JP2001155916A - 酸化物磁性材料および積層チップインダクタとその製造方法 - Google Patents

酸化物磁性材料および積層チップインダクタとその製造方法

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JP2001155916A
JP2001155916A JP34080299A JP34080299A JP2001155916A JP 2001155916 A JP2001155916 A JP 2001155916A JP 34080299 A JP34080299 A JP 34080299A JP 34080299 A JP34080299 A JP 34080299A JP 2001155916 A JP2001155916 A JP 2001155916A
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ferrite
chip inductor
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oxide magnetic
mol
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Osamu Kanda
修 神田
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/02Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
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    • H01F41/0246Manufacturing of magnetic circuits by moulding or by pressing powder

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Abstract

(57)【要約】 【課題】高周波性能にすぐれ、低温での焼成にて焼結が
可能で、かつAgの拡散による内部導体消失を抑止した
酸化物磁性材料、その材料を用いた大電流仕様または内
部抵抗値の低い積層チップインダクタ、およびそれらの
製造方法の提供。 【解決手段】焼結体として、Fe23:43.0〜48.5モル
%、CuO:5.0〜12.0モル%、NiO:25.0〜35.0モ
ル%、およびZnO:上記3成分の残部、である主成分
100質量部と、Bi23:0.5〜2.0質量部、CoO:0.3
〜0.6質量部、Rh23:0.5〜2.0質量部、およびAg2
O:0.03〜0.10質量部の副成分とからなる酸化物磁性材
料、および830〜900℃にて1〜5時間焼成をおこなうその
製造方法。また、Agを内部導体としソフトフェライト
を上記の酸化物磁性材料とする積層チップインダクタ、
および上記の酸化物磁性体となるグリーンシート上に、
Agとなる導電体材料にて所定の回路を形成後積層体に
成形し、上記の条件にて一体化焼成する積層チップイン
ダクタの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、小型の電子機器な
どにおいて、電磁波干渉ノイズ対策のためなどに使用さ
れるチップインダクタ用のソフトフェライト、すなわち
高透磁率酸化物磁性材料、それを用いた積層チップイン
ダクタおよびそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のパーソナルコンピュータや携帯電
話等に代表される、小型のOA機器あるいは移動通信機
器の発達に伴い、それらの機器に用いられる電子部品に
おいても、小型化、高性能化、低価格化などが強く要望
されている。その部品の一つに積層型のチップインダク
タがある。
【0003】インダクタとは、空芯または軟質磁性材料
を芯材とするような巻線の要素に対応するもので、その
インダクタンスに基づく抵抗値すなわちインピーダンス
が、通過する電流の周波数が高くなるほど増加する特性
を有する。したがって、有用なな信号は通過させるが、
その信号より高い周波数の不要信号やノイズは阻止する
というローパスフィルタの機能があり、電子機器間の電
磁波干渉や、外部雑音の侵入による誤作動防止に活用さ
