JP2001163137A - 乗員保護装置 - Google Patents

乗員保護装置

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JP2001163137A
JP2001163137A JP34601999A JP34601999A JP2001163137A JP 2001163137 A JP2001163137 A JP 2001163137A JP 34601999 A JP34601999 A JP 34601999A JP 34601999 A JP34601999 A JP 34601999A JP 2001163137 A JP2001163137 A JP 2001163137A
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Yasuki Motosawa
養樹 本澤
Kazuya Yoshida
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車体寸法のコンパクト化と乗員減速度の低減
とをより一層高次元に両立し得る乗員保護装置を提供す
る。 【解決手段】 乗員保護装置を、衝突荷重を受けて変形
する部分（実施の形態中のフロントサイドフレーム）が
少なくとも車室（３）の前方に設けられた車体と、衝突
荷重を受けて後退するように車体に支持された剛体から
なる構造物（実施の形態中のエンジン６）と、着座した
乗員を拘束するシートベルト（９）を備え且つ前後方向
移動可能に車体に支持されたシート（８）と、構造物の
後退運動を伝達してシートを後退させるための力伝達手
段（実施の形態中のケーブル１３）とを有するものとす
る。これにより、エンジンなどの構造物が衝突の瞬間に
後退し、それに連れてシートも後退する。それにより、
衝突初期に車室部分よりも高い減速度がシート及びシー
トベルトに発生するので、シートベルトによる乗員拘束
力が高まる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗員保護装置に関
し、特に車両衝突時に乗員に作用する減速度を低減する
ための乗員保護装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】近年、衝突時の乗員保護効果を高めるた
めに、車体の車室以外の部分の衝突時の変形モードを適
切に設定して車体の車室部分の減速度を低減すると共
に、車室部分にまで変形が及ばないようにした車体構造
が種々提案されている（特開平７−１０１３５４号公報
など参照）。
【０００３】一方、シートベルトでシートに拘束された
形になっている乗員の減速度は、車両衝突時に乗員に作
用する前方への慣性力がシートベルトに受け止められた
時に初めて立ち上がる。ここでシートベルトのばね作用
を完全には排除することはできないので、慣性力で乗員
が前方へ移動し、シートベルトの伸びが最大に達したと
ころで乗員減速度がピークに達することになるが、この
乗員減速度のピーク値は、慣性力による乗員の移動量が
大きいほど高くなり、一般に車体の車室部分の平均減速
度よりも高くなると言われている。従って、衝突時に乗
員が受ける衝撃を小さくするには、車体減速度に対する
乗員減速度の立ち上がりの時間遅れがなるべく小さくな
るように、車体減速度を調整する必要がある。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、車体に乗員
を一体的に結合することは実質的に不可能であり、特に
車体の車室以外の部分の変形ストロークを十分にとるこ
とが困難な小型車の場合、車体の変形応力の設定で衝突
時の車室部分の減速度を低くしようとする従来の手法の
みでは、乗員減速度をより一層低くすることは困難であ
る。
【０００５】本発明は、このような従来技術の問題点を
解消するべく案出されたものであり、その目的は、車体
寸法のコンパクト化と乗員減速度の低減とをより一層高
次元に両立し得る乗員保護装置を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】このような目的を果たす
ために、本発明においては、乗員保護装置を、衝突荷重
を受けて変形する部分（実施の形態中のフロントサイド
フレーム）が少なくとも車室（３）の前方に設けられた
車体と、衝突荷重を受けて後退するように前記車体に支
持された剛体からなる構造物（実施の形態中のエンジン
６）と、着座した乗員を拘束するシートベルト（９）を
備え且つ前後方向移動可能に前記車体に支持されたシー
