JP2001162805A - 静電式インクジェットヘッド - Google Patents

静電式インクジェットヘッド

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JP2001162805A
JP2001162805A JP35295599A JP35295599A JP2001162805A JP 2001162805 A JP2001162805 A JP 2001162805A JP 35295599 A JP35295599 A JP 35295599A JP 35295599 A JP35295599 A JP 35295599A JP 2001162805 A JP2001162805 A JP 2001162805A
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recording
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electrode
recording electrode
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Hiroshi Shibata
寛 柴田
Kazunari Chikanawa
一成 近縄
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録電極への色材粒子の付着を防止すること
のできる静電式インクジェットヘッドを得ることを目的
とする。 【解決手段】 帯電した色材粒子を絶縁性溶媒に分散し
てなるインクを保持するインクタンクと、インクタンク
と連通して形成されてインクが吐出されるインク吐出孔
3と、インク吐出孔3から内側に延びるようにして一定
間隔で複数配列されて表面粗さが0.005〜0.1μ
mに設定され、インクをインク吐出孔3から吐出させる
記録電極2と、インク吐出孔3における記録電極2の対
向位置に設けられ、インク中の色材粒子をインク吐出孔
3に向けて電気泳動させて記録電極2近傍における色材
粒子濃度を高くするとともに色材粒子を引きつけて記録
電極2から当該色材粒子を除去する凝集電極7とを有す
る静電式インクジェットヘッドとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶媒中に色材粒子
が分散されたインク中の色材粒子成分を凝集して吐出す
る静電式インクジェットヘッドに関し、特に先端がイン
ク吐出孔から突出して設けられた記録電極から静電力に
よりインクを吐出する静電式インクジェットヘッドに関
する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットによる画像記録技術は安
価で高い画質と高速な印字が実現可能な技術であり、オ
フィスオートメーションやパーソナル用の記録装置とし
て、複写機、ファクシミリ、プリンタ、ワードプロセッ
サなどに広く用いられている。
【0003】インクジェットの記録原理には、インクを
吐出させるためのエネルギー発生手段として、電気熱変
換素子などの発熱抵抗体を用いたもの、電気機械変換素
子などのピエゾ素子を用いたもの、さらに電気エネルギ
ーをそのまま用いる静電式のものなどがある。
【0004】その中でも静電式のインクジェットにおい
ては、記録ヘッドの作製が他の方式と比較して簡易であ
り記録電極に印加する電気信号を制御することにより階
調記録を行うことができること、記録時に消費される電
流量が著しく少ないために省エネルギーの機器としても
将来的に利用価値のある記録技術であるということ、油
性顔料インクを用いることで耐水性に優れた印字を行う
ことができることなどから、特にオフィスオートメーシ
ョン用途としての利用価値が高い。
【0005】ここで、静電式インクジェットの原理的な
側面について簡単に説明する。
【0006】インクの充填された記録電極と用紙などの
記録媒体を保持する対向電極との間に数kVの信号パル
スを印加すると、記録電極に接しているインクに電荷が
注入されて記録電極近傍のインクが電荷を帯びる。これ
により、信号パルスがある閾値を越えたときに電荷を帯
びたインクに働く静電的な力がインクの表面張力に打ち
勝ち、インク滴が記録電極から対向電極へ向かって吐出
する。
【0007】このような静電式インクジェットにおける
インク滴は、色材粒子よりも溶媒比率が非常に高いため
に、インク滴が記録媒体に着弾すると記録媒体の繊維中
にすばやく浸透してしまう。そして、これにより、印字
濃度の低下、にじみ、裏映り等の不具合が生じる。