れる。
【0004】インダクタを小型化しかつ高性能化して、
電子回路部品に適応させたものが積層チップインダクタ
である。チップインダクタは、たとえば図1にその外観
の概念図を示すように、直方体のソフトフェライト焼結
体1の両対向面が、内部導体の入出力用端部電極2にな
っている。その内部の一例を図2の模式図に示すが、グ
リーンシート3上に導電材による内部導体パターン4を
印刷後、各層の導体が接続点6および7を介して直列接
続できるようにし、これらを積層して焼結し一体化して
いる。この内部導体4は外部接続用導体5を介し外側の
両端部電極2に接続されている。これら導体に密着した
ソフトフェライト、すなわち酸化物磁性材料(以下単に
フェライトと略称する)は、導体のインダクタンスを大
幅に増大させる。このような両端面を入出力電極とし
た、小さな直方体の積層チップインダクタは、電子回路
基板への実装が容易である。また、回路パターンを印刷
したグリーンシートを積層後、所定チップ形状に切断し
て焼成をおこなえば、量産によるコスト低減が可能とな
る。
【0005】近年は電子機器で使用される周波数が高く
なり、たとえばパーソナルコンピュータのMPUは100M
Hz以下で駆動していたものが、最新型では500MHzさらに
はそれ以上にも及ぼうとしており、普及のめざましい家
庭用ゲーム機器のDRAMの信号周波数も100MHzを超え
ている。このような高周波化は、電子機器の信号高速処
理化に不可欠であるが、これより低い周波数域で作動す
る機器に対しては、ノイズの発生源の増大に他ならず、
周波数のより高い領域にも使用できるインダクタが要望
されている。
【0006】インダクタの性能、ことにそのインダクタ
ンスは、用いられるフェライトの特性に大きく支配され
る。フェライトは、一般的にX−Fe24の形で表され
る組成の、XがMn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等
の一種、あるいはこれらの元素の混合物である酸化物の
固溶体である。積層チップ内部の、導体の形状および寸
法が同じであれば、フェライトの透磁率が高いほど大き
なインダクタンスが得られる。たとえば、XがMnとZ
nで構成されたフェライトはきわめて高い透磁率を示
す。しかし、このMnZnフェライトは電気抵抗が高く
ないため、低周波域ではすぐれていても高周波域では透
磁率が低下してくるので、高周波域のノイズ対策を目的
とするチップインダクタには適用できない。また、フェ
ライトには材質固有の磁壁共鳴周波数があり、この周波
数以上では透磁率が急激に低下し、インダクタ用として
の磁性材料の機能を喪失する。したがって、磁壁共鳴周
波数が適用高周波域よりも高くなければならない。
【0007】電気抵抗が十分高く、高周波帯域に使用可
能なフェライトとして、NiZnフェライトやCuNi
Znフェライトがある。磁壁共鳴周波数は、NiOの置
換量が増すと高周波側にシフトする。しかし、それとと
もに透磁率は小さくなることが知られている。周波数の
高い100MHz以上での適用を目的とした、Ni−Cu−F
e−Co系の酸化物磁性材料の発明が、特開平5-335135
号公報に開示されている。ところが、この公報に示され
たその酸化物は、100MHzにおける透磁率も必ずしも十分
とはいえない。
【0008】通常、透磁率の高い、すぐれた性能を持つ
緻密なフェライトを得るためには、素材を十分に混合し
て700〜1000℃の温度で仮焼反応させたものを粉砕して
原料粉とし、バインダーを混ぜ混練して最終形状に成型
後、1000℃を超える高温で焼成する。積層チップインダ
クタは、塗布可能な状態の導体の素材をグリーンシート
上に印刷し、これを積層して導体とフェライトとを同時
焼成し一体化するので、焼成温度が高すぎると、この内
部導体はフェライト中へ拡散していったり、溶けて流れ
出したりして、その断面積の減少や消失が起きる。
【0009】内部導体の金属には、電気伝導度の良好な
Agが望ましい。しかし、Agの融点は961℃と低いの
で、融点を上昇させ、フェライトとの熱収縮差を低減で
きることから、Ag−Pd合金が多く用いられる。とこ
ろが、AgはPdなど他の合金元素を含むと電気抵抗が
高くなってくる。インダクタとしての品質の指標である
いわゆるQ値は、内部導体の電気抵抗増加とともに低下
