JP2001162329A - 押し通し曲げ加工機用制御データ作成方法 - Google Patents

押し通し曲げ加工機用制御データ作成方法

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JP2001162329A
JP2001162329A JP2000259615A JP2000259615A JP2001162329A JP 2001162329 A JP2001162329 A JP 2001162329A JP 2000259615 A JP2000259615 A JP 2000259615A JP 2000259615 A JP2000259615 A JP 2000259615A JP 2001162329 A JP2001162329 A JP 2001162329A
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calculating
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shape
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JP2000259615A
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Kenzo Takeda
謙三 武田
Manabu Maruyama
学 丸山
Hideo Meguri
秀夫 廻
Yoshihiro Kageyama
善浩 影山
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 できる限り実測データの収集の手間を省きな
がらも、高い精度で押し通し曲げ加工を実現する制御デ
ータを生成可能な押し通し曲げ加工機用制御データ作成
方法を提供する。 【解決手段】 形状データで特定される長尺製品の曲率
1/Rbに基づき、長尺材に加えられる曲げモーメント
は算出される。算出された曲げモーメントに基づき、長
尺材に引き起こされる弾塑性曲げ変形量すなわち実曲率
1/Rcは算出される。算出された実曲率1/Rcに基
づき可動型13の幾何的位置73は修正される。得られ
た可動型13の実加工位置72によれば、弾性復元力い
わゆるスプリングバックに起因する長尺製品の形状誤差
は十分に解消されることができる。特に、そういった実
曲率1/Rcは曲げモーメントに基づき幾何学的に算出
されることから、実測データの収集といった手間をでき
る限り省くことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固定型および可動
型を相次いで通過する長尺材に、固定型に対する可動型
の相対変位を通じて曲げ変形を施すことができる押し通
し曲げ加工機に関し、特に、こういった押し通し曲げ加
工機の制御に用いられる制御データを生成する制御デー
タ作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般の工作機と同様に、押し通し曲げ加
工機の動作は、例えばNC(数値制御)プログラムとい
った制御プログラムによって制御されることができる。
こうした制御プログラムでは、例えば可動型の変位量と
いった制御データが規定されなければならない。これま
でのところ、こうした制御データは熟練した作業者の勘
や経験則に基づき作成されてきた。こうした制御データ
を用いて製品の試作が繰り返され、試作が実施されるた
びに制御データは書き換えられた。こうした試作が数十
回と繰り返される結果、最終的に、所望どおりに曲げ変
形を実現することができる制御データは確立された。
【0003】例えば特開平9−327727号公報や特
開平10−166064号公報には、熟練した作業者の
勘や経験則に頼らずに制御データを作成する試みが開示
される。こうした試みによれば、最初の試作の段階で大
まかに最終形状に似通った試作品が形成されることがで
きる。したがって、最初から作業者の勘や経験則に頼る
必要はなく、試作や制御データの書き換えに対する労力
や手間は軽減されることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述の特開平9−32
7727号公報や特開平10−166064号公報に記
載の制御データ作成方法では、可動型の変位量を算出す
るにあたって弾性復元力(いわゆるスプリングバック)
といった要因に起因する誤差が考慮される。このように
誤差が補正された変位量で可動型が移動すれば、加工さ
れる長尺製品の形状精度は高められることができる。
【0005】その一方で、可動型の変位量で手当てされ
るべき誤差は、曲げ加工の曲率の大きさ、長尺材すなわ
ち形材の材質や断面形状といった要因に応じて変化す
る。こうした要因の影響に拘わらず可動型の誤差を定量
的に把握することは難しい。例えば前述の公報に記載の
制御データ作成方法では、誤差の影響は全て実測データ
に基づき特定される。したがって、曲げ変形の曲率を変
化させながらその都度誤差は計測されなければならな
い。しかも、こうした計測は、いわゆる形材の材質や断
面形状、大きさが変化するたびに実施されなければなら
ない。実測データの収集だけでも多大な労力が必要とさ
れてしまう。
【0006】本発明は、上記実状に鑑みてなされたもの
で、できる限り実測データの収集の手間を省きながら
も、高い精度で押し通し曲げ加工を実現する制御データ
を生成可能な押し通し曲げ加工機用制御データ作成方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1発明によれば、長尺製品の形状を表現する形状
データに基づき押し通し曲げ加工機の可動型の幾何的位
置を算出する工程と、形状データで特定される長尺製品
の曲率に基づき、長尺材に加えられる曲げモーメントを
算出する工程と、算出された曲げモーメントに基づき、
長尺材に引き起こされる弾塑性曲げ変形量を算出する工
程と、算出された弾塑性曲げ変形量および幾何的位置に
基づき可動型の実加工位置を算出する工程とを備えるこ
とを特徴とする押し通し曲げ加工機用制御データ作成方
法が提供される。
【0008】一般に、金属材を始めとする長尺材は弾性
変形を経て塑性変形に至る。こういった長尺材が用いら
れる場合には、可動型から曲げ変形が加えられても、長
尺材が可動型から解放されると同時に弾性復元力いわゆ
るスプリングバックに応じて加工後の長尺製品に形状誤
差が生じてしまう。弾塑性曲げ変形量に応じて可動型の
実加工位置が特定されれば、そういった弾性復元力いわ
ゆるスプリングバックに起因する長尺製品の形状誤差は
十分に解消されることができる。特に、そういった弾塑
性曲げ変形量は曲げモーメントに基づき幾何学的に算出
されることから、実測データの収集といった手間をでき
る限り省くことが可能となる。
【0009】弾塑性曲げ変形量は、例えば、曲げモーメ
ントM、ヤング率Eおよび断面二次モーメントIを用い
て表現されればよい。曲げモーメントMは、例えば引っ
張り試験で得られる応力歪み曲線や長尺製品の形状デー
タに基づき算出されることができる。断面二次モーメン
トIは例えば長尺製品の形状データに基づき算出される
ことができる。ヤング率Eは例えば引っ張り試験に基づ
き取得されることができる。ただし、応力歪み曲線やヤ
ング率Eは材質ごとに予め既知であることが多い。した
がって、曲げモーメントMやヤング率E、断面二次モー
メントIで弾塑性曲げ変形量が表現されれば、実測デー
タの収集といった手間をできる限り省くことが可能とな
る。
【0010】曲げモーメントを算出するにあたっては、
長尺材の断面に沿って歪み分布が特定されればよい。歪
み分布は曲率に基づき幾何学的に算出されることができ
る。この歪み分布に基づけば応力分布は導き出されるこ
とができる。こうして応力分布が明らかとなれば、前述
の曲げモーメントは算出されることができる。
【0011】また、第2発明によれば、長尺製品の形状
を表現する形状データに基づき押し通し曲げ加工機の可
動型の幾何的位置を算出する工程と、押し通し曲げ加工
機の固定型の出口で長尺材の剪断変形および断面変形に
基づき引き起こされる長尺材の出口回り折れ角量を取得
する工程と、取得された出口回り折れ角量および可動型
の幾何的位置に基づき可動型の実加工位置を算出する工
程とを備えることを特徴とする押し通し曲げ加工機用制
御データ作成方法が提供される。
