JP2001165765A - 振動分布測定装置 - Google Patents

振動分布測定装置

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JP2001165765A
JP2001165765A JP34934699A JP34934699A JP2001165765A JP 2001165765 A JP2001165765 A JP 2001165765A JP 34934699 A JP34934699 A JP 34934699A JP 34934699 A JP34934699 A JP 34934699A JP 2001165765 A JP2001165765 A JP 2001165765A
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Takuro Hayashi
卓郎 林
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動体全体の振動分布を測定できる振動分布
測定装置の提供を目的とする。 【解決手段】 フーリエ級数形状を有する高分子圧電材
23が積層されてなる列状センサ26を複数平板25上
に貼りつけ、平板25の振動による歪を高分子圧電材2
3で検知し、その検知された情報をチャージアンプ27
に出力し増幅する。増幅された信号は演算部28で二回
積分して足し合わされることでその列状センサ26が貼
りつけられた一列の振動変位分布を求める。平板状に列
状センサ26を複数本貼り付けると、構造物25全体の
振動分布が算出でき、これを描画装置29で描画する。
このような構成によれば、定常状態だけでなく、過渡状
態の振動分布も観測することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物に伝播する
振動を測定する振動分布測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から各種の振動測定装置が知られて
いるが、これらは大きく分けて振動体上のある一点にお
ける振動を計測するものと、振動体全体の振動分布を計
測するものとがある。
【0003】振動体上のある一点を計測する代表的な例
としては、圧電セラミックスを用いた振動加速度センサ
がある。これは圧電セラミックスなどの圧電材料が、歪
を受けるとその歪に応じた電荷を生ずる性質があるのを
利用したものである。圧電セラミックスの構造は、圧電
セラミックスに慣性質量を取り付けたもので、慣性質量
が振動すると圧電セラミックスが荷重を受けて歪み、そ
れによって生じた電荷を取り出して振動を測定するもの
である。
【0004】図10は、この振動加速度センサを用いた
振動測定の構成図である。
【0005】測定対象となる振動体1の所望の位置に加
速度センサ2を取り付け、その出力をチャージアンプで
増幅した後、振動加速度の時間波形をオシロスコープ4
で観測することや、フーリエ分析器5で周波数スペクト
ルに直して観察することが一般的な測定の仕方である。
【0006】この場合、得られる振動の情報は加速度セ
ンサ2を取り付けた位置、即ち「点」であって振動体全
体の振動分布を観察できるものではない。振動体全体の
振動分布は、定常振動の場合であれば、多数の加速度セ
ンサを振動体に分散して貼り付け、それらの出力信号を
同時に取込み、信号相互の伝達関数を求めて振幅比や位
相差を知ることで得られる。
【0007】しかしながら、計測システムが高価な上に
測定時間がかかり、手間が煩雑になる欠点がある。しか
も非定常振動に対しては、位相差や振幅比が時間的に変
化するのでこの方法での計測が不可能である。
【0008】一方、振動体全体の振動分布を観測する測
定法としては、レーザホログラフィ法が知られている。
これはレーザ光を二つに分け、その一つを振動体に照射
したときの反射光又は回折光を写真乾板に入射させ、そ
れと同時に他の一方を直接写真乾板に入射させ、得られ
る干渉縞を記録する。この干渉縞にもう一度レーザ光を
当てると、振動の腹と節とが明瞭に観察できるものであ
る。
【0009】しかしながら、レーザホログラフィ法も、
測定する光学系の調節が煩雑な上、暗室を使用する必要
があること、腹と節との位置が動かない共振状態の定常
振動測定に限られることなどの制約があり、簡便な測定
