JP2001170501A - 乳清からのラクトフェリンアイソフォームの分離方法 - Google Patents

乳清からのラクトフェリンアイソフォームの分離方法

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JP2001170501A
JP2001170501A JP35537099A JP35537099A JP2001170501A JP 2001170501 A JP2001170501 A JP 2001170501A JP 35537099 A JP35537099 A JP 35537099A JP 35537099 A JP35537099 A JP 35537099A JP 2001170501 A JP2001170501 A JP 2001170501A
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lactoferrin
whey
isoform
porous particles
ion exchanger
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Shigeru Yoshida
繁 吉田
Tadashi Adachi
正 足立
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラクトフェリンアイソフォームを高い効率に
て分離精製することができる工業的に有利な分離方法を
提供する。 【解決手段】 イオン交換体に乳清を接触させて、該乳
清に含有されるラクトフェリンアイソフォームをイオン
交換体に吸着させた後、溶離液により溶離する方法にお
いて、該イオン交換体が、粒子表面に親水性高分子層を
有し、且つ実質的に該親水性高分子層のみにイオン交換
基を有する多孔質粒子からなるものである乳清からのラ
クトフェリンアイソフォームの分離方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳清からのラクト
フェリンアイソフォームの分離方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】乳清とはスキムミルクおよび甘性ホエ
ー,酸性ホエー等のホエーを指し、特に牛乳由来の乳清
は乳製品の製造における副生成物として大量に提供され
る。乳清中には0.5〜2%程度の割合で蛋白質が含ま
れているが、その中に含有される主な成分は、β−ラク
トグロブリン,α−ラクトアルブミン及び血清アルブミ
ンであることから、これまでの乳清の利用方法は食品添
加物や家畜飼料等に限られていた。しかしながら、乳清
中には免疫グロブリン,ラクトペルオキシダーゼ,ラク
トフェリン,リゾチーム等、含有量は微量であるが、各
種生理活性を有する蛋白質が存在することから、これら
を分離精製し有効利用することが試みられている。
【0003】特にラクトフェリンは鉄結合性の蛋白質で
あり、乳児や子牛の授乳において鉄を運搬する蛋白質と
して栄養学的に重要な働きを担っていること、及びその
鉄結合性の特性ゆえに鉄要求性の高い病原性細菌に対し
て強い抗菌作用を有することから栄養学的見地のみなら
ず感染予防の見地からも重要な乳蛋白質として知られて
いたが、近年の研究において、ラクトフェリンが抗菌作
用のみならず、過酸化脂質生成抑制作用、鉄吸収の調節
作用、免疫機能調節作用、細胞増殖作用、及び細菌感染
防御作用等などの有用な生理作用を有することが報告さ
れていることから、その分離精製に対する要求が高まっ
ている。
【0004】更に、J.Dairy Sci.,74
巻,p1439−1444(1991)や、Neth.
