JP2001159619A - ガス濃度測定方法及びガス検知器 - Google Patents

ガス濃度測定方法及びガス検知器

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JP2001159619A JP34474399A JP34474399A JP2001159619A JP 2001159619 A JP2001159619 A JP 2001159619A JP 34474399 A JP34474399 A JP 34474399A JP 34474399 A JP34474399 A JP 34474399A JP 2001159619 A JP2001159619 A JP 2001159619A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 妨害ガスを含む測定対象ガス中から特定の被
検知ガスのみを選択性高く検知してその濃度を知る事の
できるガス濃度測定方法及びガス検知器を提供するこ
と。 【解決手段】 熱分解により検知対象分解ガスを生成す
る被検知ガスと、その被検知ガスに対する妨害ガスとを
含んでなる測定対象ガス中に含まれる前記被検知ガス濃
度を測定するために、前記妨害ガスが分解され、前記被
検知ガスが分解されない第一条件下で前記測定対象ガス
を熱分解させ、前記妨害ガスの分解により生成した分解
ガスを吸着除去させ、前記被検知ガスが分解される第二
条件下で測定対象ガスを熱分解させ、前記第二分解工程
で被検知ガスの分解により生成した検知対象分解ガスの
濃度を測定し、前記被検知ガスの熱分解により検知対象
分解ガスが生成する相関から前記被検知ガスの濃度を知
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱分解により検知
対象分解ガスを生成する被検知ガスと、その被検知ガス
に対する妨害ガスとを含んでなる測定対象ガス中に含ま
れる前記被検知ガス濃度を測定するガス濃度測定方法及
びガス検知器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複数種のガスが混合された測定対
象ガス中から特定の被検知ガスのみを選択性高く検知し
てその濃度を知るためには、前記測定対象ガス中に含ま
れる複数のガスの内前記被検知ガスのみに活性を有する
ガス検知素子を用いて前記測定対象ガスと検知させ、そ
の素子からのガス検知出力を求め、被検知ガス濃度に換
算するという方法が採られており、このような検知を可
能とするために特定のガス種にのみ活性を有するガス検
知素子が種々開発されている。また、このようなガス濃
度測定方法を行うには、上述のガス検知素子を設けて、
前記被検知ガス由来の出力を求めて、その被検知ガスの
濃度に換算可能に構成したガス検知器が用いられてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のよう
に、このようなガス検知器を構成する際には、被検知ガ
ス選択性の高いガス検知素子を用いる必要が生じるの
で、被検知ガスと妨害ガスとの物性が類似しているよう
な場合ガス検知素子の組成を選択するだけで選択性を高
めることが困難となる場合が多く、その状況を解決する
ために上述のガス検知素子を複数設けて、前記被検知ガ
ス由来の出力を演算により求めることも試みられている
が、測定対象ガス中のガス種が増えれば演算条件が複雑
になり解決しきれない状況になる場合もあって、特にポ
リフッ化炭化水素の類の混合ガス中における濃度を正確
に知ることは困難であり、効率よく測定対象ガス中の被
検知ガスを選択性よく検知する技術が望まれている。
【0004】従って、本発明の目的は、上記実状に鑑
み、妨害ガスを含む測定対象ガス中から特定の被検知ガ
スのみを選択性高く検知してその濃度を知る事のできる