方法とは言えない上に非定常振動の測定はできなかっ
た。
【0010】ところで最近、帯状の高分子圧電材料をそ
の長手方向に、振動体の固有振動における一次、二次な
どの固有モード関数の形に形成し、その固有モードの次
数に応じたモード出力を得る研究が発表されている(田
中、菊島、黒田 機械学会論文集(C)61、590号
P3923−3930 1995年10月号)。
【0011】この高分子圧電材料は、PVDF(弗化ビ
ニリデン樹脂 PoLyVinylidene Flu
oride resin)と呼ばれるもので、構造物に
貼付けたとき、引張り又は圧縮によって正負の電荷が生
じるものである。
【0012】ここで、この高分子圧電材料について詳し
く説明する。
【0013】はじめに、この高分子圧電材料を構造材に
貼り付けた場合の説明を図11の斜視図を参照して行
う。
【0014】高分子圧電材料6は、予めその厚さ方向
(図中上下方向)に分極され、厚さ方向の伸縮に比例し
て正負の電荷を生じるようになっている。また、上下の
面にはアルミニウムが蒸着され、電極7を形成してい
る。例えば、構造部材10が長さ方向に伸びると、貼り
付けられた高分子圧電材料6も長さ方向に伸び、厚さ方
向には縮むので電荷が発生する。
【0015】この電荷をアルミニウム電極7から導線8
を介して取り出し、チャージアンプ9で電圧に変換して
計測すれば、構造材10の伸びが計測できるのである。
なお、取り出される電荷は構造部材10の伸縮、つまり
歪分布を高分子圧電材料の面積で積分した量となる。
【0016】ここで、構造部材の歪分布が正負の分布を
持っているとすると、電荷は互いに打ち消し合う。例え
ば、図12に示す曲げ変形の説明図では、曲げ変形の状
態である構造部材11の表面に高分子圧電材料12を貼
った場合、高分子圧電材料12は図中左側では引張りを
受け、右側では圧縮を受ける。従って生ずる電荷の符号
が逆になる。もし高分子圧電材料12がその形状でつな
がっていれば、引張り側で生じた電荷と圧縮側で生じた
電荷とは打ち消し合う。
【0017】そこで、図13の断面図に示すように、高
分子圧電材料13を二つに切り離し、両者の表と裏との
アルミニウム電極7を相互につなぐと、構造部材14の
歪が左右で符合が異なるときでも打ち消し合うことがな
く、電荷は足し合わされる。この配線の仕方を本発明で
はクロス配線15と呼ぶ。
【0018】前出の研究では、周辺単純支持の板を対象
に、帯状の高分子圧電材料を曲げ振動の固有関数である
sin(2πmx/L)の形に切ってセンサを形成して
いる。ここで、m(=1、2、…)は固有振動のモード
次数、xはセンサの長さ方向の距離、Lはセンサの全長
さである。
【0019】また、sin波形と同じ歪分布の振動だけ
が取り出せるように前出のクロス配線を用いている。従
ってこの方法は固有振動のモード次数mに応じたセンサ
を貼り付けることで、それぞれのモード出力を取り出す
ことができるというものである。
【0020】図14の平面図では、単純支持の板16の
表面にsin(2πmx/L)の形に切ったセンサ17
が貼られており、それぞれのセンサから固有モードごと
の出力を取り出してそのモードごとの振動制御を行うこ
とを目的としている。ここで、+−の符号は振幅の正負
を表し、クロス配線されている。
【0021】この場合、一つのセンサで一つの固有モー
ドを得ようとしているため、予め固有モード関数の形が
既知である必要がある。周辺単純支持平板の場合、固有
モード関数はsin(2πmx/L)の形になることが
知られており、センサ形状を決めるのが容易である。
【0022】しかし、平板で単純支持以外の境界条件の
場合や、平板上に付加質量がある場合、固有モード関数
は解析的に決定することができないことが知られてお
り、センサ形状を容易には決められないという問題があ
り、測定することは困難であった。
【0023】なお、前述したように高分子圧電材料で生
ずる電荷は歪に比例する。振動体が縦振動をしている場
合、歪は変位に比例するので貼り付けるセンサ形状は固
有振動モード(通常変位モードで表す)の形でよい。
【0024】しかしながら、振動体が曲げ振動をしてい
る場合、歪と変位とは比例しない。例えば梁の場合であ
れば、歪は曲げによるたわみ変位を長さ方向に二階偏微
分したものに比例する。
【0025】従って、一般にはセンサ形状を固有振動モ