【0012】特に、中空の長尺材では、固定型および可
動型の間で曲げ変形が引き起こされる際に、固定型の出
口で長尺材に大きな剪断力が作用する。こうした剪断力
は弾性折れ変形や塑性折れ変形といった剪断変形を引き
起こす。加えて、固定型の出口では長尺材に断面変形す
なわち窪みが生じてしまう。こうした窪みによれば、固
定型の出口で長尺材に折れが生じる。こうした剪断変形
や折れに起因して、固定型および可動型の間では形状デ
ータに基づく幾何的な位置関係どおりに十分な曲げ変形
は引き起こされることはできない。したがって、加工後
の長尺製品に形状誤差が生じてしまう。前述のように導
き出された出口回り折れ角量に応じて可動型の幾何的位
置が補正されれば、そういった出口回りの折れ角に起因
する長尺製品の形状誤差は十分に解消されることができ
る。
【0013】さらに、第3発明によれば、長尺製品の形
状を表現する形状データに基づき押し通し曲げ加工機の
可動型の幾何的位置を算出する工程と、少なくとも押し
通し曲げ加工機の固定型および可動型のいずれか一方に
対する長尺材のクリアランス量を取得する工程と、取得
されたクリアランス量および可動型の幾何的位置に基づ
き可動型の実加工位置を算出する工程とを備えることを
特徴とする押し通し曲げ加工機用制御データ作成方法が
提供される。
【0014】特に、中空の長尺材では、固定型および可
動型の間で曲げ変形が引き起こされる際に、固定型の出
口で断面変形が生じてしまう。こうした断面変形には、
窪みのほか、曲率半径方向に沿った断面の潰れなどが含
まれる。こうした断面変形が引き起こされている間に可
動型が移動しても、長尺材に十分な塑性曲げ変形は生じ
ることはない。したがって、固定型および可動型の間で
は形状データに基づく幾何的な位置関係どおりに十分な
曲げ変形は引き起こされることはできず、加工後の長尺
製品に形状誤差が生じてしまう。前述のように導き出さ
れた断面変形量に応じて可動型の幾何的位置が補正され
れば、そういった断面変形に起因する長尺製品の形状誤
差は十分に解消されることができる。
【0015】さらにまた、第4発明によれば、長尺製品
の形状を表現する形状データに基づき押し通し曲げ加工
機の可動型の幾何的位置を算出する工程と、押し通し曲
げ加工機の固定型の出口で長尺材の断面変形量を取得す
る工程と、取得された断面変形量および可動型の幾何的
位置に基づき可動型の実加工位置を算出する工程とを備
えることを特徴とする押し通し曲げ加工機用制御データ
作成方法が提供される。
【0016】一般に、押し出し加工で成形される形材と
いった長尺材の寸法精度には所定範囲の公差すなわちば
らつきが許容される。こういった公差に拘わらず固定型
や可動型の貫通孔に対して長尺材を確実に通過させるに
は、長尺材の設計寸法と貫通孔の寸法との間にクリアラ
ンスすなわちガタを持たせる必要がある。たとえ全く公
差が存在しなくても、固定型や可動型の貫通孔に対して
長尺材をスムーズに通過させるには、長尺材と固定型お
よび可動型との間にクリアランスすなわちガタを持たせ
る必要がある。こうしたクリアランスが解消されて固定
型や可動型が完全に長尺材に接触するまで、可動型が移
動しても長尺材には実質的に曲げ変形は生じることはな
い。したがって、固定型および可動型の間では形状デー
タに基づく幾何的な位置関係どおりに十分な曲げ変形は
引き起こされることはできず、加工後の長尺製品に形状
誤差が生じてしまう。前述のように導き出されたクリア
ランス量に応じて可動型の幾何的位置が補正されれば、
そういったクリアランスすなわちガタに起因する長尺製
品の形状誤差は十分に解消されることができる。ただ
し、実加工位置を特定するにあたって使用されるクリア
ランス量は、固定型および可動型で生じる2つのクリア
ランス量の総和を特定することが望ましい。
【0017】以上のような押し通し曲げ加工機用制御デ
ータ作成方法では、可動型の幾何的位置を算出するにあ
たって、例えば、全体座標系に従って長尺製品の形状を
表現する形状データを取得する工程と、形状データに基
づき、押し通し曲げ加工機の固定型を基準に特定される
局部座標系を長尺製品の断面ごとに設定する工程とを備
えればよい。可動型の幾何的位置は局部座標系に基づき
決定される。
【0018】第1〜第4発明に係る押し通し曲げ加工機
用制御データ作成方法は、コンピュータで実行されるソ
フトウェアプログラムとして構成されてもよい。こうし
たソフトウェアプログラムは、例えばFD(フロッピー
(登録商標)ディスク)やCD(コンパクトディス
ク)、DVD(デジタルビデオディスク)といった可搬
性の記録媒体を通じてコンピュータに取り込まれてもよ
く、LAN(構内通信網)やWAN(広域通信網)、イ
ンターネットといったネットワークを通じてコンピュー
タに取り込まれてもよい。
【0019】なお、前述のように可動型の実加工位置を
算出するにあたって、弾塑性曲げ変形量、出口回り折れ
角量、クリアランス量および断面変形量は、必ずしも単
独で利用される必要はなく、それらのいかなる組み合わ
せ方で利用されてもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ本発
明の一実施形態を説明する。
【0021】図1は押し通し曲げ加工機の全体構成を概
略的に示す。この押し通し曲げ加工機10は、長尺材1
1の前進移動を案内する前後1対の型すなわち固定型1
2および可動型13と、固定型12および可動型13に
向かって長尺材11を送り込む送り機構14とを備え
る。こうした押し通し曲げ加工機10では、後述される
ように、長尺材11の進行方向に直交する平面内で可動
型13が移動すると、長尺材11に曲げ変形(塑性変
形)が引き起こされる。
【0022】送り機構14は、例えば長尺材11の後端
に接触する押し金すなわちスライダ15と、送りモータ
16の回転力をスライダ15の推進力に変換するねじ軸
17とを備える。送りモータ16の働きを通じてねじ軸
17が順方向に回転すると、その回転に応じてスライダ
15は前進し、ねじ軸17が逆方向に回転すると、スラ
イダ15は後退することができる。スライダ15の前進
は長尺材11の前進を引き起こす。スライダ15の前進
量すなわち長尺材11の送り量はねじ軸17の回転量す
なわち送りモータ16の回転量に応じて決定されること
ができる。送りモータ16にはいわゆるサーボモータが
用いられればよい。
【0023】こうした押し通し曲げ加工機10では、中
実の長尺材や中空の長尺材11が加工されることができ
る。中空の長尺材11は、例えばアルミニウム製の押し
出し材すなわち形材や鉄製のパイプ材に代表されること
ができる。一般に、長尺材11ではその全長にわたって
共通の断面形状が規定される。ただし、断面形状は長尺
材11の全長にわたって常に一定である必要は必ずしも
ない。
【0024】前述の送り機構14や固定型12はいわゆ
る振り子部材19に支持される。振り子部材19の円柱
形外周面は、図2から明らかなように、半円筒面に沿っ
て配置される軸受け20を通じて支持台21に支持され
る。こうした振り子部材19の働きによれば、長尺材1
1は、固定型12とともに固定型12の中心軸22回り
で回転することができる。こうした回転は例えば長尺材
11に捻れ変形を引き起こす際に役立つ。振り子部材1
9の回転は、例えばサーボモータで構成される駆動モー
タ23の働きを通じて実現されればよい。
【0025】図2に示されるように、固定型12には、
長尺材11の外形を象った貫通孔24が形成される。こ
の貫通孔24によって長尺材11の前進移動は案内され
る。長尺材11の断面形状は、図2に示される貫通孔2
4から明らかなように、円形や楕円形、三角形その他の
多角形といった単純な形状であってもよいばかりでな
く、その他の複雑な形状であっても差し支えない。貫通
孔24の形状は長尺材11の断面形状に合わせ込まれれ
ばよい。
【0026】図2から明らかなように、中空の長尺材1
1が加工される場合には、固定型12に囲まれる長尺材
11の中空空間には芯金すなわち中子25が差し込まれ
ることが望ましい。周知のように、こうした押し通し曲
げ加工機10では、固定型12側貫通孔24の出口付近
で最も大きな曲げ応力が長尺材11に作用する。このと
き、長尺材11が中空であると、貫通孔24の縁で長尺
材11の断面形状が押し潰されることがある。その結
果、長尺材11に対する曲げ変形の変形量に大きな誤差
が生じたり長尺材11の外周面に不要な窪みが形成され
たりしてしまう。長尺材11の内側から中子25が接触