し、その上、電気抵抗が高くなると、使用中の発熱や効
率低下をもたらす。ノイズ対策は、電子回路が複雑化す
るほど必要になってきており、インターフェイス部位に
も拡大しつつある。ことに小型の携帯型電子機器などで
は、安定したグランドの確保が困難なため、インダクタ
型の直列実装ノイズフィルタが多用される傾向にある。
そうなると大電流を扱う電源回路での発熱を低減するた
めの低抵抗化ばかりでなく、フィルタによる損失をでき
るだけ少なくするためにも、導体の抵抗値を低くする必
要がある。
【0010】これらの点から、チップ内部の導体の電気
抵抗はできるだけ低くすることが望ましく、電気抵抗の
低い内部導体としては、実用的にはPdを減らしたA
g、できればAgそのものの単一体がよい。しかし、融
点の低いAgを用いるには、焼結時の溶融や拡散による
内部導体消失を防止するため、900℃を下回る温度で焼
成しなければならない。
【0011】フェライトの焼結温度を低温化する方法に
は、組成の変更、添加物の選定、粉体粒子の微細化など
が挙げられる。通常、フェライト中のCu、すなわち原
料中のCuOの量を増せば焼結温度は低下でき、前述の
ように高周波帯域に用いられるCuNiZnフェライト
もある。しかし、通常のNiCuZnフェライトの焼成
温度は1000〜1100℃であり、900℃を下回る温度では、
緻密なフェライトが得られない。そこでさらにCuO量
を増すと、Cuの離脱を引き起こし、磁気特性を損なっ
たり、電極形成の際のメッキ耐性を損なったりするの
で、焼結温度低下だけの目的による組成変更には限界が
ある。また、低融点のガラス原料を少量添加し、焼結温
度の低温化をはかる方法があるが、用いるガラス原料に
よってはAgと反応して内部導体を収縮あるいは拡散さ
せ、積層チップインダクタとしての所要性能を損なわせ
るおそれがある。粉体粒子の微細化は、粒子が細かいほ
ど低温で焼結が進行しやすくなるので、仮焼後の原料の
粉砕を十分におこなえばよい。しかし細かくしすぎると
粉体の比表面積が増大してバインダーの効果が減退する
ので、それの多量添加が必要になり、表面の均質性にす
ぐれたグリーンシートが得られなくなるため、これにも
限度がある。
【0012】フェライトの特性を損なうことなく焼結温
度を低下させ、内部導体にAgを用いて許容電流値を大
きくした、積層チップインダクタの発明が特公平7-8714
9号公報に提示されている。この発明は主成分のNiC
uZnフェライトに、Bi23、V25または珪酸鉛ガ
ラスのうちの少なくとも一種を少量添加することによ
り、1150℃を要した焼成温度を900℃に低下させ、内部
導体をAg-Pd合金からAgに変えて、通電時の発熱
から規制される許容電流値を、230mmAから394〜415mm
Aに増加させることができたとしている。しかしながら
この場合、Agを内部導体に用いた素子としては、十分
な許容電流が得られているとは言い難い。
【0013】以上のように、内部抵抗が低い、あるいは
大電流に適用する積層チップインダクタにおいては、内
部導体にはAgの単一体を用いることが望ましい。しか
しながら、拡散や反応などによりAg導体が細くなった
り消失したりしない範囲の温度で焼成して、十分高い透
磁率の得られるフェライト、そして、そのようなフェラ
イトを用いた積層チップインダクタに関して、現状では
まだ十分すぐれた性能のものが得られていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、チップイン
ダクタを構成するフェライトとして、低温での焼結にて
高周波域において十分高い透磁率が得られる酸化物磁性
材料、およびその製造方法を提供するものであって、こ
の磁性材料の得られる素材を用い、電気抵抗の低いAg
を内部導体として、Agの拡散が抑制される低温で焼成
することにより、内部抵抗が低く、あるいは大電流仕様
に適応できる高性能のチップインダクタを得ることを目
的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】内部導体は、ペースト状
の素材の形でフェライトのグリーンシート上に印刷さ
れ、乾燥後シートを積層圧着成形して一体化焼成される
際に、フェライトとともにその焼結がおこなわれる。そ
こでまず、この内部導体にAgを単一体として用いるた
めのAgペーストの所要焼成温度を調査したところ、グ
