JP2001164350A - アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板の製造方法

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JP2001164350A
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Katsuhiko Kanematsu
勝彦 兼松
Rikio Takitani
利喜雄 滝谷
Kazuomi Yamamoto
和臣 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存の設備を有効に利用してめっき層に形成
されるスパングルサイズを容易に制御することができる
アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 アルミニウムを25〜75質量%含有す
るアルミニウム−亜鉛合金からなる595〜610℃の
めっき浴9に、板温が505〜580℃の鋼板1を浸漬
させることにより鋼板1表面にめっき層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム−亜
鉛合金めっき鋼板の製造方法に関し、特にめっき層に形
成されるスパングルのサイズを微細化して美麗な外観を
有するアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板を製造する技
術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、建築材料などに使用される鋼
板材料として、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板が用
いられている。アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板は、
アルミニウムが4〜75質量%、残りの大半が亜鉛、更
にSi、Mg、Ce−La等の第三成分が微量含有され
る合金によってめっきされた鋼板であるが、特にアルミ
ニウムを25〜75質量%含有する高アルミニウム−亜
鉛合金によってめっきした場合は非常に優れた耐食性を
有し、更にめっき表面に現出する結晶(スパングル)に
よって美麗な外観を有するものである。このようなアル
ミニウム−亜鉛合金めっき鋼板の製造にあたっては、特
公昭46−7161号公報に開示されているように、ア
ルミニウム−亜鉛合金からなる溶融めっき浴に鋼板を通
過させながら浸漬することにより行われており、めっき
浴を通過させた後の冷却工程においてめっき層にスパン
グル模様が形成されることが知られている。
【0003】このようなアルミニウム−亜鉛合金めっき
鋼板を製造するにあたっては、通常は、板温が580℃
を超える鋼板を605℃の高アルミニウム−亜鉛合金め
っき浴に浸漬していた。
【0004】近年、このようなアルミニウム−亜鉛合金
めっき鋼板においては、更なる外観向上のためにスパン
グルの微細化が求められてきている。このようなスパン
グルサイズの制御方法としては、原板である鋼板に粗度
の調整等の追加の前処理を行うことが試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来のスパングルサイズの制御方法では、原板の前処理工
程等の新たな工程を追加しなければならず、製造工程が
煩雑化し、また製造ラインの変更のために多大な設備投
資が必要となるものであった。
【0006】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、既存の設備を有効に利用してめっき層に形成され
るスパングルサイズを容易に制御することができるアル
ミニウム−亜鉛合金めっき鋼板の製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板の製造方法は、アル
ミニウムを25〜75質量%含有するアルミニウム−亜
鉛合金からなる595〜610℃のめっき浴9に、板温
が505〜580℃の鋼板1を浸漬させることにより鋼
板1表面にめっき層を形成することを特徴とするもので
ある。
【0008】また請求項2の発明は、請求項1の発明に
おいて、板厚が0.4〜1.2mmの鋼板1を用いるこ