すれば、こうした長尺材11の押し潰しはできる限り回
避されることができる。
【0027】図1から明らかなように、中子25には、
中子25を前後移動させる制御モータ26が連結され
る。この制御モータ26の働きによって中子25は長尺
材11に対して出し入れされる。しかも、本実施形態で
は、固定型12の中心軸22回りで中子25を回転させ
る制御モータ27が中子25に連結される。この制御モ
ータ27は、前述のように振り子部材19の回転に伴っ
て固定型12が中心軸22回りに回転すると、この回転
に応じて中子25を中心軸22回りに回転させることが
できる。制御モータ26、27には例えばサーボモータ
が用いられればよい。
【0028】図1および図3を参照し、可動型13に
は、固定型12と同様に、長尺材11の外形を象った貫
通孔28が形成される。この貫通孔28によって長尺材
11の前進移動は案内される。この貫通孔28の形状は
例えば固定型12側貫通孔24の形状に一致することが
望ましい。
【0029】可動型13は、固定型12の中心軸22の
延長線に直交する移動平面内で移動することができる。
可動型13の移動は、例えば上下動部材29の上下動と
水平動部材30の水平動との組み合わせによって実現さ
れる。上下動部材29は、上下方向すなわち垂直方向に
変位自在に水平動部材30に案内される。同時に、水平
動部材30は、水平方向に変位自在に案内部材31に支
持される。上下動部材29の変位は例えば上下動モータ
32の働きによって実現されればよく、水平動部材30
の変位は例えば水平動モータ33の働きによって実現さ
れればよい。例えば、上下動モータ32や水平動モータ
33は、微小な回転角で回転軸の回転量を制御すること
ができるサーボモータその他の駆動源から構成されれば
よい。
【0030】しかも、この可動型13は、前述の移動平
面でその位置を変えながらその姿勢を変化させることが
できる。こうした可動型13の姿勢変化は、垂直方向に
延びる回転軸34が形成された回転部材35や、水平方
向に延びる1対の揺動軸36が形成された揺動部材37
の働きを通じて実現される。上下動部材29に形成され
た支持孔38に回転軸34が受け止められると、回転部
材35は垂直軸回りで回転することができる。その一方
で、回転部材35に形成される支持孔39に2つの揺動
軸36が受け止められると、揺動部材37は水平軸回り
で揺動することができる。回転部材35の回転や揺動部
材37の揺動は、個々に、例えばサーボモータで構成さ
れる駆動モータ(図示せず)の働きによって実現されれ
ばよい。ここでは、揺動軸36の揺動中心は中心軸22
の延長線上で回転軸34の回転中心に直交することが望
ましい。
【0031】図4は、以上のような押し通し曲げ加工機
10が組み込まれた押し通し曲げ加工システム41の全
体構成を概略的に示す。この押し通し曲げ加工システム
41では、押し通し曲げ加工機10の動作はNCコント
ローラ42によって制御される。この制御を実現するに
あたって、NCコントローラ42は、例えば図5に示さ
れるように押し通し曲げ加工機10に対して三次元機械
座標系xyzを設定する。この機械座標系xyzは、例
えば固定型12の中心軸22に重なり合うz座標軸と、
貫通孔24の出口が臨む1平面上で固定型12の水平方
向および垂直方向をそれぞれ規定するx座標軸およびy
座標軸とを備える。
【0032】可動型13の移動平面HVは、機械座標系
xyzのxy平面に平行な姿勢に保持されることが望ま
しい。こうした移動平面HVの設定によれば、可動型1
3の位置は、機械座標系xyzに従って指定されるx座
標値やy座標値によって簡単に特定されることができ
る。このとき、可動型13のz座標値は、いわゆるアプ
ローチ距離すなわち固定型12および可動型13間の距
離に基づき特定されればよい。このアプローチ距離は可
動型13の移動に拘わらず一定に保持される。
【0033】例えば可動型13の移動平面HVと中心軸
22の延長線(機械座標系xyzのz座標軸)との交点
は可動型13の基準位置に設定されることができる。こ
の基準位置に可動型13が位置決めされると、2つの貫
通孔24、28を相次いで通過する長尺材11には移動
平面HVに沿った可動型13の拘束力は加えられない。
すなわち、真っ直ぐな長尺材11は直進し、このとき長
尺材11にはいかなる曲げ変形も引き起こされない。こ
うして可動型13の基準位置が特定されると、可動型1
3の姿勢は、例えば機械座標系xyzに従って指定され
るy軸(V軸)回り回転角Bやx軸(H軸)回り回転角
Aによって特定されることができる。
【0034】再び図4を参照し、NCコントローラ42
には、エンジニアリングワークステーション(EWS)
やパーソナルコンピュータ(パソコン)といったコンピ
ュータ装置43で算出されたNC加工プログラムが供給
される。このNC加工プログラムには、例えば長尺材1
1の送り位置ごとに関連付けられた可動型13の位置や
姿勢といった制御データが規定される。前述の機械座標
系xyzに従って可動型13のx座標値やy座標値が指
定されると、NCコントローラ42は、そういったx座
標値やy座標値を確立する水平動モータ33や上下動モ
ータ32の回転量を規定する駆動指令値を押し通し曲げ
加工機10に向けて出力する。機械座標系xyzに従っ
て可動型13のy軸回り回転角Bやx軸回り回転角Aが
指定されると、NCコントローラ42は、これら回転角
を確立する回転部材35や揺動部材37の回転を引き起
こす駆動モータの駆動指令値を押し通し曲げ加工機10
に向けて出力する。
【0035】コンピュータ装置43には、本発明に係る
押し通し曲げ加工機用制御データ作成方法を実現するN
C加工プログラム作成ソフトウェアが組み込まれる。こ
のNC加工プログラム作成ソフトウェアは、例えば、コ
ンピュータ支援設計(CAD)システムを実現するCA
Dソフトウェアの1モジュール(いわゆるアドオンソフ
トウェア)として機能することができる。こうしてCA
Dソフトウェアに組み入れられれば、NC加工プログラ
ム作成ソフトウェアは、制御データ作成方法を実現する
にあたって、CADソフトウェアに組み込まれた既存の
機能を流用することが可能となる。ただし、NC加工プ
ログラム作成ソフトウェアはCADソフトウェアに組み
入れられる必要は必ずしもなく、必要とされる全ての機
能をNC加工プログラム作成ソフトウェア単独で備えて
いてもよい。NC加工プログラム作成ソフトウェアは、
例えばFD(フロッピーディスク)44やCD(コンパ
クトディスク)45、DVD(デジタルビデオディス
ク)、その他の可搬性記録媒体からコンピュータ装置4
3に取り込まれてもよく、無線や有線を問わずネットワ
ークを通じてコンピュータ装置43に取り入れられても
よい。
【0036】本発明に係る押し通し曲げ加工機用制御デ
ータ作成方法を実現するにあたって、NC加工プログラ
ム作成ソフトウェアは、例えばLAN(構内通信網)や
WAN(広域通信網)、インターネットといったネット
ワーク46を通じて長尺製品の形状データを取得する。
取得した形状データを用いて、NC加工プログラム作成
ソフトウェアは前述のようなNC加工プログラムを作成
する。
【0037】形状データは、例えばサーバコンピュータ
47に構築される製品データベースから取り込まれれば
よい。製品データベースには、例えばCAD端末48上
で設計された製品のCADデータが格納されればよい。
こうしたCADデータは、前述と同様に、例えばFD
(フロッピーディスク)やCD(コンパクトディス
ク)、DVD(デジタルビデオディスク)、その他の可
搬性記録媒体から製品データベースに取り込まれてもよ
く、無線や有線を問わずネットワーク49を通じて製品
データベースに取り入れられてもよい。
【0038】いま、例えば図6に示されるように、均一
断面の形材に曲げ変形が施されて形成される長尺製品5
1が設計された場面を想定する。CADシステム上で設
計された長尺製品51はCADデータとして製品データ
ベースに格納される。こうしたCADデータには、単一
の全体座標系XYZに従って長尺製品51の形状を表現
する形状データが少なくとも含まれる。形状データには
例えばワイヤフレームモデルやサーフェスモデル、ソリ
ッドモデルといった表現方法が用いられればよい。形状
データは、単一のデータ構造で長尺製品51の断面形状
とその断面形状に関連付けられる長尺製品51の曲がり
具合とを特定してもよく、そういった断面形状および曲
がり具合を個別のデータ構造で特定してもよい。