Milk Dairy J.,45巻,p273−28
0(1991)、The 4th Internati
onal Conference on Lactof
errin,Program and Abstrac
ts,p61(1999)等において牛ラクトフェリン
には糖鎖結合数の異なるa,bのアイソフォームが存在
すること、またa体とb体では抗菌活性に差があり、a
体が抗菌活性に優れることが明らかとなっている。しか
し、ラクトフェリンは初乳には比較的多く含まれている
ものの、常乳中の含量は少なく、例えば牛乳1L中のラ
クトフェリン含量は100mg程度と微量であることか
ら、その分離精製には高度な技術が必要であり、更にラ
クトフェリンアイソフォームの分離精製には特に高度な
技術が必要となる。
【0005】例えば、特開昭62−19523号公報に
はホエ−の濃縮液を陽イオン交換体に通液し、リン酸緩
衝液で洗浄後、0.3M塩化ナトリウムを含む同緩衝液
でラクトフェリンを溶出させる方法、また特開昭63−
152400号公報には脱脂乳を陽イオン交換体と混
合、攪拌後、樹脂をカラムに充填し、水洗後、1.5〜
12%塩類溶液にて脱離する方法が開示されている。ま
た、ラクトフェリンと親和性の強い物質をカラムに固定
化し、アフィニティクロマトグラフィーにより分離する
方法も試みられている。例えば、ヘパリン(特開昭63
−255299号公報)、ラクトフェリンに対するモノ
クロナール抗体(特開昭61−145200号公報)お
よび硫酸エステル化物(特開昭63−255300号公
報)などをクロマトグラフィー用の支持体に固定化し、
ラクトフェリンを含む乳原料と接触させ、吸着したラク
トフェリンを0.5〜1.0Mの塩化ナトリウムで溶出
させる方法等である。しかしながらこれらの方法によっ
ては、ラクトフェリンとしての分離は可能となるもの
の、そのアイソフォームの分離については未検討であっ
た。
【0006】また、前述のJ.Dairy Sci.,
74巻,p1439−1444(1991)や、Net
h.Milk Dairy J.,45巻,p273−
280(1991)、The 4th Interna
tional Conference on Lact
oferrin,Program and Abstr
acts,p61(1999)等においては用いられた
充填剤の分離性能が不充分であり、高い効率でラクトフ
ェリンアイソフォームを分離精製することができなかっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ラクトフェ
リンアイソフォーム(a体及びb体)を高い効率にて分
離精製する方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、液体クロ
マトグラフィー法による分離方法につき種々検討した結
果、特定構造のイオン交換体を使用することにより、ラ
クトフェリンアイソフォームを非常に効率良く分離精製
することが可能となることを見い出し、本発明に到達し
た。即ち本発明は、イオン交換体に乳清を接触させて、
該乳清に含有されるラクトフェリンアイソフォームをイ
オン交換体に吸着させた後、溶離液により溶離する方法
において、該イオン交換体が、粒子表面に親水性高分子
層を有し、且つ実質的に該親水性高分子層のみにイオン
交換基を有する多孔質粒子からなるものであることを特
徴とする乳清からのラクトフェリンアイソフォームの分
離方法に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明す
る。本発明に用いられるイオン交換体は、粒子表面に親
水性高分子層を有し、且つ実質的に該親水性高分子層の
みにイオン交換基を有する多孔質粒子からなるものであ
る。該イオン交換体を構成する多孔質粒子の多孔質構造
とは、水銀ポロシメーターにより測定した最頻度細孔径
が、通常2〜1000nmの範囲にあるものを指す。該
多孔質粒子は親水性、疎水性の何れも用いうる。但し、
ラクトフェリンアイソフォームのa体およびb体はその
構造差において糖鎖結合数が1つ異なるのみであり、こ
の構造差に起因する僅かの等電点差によってa体および
b体を分離する必要がある。このような場合、多孔質粒
子表面を被覆する親水性高分子層の種類および層の厚み
によっては該多孔質粒子の疎水性によりラクトフェリン
との望ましくない相互作用を及ぼし、純粋なイオン交換
相互作用を妨害する可能性があることから多孔質粒子自
体が親水性であることが好ましい。
