の最終外周形状を成形するストレートの外周成形面25aを有する。また、孔抜きダイ26は、成形ダイ25の下側に配置されて鍛造部品W2 の最終孔形状に対応した位置に孔抜き空間26aを有する。この孔抜き空間26aは、後述する孔抜きパンチ28が挿入可能な形状寸法を有するとともに、孔抜き空間26aの上端開口縁34が、孔抜きパンチ28と協働するせん断刃とされている。
【0052】
一方、上部成形型21は、成形パンチ27と孔抜きパンチ28とからなる。成形パンチ27は、上記下部成形型20の成形ダイ25に密嵌状に嵌合可能で、鍛造部品W2 の最終上面dを成形する上面成形面27aを有する。また、孔抜きパンチ28は、鍛造部品W2 の最終孔cを成形するもので、成形パンチ27の中央部分に摺動可能に保持されている。この孔抜きパンチ28は、成形パンチ27の下面、つまり上面成形面27aから下方へ突出退入可能とされるとともに、下部成形型20の孔抜きダイ26の孔抜き空間26aに挿入可能とされている。孔抜きパンチ28の先端部28aの形状寸法は、実施形態1の孔抜きパンチ18の先端部18aの形状寸法と同様の条件で設計される。
【0053】
次に、以上のように構成されたプレス機を用いた鍛造部品W2 の製造方法を説明する。
【0054】
(1)粗素材成形工程:
この工程は実施形態1の場合と同様であって、従来の一般的な熱間鍛造により、図11に示すように、抜き勾配部f,gの付いた粗素材W′を造る。
【0055】
(2)サイジング工程:
粗素材成形工程で造られた粗素材W′を、図4(a)に示すように、下部成形型20の成形ダイ25内へと投入するとともに、上部成形型21(成形パンチ27+孔抜きパンチ28)を成形ダイ25へ接近(下降)させる。この状態においては、孔抜きパンチ28は、成形パンチ27に対して相対的に停止状態にある。
【0056】
さらに、図4(b)に示すように、上部成形型21が成形ダイ25へ接近するとともに、成形パンチ27の下降停止面27bが成形ダイ25の係合端面25bに接触するまで、成形パンチ27の上面成形面27aが粗素材W′を下方に押し付ける。これにより、粗素材W′は成形パンチ27により成形されて、その高さが一定寸法に揃えられるとともに、その外周の抜き勾配部fもほぼストレートに成形されて、前記中間素材W″となる。この場合の材料の流動メカニズムは、実施形態1のサイジング工程における材料の流動メカニズムと同様である。
【0057】
(3)孔成形抜き工程:
成形パンチ27による粗素材W′の部分成形が完了した状態、つまり上記中間素材W″が成形された状態から、孔抜きパンチ28が下降し始める。この孔抜きパンチ28の下降に連れて、孔抜きパンチ28が中間素材W″の下孔i内の材料に接触するとともに、さらなる下降に伴ってこれら下孔i内の余った材料(余肉)を横方向および斜め下方向へ押圧排除しながら、中間素材W″の外周面下部の隙間3に充填させるとともに、下孔i内を成形して鍛造部品W2 が完成する。この場合、孔抜きパンチ28の下降で余った材料つまり余肉は、スクラップsとして、孔抜きダイ26の孔抜き空間26aから排出されるなど、実施形態1の孔成形抜き工程と同様である。
【0058】
この孔成形抜き工程においては、図4(b)に示すように、成形パンチ27の下降停止面27bが成形ダイ25の係合端面25bに接触して、成形パンチ27の上面成形面27aが中間素材W″を下方に押し付けた静止状態にあり、中間素材W″の高さ寸法がそのまま高い精度をもって維持されるとともに、孔成形抜き工程が完了した瞬間の状態においては、図4(c)に示すように、鍛造部品W2 は完全密封状態下にある。
【0059】
したがって、仕上がり素材である鍛造部品W2 は、粗素材W′の重量バラツキの有無に拘らずほぼ一定と重量のものが得られる。つまり、粗素材W′の重量バラツキは、孔抜きダイ26の孔抜き空間26aから排出されるスクラップsの重量のバラツキとなって表れて、このスクラップにより吸収される結果、鍛造部品W2 の重量はほぼ一定となる。
その他の構成および作用は実施形態1と同様である。
【0060】
実施形態3
本実施形態に係る鍛造部品の製造装置が図5〜図7に示されており、実施形態2の製造方法の実施に使用されるプレス機である。
【0061】
このプレス機は、実施形態2のサイジング工程と孔成形抜き工程とを連続して行う単一の成形型構造(成形手段)を備えてなり、具体的には、前述した実施形態2の成形型構造つまり下部成形型20と上部成形型21を備える成形型構造を主要部として構成されている。以下、実施形態2と同一の参照符号は、同じ構成要素または構成部材を示す。