【0039】操作者は、まず、コンピュータ装置43上
でNC加工プログラム作成ソフトウェアを立ち上げる。
NC加工プログラム作成ソフトウェアは、操作者の入力
操作に基づき製品データベースから長尺製品51の形状
データを取り込む。入力操作には例えばキーボードやマ
ウスが用いられればよい。取り込まれた形状データに基
づき、コンピュータ装置43の画面上には長尺製品51
の三次元像が再現されることができる。この再現にあた
っては、例えばCADソフトウェアの画像処理機能が用
いられてもよい。
【0040】こうして長尺製品51の三次元形状が確認
されると、NC加工プログラム作成ソフトウェアは長尺
製品51の重心線を特定する。この重心線は、長尺製品
51の全長にわたって各断面で特定される重心の位置を
特定する。こうした重心線に基づけば、長尺製品51の
長手方向に沿って長尺材11の送り位置は決定されるこ
とができる。重心線の設定方法の詳細は後述される。
【0041】送り位置が決定されると、NC加工プログ
ラム作成ソフトウェアは、各送り位置ごとに可動型13
の位置や姿勢を特定する。可動型13の位置は例えば機
械座標系xyzのx座標値やy座標値に基づき規定され
ればよい。その一方で、可動型13の姿勢は例えば機械
座標系xyzのy軸回り回転角Bやx軸回り回転角Aに
基づき規定されればよい。これらのx座標値およびy座
標値やy軸回り回転角Bおよびx軸回り回転角Aによっ
て制御データは作成されることができる。制御データに
NCプログラムヘッダやNCプログラムフッタの記述が
追加されると、例えば図7に示されるようにNC加工プ
ログラムは完成する。
【0042】完成したNC加工プログラムは最終的にN
Cコントローラ42に供給される。NCコントローラ4
2は、NC加工プログラムに従って押し通し曲げ加工機
10を作動させる。図7に示されるNC加工プログラム
に従えば、長尺材11は一定の送り速度F=6000m
m/分で固定型12および可動型13を通り抜ける。例
えば送り位置W=−1424.000mmが確立される
と、可動型13は、前述の基準位置すなわち移動平面H
Vの原点位置からx座標値X=0.000mmおよびy
座標値Y=0.446mmで特定される座標位置に移動
する。このとき、可動型13の姿勢は、y軸回り回転角
B=0.000度およびx軸回り回転角A=0.159
度で特定される。続いて長尺材11が送り位置W=−1
504.072mmに到達すると、可動型13は、x座
標値X=0.000mmおよびy座標値Y=4.409
mmで特定される座標位置に移動する。このとき、可動
型13の姿勢は、y軸回り回転角B=0.000度およ
びx軸回り回転角A=3.157度で規定される姿勢に
変化する。こうして各送り位置Wを通過するたびに、可
動型13は、x座標値Xやy座標値Yで規定される位置
に移動しながら、y軸回り回転角Bやx軸回り回転角A
で規定される姿勢に変化する。隣接する送り位置W同士
の間では、x座標値Xおよびy座標値Yやy軸回り回転
角Bやx軸回り回転角Aは例えば等速で変化すればよ
い。ただし、ここでの送り位置Wは、スライダ15の原
点位置を基準にz座標軸に沿って規定される。スライダ
15の原点位置とは、例えば押し通し曲げ加工にあたっ
てスライダ15が前進し始める位置や加工前の待機位置
をいう。
【0043】重心線を特定するにあたって、NC加工プ
ログラム作成ソフトウェアは、例えば図8および図9に
示されるように、長尺製品51の断面形状52を表現す
る二次元データと、断面形状52の各頂点に対応する稜
線を表現する三次元データとを利用する。ただし、各稜
線に断面形状52の各頂点を対応させるにあたって、各
頂点に形成される角取りは無視される。すなわち、稜線
は、断面形状52の作図過程で利用される角取り以前の
頂点によって描き出される。
【0044】詳述すると、NC加工プログラム作成ソフ
トウェアは、まず、二次元データで特定される断面形状
52の各頂点と、三次元データで特定される稜線との対
応関係を取得する。この取得には例えばGUI(グラフ
ィックユーザインターフェース)が用いられればよい。
すなわち、操作者は、図9に示されるように、コンピュ
ータ装置43の画面上に描き出された稜線の三次元像に
基づき第1および第2ガイド線53a、53bを指定す
るとともに、同様に図8に示されるように、画面上に描
き出された断面形状52に基づき例えば第1および第2
ガイド点54a、54bを指定する。ここでは、指定の
順番に従って、第1ガイド線53aと第1ガイド点54
aとが相互に関連付けられ、第2ガイド線53bと第2
ガイド点54bとが相互に関連付けられる。こうした指
定には例えばマウス操作が用いられればよい。
【0045】こうして二次元データと三次元データとが
関連付けられると、NC加工プログラム作成ソフトウェ
アは、断面に沿って2つのガイド点54a、54bと重
心55との位置関係を取得する。この取得には例えばG
UIが用いられればよい。すなわち、操作者は、図8に
示されるように、コンピュータ装置43の画面上に描き
出される長尺製品51の断面形状52にxy座標系を重
ね合わせればよい。こうしてxy座標系が設定される
と、NC加工プログラム作成ソフトウェアは、xy座標
系に従って第1および第2ガイド点54a、54bのx
座標値およびy座標値や重心55のx座標値およびy座
標値を算出する。ただし、図8に示されるようにxy座
標系の座標原点が重心55に重ね合わせられれば、重心
55のx座標値やy座標値は算出される必要はなくな
る。ここでは、2つのガイド点54a、54bに対する
重心55の相対的な位置関係が導き出されれば十分であ
る。
【0046】続いてNC加工プログラム作成ソフトウェ
アは、図10に示されるように、三次元データで規定さ
れる2つの稜線すなわち第1および第2ガイド線53
a、53bに対して複数の切断平面57a〜57fを規
定する。こうした切断平面57a〜57fの設定にあた
っては、第1および第2ガイド線53a、53bは各々
同数の部分線に等分割されればよい。各切断平面57a
〜57fは、部分線の分割点58a〜58fで第1およ
び第2ガイド線53a、53bの接線に直交する。各切
断平面57a〜57fでは、第1ガイド線53aと切断
平面57a〜57fとが交差する位置で第1ガイド点5
4aは特定されることができ、第2ガイド線53bと切
断平面57a〜57fとが交差する位置で第2ガイド点
54bは特定されることができる。
【0047】こうして各切断平面57a〜57f上で第
1および第2ガイド点54a、54bの位置が特定され
ると、NC加工プログラム作成ソフトウェアは、前述の
ように2つのガイド点54a、54bと重心55との位
置関係に基づき、切断平面57a〜57f上で重心55
の位置を特定する。こうして算出された重心55が順番
に連結されていくと、例えば図11に示されるように、
重心線59は描き出されることができる。
【0048】重心55同士を順番に結ぶにあたって、N
C加工プログラム作成ソフトウェアは、例えばパラメト
リック曲線で表現される第1ガイド線53aを参照すれ
ばよい。NC加工プログラム作成ソフトウェアは、ま
ず、各切断平面57a〜57f上で第1ガイド線53a
の方向ベクトルを特定する。こうした方向ベクトルは重
心55の位置に平行移動させられる。その結果、隣接す
る2枚の切断平面57a〜57f同士の間では始点ベク
トルおよび終点ベクトルが特定される。こうして特定さ
れた始点ベクトルおよび終点ベクトルの間に第1ガイド
線53aと同一次数のパラメトリック曲線は描き出され
る。パラメトリック曲線は始点ベクトルから終点ベクト
ルに向かって等変化率で曲率を変化させることができ
る。こうしたパラメトリック曲線が次々に描き出されて
いく結果、滑らかで精度の高い重心線59は得られる。
その他、こうして得られる重心線59の精度を高めるに
は、重心55同士の間隔すなわち切断平面57a〜57
f同士の間隔は狭められることが望ましい。重心線59
は長尺製品51の曲がり具合を表現する。
【0049】こうした重心線59は例えばベジエ曲線や
Bスプライン曲線、NURBS(非一様有理Bスプライ
ン)曲線といったパラメトリック曲線で表現されること
ができる。こうした表現方法では、例えば図12に示さ
れるように、曲線61の曲がり具合は複数の制御点6
2、63によって規定されることができる。こういった
制御点62、63には、表現される曲線61上で座標値
を与えるノット62が必ず含まれる。ノット62の配置