とを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0010】鋼板1としては、軟鋼板等を用いることが
できる。
【0011】めっき浴9としては、アルミニウム−亜鉛
合金からなるものを用いるものであり、具体的には、2
5〜75質量%のアルミニウムと、アルミニウムの含有
量に対して0.5質量%以上のケイ素とを含有し、残部
は本質的に亜鉛からなるめっき浴9を用いることができ
る。まためっき浴9中にアルミニウム含有量に対して
0.5質量%以上のケイ素を含有させると、鋼板1にめ
っき層を形成するにあたり、鋼板1表面とめっき層との
界面における、もろい鉄含有合金層が形成されることを
抑制して、鋼板1表面とめっき層との密着性を向上する
ことができる。このケイ素の含有量の上限は限定される
ものではないが、特に上限を設定するとすれば、アルミ
ニウム含有量に対して10質量%以下とするものであ
り、10質量%を超えるともろい鉄含有層の形成を抑制
する効果が飽和すると共に、めっき層の加工性の低下を
招くおそれがある。また、めっき浴9の組成において、
アルミニウム、ケイ素を除く残部は、本質的に亜鉛であ
るが、ここで本質的にとは、アルミニウム−亜鉛合金め
っき鋼板1の耐食性、塗膜等との密着性等の特性を損な
わない他の物質、例えば従来から合金めっきのための溶
融金属浴に許容されている不純物や、他の意識的な添加
物が存在しても良いことを示すものであり、例えば各原
料成分中に含まれる鉛、鉄、銅、カドミウム、スズ等の
微量の不純物、鉄、銅、鉛等のような製造工程上不可避
的に混入される不純物、マンガン、スズ、ニッケル、モ
リブデン、タングステン、コバルト、クロム、チタン、
カドミウム、アンチモン、ランタン、セレン等の添加物
等の、本発明の必須成分以外の成分が含まれても良いも
のである。これらの不純物や添加物等の混入量は特に制
限されるものではないが、めっき浴9全体に対して1質
量%以下であれば、許容される。また銅、カドミウム、
スズ、アンチモン及び鉛の混入量はできるだけ低減させ
るようにすることが好ましい。
【0012】このようなめっき浴9に鋼板1を連続的に
通過させて浸漬させた後、冷却することにより、鋼板1
表面にめっき層を形成してアルミニウム−亜鉛合金めっ
き鋼板1を得ることができるが、本発明では、めっき浴
9に通過させる鋼板1の板温を制御することにより、め
っき層に形成されるスパングルのサイズを微細化するも
のである。すなわち、めっき浴9に通過させる鋼板1の
温度を低下させると、鋼板1をめっき浴9に通過させた
後の鋼板1の温度とこの鋼板1の表面に形成されるめっ
き層の温度との差が大きくなり、そのため、めっき層の
温度は鋼板1によって急激に低下されてめっき層の結晶
成長が抑制され、スパングルが微細化されるものであ
る。
【0013】具体的には、めっき浴9の温度は、安定し
た操業を行うためには595〜610℃の範囲とするも
のである。そしてこのめっき浴9の温度条件においてめ
っき層に形成されるスパングルサイズを微細化するにあ
たっては、めっき浴9に通過させる鋼板1の板温を50
5〜580℃の範囲で制御するものである。鋼板1の板
温がこの範囲を超えると、鋼板1の板温がめっき浴9の
温度に近くなるため鋼板1によるめっき層の冷却効果が
得られにくくなり、スパングルサイズの微細化が困難と
なるものである。またこの鋼板1の板温が低い程スパン
グルサイズの微細化を達成することができるが、板温が
505℃に満たないと、めっき層の形成不良等による外
観不良が発生するおそれがある。
【0014】そしてこのように鋼板1をめっき浴9に通
過させた後、鋼板1表面に形成されためっき層表面にエ
アーを送風するなどして冷却するものである。このとき
の冷却速度は15〜40℃/sとすることができる。こ
こでめっき浴9通過後のめっき層の温度が580〜53
0℃の範囲においてめっき層表面にエアーを送風する等
して、めっき層の温度が580〜530℃の範囲におけ
る冷却速度を高めると、スパングルサイズを更に微細化
することが可能である。
【0015】また上記のようなアルミニウム−亜鉛合金
めっき鋼板1の製造方法においては、板厚が0.4mm
以上の鋼板1を用いる場合に特にスパングルサイズの微
細化の効果が発揮される。すなわち板厚が0.4mm以
上の鋼板1においては鋼板1の熱容量が大きいので同一
の板温における鋼板1の有する熱量が大きくなり、めっ
