JP2003306126A - 乗員保護装置 - Google Patents

乗員保護装置

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JP2003306126A
JP2003306126A JP2002110439A JP2002110439A JP2003306126A JP 2003306126 A JP2003306126 A JP 2003306126A JP 2002110439 A JP2002110439 A JP 2002110439A JP 2002110439 A JP2002110439 A JP 2002110439A JP 2003306126 A JP2003306126 A JP 2003306126A
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occupant
deceleration
seat belt
collision
vehicle
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JP2002110439A
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Yasuki Motosawa
養樹 本澤
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝突時に乗員に作用する減速度をより
一層理想に近づけることのできる乗員保護装置を提供す
る。 【解決手段】 車両前後方向に延在するフロントサイ
ドフレーム5により前後方向移動可能にパワートレーン
装置6を支持し、パワートレーン装置を前方からの衝突
荷重を受けて後退するようにし、その衝突時の移動によ
り乗員を拘束するシートベルト9を牽引する。乗員減速
度を低減するのに好ましい減速度パターンをシートベル
トに発生させることができ、車体変形量が従来より小さ
い場合であっても、乗員の最大減速度を効果的に低減す
ることができる。さらに乗員の車室内での移動量をも従
来構成に比して低減し得るため、二次衝突の可能性を低
減することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の衝突安全
性を向上させるための乗員保護装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、衝突時の乗員保護効果を高めるた
めに、衝突時にシートベルトを積極的に締めるようにし
たプリテンショナ装置を設けた車両がある。シートベル
トでシートに拘束された形になっている乗員の減速度
は、車両衝突時に乗員に作用する前方への慣性力がシー
トベルトに受け止められた時に初めて立ち上がる。ここ
でシートベルトのばね作用を完全には排除することはで
きないので、慣性力で乗員が前方へ移動し、シートベル
トの伸びが最大に達したところで乗員減速度がピークに
達することになるが、この乗員減速度のピーク値は、慣
性力による乗員の移動量が大きいほど高くなり、一般に
車体の居住空間部分の平均減速度よりも高くなると言わ
れている。
【0003】車体減速度と乗員減速度との関係を、ばね
(乗員拘束装置)、質点(乗員の質量)で構成する系に
対しての入出力とみなせば、ばねの伸びの最大値とその
時刻とが車体減速度波形(時間変化)に支配されること
が分かる。従って、乗員減速度を小さくするためには、
車体の平均減速度を小さくするだけでなく、ばね(乗員
拘束装置)のオーバーシュートがなるべく小さくなるよ
うに車体減速度波形を調整すると良い。
【0004】従来の車体構造において、サイドビームな
どの衝突反力発生部材と各コンポーネント間の隙間とで
構成されるクラッシャブルゾーンを車体前部に配置し、
この部分の車体構成部材を変形させることで衝突エネル
ギーの吸収を行い、各部の寸法設定などにより反力特性
を変えることで車体減速度波形を調整して、車体の居住
空間以外の部分の衝突時の変形モードを適切に設定して
車体の居住空間部分の減速度を低減すると共に、居住空
間にまで変形が及ばないようにした車体構造が種々提案
されている(特開平7−101354号公報など参
照)。
【0005】自動車の衝突時の乗員傷害値の低減には、
まず乗員の加速度(減速度)の最大値を下げるのが良
く、その乗員減速度は、シートベルトを介して車体と一
体化されている場合には車体の減速度波形(時間変化)
に支配されている。そのため、例えば図12に示される
