JP2001178364A - 噴霧用食用油およびその利用 - Google Patents

噴霧用食用油およびその利用

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JP2001178364A
JP2001178364A JP37431699A JP37431699A JP2001178364A JP 2001178364 A JP2001178364 A JP 2001178364A JP 37431699 A JP37431699 A JP 37431699A JP 37431699 A JP37431699 A JP 37431699A JP 2001178364 A JP2001178364 A JP 2001178364A
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edible oil
spraying
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Yoshimi Inoue
賀美 井上
Hiroshi Shirasago
尋士 白砂
Kenichi Mizushima
健一 水島
Atsumi Higashishi
篤実 東市
Ichiro Katagiri
一郎 片桐
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J Oil Mills Inc
Original Assignee
Yoshihara Oil Mill Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた酸化安定性と良好な拡散性を有しかつ
霧状で均質に噴霧できる、噴霧塗布に好適な食用油を提
供する。 【解決手段】 植物油と中鎖脂肪酸トリグリセリド(M
CT)からなる調合油を含む食用油であって、この調合
油が、その20重量%以上の量のMCTと残余の植物油と
を混合して調製される。 この食用油を、噴射剤と共
に、噴射機構を具備した容器に充填する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物油と中鎖脂肪
酸トリグリセリド(MCT)からなる調合油を含んだ食
用油、特に、優れた拡散性と酸化安定性を兼ね備えた、
噴霧塗布に好適な食用油とその利用に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】食用
油を噴霧塗布することで、オーブンやフライパン等の調
理器具の表面や、フライ食品用食材に対して、食用油を
素早く塗布できるため、これら食用油を充填してなる数
々の噴霧機能付容器(いわゆる、スプレー缶やエアゾー
ル缶)が、これまでにも提案され、実用化されている。
【0003】ところで、これらスプレー缶からの食用油
の噴霧を補助する噴射剤として、これまでに、通常、L
PG(液化石油ガス)や炭酸ガスが使用されている。
【0004】ところが、LPGは可燃性ガスであるた
め、その取り扱いに注意を要する上に、食品での利用に
は適さない成分を含むという問題点があった。
【0005】この点、炭酸ガスは不燃性であるので、火
気が関与する問題点は免れるが、炭酸ガスによれば、泡
状の食用油しか容器から吐出できず、均一な噴霧におぼ
つかないのが実情である。 他方で、炭酸ガスは、油脂
への溶解度がより高いので、食用油に炭酸ガスの味が付
きやすい上に、食用油に苦味や酸味がつくなど、その保
存安定性と風味に関して難点が認められていた。 さら
に、炭酸ガスを噴射剤として使用した場合、噴射した食
用油の白化が著しいなどの問題点も指摘されている。
【0006】食用油を霧状に噴射するには、一般に、食
用油の粘度を所定値にまで下げることが必要であり、こ
の目的を達成するために、これまでに、不飽和度の高い
油脂を利用したり、食用油に少量のアルコールを混合す
る方法などが利用されている。しかしながら、単に不飽
和度の高い油脂を用いたとしても、それによる粘度の低
減には限界があった。 また、アルコールは可燃性であ
る上に、炭酸ガスの場合と同様に、食用油にアルコール
の味が残るなどの問題点もある。 さらに、アルコール
の油に対する溶解度の低さが故に、その添加量にも制限
がある。
【0007】ところで、昨今の健康志向の高まりを反映
して、海老フライ、豚カツ、コロッケ、揚げ豆腐、揚げ
蒲鉾、フライドチキン、ポテトチップ、春巻きなどの、