ードの形にしても固有モード出力は得られない。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】上述のような構成をし
た従来の振動分布測定装置では、加速度センサを用いた
簡便な振動測定で得られる情報は「点」であり、振動体
全体の振動分布を測定するものではない。
【0027】また、PVDFを用いた従来の方法でも固
有モード関数が不明な対象に対しては適用できない。固
有モード関数が不明な構造体で振動体全体の振動分布を
簡便に測定できる装置はこれまでに実現されていない。
しかるに振動の問題では、安全性や信頼性の確保、異常
時の原因究明などの必要性から、振動体全体の振動変形
の様子を観測することが極めて重要である。
【0028】そこで本発明は上記従来の問題点に鑑みて
なされたもので、簡便な測定系で、共振状態だけでなく
過渡振動も測定でき、振動体の固有振動モードが不明な
場合でも振動体全体の振動変形を測定できる振動分布測
定装置の提供を目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の振動分布測定装置は、振動する被測定体
の振動を検知するセンサと、このセンサから検知された
振動情報をもとに前記被測定体の振動分布を算出する演
算手段とからなる振動分布測定装置において、前記セン
サは、前記振動の振動成分をフーリエ級数に展開した時
のsin波またはcos波のフーリエ級数列のうちの特
定波成分を選択的に検知する振動検知単位素子が列状に
複数設けてなり、前記各単位素子の検知する特定波成分
が相互に異なるものであることを特徴とする。
【0030】また、sin波又はcos波で表されるフ
ーリエ級数列の代わりに、三角波列又は矩形波列を用い
ることも可能である。
【0031】このような構成にすれば、従来困難であっ
た測定対象全体の振動分布を、定常振動、非定常振動に
かかわらず容易に信号として出力できそれを表示するこ
とができる。
【0032】ここで、本発明の理論的根拠となる考え方
について図1の波形図を参照し説明する。
【0033】従来、振動センサや音響センサなどの出力
信号から周波数成分を分析する周波数分析装置としてフ
ーリエ分析器が知られている。フーリエ分析器は、この
ようなセンサからの出力信号18をA/D変換器でデジ
タル化して一定時間(T)取込んだ後、その取込まれた
信号に、取込時間Tを基本周期とするsin関数及びc
os関数であるsin(2πmt/T)、cos(2π
mt/T)、(m=1,2,3…)のフーリエ係数19
を順次掛けていく。
【0034】そして取込時間Tでそれらを積分した値を
計算する。元の信号をそのまま取込時間Tで積分したも
のはDC分になる。これはフーリエ級数展開として知ら
れる数学的処理と同じであり、元の信号波形はsin関
数及びcos関数の級数和として表される。
【0035】そして各sin(2πmt/T)、cos
(2πmt/T)の組から周波数f =m/Tのスペク
トル振幅が決定される。
【0036】逆に、フーリエ級数展開したときの各si
n及びcos成分が得られていると、それらを合成して
もとの信号が得られる。これをフーリエ合成という。
【0037】また、例えば元の信号が加速度信号であっ
て、加速度信号からから変位信号を得る場合は、一旦加
速度信号をフーリエ級数展開し、個々の級数項を二回積
分して加え合せると、変位が得られる。ただしこの場
合、元の変位信号にDC成分や直線的に振幅が変化する
成分(トレンド分)がないことが条件となる。これは積
分したときの積分定数が不定のまま残るためで、DC分
やトレンド分が零であれば積分定数は零になり、完全な
変位信号が得られる。
【0038】ところで板状の高分子圧電材料を、その長
さLを基本周期とし、sin(2πmx/L)及びco
s(2πmx/L)、(m=1,2,3…)の形に形成
して振動体に貼りつけると、その出力は上に述べたフー
リエ分析を振動体上で空間的にしたものと全く同じにな
る。
【0039】つまり、周期Tには高分子圧電材料の長さ
Lが、時間tには距離xが相当し、その出力は歪振動分
布にsin(2πmx/L)、及びcos(2πmx/
L)を掛けて積分した値となる。
【0040】そして、この出力に元のsin(2πmx
/L)及びcos(2πmx/L)を掛けて加え合せる
と、フーリエ合成により元の歪振動分布が得られる。