ように、乗員の減速度(G1)低減のための理想的な車
体、更に詳しくはシートベルトの車体側固定点の減速度
(G2)波形は、衝突開始時に大きな減速度を発生させ
る初期の区間(a)と、次に逆向き減速度を発生させる
中期の区間(b)と、その後に平均的減速度を発生させ
る後期の区間(c)とで構成されるものであると良い。
このような車体減速度波形では、同一の車体変形量(ダ
イナミックストローク)に対して一定の減速度(矩形
波)の場合よりもさらに乗員減速度が小さくなることが
シミュレーションなどで確認されている。
【0006】一方、従来の車体構造において、上記クラ
ッシャブルゾーンの車体構成部材にあっては、衝突開始
時には必ず強度の弱い部分から変形し、しかる後に強度
の高い部分の変形が起こる。そのため、衝突反力、即ち
車体減速度が初期に小さく後半に大きくなるような波形
となるので、乗員減速度の低減に対しては充分な効果が
あるとは言えなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記問題を解決するた
めに、サイドビームの圧壊を利用して一定の反力を得る
方法や、サイドビームに隔壁を複数設けることで安定し
た反力を維持する方法(特開平7−101354号公
報)などが提案されている。しかしながら、これらの方
法では車体の減速度を一定の減速度(矩形波)に近付け
ることはできても、より効果的な減速度波形を得ること
は困難であった。
【0008】一方、乗員減速度G1と車体減速度G2と
は、図13に示されるように乗員Pの質量Mmと、ばね
(シートベルトなど)Sと、車体の質量Mvとで構成さ
れる2質点ばねマス系を伝達関数とした時の入出力に相
当する、として考えることができる。即ち、車体減速度
G2は、車体質量Mvを表す座標の時間に関する2階導
関数になる。
【0009】しかしながら、実際の自動車の衝突におい
ては、例えば3点式シートベルの場合には、乗員質量M
mの作用点と見なし得る乗員Pの胸部に、ばねと見なし
得るシートベルトのショルダーベルト部が当たることか
ら、そのショルダーベルト部を、胸部接触点から肩アン
カー結合点に至る部分と、胸部接触点からバックル結合
点に至る部分との2本のばねとして分割して考えねばな
らない。
【0010】ただし、シート一体型シートベルトのよう
な肩アンカー結合点とバックル結合点とが一体となって
運動するとみなせる場合には、どちらの減速度も同一で
あることから、シートベルトに相当することになる分割
された2本のばねを合成して考えることにより、肩アン
カー結合点とバックル結合点とのそれぞれの減速度を、
2質点ばねマス系における入力、即ち車体減速度と同一
であるとすることができる。
【0011】仮に、上記2つの結合点が車体に対して別
々の相対運動を行うとして、例えば、バックル結合点が
車体に固定されて、肩アンカー結合点のみが車体に対し
て相対運動し得る場合を例に挙げると、バックル結合点
と肩アンカー結合点とのそれぞれの減速度が異なるの
で、2本のばねを単純に合成したり、肩アンカー結合点
またはバックル結合点における減速度を単純に車体減速
度と見なしたりすることはできない。しかしながら、実
際には上記胸部接触点に加わる外力はシートベルトから
受ける荷重だけであるため、シートベルトの減速方向成
分に限定した各シートベルト荷重の総和の時間変化が2
質点ばねマス系におけるばね荷重の時間変化と等しけれ
ば、2質点ばねマス系の車体質点に最適車体減速度波形
を入力した場合の乗員質点の応答と同じ減速度波形が乗
員胸部に現れる。
【0012】このようなシートベルト荷重の時間変化を
実現するためには、肩アンカー結合点及びバックル結合
点(即ち車体)の平均減速度の時間変化(平均車体減速
度波形)が最適車体減速度波形と等しくなるように、肩
アンカー結合点及び/またはバックル結合点の平均減速
度波形を制御するか、これと同等にシートベルトの拘束
力を制御すれば良い。この平均車体減速度波形の概念を
導入することによって、車体全体が最適減速度波形とな
るように車体減速度を制御する場合と全く同一の乗員減
速度低減効果を得る、即ち乗員をできるだけ早くベルト
で拘束して、車体と乗員胸部との相対速度を0とした
(乗員減速度G1と車体減速度G2との差を無くした完
全なライドダウン)状態を実現することが可能になる。
【0013】ここで、シートベルト結合点の減速度波形
を制御することで、シートベルト荷重の時間変化を制御
する場合、シートベルト結合点に随伴する質量が乗員の