は、隣接するノット62間を結ぶ直線64と、表現され
る曲線61との乖離すなわちトレランスTOLに基づき
決定される。トレランスTOLが一定に保持される結
果、曲率の大きな曲線61部分ではノット62の間隔は
狭められ、反対に曲率の小さな曲線61部分ではノット
62の間隔は広げられる。しかも、トレランスTOLが
大きくなればノット62の間隔は広げられ、トレランス
TOLが小さくなればノット62の間隔は狭められる。
長尺材11の送り位置はノット62ごとに特定される。
送り量は、隣接するノット62間で測定される曲線61
の長さによって決定される。
【0050】こうして重心線59に沿って長尺材11の
送り位置が特定されると、NC加工プログラム作成ソフ
トウェアは、例えば図13に示されるように、長尺製品
51の三次元形状を特定する全体座標系XYZに、固定
型12を基準に特定される局部座標系すなわち機械座標
系xyzを規定する。こうした機械座標系xyzは、前
述のように重心線59上で特定されたノット62ごとに
規定される断面65a〜65fを基準に設定されればよ
い。
【0051】各断面65a〜65fを特定するにあたっ
て、NC加工プログラム作成ソフトウェアは、例えば図
14に示されるように、各ノット62ごとに重心線59
に対して接線ベクトル66を算出する。各ノット62で
は、この接線ベクトル66に直交する切断平面67が特
定されることができる。この切断平面67に描き出され
る長尺製品51の断面形状によって各断面65a〜65
fは特定されることができる。こうしてパラメトリック
曲線で表現される重心線59に従って各断面65a〜6
5fが特定されると、長尺製品51の曲率が大きくなれ
ばなるほど断面65a〜65fの枚数は増加し、きめ細
かく可動型13の移動を制御することが可能となる。し
かも、トレランスTOLの大きさを意図的に変更すれ
ば、長尺製品51に要求される寸法精度に応じて断面6
5a〜65fの枚数は意図的に変更されることが可能と
なる。
【0052】各切断平面67に長尺製品51の断面形状
を描き出すにあたって、NC加工プログラム作成ソフト
ウェアは、固定型12の貫通孔24と機械座標系xyz
との位置関係を取得する。この取得には例えばGUIが
用いられればよい。すなわち、操作者は、例えば図15
に示されるように、コンピュータ装置43の画面上に描
き出された長尺製品51の断面形状に対して機械座標系
xyzを位置合わせすればよい。このとき、機械座標系
xyzのx座標軸やy座標軸の向きは、固定型12に形
成される貫通孔24の形状すなわち中心軸22回りの向
きに応じて設定される。z座標軸の向きは固定型12の
中心軸22に一致する。固定型12の中心軸22は、例
えば長尺製品51の断面形状で特定される重心位置Gに
一致することが望ましい。
【0053】各断面65a〜65fごとに機械座標系x
yzが設定されると、NC加工プログラム作成ソフトウ
ェアは、例えば図16に示されるように、重心線59に
基づき可動型13の位置や姿勢を特定する。この特定に
あたって、NC加工プログラム作成ソフトウェアは、ま
ず、機械座標系xyz上で固定型12および可動型13
の間のアプローチ距離Lを特定する。このアプローチ距
離Lは、固定型12側貫通孔24の出口と、基準位置に
位置決めされた可動型13との間で固定型12の中心軸
22方向に沿って測定される。こうしたアプローチ距離
Lは、例えば操作者の入力操作などを通じて予めNC加
工プログラム作成ソフトウェアに取り込まれればよい。
【0054】特定されたアプローチ距離Lに基づき機械
座標系xyz上には可動型13の移動平面HVが規定さ
れる。この移動平面HVを規定するにあたって、NC加
工プログラム作成ソフトウェアは、アプローチ距離Lに
基づき機械座標系xyz上のz座標値を規定すればよ
い。その結果、機械座標系xyzのxy平面はz座標軸
に沿ってアプローチ距離Lで平行移動させられる。こう
して移動平面HVが規定されると、NC加工プログラム
作成ソフトウェアは、移動平面HVと重心線59との交
差点68でx座標値やy座標値を算出する。算出された
x座標値やy座標値によって可動型13の幾何的位置は
特定されることができる。こうして特定された可動型1
3の幾何的位置には、単純に、形状データで特定される
長尺製品51の三次元形状が反映される。
【0055】このように機械座標系xyzに従って可動
型13のx座標値やy座標値を取得するにあたっては、
長尺製品51の三次元像が機械座標系xyzのyz平面
やxz平面に投影されればよい。例えば図17に示され
るように、長尺製品51の三次元像が機械座標系xyz
のyz平面に投影されると、投影された三次元像と移動
平面HVとの交差に基づき可動型13のy座標値は特定
されることができる。このとき、移動平面HV上で長尺
製品51の接線方向69が特定されれば、可動型13の
x軸回り回転角Aが導き出されることができる。図18
に示されるように、長尺製品51の三次元像が機械座標
系xyzのxz平面に投影されると、同様に、投影され
た三次元像と移動平面HVとの交差に基づき可動型13
のx座標値は特定されることができる。同時に、移動平
面HV上で長尺製品51の接線方向70が特定されれ
ば、可動型13のy軸回り回転角Bが導き出されること
ができる。
【0056】以上のように、可動型13の幾何的位置
は、押し通し曲げ加工機10の固定型12を基準に特定
される機械座標系xyzすなわち局部座標系に従って決
定される。しかも、局部座標系は、長尺製品51の長手
方向に規定される送り位置が変化するたびに規定し直さ
れる。したがって、固定型12と可動型13との間に形
成される長尺製品51の曲げ変形が必ず盛り込まれた上
で可動型13のx座標値やy座標値は特定される。
【0057】こうして可動型13の幾何的位置が特定さ
れると、NC加工プログラム作成ソフトウェアは、様々
な要因を考慮して幾何的位置に修正を加え、設計どおり
に精度の高い長尺製品51を生み出す可動型13の実加
工位置を導き出す。こうした実加工位置を導き出すにあ
たって、NC加工プログラム作成ソフトウェアは、例え
ば図19に示されるように、長尺材11の弾性曲げ復元
力すなわちスプリングバックを引き起こす弾塑性曲げ変
形量を特定する。
【0058】図19から明らかなように、こうした弾塑
性曲げ変形量を特定するにあたって、NC加工プログラ
ム作成ソフトウェアは、まず、形状データで特定される
加工後の長尺製品51の製品曲率1/Rbを取得する。
ここで、Rbは曲率半径を示す。この製品曲率1/Rb
は、前述のように機械座標系xyz上で特定された可動
型13の幾何的位置に基づき算出されればよい。すなわ
ち、図19で示される座標系は、機械座標系xyzの座
標原点と可動型13の幾何的位置とを含む1平面に沿っ
て規定される。ここでは、製品曲率1/Rbは、固定型
12側貫通孔24の出口と可動型13との間で測定され
る平均曲率によって代表される。
【0059】続いて、NC加工プログラム作成ソフトウ
ェアは、製品曲率1/Rbに基づき長尺材11に加えら
れる曲げモーメントMを算出する。曲げモーメントMに
は、固定型12側貫通孔24の出口と可動型13との間
で特定される曲げモーメント分布が用いられればよい。
ここでは、こうした曲げモーメントMに、固定型12側
貫通孔24の出口から可動型13までの平均曲げモーメ
ントが用いられる。こういった平均曲げモーメントに
は、例えば図19から明らかなように、固定型12側貫
通孔24の出口で算出される最大曲げモーメントMma
xの2分の1の値が用いられればよい。最大曲げモーメ
ントMmaxの算出方法の詳細は後述される。算出され
た最大曲げモーメントMmaxに基づき、NC加工プロ
グラム作成ソフトウェアは弾塑性曲げ変形量を算出す
る。弾塑性曲げ変形量は、例えば次式に従って算出され
ることができる。
【0060】
【数1】
【0061】この式[数1]によれば、弾塑性曲げ変形
量は、形状データで特定される加工後の長尺製品51の
製品曲率1/Rbを実現する際に必要とされる加工中の
実曲率1/Rcすなわち実曲率半径Rcによって表現さ
れる。ここで、係数Eは長尺材11のヤング率(縦弾性
係数)を示し、係数Iは長尺材11の断面二次モーメン
トを示す。
【0062】こういったヤング率Eや断面二次モーメン
トIは操作者の入力操作に基づき予めNC加工プログラ
ム作成ソフトウェアに取り込まれていればよい。このと
き、断面二次モーメントIは、前述のように長尺材11
の断面形状に重ね合わせられた機械座標系xyzを基準