フライ油でフライ調理して得られる食品は、一般に、非
常に食欲をそそる食品でありながらも、その油脂含量と
カロリー値の高さが故に、近年にあっては、その摂取に
多少なりとも配慮する気運の高まりがみられる。 この
ような状況下、これら油脂含量とカロリー値を低減する
ために、これまでにも、フライ脂の油脂組成や調理方法
の改良が種々提案されている。
【0008】ところが、このような油脂組成や調理方法
の改良によっても、フライ調理食品での油脂含量とカロ
リー値を低減する実効のある手段は、未だ実現するには
至っていない。 特に、スプレー缶から食用油を噴霧す
れば、少量で均一に食用油が塗布できることが経験的に
知られてはいたが、スプレー缶に収容された食用油と噴
射剤の相互作用による前述してきた様々な弊害は、未だ
解消されるに至っていないのが現状である。
【0009】このように、当該技術分野にあっては、ス
プレー缶に収容された食用油と噴射剤との組み合わせに
おいて、食用油固有の風味・性質を損なわずに、均質に
調理器具や食品・食材に噴霧できるスプレー油として好
適な食用油脂を模索しているのが実情である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、スプレー
缶に収容された従来の食用油と噴射剤との組み合わせに
おいて認識されていた上掲の問題点に鑑みて鋭意研究を
行ってきた。 とりわけ、本発明者らは、食用油の油脂
組成と噴射剤の選択について鋭意研究を重ねた。
【0011】その結果、所定の油脂組成からなる食用油
と噴射剤、とりわけ、窒素ガスとの組み合わせにおい
て、スプレー油として好適な性能・性状を発現する食用
油、つまり、優れた酸化安定性と良好な流動性を有し、
かつ霧状に均質に噴霧できる食用油が得られることを知
見して、本発明を完成するに至ったのである。
【0012】すなわち、本発明の要旨とするところは、
噴霧塗布に供される食用油、すなわち、植物油と中鎖脂
肪酸トリグリセリド(MCT)からなる調合油を含む食
用油であって、特に、MCTの量を該調合油の約20重量
%以上、好ましくは約30〜約50重量%、最も好ましくは
約30〜約40重量%の量に調整してなる食用油にある。
【0013】さらに、本願発明の食用油は、前出の調合
油の他に、必要に応じて、乳化剤を加えることができ
る。 本願発明の食用油に添加される乳化剤の量は、本
願発明の食用油の約30重量%以下、好ましくは約10重量
%以下、最も好ましくは約5重量%以下の量に調整され
る。
【0014】前述した本発明の構成によって、優れた酸
化安定性と、スプレー油に相応しい拡散性(流動性)を
兼ね備えた食用油が得られるのである。 具体的には、
本発明の食用油の流動性とは、50℃、10rpmの条件下で
E型粘度計で測定した場合での、約9〜約22cps(セン
チポイズ)の粘度に相当する。
【0015】また、本願発明の食用油に、必要に応じ
て、乳化剤をさらに配合することで、最終製品たるスプ
レー油に優れた離型性を付与することができる。 ま
た、好ましくは、本願発明の食用油は、実質的にアルコ
ールを含まないので、アルコールの可燃性が故にこれま
でに指摘されてきた弊害も解消される。
【0016】また、本発明の他の態様に従って、本発明
の食用油と噴射剤が充填された、噴射機構を具備した噴
霧機能付容器が提供される。 特に、噴射剤として窒素
ガスを選択することで、食用油へのガス成分の移行が抑
えられ、また霧状の食用油の円滑な噴射を可能にする。
【0017】さらに、昨今、各家庭への普及が進んでい
るオーブンレンジでのフライ食品の調理方法において、
本願発明の食用油を食材に均一に塗布して、オーブンレ
ンジでの加熱調理に供することで、油脂含量が低く、か
つ風味良好なフライ食品が簡便に提供することができ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0019】本発明の食用油に含まれる調合油で使用さ
れる植物油とは、当該技術分野で通常用いられている食
用の植物油であればいずれも使用可能である。 その中
でも、本発明の食用油に多様な風味と流動性を付与せし
める観点からすれば、常温下で液体である、菜種油、キ
ャノーラ油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー
油、オリーブ油、綿実油、グレープシード油、紫蘇油、
亜麻仁油、コーン油、米油、大豆油、胡麻油、ヒマワリ
