JP2001178544A - 歯ブラシ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属平線を用いることなく植毛部の植毛穴に
ブリッスルを固定して、ブリッスル束が植毛穴から抜け
出た際の安全性を向上させると共に、ゴミの分別回収に
よるリサイクルを効率良く図ることのできる歯ブラシを
提供する。 【解決手段】 植毛部１４に形成された複数個の植毛穴
１５にブリッスル１１を植毛してなる歯ブラシ１０であ
って、二つ折りしたブリッスル束１２の折れ曲がり部１
６を植毛穴１５に各々挿入し、超音波ホーン１８を用い
て溶着材により植毛穴１５に折れ曲がり部１６を固定す
ることによって、ブリッスル１１が植毛部１４に植毛さ
れる。溶着材は、植毛穴１５の開口縁部における直径方
向に対向する位置に、植毛部１４と一体として設けられ
た一対の突起１７からなり、一対の突起１７を、植毛穴
１５を横断して互いに連結一体化するように超音波ホー
ン１８を用いて溶着することにより折れ曲がり部１６を
固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、平線を用いること
なく植毛部の植毛穴にブリッスルを植毛してなる歯ブラ
シ及びブリッスルの植毛方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】歯ブラシのブリッスルは、一般に薄い矩
形形状の金属製の平板である平線を介して植毛される。
すなわち、複数本のブリッスルからなるブリッスル束を
その中央部分で二つ折りにし、折れ曲がり部の内側に平
線をあて、これを合成樹脂製の歯ブラシの植毛部に形成
された植毛穴にそれぞれ打ち込むことにより植毛する。
平線は、植毛穴の直径よりも僅かに長い寸法を備えてい
るので、その両端部分は植毛穴の外周部分に無理打ちさ
れて植毛穴の孔壁内に食い込むことにより、平線はブリ
ッスル束を挟み込みつつ植毛穴に固定される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、
従来の歯ブラシは、金属性の平線を用いたものであった
ため、歯磨きの最中などにおいてブリッスル束が植毛穴
から抜け出た際には、脱落した平線を口内から取り除く
必要がある。また、歯ブラシが古くなってこれを廃棄す
る際には、金属性の平線を樹脂製の歯ブラシ本体から取
り除かなければ、ゴミの分別回収によるリサイクルを効
率良く図ることができない。

【０００４】本発明は、金属平線を用いることなく植毛
部の植毛穴にブリッスルを固定して、ブリッスル束が植
毛穴から抜け出た際の安全性を向上させると共に、ゴミ
の分別回収によるリサイクルを効率良く図ることのでき
る歯ブラシ及びブリッスルの植毛方法を提供することを
目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、植毛部に形成
された複数個の植毛穴にブリッスルを植毛してなる歯ブ
ラシであって、二つ折りしたブリッスル束の折れ曲がり
部を前記植毛穴に各々挿入し、超音波ホーンを用いて溶
着材により前記各植毛穴に前記折れ曲がり部を固定する
ことによって、前記ブリッスルが前記植毛部に植毛され
ている歯ブラシを提供することにより、上記目的を達成
したものである。

【０００６】また、本発明は、歯ブラシの植毛部に形成
された複数個の植毛穴にブリッスルを植毛する方法であ
って、二つ折りしたブリッスル束の折れ曲がり部を前記
植毛穴に各々挿入した後、超音波ホーンを用いて前記植
毛穴に溶着材を溶融させて前記折れ曲がり部を固定する
ことによって、前記ブリッスルを前記植毛部に植毛する
ブリッスルの植毛方法を提供することにより、上記目的
を達成したものである。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下本発明をその好ましい実施形
態について説明する。本発明の第１実施形態の歯ブラシ
１０は、図１に示されるように、把持部（図示せず）と
植毛部１４とこれらを連結する首部２５とからなる歯ブ
ラシ本体の植毛部１４に形成された複数個の植毛穴１５
に、複数本のブリッスル１１からなるブリッスル束１２
をそれぞれ植毛することによって構成される。

【０００８】歯ブラシ本体は、例えばポリプロピレン、
ＡＢＳ樹脂等の合成樹脂からなり、その植毛部１４の平
坦な表面には、縦横に所定の間隔をおいて多数の植毛穴
１５が形成されている。各植毛穴１５はその直径が例え
ば０．８〜２．０ｍｍの円形断面を備え、例えば２．０
〜６．０ｍｍの深さで設けられている。また、隣接する
植毛穴１５間の、歯ブラシ本体の軸線Ｌ方向の間隔Ｐ１
は、例えば０．３〜２．５ｍｍであり、軸線Ｌと垂直な
方向の間隔Ｐ２は、例えば０．５〜４．０ｍｍとなって
いる。上記間隔Ｐ1 ，Ｐ2 が、上記範囲内にあることに
より、ブリッスル１１の密度が充分となる一方、各ブリ
ッスル１１が適度に撓むための空間が確保される。

