JP2001161356A - ウイルス濃縮用粒子、該粒子を使用するウイルス濃縮方法およびウイルス検出方法 - Google Patents

ウイルス濃縮用粒子、該粒子を使用するウイルス濃縮方法およびウイルス検出方法

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JP2001161356A
JP2001161356A JP34904199A JP34904199A JP2001161356A JP 2001161356 A JP2001161356 A JP 2001161356A JP 34904199 A JP34904199 A JP 34904199A JP 34904199 A JP34904199 A JP 34904199A JP 2001161356 A JP2001161356 A JP 2001161356A
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virus
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acid
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Kouei Satou
功栄 佐藤
Kenji Tanaka
建志 田中
Mitsuhiro Murata
充弘 村田
Shozo Nishida
昌三 西田
Mikio Hikata
幹雄 日方
Kiyoshi Kasai
澄 笠井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便な手段により、同時に多数の
検体を簡便に処理することのでき、核酸増幅検査に悪影
響を及ぼさないウイルス濃縮用粒子、並びにこの粒子を
使用するウイルス濃縮方法およびウイルス検出方法を提
供する。 【解決手段】 表面に1g当り平均1×10-10
量以上のアニオン性基(塩の状態を含む)を有し、粒径
が0.5〜150μmであるウイルス濃縮用粒子、並びに該粒
子を利用するウイルス濃縮方法およびウイルス検出方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【従来の技術】ウイルスはヒトや動植物のさまざまな病
気の原因の一つであり、その検査・診断のためには原因
ウイルスの確認が非常に重要である。従来のウイルス検
査・診断法としては、ウイルス抗原あるいは抗ウイルス
抗体の免疫学的測定が一般的である。しかしながら、ウ
イルス感染から数週間から数ヶ月は、ウイルス量あるい
は抗ウイルス抗体量が少ないため、これらの免疫学的測
定法では検出できない場合がある。この検出不可能な期
間はウインドウ・ピリオド(空白期間)と呼ばれてお
り、このような患者が献血を行った場合、その献血液は
十分な感染性を持つことが多く、不特定多数の輸血患者
・血液製剤利用患者に危険をおよぼす可能性がある。し
たがって、ウインドウ・ピリオドをできる限り短縮する
ため、免疫学的測定限界下のウイルスを高感度に検出で
きる技術の開発が急務とされている。
【0002】近年、ポリメラーゼチェインリアクション
法(以下PCR法)に代表される、核酸増幅技術によ
り、極微量のウイルスでも検出できる可能性が開けてき
た。しかしながら、PCR法などによっても極微量のウ
イルス検出は特殊な施設と高度な技術が必要とされ、一
般的な施設で簡便に実施することはきわめて困難であ
る。そこで、これらの問題解決のため、検体中のウイル
スを濃縮する手法が用いられている。
【0003】従来のウイルス濃縮法の代表は超遠心法が
あげられるが、高価な機器と長時間を要し、かつ同時に
多数の検体を処理することは困難であり簡便な方法とは
言い難い。また、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBs抗
原)がヘパリンと結合する性質から、ヘパリンセファロ
ース担体によるクロマトグラフィー法も報告されている
が、これも同時に多数の検体を処理することは困難であ
る。その他、硫酸アンモニウムやポリエチレングリコー
ル、ポリアニオンと2価イオンの組み合わせ等によりウ
イルスを沈殿させる方法があるが、混合する試薬にPC
R阻害がある等の問題からウイルスの沈殿分離後の試料
精製が必要であるという難点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
のウイルス濃縮法の問題点を解決し、簡便な手段によ
り、同時に多数の検体を簡便に処理することのでき、核
酸増幅検査に悪影響を及ぼさないウイルス濃縮用粒子並
びにこの粒子を使用するウイルス濃縮方法およびウイル
ス検出方法を提供することにある。
【0005】
【発明を解決するための手段】本発明者らは研究の結
果、上記課題を解決する手段として、次のウイルス濃縮
用粒子および濃縮方法を開発するに到った。即ち、本発
明は、第一に、粒子中に1g当り平均1×10-10当量以
上のアニオン性基(塩の状態を含む)を有し、粒径が0.