リーンシート上のAg素材の焼結が十分進行し、導体の
抵抗値が最小となる焼成温度は830〜900℃であることが
確認された。この温度範囲より高くなると、Ag導体は
拡散や反応を起こしやすくなって、断面積が減少したり
他元素が侵入したりするおそれがあり、低くなると焼結
不十分になって、いずれもインダクタ内部導体としての
電気抵抗値を増加させる。
【0016】フェライトの素材としては、このAg導体
の最適焼結温度範囲にて十分に焼結がおこなわれ、高透
磁率が得られるものが必要である。そこで、焼成後のフ
ェライトの特性の目標値を、焼結密度ρが5.0g/cm3以上
であること、および100 MHzおける透磁率が50以上であ
ることとし、その焼結温度がAg導体焼結に適した温度
範囲にまで低下できるような、主成分と副成分との組み
合わせの組成範囲を調査した。
【0017】フェライトの主成分の原料としては、Fe
23の他に焼結温度を低くできるCuO、共振点をシフ
トして高周波帯域の特性を向上させるNiO、そして高
透磁率を得るためのZnOを選び、それぞれの配合比率
を検討した。それとともに、これらの主成分に適した副
成分を種々調査した結果、Bi23を用いれば、上記の
目標値に近いフェライトが、Ag導体の焼結温度にて得
られることが明らかになった。これは、Bi23がこの
温度範囲では液相となり、主成分の粒子間に存在して焼
結を促進することなどの効果により、低温で十分な焼結
が可能になったためと思われた。
【0018】しかしながら、Agを内部導体とする積層
チップインダクタを製造したところ、導体とフェライト
との界面に空隙の生じる場合があること、およびAg導
体の断面積減少の傾向が認められることがわかってき
た。界面に空隙が生じると、特性のばらつきやチップイ
ンダクタとしての電気抵抗の増加をもたらし、その上長
期使用の間に特性の劣化する耐候性低下の原因となる。
この界面の空隙については、焼結時の熱収縮率がAg素
材とフェライト素材とで異なるためと推定された。また
Ag導体の断面積減少は、フェライト中へのAgの拡
散、あるいはAgのBi23との反応によると考えられ
た。
【0019】そこで次に、このAg導体とフェライトと
の界面の空隙発生、およびAgの断面減少防止に対し、
副成分に他の組成を含有させることによる効果を種々調
査してみた。その結果、Rh23とAg2Oとの添加が
効果的であることを見出した。すなわち、副成分として
Bi23とともにRh23とAg2Oとを同時に用いれ
ば、フェライトの透磁率を十分高い値に維持したまま、
焼成温度を低下でき、その上、焼成時の界面の空隙発生
や、Ag導体の断面積減少も抑止できたのである。
【0020】Rh23およびAg2Oの含有によりこの
ような効果の得られる理由は必ずしも明らかではない
が、Rh23はフェライトのグリーンシートとAg導電
体ペーストが高温で焼成される際、フェライト中から拡
散してきてAg粒子を被覆するような形で集まり、これ
が空隙の発生を阻止し、Agの他の成分との反応を防止
し、さらにフェライト内部への拡散を抑止していると考
えられる。またAg2O含有は、拡散しようとするフェ
ライト中のAg濃度を高める効果があるため、濃度勾配
を小さくしてAgの拡散傾向を抑止していると推測され
る。これら二つの効果が相まってグリーンシート上に印
刷されたAgの導電ペーストが、それの有するAg量を
損耗することなく良好な内部導体に変化したものと思わ
れた。
【0021】このような副成分を検討する中で、CoO
を加えると、周波数が高くなっても透磁率が低下しにく
いことが見出された。このCoの添加によって得られる
効果の理由は明らかではないが、磁壁共鳴周波数を高く
しているのではないかと思われる。
【0022】以上のように、主成分および添加すべき副
成分等を検討した結果、低い温度にて焼成可能で、Ag
を内部導体とするのに適合した、ほぼ目的とするフェラ
イトの得られることがわかった。そこで、当初の目標、
すなわち 100 MHzにおける透磁率が50以上であって、焼
結密度ρが5.0g/cm3以上であるフェライトを得るため
に、さらに各組成の範囲限界をより明確にして、本発明
を完成させた。このようなフェライトのグリーンシート
を用いることにより、高周波用として使用でき、内部抵
抗が低く、大電流用途にも適した、高性能の積層チップ
