JP2001170763A - 冶金容器ノズルへの付着物形成防止及びノズル溶損防止方法並びに装置 - Google Patents

冶金容器ノズルへの付着物形成防止及びノズル溶損防止方法並びに装置

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JP2001170763A
JP2001170763A JP35342999A JP35342999A JP2001170763A JP 2001170763 A JP2001170763 A JP 2001170763A JP 35342999 A JP35342999 A JP 35342999A JP 35342999 A JP35342999 A JP 35342999A JP 2001170763 A JP2001170763 A JP 2001170763A
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erosion
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Hiroshi Hirata
浩 平田
Shigenao Anzai
栄尚 安斎
Shuji Ozawa
修司 小澤
Koichi Isobe
浩一 磯部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノズル付着が起きやすい品種、ノズル溶損が
起きやすい品種を同一チャンス内で処理する場合におい
て、ノズル付着もノズル溶損も進行せず必要なロット数
の鋳造を行なうことのできる、冶金容器ノズルへの付着
物形成防止及びノズル溶損防止方法並びに装置を提供す
る。 【解決手段】 溶融金属を注入する注入装置を備える冶
金容器において、該注入装置のノズル壁の少なくとも一
部を構成する酸素イオン伝導性耐火材6と、溶融金属1
に接する対極電極4と、該酸素イオン伝導性耐火材6と
溶融金属1と対極電極4との間に直流電流を印加する電
源装置10と、注入装置の開度情報12と溶融金属注入
量情報13との対比に基づいて前記酸素イオン伝導性耐
火材と溶融金属との間に印加する電流の電流密度及び極
性を定める制御装置10とを有することを特徴とする冶
金容器ノズルへの付着物形成防止及びノズル溶損防止方
法並びに装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属を収容す
る冶金容器であって溶融金属を注入する注入装置を備え
る冶金容器において、該注入装置のノズル壁への金属酸
化物付着堆積を防止しかつ該ノズル壁の溶損を防止する
ための方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融金属を収容する冶金容器、例えば取
鍋やタンディッシュの底部から鋳型などへ溶融金属を注
入するに際し、冶金容器の底部に注入装置を配置し、該
注入装置の開閉によって溶融金属の注入量を調整し、ま
た注入のオンオフを行なう。
【0003】注入装置としては、スライディングノズル
あるいはストッパーが主に用いられている。
【0004】スライディングノズルは、上ノズル、2枚
ないし3枚のSNプレート、及び下ノズルから構成され
る。2枚のSNプレート(上プレートと下プレート)で
構成される場合、スライディングノズルの開度調整に際
しては下プレートと下ノズルとが摺動する。3枚のSN
プレート(上プレート、摺動プレート、下プレート)で
構成される場合、スライディングノズルの開度調整に際
しては摺動プレートのみが摺動し、下プレート及び下ノ
ズルは固定されている。
【0005】ストッパーを用いる場合、冶金容器の底部
に注入口を配置し、該注入口の上部に昇降自在のストッ
パーを配置し、該ストッパー先端部と注入口上端部との
間の開度を調整することによって溶融金属の注入量を調
整し、また注入のオンオフを行なう。注入口は耐火物に
よって構成し、注入口の上端を構成する耐火物は上ノズ
ルと呼ぶ。
【0006】冶金容器として鋼の連続鋳造に用いるタン
ディッシュを例にとって説明する。鋼の連続鋳造におい
ては、精錬を行なった溶鋼を取鍋に収容し、該取鍋から