ト（８）と、前記構造物の後退運動を伝達して前記シー
トを後退させるための力伝達手段（実施の形態中のケー
ブル１３）とを有することを特徴とするものとした。
【０００７】これによれば、エンジンなどの構造物が衝
突の瞬間に後退すると、それに連れてシートも後退す
る。それにより、衝突初期に車室部分よりも高い減速度
がシート及びシートベルトに発生するので、シートベル
トによる乗員拘束力が高まる。
【０００８】特に、シートの後退限度の規定手段（実施
の形態中のストッパ１６）をも有するものとすれば、衝
突後に適宜な時間遅れをおいて衝突による減速度とは逆
向きの減速度、つまり加速度をシートに発生させること
ができる。これにより、乗員の車体との相対速度をうち
消して慣性力を瞬時に一定化し、車体と乗員との減速度
が早期に互いに等しくなるようにすることができる。
【０００９】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面に示した実施の
形態を参照して本発明について詳細に説明する。
【００１０】図１は、本発明に基づく車体構造の要部を
示す概念的な斜視図である。この車体構造は、サイドシ
ル１とフロア２とからなる車室３と、エンジンルーム４
内にて前後方向に延在すると共にフロア２に一体的に結
合されたフロントサイドフレーム５と、所定値以上の力
が加わると後方へスライドし得るようにフロントサイド
フレーム５に結合されたエンジン６と、前後方向移動可
能なようにガイドレール７を介してフロア２上に設置さ
れた左右のフロントシート８（各図には一方のみが示さ
れている）とを備えている。なお、シート８は、乗員
（図示せず）の移動を拘束するためのシートベルト９を
備えている。
【００１１】エンジン６の前面には、衝突時の衝撃荷重
を受けて圧縮変形し、車室３に作用する減速度を低減さ
せる機能を担うフロントサイドフレーム５の前端面と略
同一平面上に達する衝突荷重伝達部材１０が設けられて
いる。この衝突荷重伝達部材１０は、エンジン６に直接
結合されるものでも良いし、エンジン６の前面と微小間
隙をおく位置に何らかの手段で支持されるものでも良
い。
【００１２】エンジンルーム４と車室３とを隔絶するフ
ロントダッシュボードロワ１１の前面には、上面視がＭ
字形をなすケーブルガイド１２が固設されている。この
ケーブルガイド１２の左右の山の頂点間には、ケーブル
１３が掛け渡されている。ケーブル１３は、その両端が
それぞれ車室３内に引き込まれ、左右のシート８の後方
に固設されたガイドシーブ１４で折り返された後、シー
ト８の下面に固設されたケーブル連結金具１５にその端
末が結合されている。
【００１３】ケーブル連結金具１５の後面に対向する位
置には、シート８の後方への移動限度を規定するための
ストッパ１６が設けられている。なお、このストッパ１
６には、例えばハニカム構造などの緩衝手段を介設する
ことが望ましい。
【００１４】Ｍ字形をなすケーブルガイド１２の谷の部
分に掛け渡されたケーブル１３の中間部に当接するよう
に、エンジン６の後面には突出部１７が結合されてい
る。
【００１５】次に上記本発明装置の作動要領について、
路上構築物に車両が正面衝突した場合を想定し、図２〜
図５を併せて参照して説明する。
【００１６】車両が衝突した瞬間にフロントサイドフレ
ーム５の前部が衝撃荷重を受けて座屈変形を開始する
が、フロントサイドフレーム５に発生する変形応力に対
してエンジン６の質量が小さく、かつエンジン６の前面
に設けられた衝突荷重伝達部材１０の座屈強度がフロン
トサイドフレーム５よりも高いので、その前端が変形す
るために前方への移動を継続するフロントサイドフレー
ム５に対し、エンジン６は車体に対して見掛け上は後方
へと移動する（図２参照）。
【００１７】エンジン６が後方へ移動すると、ケーブル
ガイド１２に掛け渡されたケーブル１３の中間部をエン
ジン６後面の突出部１７が押すので、ケーブル１３の車
室３内に延在する部分に張力が加わり、それによってシ
ート８が後方へと移動させられる。これにより、車室３
に比して急峻に立ち上がる大きな減速度（図５のａの領
域）をもって、シート８及びシートベルト９がより早期
に減速する。
【００１８】この状態では、シート８に着座した乗員が
慣性力によって前方への移動を継続しようとするが、フ
ロア２に対してシート８が瞬時に後方へ移動するので、
乗員に対して加わるシートベルト９の拘束力が増大し、
乗員の前方への移動が阻止される。
【００１９】衝突中盤では、衝突荷重伝達部材１０が突
っ張っているために大きな減速度が作用しているエンジ
ン６が、更に変形を継続するフロントサイドフレーム５