油、ハイオレイックヒマワリ油、落花生油、パーム分別
油およびこれらの組み合わせを用いることができる。
【0020】一方で、調合油においてこれら植物油と共
に用いられるMCTとは、一般的には、カプリル酸およ
びカプリン酸との混合脂肪酸とグリセリンから合成され
たトリグリセライドである。
【0021】すなわち、一般的なMCTの製造方法によ
ると、まず、カプリル酸およびカプリン酸を任意の割合
で混合して混合脂肪酸を得、次いで、グリセリンとの結
合に必要な量よりも過剰量のこれら混合脂肪酸とグリセ
リンとを加熱反応(例えば、約245〜約260℃、8〜14時
間)せしめて粗生成品を得る。 そして、この粗生成品
を、精留、脱色、脱臭および濾過の各工程に通して、目
的とする精製MCTを得る。 このようにして最終的に
得られる精製MCTは、ほとんど無臭の無色〜淡黄色の
液状油である。
【0022】MCTは、食用に供することができること
は勿論、常温下では液状を呈しているが、不飽和脂肪酸
を含まないので、酸化安定性に優れており、比較的低粘
度で凝固点も低く、また、良好な流動性を有している。
さらに、他の食用油脂と比較しても、生体内での消化
吸収性が良いとも言われている。 これらMCTの内、
本発明の食用油での調合油での利用に好適なMCTとし
ては、C8/C10を主成分とし、かつヨウ素価が1以下の
MCTが、前出の植物油と併用する上で好ましい。
【0023】市販のMCTとしては、ココナードMT(商
品名;花王フード株式会社)などが、本発明において好
適に使用できる。
【0024】なお、植物油とMCTとの配合比率は、後
出の実施例の結果から明らかなように、所望の特性を備
えた食用油を実現する観点からして、植物油とMCTか
らなる調合油でのMCTの量は、調合油の約20重量%以
上、好ましくは約30〜約50重量%、最も好ましくは約30
〜約40重量%の量に調整する。
【0025】さらに、本発明の食用油に優れた離型性を
付与する目的で、大豆レシチン;ショ糖脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセ
リン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン
エステル、グリセリン脂肪酸エステル、およびその誘導
体等の食用乳化剤;天然香料、合成香料、色素;動植物
抽出エキス、シーズニングオイルなどの呈味剤;トコフ
ェロール、アスコルビン酸脂肪酸エステル、シリコーン
樹脂;エンジュ抽出物(ルチン)、γ−オリザノール、
カテキン、クローブ抽出物、ケルセチン、ゲンチジン
酸、ゴシペチン、米糠油不鹸化物、ゼザモリン、セザモ
ール、セージ抽出物、糖−アミノ酸加熱複合体、ピメン
タ抽出物、ペッパー抽出物、没食子酸、ユーカリ葉抽出
物、ローズマリー抽出物などの酸化防止剤(天然添加
物)など、常温下で油溶性の成分を加えることができ
る。 なお、これら成分は、本発明の食用油に多様な風
味を付与したり、栄養強化や保存安定性強化の目的で添
加することも当然に可能である。
【0026】前記調合油と乳化剤の(香料の無添加時
の)配合比率は、後出の実施例の結果から明らかなよう
に、所望の特性を備えた食用油を実現する観点からし
て、乳化剤の量は、食用油の約30重量%以下、好ましく
は約10重量%以下、最も好ましくは約5重量%以下の量
に調整する。
【0027】これら調合油と任意の乳化剤を含む本発明
の食用油は、噴射剤と共に、噴射機構を具備した収納容
器に充填される。
【0028】本発明の食用油と共に容器に充填される噴
射剤とは、食品用容器に通常用いられているガス成分で
あればいずれも使用可能であるが、本願発明にあって
は、窒素ガスが好適に利用できる。 すなわち、窒素ガ
スは、無味無臭の不燃性ガスであり、これに高い圧力を
負荷することによって油状物質を霧状に噴霧することが
できる。 さらに、窒素ガスによって、容器内の食用油
と酸素との接触が遮断されるので、食用油の酸化を効果
的に防ぐことができ、油脂の品質を長期間維持すること
ができる。
【0029】ところで、これら食用油と噴射剤が充填さ
れる容器とは、いわゆるエアゾール缶やスプレー缶と称
される、缶内に充填された内容物を噴霧するための噴射
機構を具備した容器を指す。 一般的な噴射機構の構造
の一例を、図1に沿って説明する。
【0030】すなわち、噴射機構とは、容器1の上端中
央部に設けられたノズル4を有するバルブ収容部6と、