タンディッシュに溶鋼を注入し、更にタンディッシュか
ら鋳型内に溶鋼を注入して鋼の連続鋳造を行なう。通常
の連続鋳造装置は複数の鋳型を有し、タンディッシュ底
部には鋳型の数に等しい注入装置が配置される。注入装
置は、溶鋼注入のオンオフのための開閉を行なうととも
に、鋳型から引き抜かれる鋳片の鋳造スピードに応じて
溶鋼を鋳型内に供給するため、注入装置の開度を調整す
ることによって溶鋼注入量の調整を行なう。
【0007】溶鋼は精錬終了時に溶鋼中に酸素を含有し
ている。精錬終了後、溶鋼中に脱酸材を添加して含有酸
素を金属酸化物とし、その大部分は溶鋼から浮上分離す
る。一部の金属酸化物は溶鋼中に残存するため、タンデ
ィッシュから注入する溶鋼は微量の金属酸化物を含有し
ており、溶鋼注入中に該金属酸化物が注入装置のノズル
の壁面に付着堆積することが知られている。特に、脱酸
材としてアルミニウムを使用するアルミキルド鋼におい
ては、注入中にノズル内壁にアルミナを中心とする金属
酸化物が付着堆積しやすいことがよく知られている。ア
ルミナの付着堆積が進行するとノズルが閉塞して溶鋼の
注入ができなくなるため、種々の付着防止対策が考えら
れている。
【0008】注入装置を構成するノズルの内壁に多孔質
耐火材料を設け、該多孔質耐火材料を通してノズルを通
過する溶鋼にアルゴンなどの不活性ガスを噴出し、これ
によって金属酸化物がノズル内壁に付着するのを防止す
る対策が図られている。しかしながら溶鋼流に巻き込ま
れた不活性ガスが鋳型内に混入するため、鋳型内の溶鋼
表面近傍において該不活性ガス気泡が凝固鋳片の表層近
傍に捕獲され、その結果、鋳片表面にあばた状の欠陥が
発生するなどの品質上の問題を有している。
【0009】また別の方法では、介在物が付着し難い材
質の耐火物を選定しノズルに使用することが提唱されて
いるが、このような耐火物は高価であるとともに、ノズ
ル自体が介在物と反応し自ら溶損することで介在物の付
着を防止するものであり、ノズルを比較的短い使用期間
後に交換せねばならなず、それに加えて金属浴の品質に
影響を与える恐れがあった。
【0010】さらに別の方法ではCa添加により脱酸生成
物であるAl2O3を低融点のカルシウムアルミネートに改
質することで、付着を防止する。しかしこの場合には、
高価なCa添加による溶鋼製造コストプッシュとともに、
改質された低融点介在物との反応によるノズル溶損の問
題がある。
【0011】冶金容器のノズル壁に金属酸化物からなる
付着物の形成を防止するための方法として、該冶金容器
のノズル壁を酸素イオン伝導体で構成し、該酸素イオン
伝導体と溶融金属浴との間に電圧を適用することによ
り、電気化学的作用により金属酸化物からなる付着物の
形成を防止する方法が知られている。特許第25680
76号公報においては、冶金容器のノズルのうち、溶融
金属浴が通過するノズル壁の部分を酸素イオン伝導体で
構成し、酸素イオン伝導体と溶融金属浴との間に電圧を
適用することにより、ノズル壁への金属酸化物の付着を
防止し、あるいは既に形成された付着物を浴中に再溶解
させる方法が開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】溶融金属、特に鋼の連
続鋳造においては、精錬の単位である1ロット毎(1チ
ャージ毎)に連続鋳造を完了するのではなく、ひとつの
鋳造チャンス内で多数のロットを一連の連続鋳造として
行うことが多い。ここにおいて、同一の鋳造チャンス内
で同一の品種のみを連続して鋳造するとは限らず、多種
の異なった品種を同一の鋳造チャンス内において鋳造す
ることもある。品種が異なれば、品種毎に注入装置のノ
ズルが詰まりやすい品種、詰まりにくい品種が存在し、
また注入装置のノズルを溶損させやすい品種、させにく
い品種も存在する。
【0013】溶融金属浴が通過するノズル壁の部分を酸
素イオン伝導体で構成し、酸素イオン伝導体と溶融金属
浴との間に電圧を適用した場合、特定の品種ではノズル
詰まりもノズル溶損も起こらないように鋳造を行なうこ
とができるが、別の品種では同じ条件においてノズル詰
まりが進行し、また更に別の品種では同じ条件において
ノズルの溶損が進行するという事態となる。そのため、