【0008】この解決策として、吐出インク滴中の溶媒
比率を下げて色材粒子をより多く吐出する静電式インク
ジェット技術(以下、この技術を「従来の静電式インク
ジェットヘッド」という。)が提案されている。
【0009】この従来の静電式インクジェットヘッドは
インクの比抵抗が1×109Ωcm以上であることを特
徴とするもので、溶媒中に所定の極性に帯電した色材粒
子を分散させ、凝集電極と対向電極との間の電界により
帯電した色材粒子を記録電極の先端に集中させ、記録電
極と対向電極との間に印加される電界で色材粒子を吐出
させる原理となっている。
【0010】この技術では、先端が尖った記録電極の吐
出ポイントに、帯電された色材粒子を絶縁性溶媒中に分
散させたものからなるインクを供給し、記録電極に色材
粒子と同極性の電圧を印加し、クーロン力によりインク
を吐出して記録するものである。
【0011】そして、画像を形成するためには、色材粒
子を吐出ポイントに凝集させるバイアス電圧を記録電極
に印加しておき、画像入力信号に応じて記録電極に吐出
電圧を印加して記録を行う。
【0012】この技術では、色材粒子を凝集して吐出す
るため高濃度印字ができるとともに、構造がシンプルな
ため、記録電極をライン状に並べてマルチ吐出孔を形成
し、高速印字が容易にできる特徴を持っている。
【0013】そして、印字品質を安定させるために、例
えば特開平8−258270号公報に記載されているよ
うに、印字を行おうとする選択された吐出孔の記録電極
に色材粒子を凝集させるバイアス電圧を印加し、その
後、吐出電圧を印加して記録を行う。また、特開平9−
85954号公報に記載されているように、記録電極後
方に凝集電極を設け、この凝集電極に色材粒子と同極性
の高電圧を印加することにより電気泳動によって吐出孔
の吐出ポイントに色材粒子を凝集し易くしたものも提案
されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】前述した技術では、吐
出電極に印加する電圧の高さや長さによって色材粒子の
凝集量を変化させて印字を行う。しかし、色材粒子を凝
集させて吐出させる際に、以下のような問題が発生す
る。
【0015】すなわち、従来の静電式インクジェットヘ
ッドでは、記録電極と凝集電極との間に常に電位差が生
じているために、吐出に不要な色材粒子も凝集電極から
記録電極へ向かって電気泳動し凝集している。そのため
に、帯電した色材粒子が記録電極に電気的に付着するこ
とがあるという問題である。
【0016】記録電極に色材粒子が付着すると、記録電
極の先端に形成されるメニスカスの形状が経時的に変化
してしまう。その結果、吐出するインク滴の大きさが変
化して印字ドット径が経時的に変化したり、記録周波数
の高い印字時においてはドット抜けが発生してしまう。
【0017】そこで、本発明は、記録電極への色材粒子
の付着を防止することのできる静電式インクジェットヘ
ッドを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明の静電式インクジェットヘッドは、帯電した
色材粒子を絶縁性溶媒に分散してなるインクを保持する
インクタンクと、インクタンクと連通して形成されてイ
ンクが吐出されるインク吐出孔と、インク吐出孔から内
側に延びるようにして一定間隔で複数配列されて表面粗
さが0.005〜0.1μmに設定され、インクをイン
ク吐出孔から吐出させる記録電極と、インク吐出孔にお
ける記録電極の対向位置に設けられ、インク中の色材粒
子をインク吐出孔に向けて電気泳動させて記録電極近傍
における色材粒子濃度を高くするとともに色材粒子を引
きつけて記録電極から当該色材粒子を除去する凝集電極
とを有する構成としたものである。
【0019】これにより、記録電極への色材粒子の付着
を防止することが可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、帯電した色材粒子を絶縁性溶媒に分散してなるイン
クを保持するインクタンクと、インクタンクと連通して
形成されてインクが吐出されるインク吐出孔と、インク
吐出孔から内側に延びるようにして一定間隔で複数配列
されて表面粗さが0.005〜0.1μmに設定され、
インクをインク吐出孔から吐出させる記録電極と、イン
ク吐出孔における記録電極の対向位置に設けられ、イン
ク中の色材粒子をインク吐出孔に向けて電気泳動させて
記録電極近傍における色材粒子濃度を高くするとともに
色材粒子を引きつけて記録電極から当該色材粒子を除去
する凝集電極とを有する静電式インクジェットヘッドで
あり、記録電極への色材粒子の付着を防止することが可
能になるという作用を有する。