に対して更に後方へと移動する。それに連れてフロア２
に対してシート８も後方へ更に移動し、シート８の下方
に固設されたストッパ１６にケーブル連結金具１５が衝
当する（図３参照）。
【００２０】すると車室３部分の慣性力がケーブル連結
金具１５を介してシート８に伝わり、ストッパ１６の緩
衝手段の変形が底付きしてフロア２とシート８との相対
速度がゼロになるまで、フロア２との相対移動をシート
８が継続する。これにより、衝突時の車両進行方向への
加速度がシート８及びシートベルト９に加わり、乗員に
作用している前方への慣性力が一定化される（図５のｂ
の領域）。
【００２１】衝突終盤では、シート８が後退限度に達し
てエンジン６の後退が停止し、フロントサイドフレーム
５の変形応力に衝突荷重伝達部材１０の変形応力が加わ
った瞬間に減速度が再び高まり（図５のｃの領域）、そ
の後、車室３とシート８とが一体となって減速する（図
４参照）。そして上記のプロセスを経て車室３とシート
８及びシートベルト９との相対速度がゼロになり、シー
トベルト９の拘束荷重が衝突終盤の減速度とつり合うの
で、乗員も車室３と一体となって減速し、この状態は車
体が完全停止するまで継続する（図５のｄの領域）。
【００２２】さて、車両衝突時に乗員の受ける衝撃の低
減を考える上で、まず乗員減速度を小さく抑えることが
重要な要素であるが、以上説明したように、衝突初期に
平均車体減速度より高い減速度をシート８に短時間発生
させ、次いで逆向きの減速度（加速度）をシート８に短
時間発生させ、その後平均車体減速度で減速するような
減速度波形（図５の実線）とすれば、同一車体変形量で
比較した場合、図５の破線で示すように、本装置を備え
ない車両に比して乗員減速度を低く抑えられる。
【００２３】以上の如き本発明の効果を高めるために、
車室３とシート８及びシートベルト９の相対速度がゼロ
になる時点で、乗員と車室３との相対速度が限りなくゼ
ロに近づき、またシートベルト９の拘束荷重が衝突終盤
の車室３とシート８との減速度につり合うように、フロ
ントサイドフレーム５および衝突荷重伝達部材１０の強
度、シートベルト９の弾性特性、ストッパ１６の緩衝特
性、およびエンジン６の移動量などを適宜定めると良
い。
【００２４】
【発明の効果】このように本発明によれば、シート及び
シートベルトのみに車体の平均減速度よりも高い減速度
を衝突初期に発生させることにより、衝突の瞬間に前方
へ移動しようとする乗員に対するシートベルトの拘束力
を高め、次いでシートの後方移動を規制することでシー
ト及びシートベルトに上記とは逆向きの加速度を発生さ
せることによって前方への乗員慣性力をうち消し、これ
によって衝突終盤には車体とシートおよび乗員との減速
度が互いに等しくなるようにすることができる。従って
本発明により、乗員減速度の低減に好ましい減速度波形
をシート及びシートベルトに発生させることが可能とな
り、従来より小さな車体変形量で大幅な乗員減速度ピー
ク値の低減を達成できる。しかも車室内での乗員の対車
体移動量を小さく抑えることができるので、車室内の構
造物に乗員が突き当たって傷害を受ける二次衝突の可能
性をも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明が適用された車体の概略構成図
【図２】衝突初期の状態を示す車体の概略構成図
【図３】衝突中盤の状態を示す車体の概略構成図
【図４】衝突終盤の状態を示す車体の概略構成図
【図５】衝突時の減速度波形図
【符号の説明】
３ 車室 ５ フロントサイドフレーム ６ エンジン ８ シート ９ シートベルト １３ ケーブル １６ ストッパ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 衝突荷重を受けて変形する部分が少なく
    とも車室の前方に設けられた車体と、 衝突荷重を受けて後退するように前記車体に支持された
    剛体からなる構造物と、 着座した乗員を拘束するシートベルトを備え且つ前後方
    向移動可能に前記車体に支持されたシートと、 前記構造物の後退運動を伝達して前記シートを後退させ
    るための力伝達手段とを有することを特徴とする乗員保
    護装置。
  2. 【請求項２】 前記シートの後退限度の規定手段をも有
    することを特徴とする請求項１に記載の乗員保護装置。
JP34601999A 1999-12-06 1999-12-06 乗員保護装置 Pending JP2001163137A (ja)

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