同一チャンスの連続鋳造全体として、鋳造途中でノズル
詰まりによって鋳造を中断したり、逆にノズル溶損によ
って鋳造を中断せざるをえず、目的とするロット数の鋳
造を完了することができないという問題が生じることが
あった。
【0014】また、同一チャンス内ではノズル付着・溶
損に関して同じような傾向の品種のみを鋳造する場合に
おいても、鋳造チャンス毎に比較するとノズル付着・溶
損に関して異なった傾向の品種を鋳造することがあり、
特定の品種を鋳造するチャンスではノズル詰まりもノズ
ル溶損も起こらないように鋳造を行なうことができる
が、別の品種を鋳造するチャンスでは同じ条件において
ノズル詰まりが進行し、また更に別の品種を鋳造するチ
ャンスでは同じ条件においてノズルの溶損が進行すると
いう事態となる。
【0015】本発明は、同一チャンス内で異なった品種
の鋳造を行なう場合、あるいは各鋳造チャンス毎に種々
の品種の鋳造を行なう場合において、どのような品種で
あってもノズル付着もノズル溶損も進行せず、必要なロ
ット数の鋳造を行なうことのできる、冶金容器ノズルへ
の付着物形成防止及びノズル溶損防止方法並びに装置を
提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨とす
るところは以下のとおりである。 (1)溶融金属を注入する注入装置を備える冶金容器に
おいて、該注入装置のノズル壁の少なくとも一部を酸素
イオン伝導性耐火材で構成し、該酸素イオン伝導性耐火
材と溶融金属との間に直流電流を印加可能とし、前記ノ
ズル壁へ金属酸化物の付着が進行する場合に際しては前
記酸素イオン伝導性耐火材側を陽極として溶融金属側と
の間に直流電流を印加してノズル壁への金属酸化物付着
を防止し、前記ノズル壁の溶損が進行する場合に際して
は前記酸素イオン伝導性耐火材側を負極として溶融金属
側との間に直流電流を印加してノズルの溶損を防止する
ことを特徴とする冶金容器ノズルへの付着物形成防止及
びノズル溶損防止方法。 (2)前記注入装置はスライディングノズル方式又はス
トッパー方式であり、該注入装置の開度情報と溶融金属
注入量情報との対比に基づいてノズルの付着進行あるい
はノズルの溶損進行状況を判断し、該判断結果に基づい
て前記酸素イオン伝導性耐火材と溶融金属との間に印加
する電流の電流密度及び極性を定めることを特徴とする
上記(1)に記載の冶金容器ノズルへの付着物形成防止
及びノズル溶損防止方法。 (3)溶融金属を注入する注入装置を備える冶金容器に
おいて、該注入装置のノズル壁の少なくとも一部を構成
する酸素イオン伝導性耐火材と、溶融金属に接する対極
電極と、該酸素イオン伝導性耐火材と溶融金属と対極電
極との間に直流電流を印加する電源装置と、注入装置の
開度情報と溶融金属注入量情報との対比に基づいて前記
酸素イオン伝導性耐火材と溶融金属との間に印加する電
流の電流密度及び極性を定める制御装置とを有すること
を特徴とする冶金容器ノズルへの付着物形成防止及びノ
ズル溶損防止装置。 (4)前記制御装置は、注入装置開度情報と溶融金属注
入量情報との対比に基づいてノズルの付着進行あるいは
ノズルの溶損進行状況を判断し、前記ノズル壁へ金属酸
化物の付着が進行する場合に際しては前記酸素イオン伝
導性耐火材側を陽極として溶融金属側との間に直流電流
を印加してノズル壁への金属酸化物付着を防止し、前記
ノズル壁の溶損が進行する場合に際しては前記酸素イオ
ン伝導性耐火材側を負極として溶融金属側との間に直流
電流を印加してノズルの溶損を防止することを特徴とす
る上記(3)に記載の冶金容器ノズルへの付着物形成防
止及びノズル溶損防止装置。
【0017】冶金容器のノズル壁に金属酸化物からなる
付着物の形成を防止するための方法として、該冶金容器
のノズル壁を酸素イオン伝導性耐火物で構成し、該酸素
イオン伝導性耐火物と溶融金属浴との間に電圧を適用す
る場合において、ノズルに金属酸化物が付着しやすい通
常の品種の溶融金属を処理する場合には、酸素イオン伝
導性耐火材側を陽極として溶融金属側との間に直流電流
を印加することにより、酸素イオン伝導性耐火物と溶融
金属浴との界面における酸素ポテンシャルを低減させ、