【０００９】ブリッスル１１は、ナイロン等の合成樹脂
からなる例えば０．１〜０．３ｍｍの太さを有するフィ
ラメント材であって、これを例えば十数本束ねることに
よってブリッスル束１２が形成される。また、ブリッス
ル１１は、例えば１５〜３５ｍｍの長さを有し、ブリッ
スル束１２を中央部分で折り曲げて二つ折りにした状態
で、この折れ曲がり部１６を植毛穴１５に挿入して植毛
される。植毛されたブリッスル１１の植毛部１４の上面
からの高さは、例えば８〜１３ｍｍとなる。

【００１０】また、本第１実施形態によれば、歯ブラシ
本体の植毛部１４に形成された各植毛穴１５の開口縁部
には、図２（ａ）及び（ｂ）にも示すように、直径方向
に対向する位置に、一対の突起１７が植毛部１４と一体
として設けられている。一対の突起１７は、各々、直径
０．３ｍｍ程度、高さ１ｍｍ程度の大きさの円柱形状の
突起であって、植毛部１４の表面に対して垂直に立設し
ている。また、一対の突起１７は、植毛部１４と一体と
して形成されていることにより、歯ブラシ本体と同様の
材質の、超音波溶着が可能なポリプロピレン、ＡＢＳ樹
脂等の合成樹脂からなっている。

【００１１】そして、本実施形態によれば、二つ折りし
たブリッスル束１２の折れ曲がり部１６を植毛穴１５に
挿入した後、超音波ホーン１８を用いて溶着材である合
成樹脂製の一対の突起１７を植毛穴１５に溶融させ、折
れ曲がり部１６を固定することによって、ブリッスル１
１を植毛部１４に植毛する。

【００１２】すなわち、二つ折りしたブリッスル束１２
の各束１２’，１２’が、一対の突起１７を結ぶ線を挟
んだ両側に配置されるように折れ曲がり部１６を位置決
めして植毛穴１５に挿入した後、超音波ホーン１８の下
端の半楕円形状に湾曲する押し当て面１９を一対の突起
１７の先端に押し当て、超音波発振器からの超音波振動
を一対の突起１７に付与する。これによって一対の突起
１７は、押し当て面１９により案内されつつ、振動によ
る摩擦熱によって、その先端から植毛穴１５に向けて内
側に溶融してゆき、図２（ａ）及び（ｂ）に示すよう
に、その内側端部が溶着接合されて、植毛穴１５の開口
部を横断して互いに連結一体化した状態で固化する。し
たがって、ブリッスル束１２の折れ曲がり部１６は、植
毛穴１５の底部と、連結一体化された一対の突起１７に
よる固定梁２０との間に挟み込まれて植毛穴１５に固定
されることになり、各ブリッスル１１は、その抜け出し
が防止された状態で植毛部１４に強固に植毛されること
になる。

【００１３】なお、本第１実施形態によれば、超音波ホ
ーン１８は、その押し当て面１９の幅ｔが、一対の突起
１７を同時に覆い得る大きさを備えている（例えば、植
毛穴１５の直径を１．６ｍｍ、直径を０．３ｍｍとした
場合に、幅ｔ＝２．５ｍｍとする。）。また、超音波の
条件としては、一つの植毛穴１５に対して、例えば、周
波数４０ＫＨｚ、発振時間２００ｍＳ、圧力３ｋｇ／ｃ
ｍ2 、振幅２０μｍとする。

【００１４】図３（ａ）及び（ｂ）は、本発明の第２実
施形態に係る歯ブラシにおいて、ブリッスル１１を植毛
部１４に植毛する構成を説明するものである。本第２実
施形態によれば、歯ブラシ本体の植毛部１４に形成され
た各植毛穴１５の開口縁部には突起は設けられておら
ず、二つ折りしたブリッスル束１２の折れ曲がり部１６
を植毛穴１５に挿入した後、溶着材として樹脂接着性エ
ラストマー粉末２１を植毛穴１５に投入して充填し、充
填された樹脂接着性エラストマー粉末２１を、ブリッス
ル束１２の折れ曲がり部１６が埋設されるように超音波
ホーン２２を用いて溶融一体化し、折れ曲がり部１６を
埋設固定することによって、ブリッスル１１を植毛部１
４に植毛する。

【００１５】すなわち、樹脂接着性エラストマー粉末２
１を植毛穴１５に充填したら、二つ折りしたブリッスル
束１２の各束１２’に両側を挟まれる中央部分２３に、
矩形形状の超音波ホーン２２の先端を挿入し、超音波発
振器からの超音波振動を樹脂接着性エラストマー粉末２
１に付与する。これによって充填された樹脂接着性エラ
ストマー粉末２１は、振動による摩擦熱によって溶融し
てゆき、図３（ａ）及び（ｂ）に示すように、ブリッス
ル束１２の折れ曲がり部１６を埋設して溶融一体化した
状態で固化する。したがって、ブリッスル束１２の折れ
曲がり部１６は、樹脂接着性エラストマー粉末２１が溶
融一体化して形成された固定塊２４中に埋設されて植毛
穴１５に固定されることになり、各ブリッセル１１は、
その抜け出しが防止された状態で植毛部１４に強固に植
毛されることになる。