インダクタの製造が可能になった。本発明の要旨とする
ところは、以下のとおりである。
【0023】(1) Fe23:43.0〜48.5モル%、Cu
O:5.0〜12.0モル%、NiO:25.0〜35.0モル%、お
よびZnO:上記3成分の残部、である主成分と、主成
分100質量部に対してBi23:0.5〜2.0質量部、Co
O:0.3〜0.6質量部、Rh23:0.5〜2.0質量部、およ
びAg2O:0.03〜0.10質量部の副成分とからなること
を特徴とする酸化物磁性材料。 (2) 酸化物原料を仮焼合成し、粉砕整粒した粉体を用い
て所定形状に成形後、830〜900℃にて1〜5時間焼成をお
こなうことを特徴とする、上記(1)の酸化物磁性材料の
製造方法。 (3) Agの内部導体と、上記(1)の酸化物磁性材料とか
らなることを特徴とする積層チップインダクタ。 (4) 焼成後上記(1)の酸化物磁性材料となるグリーンシ
ートと、焼成後Agの内部導体となる素材とにより、所
定の内部回路を有する積層体を成形した後、830〜900℃
にて1〜5時間の一体化焼成をおこなうことを特徴とす
る、上記(3)に記載の積層チップインダクタの製造方
法。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明において、フェライトの組
成を前述のように限定するのは、以下の理由による。
【0025】Fe23は、フェライトの基幹成分であ
り、そのフェライトの主成分をX−Fe24(XはC
u、Ni、Zn等)として示される逆スピネル構造の固
溶体とすれば、そのうちの43.0〜48.5モル%を構成して
いなければならない。43.0モル%未満の場合、十分な透
磁率が得られず、積層チップインダクタに組み込んだと
きのインピーダンスが不足する。他方、48.5モル%を超
えて存在すると、十分な焼結密度が得られず、積層チッ
プインダクタの機械的強度が不足し、その上長期使用に
よる性能劣化の耐性、すなわち耐候性が低下してくるお
それがある。
【0026】CuOはフェライトの主成分のうちの、5.
0〜12.0モル%を構成していることとする。これは、C
uOは焼結温度の低温化に大きく寄与しており、5.0モ
ル%を下回ると、本発明の目的とする低温度域で焼成を
おこなう場合に焼結密度が不十分になり、機械的強度の
不足に加えて耐候性が劣る原因となるからである。ま
た、12.0モル%を超えると焼成時、表面にガラスとの混
合相が形成されて保持台に溶着しやすくなり、生産性が
低下する。
【0027】NiOはフェライトの高周波域における透
磁率を確保するために含有させる。その量は25.0モル%
未満でも、また逆に多すぎて35.0モル%を超える場合で
も、高周波域でのインピーダンスが低下するので、フェ
ライトの主成分中の含有量は25.0〜35.0モル%に限定す
る。
【0028】ZnOはフェライトの透磁率向上のために
重要な元素であり、フェライトの主成分の、上記Fe2
3、CuOおよびNiOを除いた残りの部分を構成す
るものとする。ただし、その含有比率が10.0モル%を下
回ると、得られたフェライトの磁気特性不十分や焼結密
度不足等の問題を生じ、逆に22.0モル%を超えても磁気
特性が悪くなるので、望ましいのは10.0〜22.0モル%の
範囲である。
【0029】上記のフェライトの主成分にBi23、C
oO、Rh23およびAg2Oからなる組成の副成分を
含有させる。副成分の各成分の所要量とその作用は以下
のとおりである。この場合、フェライトの主成分を100
質量部としたときの、それぞれの成分の量を質量部で示
す。
【0030】Bi23は、フェライトの低温での焼結を
促進させる効果がある。Bi23の量が0.5質量部未満
の場合、焼結が不十分となり、得られたフェライトは十
分な透磁率が得られない。一方、2.0質量部を超える場
合は焼成の際にAg内部導体の断面積減少が顕著にな
り、導体を消失させるおそれがある。そこで、Bi23
の量を0.5〜2.0質量部とする。
【0031】CoOは、主成分中にNiOが存在する
と、透磁率が低下する周波数域を高周波側に拡大する効
果がある。CoOの含有量は、0.3質量部未満の場合100
MHzでも十分な透磁率が得られなくなる。しかし0.6質量
部を超えて含有させようとすると、焼結密度が低下して
しまう。したがってCoOの含有量は0.3〜0.6質量部と