ノズル壁への金属酸化物付着を防止することができる。
【0018】一方、ノズル耐火物を溶損させやすい品種
の溶融金属を処理する場合においては、酸素イオン伝導
性耐火物側を負極として溶融金属側との間に直流電流を
印加することにより、逆に酸素イオン伝導性耐火物と溶
融金属浴との界面における酸素ポテンシャルを増大さ
せ、該界面において積極的に金属酸化物の生成を促進
し、これによってノズル耐火物の溶損を防止することが
できる。
【0019】本発明の特徴は、上記のように、処理する
溶融金属が冶金容器のノズル壁に金属酸化物を付着させ
る傾向かあるいはノズル壁を溶損する傾向かによって酸
素イオン伝導性耐火物と溶融金属浴との間の電圧の極性
を転換させ、これによっていかなる品種の溶融金属を処
理する場合においても、冶金容器のノズルへの付着物形
成を防止しかつノズル溶損を防止する点にある。
【0020】更に、同じようにノズルに付着物を形成さ
せやすい品種の中でも、付着物の形成が非常に激しい品
種、あるいは付着物の形成がわずかにしか発生しない品
種等の相違がある。同様にノズルの溶損傾向について
も、品種によって溶損の度合いが異なることがある。本
発明においては、付着物形成傾向、あるいはノズル溶損
傾向の差異に基づき、酸素イオン伝導性耐火材と溶融金
属との間に印加する直流電流の電流密度を調整し、各品
種毎に電流密度を最適化し、これによっていかなる品種
においてもノズルへの付着物形成もノズル溶損も防止す
ることが可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】冶金容器に備える注入装置として
は、一般にスライディングノズル方式又はストッパー方
式が採用される。本発明は、上記いずれの方式において
も適用することができる。図1はスライディングノズル
方式において本発明を適用した場合を示す。図1におい
て、酸素イオン伝導性耐火物6はSNプレート7のうち
の上プレート7aに配置され、上プレート7aの溶鋼流
入孔を取り囲むように配置されている。酸素イオン伝導
性耐火物6は、更に上ノズル2、摺動プレート7b、下
プレート7c、下ノズル8に配置しても良い。対極電極
4は酸素イオン伝導性耐火物6に近い位置に配置するの
が好ましく、上ノズル2、羽口レンガ3、下ノズル8等
に配置することができる。図1に示す装置においては対
極電極4は上ノズル2に配置し、酸素イオン伝導性耐火
材6と溶融金属1と対極電極4との間に直流電流を印加
する電源装置10が接続される。
【0022】冶金容器で処理する各品種において、その
品種が冶金容器のノズル壁に金属酸化物を付着させる傾
向かそれともノズル壁を溶損する傾向かという点、及び
その傾向が激しいか否かについては、予め実験あるいは
過去の実績によって予測することができる。そして、各
品種の処理を実施するに際し、該予測に基づいて酸素イ
オン伝導性耐火物と溶融金属浴との間の電圧の極性及び
最適な電流密度を決定することもできる。
【0023】一方、本発明においては、注入装置として
のスライディングノズルあるいはストッパーの開度情報
と溶融金属注入量情報との対比に基づいてノズルの付着
進行あるいはノズルの溶損進行状況を判断し、該判断結
果に基づいて前記酸素イオン伝導性耐火材と溶融金属と
の間に印加する電流の電流密度及び極性を定めることも
できる。
【0024】ノズルを構成する耐火物が、金属酸化物の
付着もなくまたノズルの溶損もない健全な内径を保持し
ている状況において、スライディングノズル又はストッ
パー等の注入装置の開度と該ノズルからの溶融金属の流
出量の間には一定の関係が成立する。ところが、ノズル
内壁に付着物が形成されると、ノズル内径が小さくなる
ため、注入装置の開度と溶融金属流出量の関係は上記一
定の関係から乖離し、同一の開度であっても流出する溶
融金属量が低下する。逆にノズル内壁が溶損してノズル
内径が大きくなると、同一の開度であっても流出する溶
融金属量が増大する。従って、注入装置の開度と溶融金
属流出量との関係を対比することによって、ノズルが付
着進行傾向にあるのかあるいはノズルが溶損進行傾向に
あるのかを判断することができる。