に算出されてもよい。指定された機械座標系xyzに従
ってx軸回りの断面二次モーメントIxやy軸回りの断
面二次モーメントIy、断面相乗モーメントJxyが算
出されると、図15から明らかなように、次式に従っ
て、曲げ方向を規定する従法線ベクトルb回りで断面二
次モーメントIbは算出されることができる。
【0063】
【数2】
【0064】ただし、θb-x は、従法線ベクトルbと機
械座標系xyzのx座標軸との間で反時計回りに特定さ
れる角度を示す。ここで、断面二次モーメントIx、I
yおよび断面相乗モメントJxyは、
【0065】
【数3】
【0066】によって算出されることができる。ただ
し、係数Aは長尺製品51すなわち長尺材11の断面積
を示す。こうして算出される断面二次モーメントIb
よれば、長尺材11の各断面ごとに曲げ方向に応じて適
切な断面二次モーメントIは特定されることができる。
【0067】実曲率1/Rcが特定されると、NC加工
プログラム作成ソフトウェアは、実曲率1/Rcで描き
直される重心線71に基づき可動型13の実加工位置7
2を特定する。この実加工位置72は、機械座標系xy
zに従ってx座標値やy座標値で表現されてもよく、重
心線59に基づく幾何的位置73との差分値によって表
現されてもよい。
【0068】前述の最大曲げモーメントMmaxを算出
するにあたって、NC加工プログラム作成ソフトウェア
は、例えば固定型12側貫通孔24の出口で長尺製品5
1すなわち加工中の長尺材11の断面に沿って公称歪み
分布e(h)を特定する。ここで、公称歪み分布e
(h)は、図20から明らかなように、長尺製品51す
なわち長尺材11の断面上で曲率半径方向に沿って直線
的に変化することから、断面上で特定される重心55お
よび中立軸74の位置に基づき次式に従って幾何学的に
導き出されることができる。
【0069】
【数4】
【0070】ここで、係数ηは、曲率半径方向に測定さ
れる重心55から中立軸74までの距離すなわち偏倚を
示し、変数hは、曲率半径方向に測定される中立軸74
からの距離を示す。中立軸74では、周知のとおり、曲
げ変形に拘わらず長尺材11の長手方向長さは維持され
ることができる。中立軸74の特定方法の詳細は後述さ
れる。
【0071】こうして公称歪み分布e(h)が算出され
ると、NC加工プログラム作成ソフトウェアは、
【0072】
【数5】
【0073】に従って公称応力分布σ(h)を算出す
る。ここで、係数C3、C2、C1、C0は、例えば図
21に示されるように、引っ張り試験で描き出される応
力歪み曲線(S−S曲線)76に基づき決定される。す
なわち、式[数5]の多項式によれば、応力歪み曲線7
6に対する近似曲線77は導き出される。式[数5]に
示される多項式は、例えば、引っ張り試験で得られた応
力歪み曲線76の最大強度点78や降伏点79、両者の
中間点80といった3点によって比較的に簡単に特定さ
れることができる。ただし、NC加工プログラム作成ソ
フトウェアに応力歪み曲線76を認識させるにあたって
は、周知のとおり次式が用いられてもよい。
【0074】
【数6】
【0075】ただし、式[数6]中、Kおよびnは係数
を示す。その他、こういった公称応力分布σ(h)はい
わゆるFEM解析によって算出されてもよい。算出され
た公称応力分布σ(h)によれば、任意の断面の最大曲
げモーメントMmaxは、
【0076】
【数7】
【0077】によって表現されることができる。
【0078】一般に、アルミニウム材を始めとする長尺
材11は弾性変形を経て塑性変形に至る。こういった長
尺材11が用いられる場合には、可動型13から曲げ変
形が加えられても、長尺材11が可動型13から解放さ
れると同時に弾性復元力いわゆるスプリングバックに応
じて加工後の長尺製品51に形状誤差が生じてしまう。
前述のように導き出された弾塑性曲げ変形量に応じて可
動型13の実加工位置が特定されれば、そういった弾性
復元力いわゆるスプリングバックに起因する長尺製品5
1の形状誤差は十分に解消されることができる。特に、
そういった弾塑性曲げ変形量は曲げモーメントMに基づ
き幾何学的に算出されることから、実測データの収集と
いった手間をできる限り省くことが可能となる。
【0079】ここで、前述の中立軸74の特定方法を詳
述する。中立軸74の特定にあたって、NC加工プログ
ラム作成ソフトウェアは、次式に式[数4]および式
[数5]を代入して数値積分および収束計算を実施す
る。
【0080】
【数8】
【0081】その結果、前述の係数η、すなわち、曲率
半径方向に測定される重心55から中立軸74までの距
離は算出される。
【0082】いま、例えば図22に示されるように、可
動型13で長尺材11に対して曲率半径方向に荷重Fが
作用する場面を想定する。固定型12側貫通孔24の出
口では長尺材11内で軸方向に圧縮力Pcが特定される
と、
【0083】
【数9】
【0084】は得られる。圧縮力Pcは長尺材11の公
称応力分布σ(h)の総和に等しいことから、
【0085】
【数10】
【0086】は得られる。一方、曲げモーメントMは前
述のように式[数7]で特定されることができることか
ら、式[数7]および式[数10]が式[数9]に代入
されると、
【0087】
【数11】
【0088】は得られる。この式[数11]が整理され
ると、
【0089】
【数12】
【0090】は導き出される。このように式[数12]
に従えば、中立軸74の位置は特定されることができ
る。
【0091】以上のような弾塑性曲げ変形量に加えて、
NC加工プログラム作成ソフトウェアは、例えば図23
に示されるように、固定型12側貫通孔24の出口で長
尺材11の出口回り折れ角量βを特定してもよい。こう
いった出口回り折れ角量βは、貫通孔24の出口で生じ
る弾性折れ変形や塑性折れ変形といった剪断変形や断面
変形すなわち窪み82によって引き起こされる。出口回
り折れ角量βが特定されると、NC加工プログラム作成
ソフトウェアは、機械座標系xyzに従って貫通孔24
の出口回りで重心線59を回転させる。重心線59は、
機械座標系xyzの座標原点と可動型13の幾何的位置
とを含む1平面に沿って出口回り折れ角量βで回転すれ
ばよい。NC加工プログラム作成ソフトウェアは、回転
した重心線59と移動平面HVとの交点に基づき可動型
13の実加工位置83を特定する。この実加工位置83
は、機械座標系xyzに従ってx座標値やy座標値で表
現されてもよく、重心線59に基づく幾何的位置との差
分値によって表現されてもよい。
【0092】特に、中空の長尺材11では、固定型12
および可動型13の間で曲げ変形が引き起こされる際
に、固定型12側貫通孔24の出口で長尺材11に大き
な剪断力が作用する。こういった剪断力は固定型12側
貫通孔24の出口で弾性折れ変形や塑性折れ変形といっ
た剪断変形を引き起こす。しかも、固定型12側貫通孔
24の出口では長尺材11に断面変形すなわち窪み82
が生じてしまう。こうした窪み82によれば、固定型1
2側貫通孔24の出口で折れ変形は引き起こされる。こ
れら剪断変形や断面変形に起因する折れ変形が引き起こ
される結果、固定型12および可動型13の間では形状
データに基づく幾何的な位置関係どおりに十分な曲げ変
形は引き起こされることはできない。長尺材11が可動
型13から解放されると同時に折れ変形に応じて加工後
の長尺製品51に形状誤差が生じてしまう。前述のよう
に導き出された出口回り折れ角量βに応じて可動型13
の実加工位置83が特定されれば、そういった出口回り
の折れ角に起因する長尺製品51の形状誤差は十分に解
消されることができる。
【0093】ここで、出口回り折れ角量βは、例えば図
24に示されるように、実測データに基づき特定されれ
ばよい。この実測データによれば、
【0094】
【数13】
【0095】に従って出口回り折れ角量β[゜]は算出
されることができる。ここで、係数K1は、実測データ
に基づき算出される比例係数を示す。
【0096】こうした実測データを取得するにあたって
は、様々な断面形状や材質、大きさで特定される長尺材
11が実際に押し通し曲げ加工機10で加工されればよ
い。このとき、固定型12および可動型13の間で長尺
材11の形状は実測される。こうした実測によって曲げ
変形の曲率は明らかとされる。例えば図23から明らか
なように、曲げ変形の曲率半径Rdを導き出すにあたっ
て、少なくとも3点の計測点85が選択されればよい。
【0097】こうして固定型12および可動型13の間