【0062】
下部成形型20の成形ダイ25は、プレス機のベッド30上にダイホルダ31,32,33を介して固定的に装着されており、その内径面25aが、図示のごとく、鍛造部品W2 の最終外周形状を成形する垂直なストレートの外周成形面を形成している。
【0063】
また、下部成形型20の孔抜きダイ26は、上記成形ダイ25の下側に連続して配置されており、その内部に孔抜き空間26aを備える。この孔抜き空間26aは、鍛造部品W2 の最終孔形状に対応した位置に配置されて、後述する孔抜きパンチ28が挿入可能な形状寸法を有するとともに、孔抜き空間26aの上端開口縁34が、孔抜きパンチ28と協働するせん断刃とされている。
【0064】
さらに、下部成形型20の下側に、成形スクラップ排出部(成形スクラップ排出手段)35が設けられている。
【0065】
この成形スクラップ排出部35は、孔成形抜き工程で生成される余肉のスクラップを成形型外部へ排出するもので、スクラップ排出路36と排出空気供給装置37とからなる。
【0066】
スクラップ排出路36は、具体的には、上記孔抜きダイ26とダイホルダ33内に、上記孔抜き空間26aの下端と連通して設けられている。このスクラップ排出路36は水平に延びて設けられており、その先端36aが図外のスクラップ回収部に連通するとともに、その基端36bが上記排出空気供給装置37に連通されている。スクラップ排出路36の先端側底部は、図示のごとく先端にむけて下向き傾斜状に形成されて、スクラップの排出が円滑に行われる構造とされている。
【0067】
排出空気供給装置37は、スクラップ排出路36に排出空気を供給するもので、具体的には送風機等を備える従来周知の基本構造を備える空気供給回路から構成されている。
【0068】
38は、孔成形抜き後の鍛造部品W2 を成形ダイ25から取り出すためのノックアウト部を示しており、具体的には、成形ダイ25内の鍛造部品W2 の底面を突き上げるためのノックアウトピン38aを主要部として備えており、このノックアウトピン38aは、プレス機本体のノックアウトバー39により昇降動作される。
【0069】
上部成形型21の成形パンチ27と孔抜きパンチ28は、プレス機の昇降動作するラム(スライド)40下面に固定されたダイセットのアッパープレート41に装着されている。具体的には、孔抜きパンチ28は、孔抜きパンチホルダ42、43、44を介して上記アッパープレート41に固定されている。一方、成形パンチ27は、成形パンチホルダ46、47、48を介して加圧シリンダ装置50に固定されている。
【0070】
図示の実施形態においては、上記成形パンチ27の中央部に貫通孔55が上下垂直方向へ貫設されるとともに、この貫通孔55に、昇降動作するラム40に固定的に取付け固定された上記孔抜きパンチ28が相対的に摺動可能に組み合わされてなる。成形パンチ27は、上記ラム40に対して相対的に昇降方向へ移動可能に装置されるとともに、上記加圧シリンダ装置50に駆動連結されている。
【0071】
加圧シリンダ装置50は、油圧により駆動する油圧シリンダの形態とされ、具体的には、シリンダ室50aが、上記アッパープレート41とこのアッパープレート41に一体的に組合されたピストンホルダ51とから形成されるとともに、ピストン50bが、上記シリンダ室50a内に供給される圧油により、ピストンホルダ51に摺動案内されて昇降動作するように構成されている。上記シリンダ室50aは、図示しないが、油圧制御回路を介して油圧供給源に連通されており、その内部の油供給量が適宜制御される。また、ピストン50bの昇降ストロークの下端は、上記ピストンホルダ51の係止肩部51aとピストン50bの下面との当接係合により規定される。
【0072】
上記ピストン50bには、上記成形パンチ27が成形パンチホルダ46、47、48を介して取付け固定されている。成形パンチ27を保持する成形パンチホルダ47は、上記アッパープレート41に、垂直に装着された複数本(図面には1本のみ示されている)のガイドポスト60に対して、ガイドブッシュ61を介して上下方向へ摺動可能に案内支持されている。これにより、成形パンチ27は、上記ラム40さらにはこのラム40と一体の固定された孔抜きパンチ28に対して、相対的に昇降方向へ移動可能とされている。
【0073】