【0010】親水性の多孔質粒子としては、具体的に
は、デキストラン、セルロース、キトサン、グルコマン
ナン等の天然高分子系多孔質粒子や(メタ)アクリル酸
エステル、(メタ)アクリルアミド等の親水性多孔質架
橋共重合体粒子等が挙げられるが、特に工業的に高い効
率にてラクトフェリンアイソフォームの分離精製を行う
場合には高流速での通液が必要なことから、機械的強度
に優れた(メタ)アクリル酸エステル親水性多孔質架橋
共重合体粒子が好適に用いられる。疎水性の多孔質粒子
としては、例えば、ポリ(スチレン−ジビニルベンゼ
ン)多孔質粒子が挙げられる。本発明において、イオン
交換体を構成する多孔質粒子は、その表面に親水性高分
子層を有し、実質的に該親水性高分子層のみにイオン交
換基を有するものである。
【0011】親水性高分子層を構成する親水性高分子と
は、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、水酸
基、アミノ基、アミド基等の親水性基を有するものであ
り、例えば、デキストラン及びそのカルボキシル化物、
スルホン化物、リン酸化物、アミノ化物、アミド化物等
の誘導体、アガロース及びそのカルボキシル化物、スル
ホン化物、リン酸化物、アミノ化物、アミド化物等の誘
導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース等のセルロース誘導体、コンドロイチン硫
酸、ヒアルロン酸、ヘパリン等のムコ多糖類、等の天然
高分子及びその誘導体、また、(メタ)アクリル酸ヒド
ロキシエチル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキ
シプロピル、(メタ)アクリル酸グリコシルエチル、ビ
ニルアルコール、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロ
リドン、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−スチレ
ンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリル酸
ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルア
ミノエチル、ビニルアミン、ビニルピリジン、ジアリル
ジメチルアンモニウムクロリド、塩酸アリルアミン、等
を単量体単位とする(共)重合体及びそれらのカルボキ
シル化物、スルホン化物、リン酸化物、アミノ化物、ア
ミド化物等の誘導体が挙げられ、更に該親水性高分子に
イオン交換基が存在しない場合には後反応によりイオン
交換基が導入される。
【0012】上述のイオン交換体の具体例としては例え
ば、特開平1−310744号公報に開示される分離材
料のうち、イオン交換基を有するポリマーを用いたも
の、特開平3−179258号公報に開示される疎水性
架橋重合体粒子の表面がカルボキシル基を持つ重合体で
被覆された液体クロマトグラフィー充填剤、特開平3−
179259号公報に開示される疎水性架橋重合体粒子
の表面が水酸基を持つ重合体で被覆された液体クロマト
グラフィー充填剤に対し、公知の方法でイオン交換基を
導入したもの、特開平7−88366号公報に開示され
る分離剤のうち、重合性ビニル単量体(C)として水酸
基等の親水基を有する重合性ビニル単量体や、イオン交
換基を有する重合性ビニル単量体を共重合させ、該多孔
質粒子の表面に親水性高分子層を導入したもの、および
重合性ビニル単量体(C)としてイオン交換基を後反応
により導入可能である重合性ビニル単量体を共重合さ
せ、公知の方法でイオン交換基を導入することにより該
多孔質粒子の表面に親水性高分子層を導入したもの、お
よび特開平7−171389号公報に開示される分離剤
のうち、重合性ビニル単量体(C)として水酸基等の親
水基を有する重合性ビニル単量体や、イオン交換基を有
する重合性ビニル単量体を共重合させ、該多孔質粒子の
表面に親水性高分子層を導入したもの、および重合性ビ
ニル単量体(C)としてイオン交換基を後反応により導
入可能である重合性ビニル単量体を共重合させ、公知の
方法でイオン交換基を導入することにより該多孔質粒子
の表面に親水性高分子層を導入したもの等が挙げられ
る。
【0013】上記した中でも好ましい例としては、特開
平7−88366号公報に開示される分離剤のうち、重
合性ビニル単量体(C)として水酸基等の親水基を有す
る重合性ビニル単量体や、イオン交換基を有する重合性