【0021】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項
1記載の発明において、記録電極の臨界表面張力は18
〜30dyn/cmである静電式インクジェットヘッド
であり、記録周波数の高い印字が可能になり、均一なド
ット径を有する印字を安定して連続的に実行することが
できるという作用を有する。
【0022】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項
1または2記載の発明において、凝集電極には、記録電
極に対して逆電圧を印加して色材粒子をこの記録電極か
ら除去する静電式インクジェットヘッドであり、記録電
極における不要な色材粒子の付着を確実に防止すること
が可能になるという作用を有する。
【0023】以下、本発明の実施の形態にについて図1
〜図10を用いて説明する。なお、これらの図面におい
て同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複
した説明は省略されている。
【0024】図1は本発明の一実施の形態である静電式
インクジェットヘッドの構成を示す概略図、図2は図1
のA部を拡大して示す概略図、図3は図1の静電式イン
クジェットヘッドの側断面図、図4は図1の静電式イン
クジェットヘッドを含む記録ユニットを示す説明図、図
5は図1の静電式インクジェットヘッドにおける非記録
時での印加電圧波形を示す説明図、図6は図1の静電式
インクジェットヘッドにおける記録時での印加電圧波形
を示す説明図、図7〜図10は図1の静電式インクジェ
ットヘッドによるインクの吐出動作を連続して示す説明
図である。
【0025】なお、以下において、インク中の色材粒子
は正に帯電している場合で説明されている。但し、負に
帯電しているものであってもよい。
【0026】図示するように、記録ヘッド1は、相互に
接合されて一体化された下部筐体9および上部筐体10
を有している。このような記録ヘッド1の先端にはスリ
ット状のインク吐出孔3が形成されており、インク吐出
孔3から内側に延びるようにして、記録電極ドライバに
より駆動されてインク滴を吐出させる複数の記録電極2
が一定間隔で配列されている。
【0027】この記録電極2は、記録電極2の先端近傍
に存在するインクに電界を集中させとともにメニスカス
を安定的に形成して安定吐出が行われるように、記録電
極2の先端が凸形状に形成され、インク吐出孔3より5
0〜200μm程度突出して設置されている。
【0028】また、記録電極2は、信号電圧を印加する
ためのリード線5、および記録電極ドライバに対して電
気的接合を行うためのパッド(図示せず)と一体的に形
成されたタブ配線基板6よりなる。そして、タブ配線基
板6は下部筐体9に取り付けられている。
【0029】図3に示すように、記録ヘッド1内には、
下部筐体9と上部筐体10とで形成された空間により、
インクが充填される共通インク室8がインク吐出孔3に
連通して形成されている。
【0030】そして、インク吐出孔3における記録電極
2の対向位置には、共通インク室8内のインク中の色材
粒子を電気泳動現象によりインク吐出孔3に向けて電気
泳動させて記録電極2近傍における色材粒子濃度を高く
する凝集電極7が、上部筐体10に取り付けられて設け
られている。
【0031】このような静電式インクジェットヘッドで
は、共通インク室8内とスリット状のインク吐出孔3内
にインクが充填された状態において、インクは表面張力
によりインク吐出孔3の周囲内にメニスカス4を形成す
る(図7〜図10参照)。そして、共通インク室8内の
インクには±100Pa程度の背圧が付与されているた
めに、メニスカス4はインク吐出孔から緩やかに飛び出
した状態で形成される。
【0032】ここで、インク吐出方向には、インクによ
る記録媒体となる記録紙12が、この記録紙12の背面
には、インクを静電力で記録紙12へ向けて吐出させる
対向電極13が配置されている(図7〜図10参照)。
そして、記録時において対向電極13には0〜−1kV
程度の負電圧が印加される。また、記録電極2には20
0〜2000V程度の正電圧が印加される。
【0033】ここで、本実施の形態の静電式インクジェ
ットヘッドにおいて、記録電極2相互間のピッチは約1
70μmとされている。これは、150dpiの解像度
に相当する。また、インク吐出孔3の厚みは300μ
m、インク吐出孔3の深さは1mm、記録電極2の幅は
80μmとされている。さらに、記録電極2のインク吐
出孔3からの突出距離は100μmとされている。但
し、本発明はこれらの数値に限定されるものではない。