そして、油圧供給源から油圧制御回路を介して上記シリンダ室50aに供給される油供給量が制御されると、ピストン50bを介して、成形パンチ27に所定の油圧が伝達され、これにより、ラム40の昇降動作と協働して、後述する成形パンチ27によるサイジング工程と、孔抜きパンチ28による孔成形抜き工程が連続して行われる。
【0074】
なお、成形パンチ27は、下部成形型20の成形ダイ25に密嵌状に嵌合可能で、鍛造部品W2 の最終上面dを成形する上面成形面27aを有し、一方、孔抜きパンチ28は、鍛造部品W2 の最終孔cを成形する外径寸法を有する筒状外周面を備えるとともに、その先端部28aが、中間素材W″の下孔i内周面に対して円滑に挿入加圧可能な先細形状を備える。孔抜きパンチ28の先端部28aの具体的な形状寸法は、実施形態2と同様、実施形態1の孔抜きパンチ18の先端部18aの形状寸法と同様の条件で設計される。
【0075】
次に、以上のように構成されたプレス機を用いた鍛造部品W2 の製造方法を説明する。
【0076】
(1)粗素材成形工程:
この工程は実施形態1および実施形態2の場合と同様であって、従来の一般的な熱間鍛造により、図11に示すように、抜き勾配部f,gの付いた粗素材W′を造る。
【0077】
(2)サイジング工程:
粗素材成形工程で造られた粗素材W′を、図5に示すように、下部成形型20の成形ダイ25内へと投入するとともに、ラム40の第一の下降動作により、成形パンチ27が前記サイジング工程を行う。
【0078】
すなわち、ラム40が下降して、このラム40に装着された上部成形型21(成形パンチ27+孔抜きパンチ28)が下部成形型20の成形ダイ25へ接近(下降)する。この状態においては、孔抜きパンチ28は、図示のごとく、成形パンチ27に対して相対的に停止状態にあり、また、成形パンチ27の上面には、油圧シリンダ装置50の油圧による圧力が加えられている。
【0079】
さらに、図6に示すように、上部成形型21が成形ダイ25へ接近して、成形パンチ27を保持する成形パンチホルダ46の下面46aが成形ダイ25の係合端面25bに接触するまで、成形パンチ27の上面成形面27aが粗素材W′を下方に押し付ける。
【0080】
換言すれば、成形パンチ27がの上面成形面27aが粗素材W′に接触し始めると、油圧シリンダ装置50の油圧が作用して、粗素材W′の成形が始まり、ラム40が下降し続けて、成形パンチホルダ46の下面46aが成形ダイ25の係合端面25bに当接停止すると、サイジング工程の成形が完了する。つまり、成形パンチ27は油圧シリンダ装置50による油圧駆動であるため、何らかのストッパ手段を設けないと、上記成形動作がどんどん進行していく、成形パンチホルダ46はこのストッパの役割を担っている。この成形完了時点のラム40の下降位置は、まだ昇降ストローク(ラム行程)の下死点に達しておらず、その下降中間位置にあり、図示の実施形態においては、ラム40の昇降ストローク(ラム行程)の下死点上ほぼ中間素材W″の高さ位置にある。
【0081】
以上の動作により、粗素材W′は成形パンチ27により成形されて、その高さが一定寸法に揃えられるとともに、その外周の抜き勾配部fもほぼストレートに成形されて、上記中間素材W″となる。この場合の材料の流動メカニズムは、実施形態1のサイジング工程における材料の流動メカニズムと同様である。
【0082】
(3)孔成形抜き工程:
成形パンチ27による粗素材W′の部分成形が完了した状態、つまり上記中間素材W″が成形された状態から、続く、ラム40の第二の下降動作により、孔抜きパンチ28が上記孔成形抜き工程を行うとともに、この間において、上記成形パンチ27には、油圧シリンダ装置50により一定の加圧力が付与される。
【0083】
すなわち、ラム40のさらなる下降に伴って、孔抜パンチホルダ42、43、44を介して、孔抜きパンチ28が、成形パンチ27の上面成形面27aから突出して、下降し始める。そして、この孔抜きパンチ28は、ラム40の下降に連れて中間素材W″の下孔iの中へと進入していき、同時に下孔i内の成形と余分な材料(余肉)の排除を行いながら下降を続ける。この下降時において、成形パンチ27を固定している油圧シリンダ装置50のシリンダ室50a内の油が、油圧制御回路を介して油タンクへ還流排除されて、その油量が減少していく。この結果、ピストン50bは作動せず、成形パンチ27は静止した状態にある。
【0084】