ガス濃度測定方法及びガス検知器を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】熱分解により検知対象分
解ガスを生成する被検知ガスと、その被検知ガスに対す
る妨害ガスとを含んでなる測定対象ガス中に含まれる前
記被検知ガス濃度を測定するには、従来の技術に述べた
ガス選択性の高いガス検知素子を用いることができる
が、たとえば、ポリフッ化炭化水素とポリフッ化ポリエ
ーテルを含んでなる測定対象ガス中におけるポリフッ化
炭化水素濃度のみを選択性よく測定することができるガ
ス検知素子は知られていない。そこで、この目的を達成
するための本発明のガス濃度測定方法の特徴手段は、熱
分解により検知対象分解ガスを生成する被検知ガスと、
その被検知ガスに対する妨害ガスとを含んでなる測定対
象ガス中に含まれる前記被検知ガス濃度を測定するに、
前記妨害ガスが分解され、前記被検知ガスが分解されな
い第一条件下で前記測定対象ガスを熱分解させる第一熱
分解工程と、前記妨害ガスの分解により生成した分解ガ
スを吸着除去する吸着工程と、前記被検知ガスが分解さ
れる第二条件下で測定対象ガスを熱分解させる第二分解
工程とを行い、前記第二分解工程で被検知ガスの分解に
より生成した検知対象分解ガスの濃度を測定する測定工
程を行って、前記被検知ガスの熱分解により検知対象分
解ガスが生成する相関から前記被検知ガスの濃度を知る
点にある。また、この目的を達成するための本発明のガ
ス検知器の特徴構成は、熱分解により検知対象分解ガス
を生成する被検知ガスと、その被検知ガスに対する妨害
ガスとを含んでなる測定対象ガスを、前記妨害ガスが分
解され、前記被検知ガスが分解されない第一条件下で熱
分解する第一熱分解部を設け、前記第一熱分解部で前記
妨害ガスの分解により生成した分解ガスを吸着除去する
吸着部を設け、前記吸着部からの測定対象ガスを前記被
検知ガスが分解される第二条件下で熱分解する第二熱分
解部を設け、前記第二熱分解部を経由し、前記測定対象
ガス中に生成した検知対象分解ガス濃度を測定するガス
検知部を設けた点にあり、より具体的には、ポリフッ化
炭化水素とポリフッ化ポリエーテルを含んでなる測定対
象ガス中におけるポリフッ化炭化水素濃度を測定するガ
ス検知器であって、低温での熱分解を行う第一熱分解部
を設け、フッ化水素ガスまたはフッ素ガスの少なくとも
一方を吸着除去する吸着部を設け、高温での熱分解を行
う第二熱分解部を設け、前記測定対象ガス中に生成した
フッ化水素ガスまたはフッ素ガスの少なくとも一方濃度
を測定するガス検知部を設けてあれば、もしくは、ポリ
フッ化炭化水素とポリフッ化ポリエーテルを含んでなる
測定対象ガス中におけるポリフッ化炭化水素濃度を測定
するガス検知器であって、加熱状態のガス配管に低速で
ガス供給しつつ熱分解を行う第一熱分解部を設け、前記
ポリフッ化炭化水素の分解により生じたフッ化水素ガス
またはフッ素ガスの少なくとも一方を吸着除去する吸着
部を設け、加熱状態のガス配管に高速でガス供給しつつ
熱分解を行う第二熱分解部を設け、前記測定対象ガス中
に生成したフッ化水素ガスまたはフッ素ガスの少なくと
も一方濃度を測定するガス検知部を設けてあれば好まし
い。尚、上述のガス検知装置は、内管と外管とからなる
ガス流通管を設け、前記内管内部の内部流路に通電発熱
部を設けて、前記通電発熱部を設けてある内管内部を第
二熱分解部に形成するとともに、前記内管と外管との間
に形成される中間流路に第一熱分解部を形成し、前記中
間流路に供給された測定対象ガスを吸着部を経由させて
前記内部流路に誘導するガス流通路を形成することによ
り構成できる。
【0006】〔作用効果〕つまり、熱分解により検知対
象分解ガスを生成する被検知ガスと、その被検知ガスに
対する妨害ガスとを含んでなる測定対象ガス中に含まれ
る前記被検知ガス濃度を測定するに、前記妨害ガスを前
記妨害ガスが分解され、前記被検知ガスが分解されない