【0025】冶金容器から注入した溶融金属を連続鋳造
する場合においては、冶金容器からの注入溶融金属量は
連続鋳造鋳型から引き抜かれる金属量に一致する。そし
て、連続鋳造における引き抜き速度の実績に鋳型断面積
をかけたものが溶融金属注入量実績となる。従って、連
続鋳造において本発明を適用する場合においては、実績
引き抜き速度に基づいて溶融金属流出量を定めることが
できる。
【0026】同一の溶融金属注入量を維持しているとき
に注入装置の開度が大きくなる傾向が見られたら、ノズ
ルへの付着物の形成が進行しているものと判断できるの
で、既に酸素イオン伝導性耐火材側を陽極として溶融金
属側との間に直流電流を印加しているのであれば電流密
度を更に増加する対応を行う。酸素イオン伝導性耐火材
側を負極として溶融金属側との間に直流電流を印加して
いるのであれば、電流密度を低下し、あるいは電流の極
性を転換し、更に付着傾向あるいは溶損傾向の状況を判
断して電流密度を最適化する。
【0027】逆に同一の溶融金属注入量を維持している
ときに注入装置の開度が小さくなる傾向が見られたら、
ノズルの溶損が進行しているものと判断できるので、既
に酸素イオン伝導性耐火材側を負極として溶融金属側と
の間に直流電流を印加しているのであれば電流密度を更
に増加する対応を行う。酸素イオン伝導性耐火材側を陽
極として溶融金属側との間に直流電流を印加しているの
であれば、電流密度を低下し、あるいは電流の極性を転
換し、更に付着傾向あるいは溶損傾向の状況を判断して
電流密度を最適化する。
【0028】ノズル壁の酸素イオン伝導性耐火物と溶融
金属との間に電流を印加するに際しては、常に電流を流
し続けるのではなく、必要な場合に必要な電流密度で流
すことが好ましい。無駄な通電による酸素イオン伝導性
耐火材の劣化を防ぐとともに、電力コストを下げるため
である。本発明においては、注入装置の開度情報に基づ
いて電流密度を変化させ、必要十分な電流密度の電流を
流すことができる。
【0029】図1に示す装置において、電流の極性及び
電流密度の調整は制御装置11によって行う。制御装置
11には注入装置開度情報12と溶融金属注入量情報1
3が入力され、注入装置開度情報12と溶融金属注入量
情報13との対比に基づいてノズルの付着進行あるいは
ノズルの溶損進行状況を判断し、前記ノズル壁へ金属酸
化物の付着が進行する場合に際しては酸素イオン伝導性
耐火材6を陽極として溶融金属1との間に直流電流を印
加し、前記ノズル壁の溶損が進行する場合に際しては前
記酸素イオン伝導性耐火材側を負極として溶融金属側と
の間に直流電流を印加するように電源装置10を制御す
る。
【0030】電流の極性と電流密度の制御は、上記のよ
うな制御装置11を用いず、操作者が注入装置の開度を
監視しつつノズルの詰まり傾向及び溶損傾向を判断し
て、手動で制御してもかまわない。
【0031】上記説明した品種毎に予め電流の極性と最
適電流密度を定めておく方法(フィードフォワード法)
と、注入装置の開度情報と溶融金属注入量情報から判断
して電流の極性と電流密度とを定める方法(フィードバ
ック法)とは、同時に併用することもできる。連続鋳造
中においてそれまでに鋳造していた品種と異なる品種の
鋳造を開始する場合においては、まずフィードフォワー
ド法によっていち早く後の品種に適正な条件に修正を行
い、次いでフィードバック法によって更にそのときの実
際の鋳造に最適な条件を見出して修正を行う。フィード
バック法のみでは品種変更時に変更後の品種に最適な条
件に修正がなされるまでに時間を要し、その間に付着物
の形成やノズル溶損が進行してしまう場合があるが、フ
ィードフォワード法を併用することによって品種変更時
に最適条件への迅速な変更が可能になる。
【0032】鉄鋼材料の品種のうち、ノズルを溶損させ
やすい品種として例えば快削鋼等がある。快削鋼におい
ては、その性質上わざと鋼中の酸素レベルを確保する必
要がある。本発明において、ノズルの溶損を防止するた
めに酸素イオン伝導性耐火材側を負極として溶融金属側
との間に直流電流を印加すると、ノズルを通して溶鋼中
に酸素が供給されるので、新たに溶鋼中に介在物が生成
することがある。しかし、快削鋼等においては上記のよ