【0034】ここで、凝集電極7は、この凝集電極7に
所定の電圧を印加することで凝集電極7と記録電極2と
の間に発生する電位差でインク中の色材粒子が記録電極
2に電気泳動し、記録電極2の近傍に濃縮される。この
ように、凝集電極7の機能は凝集電極7と記録電極2と
の電位差を利用して色材粒子を記録電極2の近傍に濃縮
するものであるから、当該機能を有するものであれば、
その形状、配置および印加電圧条件等は自由に設定する
ことができる。
【0035】次に、図4を用いて記録ユニットの説明を
行う。
【0036】記録ユニット14は、低濃度インクが収容
される低濃度インクタンク(インクタンク)15、およ
び比較的高濃度に調整されたインクが収容される高濃度
インクタンク(インクタンク)16を有している。そし
て、記録ヘッド1の共通インク室8と低濃度インクタン
ク15と高濃度インクタンク16とはポンプ19の取り
付けられた供給パイプ17および回収パイプ18により
インクが循環可能な状態で相互に接続されている。
【0037】このような記録ユニット14において、低
濃度インクタンク15で所定濃度に調整されたインクは
ポンプ19により供給パイプ17に送り出され、記録ヘ
ッド1の共通インク室8に供給される。また、低濃度イ
ンクタンク15に収容されていたインクの一部は、回収
パイプ18を介して高濃度インクタンク16に回収され
る。このように、低濃度インクタンク15および高濃度
インクタンク16は、それぞれ収容しているインクが循
環可能な状態で接続されている。そして、記録ヘッド1
の共通インク室8の色材粒子の濃度を常に一定に維持す
るように機能している。
【0038】次に、本実施の形態の静電式インクジェッ
トヘッドで使用されるインクについて説明する。
【0039】本実施の形態の静電式インクジェットヘッ
ドで使用されるインクは、体積抵抗率が高く、帯電した
色材粒子が分散されている。溶媒としてはイソパラフィ
ン系炭化水素やシリコンオイル等が用いられ、樹脂やワ
ックスからなるバインダもしくは表面にカーボンブラッ
クなどの顔料が含有された色材粒子、分散剤、帯電制御
剤、分散助剤等の構成材料から成るインクが用いられて
いる。
【0040】また、溶媒は高い電気抵抗率を有する絶縁
性溶媒であることが要求される。このような絶縁性溶媒
を使用することにより、インクに印加された電界が溶媒
を介して色材粒子に到達することが可能になる。
【0041】色材粒子を電気泳動させるために、色材粒
子自体を帯電させる必要も生じてくる。色材粒子は、静
電的反発力を利用してインク中から一定の液滴量が吐出
されるため、帯電量が安定していることが要求される。
具体的には、インクの体積抵抗率が109〜1012Ωc
mで、色材粒子のζ電位の絶対値が30〜200mVの
範囲であるインクが使用されている。
【0042】以上の構成を有する本実施の形態の静電式
インクジェットヘッドによるインク吐出動作を、図5〜
図10を用いて説明する。
【0043】図5に示すように、非記録時には対向電極
13にはV0、記録電極2には対向電極13への印加電
圧V0よりも高いV1、凝集電極7には記録電極2への
印加電圧V1よりも高いV2の一定の電圧が印加されて
いる。これにより、凝集電極7から記録電極2へ向かう
バイアス電界と、記録電極2から対向電極13へ向かう
待機電界が発生する。そして、バイアス電界によりイン
ク中の色材粒子が記録電極2の方向へ移動し、インク吐
出孔3の先端へ濃縮されて、図7に示すようにメニスカ
ス4が形成される。
【0044】続いて、記録時にコンピュータから所定の
印字データが記録電極ドライバへ入力されると、記録電
極ドライバは、図6に示すパルス幅の信号パルスを記録
電極2へ出力する。
【0045】図示するように、記録電極2には、先ず、
電圧V1と電圧V0との間のレベルの電圧V3が印加さ
れる。これは、記録電極2における凝集電極7との電位
差をより一層拡大して色材粒子の凝集量を向上させるた
めである。これにより、図8に示すように、記録電極2
の先端に形成されたメニスカス4は凝集した色材粒子に
より膨らむ。そして、図9に示すように、インクの表面
張力および粘性力等に打ち勝って、インク滴が形成され
る。
【0046】次に、記録電極2には電圧V2よりも高い
電圧V4が印加され、記録電極2と対向電極13との間
の電位差が大きくなって強い電界が発生する。すると遂
には、図10に示すように、微小な色材粒子群が吐出し
て記録紙12上に付着する。このような電圧V2および
電圧V4の印加が終了すると、記録電極2には電圧V1
が印加される。これにより、記録電極2から対向電極1
3へ向かう電界は当初の待機電界となって、色材粒子の
吐出は終了する。