第一条件下で前記測定対象ガスを熱分解させる第一熱分
解工程を行えば、前記妨害ガスが分解されるが、被検知
ガスが分解されない状況を作ることが出来る。たとえ
ば、本発明者らは、被検知ガスとしてのポリフッ化炭化
水素中に妨害ガスとしてポリフッ化ポリエーテルを含ん
でなる測定対象ガス中におけるポリフッ化炭化水素濃度
を測定する場合には、ポリフッ化ポリエーテルは、約9
00℃で激しく分解を始めるのに対して、ポリフッ化炭
化水素は、1000℃以上になるまで分解し始めないと
いう新知見を見いだしており、これに従えば、温度設定
によりポリフッ化ポリエーテルは分解するがポリフッ化
炭化水素は分解しないという条件が得られる。すると、
前記測定対象ガス中の妨害ガスが減少させられる。
【0007】次に、前記妨害ガスの分解により生成した
分解ガスを吸着除去する吸着工程を行うと、前記測定対
象ガス中に含まれる分解ガスは除去され、前記測定対象
ガス中には、ほぼ前記被検知ガスと、被検知ガス濃度の
測定に無関係なガスだけが含まれる状況を得ることが出
来る。たとえば、前記ポリフッ化ポリエーテルは分解に
よりフッ化水素ガスや、フッ素ガスを生成するものと考
えられており、これらのガスを吸着除去することによ
り、前記ポリフッ化炭化水素とポリフッ化ポリエーテル
とを含み他の妨害ガスを考慮する必要のないような測定
対象ガスを吸着工程に供すると、ほぼポリフッ化炭化水
素のみが残存することになる。
【0008】さらに、前記被検知ガスが分解される第二
条件下で測定対象ガスを熱分解させる第二分解工程とを
行うと、前記測定対象ガス中に含まれる被検知ガスは、
分解を受け、検知対象分解ガスを生成する。つまり、上
述の例の流れでは、前記ポリフッ化炭化水素が分解を受
け、フッ化水素ガスや、フッ素ガスを生成する。この例
では、分解ガスと検知対象分解ガスとは同種のガスとな
っているが、前記被検知ガスと、妨害ガスとの関係によ
っては同一となるとは限らず、いかなる組み合わせにな
っても良い。
【0009】そのため、上述の第二分解工程を行った
後、前記第二分解工程で被検知ガスの分解により生成し
た検知対象分解ガスの濃度を測定する測定工程を行え
ば、前記被検知ガスの熱分解により生じた検知対象分解
ガス量を求めることが出来、前記ポリフッ化炭化水素の
分解反応における前記検知対象分解ガスの生成する当量
比等、両ガス成分の相関から前記被検知ガスの濃度を知
ることができるのである。つまり、上述の例では、フッ
化水素ガスや、フッ素ガスを検出した際のガス検知出力
の前記ポリフッ化炭化水素濃度依存性を求めてあれば、
測定工程における最終的なガス検知出力より測定対象ガ
ス中に含まれていたポリフッ化炭化水素濃度を知ること
が出来るのである。
【0010】そこで、このようなガス測定方法を行うた
めのガス検知器としては、熱分解により検知対象分解ガ
スを生成する被検知ガスと、その被検知ガスに対する妨
害ガスとを含んでなる測定対象ガスを、前記妨害ガスが
分解され、前記被検知ガスが分解されない第一条件下で
熱分解する第一熱分解部を設け、前記第一熱分解部で前
記妨害ガスの分解により生成した分解ガスを吸着除去す
る吸着部を設け、前記吸着部からの測定対象ガスを前記
被検知ガスが分解される第二条件下で熱分解する第二熱
分解部を設け、前記第二熱分解部を経由し、前記測定対
象ガス中に生成した検知対象分解ガス濃度を測定するガ
ス検知部を設けてあることにより、前記測定対象ガス中
の被検知ガス濃度を知ることが出来るのである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づいてより具体的に説明する。ポリフッ化炭化水素
中にポリフッ化ポリエーテルを含んでなる測定対象ガス
中におけるポリフッ化炭化水素濃度を測定するガス検知
器にあっては、好ましくは800℃(さらに好ましくは
850℃)以上950℃(さらに好ましくは900℃)