【００１６】ここで、樹脂接着性エラストマー粉末２１
としては、植毛穴１５において、ナイロン等の合成樹脂
からなるブリッスル１１との接着性の良好なものを使用
することが好ましく、ポリエステル、ナイロン、ポリプ
ロピレン等からなるエラストマー粉末を使用することが
できる。より具体的には、商品名ハイパーロイアクティ
マー（理研ビニル工業株式会社製）、商品名ミラストマ
ー（三井石油化学株式会社製）等を使用することができ
る。

【００１７】なお、本第２実施形態によれば、超音波ホ
ーン２２による超音波の条件としては、一つの植毛穴１
５に対して、例えば、周波数４０ＫＨｚ、発振時間３０
０ｍＳ、振幅４０μｍとすることができる。

【００１８】そして、上記第１実施形態或いは第２実施
形態によれば、二つ折りしたブリッスル束１２の折れ曲
がり部１６を植毛穴１５に各々挿入し、超音波ホーン１
８，２２を用いて、溶着材からなる固定梁２０や固定塊
２４により、各植毛穴１５に折れ曲がり部１６を強固に
固定するので、金属平線を用いることなく植毛部１４の
植毛穴１５にブリッスル１１を固定して、ブリッスル束
１２が植毛穴１５から抜け出た際の安全性を向上させる
と共に、ゴミの分別回収によるリサイクルを効率良く図
ることが可能になる。

【００１９】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ことなく種々の変更が可能である。例えば、一対の突起
は必ずしも円柱形状のものである必要はなく、また溶着
材は、超音波ホーンによる超音波溶着が可能な材料から
なるものであれば、必ずしも合成樹脂からなるものであ
る必要はない。

【００２０】

【発明の効果】本発明の歯ブラシ及びブリッスルの植毛
方法によれば、金属平線を用いることなく植毛部の植毛
穴にブリッスルを固定して、ブリッスル束が植毛穴から
抜け出た際の安全性を向上させると共に、ゴミの分別回
収によるリサイクルを効率良く図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態に係る歯ブラシの構成を
説明する部分斜視図である。

【図２】本発明の第１実施形態に係る歯ブラシにブリッ
スルを植毛する状況を説明する、（ａ）は略示断面図、
（ｂ）は略示平面図である。

【図３】本発明の第２実施形態に係る歯ブラシにブリッ
スルを植毛する状況を説明する、（ａ）は略示断面図、
（ｂ）は略示平面図である。

【符号の説明】

１０ 歯ブラシ １１ ブリッスル １２ ブリッスル束 １４ 植毛部 １５ 植毛穴 １６ 折れ曲がり部 １７ 突起（溶着材） １８，２２ 超音波ホーン １９ 押し当て面 ２０ 固定梁 ２１ 樹脂接着性エラストマー粉末（溶着材） ２４ 固定塊

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 植毛部に形成された複数個の植毛穴にブ
   リッスルを植毛してなる歯ブラシであって、 二つ折りしたブリッスル束の折れ曲がり部を前記植毛穴
   に各々挿入し、超音波ホーンを用いて溶着材により前記
   各植毛穴に前記折れ曲がり部を固定することによって、
   前記ブリッスルが前記植毛部に植毛されている歯ブラ
   シ。
2. 【請求項２】 前記溶着材は、前記植毛穴の開口縁部に
   おける直径方向に対向する位置に、前記植毛部と一体と
   して設けられた一対の突起からなり、該一対の突起を、
   前記植毛穴を横断して互いに連結一体化するように前記
   超音波ホーンを用いて溶着することにより前記折れ曲が
   り部を固定する請求項１記載の歯ブラシ。
3. 【請求項３】 前記溶着材は、前記植毛穴に投入された
   粉末溶着材からなり、該粉末溶着材を、前記折れ曲がり
   部が埋設されるように前記超音波ホーンを用いて溶融一
   体化することにより前記折れ曲がり部を固定する請求項
   １記載の歯ブラシ。
4. 【請求項４】 歯ブラシの植毛部に形成された複数個の
   植毛穴にブリッスルを植毛する方法であって、 二つ折りしたブリッスル束の折れ曲がり部を前記植毛穴
   に各々挿入した後、超音波ホーンを用いて前記植毛穴に
   溶着材を溶融させて前記折れ曲がりを固定することによ
   って、前記ブリッスルを前記植毛部に植毛するブリッス
   ルの植毛方法。