【0047】以下、このような動作が繰り返されること
により、記録紙12上に所定の画像が形成される。
【0048】次に、記録電極2における色材粒子の除去
について説明する。
【0049】本実施の形態では、色材粒子を除去する手
段として、帯電性を利用して記録電極2と凝集電極7と
の間に電圧を印加することが行われる。すなわち、凝集
電極7に記録電極2に対して相対的に負の電圧を印加す
ることで記録電極2に付着した色材粒子を凝集電極7側
に引き付け、記録電極2から色材粒子を除去するもので
ある。
【0050】なお、電圧は直流でも交流でもよいが、電
圧V3程度の電圧値が好適に使用される。例えば、本実
施の形態においては、電圧V3を0Vとし、非印字時に
記録電極に印加されている電圧V1は300Vである。
色材粒子を除去するときの電圧が色材を凝集するときの
電圧V3より大きくすると、色材粒子の除去効率は悪化
する。一方、色材粒子を除去するときの電圧を色材粒子
を凝集するときの電圧V3より小さくすると、記録電極
2に供給される色材粒子の量が減り、高い記録周波数に
よる印字を行うことが困難となる。したがって、色材粒
子を除去するときの電圧はこれを凝集するときの電圧V
3と同じレベルが好適に使用されるものである。
【0051】なお、除去された色材粒子はインク循環の
流れによりまとめて回収パイプ18に回収されるので印
字の障害とはならず、一定の印字品質が維持される。
【0052】次に、本実施の形態の静電式インクジェッ
トヘッドにおける記録電極2の表面粗さのコントロール
について説明する。
【0053】記録電極2の表面粗さのコントロールは装
置本体部の製作時において行われる。また、記録電極2
はタブ工程により作製される。
【0054】先ず、ポリイミドフィルム上に銅箔が接着
される。次に、レジストフィルムがラミネートされ、露
光・現像により配線が形成される。続いて、エッチング
が施されて記録電極2が一斉に形成される。レジストフ
ィルムが除去されると、金属配線に仕上げメッキが施さ
れる。最後に、必要に応じて絶縁膜が形成される。な
お、絶縁膜材料としては、例えばエポキシやポリイミド
が使用される。
【0055】ここで、表面粗さがコントロールされる工
程としては、エッチング工程とメッキ工程がある。すな
わち、例えば、エッチング速度を早めれば表面の粗い形
状となってエッチングは終了するし、速度やエッチング
液を最適化した条件では極めて小さい粗さの表面を形成
することが可能になる。また、メッキ工程でも同様であ
り、例えばメッキ成長速度やメッキ液のpH等を調整し
てメッキ膜を形成すれば粗さの異なる表面を形成でき
る。メッキ工程終了後に再度記録電極2の表面をエッチ
ングすれば、さらに表面粗さを変更することも可能にな
る。しかし、本発明の表面粗さのコントロールはこれら
に限定されるものではなく、他の種々の手段を適用する
ことが可能である。
【0056】次に、本実施の形態における記録電極2の
臨界表面張力のコントロールについて説明する。
【0057】臨界表面張力のコントロールは、スパッタ
リング法や蒸着法により低表面張力の膜を記録電極2の
表面に均一に形成することで行われる。例えば、記録電
極2にフッ素樹脂をスパッタリングすることにより低表
面張力の膜を記録電極2の表面に精確に形成することが
できる。すなわち、表面張力の異なる樹脂材料等をスパ
ッタリングや蒸着法により形成することで、多数の異な
る臨界表面張力を持つ記録電極2を得ることができる。
【0058】(実験例1)表面粗さを変更したインクジ
ェットヘッドを用いて印字評価を行った。なお、表面粗
さは算術平均粗さ(Ra)で示している。
【0059】印字評価では印字ドット径のバラツキを調
べた。印字ドット径のバラツキは市販インクジェットプ
リンタを基準としたして評価を行った。市販のインクジ
ェットプリンタのドット径のバラツキはσで6%であっ
たので、本実験例において、σが7%を越える場合を×
と、5%以下の場合は○とした。また、5〜7%の場合
は△とした。
【0060】実験Aとして、印字動作と色材粒子除去と
を1秒毎にそれぞれ合計5秒ずつ行いドット径のバラツ
キの評価を行った。また、実験Bとして、連続印字の安
定性を目的に、印字動作と色材粒子除去を1秒毎にそれ
ぞれ合計60秒ずつ行いドット径のバラツキの評価を行
った。
【0061】記録電極に対する色材粒子の除去手段とし
ては、凝集電極を用いて記録電極に対して逆電圧を印加
して不要顔料を除去する手段を用いた。
【0062】画質性能の評価を行うために、印字周波数
は比較的低い周波数である1kHzとした。また0.0
05μ未満の表面粗さの記録電極は作製できなかった。