うにわざと溶鋼中の酸素レベルを確保しているのである
から、本発明においてノズル溶損防止のために新たに溶
鋼中に介在物が生成しても、それは快削性の観点からは
むしろ有益である。
【0033】
【実施例】溶鋼の連続鋳造において本発明を適用した。
冶金容器は連続鋳造タンディッシュ、注入装置は該タン
ディッシュの底部に配置したスライディングノズルであ
り、スライディングノズルを通して連続鋳造鋳型内に溶
鋼を注入し、連続鋳造を行う。
【0034】スライディングノズルは、図1に示すよう
に、上ノズル2、SNプレート7、下ノズル8から構成
され、更に下ノズル8の下方に浸漬ノズル9を配置す
る。SNプレート7は3枚のプレートからなり、上プレ
ート7aに溶鋼流入口を取り囲むように酸素イオン伝導
性耐火物6を配置している。溶鋼に電流を流すための対
極電極4は上ノズル2に埋め込み、酸素イオン伝導性耐
火物6と対極電極4との間に直流電源10を接続するこ
とにより、酸素イオン伝導性耐火材6と溶鋼1との間に
直流電流を印加することができる。電源装置10におい
ては、直流の電流密度及び極性を連続的に変化させるこ
とができる。
【0035】制御装置11には、ノズル内径が健全であ
る場合の注入装置開度と溶融金属注入量との関係が予め
入力されている。実際のSNプレート7の開度情報が注
入装置開度情報12として、また鋳型からの鋳片引き抜
き速度にもとづいて計算された鋳片引抜き量が溶融金属
注入量情報13として、それぞれ制御装置11に入力さ
れ、注入装置開度情報12と溶融金属注入量情報13と
を予め入力したノズル内径が健全である場合の関係と対
比し、該対比に基づいてノズルの付着進行あるいはノズ
ルの溶損進行状況を判断し、前記ノズル壁へ金属酸化物
の付着が進行する場合に際しては酸素イオン伝導性耐火
材6を陽極として溶融金属1との間に直流電流を印加
し、前記ノズル壁の溶損が進行する場合に際しては前記
酸素イオン伝導性耐火材側を負極として溶融金属側との
間に直流電流を印加するように電源装置10を制御す
る。
【0036】上記連続鋳造装置を用い、第1ロットとし
てノズルに付着物を形成しやすい品種を鋳造し、引き続
いて同一タンディッシュを用いて第2ロットとしてノズ
ル溶損の起きやすい品種を鋳造した。上記2ロットの鋳
造中において鋳造速度即ち溶融金属注入量12は一定に
保った。従って、鋳造中においてスライディングノズル
開度が大きくなった場合はノズルへの付着物が形成され
ていることを示し、逆にスライディングノズル開度が小
さくなった場合はノズル溶損が進行していることを示
す。
【0037】図2に当該2ロット鋳造中における印加電
流の極性と電流密度、及びスライディングノズル開度実
績とを示す。
【0038】第1ロット初期からスライディングノズル
開度が増大してノズル詰まり傾向が表れたので、酸素イ
オン伝導性耐火物6側を陽極として電流を印加し、スラ
イディングノズル開度が初期開度に戻るように電流密度
を変化させた。その結果、第1ロットの後半においては
スライディングノズル開度が安定した。
【0039】第2ロットの鋳造が始まると、その初期か
らスライディングノズル開度が徐々に小さくなり、ノズ
ル溶損が起きはじめていることを示した。そこで酸素イ
オン伝導性耐火物6側を負極として電流を印加した。徐
々にスライディングノズル開度が元に戻って溶損傾向が
収まっていることを示し、第2ロット途中からノズル付
着傾向に転じ、最終的にスライディングノズル開度が初
期開度になるように電流を制御することができた。
【0040】
【発明の効果】本発明においては、処理する溶融金属が
冶金容器のノズル壁に金属酸化物を付着させる傾向かあ
るいはノズル壁を溶損する傾向かによって酸素イオン伝
導性耐火物と溶融金属浴との間の電圧の極性を転換さ
せ、更に電流密度を最適化することにより、いかなる品
種の溶融金属を処理する場合においても、冶金容器のノ
ズルへの付着物形成を防止しかつノズル溶損を防止する
ことができる。これにより、同一チャンス内で異なった
品種の鋳造を行なう場合、あるいは各鋳造チャンス毎に
種々の品種の鋳造を行なう場合において、どのような品
種であってもノズル付着もノズル溶損も進行せず、必要