で長尺材11の曲げ変形を表現する曲線86が特定され
ると、固定型12側貫通孔24の出口で曲線86に対す
る接線87が描き出される。この接線87と機械座標系
xyzのz座標軸との角度によって出口回り折れ角量β
は特定されることができる。こうして実測された出口回
り折れ角量βが係数M/EIに対してプロットされる
と、図24に示される実測データは得られることができ
る。ここでは、3種類のアルミニウム材(JIS606
3−O、JIS6063−T1およびJIS6063−
T5)に対して出口回り折れ角量βが実測された。実測
にあたって、固定型12および可動型13の間で3通り
のアプローチ距離L=60mm、90mm、133mm
が設定された。この実測データによれば、長尺材11の
断面形状や材料特性の違いに拘わらず、出口回り折れ角
量βを算出するにあたって同一の係数K1が用いられる
ことができることが明らかとされる。
【0098】同様に、NC加工プログラム作成ソフトウ
ェアは、例えば図25に示されるように、固定型13側
貫通孔24の出口で長尺材11の断面変形すなわち窪み
82に起因する断面変形量d1を同時に特定してもよ
い。特定された断面変形量d1は、曲率半径方向すなわ
ち曲げ方向に沿って前述の幾何的位置に加えられればよ
い。こうして幾何的位置に断面変形量d1が加えられる
と、可動型13の実加工位置は特定されることができ
る。この実加工位置は、前述と同様に、機械座標系xy
zに従ってx座標値やy座標値で表現されてもよく、重
心線59に基づく幾何的位置との差分値によって表現さ
れてもよい。
【0099】特に、中空の長尺材11では、固定型12
および可動型13の間で曲げ変形が引き起こされる際
に、固定型12側貫通孔24の出口で断面変形が生じて
しまう。こうした断面変形には、前述の窪み82のほ
か、曲率半径方向に沿った断面の潰れなどが含まれる。
こうした断面変形が引き起こされている間に可動型13
が移動しても、長尺材11には十分な塑性曲げ変形は生
じることはない。したがって、固定型12および可動型
13の間では形状データに基づく幾何的な位置関係どお
りに十分な曲げ変形は引き起こされることはできず、加
工後の長尺製品51に形状誤差が生じてしまう。前述の
ように導き出された断面変形量d1に応じて可動型13
の実加工位置が特定されれば、そういった断面変形に起
因する長尺製品51の形状誤差は十分に解消されること
ができる。
【0100】ここで、断面変形量d1は、例えば図26
に示されるように、実測データに基づき特定されればよ
い。この実測データによれば、
【0101】
【数14】
【0102】に従って断面変形量d1[mm]は算出さ
れることができる。ここで、係数K2は、実測データに
基づき算出される比例係数を示す。
【0103】こうした実測データを取得するにあたって
は、様々な断面形状や材質、大きさで特定される長尺材
11が実際に押し通し曲げ加工機10で加工されればよ
い。このとき、固定型12側貫通孔24の出口で長尺材
11の断面形状は実測される。こうして実測された断面
変形量d1が荷重Fに対してプロットされると、図26
に示される実測データは得られることができる。ここで
は、2種類のアルミニウム材(JIS6063−T1お
よびJIS6063−T5)に対して断面変形量d1は
実測された。実測にあたって、固定型12および可動型
13の間で3通りのアプローチ距離L=60mm、90
mm、133mmが設定された。この実測データによれ
ば、長尺材11の断面形状や材料特性の違いに拘わら
ず、断面変形量d1を算出するにあたって同一の係数K
2が用いられることができることが明らかとされる。
【0104】さらに、NC加工プログラム作成ソフトウ
ェアは、例えば図27に示されるように、固定型12お
よび可動型13に対する長尺材11のクリアランス量d
2すなわちガタに起因するクリアランス量を特定しても
よい。特定されたクリアランス量d2は、曲率半径方向
すなわち曲げ方向に沿って前述の幾何的位置に加えられ
ればよい。こうして幾何的位置にクリアランス量d2が
加えられると、可動型13の実加工位置は特定されるこ
とができる。この実加工位置は、前述と同様に、機械座
標系xyzに従ってx座標値やy座標値で表現されても
よく、重心線59に基づく幾何的位置との差分値によっ
て表現されてもよい。
【0105】クリアランス量d2[mm]は実測値に基
づき特定されればよい。実測値を取得するにあたって
は、様々な断面形状や材質、大きさで特定される長尺材
11が実際に押し通し曲げ加工機10で加工されればよ
い。このとき、可動型13が移動し始めてから、長尺材
11が固定型12側貫通孔24に接触するまでに可動型
13の移動距離は測定される。こうして測定された移動
距離によってクリアランス量d2は特定されることがで
きる。例えばクリアランス量d2は長尺材11の寸法公
差の大きさに応じて分類されることが望ましい。すなわ
ち、クリアランス量d2の実測に先立って長尺材11の
外形寸法は実測される。実測された外形寸法ごとに長尺
材11のクリアランス量d2は実測される。
【0106】一般に、長尺材11の寸法精度には所定範
囲の公差すなわちばらつきが許容される。こういった公
差に拘わらず固定型12や可動型13の貫通孔24、2
8に対して長尺材11を確実に通過させるには、長尺材
11の設計寸法と貫通孔24、28の寸法との間にクリ
アランスすなわちガタを持たせる必要がある。たとえ公
差が存在しなくても、固定型12や可動型13の貫通孔
24、28に対して長尺材11をスムーズに通過させる
には、長尺材11の外形と貫通孔24、28の内面との
間にクリアランスすなわちガタを持たせる必要がある。
こうしたクリアランスが解消されて固定型12や可動型
13が完全に長尺材11に接触するまで、可動型13が
移動しても長尺材11には実質的に曲げ変形は生じるこ
とはない。したがって、固定型12および可動型13の
間では形状データに基づく幾何的な位置関係どおりに十
分な曲げ変形は引き起こされることはできず、加工後の
長尺製品51に形状誤差が生じてしまう。前述のように
導き出されたクリアランス量d2に応じて可動型13の
実加工位置が特定されれば、そういったクリアランスす
なわちガタに起因する長尺製品51の形状誤差は十分に
解消されることができる。ただし、実加工位置を特定す
るにあたって使用されるクリアランス量d2は、固定型
12および可動型13で生じる2つのクリアランス量の
総和を表現する必要がある。
【0107】なお、押し通し曲げ加工機10では、前述
の曲げ変形に加えて、同時に捻り変形が実現されてもよ
い。こうした捻り変形は振り子部材19の回転によって
実現されればよい。このとき、NCコントローラ42に
供給されるNC加工プログラムには、前述のように長尺
材11の送り位置ごとに関連付けられた振り子部材19
の回転位置といった制御データが含まれればよい。NC
コントローラ42は、そういった回転位置を確立する駆
動モータ23の回転量を規定する駆動指令値を押し通し
曲げ加工機10に向けて出力する。
【0108】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、できる限
り実測データの収集の手間を省きながらも、高い精度で
押し通し曲げ加工を実現する制御データは生成されるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 押し通し曲げ加工機の全体構成を概略的に示
す側面図である。
【図2】 固定型の拡大正面図である。
【図3】 可動型の拡大正面図である。
【図4】 押し通し曲げ加工システムの全体構成を概略
的に示す模式図である。
【図5】 機械座標系の概念を示す固定型の斜視図であ
る。
【図6】 長尺製品の構成を概略的に示す斜視図であ
る。
【図7】 NC加工プログラムの一具体例を示す図であ
る。
【図8】 二次元データで表現される長尺製品の断面形
状を示す平面図である。
【図9】 三次元データで表現される長尺製品の稜線を
示す概念図である。
【図10】 2本のガイド線に基づき特定される重心線
を示す概念図である。
【図11】 長尺製品の曲がり具合を表現する重心線を
示す概念図である。
【図12】 重心線上で特定される制御点を示す概念図
である。
【図13】 長尺製品の各断面ごとに関連付けられる機
械座標系を示す透視図である。
【図14】 重心線に基づき特定される長尺製品の断面
を示す概念図である。
【図15】 断面に対する機械座標系の向きを設定する