き浴9を通過させた後の鋼板1が有する熱量によってめ
っき層が冷却されにくくなってスパングルサイズが大型
化する傾向があるが、このような板厚の鋼板1の板温を
低下させることにより、鋼板1の有する熱量を低減し、
めっき層の冷却速度を向上してスパングルサイズを効果
的に微細化することができるものである。一方、鋼板1
の板厚が厚すぎると鋼板1の熱容量が大きくなりすぎ
て、板温を低下させたとしても鋼板1の有する熱量が大
きくなり、めっき浴9を通過させた後の鋼板1によるめ
っき層の冷却効果が得られにくくなるため、鋼板1の板
厚は1.2mm以下とすることが好ましい。
【0016】本発明を実施するための具体的な装置構成
を図1に示す。
【0017】長尺な鋼板1の搬送路に沿って、還元炉
2、除冷帯3、急冷帯4、低温保持帯5が順に配設され
てる。
【0018】還元炉2は、塑性加工が施された鋼板1を
700〜800℃で空気に触れることなく、窒素ガス及
び水素ガスからなる還元雰囲気下で焼鈍して還元し、鋼
板1を軟化させると共に鋼板1表面の酸化を防止してめ
っき形成不良を防止するものである。
【0019】除冷帯3は、電熱ヒータを有する加熱炉
と、加熱炉の周囲に配置され、内部に冷却用の外気が流
通するクリーニングチューブとで構成されており、加熱
炉による加熱温度と、クリーニングチューブにおける外
気の流通量を調整することにより鋼板1を650℃程度
まで間接冷却するものである。
【0020】急冷帯4は、熱交換器を有する送風装置を
用いて、還元炉2内の雰囲気ガスと同様の還元雰囲気ガ
スを鋼板1に噴射し、鋼板1を所定の板温まで冷却する
ものである。
【0021】低温保持帯5は、電熱ヒータを有する加熱
炉と、加熱炉の周囲に配置され、内部に冷却用の外気が
流通するクリーニングチューブとで構成されており、加
熱炉による加熱温度と、クリーニングチューブにおける
外気の流通量を調整することにより、所定の温度まで冷
却された鋼板1の板温を保持するものである。
【0022】鋼板1は、これらの還元炉2、除冷帯3、
急冷帯4及び低温保持帯5を、150m/秒程度の搬送
速度で20〜30秒間で通過する。
【0023】また低温保持帯5の先部には、低温保持帯
5と連通する導出ノズル6が斜め下方に向けて延出され
ている。この導出ノズル6の端部開口は、めっき浴9内
に配置されている。また導出ノズル6の後端部にはター
ンダウンロール7が、めっき浴9内にはターンアップロ
ール10がそれぞれ配設されている。またターンダウン
ロール7の上方には、鋼板1の板温を測定する放射温度
計8が配設されている。まためっき浴9の上方には、め
っき浴9を通過した鋼板1を冷却する送風装置11が配
設されている。
【0024】ここで放射温度計8による鋼板1の板温の
測定結果は、急冷帯4による鋼板1の冷却動作の制御の
ためにフィードバックされるものであり、放射温度計8
による板温の測定結果が所定の板温よりも高い場合は急
冷帯4による鋼板1の冷却速度を速くし、放射温度計8
による板温の測定結果が所定の板温よりも低い場合は急
冷帯4による鋼板1の冷却速度を遅くすることにより、
めっき浴9に浸漬される鋼板1の板温を所定の温度に制
御するものである。
【0025】そして、板温が制御された鋼板1は、ター
ンダウンロール7の上方に架け支えられて導出ノズル6
に沿って斜め下方に搬送され、導出ノズル6の端部開口
からめっき浴9内に導入されてめっき浴9内に1〜7秒
間浸漬される。めっき浴9内に導入された鋼板1はター
ンアップロール10の下方に架け支えられて上方に向け
て送出され、めっき浴9から導出される。このとき鋼板
1表面にはめっき層が形成される。めっき浴9から導出
された鋼板1は、2〜8秒間経過した後に送風装置11
に送られ、この送風装置11からめっき層表面に向けて
エアーが送風されて冷却される。
【0026】上記のような装置構成において、めっき浴
9に浸漬される鋼板1の板温を既述のように制御するこ
とにより、めっき層に形成されるスパングルのサイズを
微細化することができるものである。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳述する。
【0028】図1に示したような装置構成において、板
温を制御した場合のめっき層の形成状態を観測した結果
を以下に示す。
【0029】(実施例1〜48)めっき浴9としては、
アルミニウム55質量%、亜鉛43質量%、ケイ素1.