ノズル4に取り付けられる被操作部材2とから構成され
ている。 そして、ノズル4を下方に押圧すると、ノズ
ル孔5から被噴射液が排出され、押圧を止めると、ノズ
ル4に付設された付勢手段(図示せず)によって押し上
げられ、被噴射液の送り出しが終わる。
【0031】また、容器1の上端中央部には、容器1の
内外の流路を開閉するバルブを備えたバルブ収容部6が
設けられ、ノズル孔5が形成された筒状のノズル4が、
この収容部6内に置かれている。 バルブ収容部6の下
端部には、筒状の連結部7が形成され、連結部7にはチ
ューブ8が連結されており、これにより、容器1内の被
噴射液がチューブ8から連結部7を介してノズル孔5へ
と送給される。
【0032】また、ノズル4は、有底の筒状体から形成
され、その壁面の適宜位置に、連通孔9が穿設されてお
り、ノズル4の下端部とバルブ収容部6の内部底面との
間にコイルスプリングが介装され、ノズル4を下方に押
圧することにより、バルブが開いて連通孔を介してノズ
ル孔5とバルブ収容部6の内部の導通路12とが連通さ
れ、従って、チューブ8とノズル孔5が連通する構成と
なっている。
【0033】なお、バルブ収容部6の壁面に、小孔10を
さらに設けることで、容器1の内部空間11とバルブ収容
部6内側の被噴射液の導通路12とが連通され、これによ
り、内部空間11内の噴射用気化ガスが、導通路12内に送
り込まれ、被操作部材2の噴射孔3から噴射する被噴射
液(食用油)の霧が極めて細かいものとなり、ソフトな
感じの霧となって良好に噴霧できる。
【0034】このように例示した容器に、噴射剤と共に
充填された本発明の食用油を、各種食材、特に、フライ
食品用食材、例えば、豚カツ、クッキー、パン、ポテト
チップ、唐揚げ、海老フライ、コロッケ、フライドチキ
ン、フレンチフライ、春巻などの食材に噴霧して、これ
ら食材を、オーブンレンジでの加熱調理に供することが
できる。
【0035】ところで、油脂の酸化を促す因子として、
一般に、光、熱、保存期間、酵素などが知られている。
この内、本発明の食用油については、後述する実施例
の記載から明らかな通り、酸化安定性において性能の改
善が実証されている。 従って、本明細書で使用する
「安定性」の語は、少なくともこれら酸化安定性を含め
た油脂の安定性を指し示すものである。
【0036】
【実施例】以下に、本願発明の実施例を具体的に説明す
るが、本願発明はこれら実施例の開示によって、限定的
に解釈されるべきものではない。
【0037】実施例1:MCT含量の検討 H.O.L.L.キャノーラ油 (High Oleic Acid-Low Linoleni
c Acid Canola Oil:スーパーキャノーラ油ライトプラ
ス;吉原製油株式会社)とMCT(ココナードMT;花王
フード株式会社)とを、以下の表1に記載の重量比率
(H.O.L.L.キャノーラ油の重量に基づく重量%)で混合
して、MCTを含む6種類の食用油(本発明油1〜6;
各1kg)を得た。
【0038】これら食用油155gを、窒素ガスと共に、
エアロフィル充填機(エアロゾル充填器、日本プリシジ
ョンバルブ株式会社)で噴射用容器(スチール製;直径
50mm、高さ135mmの円筒容器(容量約250ml))に充填した
(内圧;9kg/cm2(0.88MPa))。
【0039】なお、噴射用容器での噴射機構には、JS-1
7798のバルブ(日本プリシジョンバルブ社製)と、ボタ
ン(部品番号21-4042;日本プリシジョンバルブ社製)
を用いた。
【0040】また、対照として、H.O.L.L.キャノーラ油
のみからなる食用油(対照油;155g)を窒素ガスと共
に充填した噴射用容器(内圧;7kg/cm2(0.68MPa))を準
備した。
【0041】
【表1】
【0042】そして、12名の熟練したパネラーによって
各食用油の塗布性について評価を行った。 評価方法
は、各食用油を平坦なバットに対して噴霧し、その際の
各食用油の拡散性や霧化状態を5段階評点で評価しても
らい、その平均点(総合評価点)を割り出し、食用油と
しての有用性を判断してもらった。 その結果を、前出
の表1に併記した。
【0043】表1に記載の結果から、MCT含量が20重
量%の本発明油3を境に、パネラーの評価が総合的に向
上し、MCT含量が40重量%の本発明油6にて最高評点
が得られた。 また、MCT含量が20重量%以上の本発
明油3〜6では、良好な拡散性が認められる上に、食用
油の霧化が円滑にでき、商品として供するに十分な性状