そして、ラム40がその昇降ストロークの下死点に達した時点で、この孔成形抜き工程における成形と孔抜き作業が完了して、鍛造部品W2 が完成すると、ラム40は再び上死点近傍へと上昇復帰する。また、孔抜きパンチ28の下降で余った材料つまり余肉は、ラム40の昇降ストロークの下死点近傍において孔抜きダイ26のせん断刃34により切断され、スクラップとして、孔抜きダイ26の孔抜き空間26aからスクラップ排出路36へ落下排出された後、排出空気供給装置37から供給される排出空気により成形型外部のスクラップ回収部へ排出供給される。
【0085】
なお、この場合の孔抜きパンチ28による中間素材W″の成形と孔抜き作業時における材料の移動のメカニズムは実施形態2の孔成形抜き工程と同様である。
【0086】
また、上述したサイジング工程を行うためのラム40の第一の下降動作と孔成形抜き工程を行う第二の下降動作は、本実施形態においては連続した動作として行われるが、目的に応じて断続的なつまり不連続な動作となる場合もある。
その他の構成および作用は実施形態2と同様である。
【0087】
なお上述した実施形態1〜3はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0088】
例えば、成形型の具体的構造は、成形対象である鍛造部品W2 の形状寸法に対応して設計され、図示のものに限定されない。
【0089】
また、実施形態3におけるプレス機の成形型構造の具体的構成も、同一条件を満たす限り、つまり上述したサイジング工程と孔成形抜き工程を連続して行うことができる限り、他の構成に適宜改変することが可能である。
【0090】
さらに、本発明は、図示の実施形態で説明したように、図10に示すように、その外周と内周がストレートで、かつ孔cの形状がその軸線に対して非対称であって、冷間鍛造での成形が極めて困難であるような異形鍛造部品W2 の製造に最適な製造技術ではあるが、もちろん、例えば、図8(a)、(b)に示すように、外周と内周がストレートで、しかも孔aの形状がその軸線Xに対して対称であるような部品W1 (W1a, W1b)にも適用可能である。
【0091】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の製造方法によれば、下孔を有する粗素材を成形する粗素材成形工程と、プレス加工により、上記粗素材の外周をサイジングして中間素材を成形するサイジング工程と、プレス仕上げ加工により、孔抜きパンチを用いて、上記中間素材を孔成形抜きして最終製品である鍛造部品を成形する孔成形抜き工程とからなり、上記サイジング工程と孔成形抜き工程を一つの成形型内で連続して行うとともに、上記孔抜きパンチの先端部は、上記中間素材の下孔内周面に対して円滑に挿入加圧可能な先細のテーパ外周面を有するとともに、このテーパ外周面のテーパ角度αと上記中間素材の抜き勾配βとの関係をα≧βとして、これにより、上記中間素材の下孔内の材料を、横方向、斜め方向の側方向へ流動させながら成形するように設定するから、孔形状の対称性の如何を問わず、機械加工を不要として、高精度でしかも大幅なコストダウンを図ることができる精密鍛造技術を提供することができる。
【0092】
すなわち、上記粗素材成形工程では、冷間鍛造での成形が極めて困難な複雑な形状の鍛造部品、例えば、図10に示すような異形鍛造部品W2 の製造にも対処可能な粗素材を成形することができる。
【0093】
また、この粗素材を、続くサイジング工程でサイジングすることにより、粗素材の高さが一定寸法に揃えられるとともに、その外周の抜き勾配もほぼストレートに成形することができる。つまり、このサイジング工程における粗素材の材料の流動メカニズムは、高さ方向の加圧力により生ずる余肉の一部が外周側へ流動して、外周の抜き勾配をなくしながらストレート形状に修正するとともに、残りの部分が内周側にも流動して、下孔の開口面積は小さくなる。
【0094】
さらに、最後の孔成形抜き工程では、上述したような形状寸法を有する孔抜きパンチを用いて、中間素材の下孔に孔成形抜きを施すことにより、つまり中間素材に対して孔抜きしながら成形を施すことにより、下孔内の余肉の一部が成形型内の隙間へ流動して充填されるとともに、残りの部分がスクラップとして成形型内から排出されるところ、この孔成形抜きの完了状態においては、成形型内は完全密閉状態にある。この結果、成形型内の仕上がり素材(鍛造部品)の各部の寸法精度はきわめて高い。
【0095】