6質量%、鉄及びその他の微少成分0.4質量%の組成
を有するものを用いた。
【0030】また鋼板1としては板厚0.4mm、0.
8mm、1.2mmの三種の軟鋼板1を用いた。
【0031】このような各鋼板1を、板温を505〜5
80℃の範囲で制御して605℃のめっき浴9に2.0
秒間浸漬した後、めっき浴9から引上げ、めっき浴9に
引上げた後2.6秒後から、めっき層にエアーを送風し
て冷却した。ここで冷却速度は、板厚0.4mmの鋼板
1では34℃/秒、板厚0.8mmの鋼板1では29℃
/秒、板厚1.2mmの鋼板1では19℃/秒とし、こ
の冷却条件で板温が300℃になるまで冷却した後、常
温になるまで放置し、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼
板1を得た。
【0032】(比較例1〜18)鋼板1の板温を585
℃以上又は500℃以下の範囲で制御した以外は各実施
例と同様にしてアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板1を
得た。
【0033】(評価)このようにして得られるアルミニ
ウム−亜鉛合金めっき鋼板1について、めっき層の表面
を観察し、スパングルサイズ及び外観を評価した。
【0034】ここでスパングルサイズは、N=logn
/0.301+1(nは25mm四方中のスパングル個
数)で示されるスパングル指標Nで評価した。
【0035】また外観は、比較例4におけるめっき層の
外観を基準として、スパングルのコントラストが著しく
明りょうになったものを「優」、スパングルのコントラ
ストが明りょうになったものを「良」、スパングルのコ
ントラストの改善がみられなかったものを「可」、スパ
ングルのサイズや形状が不揃いとなってコントラストが
はっきりしなくなったり、不めっき部分が形成されたり
したものを「不可」として評価した。
【0036】以上の結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】以上の結果から明らかなように、鋼板1の
板温を580〜505℃の範囲で制御することにより、
鋼板1の板温が580℃を超える場合よりもめっき層に
形成されるスパングルのサイズを微細化することがで
き、しかもめっき不良による外観の悪化は発生しなかっ
た。
【0039】また板厚0.4mmの場合は575〜51
5℃、板厚0.8mmの場合は540〜510℃、板厚
1.2mmの場合は530℃〜510℃において、非常
に微細なスパングルが形成されると共に、優れた外観を
有するめっき層が形成された。
【0040】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係るア
ルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板は、アルミニウムを2
5〜75質量%含有するアルミニウム−亜鉛合金からな
る595〜610℃のめっき浴に、板温が505〜58
0℃の鋼板を浸漬させることにより鋼板表面にめっき層
を形成するため、鋼板に粗度の調整等の追加の前処理を
施すことなくめっき層表面に形成されるスパングルのサ
イズを微細化し、外観が美麗なアルミニウム−亜鉛合金
めっき鋼板を得ることができるものであり、既存の設備
に大幅な設計変更を加えることなくスパングルの微細化
を達成することができるものである。
【0041】また請求項2の発明は、請求項1の発明に
おいて、板厚が0.4〜1.2mmの鋼板を用いるもの
であり、この板厚の鋼板において、スパングルサイズの
微細化を効果的に発現させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
1 鋼板 9 めっき浴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 和臣 兵庫県尼崎市杭瀬南新町3丁目2番1号 大同鋼板株式会社内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA22 AB15 AB44 AB48 AC62 AE02 AE03 AE11 AE12 AE25

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムを25〜75質量%含有す
    るアルミニウム−亜鉛合金からなる595〜610℃の
    めっき浴に、板温が505〜580℃の鋼板を浸漬させ
    ることにより鋼板表面にめっき層を形成することを特徴
    とするアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 板厚が0.4〜1.2mmの鋼板を用い
    ることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム−亜
    鉛合金めっき鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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