なロット数の鋳造を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したスライディングノズル装置の
断面図である。
【図2】本発明を適用した場合の酸素イオン伝導性耐火
材と溶融金属との間の印加電流とスライディングノズル
開度との経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1 溶融金属(溶鋼) 2 上ノズル 3 羽口レンガ 4 対極電極 5 リード線 6 酸素イオン伝導性耐火材 7 SNプレート 7a 上プレート 7b 摺動プレート 7c 下プレート 8 下部ノズル 9 浸漬ノズル 10 電源装置 11 制御装置 12 注入装置開度情報 13 溶融金属注入量情報
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 41/54 B22D 41/54 (72)発明者 小澤 修司 室蘭市仲町12番地 新日本製鐵株式会社室 蘭製鐵所内 (72)発明者 磯部 浩一 室蘭市仲町12番地 新日本製鐵株式会社室 蘭製鐵所内 Fターム(参考) 4E004 FA10 FB10 MB11 MB20 4E014 DD01 DD02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属を注入する注入装置を備える冶
    金容器において、該注入装置のノズル壁の少なくとも一
    部を酸素イオン伝導性耐火材で構成し、該酸素イオン伝
    導性耐火材と溶融金属との間に直流電流を印加可能と
    し、前記ノズル壁へ金属酸化物の付着が進行する場合に
    際しては前記酸素イオン伝導性耐火材側を陽極として溶
    融金属側との間に直流電流を印加してノズル壁への金属
    酸化物付着を防止し、前記ノズル壁の溶損が進行する場
    合に際しては前記酸素イオン伝導性耐火材側を負極とし
    て溶融金属側との間に直流電流を印加してノズルの溶損
    を防止することを特徴とする冶金容器ノズルへの付着物
    形成防止及びノズル溶損防止方法。
  2. 【請求項2】 前記注入装置はスライディングノズル方
    式又はストッパー方式であり、該注入装置の開度情報と
    溶融金属注入量情報との対比に基づいてノズルの付着進
    行あるいはノズルの溶損進行状況を判断し、該判断結果
    に基づいて前記酸素イオン伝導性耐火材と溶融金属との
    間に印加する電流の電流密度及び極性を定めることを特
    徴とする請求項1に記載の冶金容器ノズルへの付着物形
    成防止及びノズル溶損防止方法。
  3. 【請求項3】 溶融金属を注入する注入装置を備える冶
    金容器において、該注入装置のノズル壁の少なくとも一
    部を構成する酸素イオン伝導性耐火材と、溶融金属に接
    する対極電極と、該酸素イオン伝導性耐火材と溶融金属
    と対極電極との間に直流電流を印加する電源装置と、注
    入装置の開度情報と溶融金属注入量情報との対比に基づ
    いて前記酸素イオン伝導性耐火材と溶融金属との間に印
    加する電流の電流密度及び極性を定める制御装置とを有
    することを特徴とする冶金容器ノズルへの付着物形成防
    止及びノズル溶損防止装置。
  4. 【請求項4】 前記制御装置は、注入装置開度情報と溶
    融金属注入量情報との対比に基づいてノズルの付着進行
    あるいはノズルの溶損進行状況を判断し、前記ノズル壁
    へ金属酸化物の付着が進行する場合に際しては前記酸素
    イオン伝導性耐火材側を陽極として溶融金属側との間に
    直流電流を印加してノズル壁への金属酸化物付着を防止
    し、前記ノズル壁の溶損が進行する場合に際しては前記
    酸素イオン伝導性耐火材側を負極として溶融金属側との
    間に直流電流を印加してノズルの溶損を防止することを
    特徴とする請求項3に記載の冶金容器ノズルへの付着物
    形成防止及びノズル溶損防止装置。
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