ビニル単量体を共重合させ、該多孔質粒子の表面に親水
性高分子層を導入したもの、および重合性ビニル単量体
(C)としてイオン交換基を後反応により導入可能であ
る重合性ビニル単量体を共重合させ、公知の方法でイオ
ン交換基を導入することにより該多孔質粒子の表面に親
水性高分子層を導入したもの、および特開平7−171
389号公報に開示される分離剤のうち、重合性ビニル
単量体(C)として水酸基等の親水基を有する重合性ビ
ニル単量体や、イオン交換基を有する重合性ビニル単量
体を共重合させ、該多孔質粒子の表面に親水性高分子層
を導入したもの、および重合性ビニル単量体(C)とし
てイオン交換基を後反応により導入可能である重合性ビ
ニル単量体を共重合させ、公知の方法でイオン交換基を
導入することにより該多孔質粒子の表面に親水性高分子
層を導入したものが挙げられる。
【0014】また、本発明に用いられるイオン交換体は
陰イオン交換体、陽イオン交換体の何れも用いうるが、
ラクトフェリンの等電点が9〜10であることからカル
ボキシル基、リン酸基およびスルホン酸基等を有する陽
イオン交換体が好ましく用いられる。さらに、工業的に
高い効率にてラクトフェリンを分離精製するためには高
い吸着量が得られることから、特に好ましくはスルホン
酸基を有する陽イオン交換体が用いられる。導入される
陽イオン交換基の量としては、乾燥樹脂重量1gあたり
通常、0.05〜1.5ミリ当量、好ましくは0.2〜
1.2ミリ当量である。なお、イオン交換基を後反応に
より導入した場合、多孔質粒子の組成及びイオン交換基
導入反応条件によっては該多孔質粒子の表面を被覆する
親水性高分子層のみならず多孔質粒子の一部にもイオン
交換基が導入される場合があるが、本発明はこの場合を
も含むものであり、実質的に該親水性高分子層のみにイ
オン交換基を有することが本発明の構成要素として重要
である。
【0015】本発明において用いられるイオン交換体の
平均粒子径については、ラクトフェリンアイソフォーム
を高い効率にて分離する必要を勘案すると小さい方が好
ましい。一方、工業的な実用性を勘案すると通液に伴う
圧力上昇等の問題から大きいことが好ましく、総合的に
判断すると平均粒子径は、3〜150μmが好適に用い
られ、好ましくは5μm以上90μm未満、特に好まし
くは10μm以上40μm未満が好適に用いられる。ま
た、更にはその粒径分布は狭いことが好ましい。これら
上述の要素を満たすイオン交換体の具体例としては、
J.Chromatogr.A,763巻,p57(1
997)に記載される細孔径100nmのポリメタクリ
レート系親水性多孔質粒子の表面に親水性高分子層を有
し、実質的に該高分子層のみに官能基として陽イオン交
換基であるスルホプロピル基(スルホン酸基)を乾燥樹
脂重量1gあたり0.3ミリ当量有する「MCI GE
LProtEx−SP(三菱化学株式会社製)」や、T
he 50th Pittsburgh Confer
ence and Exposition onAna
lytical Chemistry and App
lied Spectroscopy,Abstrac
ts,1700P(1999)に記載されるスルホプロ
ピル基(スルホン酸基)を有するするイオン交換体が挙
げられる。
【0016】本発明は、上記イオン交換体に乳清を接触
させて、該乳清に含有されるラクトフェリンアイソフォ
ームをイオン交換体に吸着させた後、溶離液により溶離
する。乳清中に含まれるラクトフェリンアイソフォーム
の含有量は、通常、1リットルあたり10〜100mg
程度である。乳清をイオン交換体に接触させる方法とし
ては、バッチ法及びカラム通液法の何れも可能である
が、工業的有用性を考慮するとカラム通液法が好まし
い。また、カラム通液法を用いて該イオン交換体に吸着
されたラクトフェリンアイソフォームを溶離液により溶
離する際の通液速度は、通常、単位時間当たり該イオン
交換体体積の0.1〜100倍程度である。
【0017】本発明において用いられる溶離液のpHに
ついては、乳清蛋白質中の含有率において主なものであ
るβ−ラクトグロブリンの等電点が5.2、α−ラクト
アルブミンの等電点が4.4、血清アルブミンの等電点
が4.9であること、これらの蛋白質が陽イオン交換体
に吸着しないpHであること、ラクトフェリンアイソフ
ォームの等電点が9〜10であること、陽イオン交換体
に充分に吸着するためには用いられる溶離液は等電点よ
り1以上低いpHであることが好ましいことから、5.