5μm〜150μmであるウイルス濃縮用粒子を提供する。
【0006】また、本発明は、第二に、ウイルスを含有
する可能性のある試料に上記のウイルス濃縮用粒子を添
加しウイルスを前記粒子に結合させる段階、次にこうし
てウイルスが結合した前記粒子を試料から分離、収集し
する段階を含む、ウイルス濃縮方法を提供するものであ
る。
【0007】さらに、本発明は、第三に、ウイルスを含
有する可能性のある試料に上記のウイルス濃縮用粒子を
添加し、ウイルスを前記粒子に結合させる段階、次にこ
うしてウイルスが結合した前記粒子を試料から分離、収
集することによりウイルスを濃縮する段階、こうして濃
縮されたウイルスを核酸増幅検査に供する段階を含む、
ウイルス検出方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 〈ウイルス濃縮用粒子〉本発明において、ウイルス濃縮
用粒子とは、血液や体液等の検体中のウイルスを吸着し
た後、分離・濃縮する粒子であり、当該粒子により分離
・濃縮されたウイルスは核酸抽出・検査・診断、特に核
酸増幅を伴う検査・診断に用いられる。本発明のウイル
ス濃縮用粒子は、水不溶性の材料であれば特に限定され
ず、そのような材料からなる粒子と該粒子の表面に存在
するアニオン性基とから構成されている。
【0009】本発明におけるアニオン性基とはカルボキ
シル基、スルホン酸基などを挙げることができる。これ
らのアニオン性基は塩を形成した状態で存在してもよ
い。本発明において、粒子の少なくとも一部、好ましく
は粒子の表面に存在させるアニオン性基は、水や緩衝
液、血液、体液中に溶出するとPCR法などの核酸増幅
法を阻害することがあるため、粒子に化学的に結合され
ている必要がある。その存在量は、粒子1g当り平均で
1×10-10当量以上であり、代表的には1×10- 10
1×10-2当量であり、好ましくは1×10-9〜1×1
-3当量であり、より好ましくは1×10-8〜1×10
-3当量である。アニオン性基の存在量が粒子1g当り1
×10-10当量より少ないとウイルス濃縮能力が不十分
である。限定するものではないが、通常、粒径1g当り
1×10-2当量より多くのアニオン性基を導入すること
は困難なことが多い。
【0010】このような粒子としては、例えば、表面ス
ルホン化粒子、表面カルボン酸粒子、合成高分子粒子に
スルホン酸含有単量体および/またはカルボン酸含有単
量体をシード重合あるいはグラフト重合した粒子、スル
ホン酸基含有単量体と架橋性単量体からなるハイドロゲ
ル粒子、ポリアニオン化合物固定化粒子、アニオン性無
機粒子などを挙げることができるが、これらに限定され
るものではなく、少なくとも表面の一部にアニオン性基
を持つ粒子であれば使用できる。
【0011】表面スルホン化粒子としては、例えば、少
なくともその表面にスルホン化可能な官能基、例えば主
鎖または側鎖に不飽和二重結合、芳香族基、第一級また
は第二級アミノ基、第一級ハロゲン化アルキル基、脂肪
族アルデヒド、脂肪族ケトン、脂肪族カルボン酸、脂肪
族カルボン酸無水物、水酸基等をもつ高分子化合物の
(共)重合体からなり、その表面の少なくとも一部がス
ルホン化されてスルホン酸基を有した粒子を用いること
ができる。表面スルホン化可能な粒子を構成する高分子
化合物の例として、スチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ブタジエン、イソ
プレン、ビニルアルコール等のスルホン化可能な単量体
の(共)重合体、およびこれら単量体と他の重合性単量
体との(共)重合体等の付加重合系高分子化合物;ポリ
カーボネート、ポリエステル、ポリエステルエーテル、
ポリアリールエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリ
スルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイ
ミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリ
ウレタン、芳香族化合物のアセトアルデヒド縮合物、ポ
リエーテル等の縮合重合系高分子化合物等があげられ
る。これらの高分子化合物からなる粒子のスルホン化
は、濃硫酸、発煙硫酸、無水硫酸、無水硫酸−ジオキサ
ン錯体、無水硫酸−ピリジン錯体、クロルスルホン酸等
で粒子を処理することにより達成できる。
【0012】表面カルボン酸粒子としては、カルボン酸
含有単量体の(共)重合体粒子をあげることができる。
ここで、カルボン酸含有単量体(以下「カルボン酸単量