【0041】元の歪振動分布をほぼ完全に再現するには
mをかなり高次まで取る必要がある。
【0042】しかし、大抵の振動の問題では低次の固有
振動だけを扱えばよく、それほど多くを貼りつける必要
はない。一つの測定線に沿って貼りつけるsin波形及
びcos波形の組は、それらがほぼ一列になるように、
重ねるか又は近接して互いに平行に振動体に貼りつける
必要がある。これは測定線上の振動分布を、それぞれの
圧電材料の出力を合成して計算するので、ほぼ同一線上
の必要があるためである。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態の構成を
図面を参照しながら説明する。
【0044】図2は本発明の第1実施形態の構成図であ
る。
【0045】測定対象となる平板上に幾つかの列状セン
サ20(センサ)が貼りつけてあり、その列状センサ2
0は幾つかの帯形状の高分子圧電材21a、21b、
…、21e(振動検知単位素子)が、平板の厚み方向に
複数積層されてなる。各圧電材21の間には、絶縁物で
ある例えば樹脂などの接着剤40が封入されて、各圧電
材21を固定している。この圧電材21a、…、21e
は各々sin波形及びcos波形のフーリエ級数列のう
ちの特定の波成分を選択的に検知する、所定形状に成形
されて列状センサ20となり、互いに平行に近接して配
置される。ここでsin波形及びcos波形はクロス配
線で相互の表と裏を接続している。センサ20は、si
n波とcos波とのフーリエ級数列のうちの特定の波成
分を選択的に検知する圧電材からなる。
【0046】また、図2(b)に示すように、各高分子
圧電材21は、上下に電極7が設けられている。電極7
には導線(不図示)が接続される。
【0047】ただし実際には、必ずしもクロス配線は必
要ない。例えば、高分子圧電材料製造時に分極の方向を
フーリエ級数波形の正負に応じて反転させることで、ク
ロス配線した場合と同じことになる。これは分極させる
ために用いる電圧の正負を逆転させることで実現でき
る。
【0048】また、従来sin波形及びcos波形は、
帯状の高分子圧電材21をその形に切り抜いて形成され
るなどしているが、これも高分子圧電材製造時に分極さ
せる範囲、即ち電圧をかける範囲をsin波形及びco
s波形の形にすればよく、複数のsin波形及びcos
波形を一枚の帯状材料に形成することができる。
【0049】また、列状センサ20は、図2(c)に示
すように、複数の高分子圧電材21a、21b、21
c、21d、21eが、被測定体の長手方向に、隣接さ
れて互いに並行に配置されていても良い。各圧電材21
間は、絶縁物である例えば樹脂などの接着剤(不図示)
が設けられ、各圧電材21が固定されている。各圧電材
21には、電極(不図示)が設けられている。
【0050】このような構成にすれば、一つの列状セン
サ20でその線上の振動分布をフーリエ合成により計測
でき、また列状センサを複数貼り付けることで平板全体
の振動分布を観察することができる。しかも、時間ごと
に振動分布を得ることができるため、定常振動だけでな
く過渡振動も観測することができる。
【0051】前述したように、高分子圧電材21の場
合、出力電荷は歪に比例する。曲げ振動の場合、歪は概
略曲げ変形の変位をその長さ方向に二階偏微分したもの
になる。逆にいうと、曲げ変形の変位分布は、歪分布を
その長さ方向に二回積分することで得られる。
【0052】従って、曲げ振動をなしている振動体の変
位分布を求めるには、フーリエ級数形状をした高分子圧
電材21の出力をそれぞれ二回積分して加え合せればよ
い。ただし、積分したときの積分定数が残るが、これは
振動体の支持条件から決定できる。
【0053】次に、対象とする振動体の形状や境界条件
によっては、全てのフーリエ級数に展開するよりも、特
定のsin、cos成分を用いた方が便利な場合があ
る。
【0054】例えば図3に示す片持ち梁形状の構造物2
2(被測定体)の場合、曲げの固有振動は、先端の自由
端で歪が零、固定側では最大となるから、図3のような
cos(πmx/2/L)、(m=1,3,…)の形に
形成した複数の高分子圧電材23(振動検知単位素子)
からなる列状センサ24を貼り付けるのがよい。このよ
うな構成であれば貼り付ける高分子圧電材の数を少なく
することができる。