2〜8.0であることが好ましい。
【0018】更に、本発明において用いられる溶離液に
おいては、乳清中に微量に含まれる免疫グロブリンがイ
オン交換体に吸着する場合があることから、溶離液通液
中の免疫グロブリンの安定性を保つために塩類を含むこ
とが好ましい。塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カ
リウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等、酢酸ナ
トリウム、酢酸アンモニウム等、クエン酸ナトリウム、
クエン酸アンモニウム等、リン酸ナトリウム、リン酸ア
ンモニウム等、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等、
が挙げられる。また、ラクトフェリンを分離精製するた
めには溶離液中の塩濃度を変化させることが必要とな
り、その塩濃度が0.001〜2mol/Lであること
が好ましい。なお、溶離液中の塩濃度を変化させる方法
としてはステップワイズグラジエント法およびリニアグ
ラジエント法の何れも用いることができる。
【0019】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例によって限定されるものではない。
【0020】実施例1 親水性多孔質粒子としてメタアクリル酸エステル架橋共
重合体粒子を用い、その表面を被覆する親水性高分子層
を有し、実質的に該高分子層のみに官能基として陽イオ
ン交換基であるスルホン酸基を有するイオン交換体とし
て「ProtEx−SP」(平均粒子径30μm、最頻
度細孔径100nm、交換容量0.3meq/g、三菱
化学株式会社製)を用い、内径1.5cmのオープンク
ロマト用ガラスカラムに充填した。長さは11cmであ
った。牛ホエーについてはホルスタイン種の常乳を脱脂
し、塩酸にてpHを4.7に調整しカゼインを除去した
酸性ホエーを水酸化ナトリウムにてpHを6.8に再調
整し、沈殿物を除去したものを用いた。得られた牛ホエ
ー500mlを該陽イオン交換体の充填されたカラムに
流速0.4ml/minで、負荷し、次に0.2MのN
aClを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.7)を通
液し、UVモニターII型(アトー社製)にて波長28
0nmでの吸光度が0.01AU以下になるまで該陽イ
オン交換体に吸着しない成分を洗浄した。
【0021】続いて該陽イオン交換体に吸着したラクト
フェリンアイソフォームの分離精製を実施した。0.2
MのNaClを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.
7)と0.6MのNaClを含む50mMリン酸緩衝液
(pH7.7)各250mlを用いて合計500mlの
溶離液を、流速0.4ml/minにて、NaCl濃度
0.2Mから0.6Mへのリニアグラジエント通液を行
い、カラムからの溶離液を10ml毎に分取した。分取
された溶離液の溶離容量200mlから400mlまで
の波長280nmでの吸光度を図1に示す。溶離容量2
70ml(NaCl濃度約0.38M)をピークトップ
とするラクトフェリンa体および溶離容量320ml
(NaCl濃度約0.42M)をピークトップとするラ
クトフェリンb体が分離されていることが分かる。牛ホ
エー500mlからの総ラクトフェリン回収量は37.