体」という。)とは、付加重合性の不飽和結合およびカ
ルボキシル基を分子中に有する重合性単量体である。具
体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などをあげるこ
とができる。これらの(共)重合体粒子は、通常の乳化
重合、あるいは懸濁重合の手法により合成することが可
能である。
【0013】合成高分子粒子にスルホン酸含有単量体
(以下、「スルホン酸単量体」という)および/または
カルボン酸単量体をシード重合あるいはグラフト重合し
た粒子としては、合成高分子からなるシード粒子にスル
ホン酸含有単量体および/またはカルボン酸単量体、さ
らに必要に応じてそれら以外の他の共重合可能な単量体
とともにシード(共)重合あるいはグラフト(共)重合
した粒子をあげることができる。このような粒子は、界
面活性剤を含む水あるいは水/極性溶媒に分散したシー
ド粒子に、モノマーおよびラジカル発生剤を加え、50
〜100℃で反応することにより合成できる。ここで、
合成高分子からなるシード粒子としては、スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン
などの重合性二重結合含有芳香族化合物;アクリロニト
リル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデン等の重
合性二重結合含有シアン化合物;ジビニルベンゼン、エ
チレングリコールジメタクリレート等の重合性架橋性化
合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメチルエチ
ルケトン、ビニルメチルエーテル、酢酸ビニル、ギ酸ビ
ニル、酢酸アリル、酢酸メタアリル、アクリルアミド、
メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、
N―イソプロピルアクリルアミド、アクリル酸グリリジ
ル、メタクリル酸グリシジル、アクロレイン、メタクロ
レイン、アリルアルコール、2―ヒドロキシエチルアク
リレート、2―ヒドロキシエチルメタクリレート、2―
メトキシエチルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレ
ート、t−ブチルアクリレート、、n−ブチルメタクリ
レート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルメ
タクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアク
リレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレ
ート、イソプロピルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレー
ト、イソプロピルメタクリレート等の重合性二重結合含
有化合物;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、2
−メチルテトラヒドロキシフラン、スチレンオキシド、
ブチレンオキシド、グリシジルエーテル等の重合性環状
化合物等の(共)重合体粒子等をあげることができる。
【0014】スルホン酸単量体としては、イソプレンス
ルホン酸、エチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ス
チレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、2-
アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スルホ
エチルアクリレート、スルホン化ジシクロペンタジエン
等をあげることができる。
【0015】他の共重合可能な単量体としては、1,3-ブ
タジエン、イソプレン等の脂肪族ジエン系化合物;スチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの重合
性二重結合含有芳香族化合物;メチルアクリレート、エ
チルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メ
チルメタクリレート、エチルメタクリレート、2―ヒド
ロキシエチルアクリレート、2―ヒドロキシエチルメタ
クリレート、等の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の重合性