【0063】結果を(表1)に示す。
【0064】
【表1】
【0065】印字評価より、本具体例によれば記録電極
の表面粗さが0.1μm以下の表面粗さの場合はドット
径のバラツキが従来のインクジェットプリンタより明ら
かに小さくなることが分かった。しかも、表面粗さが
0.1μm未満であれば連続印字の安定性にも優れるこ
とが分った。
【0066】(実験例2)次に、記録電極表面の臨界表
面張力を変更したインクジェットヘッドを用いて記録周
波数の評価を行った。記録周波数の評価は2kHzで行
い、記録信号印加時間は200μ秒とした。このとき、
ドット抜けが市販のインクジェットプリンタと同様に
0.05%未満の場合、この記録周波数での印字がされ
ていると判断した。
【0067】実験Cとして、印字動作と色材粒子除去を
1秒毎にそれぞれ合計5秒ずつ行いドット抜けの評価を
行った。また、実験Dとして、連続印字の安定性を目的
に、印字動作と色材粒子除去を1秒毎にそれぞれ合計6
0秒ずつ行いドット抜けの評価を行った。
【0068】なお、表面粗さは0.5μmと0.1μm
のものを使用した。
【0069】記録電極からの色材粒子の除去手段として
は、凝集電極を用いて記録電極に対して逆電圧を印加し
て不要顔料を除去する手段を用いた。印字周波数は2k
Hzとした。
【0070】ここで、2kHzの記録周波数で行った理
由を説明する。
【0071】体積抵抗率が108Ωcm未満のインクを
使用した場合、インクの吐出状態は曳糸状である。曳糸
状吐出はインク溶媒も含めたインク全体が電荷注入によ
り帯電するために生じる吐出状態である。電荷注入によ
る帯電速度は色材粒子の泳動速度よりも明らかに速い。
したがって、インクの吐出開始速度が滴状吐出と比較し
て曳糸状吐出の方が速いために、記録周波数も高いこと
が分かっている。また、記録周波数はインクだけで決定
されるものでなく、ヘッドの形態にも依存する。したが
って、本実施の形態の静電式インクジェットヘッドで体
積抵抗率が10 8Ωcm未満のインクを用いて吐出させ
たときの記録周波数を比較することで、本実施の形態の
インクの記録周波数の評価を行った。
【0072】なお、体積抵抗率が108Ωcm未満の市
販のインクを使用し、記録信号印加時間を200μ秒と
したとき、本実施の形態の静電式インクジェットヘッド
での最高記録周波数は2kHzであった。したがって、
本実施の形態においても2kHzの記録周波数で、記録
周波数の評価を行った。なお、臨界表面張力18dyn
/cm未満の材料は印字評価中に膜剥離が簡単に生じる
ため、実験ができなかった。
【0073】記録電極の表面粗さが0.5μmのときの
結果を(表2)に、表面粗さ0.1μmのときの結果を
(表3)にそれぞれに示す。
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】印字評価より、ドット抜けも確実に少なく
できるので、高画質な印字ができることが確認された。
しかも、臨界表面張力が30dyn/cm以下であれば
連続印字の安定性にも優れることが分った。
【0077】以上説明したように、記録電極表面の粗さ
が大きいとき、電着で付着する色材粒子は表面粗さに相
乗して付着強度が増す傾向にある。したがって、記録電
極の表面粗さが小さい場合は付着強度が小さくなり、比
較的簡単に不要色材粒子を剥離除去しやすくなる。
【0078】そこで、記録電極の表面粗さが0.005
〜0.1μmに設定すれば、記録電極への色材粒子の付
着を防止することが可能になる。これにより、安定した
印字を連続的に実行することができ、印字品質や高速印
字に優れた静電式インクジェットヘッドを得ることが可
能になる。
【0079】また、記録電極の臨界表面張力が小さいと
さらに付着強度が減少するので、より一層簡単に不要色
材粒子を除去することができる。加えて、インクとの濡
れ性が小さくなるのでインク吐出時にインク切れが良く
なるためにインクが吐出しやすい。その結果、記録周波
数の高い印字が可能になる。
【0080】したがって、均一なドット径を有する印字
を安定に且つ連続してできるので、高速高画質印刷が可
能で信頼性の高い静電式インクジェットヘッドを実現す
ることができる。
【0081】そして、記録電極に付着した不要な色材粒
子は、付着強度が小さいために色材粒子の帯電性を利用
することで除去することが可能になる。すなわち、凝集
電極と記録電極との間に電圧を印加するものである。そ
して、色材粒子が正の帯電の場合、記録電極の電位を凝
集電極に対して正にすればその電位差により記録電極に
付着していた色材粒子は簡単に除去され、電気泳動によ
り凝集電極に向かうことになる。