9mgであった。
【0022】比較例1 陽イオン交換基としてカルボキシメチル基を有する親水
性ビニルポリマー系イオン交換体として、市販品である
CM−トヨパール650M(粒子径40〜90μm、東
ソー株式会社製)を用い、内径1.5cmのオープンク
ロマト用ガラスカラムに充填した。長さは18cmであ
った。なお、このイオン交換体はJ.Dairy Sc
i.,74巻,p1439−1444(1991)や、
Neth.Milk Dairy J.,45巻,p2
73−280(1991)、The 4th Inte
rnational Conference on L
actoferrin,Program and Ab
stracts,p61(1999)にて用いられたも
のである。
【0023】牛ホエーからのラクトフェリンアイソフォ
ーム分離精製については実施例1と同様に行い、カラム
からの溶離液を7ml毎に分取した。分取された溶離液
の溶離容量200mlから400mlまでの波長280
nmでの吸光度を図1に示す。溶離容量256ml(N
aCl濃度約0.37M)にラクトフェリンa体に由来
するショルダーピークが認められるが、溶離容量284
〜291ml(NaCl濃度約0.40M)をピークト
ップとするラクトフェリンb体との分離は不充分である
ことが分かる。牛ホエー500mlからの総ラクトフェ
リン回収量は36.7mgであった。
【0024】実施例2 親水性多孔質粒子としてメタアクリル酸エステル架橋共
重合体粒子を用い、その表面を被覆する親水性高分子層
を有し、実質的に該高分子層のみに官能基として陽イオ
ン交換基であるスルホン酸基を有するイオン交換体とし
て「ProtEx−SP」(平均粒子径30μm、最頻
度細孔径100nm、交換容量0.3meq/g、三菱
化学株式会社製)を用い、内径1.6cmのHPLC用
ガラスカラムに充填した。長さは12cmであった。牛
ホエーについてはホルスタイン種の常乳を脱脂し、塩酸
にてpHを4.7に調整しカゼインを除去した酸性ホエ
ーを孔径0.45μmのメンブレンフィルタにて濾過し
たものを用いた。
【0025】得られた牛ホエー240mlをHPLCポ
ンプLC−6A(島津製作所製)にて流速2.0ml/
minにて該陽イオン交換体の充填されたカラムに負荷
し、次に20mMリン酸緩衝液(pH7.0)を流速
2.0ml/minにて120ml通液し、該陽イオン
交換体に吸着しない成分を洗浄した。続いて該陽イオン
交換体に吸着したラクトフェリンアイソフォームの分離
精製を実施した。20mMリン酸緩衝液(pH7.0)
と1.0MのNaClを含む20mMリン酸緩衝液(p
H7.0)を用い、HPLCポンプLC−6A(島津製
作所製)2台による高圧グラジエント装置にて流速2.
0ml/minにて240分間でNaCl濃度0〜1.
0Mのリニアグラジエント通液を行い、カラムからの溶
離液をフラクションコレクターにて6ml毎に分取し
た。分取された各フラクションに含まれるラクトフェリ
ン含有量は以下のようにして求めた。HPLCポンプL
C−10AS(島津製作所製)2台による高圧グラジエ
ント装置および紫外検出器SPD−10A(島津製作所
製)によるHPLCシステムを用い、分析用HPLCカ
ラムとして「MCI GEL ProtEx−SP(平
均粒子径5μm、内径4.6mm、長さ50mm、三菱
化学株式会社製)」、溶離液は20mMリン酸緩衝液
(pH7.0)と1.0MのNaClを含む20mMリ
ン酸緩衝液(pH7.0)を用いて流速0.5ml/m
inにて30分間でNaCl濃度0〜1.0Mのリニア
グラジエント通液を行い、ラクトフェリン含有量分析を
行った。
【0026】シグマ社製牛ラクトフェリン(品番L−4
765)を標品として各種濃度のラクトフェリン溶液を
注入量10μlにて分析し、吸光度280nmでのラク
トフェリンピークの面積値から検量線を作成した。次い
で各フラクションを注入量10μlにて分析し、ラクト
フェリンピークの面積値と検量線との比較により各フラ
クションの濃度を求め、更にラクトフェリン含有量を求
めた。フラクション番号51番から65番までのラクト
フェリン含有量を図2に示す。フラクション番号55番
(NaCl濃度約0.69M)をピークトップとするラ
クトフェリンa体およびフラクション番号60番(Na
Cl濃度約0.75M)をピークトップとするラクトフ
ェリンb体が分離されていることが分かる。牛ホエー2
40mlからの総ラクトフェリン回収量は11.7mg