シアン化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメ
チルエチルケトン、ビニルメチルエーテル、酢酸ビニ
ル、ギ酸ビニル、酢酸アリル、酢酸メタアリル、アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリ
ルアミド、N―イソプロピルアクリルアミド、アクリル
酸グリリジル、メタクリル酸グリシジル、アクロレイ
ン、メタクロレイン、アリルアルコール等の重合性二重
結合含有化合物、エチレンオキシド、プロピレンオキシ
ド、2−メチルテトラヒドロキシフラン、スチレンオキ
シド、ブチレンオキシド、グリシジルエーテル等の重合
性環状化合物等をあげることができる。
【0016】スルホン酸単量体と水溶性架橋性単量体か
らなるハイドロゲル粒子としては、例えば上記スルホン
酸単量体と、N,N'-メチレンビスアクリルアミド等の水
溶性架橋性単量体の重合体からなるハイドロゲル粒子を
用いることができる。このような粒子は、スルホン酸単
量体、水溶性架橋性単量体、ラジカル反応開始剤の水溶
液と、界面活性剤を添加した非極性溶媒を激しく混合
し、油中水型の逆ミセルを形成させた後、50〜100
℃で反応することにより得られる。
【0017】ポリアニオン化合物固定化粒子としては、
分子内に複数のスルホン酸基および/またはカルボン酸
を有するポリアニオンを、エポキシ基、アミノ基、アル
デヒド基、カルボキシル基、水酸基、酸クロライド基な
どの官能基を持つ粒子に直接もしくはカップリング剤や
スペーサーを介して材料表面に担持させた粒子を挙げる
ことができる。ここで、ポリアニオンとしては、例え
ば、スルホン酸含有単量体および/またはカルボン酸単
量体、さらに必要に応じてそれら以外の他の単量体を
(共)重合した高分子化合物;リンタングステン酸、ポ
リリン酸等を、あげることができる。
【0018】固体酸粒子としては、例えば活性白土など
のSiO2-Al2O3系のものが好ましく用いられる。また、ガ
ラス、シリカ、アルミナ、活性炭などの粒状体の場合、
その表面にスルホン酸基やカルボキシル基を有する重合
体を被覆することができる。このような重合体として
は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン
スルホン酸およびこれらの重合体の構成単位である単量
体と親水性単量体との共重合体等をあげることができ
る。親水性単量体としては、親水性アクリル酸エステル
系単量体、親水性メタクリル酸エステル系単量体等があ
げられる。これとは別に、ガラス、シリカなどの場合
は、カルボキシル基は、γ−アミノプロピルトリエトキ
シシランでアミノ基を導入し、ついて無水コハク酸と、
またはカルボジイミドの存在下にコハク酸と反応させる
ことにより導入できる。また、スルホン酸基は、アミノ
シラン化処理後、グルタルアルデヒド処理でアルデヒド
基を導入し、これに2−アミノエタンスルホン酸を反応
させることにより導入することができる。
【0019】本発明のウイルス濃縮用粒子をウイルスを
含む試料液に添加するとウイルスが該粒子の表面に存在
するアニオン性基により粒子に結合する。かかる作用は
ウイルスが正に帯電しているためであると考えられる。
その結果、血漿や血清等の検体中のウイルスを高い効率
で濃縮するため、通常、カラムクロマト法ではなくバッ
チ法にて使用される。したがって、粒子の粒径は通常0.
5μm〜150μm、好ましくは1μm〜100μm、より好ましく
は1μm〜80μmである。粒径がこの範囲内であれば粒径
が均一でなくても本発明の目的のために使用することが
可能である。また、本発明のウイルス濃縮用粒子の粒子
形状は球状である必要はなく、異形粒子であってもかま
わない。なお球状でない粒子の粒径としては、それぞれ
の粒子の最長径と最短径との平均値をとるものとする。
粒径が0.5μm未満の場合は、血液または体液からウイル
ス濃縮用粒子を分離する際の遠心分離の回転数や回転時
間の増加を招き、装置が大型になったり、高い時間的効
率が得られず好ましくない。また、粒径が150μmを越え
る場合は、ウイルスを捕獲する効率が低下し、ウイルス
濃縮が十分に行えないことがあるため好ましくない。
【0020】本発明において用いられる不活性粒子は、
多孔性のものであっても、非多孔性のものであってもか
まわない。但し、多孔性である場合にはウイルス粒子が
粒子内部まで侵入すると粒子からのウイルス分離が困難
となる場合があるので、ウイルスと同程度以上の孔径、
例えば孔径10nm以上の孔が粒子表面から粒子内部にまで
連続して存在する多孔質体は好ましくない。
