JP2001162115A - 金属ろ材を用いた真空ろ過機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 金属ろ材を用いた回転円筒型の真空ろ過機に
関し、処理原液の性状によりろ材を組合せてスクリーン
の目を小さくして、剥離性があり、強度のあるろ材を提
供するものである。 【解決手段】 真空ドラム１の一部を原液中に浸漬させ
て原液槽２に回転自在に支架すると共に、真空ドラムの
周部に設けた多数のろ過室４に金属ろ材を配設したろ過
機において、ろ材としてウエッジワイヤー８を配設し、
このスリット面をろ過面とすると共に、真空ドラムの回
転後方部の液面上のウエッジワイヤーにスクレーパー９
を当設したもので、スリットにケーキを押込むこともな
く固形物の粒子径の大きいスラリーに適応できる。そし
て、ろ過室にウエッジワイヤーを配設した真空ドラムに
メタルスクリーン１０を張設すれば、細かい粒子も捕捉
できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、金属ろ材を用い
た回転円筒型の真空ろ過機に関し、特に、真空脱水され
たケーキの剥離性と耐久性のある金属ろ材の改良に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、回転円筒型真空ろ過機にろ材とし
てろ布を用いることは周知である。また、真空ドラムに
メタルスクリーンを配設し、粗目の剥離帯をメタルスク
リーン上に張設し、その一部を真空ドラムから分離して
ケーキを剥離させる装置は、例えば、実用新案登録第２
５３５９９８号公報において出願人が提案している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のろ材としてろ布を用いるものにあっては、ろ布に付
着したケーキは剥離し難く、目詰まりしたろ布からケー
キの取除きが困難であった。そのために、真空脱水機に
用いるろ布は、ケーキを剥離するために走行させるよう
にしている。そして、目詰りして変形したろ布は、当初
の形状に復帰させることが困難であり、しわ寄りの原因
となっていた。また、メタルスクリーンを用いたろ材に
あっては、ケーキの剥離性がよいものであるが、下水汚
泥等の濃縮された汚泥では、スクリーンの目が１ｍ／ｍ
φ程度では、粒子がスクリーンの目から抜けて回収率が
７０〜８０％と極めて悪く、回収率を高めるために、目
を小さくすると目詰まりしやすく、しかも、高圧をかけ
ると破損する恐れがあった。この発明は、処理原液の性
状によりろ材を組合せてスクリーンの目を小さくし、強
度と剥離性のあるろ材を提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明の要旨は、真空
ドラムの一部を原液中に浸漬させて原液槽に回転自在に
支架すると共に、真空ドラムの周部に設けた多数のろ過
室に金属ろ材を配設したろ過機において、上記ろ過室に
ろ材としてウエッジワイヤーを配設し、ウエッジワイヤ
ーのスリット側をろ過面とすると共に、真空ドラムの回
転後方部の液面上の真空ドラムにスクレーパーを当設し
たもので、ろ材のろ液通路が拡開されるのでろ液の排出
が良くなるものである。そして、上記ろ過室に配設した
ウエッジワイヤーの上面にメタルスクリーンを張設すれ
ば、ウエッジワイヤーでは適応できないスラリーの細か
い粒子も捕捉できるものである。

【０００５】ろ過対象スラリーの性状により、ウエッジ
ワイヤーに張設するメタルクリーンを複数枚重設し、重
設したスクリーンの目が上面層ほど細かい目のスクリー
ンとすれば、ろ材強度が大きくなり、しかも、積層した
スクリーンの目が裏面から順次細かくなり逆洗しやすく
なるものである。また、プレス装置を有する真空ろ過機
では、ろ過室に配設したウエッジワイヤーの強度が不足
する場合には、ウエッジワイヤーの下面に補強用のパン
チングメタルを敷設すれば、ウエッジワイヤーの補強が
できるものである。なお、金属ろ材は剥離性が良いの
で、真空ドラムに当設するスクレーパーを転着ロールと
してもよいものである。そして、スクレーパーが当設す
る真空ドラムの回転前段のろ過室からエアーブローを行
なう剥離ゾーンを設ければ、ケーキをろ過面から浮き上
がらせてスクレーパーで剥離しやすくなり、しかも、ろ
材面に目詰まりしようとするケーキも吹飛ばすことがで
きるものである。なお、ウエッジワイヤーのスリット側
を直接ろ過面としたものにあっては、スクレーパーがス
リットにケーキを押込むことがないものである。また、
メタルスクリーンの裏面のウエッジワイヤーは、真空ド
ラムの軸心方向にスリットを有する形状とすれば、製作
が容易となり、真空ドラムに当接するスクレーパーの抵
抗となることもないものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】この発明に係る装置は上記のよう
に構成してあり、ろ過対象スラリーを原液槽に供給しな
がら原液槽に浸漬させた真空ドラムを回転させると、真
空ドラムにろ液が吸引されて原液中のフロックが真空ド
ラムのろ過面に吸着される（吸着ゾーン）。吸着された
フロックは液面上のろ過面で脱水され（脱水ゾーン）、
次に、エアーブローでろ過面の金属ろ材から浮き上がら
せたケーキ（剥離ゾーン）をスクレーパーまたは転着ロ
ールで剥離して排出する。真空ドラムのろ過室に吸引さ
れたろ液は機外に取出される。従来の金属スクリーンと
比較して原液の性状に応じてそのスクリーンの目が細か
くでき、小さな粒子も補捉して回収率を高めることがで
きる。そして、ろ過面に支持された複数枚のメタルスク
リーンが重合されて、高圧力にも耐え高脱水作業にも対
応し得るものである。メタルスクリーンが目詰まりした
時には、ろ過面の裏面からエアーブローを行なって、あ
るいはろ過室に高圧水を圧入すれば（逆洗ゾーン）、メ
タルスクリーンに付着した目詰り物を取除くことができ
る。