であった。
【0027】実施例3 親水性多孔質粒子としてメタアクリル酸エステル架橋共
重合体粒子を用い、その表面を被覆する親水性高分子層
を有し、実質的に該高分子層のみに官能基として陽イオ
ン交換基であるスルホン酸基を有するイオン交換体とし
て「ProtEx−SP」(平均粒子径30μm、最頻
度細孔径100nm、交換容量0.3meq/g、三菱
化学株式会社製)を用い、内径1.6cmのHPLC用
ガラスカラムに充填した。長さは12cmであった。牛
ホエーについてはホルスタイン種の常乳を脱脂し、塩酸
にてpHを4.7に調整しカゼインを除去した酸性ホエ
ーを孔径0.45μmのメンブレンフィルタにて濾過し
たものを用いた。
【0028】得られた牛ホエー360mlをHPLCポ
ンプLC−6A(島津製作所製)にて流速3.0ml/
minにて該陽イオン交換体の充填されたカラムに負荷
し、次に20mMリン酸緩衝液(pH6.5)を流速
3.0ml/minにて180ml通液し、該陽イオン
交換体に吸着しない成分を洗浄した。続いて該陽イオン
交換体に吸着したラクトフェリンアイソフォームの分離
精製を実施した。20mMリン酸緩衝液(pH6.5)
と1.0MのNaClを含む20mMリン酸緩衝液(p
H6.5)を用い、HPLCポンプLC−6A(島津製
作所製)2台による高圧グラジエント装置にて流速2.
0ml/minにて240分間でNaCl濃度0〜1.
0Mのリニアグラジエント通液を行い、カラムからの溶
離液をフラクションコレクターにて6ml毎に分取し
た。分取された各フラクションに含まれるラクトフェリ
ン含有量は実施例2と同様に求めた。フラクション番号
40番から70番までのラクトフェリン含有量を図3に
示す。 フラクション番号54番(NaCl濃度約0.
68M)をピークトップとするラクトフェリンa体およ
びフラクション番号59番(NaCl濃度約0.74
M)をピークトップとするラクトフェリンb体が分離さ
れていることが分かる。牛ホエー360mlからの総ラ
クトフェリン回収量は20.0mgであった。
【0029】
【発明の効果】本発明方法により、特定の構造を有する
イオン交換体を用いることにより、ラクトフェリンアイ
ソフォームを高い効率にて分離精製することができ、工
業的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1において分取された溶離
液のラクトフェリンに由来する波長280nmの吸光度
を示すグラフ。
【図2】実施例2における分取された各フラクション中
のラクトフェリン含有量を示すグラフ。
【図3】実施例3における分取された各フラクション中
のラクトフェリン含有量を示すグラフ。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換体に乳清を接触させて、該乳
    清に含有されるラクトフェリンアイソフォームをイオン
    交換体に吸着させた後、溶離液により溶離する方法にお
    いて、該イオン交換体が、粒子表面に親水性高分子層を
    有し、且つ実質的に該親水性高分子層のみにイオン交換
    基を有する多孔質粒子からなるものであることを特徴と
    する乳清からのラクトフェリンアイソフォームの分離方
    法。
  2. 【請求項2】 多孔質粒子が親水性多孔質粒子である請
    求項1記載のラクトフェリンアイソフォームの分離方
    法。
  3. 【請求項3】 親水性多孔質粒子が(メタ)アクリル酸
    エステル架橋共重合体からなるものである請求項2に記
    載のラクトフェリンアイソフォームの分離方法。
  4. 【請求項4】 多孔質粒子の平均粒子径が3〜150μ
    mである請求項1〜3に記載のラクトフェリンアイソフ
    ォームの分離方法。
  5. 【請求項5】 イオン交換基が陽イオン交換基である請
    求項1〜4のいずれかに記載のラクトフェリンアイソフ
    ォームの分離方法。
  6. 【請求項6】 溶離液のpHが5.2〜8.0である請
    求項1〜5に記載のラクトフェリンアイソフォームの分
    離方法。
  7. 【請求項7】 溶離液が塩類を含む溶離液であり、その
    塩濃度が0.001〜2mol/Lであるラクトフェリ
    ンアイソフォームの分離方法。
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