また、粗素材の重量バラツキは、孔成形抜き工程において排出されるスクラップの重量のバラツキとなって表れて、このスクラップにより吸収される。この結果、仕上がり素材である鍛造部品は、粗素材の重量バラツキの有無に拘らずほぼ一定の重量のものが得られることとなり、重量バラツキも非常に少ないものが得られる。
【0096】
また、機械加工が不要であるため、機械加工による切削加工が極めて困難な鍛造部品も製造可能であり、部品設計の自由度が従来に比して大きくなるとともに、従来に比して大幅なコストダウンを図ることも可能である。
【0097】
とりわけ、上記サイジング工程と孔成形抜き工程を本発明の製造装置を用いて連続して行うことにより、これら一連の工程が単一の成形型内で行われる結果、製造時間の短縮と高い寸法精度維持がより確実に実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態1である孔を有する鍛造部品の製造方法の工程を示す断面図で、図1(a) は粗素材成形工程を完了した粗素材をサイジング工程用の成形ダイ内に投入した状態を示し、図1(b) は同粗素材にサイジングを施した状態を示し、図1(c) はサイジング工程を完了した中間素材に孔成形抜き工程用の成形ダイ内で孔成形抜きを施した状態を示す。
【図2】同製造方法の孔成形抜き工程において用いる孔抜きパンチの先端部の形状寸法と、粗素材の下孔との関係を一部拡大して示す正面図である。
【図3】同孔抜きパンチの先端部の形状寸法が適切でない場合に、同孔抜きパンチにより孔成形抜きを行ったときの粗素材の下孔の状態を説明するための正面断面図である。
【図4】本発明に係る実施形態2である孔を有する鍛造部品の製造方法の工程を示す断面図で、図4(a) は粗素材成形工程を完了した粗素材を成形ダイ内に投入した状態を示し、図4(b) は同粗素材にサイジングを施した状態を示し、図4(c) はサイジング工程を完了した中間素材に同じ成形ダイ内で連続して孔成形抜きを施した状態を示す。
【図5】本発明に係る実施形態3である孔を有する鍛造部品の製造方法に使用する製造装置を示す断面図で、粗素材成形工程を完了した粗素材を成形ダイ内に投入した状態を示す。
【図6】同じく同製造装置について、粗素材にサイジングを施した状態を示す断面図である。
【図7】同じく同製造装置について、サイジング工程を完了した中間素材に孔成形抜きを施した状態を示す断面図である。
【図8】孔を有する鍛造部品の一例である、孔形状がその軸線に対して対称である鍛造部品を示す平面図と断面図である。
【図9】同鍛造部品を冷間鍛造方により製造する場合の一般的な製造工程を示すブロック図である。
【図10】冷間鍛造での成形が極めて困難な孔を有する鍛造部品の一例である、孔形状がその軸線に対して非対称である鍛造部品を示し、図10(a) は平面図であり、図10(b) は断面図である。
【図11】熱間鍛造により造られた同鍛造部品の粗素材を示し、図11(a) は平面図であり、図11(b) は断面図である。
【符号の説明】
2 鍛造部品
f,g 抜き勾配部
W′ 粗素材
W″ 中間素材
i 下孔
1 成形ダイ
1a 成形ダイの外周成形面
2 成形パンチ
2a 成形パンチの上面成形面
10 下部成形型
11 上部成形型
15 成形ダイ
15a 成形ダイの外周成形面
16 孔抜きダイ
16a 孔抜きダイの孔抜き空間
17 成形パンチ
17a 成形パンチの上面成形面
18 孔抜きパンチ
20 下部成形型
21 上部成形型
25 成形ダイ
25a 成形ダイの外周成形面
25b 成形ダイの係合端面
26 孔抜きダイ
26a 孔抜きダイの孔抜き空間
27 成形パンチ
27a 成形パンチの上面成形面
27b 成形パンチの下降停止面
28 孔抜きパンチ
28a 孔抜きパンチの先端部
34 せん断刃
35 成形スクラップ排出部(成形スクラップ排出手段)
36 スクラップ排出路
37 排出空気供給装置
38 ノックアウト部
40 ラム(スライド)
50 油圧シリンダ装置(加圧シリンダ装置)
50a 油圧シリンダ装置のシリンダ室
50b 油圧シリンダ装置のピストン
55 成形パンチの貫通孔

Claims (10)

  1. 下孔を有する粗素材を成形する粗素材成形工程と、
    プレス加工により、前記粗素材の外周をサイジングして中間素材を成形するサイジング工程と、
    プレス仕上げ加工により、孔抜きパンチを用いて、前記中間素材を孔成形抜きして最終製品である鍛造部品を成形する孔成形抜き工程とからなり、