が獲得できていた。 これら結果から、所望の性状の食
用油を得る上で、MCT含量を少なくとも20重量%の量
で配合するのが、好適であることが明らかとなった。
【0044】実施例2:食用油の酸化安定性の検討 噴霧容器に充填された本発明の食用油の酸化安定性につ
いて、検討を行った。
【0045】H.O.L.L.キャノーラ油とMCTとを、65:
35の重量比率で混合して本発明の食用油(本発明油;1
kg)を調製した。 また、対照として、製造日の異なる
2つの菜種油(なたね白絞油、吉原製油株式会社)の1
kgを準備した。 すなわち、製造日から52日が経過した
菜種油(対照油1)と、製造日から22日が経過した菜種
油(対照油2)をそれぞれ準備した。
【0046】まず、本発明の食用油155gを窒素ガスと
共に缶内に充填した状態で、55℃に設定された暗所に置
いた。 一方で、市販の菜種油の各150gを350ml容ビー
カーに個別に入れて、55℃に設定された暗所に置いた。
【0047】そして、本発明油、対照油1および対照油
2のそれぞれについて、その過酸化物価を、経日的に、
基準油脂分析法 (2.5.2-過酸化物価、基準油脂分析試験
法(I)、日本油化学会制定、1996年版、社団法人日本油
化学会)に従って測定し、その酸化安定性を決定した。
すなわち、各油にヨウ化カリウムを加えた際に遊離し
た、油1kg当たりのヨウ素のミリ当量数 (meq/kg)を、
経日的に求めた。 これら過酸化物価の測定値を、図2
のグラフにまとめた。 なお、グラフ中の数値は、過酸
化物価の測定値(グラフ縦軸;meq/kg)を表している。
【0048】図2に記載のグラフから、本発明油は、対
照油1および2からして、酸化安定性に非常に優れ、長
期貯蔵に好適であることが認められた。
【0049】実施例3:食用油の粘度の検討 噴霧化に適した食用油を得るべく、その粘度の検討を行
った。
【0050】まず、実施例1に記載の方法に従って本発
明油1〜6と対照油をそれぞれ調製した。
【0051】各油の1.2ml(20±5℃)をE型粘度計
(株式会社トキメック社製)専用カップに入れ、同粘度
計によって、50℃で、10rpmの条件で粘度を測定した。
【0052】その結果、MCT含量が20重量%の本発明
油3(霧状にスプレー可能な油脂)の粘度は、21.1cpで
あった。 また、MCT含量が増大するにつれて、油の
粘度は低くなっており、MCT含量を20重量%以上とす
ることで、油脂を霧状にスプレーするに十分な粘度が得
られることが明らかとなった。
【0053】実施例4:食用油の利用 (1) オーブンフライ調理への応用 市販菜種油(なたね白紋油、吉原製油株式会社)101g
に、MCT(ココナードMT、花王フード株式会社)54
gを加えて調製した調合油を、窒素ガスと共に、エアロ
フィル充填機(エアロゾル充填器、日本プリシジョンバ
ルブ株式会社)で噴射用容器(スチール製;直径50mm、
高さ135mmの円筒容器(容量約250ml))に充填した(内
圧;9kg/cm2(0.88MPa))。
【0054】次に、6個の冷凍ポテトコロッケ(男爵コ
ロッケ、サンマルコ食品販売)を、オーブン用天板にの
せて、冷凍ポテトコロッケの表面に、充填した食用油を
均一に噴霧した。 そして、冷凍ポテトコロッケを置い
た天板を、予め熱しておいたオーブンレンジ(MRO-A95S
K、日立製作所製)に入れ、250℃で、15分間加熱調理し
た。
【0055】なお、対照として、前出の冷凍ポテトコロ
ッケを、180℃に加熱した菜種サラダ油(ゴールデン菜
種サラダ油、吉原製油株式会社)に投入して、4分間フ
ライ調理して得たコロッケを準備した。
【0056】そして、8名の熟練したパネラーによっ
て、双方のコロッケ各1個を試食してもらい、食味につ
いて官能評価を行ってもらった。 その結果、4名のパ
ネラーが、本発明油を塗布してオーブンレンジ調理した
コロッケの食味の方が良好であると判定し、残りの4名
は食味に差が無いと判定した。
【0057】さらに、双方のコロッケの油分含量を、基
準油脂分析法 (基準油脂分析試験法(I)、日本油化学会
制定、1996年版、社団法人日本油化学会)の方法によっ
て測定した。 その結果を、以下の表2に示した。
【0058】
【表2】
【0059】表2に記載の結果から、本発明油を塗布し
てオーブンレンジ調理する方法によれば、コロッケに含
まれる油分含量は、単純計算で約17.5%減少している。
この差異をカロリー換算すると、コロッケ1個(約70