【0082】その結果、記録電極における不要な色材粒
子の付着を確実に防止することができ、常に安定なメニ
スカス形状を維持できるインクジェットヘッドを実現す
ることができる。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
記録電極への色材粒子の付着を防止することが可能にな
るという有効な効果が得られる。
【0084】これにより、安定した印字を連続的に実行
することができ、印字品質や高速印字に優れた静電式イ
ンクジェットヘッドを得ることが可能になるという有効
な効果が得られる。
【0085】また、記録電極の臨界表面張力を18〜3
0dyn/cmとすれば、記録周波数の高い印字が可能
になり、均一なドット径を有する印字を安定して連続的
に実行することができるという有効な効果が得られる。
【0086】そして、凝集電極に記録電極に対して逆電
圧を印加して色材粒子を記録電極から除去するようにす
れば、記録電極における不要な色材粒子の付着を確実に
防止することが可能になるという有効な効果が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である静電式インクジェ
ットヘッドの構成を示す概略図
【図2】図1のA部を拡大して示す概略図
【図3】図1の静電式インクジェットヘッドの側断面図
【図4】図1の静電式インクジェットヘッドを含む記録
ユニットを示す説明図
【図5】図1の静電式インクジェットヘッドにおける非
記録時での印加電圧波形を示す説明図
【図6】図1の静電式インクジェットヘッドにおける記
録時での印加電圧波形を示す説明図
【図7】図1の静電式インクジェットヘッドによるイン
クの吐出動作の一部を示す説明図
【図8】図1の静電式インクジェットヘッドによるイン
クの吐出動作を示す説明図
【図9】図1の静電式インクジェットヘッドによるイン
クの吐出動作を示す説明図
【図10】図1の静電式インクジェットヘッドによるイ
ンクの吐出動作を示す説明図
【符号の説明】
2 記録電極 3 インク吐出孔 7 凝集電極 15 低濃度インクタンク(インクタンク) 16 高濃度インクタンク(インクタンク)
フロントページの続き Fターム(参考) 2C057 AF05 AF22 AF41 AG04 AG22 AG99 AH07 AH13 AP14 AP24 AP31 AP52 AP54 AP55 AR04 AR08 BD07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】帯電した色材粒子を絶縁性溶媒に分散して
    なるインクを保持するインクタンクと、 前記インクタンクと連通して形成されて前記インクが吐
    出されるインク吐出孔と、 前記インク吐出孔から内側に延びるようにして一定間隔
    で複数配列されて表面粗さが0.005〜0.1μmに
    設定され、前記インクを前記インク吐出孔から吐出させ
    る記録電極と、 前記インク吐出孔における前記記録電極の対向位置に設
    けられ、前記インク中の前記色材粒子を前記インク吐出
    孔に向けて電気泳動させて前記記録電極近傍における色
    材粒子濃度を高くするとともに前記色材粒子を引きつけ
    て前記記録電極から当該色材粒子を除去する凝集電極と
    を有することを特徴とする静電式インクジェットヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】前記記録電極の臨界表面張力は18〜30
    dyn/cmであることを特徴とする請求項1記載の静
    電式インクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】前記凝集電極には、前記記録電極に対して
    逆電圧を印加して前記色材粒子をこの記録電極から除去
    することを特徴とする請求項1または2記載の静電式イ
    ンクジェットヘッド。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101098341B1 (ko) * 2009-12-31 2011-12-26 제주대학교 산학협력단 전극이 측면 삽입되는 방식인 잉크 젯 헤드 어셈블리

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101098341B1 (ko) * 2009-12-31 2011-12-26 제주대학교 산학협력단 전극이 측면 삽입되는 방식인 잉크 젯 헤드 어셈블리

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