する。
【0032】Rh23の含有量は、0.5〜2.0質量部とす
る。Rh23は、焼成時のAg内部導体とフェライトと
の界面に生じやすい空隙の抑止やAgの他の組成との反
応を阻止する効果があり、さらにAg2Oと同時に存在
させることによってAgのフェライト中への拡散を防止
する効果もある。このような効果は、0.5質量部未満で
は十分発揮させることができず、他方、2.0質量部を超
えて含有させると、焼結時フェライトに亀裂を発生する
おそれがある。そこで、Rh23の含有量は、0.5〜2.0
質量部とする。
【0033】Ag2Oは、焼成時の拡散によると考えら
れるAg導体の断面積減少を防止するために添加する。
その含有量は0.03〜0.10重量部とする。これは、0.03重
量部未満の場合にはその効果は十分でなく、0.10重量部
を超えると焼成の際に割れを生じることがあるからであ
る。
【0034】これらの組成の他、フェライトの特性に大
きく影響しない限りにおいて、多少の不可避的不純物の
混在は許容できる。
【0035】チップインダクタの製造は、次の方法でお
こなえばよい。まず、主成分と副成分とを混合して仮焼
し、仮焼粉を粉砕して整粒した後、バインダーを加えて
十分混練し、ドクターブレード法などにより、グリーン
シートに成形する。このグリーンシート上に導電体ペー
ストを印刷後、シートを積層して所定形状に切断してか
ら、830〜900℃にて1.0〜5.0時間焼成する。焼成温度は
830℃を下回ると、焼結不十分で磁気特性および機械的
強度とも劣ったものになり、900℃を超えると、内部導
体が細くなったり失したりして、良好なチップインダク
タが得られなくなるからである。焼成時間は、1.0時間
未満では焼結が不十分となる一方、必要以上に加熱を続
けても性能の向上はほとんど認められず、加熱の時間お
よびエネルギーの無駄になるので、長くても5.0時間ま
でとする。焼成後、内部導体と接続する導体部分に入出
力用端部電極を取り付け、チップインダクタとする。
【0036】
【実施例】〔実施例1〕表1に示す調合組成比とした原
料を各々合計量にて250g秤量し、1Lの純水とともにジ
ルコニア製粉砕用ボールを使用した2Lのボールミルに
て24時間混合後、原料粉を分別乾燥し、ジルコニアるつ
ぼに移して750℃の仮焼合成をおこなった。仮焼後、X
線回折により所要の化合物が得られていることを確認し
た。これをボールミルにて粉砕、乾燥後メッシュふるい
にて分別して、仮焼合成粉の粒子径が0.8〜1.0μmとな
るように整粒した。これに10質量%のPVA溶液を添加
して、ライカイ機にて造粒し、造粒粉を金型にてプレス
し成形した後、大気中にて880℃、3.0時間の焼成をおこ
ない、外径16mm、内径8mm、厚さ3mmのトロイダル形の焼
結試験片を作製した。試験片の密度は、液中秤量法によ
り測定し、透磁率は日本ヒューレットパッカード社製の
インピーダンス測定装置(HP4291A)および透磁率測定
装置(HP16454A)を用いて、100MHzにおける値を求め
た。
【0037】
【表1】
【0038】表1に、焼結密度および透磁率の測定結果
をあわせて示す。主成分の組成および副成分の含有量が
本発明にて定める範囲内にあるものは、いずれも焼結密
度および透磁率がすぐれ、目標としたフェライトの特性
(焼結密度:5.0g/cm3以上、および100 MHzおける透磁
率:50以上)を具備したものとなることが明らかであ
る。
【0039】〔実施例2〕表1の試料番号3の組成のフ
ェライト素材を用い、ドクターブレード法により厚さ70
μmのグリーンシートを作製した。シート表面に内部導
体となるAg単一組成の導電ペーストを所要パターンに
スクリーン印刷し、シート間の内部導体の間の接続はス
ルーホールを用いて、そこへ導電ペーストを充填してシ
ートを積層圧着後、所定のチップサイズに切断し、大気
中で880℃、3.0時間の焼成をおこなった。なお内部導体
は、ターン数5.5とし、印刷時にて幅150μm、厚さ20μm
の線とした。作製した積層チップインダクタは、図1に
その模式的外観図を示した 2125サイズ(長さ2.0mm、幅
1.25mm、厚さ0.6mm)のもので、端部に接続用電極を焼
き付けている。図2に、その内部導体の形と積層方法を
模式的に示す。
【0040】この積層チップインダクタは、日本ヒュー