g)当たり、約110kcalのカロリー削減に相当する。
つまり、本発明油を塗布してオーブンレンジ調理する方
法は、油分摂取量(カロリー摂取量)の減量を目指す方
々にとって、好適な調理方法といえる。
【0060】(2) 風味油 本発明の食用油に風味を付与する目的で、試験を実施し
た。
【0061】すなわち、市販菜種油(なたね白絞油、吉
原製油株式会社)101gに、MCT(ココナードMT、
花王フード株式会社)54gを加えて調製した調合油(菜
種ベース油)を、窒素ガスと共に、エアロフィル充填機
(エアロゾル充填器、日本プリシジョンバルブ株式会
社)で噴射用容器(スチール製;直径50mm、高さ135mm
の円筒容器(容量約250ml))に充填した(内圧;9kg/cm
2(0.88MPa))。
【0062】一方で、市販オリーブ油(エキストラバー
ジンオリーブ油、ボルゲス社)101gに、MCT(ココ
ナードMT、花王フード株式会社)54gを加えて調製し
た調合油(オリーブベース油)を、窒素ガスと共に、エ
アロフィル充填機(エアロゾル充填器、日本プリシジョ
ンバルブ株式会社)で噴射用容器(スチール製;直径50
mm、高さ135mmの円筒容器(容量約250ml))に充填し(内
圧;9kg/cm2(0.88MPa))、本発明の食用油による風味付
与油を準備した。
【0063】そして、約230℃に加熱した鉄製フライパ
ンにサラダ油(スーパーキャノーラ油ライトプラス、吉
原製油株式会社)を塗布し、そこで2つの卵焼きを焼い
た。
【0064】その後、一方の卵焼きには菜種ベース油
を、そして、他方の卵焼きにはオリーブベース油(風味
付与油)をそれぞれ噴霧した。
【0065】このようにして得た2つの卵焼きを、2点
識別試験に供した。 その結果、試験に参加した11名全
員のパネラーが、正しく、両者の違いを識別した。
【0066】つまり、本発明の噴霧用食用油を構成する
油脂に風味油を利用することで、風味油本来の風味が食
材に効果的に付与できることが確認されたのである。
【0067】(3) 離型油 本発明の食用油の離型性を改善する目的で、試験を実施
した。
【0068】まず、市販菜種油(なたね白絞油、吉原製
油株式会社)101gに、MCT(ココナードMT、花王
フード株式会社)54g、それにレシチン(SLPペーストN
P、ツルーレシチン工業株式会社)1.5gを加えて調製し
た調合油(レシチン添加本発明油)を、窒素ガスと共
に、エアロフィル充填機(エアロゾル充填器、日本プリ
シジョンバルブ株式会社)で噴射用容器(スチール製;
直径50mm、高さ135mmの円筒容器(容量約250ml))に充填
した(内圧;9kg/cm2(0.88MPa))。
【0069】一方で、市販菜種油(なたね白絞油、吉原
製油株式会社)101gに、MCT(ココナードMT、花
王フード株式会社)54gを加えて調製した調合油(レシ
チン無添加本発明油)を、窒素ガスと共に、エアロフィ
ル充填機(エアロゾル充填器、日本プリシジョンバルブ
株式会社)で噴射用容器(スチール製;直径50mm、高さ
135mmの円筒容器(容量約250ml))に充填した(内圧;9
kg/cm2(0.88MPa))。
【0070】そして、約230℃に加熱した鉄製フライパ
ンに、一方の油を噴霧し、そこで焼きそば(1玉約80
g)を焼いた。 同様にして、他方の油をフライパンに
噴霧して、焼きそばをさらに1玉焼いた。 そして、調
理を開始して2分後に、フライパンにこびりついたそば
の量を測定した。 その結果を、以下の表3に示した。
【0071】
【表3】
【0072】表3に記載の結果から、レシチン添加本発
明油を噴霧した場合の焼きそばのこびりつき量は、レシ
チン無添加本発明油の場合よりも明らかに少なかった。
【0073】つまり、本発明の噴霧用食用油に、常温下
で油溶性の成分を加えることで、その離型性が格段に改
善できることが確認されたのである。
【0074】
【発明の効果】これまで実証してきた通り、本発明の食
用油によると、所期の目的であった、優れた酸化安定性
と、スプレー油に相応しい流動性を兼ね備えた食用油が
実現されるのである。 また、本願発明の食用油は、実
質的にアルコールを含まないので、アルコールの可燃性
が故に指摘された弊害も解消される。
【0075】また、本発明の食用油と噴射剤が充填され
てなる噴霧機能付容器において、噴射剤として窒素ガス
を選択することで、食用油へのガス成分の移行が抑えら
れ、また霧状の食用油の円滑な噴射が可能となる。