にあたって用いられるGUI(グラフィカルユーザイン
ターフェース)を概略的に示す図である。
【図16】 重心線に基づき特定される可動型の位置を
示す概念図である。
【図17】 yz平面に投影された長尺製品からy座標
値を算出する工程を示す概念図である。
【図18】 xz平面に投影された長尺製品からx座標
値を算出する工程を示す概念図である。
【図19】 弾塑性曲げ変形量を算出する工程を示す概
念図である。
【図20】 曲げモーメントを算出する工程を示す概念
図である。
【図21】 応力歪み曲線の近似曲線を算出する工程を
示す概念図である。
【図22】 中立軸の位置を算出する工程を示す概念図
である。
【図23】 剪断変形および断面変形に起因する出口回
り折れ角量の概念図である。
【図24】 出口回り折れ角量の実測データを示すグラ
フである。
【図25】 断面変形量の概念図である。
【図26】 断面変形量の実測データを示すグラフであ
る。
【図27】 クリアランスすなわちガタの概念図であ
る。
【符号の説明】
10 押し通し曲げ加工機、11 長尺材(形材)、1
2 固定型、13 可動型、43 コンピュータ装置、
44 記録媒体としてのフロッピーディスク(FD)、
45 記録媒体としてのコンパクトディスク(CD)、
51 長尺製品、52 長尺材の断面、68 幾何的位
置を特定する交差点、72 実加工位置、73 幾何的
位置、d1 断面変形量、d2 クリアランス量、Rc
弾塑性曲げ変形量を表現する実曲率半径、e(h)
歪み分布、β 出口回り折れ角量。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廻 秀夫 埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダエ ンジニアリング株式会社内 (72)発明者 影山 善浩 埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダエ ンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 4E063 AA08 BC15 CA20 FA05 JA07 LA03 LA07 LA17 LA19 LA20

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺製品の形状を表現する形状データに
    基づき押し通し曲げ加工機の可動型の幾何的位置を算出
    する工程と、形状データで特定される長尺製品の曲率に
    基づき、長尺材に加えられる曲げモーメントを算出する
    工程と、算出された曲げモーメントに基づき、長尺材に
    引き起こされる弾塑性曲げ変形量を算出する工程と、算
    出された弾塑性曲げ変形量および幾何的位置に基づき可
    動型の実加工位置を算出する工程とを備えることを特徴
    とする押し通し曲げ加工機用制御データ作成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の押し通し曲げ加工機用
    制御データ作成方法において、前記弾塑性曲げ変形量
    は、曲げモーメントM、ヤング率Eおよび断面二次モー
    メントIを用いて表現されることを特徴とする押し通し
    曲げ加工機用制御データ作成方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の押し通し曲げ
    加工機用制御データ作成方法において、前記曲げモーメ
    ントを算出するにあたって、前記長尺材の断面に沿って
    歪み分布が特定されることを特徴とする押し通し曲げ加
    工機用制御データ作成方法。
  4. 【請求項4】 長尺製品の形状を表現する形状データに
    基づき押し通し曲げ加工機の可動型の幾何的位置を算出
    する工程と、形状データで特定される長尺製品の曲率に
    基づき、長尺材に加えられる曲げモーメントを算出する
    工程と、算出された曲げモーメントに基づき、長尺材に
    引き起こされる弾塑性曲げ変形量を算出する工程と、算
    出された弾塑性曲げ変形量および幾何的位置に基づき可
    動型の実加工位置を算出する工程とをコンピュータに実
    現させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可
    能な記録媒体。
  5. 【請求項5】 長尺製品の形状を表現する形状データに
    基づき押し通し曲げ加工機の可動型の幾何的位置を算出
    する工程と、押し通し曲げ加工機の固定型の出口で長尺
    材の剪断変形および断面変形に基づき引き起こされる長
    尺材の出口回り折れ角量を取得する工程と、取得された
    出口回り折れ角量および可動型の幾何的位置に基づき可
    動型の実加工位置を算出する工程とを備えることを特徴
    とする押し通し曲げ加工機用制御データ作成方法。
  6. 【請求項6】 長尺製品の形状を表現する形状データに
    基づき押し通し曲げ加工機の可動型の幾何的位置を算出
    する工程と、押し通し曲げ加工機の固定型の出口で長尺
    材の剪断変形および断面変形に基づき引き起こされる長
    尺材の出口回り折れ角量を取得する工程と、取得された
    出口回り折れ角量および可動型の幾何的位置に基づき可
    動型の実加工位置を算出する工程とをコンピュータに実
    現させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可
    能な記録媒体。
  7. 【請求項7】 長尺製品の形状を表現する形状データに
    基づき押し通し曲げ加工機の可動型の幾何的位置を算出
    する工程と、少なくとも押し通し曲げ加工機の固定型お
    よび可動型のいずれか一方に対する長尺材のクリアラン
    ス量を取得する工程と、取得されたクリアランス量およ
    び可動型の幾何的位置に基づき可動型の実加工位置を算
    出する工程とを備えることを特徴とする押し通し曲げ加
    工機用制御データ作成方法。
  8. 【請求項8】 長尺製品の形状を表現する形状データに
    基づき押し通し曲げ加工機の可動型の幾何的位置を算出
    する工程と、少なくとも押し通し曲げ加工機の固定型お
    よび可動型のいずれか一方に対する長尺材のクリアラン
    ス量を取得する工程と、取得されたクリアランス量およ
    び可動型の幾何的位置に基づき可動型の実加工位置を算
    出する工程とをコンピュータに実現させるプログラムを
    記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  9. 【請求項9】 長尺製品の形状を表現する形状データに
    基づき押し通し曲げ加工機の可動型の幾何的位置を算出
    する工程と、押し通し曲げ加工機の固定型の出口で長尺
    材の断面変形量を取得する工程と、取得された断面変形
    量および可動型の幾何的位置に基づき可動型の実加工位
    置を算出する工程とを備えることを特徴とする押し通し
    曲げ加工機用制御データ作成方法。
  10. 【請求項10】 長尺製品の形状を表現する形状データ
    に基づき押し通し曲げ加工機の可動型の幾何的位置を算
    出する工程と、押し通し曲げ加工機の固定型の出口で長
    尺材の断面変形量を取得する工程と、取得された断面変
    形量および可動型の幾何的位置に基づき可動型の実加工
    位置を算出する工程とをコンピュータに実現させるプロ
    グラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒
    体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101604449B1 (ko) 2014-02-26 2016-03-17 경상대학교 산학협력단 시뮬레이션 장치
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CN117077312B (zh) * 2023-08-17 2024-04-26 捷安特(中国)有限公司 模具确定方法、装置、电子设备及存储介质

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