レットパッカード社製のインピーダンス測定装置(HP42
91A)を用いて、直接インピーダンスとインダクタンス
を測定した。許容電流は、端部電極間に流す電流を徐々
に増し、表面温度の上昇が、初期温度+3℃以内で安定
する限界の電流値を求めた。それらの特性は下記のとお
りであった。
【0041】 インピーダンス |Z| : 1000 Ω (100MHz) インダクタンス Ls : 450 nH (100MHz) 最大許容電流値 Ip : 2.0 A これからわかるように、本発明による積層チップインダ
クタは許容電流値が大きく、インピ−ダンス、インダク
タンスとも高い値を示している。
【0042】
【発明の効果】本発明により、高周波領域にても十分に
高い透磁率を有し、従来のものよりも低温での焼成によ
り焼結が可能であり、かつAgの拡散による内部導体消
失を抑止できる酸化物磁性材料、すなわちソフトフェラ
イトが得られる。このフェライトによる積層チップイン
ダクタは、内部導体に電気抵抗の小さいAgを用いるこ
とができるので、とくに大電流仕様に最適であり、さら
に高周波特性にすぐれ、内部抵抗が低いことから、電子
機器の高性能化に効果的に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層チップインダクタの外観を模式的に示した
図である。
【図2】積層チップインダクタの内部導体のパターン
と、それを積層する状態を模式的に例示した図である。
【符号の説明】
1.フェライトの積層焼結体部分、 2.入出力用端部電極、 3.フェライトシート、 4.内部導体 5.入出力電極と接続する導電部分、 6.下層内部導体との接続用スルーホール、 7.上層内部導体との接続点
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年12月2日(1999.12.
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】Ag2Oは、焼成時の拡散によると考えら
れるAg導体の断面積減少を防止するために添加する。
その含有量は0.03〜0.10質量部とする。これは、0.03質
量部未満の場合にはその効果は十分でなく、0.10質量部
を超えると焼成の際に割れを生じることがあるからであ
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】
【表1】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe23:43.0〜48.5モル%、CuO:5.
    0〜12.0モル%、NiO:25.0〜35.0モル%、およびZ
    nO:上記3成分の残部、である主成分と、主成分100
    質量部に対してBi23:0.5〜2.0質量部、CoO:0.
    3〜0.6質量部、Rh23:0.5〜2.0質量部、およびAg
    2O:0.03〜0.10質量部の副成分とからなることを特徴
    とする酸化物磁性材料。
  2. 【請求項2】酸化物原料を仮焼合成し、粉砕整粒した粉
    体を用いて所定形状に成形後、830〜900℃にて1〜5時間
    焼成をおこなうことを特徴とする、請求項1に記載の酸
    化物磁性材料の製造方法。
  3. 【請求項3】Agの内部導体と、請求項1に記載の酸化
    物磁性材料とからなることを特徴とする積層チップイン
    ダクタ。
  4. 【請求項4】焼成後請求項1に記載の酸化物磁性材料と
    なるグリーンシートと、焼成後Agの内部導体となる素
    材とにより、所定の内部回路を有する積層体を成形した
    後、830〜900℃にて1〜5時間の一体化焼成をおこなうこ
    とを特徴とする、請求項3に記載の積層チップインダク
    タの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010215453A (ja) * 2009-03-17 2010-09-30 Fdk Corp NiCuZnフェライト
JP2010215454A (ja) * 2009-03-17 2010-09-30 Fdk Corp NiCuZnフェライト

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