【0076】さらに、各家庭での普及が進んでいるオー
ブンレンジでのフライ食品の調理方法において、本願発
明の食用油を食材に均一に塗布して、これをオーブンレ
ンジ調理を行うことで、油脂含量が低く、かつ風味良好
なフライ食品を簡便に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 噴射機構付容器の噴射機構の概略を示す正面
断面図である。
【図2】 本発明の食用油の酸化安定性の測定結果を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 …… 容器 2 …… 被操作部材 3 …… 噴射孔 4 …… ノズル 5 …… ノズル孔 6 …… バルブ収容部 7 …… 連結部 8 …… チューブ 9 …… 連通孔 10 …… 小孔 11 …… 内部空間 12 …… 導通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 83/38 A23L 1/48 // A23L 1/32 A23D 9/00 504 1/48 B65D 83/14 A (72)発明者 水島 健一 兵庫県西宮市今津巽町8番8号 吉原製油 株式会社研究開発室内 (72)発明者 東市 篤実 東京都千代田区神田小川町3丁目7−1 吉原製油株式会社東京支社内 (72)発明者 片桐 一郎 東京都千代田区神田小川町3丁目7−1 吉原製油株式会社東京支社内 Fターム(参考) 3E014 PA01 PB01 PD04 PE05 PF04 4B026 DG01 DG03 DG04 DG05 DG06 DG07 DG08 DG09 DG10 DH05 DK01 DX01 4B036 LC05 LF13 LH08 LH13 LP12 4B042 AD30 AH09 AK05 AK06 AP19 4F033 RA02 RC11

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 噴霧塗布に供される食用油であって、植
    物油と中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)からなる調
    合油を含む、ことを特徴とする噴霧用食用油。
  2. 【請求項2】 前記中鎖脂肪酸トリグリセリドの量が、
    前記調合油の20重量%以上の量である請求項1に記載の
    噴霧用食用油。
  3. 【請求項3】 前記植物油が、菜種油、キャノーラ油、
    サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、オリーブ
    油、綿実油、コーン油、米油、大豆油、胡麻油、ヒマワ
    リ油、ハイオレイックヒマワリ油、落花生油、パーム分
    別油、グレープシード油、紫蘇油、亜麻仁油およびこれ
    らの組み合わせからなるグループから選択される植物油
    である請求項1または2に記載の噴霧用食用油。
  4. 【請求項4】 前記食用油が、乳化剤をさらに含む請求
    項1乃至3のいずれかに記載の噴霧用食用油。
  5. 【請求項5】 前記乳化剤の量が、前記食用油の30重量
    %以下の量である請求項1乃至4のいずれかに記載の噴
    霧用食用油。
  6. 【請求項6】 前記食用油が、実質的にアルコールを含
    まない食用油である請求項1乃至5のいずれかに記載の
    噴霧塗布用食用油。
  7. 【請求項7】 前記食用油が、9〜22cps(センチポイ
    ズ)の粘度を有する食用油である請求項1乃至6のいず
    れかに記載の噴霧塗布用食用油。
  8. 【請求項8】 噴射機構を具備し、かつ噴射剤と請求項
    1乃至7のいずれかに記載の噴霧用食用油が充填されて
    なる噴霧機能付容器。
  9. 【請求項9】 前記噴射剤が、窒素ガスである請求項8
    に記載の噴霧機能付容器。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至7のいずれかに記載の噴
    霧用食用油を塗布した食材をオーブンレンジで調理する
    工程を含む、ことを特徴とする調理方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の調理方法によって調
    理された食品。
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