以下の低温(第一条件)での熱分解を行う第一熱分解部
を設け、フッ化水素ガスまたはフッ素ガスの少なくとも
一方を吸着除去する吸着部を設け、好ましくは950℃
以上(さらに好ましくは1000℃)以上1100℃
(さらに好ましくは1050℃)以下の高温(第二条
件)での熱分解を行う第二熱分解部を設け、前記測定対
象ガス中に生成したフッ化水素ガスまたはフッ素ガスの
少なくとも一方の濃度を測定するガス検知部を設けてあ
れば良い。
【0012】具体的には図1に示すように、ガス流通管
Pの流路に沿って、上流側から順に、第一熱分解部1、
吸着部3、第二熱分解部2、ガス検知部4を設けて、そ
のガス流通管P内に測定対象ガスを供給して流通させら
れる構成としてあればよい。
【0013】前記第一熱分解部1は、前記ガス流通管P
の外周部に電熱線11を巻き付け、通電によるジュール
熱を用いて加熱する構成を採用することが出来る。これ
により、前記第一熱分解部1では、前記ガス流通管P内
部に比較的緩やかに流れる測定対象ガスを比較的広範囲
に渡って850℃〜900℃に加熱することが出来るよ
うになる。これにより、ポリフッ化炭化水素中にポリフ
ッ化ポリエーテルを含んでなる測定対象ガス中における
ポリフッ化ポリエーテルは分解を受け、フッ化水素ガス
とフッ素ガスを生成する。(第一熱分解工程)
【0014】前記吸着部3は、フッ化水素ガス及びフッ
素ガスを吸着して前記ポリフッ化炭化水素を吸着しにく
いソーダライム等の吸着剤を例えば0.6g/cm3
度に充填して形成してあり、測定対象ガス中に生成した
フッ化水素ガス及びフッ素ガスを流通させて吸着除去可
能に構成してある。(吸着工程)
【0015】前記第二熱分解部2は、前記ガス流通管P
の内部を加熱する加熱機構26を内装して構成してあ
る。前記加熱機構26は、耐熱性支持体222の先端部
に通電発熱部22Bを設け、前記耐熱性支持体222の
基部に前記通電発熱部22Bに電力供給する通電部24
を設けた加熱素子22を設け、前記ガス流通管内部の上
流側に、前記加熱素子22を取付ける取付部211を設
けて前記加熱素子22の基部221側を取付け、前記加
熱素子22の先端部224を前記ガス流通管内部軸心近
傍に配置させ、前記上流側に、前記通電部24に対して
電気配線可能にする配線部242を設けて構成してあ
る。
【0016】より具体的には、図2、3に示すように、
前記第二熱分解部2の上流側に、アダプタ231,23
2,233を設け、一端側21aから他端側21bへ熱
反応対象ガスを流通させられる構成としてある。
【0017】前記アダプタは、前記ガス流通管Pの一端
部21aを嵌入接続する嵌入凹部231aを備えた第一
アダプタ231、及び、前記加熱素子22に電力供給す
るための端子24Aを形成する第二アダプタ232、及
び、前記ガス流通管Pに対するガス供給部25を形成す
る第三アダプタ233とからなる。前記第一アダプター
231は、前記嵌入凹部231aから凹部背面に貫通す
る2対の孔部241,241,251,251を設けて
あり、そのうち、一対の孔部251,251は、前記第
一〜第三アダプタ231,232,233を積層した際
に、これらを貫通するガス供給部25を形成し、他の一
対241,241は、外部端子24Aと前記通電部24
とを電気接続して、前記第二アダプタから前記加熱素子
22に通電するための端子部材24aを挿通する配線部
242に形成されている。また、前記孔部241,24
1,251,251の中央部には、前記加熱素子22を
取付ける取付部211が形成してあり、前記加熱素子2
2の基部221を保持する。なお、前記第一アダプター
231の外周面には多数のフィン234を設けて、前記
加熱素子22からの放射熱を受けたとしても、効率よく
逃がすことが出来るように形成してある。前記第二アダ
プタ232は、一対の円柱状部材を前記第一アダプター
231の凹部背面に接合し、前記配線部242から端子