【0055】図4は、図3示す片持ち梁にcos(πm
x/2/L)、(m=1,3)の形に形成した二枚の高
分子圧電材23を貼りつけ、その出力の歪分布を二回積
分して、フーリエ合成から変位分布を求めた計算結果
と、解析解を比較したものである(固有モード形状)。
【0056】二枚だけの高分子圧電材23からでもモー
ド形状の二次までほぼ良好に求まっていることが分か
る。さらに高次のcos波形を貼り付けていくことで、
高次のモード形状まで求めることができる。
【0057】図5は片持ち梁ではなく、片持ち平板25
(被測定体)に応用したもので、片持ち梁の場合の列状
センサ26を複数平板25上に並べて平板全体の振動分
布を観察する構成図である。
【0058】図5においては、各列状センサを構成する
高分子圧電材23からの出力をチャージアンプ27で増
幅した後、演算部28(演算手段)で二回積分して足し
合わせ、振動分布を算出して描画装置29に描画してい
る。
【0059】ところで、図3において貼られたcos
(πmx/2/L)、(m=1,3,…)の形は、全体
の長さLに対してcos波形が1/4周期、3/4周期
…となるように入っている。
【0060】一般の構造部材の境界条件は、端部で自
由、単純支持、固定のうちいずれかになる場合が多いた
め、歪は零(自由、単純支持)か、ほぼ最大(固定)に
なる。従って振動分布をsin、cosの級数和で表せ
ば、その最小単位はsin、cosの値が零と最大値を
取る間隔、即ち1/4周期となり、高次の波形はその1
/4周期の整数倍になる。
【0061】これらを考慮すると、一般の構造部材にお
いて、貼り付ける高分子圧電材のsin関数、cos関
数の形は、長さLに対し1/4周期の整数倍の周期が入
るように決めるのが好ましい。
【0062】次に、本発明の振動分布測定装置の第2実
施形態の構成について図6を参照して説明する。
【0063】図6は、本発明の第2実施形態の説明図で
あり、道路や鉄道の橋梁30(被測定体)の下部にフー
リエ級数形状をした高分子圧電材23からなる列状セン
サ20を貼りつけたものである。
【0064】この場合、両端は固定で零にならないの
で、用いる形状はcos(πmx/L)、(m=0,
1,2…)としている。
【0065】このような構成にすれば、車両の通過や強
風による橋梁30の振動が適宜観測することができ、安
全設計への反映や監視システムなどに役立てることがで
きる。
【0066】次に、本発明の振動分布測定装置の第3実
施形態の構成について図7を参照して説明する。
【0067】図7は円板状の構造物31(被測定体)に
列状のセンサを取り付けた場合を示す概念図である。
【0068】ここで列状のセンサ32は中心から放射状
に貼られており、それぞれの列状のセンサ32は複数本
の高分子圧電材が積層された構造からなり、それら高分
子圧電材は両端の境界条件によって形が決められてい
る。
【0069】例えば円板の中心が固定で、周辺部が自由
であれば、片持ち梁に適用したのと同様の形状を貼りつ
ければよい。このように、列状センサ32を適用する対
象は平板でなくてもよいし、列状センサ32を互いに平
行に貼り付ける必要もない。
【0070】次に、本発明の振動分布測定装置の第4実
施形態の構成について図8を参照して説明する。
【0071】圧電高分子材は必ずしもsin、cos形
状をしていなくてもよい。例えば、図8(a)に示す三
角波33は、フーリエ級数展開すると
【数1】 となる。
【0072】上式(1)で第二項以下は第一項に比べて
値が小さいから、高次の振動モードを無視できる場合に
は、三角波形状の高分子圧電材の出力は上の式の第一項
だけとみなすことができる。
【0073】従って、図8(b)に示すような形状の高
分子圧電材23を貼りつけ、sin、cos形状の代わ
りにしてもよい。
【0074】また、三角波形を用いた場合でさらに精度
を上げる場合には、各三角波出力の高次の誤差分を補正
する方法がある。つまり、ある三角波出力の高次の誤差
分を、その高次の波形を周期とする他の三角波の出力で
補正すれば良い。このような動作を行うことにより三角
波形状の出力からsin、cosのフーリエ級数出力を
精度よく求めることができる。
【0075】次に、本発明の振動分布測定装置の第5実
施形態の構成について図9を参照して説明する。
【0076】三角波ではなく、図9のような矩形波34