【0021】〈ウイルス濃縮方法〉次に、本発明のウイ
ルス濃縮用粒子によるウイルス濃縮方法について具体的
に説明する。本発明のウイルス濃縮用粒子は各種ウイル
スに対して濃縮能を有しており、例えばヘパドナウイル
ス(B型肝炎ウイルス等)、アデノウイルス、フラビウ
イルス(日本脳炎ウイルス等)、ヘルペスウイルス、
(単純ヘルペスウイルス、水痘−帯状疱疹ウイルス、サ
イトメガロウイルス、EBウイルス等)、ポックスウイル
ス、パルボウイルス(アデノ関連ウイルス等)、オルソ
ミクソウイルス(インフルエンザウイルス等)、ラブド
ウイルス(狂犬病ウイルス等)、レトロウイルス(後天
性免疫不全症候群ウイルス等)、C型肝炎ウイルス等の
ウイルスの濃縮が可能である。
【0022】本発明のウイルス濃縮用粒子によるウイル
ス濃縮の対象となる検体としては、血漿、血清、細胞破
砕液、尿、唾液等の各種体液、培養細胞破砕液等をあげ
ることができる。このような検体はそのまま試料として
使用されてもよいし、何らかの目的で希釈などされた状
態で試料として使用されてもよい。
【0023】本発明のウイルス濃縮用粒子の試料への添
加量は、試料に含まれているウイルス濃度にもよるが、
試料の通常0.01〜30重量%、好ましくは0.05〜10重量%
である。添加量が少なすぎるウイルス濃縮用粒子に結合
できるウイルスの数が限られるため濃縮効率が悪化す
る。また、添加量が検体の30重量%を越えると、結合し
たウイルスを後段階で脱離させるのに多量の脱離液が必
要となり濃縮効率が低下する。
【0024】試料中のウイルスを吸着したウイルス濃縮
用粒子は、遠心分離あるいは自然沈降により試料より分
離される。本発明のウイルス濃縮用粒子は0.5〜150μm
の粒径範囲を持つので、小型の遠心機で十分遠心分離が
可能である。遠心分離されたウイルス濃縮用粒子は必要
に応じて、低濃度の緩衝液で洗浄した後、ウイルスの粒
子からの分離、核酸の抽出工程に移る。核酸抽出は、ウ
イルスが粒子に結合したままでも行うことができる。即
ち、例えば、分離されたウイルス濃縮用粒子に少量の緩
衝液を加え、加熱することで直接、ウイルスの核酸を抽
出することも可能である。
【0025】ウイルスを粒子から分離する方法として
は、塩溶液を作用させてポリアニオンとウイルスを解離
させる方法がある。塩溶液としては飽和濃度の臭化カリ
ウム、臭化ナトリウム、1.5M塩化ナトリウム、1mMリン
タングステン酸等を用いることができる。そこで、本発
明はその一側面として、前述したウイルス検出方法を提
供するものである。
【0026】〈ウイルス検出方法〉このウイルス検出方
法は、上記のようにしてウイルスが結合した本発明によ
る粒子を試料から分離、収集することによりウイルスを
濃縮する段階ののち、こうして濃縮されたウイルスを核
酸増幅検査に供する段階を有している。ウイルスの核酸
増幅検査(NAT; nucleic acid amplification tes
t)の方法は特に限定されず、例えば、ロシュ社のPC
R(Polymerization chain reaction)法、ジェン・プロ
ーブ社のTMA(Transcription Mediated amplificatio
n-hybridization protection assay)法、アボット社の
LCR(Ligase chain reaction)法等を利用することが
できる。このウイルス濃縮方法を利用したウイルス検出
法では、核酸増幅検査に供される検体中のウイルスが既
に濃縮されているので、元の検体又は試料に含まれてい
るウイルスが極く微量であっても効率的にウイルスの検
出を行うことができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。な
お、粒子の粒径の測定および粒子表面に存在するアニオ
ン性基の存在量は次のようにして測定した値である。 ・粒径の測定:粒子粒径は光学顕微鏡、走査型電子顕微
鏡または透過型電子顕微鏡により写真撮影を行い200
個の粒子の粒径を測定し、その平均値を求めた。 ・アニオン性基の存在量:粒子約10gにイオン交換水90
g、陽イオン・陰イオン交換樹脂混合物(アンバーライ
トMB3 オルガノ社製)30gを加え、1時間穏やかに攪
拌した。イオン交換樹脂をナイロンメッシュ(48メッ
シュ;孔眼寸法295μm)を用いて濾去し、粒子量を定量
後0.01mol/lの水酸化ナトリウム溶液を用いて電導度滴
定を行い、アニオン性基の量を求めた。
【0028】〔実施例1〕 表面スルホン化スチレン/
ジビニルベンゼン粒子の調製 スチレン/ジビニルベンゼン粒子(商品名:IXP-SS-3-T