部材24aを取付け、外部に導線24bを導出して端子
24Aに形成する。前記第三アダプター233は、前記
第一アダプター231へと貫通形成されるガス供給部2
5に熱反応対象ガスを導く管部25Aを設け、前記第二
アダプター232に接合された状態で、前記ガス流通管
Pの上流側管路に接続自在に形成してある。
【0018】前記加熱素子22は、図4に示すように、
耐熱性が高く、成型性のよい窒化ケイ素をヤスリ型に成
型した耐熱性支持体222に、導線223を埋設して通
電部22Aを形成するとともに、先端部224に貴金属
線からなる発熱体225を埋設して通電発熱部22Bを
形成してある。また、基部221は、前記取付部211
に嵌合固定される。前記通電部24に通電すると、前記
発熱体225は、通電によるジュール熱により、110
0度〜1200度にまで加熱可能な構成となる。
【0019】これにより、前記加熱素子22は、外部の
端子24Aから前記配線部42、通電部24を介して、
電力供給自在に配線され、加熱機構として働くととも
に、前記ガス流通管内部に流通される測定対象ガスを、
比較的狭い範囲内で1000℃〜1050℃に加熱する
ことが出来るようになる。これにより、ポリフッ化炭化
水素は分解を受け、フッ化水素ガスとフッ素ガスを生成
する。(第二熱分解工程)
【0020】前記ガス検知部4は、定電位電解式のガス
検知素子41を内装してあり、このガス検知素子41
を、図5に示すように、ガス検知回路42に組み込むこ
とにより、測定対象ガス中に含まれるフッ化水素ガスと
フッ素ガスに対応する出力がえられる。(測定工程)こ
れにより、前記出力を前記被検知ガス濃度に換算するこ
とが出来、その濃度を知ることが出来る。尚、図中41
1は作用極、412は参照極、413は対極であり、前
記作用極411は、前記ガス流通管P内のガスと接触す
るとともに、前記参照極412及び対極413が大気中
の酸素に晒される構成としてあり、前記作用極411と
対極413との間で電解反応を所定条件で生起し、前記
フッ化水素ガスとフッ素ガスとの反応量に従った出力を
呈する構造となっている。
【0021】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。前記第一熱分解部の熱分解特性を図6に示す。こ
こでは、ポリフッ化炭化水素としては、日本ゼオン株式
会社製ゼオローラ(主成分パーフルオロペンタン)を用
い、ポリフッ化ポリエーテルとしては、アウジモント
(株)社製ガルデン(主成分パーフルオロポリエーテル
(CAS No.69991−67−9))を用いてお
り、以下ゼオローラ、ガルデンと称する。また、それぞ
れのガスの検知出力は、5ppmのゼオローラを熱分解
した後、新コスモス電機株式会社製のフッ化水素検知用
の定電位分解式ガスセンサを用いて得た出力を1とする
相対値で示している。
【0022】図6に示すように第一分解部ではゼオロー
ラの出力(実線)に対してガルデンの出力(破線)が高
く、主にガルデンの分解が進むことが示されている。ま
た、第一分解部通過後のガルデンを吸着部に流通させた
後の出力(鎖線)を求めると、大きく低下しており、前
記吸着部はガルデンの分解物を効率よく吸着しているこ
とがわかり、ガルデンの分解物による出力はほとんどな
くなっているものと推定される。
【0023】前記第二熱分解部の熱分解特性を図7に示
す。測定条件等は図5の場合に準ずる。
【0024】図7に示すように第二熱分解部ではゼオロ
ーラの出力(実線)に対してガルデンの出力(破線)が
低く、ガルデンの分解に優先してゼオローラの分解が進
むことが示されている。また、第二熱分解部通過後のガ
ルデンを吸着部に流通させた後の出力(鎖線)を求める
と、やはり低下しているが、その低下量はあまり大きく
ないため、残存するガルデンの分解物による出力は、前
記ゼオローラの出力にあまり影響しない物となっている