【０００７】

【実施例】この発明に係るろ過機のろ材について、図面
に基づき詳述すると、先ず、図１において、符号１は原
液槽２にその一部を浸漬させて回転自在に支架した真空
ドラムであって、図２及び図３に示すように、真空ドラ
ム１の周部の幅方向に仕切板３で区画されて多数のろ過
室４…が設けてある。そして、各ろ過室４には吸引管５
が連結してあり、この吸引管５…の始端部が真空ドラム
１の軸心部に設けた回転弁６の小孔７…に接続してあ
る。この回転弁６に固定弁（図示せず）が摺接してあ
り、真空ドラム１が水没しているろ過室４に連通する回
転弁６の小孔７が、固定弁を介して真空ポンプ（図示せ
ず）の真空源に連通してろ過室４を真空吸引するように
なっている。そして、液面上の剥離ゾーンＣにある真空
ドラム１のろ過室４に連通する回転弁６の小孔７が、固
定弁を介してコンプレッサー（図示せず）に連通してろ
過室４に圧縮空気を送込むようになっている。

【０００８】ろ過室４のろ過面にはウエッジワイヤー８
が配設してあり、浮遊物質の粒子径が大きいスラリーに
対しては、直接ろ材として使用できるものであり、図１
に示す実施例にあっては、表面のスリットでスラリー中
の浮遊物質を捕捉して、裏面に向って拡開された通孔８
ａがろ液の排出を良好とするものである。このウエッジ
ワイヤー８は真空ドラム１の回転方向にスリットを有す
る形状とすれば、剥離ゾーンＣの後端の真空ドラム１に
当接したスクレーパー９がスリットにケーキを押込むこ
ともないものである。また、ウエッジワイヤー８だけで
は粒子の細かい固形物を充分に捕捉できないスラリーに
対しては、図３及び図４に示すように、ウエッジワイヤ
ー８をろ材の支持層としてその表面にメタルスクリーン
１０を張設すれば、剥離性を損なうことなく粒子の細か
い浮遊物質に対しても目抜けすることなく捕捉できるも
のである。

【０００９】このメタルクリーン１０はろ過対象スラリ
ーにより複数枚の使用が可能となるものであって、重設
したスクリーンの目が上面層ほど細かい目のスクリーン
とすれば、重合したスクリーンの目が細かくなり浮遊物
質の目抜けもなく、精密ろ過が行なえるものである。な
お、真空ドラム１に巻き掛けたメタルスクリーン１０は
仕切板３の凹溝にゴムロープ１１を圧入すれば、ウエッ
ジワイヤー８の表面にメタルスクリーン１０を張設する
ことができるものである。ゴムロープ１１は丸棒でもよ
く、あるいはビスでメタルスクリーン１０を仕切板３に
固定してもよいものである。そして、図５の実施例にお
いては、ウエッジワイヤー８の上面に荒目スクリーン１
０ａが敷設してあり、その上部の中間層に中目スクリー
ン１０ｂを介装して、表面層に細目スクリーン１０ｃを
張設してある。これらの金属ろ材の組み合わせはウエッ
ジワイヤー８単体またはウエッジワイヤー８とメタルス
クリーン１０の組合わせからなっており、ろ過対象スラ
リーの性状と、必要とするろ液の清澄性によりその構成
を決定するものである。なお、メタルスクリーン１０を
張設したウエッジワイヤー８は、図１及び図３の実施例
のように、真空ドラム１の軸心方向にスリットを有する
形状とすれば製作が容易となるものである。