を用いてもよい。三角波に比べて矩形波34のほうが高
次の誤差分は大きくなるが、高分子圧電材35の形成は
一層容易になる。高次の誤差分は三角波のときと同様の
方法によって補正することができる。
【0077】尚、本発明は上記実施形態には限定され
ず、その主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施でき
ることは言うまでもない。例えば、振動体の振動分布が
測定できれば、高分子圧電材の形状、個数は、どのよう
なものであっても良い。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、貼
り付けた方向の歪分布を計測でき、振動体全体の振動に
よる歪分布を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の振動分布測定装置の動作の説明図。
【図2】 本発明の振動分布測定装置の第1実施形態の
高分子圧電材料の説明図。
【図3】 本発明の振動分布測定装置の第1実施形態の
説明図。
【図4】 本発明の振動分布測定装置の第1実施形態の
解析解とフーリエ合成結果のグラフ。
【図5】 本発明の振動分布測定装置の第1実施形態の
構成図。
【図6】 本発明の振動分布測定装置の第2実施形態の
説明図。
【図7】 本発明の振動分布測定装置の第3実施形態の
説明図。
【図8】 本発明の振動分布測定装置の第4実施形態の
説明図。
【図9】 本発明の振動分布測定装置の第5実施形態の
説明図。
【図10】 従来の振動分布測定装置の構成図。
【図11】 従来の振動分布測定装置の高分子圧電材料
の構成図。
【図12】 従来の振動分布測定装置の高分子圧電材料
の断面図。
【図13】 従来の振動分布測定装置の高分子圧電材料
近傍の断面図。
【図14】 従来の振動分布測定装置の平面図。
【符号の説明】
1 振動体 2 加速度センサ 3、9、27 チャージアンプ 4 オシロスコープ 5 フーリエ分析器 6、12、13、17、21、23、35 高分子圧電
材(振動検知単位素子) 7 アルミニウム電極 8 導線 10、11、14 構造部材 15 クロス配線 16 周辺単純支持平板 18 時間信号波形 19 フーリエ係数 20、24、26、32 列状センサ(センサ) 22 片持ち梁 25 片持ち平板 28 演算部(演算手段) 29 描画装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】振動する被測定体の振動を検知するセンサ
    と、このセンサから検知された振動情報をもとに前記被
    測定体の振動分布を算出する演算手段とからなる振動分
    布測定装置において、 前記センサは、前記振動の振動成分をフーリエ級数に展
    開した時のsin波またはcos波のフーリエ級数列の
    うちの特定波成分を選択的に検知する振動検知単位素子
    が列状に複数設けてなり、 前記各単位素子の検知する特定波成分が相互に異なるも
    のであることを特徴とする振動分布測定装置。
  2. 【請求項2】前記センサは、帯形状であって、互いに実
    質的に並行に、複数設けられることを特徴とする請求項
    1に記載の振動分布測定装置。
  3. 【請求項3】前記センサは、sin波のフーリエ級数列
    のうちの特定波成分を選択的に検知する第1の振動検知
    単位素子と、cos波のフーリエ級数列のうちの特定波
    成分を選択的に検知する第2の振動検知単位素子と、を
    有することを特徴とする請求項1に記載の振動分布測定
    装置。
  4. 【請求項4】前記振動検知単位素子は、所定の厚みを有
    する圧電材からなり、前記振動体の振動方向の前記圧電
    材の長さがsin波またはcos波の1/4周期の整数
    倍の周期内であることを特徴とする請求項1に記載の振
    動分布測定装置。
  5. 【請求項5】前記振動検知単位素子は、互いに実質的に
    並行になるよう設けられて、もしくは積層されて、前記
    センサとなることを特徴とする請求項1に記載の振動分
    布測定装置。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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