JP2001153316A - 千鳥配列の管群燃焼ボイラに適した火炎を形成するバーナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水管を千鳥状に配列した管群燃焼ボイラにお
いて、ＮＯｘおよびＣＯの発生量を低減する。 【解決手段】 千鳥配列の水管群に対し交差方向に燃焼
ガスを流通させるバーナ２を設けた管群燃焼ボイラにお
いて、バーナには予混合ガスを混合する混合室６と、混
合した予混合ガスを水管群へ向けて噴射するバーナプレ
ート７を設けておき、バーナ側から１段目の水管１のバ
ーナに直接面している部分からバーナプレート７へ垂線
を降ろした部分をバーナプレートＡ部、バーナ側から２
段目の水管１のバーナに直接面している部分からバーナ
プレート７へ垂線を降ろした部分をバーナプレートＢ部
としたとき、バーナ２の混合室６内に、バーナプレート
Ａ部へ送る予混合ガス量を少なくし、バーナプレートＢ
部へ送る予混合ガス量を多くするように、混合室内での
予混合ガスの流れを調節する整流板８を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は千鳥配列の管群燃焼ボイ
ラに適した火炎を形成するバーナに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】火炎の燃焼時に発生するＮＯｘを低減す
るための構造として、管群燃焼を行うボイラが提案され
ている。管群燃焼ボイラは、多数の垂直な水管からなる
水管群と、水管群に対して交差方向に燃焼ガスを流通さ
せるバーナを設け、水管とバーナを近接させて設けるこ
とにより、バーナで発生させた直後の火炎を水管によっ
て冷却し、短時間でＮＯｘ発生量の少ない温度領域まで
火炎温度を低下させることで、ＮＯｘの発生を抑制する
ものである。

【０００３】しかし、火炎を短時間で冷却するようにし
た場合、燃焼が不完全となり、ＣＯが多量に発生するこ
とがある。ＮＯｘの発生を抑制するには、火炎温度が高
温である時間を短くするほどよく、ＣＯの発生を抑制す
るには、火炎温度が高温である時間を長くするほどよい
ものであるため、ＮＯｘの発生抑制とＣＯの発生抑制を
両立させることのできるポイントはごく限られた狭い範
囲となる。管群燃焼ボイラにおいては、水管とバーナの
間隔が広すぎると火炎温度が高温で滞留する時間が長く
なってＮＯｘ発生量が増大し、水管とバーナの間隔が狭
すぎると火炎温度が高温である時間が短くなってＣＯの
発生量が増大するため、水管とバーナの間隔が最適なポ
イントとなるように慎重に定める必要がある。

【０００４】管群燃焼ボイラの場合、バーナで発生させ
た火炎が確実に水管に衝突し、かつ燃焼ガスは水管群を
通過できなければならないため、水管群は千鳥状に配置
する。水管を千鳥状に配置することで、水管群のバーナ
側から１段目水管に向けて形成された火炎は１段目の水
管に衝突し、１段目の水管のすきまに向けて形成された
火炎は２段目の水管に衝突することとなり、短時間での
火炎温度の低下を確実に行うことができる。

【０００５】しかしこの場合、バーナから水管までの距
離は、１段目の水管に対面している部分と、２段目の水
管に対面している部分で差が生じる。水管とバーナの最
適な距離は、ごく限定された狭い範囲であるため、バー
ナから水管までの距離が長短の２種類となると、少なく
とも１段目水管または２段目水管のいずれか一方は、バ
ーナからの最適な距離から外れた位置に水管を設置する
こととなり、ＮＯｘやＣＯの発生量が多くなるという問
題があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、水管を千鳥状に配列した管群燃焼ボイラに
おいて、ＮＯｘおよびＣＯの発生量を低減することにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】多数の垂直な水管からな
る水管群と、水管に対し交差方向に燃焼ガスを流通させ
るバーナを設け、水管とバーナは近接させて設けること
によりＮＯｘ発生量を低減する管群燃焼ボイラにおい
て、水管群は千鳥配列とすることで、バーナ側から１段
目の水管と２段目の水管がバーナに直接面するように
し、バーナには燃料ガスと燃焼用空気の混合を行う混合
室と、混合室で混合した予混合ガスを水管群へ向けて噴
射するバーナプレートを設けておき、バーナ側から１段
目の水管のバーナに直接面している部分からバーナプレ
ートへ垂線を降ろした部分をバーナプレートＡ部、バー
ナ側から２段目の水管のバーナに直接面している部分か
らバーナプレートへ垂線を降ろした部分をバーナプレー
トＢ部としたとき、バーナの混合室内に、バーナプレー
トＡ部へ送る予混合ガス量を少なくし、バーナプレート
Ｂ部へ送る予混合ガス量を多くするように、混合室内で
の予混合ガスの流れを調節する整流板を設ける。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図面を用いて
説明する。図１は本発明の一実施例における管群燃焼ボ
イラの要部横断面図、図２は一実施例での整流板の正面
図である。図１のボイラは、多数の垂直な水管１が設け
られた燃焼室３と、バーナ２からなる。最も外側に設け
ている水管は、隣り合う水管のすきまをふさいだ水管壁
であり、２列の水管壁に挟まれた部分に燃焼ガスを通す
ことで、燃焼室３内の水管と燃焼ガスの熱交換を行うも
のである。水管壁で挟まれた燃焼室３内に設けた水管群
は、バーナから１段目には燃焼室の中央に水管を設け、
バーナから２段目には中央に設けた１段目の水管と２面
の水管壁との中間に水管を設け、バーナから３段目は再
び燃焼室の中央に水管を設けており、水管を交互に配置
した千鳥配列としている。