XG/57、DYNO社製;スチレン/ジビニルベンゼンのモル
比=97/3、粒径3μm)10gに濃硫酸(98重量
%)100gを加え、30℃で5時間反応させた。反応
終了後、純水、続いてリン酸緩衝生理食塩水(以下「PB
S」という)にて粒子を洗浄し、スルホン化スチレン/
ジビニルベンゼン粒子を得た。粒径およびアニオン性基
の存在量を表1に示す。
【0029】〔実施例2〕 カルボン酸粒子の調製 シクロヘキシルメタクリレート95g、メタクリル酸
0.5g、水500g、過硫酸カリウム1g、およびド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2gを反応容
器に仕込み、温度80℃で6時間で重合を行い、ポリマ
ー粒子を得た。さらにこの粒子25gをシードとして、
シクロヘキシルメタクリレート95g、メタクリル酸5
g、および過硫酸カリウム0.5gを加え、温度80℃
で2時間の重合を行い、シード重合粒子を得た。得られ
た粒子を5mM水酸化ナトリウム水溶液に分散し、80
℃、12時間処理して、カルボン酸粒子を得た。粒径お
よびアニオン性基の存在量を表1に示す。
【0030】〔実施例3〕 スルホン酸単量体シード重
合粒子の調製 ジビニルベンゼン粒子(商品名:N60801、DYNO社製;純
度55%ジビニルベンゼン重合体、粒径およびアニオン
性基の存在量9.8μm)8gを、ドデシル硫酸ナトリウム
0.03g部を含む水100gに分散した。スチレン1
gおよびスチレンスルホン酸ナトリウム1gを加え80℃
に加温した後、過硫酸カリウム0.01gを加え10時
間反応を行った。反応終了後、純水、続いてPBSにて
粒子を洗浄し、スチレンスルホン酸/スチレンシード重
合粒子を得た。粒径およびアニオン性基の存在量を表1
に示す。
【0031】〔実施例4〕 イソプレンスルホン酸架橋
ゲル粒子の調製 イソプレンスルホン酸8.5gおよびN,N'-メチレンビ
スアクリルアミド1.4g、過硫酸カリウム0.1gを
水20gに溶解した。この溶液にSpan600.5g
を加えたイソオクタン15gを加え、激しく撹拌した
後、80℃に加温し、5時間反応を行った。反応終了後、
純水、続いてPBSにて粒子を洗浄し、イソプレンスル
ホン酸架橋ハイドロゲル粒子を得た。粒径およびアニオ
ン性基の存在量を表1に示す。
【0032】〔実施例5〕ポリイソプレンスルホン酸固
定化粒子の調製 耐圧反応容器にスチレン35g、n−ブチルリチウム
0.44gおよびシクロヘキサン200gを仕込み、6
0〜90℃を保ちながら4時間重合した後、反応容器内
に二酸化炭素を吹き込むことにより反応を終了した。次
いで減圧下で溶剤および未反応単量体を留去したのち、
エーテル100gを加えて希釈し、ポリマー溶液を得
た。このポリマー溶液に濃硫酸41gを少しずつ添加
し、50℃で5時間撹拌を続けた後、減圧下で溶剤を留
去し、得られた生成物を水酸化ナトリウムにより中和
後、透析によって精製し、末端カルボン酸変性ポリスチ
レンスルホン酸ナトリウム(分子量26000)を得
た。
【0033】次に、実施例2の粒子10gを水50gに
分散し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド(WSC)0.1gを加え、4℃で
1時間反応後、冷水で洗浄し、次いで0.5gのヘキサ
メチレンジアミンを加え、室温で2時間反応後、純水で
洗浄しヘキサメチレンジアミン固定化粒子を得た。これ
に、WSC 0.1g、末端カルボン酸変性ポリスチレ
ンスルホン酸0.5gを加え、室温で2時間反応した
後、純水、続いてPBSにて粒子を洗浄しポリスチレンス
ルホン酸ナトリウム固定化粒子を得た。粒径およびアニ
オン性基の存在量を表1に示す。
【0034】〔試験例1〕ウイルス濃縮−核酸定量 上記実施例1〜5で得られた粒子を用いて、ウイルス濃
縮を行った。HCVの存在が確認されているヒト血漿1
mLに粒子懸濁液(10重量%)100μLを加え、室温で
10分間回転撹拌を行った。反応終了後、15000 rpmで
5分間、冷却微量遠心機にて分離し、上清を捨て、粒子
を得た。上記作業にて得た粒子に飽和臭化カリウムを50
μL添加し、5分間撹拌後、15000 rpmで5分間、冷却微
量遠心機にて分離し、上清を得た(分離濃縮分画)。最
終容量は約50μLであった。分離回収に使用した血漿を
予め、各ウイルスの核酸陰性であることを確認している
ヒト血漿を用いて、希釈系列を作成し、これを測定用サ
ンプルとした。このサンプルより通常の方法を用いて核
酸を抽出した。この抽出核酸について、HCV遺伝子の