質量とほぼ同等以下の場合には、シートベルトのばね要
素とシートベルト結合点に随伴する質量とによって形成
されるばねマス系が高周波数の振動を発生するため、シ
ートベルト結合点の減速度を制御することが困難とな
る。即ち、シートベルト結合点に随伴する質量が乗員の
質量とほぼ同等かそれ以上でないと所定のシートベルト
荷重の時間変化を実現することができない。そのために
は、シートベルト結合点には乗員の質量と拮抗する慣性
質量を必要とするが、従来のシートベルトプリテンショ
ナで単にシートベルトを引き込むのみの構造ではこれを
実現することができない。
【0014】本発明は、このような従来技術の問題点を
改善すべく案出されたものであり、その主な目的は、衝
突時に乗員に作用する減速度をより一層理想に近づける
ことのできる乗員保護装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】このような目的を果たす
ために、本発明においては、車両前後方向に延在するフ
レーム(5)に支持されたエンジンを含む剛体からなる
構造物(6)と、前方からの衝突荷重を受けて前記構造
物(6)が後退するように前記フレーム(5)と前記構
造物(6)との間に設けられた衝突時可動手段(32・
33)と、車室部分(3)に設けられたシート(8)に
着座した乗員を拘束するシートベルト(9)と、前記車
室部分(3)に所定の荷重以上で変位可能に設けられた
シートベルト繋止点(10・31)と、衝突時の前記構
造物の(6)後退運動を前記シートベルト繋止点(10
・31)に対する牽引動作に変換する牽引動作伝達手段
(17・18・21)と、所定距離後退移動した前記構
造物(6)を減速させる減速手段(22)とを有するも
のとした。
【0016】これによれば、エンジンなどの構造物が、
衝突の瞬間に車室部分に対して後退すると、それに連れ
てシートベルト繋止点が後退すると同時にシートベルト
が牽引される。これにより、シートベルトを衝突初期に
引っ張ることができるので、慣性で前方へ移動しようと
する乗員を早期に、即ち前方への移動量が少ないうちに
シートに拘束することができる。さらに、乗員の車室内
での移動量(対車体変位)を、シートベルトの荷重リミ
ッタ(E/A)を用いて乗員減速度を低減するようにし
た場合よりも小さく抑えることができるので、二次衝突
の可能性を低減し得る。
【0017】また、上記シートベルト繋止点をリトラク
タ装置(10)とすることができる。リトラクタ装置が
センターピラーなどに設けられている場合には、その移
動構造を、レール部材にリトラクタ装置を摩擦係合させ
るなどの簡単な構造で実現し得る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面に示された具体
例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明す
る。
【0019】図1は、本発明に基づく車体構造の要部を
示す概念的な斜視図である。この車体構造は、サイドシ
ル1及びフロア2と一体をなす車室部分3と、エンジン
ルーム4内にて前後方向に延在すると共にフロア2に一
体的に結合されたフレームとしてのフロントサイドフレ
ーム5と、所定値以上の力が加わった時にのみ後方へス
ライドし得るように、適宜な摩擦発生手段を介してフロ
ントサイドフレーム5上に搭載されたエンジンを含む剛
体からなる構造物としてのパワートレーン装置6と、前
後方向移動可能なようにガイドレール7を介して車室部
分2のフロア上に設置された左右のフロントシート8
(各図には一方のみが示されている)とを備えている。
なお、フロントシート8には、乗員の運転姿勢に応じて
最適位置を調節する前後スライド機能が設けられていて
良い。
【0020】フロントシート8には、乗員(図示せず)
の主に前方への移動を拘束するためのシートベルト9が
付設されている。このシートベルト9の一端は、車室部
分3のセンターピラー3aなどと一体をなす部位に設置
された緊急時ロック機構付きリトラクタ装置10に巻回
されている。シートベルト9は、リトラクタ装置10か
ら上方へ引出され、例えば車室部分3のルーフ近傍に取
付けられたショルダスルーアンカ11を通過した後、下
向きに延出されている。そのシートベルト9のショルダ
スルーアンカ11から延出された中間部には、シートベ
ルト9に沿って移動自在なようにタングプレート13が
設けられている。なお、サイドシル1には、シートベル
トの他端と結合されたアンカプレート12が固設されて