【０００９】バーナ２の根本側には、燃焼用空気を供給
する燃焼用空気供給管４と、燃料ガスを供給する燃料ガ
ス供給管５を接続しており、燃焼用空気と燃料ガスが混
合室６内へ送られ、混合室６内で予混合ガスとなる。混
合室６の先側の面には、金属繊維やセラミックなどの耐
熱性素材で形成されるバーナプレート７が設けられてお
り、バーナプレート７の全面に設けた微少な開口部から
燃焼室３へ向けて予混合ガスを噴射する。火炎９はバー
ナプレート７の燃焼室３側の面で燃焼し、バーナプレー
ト７から噴射する予混合ガス量が多い場合には長い火炎
が発生し、バーナプレート７から噴射する予混合ガス量
が少ない場合には短い火炎が発生する。混合室６内に
は、多数の穴を開けたパンチングメタルからなる整流板
８を、バーナプレート７と平行に設けておく。

【００１０】バーナ側から１段目の水管の、バーナに直
接面している部分から、バーナプレート７に対して垂線
を降ろした位置である、１段目水管との対面部をバーナ
プレートＡ部、バーナ側から２段目の水管の、バーナに
直接面している部分から、バーナプレート７に対して垂
線を降ろした位置である、２段目水管との対面部をバー
ナプレートＢ部とし、バーナプレートをバーナプレート
Ａ部とバーナプレートＢ部に区画する。また、１段目の
水管からバーナプレート７への垂線を延長して、整流板
８に達した部分である、整流板８のバーナプレートＡ部
との対面部を整流板Ａ部、２段目の水管からバーナプレ
ート７への垂線を延長して、整流板８に達した部分であ
る、整流板８のバーナプレートＢ部との対面部を整流板
Ｂ部とし、整流板も整流板Ａ部と整流板Ｂ部に区画す
る。

【００１１】整流板８は、整流板Ｂ部には多数の穴を開
け、整流板Ａ部には穴を開けていない。そのため整流板
Ｂ部では、閉塞部分面積に対する開口部分面積の割合で
ある開口率が整流板Ａ部よりも大きくなり、整流板Ａ部
は整流板Ｂ部の開口率よりも小さな０としている。

【００１２】燃焼用空気供給管４及び燃料ガス供給管５
は、混合室６の整流板８よりも上流側に接続しており、
燃焼用空気及び燃料ガスの供給を行うと、混合室６の整
流板８よりも上流側で燃焼用空気と燃料ガスの混合が行
われて予混合ガスとなる。予混合ガスは整流板８に開け
た穴からバーナプレート７側に向けて送られ、さらにバ
ーナプレート７から燃焼室３の水管１へ向けて噴射する
ことで、バーナプレート７の燃焼室３側に火炎を発生さ
せる。

【００１３】バーナプレートＢ部分は、予混合ガス流の
真上に当たる整流板Ｂ部に穴を開けているため、整流板
Ｂ部を通過した予混合ガスが直接送られることとなり、
バーナプレートＢ部には多くの予混合ガスが送られてく
る。逆にバーナプレートＡ部分は、予混合ガス流の真上
に当たる整流板Ａ部に穴を開けていないため、バーナプ
レートＡ部には整流板Ａ部周囲の整流板Ｂ部を通過して
間接的に送られてくる予混合ガスのみが送られることと
なり、バーナプレートＡ部に送られてくる予混合ガス量
はバーナプレートＢ部に比べて少なくなる。

【００１４】そのため、バーナプレート７から噴射され
る予混合ガス量は、バーナプレートＡ部分は少なく、バ
ーナプレートＢ部分は多くなり、予混合ガス噴射量の少
ないバーナプレートＡ部分ではすぐに燃焼が終了するた
めに短い火炎、予混合ガス噴射量の多いバーナプレート
Ｂ部分では、燃焼が終了するまでの時間がバーナプレー
トＡ部分よりも長くなるために、バーナプレートＡ部分
よりも長い火炎が形成される。