【００１０】ウエッジワイヤー８だけではろ材の強度が
不足する場合には、図５に示すように、ウエッジワイヤ
ー８の裏面からパンチングメタル１２を当接すれば強度
が増加され、脱水ゾーンの真空ドラム１にプレス装置
（図示せず）を配設しても、ろ過面が高圧搾に耐え得る
ものである。なお、真空ドラム１の剥離ゾーンＣと吸着
ゾーンＡの間に逆洗ゾーンＤを設け、目詰まり発生時に
逆洗水または圧縮空気を吸引管からろ過室４に供給して
金属ろ材を洗浄してもよいものである。

【００１１】

【発明の効果】以上のように、この発明の真空ろ過機
は、ろ過対象スラリーの性状と必要とするろ液の清澄性
により、金属ろ材をウエッジワイヤー単体またはウエッ
ジワイヤーとメタルスクリーンを組合せることができ、
脱水されたケーキの剥離性と耐久性のあるろ材とするこ
とができる。即ち、従来のろ材として使用するろ布は、
付着したケーキの取除きが困難でしわ寄りの原因となっ
ていたものであり、メタルスクリーンを用いたろ材は、
粒子がスクリーンの目から抜けて回収率が悪く、スクリ
ーンの目を小さくすると目詰まりする欠点があったもの
であるが、この発明にあっては、ろ材として断面積が楔
形のウエッジワイヤーを使用したので、洗浄が容易であ
り、ろ液の排出も良好となるものである。そして、ウエ
ッジワイヤーの表面にメタルスクリーンを張設すれば細
かい粒子も捕捉できるものであり、ろ過対象スラリーの
性状により、上面層ほど細かい目のメッシュスクリーン
を重設すれば、従来のメタルスクリーンを単独で使用し
たろ材と比較して、ろ材を重ねることによりスクリーン
の目が細かくなり、精密ろ過が可能となりろ材強度も増
加されるものである。そして、メタルスクリーンの下面
層ほどスクリーンの目が大きくなるので、表面層のろ材
を通過したろ液は良好に排出されるものであり、目詰ま
り物もろ材の裏面から簡単に洗浄できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る金属ろ材を用いた真空ろ過機の
一部縦断側面図である。

【図２】この発明に係る真空ドラムの斜視図である。

【図３】同じく、ろ材を張設した真空ドラムのろ過室の
要部縦断側面図である。

【図４】同じく、ろ過室に張設するろ材の要部縦断側面
図である。

【図５】同じく、他のろ材の実施例を示す要部縦断側面
図である。

【符号の説明】

１ 真空ドラム ２ 原液槽 ４ ろ過室 ８ ウエッジワイヤー ９ スクレーパー １０ メタルスクリーン １２ パンチングメタル Ｃ 剥離ゾーン

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 真空ドラム（１）の一部を原液中に浸漬
   させて原液槽（２）に回転自在に支架すると共に、真空
   ドラム（１）の周部に設けた多数のろ過室（４）に金属
   ろ材を配設したろ過機において、上記ろ過室（４）にろ
   材としてウエッジワイヤー（８）を配設し、このウエッ
   ジワイヤー（８）のスリット側をろ過面とすると共に、
   真空ドラム（１）の回転後方部の液面上のウエッジワイ
   ヤー（８）にスクレーパー（９）を当設したことを特徴
   とする金属ろ材を用いた真空ろ過機。
2. 【請求項２】 上記ろ過室（４）に配設したウエッジワ
   イヤー（８）の上面にメタルスクリーン（１０）を張設
   したことを特徴とする請求項１記載の金属ろ材を用いた
   真空ろ過機。
3. 【請求項３】 上記メタルスクリーン（１０）を複数枚
   重設し、重設したスクリーンの目が上面層ほど細かい目
   のスクリーンとしたことを特徴とする請求項２記載の金
   属ろ材を用いた真空ろ過機。
4. 【請求項４】 上記ろ過室に配設したウエッジワイヤー
   （８）の下面に補強用のパンチングメタル（１２）を敷
   設したことを特徴とする請求項１乃至３記載の金属ろ材
   を用いた真空ろ過機。
5. 【請求項５】 上記真空ドラム（１）に当設するスクレ
   ーパー（９）が転着ロールであることを特徴とする請求
   項１記載の金属ろ材を用いた真空ろ過機。
6. 【請求項６】 上記スクレーパー（９）が当設する真空
   ドラム（１）の回転前段のろ過室（４）からエアーブロ
   ーを行なう剥離ゾーン（Ｃ）を設けたことを特徴とする
   請求項１乃至５記載の金属ろ材を用いた真空ろ過機。
7. 【請求項７】 上記ウエッジワイヤー（８）は、真空ド
   ラム（１）の回転方向にスリットを有することを特徴と
   する請求項１記載の金属ろ材を用いた真空ろ過機。
8. 【請求項８】 上記ウエッジワイヤー（８）は、真空ド
   ラム（１）の軸心方向にスリットを有することを特徴と
   する請求項１記載の金属ろ材を用いた真空ろ過機。