いる。
【0021】このシートベルト9は、フロントシート8
に着座した乗員がリトラクタ装置10から引出し、フロ
ア3上に設けられたバックル31にタングプレート13
を繋着することにより、乗員の肩から胸、及び腰回りに
かけて掛渡されるようになっている。
【0022】左右一対のフロントサイドフレーム5の衝
突荷重を受ける部分としての前端部5aが車両の先端近
傍に達するようにされており、衝突時に両フロントサイ
ドフレーム5に荷重を伝達するべく、両フロントサイド
フレーム5の前端間に当接板が固着されている。フロン
トサイドフレーム5は、衝突時の衝撃荷重を受けて圧縮
変形し、車室部分3に作用する減速度を低減させる機能
を担う。また、パワートレーン装置6、即ちエンジンの
前面には左右一対の衝突荷重伝達部材15が前方に向け
て突設されている。これら衝突荷重伝達部材15間にも
当接板が固着されており、その当接板と上記フロントサ
イドフレーム5の当接板とが、車両前方に向けて略同一
平面を形成するようにされている。この衝突荷重伝達部
材15は、フロントサイドフレーム5に比して変形し難
い材料で形成されており、上記したようにパワートレー
ン装置6に直接結合されない場合には、パワートレーン
装置6の前面と微小間隙をおく位置に何らかの手段で支
持されている。
【0023】エンジンルーム4と車室部分3とを隔絶す
るフロントダッシュボード16の前面には、図2に併せ
て示されるように、平面図で略M字形をなすケーブルガ
イド17が固設されている。このケーブルガイド17の
左右の山の頂点間には、ケーブル18が掛け渡されてい
る。ケーブル18は、図示されないケーブルアウタによ
りガイドされて、その両端がそれぞれ車室内に引き込ま
れている。ケーブル18の車室内に引き込まれた端末
は、左右のフロントシート8の後方に固設されたガイド
シーブ19で折り返されて反転した後、上記バックル3
1が連結されたバックル連結部材32に結合されてい
る。そのバックル連結部材32は、フロア3上に固設さ
れたレール33に対して所定の荷重以上で移動可能にな
るように、レール33に摩擦係合状態で通常は最前位置
に保持されている。
【0024】上記M字形をなすケーブルガイド17の谷
の部分に掛け渡されたケーブル18の中間部に対向する
ように、パワートレーン装置6の後面には突出部21が
一体に設けられている。この突出部21の突出端部に
は、ケーブルガイド17と同様の谷部が形成されてお
り、その谷部にケーブル18の中間部が係合するように
なっている。なお、突出部21にケーブル18が結合さ
れているものであっても良い。これらケーブルガイド1
7・ケーブル18・突出部21により、牽引動作伝達手
段が構成されている。
【0025】パワートレーン装置6は、図4に示される
ように、フロントサイドフレーム5にその長手方向(車
両前後方向)に移動可能に嵌装されたスライド部材34
を介して支持されている。スライド部材34には例えば
ボルトによりパワートレーン装置6が結合されており、
スライド部材34がフロントサイドフレーム5に、スラ
イド部材34に設けられたスロット34aに挿通された
ボルト35の頭部の摩擦係合力で止められている。これ
らにより衝突時可動手段が構成されている。このボルト
35の締め付け荷重によりフロントサイドフレーム5に
対するパワートレーン装置6の後方移動開始荷重が規定
されている。
【0026】フロントダッシュボード16のパワートレ
ーン装置6の後面に対向する位置には、図2に併せて示
されるように、パワートレーン装置6の後方への移動限
度を規定するためのストッパ22が設けられている。な
お、このストッパ22には、例えばハニカム構造などの
緩衝手段を介設することが望ましい。
【0027】次に図5乃至図7を参照して、路上建造物
等に車両が衝突した場合の本発明装置の作用を説明す
る。
【0028】車両が衝突した瞬間に、フロントサイドフ
レーム5の前部が衝突初期の荷重を受けて座屈変形を開
始するが、フロントサイドフレーム5に発生する変形応
力に対してパワートレーン装置6の質量が小さく、かつ
衝突荷重伝達部材15の座屈強度がフロントサイドフレ
ーム5よりも高くされているので、パワートレーン装置
6に車両後方へ移動させる荷重が加わる。その荷重が上
記スライド部材34を止めているボルト35による摩擦
係合力よりも高くなると、パワートレーン装置6はフロ
ントサイドフレーム5に対して車両後方へ、即ち車室部
分3に接近する向きに移動する(図5参照)。