    前記サイジング工程と孔成形抜き工程を一つの成形型内で連続して行うとともに、
    前記孔抜きパンチの先端部は、前記中間素材の下孔内周面に対して円滑に挿入加圧可能な先細のテーパ外周面を有するとともに、このテーパ外周面のテーパ角度αと前記中間素材の抜き勾配βとの関係をα≧βとして、これにより、前記中間素材の下孔内の材料を、横方向、斜め方向の側方向へ流動させながら成形するように設定する
    ことを特徴とする孔を有する鍛造部品の製造方法。
  2. 前記サイジング工程を半密閉状態で行うとともに、前記孔成形抜き工程を完全密閉状態で行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の孔を有する鍛造部品の製造方法。
  3. 前記粗素材成形工程の後、前記粗素材に素材軟化のための熱処理を施し、デスケーリングをしてから前記サイジング工程を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の孔を有する鍛造部品の製造方法。
  4. 前記下孔を有する粗素材は熱間鍛造品であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の孔を有する鍛造部品の製造方法。
  5. 下孔を有する粗素材の外周をサイジングして中間素材を成形するサイジング工程と、前記中間素材を孔成形抜きして最終製品である鍛造部品を成形する孔成形抜き工程とを連続して行う単一の成形手段を備えてなり、
    この成形手段は、前記中間素材を孔成形抜きして前記鍛造部品を成形する孔抜きパンチを備え、
    この孔抜きパンチの先端部は、前記中間素材の下孔内周面に対して円滑に挿入加圧可能な先細のテーパ外周面を有するとともに、このテーパ外周面のテーパ角度αと前記中間素材の抜き勾配βとの関係がα≧βとされて、これにより、前記中間素材の下孔内の材料を、横方向、斜め方向の側方向へ流動させながら成形するように設定されている
    ことを特徴とする孔を有する鍛造部品の製造装置。
  6. 前記成形手段は、固定側に設けられる下部成形型と、可動側に設けられる上部成形型とを備え、
    前記下部成形型は、鍛造部品の最終外周形状を成形する外周成形面を有する成形ダイと、この成形ダイの下側に配置されて前記鍛造部品の最終孔形状に対応した位置に孔抜き空間を有する孔抜きダイとを備えてなり、
    前記上部成形型は、前記下部成形型の成形ダイに密嵌状に嵌合可能で、前記鍛造部品の最終上面を成形する上面成形面を有する成形パンチと、前記下部成形型の孔抜きダイの孔抜き空間に挿入可能で、前記鍛造部品の最終孔を成形する前記孔抜きパンチとを備えてなる
    ことを特徴とする請求項5に記載の孔を有する鍛造部品の製造装置。
  7. 前記成形パンチに貫通孔が貫設されるとともに、この貫通孔に前記孔抜きパンチが相対的に摺動可能に組み合わされてなり、
    この孔抜きパンチは、昇降動作するラムに固定的に取付け固定され、
    前記成形パンチは、前記ラムに対して相対的に昇降方向へ移動可能に装置されるとともに、加圧シリンダ装置に駆動連結されている
    ことを特徴とする請求項6に記載の孔を有する鍛造部品の製造装置。
  8. 前記ラムの第一の下降動作により、前記成形パンチが前記サイジング工程を行い、続く第二の下降動作により、前記孔抜きパンチが前記孔成形抜き工程を行うとともに、この孔成形抜き工程において、前記成形パンチには、前記加圧シリンダ装置により一定の加圧力が付与されるように構成されている
    ことを特徴とする請求項7に記載の孔を有する鍛造部品の製造装置。
  9. 前記下部成形型の下側に、成形スクラップ排出手段が設けられ、
    この成形スクラップ排出手段は、前記孔抜きダイの孔抜き空間およびスクラップ回収部に連通するスクラップ排出路と、このスクラップ排出路に排出空気を供給する排出空気供給装置とを備えてなる
    ことを特徴とする請求項6からのいずれか一つに記載の孔を有する鍛造部品の製造装置。
  10. 前記孔抜きダイの孔抜き空間開口縁に、前記孔抜きパンチと協働するせん断刃が設けられている
    ことを特徴とする請求項6からのいずれか一つに記載の孔を有する鍛造部品の製造装置。
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