と推定される。
【0025】それぞれのガスの熱分解後のガス検知出力
の分解温度依存性を調べたところ図8のようになった。
ここでは、それぞれのガスの検知出力は、5ppmのゼ
オローラを1100℃で熱分解した後、新コスモス電機
株式会社製のフッ化水素検知用の定電位分解式ガスセン
サを用いて得た出力を1とする相対値で示している。図
8より、800℃〜950℃の低温部近傍では、第一熱
分解部の低温低速の熱分解方式によって細線のようにガ
ルデン(破線)がゼオローラ(実線)に比べて優先的に
分解され、950℃から1100℃の高温部近傍では、
第二分解部の高温高速の熱分解方式によって太線のよう
にゼオローラ(実線)がガルデン(破線)に比べて優先
的に分解されていることがわかる。
【0026】〔別実施の形態〕尚、上述のガス濃度測定
方法を行うためのガス検知装置は、図9に示すように構
成してあっても良い。つまり、内管P1と外管P2とか
らなるガス流通管Pを設け、前記内管P1内部の内部流
路に通電発熱部22Bを設けて、前記通電発熱部22B
を設けてある内管P1内部を第二熱分解部2に形成する
とともに、前記内管P1と外管P2との間に形成される
中間流路に第一熱分解部1を形成し、前記中間流路に供
給された測定対象ガスを吸着部3を経由させて前記内部
流路に誘導するガス流通路を形成することによって構成
することが出来る。このような場合、前記通電発熱部2
2B周辺部において、前記第一熱分解部1では低温で時
間をかけた(低速)で熱分解を行いやすく、前記第二熱
分解部2では高温短時間(高速)での熱分解を行いやす
い管径を設定しやすい。というのは、前記第一熱分解部
1は内管P1と外管P2との間に形成されるため、ガス
流路断面積を大きく設定しやすく、その第一熱分解部1
を経由した測定対象ガスを内管P1に導けば、ガス流路
断面積を小さく絞ることになるから流速を上げられる。
また、前記第二熱分解部2に供給された熱は、前記内管
P1を伝導して第一熱分解部1に伝導されるから、前記
第一熱分解部1に伝導される熱量は前記第二熱分解部2
に伝導される熱量よりも少なくなり、前記第二熱分解部
2より前記第一熱分解部1のほうが、低温での熱分解反
応を行うことになる。すなわち、先述のガス濃度測定方
法を行うに好適な条件をコンパクトな構成にて実現でき
るのである。
【0027】尚、前記第二条件の測定対象ガス供給速度
は、前記第一条件の2〜4倍の流速となる高速であるこ
とが好ましく、これにより、上記例示のポリフッ化炭化
水素濃度測定が正確に行えるようになる。
【0028】先の実施の形態では、フロン系炭化水素の
濃度を測定する例を示したが、他に同様のフロン系炭化
水素同士の識別濃度測定以外に塩素を含むハロン系炭化
水素等の識別濃度測定等であってもよく、このような場
合ガス検知部に用いるガス検知素子としても、塩素系ガ
スを選択的に検知可能なガス検知素子等を用いることが
出来る。
【0029】また、前記第一、第二条件の個々の状態を
設定するには、単にガス流通管路の流路断面積を変えて
ガス流速をコントロールし、熱分解反応に要する時間を
設定することによって行ってもよく、あるいは、第一、
第二条件に加熱するガス流通管路と熱源との間隔を変え
て熱分解反応を行う温度を設定することによって行って
もよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス検知器の概略図
【図2】ガス検知器の縦断正面図
【図3】ガス検知器の縦断側面図
【図4】ガス検知器の要部詳細図
【図5】ガス検知素子の概略図
【図6】第一熱分解部におけるガス検知特性を示すグラ
【図7】第二熱分解部におけるガス検知特性を示すグラ
【図8】各被検知ガスの分解特性を示すグラフ
【図9】別実施の形態のガス検知器の概略図
【符号の説明】