【0029】パワートレーン装置6が後方へ移動する
と、ケーブルガイド17に掛け渡されたケーブル18の
中間部をパワートレーン装置6後面の突出部21が押す
ので、突出部21により中間部を押されたケーブル18
の車室内に延出された部分が車両前方へ引っ張り出さ
れ、ケーブル18に張力が作用する。これにより、バッ
クル連結部材32に車両後方への牽引力が加わる。
【0030】他方、この時、フロントシート8に着座し
た乗員Pは、減速する車室部分3に対して自身の慣性質
量によって前方への移動を継続しようとするが、バック
ル連結部材32を介してバックル31が瞬時に後方へ移
動してシートベルト9の伸びを吸収するので、乗員Pの
前方への移動とシートベルト9の伸びとが早期に釣り合
い、乗員Pの移動量が最小限に抑えられる。
【0031】ここでシートベルト9の繋止点に随伴する
質量が乗員Pの質量に比して小さいと、シートベルト9
のばね要素とシートベルト繋止点に随伴する質量とによ
って形成されるばねマス系が高周波数の振動を発生して
しまう。それが上記の如き構成を採ることにより、エン
ジンを含むパワートレーン装置6の質量、即ち乗員Pの
質量以上の質量がシートベルト繋止点に加わるので、高
周波振動を発生することがない。
【0032】以上の過程により、ショルダスルーアンカ
11に車体部分2に比して急峻に立ち上がる大きな減速
度(図12のaの領域)が発生した場合と同様の効果が
発揮され、シートベルト9の張力の増大によって乗員P
の減速度も早期に立ち上がる。
【0033】やがてパワートレーン装置6の後面はスト
ッパ22に突き当たり、ストッパ22の変形によってパ
ワートレーン装置6の後方移動速度が減速される(図6
参照)。ここでバックル連結部材32は上記した適宜な
摩擦係合力で支持されているので、パワートレーン装置
6の移動による大きな張力がケーブル18に作用してい
る間はパワートレーン装置6と一体的に運動する。パワ
ートレーン装置6が減速すると、バックル連結部材32
の後方移動並びにシートベルト9の引き込み移動も減速
する。これはシートベルト繋止点(バックル31)に、
車室部分3の衝突減速度とは反対方向の加速度が発生し
た場合と同様の効果が発揮されたのに等しい(図12の
bの領域)。
【0034】この衝突中期の状態では、シートベルト9
の伸びは殆ど吸収され尽くしており、シートベルト9に
よって乗員Pにかかる後方への荷重はストッパ22の変
形ストロークによって徐々に低減され、乗員Pの減速度
は一定値に近づく。この過程において、バックル31の
逆加速度が消滅する時点に乗員Pと車室部分3との速度
差が無くなるように、シートベルト9の特性やストッパ
22の特性を定めると良い。
【0035】衝突終盤の後期では、ストッパ22の変形
が底付き状態、即ちパワートレーン装置6が後退限度に
達してバックル連結部材32の後方移動が停止し、フロ
ントサイドフレーム5の変形応力に衝突荷重伝達部材1
5の変形応力が加わった瞬間に減速度が再び高まり(図
12のc領域)、その後、車室部分3とバックル連結部
材32(バックル31)とが一体となって減速する(図
7参照)。
【0036】バックル連結部材32即ちバックル31の
移動が停止する時点に乗員Pと車室部分3との速度が一
致するように、シートベルト9の特性、パワートレーン
装置6とストッパ22との距離(図5のD)、ストッパ
22のエネルギ吸収特性を適宜設計することにより、上
記のプロセスを経て車室部分3とフロントシート8及び
シートベルト9との相対速度がゼロになり、シートベル
ト9の拘束荷重が衝突終盤の減速度とつり合うので、乗
員Pも車室部分3と一体となって減速し、この状態は車
両が完全停止するまで継続する(図12のdの領域)。
【0037】このように衝突後期で、乗員Pが平均車体
減速度と同じ減速度で減速するようなパターンにするこ
とにより、乗員Pは、車室部分3との間で相対運動を生
じることなく一定の減速度を保ったまま衝突終了まで減
速し続けることができる。すなわち、乗員減速度G1と
車体減速度G2との差を無くしたライドダウン効果を最
大限利用して乗員減速度を低減できる。
【0038】次に、第2の実施の形態を図8及び図9乃
至図11を参照して以下に示す。なお、図8は上記図1
に、図9乃至図11は図5乃至図7にそれぞれ対応する
図であり、上記図示例と同様の部分については同一の符
号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0039】この第2の実施の形態にあっては、図8に