5’UTR領域を対象として一般的に実施されているP
CR法によるHCV−RNA量を定量した。次に分離濃
縮画分より2μLを取り、上記と同様に希釈サンプルを
調製し、HCV−RNA量を測定した。
【0035】〔比較例〕試験例1の検定と並行して、実
施例6で使用したものと同じHCVの存在が確認されて
いるヒト血漿1mLにヘパリン溶液(160/USPunits
/mgを0.15M塩化ナトリウム溶液5mLで溶解した
もの)10μLを加え、さらに1M MnCl275μ
L加えて室温で20分間反応させた。反応終了後150
00rpmで10分間低速微量遠心機にて分離し、上清
を捨て沈殿を得た、この沈殿に飽和臭化カリウム50μ
Lを加え沈殿を可溶化した(分離濃縮分画)。最終容量
は約50μLであった。その後、上記試験例と同様の評価
を行った。回収量、濃縮率および分離濃縮分画に必要な
時間を表1に示す。比較例の方法ではヘパリンによるP
CR阻害のため核酸の検出ができなかった。一方、各実
施例では、ウイルス回収率はほぼ100%であり、濃縮
率は25倍と高かった。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明のウイルス濃縮用粒子を用いるこ
とにより、簡便な手段により、同時に多数の検体を簡便
に濃縮処理することのでき、しかも得られた濃縮ウイル
スを含む試料は核酸増幅の処理に悪影響を及ぼさない。
この粒子を利用するウイルス濃縮方法は、極く微量のウ
イルスを含む検体からウイルスを効率良く短時間で濃縮
することができ、またウイルス検出方法はより高精度で
ウイルスを検出することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 昌三 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 日方 幹雄 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 笠井 澄 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA14 AA20 CA01 CA11 HA11 HA14 4B063 QA01 QA18 QQ02 QQ03 QQ42 QQ52 QR08 QR62 QS15 QS25 QX01 4B065 AA95X BD14 BD50 CA46 4J100 AB00P AB02P AB03P AB16P AD02P AS02P AS03P BA16H BA56H CA31 HA61 JA53

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子中に1g当り平均1×10-10当量以
    上のアニオン性基(塩の状態を含む)を有し、粒径が0.
    5〜150μmであるウイルス濃縮用粒子。
  2. 【請求項2】 ウイルスを含有する可能性のある試料に
    請求項1に記載のウイルス濃縮用粒子を添加し、ウイル
    スを前記粒子に結合させる段階、次にこうしてウイルス
    が結合した前記粒子を試料から分離、収集する段階を含
    む、ウイルス濃縮方法。
  3. 【請求項3】 ウイルスを含有する可能性のある試料に
    請求項1に記載のウイルス濃縮用粒子を添加し、ウイル
    スを前記粒子に結合させる段階、次にこうしてウイルス
    が結合した前記粒子を試料から分離、収集することによ
    りウイルスを濃縮する段階、こうして濃縮されたウイル
    スを核酸増幅検査に供する段階を含む、ウイルス検出方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009201457A (ja) * 2008-02-29 2009-09-10 Jsr Corp プライマーとプローブとのセット、リアルタイム検出pcr法によるc型肝炎ウイルスrna検出用キット、ならびにリアルタイム検出pcr法によるc型肝炎ウイルスrnaの検出方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009201457A (ja) * 2008-02-29 2009-09-10 Jsr Corp プライマーとプローブとのセット、リアルタイム検出pcr法によるc型肝炎ウイルスrna検出用キット、ならびにリアルタイム検出pcr法によるc型肝炎ウイルスrnaの検出方法

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