【００１５】バーナプレートから水管までの距離が短い
場合、火炎が冷却されるまでの時間が短くなるため、バ
ーナプレートからの距離が短い１段目の水管部分では、
予混合ガス噴射量を少なくすることでＣＯからＣＯ2へ
の変成を短時間で終了させるようにしている。火炎を短
くすることでＣＯの発生を抑制するため、水管とバーナ
プレートの距離を短くしてもＣＯの発生は抑制され、通
常よりも１段目水管とバーナプレート７の間隔を狭める
ことができる。２段目の水管位置は、１段目の水管位置
によって定まり、バーナプレートから１段目水管までの
距離を短くすれば短くするほど、バーナプレートから２
段目水管までの距離を短くすることができる。上記の通
り、１段目水管をバーナプレートに近づけることができ
るようになったため、２段目水管もバーナプレートに近
づけることができ、バーナプレートから水管までの距離
を短くすることでＮＯｘ発生量を少なくすることができ
る。そして２段目の水管に向けて形成される火炎は、１
段目の水管に向けて形成される火炎に比べて冷却開始ま
での時間が長くなり、１段目の水管に向かう火炎よりも
燃焼時間を長くとれるため、２段目の水管に向けて噴射
する予混合ガス量を１段目の水管に向けて噴射する予混
合ガス量より多くしても、ＣＯ発生量が増大することは
ない。

【００１６】バーナプレートＡ部分はバーナプレートか
ら１段目水管までの距離が短く、バーナプレートＢ部分
はバーナプレートから２段目水管までの距離が長いた
め、バーナプレート全体に同じ長さの火炎を形成してい
た従来の場合、バーナプレートから１段目水管までの距
離が短すぎる場合には、１段目水管でのＣＯ発生量の増
大を招き、１段目水管でのＣＯ発生量の増大を防ぐため
に、１段目水管をバーナプレートから離した場合には、
２段目水管がバーナプレートから離れすぎるためにＮＯ
ｘの発生量が多くなるという問題があった。しかし、バ
ーナプレート７から噴射する予混合ガスの量を調節し、
火炎の長さを調節することで、ＣＯの発生を抑制しなが
らバーナプレートと水管の距離を短くすることができ、
ＣＯとＮＯｘの発生量をいずれも低くすることができ
る。

【００１７】なお、本実施例では整流板Ａ部には穴を開
けておらず、整流板Ａ部の開口率は０としたが、整流板
からバーナプレートまでの距離や、水管のピッチ、バー
ナプレートの材質などによって整流板Ａ部の最適な開口
率は異なる。バーナプレートＡ部から噴射する予混合ガ
ス量を完全になくし、予混合ガス噴射方向を２段目水管
のみに集中させたのでは、１段目水管の効果がなくな
り、２段目水管でも多量のＣＯが発生することとなるた
め、バーナプレートには全面に火炎を形成する必要があ
る。そのため、必要に応じて整流板Ａ部に開ける穴の量
を調節することで、バーナプレートＡ部から噴射する予
混合ガス量とバーナプレートＢ部から噴射する予混合ガ
ス量の割合を調節する。また、バーナプレートＡ部の予
混合ガス噴射用の開口部をふさいだのでは、バーナプレ
ートＡ部に火炎を形成することができなくなるが、整流
板によってバーナプレートＡ部へ送る予混合ガス量を調
節する場合、バーナプレートＡ部では火炎の長さだけを
短くすることができる。

【００１８】

【発明の効果】本発明を実施することで、水管を千鳥状
に配列した管群燃焼ボイラにおいて、ＮＯｘおよびＣＯ
の発生量を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例における管群燃焼ボイラの
要部横断面図

【図２】 本発明の一実施例における整流板の正面図

【符号の説明】

１ 水管 ２ バーナ ３ 燃焼室 ４ 燃焼用空気供給管 ５ 燃料ガス供給管 ６ 混合室 ７ バーナプレート ８ 整流板 ９ 火炎

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数の垂直な水管からなる水管群と、水
   管に対し交差方向に燃焼ガスを流通させるバーナを設
   け、水管とバーナは近接させて設けることによりＮＯｘ
   発生量を低減する管群燃焼ボイラにおいて、水管群は千
   鳥配列とすることで、バーナ側から１段目の水管と２段
   目の水管がバーナに直接面するようにし、バーナには燃
   料ガスと燃焼用空気の混合を行う混合室と、混合室で混
   合した予混合ガスを水管群へ向けて噴射するバーナプレ
   ートを設けておき、バーナ側から１段目の水管のバーナ
   に直接面している部分からバーナプレートへ垂線を降ろ
   した部分をバーナプレートＡ部、バーナ側から２段目の
   水管のバーナに直接面している部分からバーナプレート
   へ垂線を降ろした部分をバーナプレートＢ部としたと
   き、バーナの混合室内に、バーナプレートＡ部へ送る予
   混合ガス量を少なくし、バーナプレートＢ部へ送る予混
   合ガス量を多くするように、混合室内での予混合ガスの
   流れを調節する整流板を設けたことを特徴とする千鳥配
   列の管群燃焼ボイラに適した火炎を形成するバーナ。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の千鳥配列の管群燃焼ボ
   イラに適した火炎を形成するバーナにおいて、整流板は
   バーナプレートと平行に設置し、多数の穴を開けたパン
   チングメタルであり、整流板は、前記バーナプレートＡ
   部から整流板へ垂線を降ろした場合の整流板部分の開口
   率を小さくし、前記バーナプレートＢ部から整流板へ垂
   線を降ろした場合の整流板部分の開口率を大きくしたも
   のであることを特徴とする千鳥配列の管群燃焼ボイラに
   適した火炎を形成するバーナ。