P ガス流通管 1 第一熱分解部 3 吸着部 2 第二熱分解部 4 ガス検知部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 和之 大阪府大阪市淀川区三津屋中2丁目5番4 号 新コスモス電機株式会社内 Fターム(参考) 2G060 AA02 AB03 AB16 AE19 HB06 HC06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱分解により検知対象分解ガスを生成す
    る被検知ガスと、その被検知ガスに対する妨害ガスとを
    含んでなる測定対象ガス中に含まれる前記被検知ガス濃
    度を測定するガス濃度測定方法であって、 前記妨害ガスが分解され、前記被検知ガスが分解されな
    い第一条件下で前記測定対象ガスを熱分解させる第一熱
    分解工程と、前記妨害ガスの分解により生成した分解ガ
    スを吸着除去する吸着工程と、前記被検知ガスが分解さ
    れる第二条件下で測定対象ガスを熱分解させる第二分解
    工程とを行い、前記第二分解工程で被検知ガスの分解に
    より生成した検知対象分解ガスの濃度を測定する測定工
    程を行って、前記被検知ガスの熱分解により検知対象分
    解ガスが生成する相関から前記被検知ガスの濃度を知る
    ガス濃度測定方法。
  2. 【請求項2】 熱分解により検知対象分解ガスを生成す
    る被検知ガスと、その被検知ガスに対する妨害ガスとを
    含んでなる測定対象ガスを、前記妨害ガスが分解され、
    前記被検知ガスが分解されない第一条件下で熱分解する
    第一熱分解部を設け、前記第一熱分解部で前記妨害ガス
    の分解により生成した分解ガスを吸着除去する吸着部を
    設け、前記吸着部からの測定対象ガスを前記被検知ガス
    が分解される第二条件下で熱分解する第二熱分解部を設
    け、前記第二熱分解部を経由し、前記測定対象ガス中に
    生成した検知対象分解ガス濃度を測定するガス検知部を
    設けたガス検知器。
  3. 【請求項3】 ポリフッ化炭化水素中にポリフッ化ポリ
    エーテルを含んでなる測定対象ガス中におけるポリフッ
    化炭化水素濃度を測定するガス検知器であって、低温で
    の熱分解を行う第一熱分解部を設け、フッ化水素ガスま
    たはフッ素ガスの少なくとも一方を吸着除去する吸着部
    を設け、高温での熱分解を行う第二熱分解部を設け、前
    記測定対象ガス中に生成したフッ化水素ガスまたはフッ
    素ガスの少なくとも一方濃度を測定するガス検知部を設
    けたガス検知器。
  4. 【請求項4】 ポリフッ化炭化水素とポリフッ化ポリエ
    ーテルを含んでなる測定対象ガス中におけるポリフッ化
    炭化水素濃度を測定するガス検知器であって、加熱状態
    のガス配管に低速でガス供給しつつ熱分解を行う第一熱
    分解部を設け、フッ化水素ガスまたはフッ素ガスの少な
    くとも一方を吸着除去する吸着部を設け、加熱状態のガ
    ス配管に高速でガス供給しつつ熱分解を行う第二熱分解
    部を設け、前記測定対象ガス中に生成したフッ化水素ガ
    スまたはフッ素ガスの少なくとも一方濃度を測定するガ
    ス検知部を設けたガス検知器。
  5. 【請求項5】 内管と外管とからなるガス流通管を設
    け、前記内管内部の内部流路に通電発熱部を設けて、前
    記通電発熱部を設けてある内管内部を第二熱分解部に形
    成するとともに、前記内管と外管との間に形成される中
    間流路に第一熱分解部を形成し、前記中間流路に供給さ
    れた測定対象ガスを吸着部を経由させて前記内部流路に
    誘導するガス流通路を形成してある請求項2〜4のいず
    れか1項に記載のガス検知器。
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