示されるように、ケーブル18の車室内に引き込まれた
端末が、ケーブルアウタによりガイドされて、上記リト
ラクタ装置10に連結されている。このリトラクタ装置
10は、例えばセンターピラー3aに固設されたレール
部材35に、所定以上の外力で移動可能な摩擦係合状態
で通常は最上部位置に保持されている。
【0040】この場合には、第1の実施の形態において
ケーブル18によりバックル31を引っ張ってシートベ
ルト9の伸びを吸収したのに代えて、リトラクタ装置1
0をレール部材35により車両の下方にガイドしつつ牽
引することによりシートベルト9の伸びを吸収すること
ができる。また、センターピラー3aにレール部材35
を設けることは、取り付けスペースの新たな確保をそれ
程必要としないで可能であり、車体のコンパクト化に有
効である。
【0041】なお、上記は巻き軸がロックしたリトラク
タ装置10を下向きに牽引してシートベルト9を緊張さ
せるものとしたが、巻き軸を巻き取り方向へ回動させて
シートベルト9を緊張させるものとしても良い。
【0042】また、衝突初期・中期・後期の各状態は、
図9乃至図11に示されるようになり、各作用効果は上
記衝突初期・中期・後期で説明した内容と同じであり、
その詳しい説明を省略する。
【0043】
【発明の効果】このように本発明によれば、乗員減速度
を低減するのに好ましい減速度パターンをシートベルト
に発生させることができ、車体変形量が従来より小さい
場合であっても、乗員の最大減速度を効果的に低減する
ことができる。さらに乗員の車室内での移動量をも従来
構成に比して低減し得るため、二次衝突の可能性を低減
することもできる。エンジンを含む剛体として例えばパ
ワートレーン装置を衝突時に移動させ、その移動により
例えばバックルまたはリトラクタ装置を牽引することに
より、構造が簡単なためコンパクトな車体寸法を実現し
得る。
【0044】特に、リトラクタ装置がセンターピラーな
どに設けられている場合には、その移動構造を、レール
部材にリトラクタ装置を摩擦係合させるなどの簡単な構
造で実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による乗員保護装置が適用された車両の
概略構成を示す斜視図。
【図2】パワートレーン装置6とケーブルとの関係を示
す平面図。
【図3】バックル連結部材を示す要部拡大斜視図。
【図4】パワートレーン装置6の支持構造を示す要部拡
大斜視図。
【図5】衝突初期の状態を示す車両の概略図。
【図6】衝突中期の状態を示す車両の概略図。
【図7】衝突後期の状態を示す車両の概略図。
【図8】第2の実施の形態を示す図1に対応する図。
【図9】第2の実施の形態における図5に対応する図。
【図10】第2の実施の形態における図6に対応する
図。
【図11】第2の実施の形態における図7に対応する
図。
【図12】乗員及びシートの減速度波形を示す図。
【図13】車体衝突時の乗員・車体・シートベルトの関
係を示す概念図。
【符号の説明】
3 車室部分 5 フレーム 6 パワートレーン装置(構造物) 8 シート 10 リトラクタ装置(シートベルト繋止点) 31 バックル(シートベルト繋止点) 32 バックル連結部材(衝突時可動手段) 33 レール部材(衝突時可動手段) 17 ケーブルガイド(牽引動作伝達手段) 18 ケーブル(牽引動作伝達手段) 21 突出部(牽引動作伝達手段) 22 ストッパ(減速手段)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両前後方向に延在するフレームに支持
    されたエンジンを含む剛体からなる構造物と、 前方からの衝突荷重を受けて前記構造物が後退するよう
    に前記フレームと前記構造物との間に設けられた衝突時
    可動手段と、 車室部分に設けられたシートに着座した乗員を拘束する
    シートベルトと、 前記車室部分に所定の荷重以上で変位可能に設けられた
    シートベルト繋止点と、 衝突時の前記構造物の後退運動を、前記シートベルト繋
    止点に対する牽引動作に変換する牽引動作伝達手段と、 所定距離後退移動した前記構造物を減速させる減速手段
    とを有することを特徴とする乗員保護装置。
  2. 【請求項2】 前記シートベルト繋止点がリトラクタ装
    置であることを特徴とする請求項1に記載の乗員保護装
    置。
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