JP2001152299A - 高耐力複合磁性部材 - Google Patents

高耐力複合磁性部材

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JP2001152299A
JP2001152299A JP33445899A JP33445899A JP2001152299A JP 2001152299 A JP2001152299 A JP 2001152299A JP 33445899 A JP33445899 A JP 33445899A JP 33445899 A JP33445899 A JP 33445899A JP 2001152299 A JP2001152299 A JP 2001152299A
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ferromagnetic
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Shinichiro Yokoyama
紳一郎 横山
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単一材で強磁性部と弱磁性部を併せ持つ複合
磁性部材において、従来部材よりも高い耐力を有する複
合磁性部材を提供する。 【解決手段】 質量%でC:0.30〜0.80%、C
r:10.0〜25.0%を含有し、Ti、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Mo、W、Co、Cu、Bの1種
または2種以上を、単独または合計で0を超えて5.0
%以下、残部がFeと不可避不純物の組成を有する合金
鋼から成り、(フェライト+炭化物)組織主体で最大透
磁率200以上、0.2%耐力400MPa以上の強磁
性部と、オーステナイト組織主体で最大透磁率50以
下、0.2%耐力300MPa以上の弱磁性部を有する
高耐力複合磁性部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モ−タをはじめと
する磁気回路の回路部品として適用され得る、単一材料
中に強磁性部と弱磁性部を併せ持つ複合磁性部材の内、
高い耐力を有する部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、モ−タの回転子や磁気目盛等、磁
気回路を必要とする工業製品においては、磁気回路を形
成するために、強磁性体(一般には軟質磁性材料)の一
部に非磁性部を設けた構造が用いられている。強磁性体
の一部に非磁性部分を設ける方法としては強磁性部品と
非磁性部品をろう付けやレ−ザ−溶接によって固着する
手法や、強磁性体の一部をプレスで打ち抜いてできた空
隙を非磁性部とする手法が用いられてきた。これらの異
種材を接合する手法やプレス打ち抜きによる手法に対
し、近年、単一組成からなる金属材料を使用して、この
単一材に冷間加工または熱処理によって強磁性部と非磁
性部を設けた複合磁性部材が提案されている。このよう
な単一材の複合磁性部材を利用すると、強度、気密性の
確保、振動等による破損防止等、信頼性の確保、またコ
ストの低下という点で、強磁性体と非磁性体を接合した
部品や強磁性体の一部をプレスで打ち抜いた部品よりも
優れたものとなる。
【0003】たとえば特開平9−93885号には、リ
ラクタンスモ−タの回転子コアに複合磁性部材を適用す
る提案がなされている。この提案では、質量%で0.6
%C−13%Cr−Feから成り、(フェライト+炭化
物)組織主体の強磁性ステンレス鋼板を素材として、こ
の素材の一部をレ−ザ照射して非磁性のオ−ステナイト
組織とし、得られた複合磁性部材を回転子コアとする技
術が開示されている。従来、リラクタンスモ−タの回転
子コアは、珪素鋼板の一部をプレスで打ち抜いて、出来
た空隙を非磁性部とする方法が基本であったが、プレス
で打ち抜いた回転子コアでは強度が劣るため、回転時の
応力に耐え切れず、回転子コアが変形するという問題が
あった。上述の提案は、プレス打ち抜き品の強度の問題
を解決し、複合磁性部材を利用した回転子という点で飛
躍的な技術と言える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らの検討によ
れば、回路部品として用いられる複合磁性部材の中に
は、高速回転モ−タや、他の精密機器等、使用中の応力
負荷による部品の変形を嫌う用途において、上述の提案
で開示される質量%で0.6%C−13%Cr−Fe組
成の複合磁性部材よりも、更に高い耐力、強度が必要と
される場合がある。これに対して、上述した提案組成の
複合磁性部材では、特にオ−ステナイト組織主体の非磁
性部で得られる耐力に限界があり、耐力、強度の向上が
望まれている。
【0005】ここで、磁気回路部品として上述の複合磁
性部材を用いる場合、該部材を構成する合金素材の化学
成分によっては、オ−ステナイト組織主体の非磁性部
は、空隙ほどには透磁率を小さくできない場合がある。
しかし、磁気回路を構成する際には、磁束を通す部分
と、磁束を遮断する部分の透磁率の比が重要であって、
この比が十分に大きければ良い場合が多い。そこで本発
明に関しては、敢えて非磁性部という表現を使わず、強
磁性部よりも軟磁気特性が弱いという意味で弱磁性部と
表現する。勿論、本発明部材の弱磁性部が空隙と同レベ
ルの低い透磁率を有する非磁性であっても差し支えな
い。本発明の目的は、上述の問題を解決し、単一材で強
磁性部と弱磁性部を併せ持つ複合磁性部材において、従
来部材よりも高い耐力を有する複合磁性部材を提供する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、複合磁性
部材の強磁性部と弱磁性部の強度を高める元素として、
複合磁性部材を形成する基本素材であるFe−Cr−C
系合金に対し、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、W、Co、Cu、B等の元素を添加し、更に複合磁
性部材としての強磁性部、弱磁性部の磁気特性を満足さ
せるべく、添加元素の最適な組成範囲を鋭意検討し、本
発明に到達した。
【0007】すなわち本発明は、質量%でC:0.30
〜0.80%、Cr:10.0〜25.0%を含有し、
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Co、
Cu、Bの1種または2種以上を、単独または合計で0
を超えて5.0%以下、残部がFeと不可避不純物の組
成を有する合金鋼から成り、(フェライト+炭化物)組
織主体で最大透磁率200以上、0.2%耐力400M
Pa以上の強磁性部と、オ−ステナイト組織主体で最大
透磁率50以下、0.2%耐力300MPa以上の弱磁
性部を有する高耐力複合磁性部材である。
【0008】好ましくは、質量%でNi当量(=%Ni
+30×%C+0.5×%Mn+30×%N)が10.
0〜25.0%である合金鋼から成る高耐力複合磁性部
材であり、更に好ましくは、質量%でAl:5.0%以
下、Si:7.0%以下のいずれか1種を含有する高耐
力複合磁性部材であり、特に好ましくは、質量%でA
l、Siの2種を合計で0.1〜12.0%含有する高
耐力複合磁性部材である。
【0009】
【発明の実施の形態】上述したように本発明の特徴は、
単一材料から成る部品で、強磁性と弱磁性の両特性を実
現した複合磁性部材の強度を高めるために、素材である
Fe−Cr−C系合金の強度を高める元素として、T
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Co、C
u、B等の元素を添加し、更に複合磁性部材としての強
磁性部、弱磁性部の磁気特性を満足させるべく、添加元
素の最適な組成範囲を見出したことにある。以下、本発
明における化学成分の規定理由を述べる。
【0010】まず、本発明で基本素材となるFe−Cr
−Cを構成するCr、C限定理由について述べる。C
は、強磁性部においては炭化物を形成して材料強度を確
保し、また弱磁性部においてはマトリックスに固溶して
弱磁性のオーステナイト組織を形成するために必要な本
発明の必須元素である。Cの範囲を0.30%〜0.8
0%としたのは、0.30%未満では上述の2つの効果
が小さく、逆に0.80%を超える範囲では強磁性部の
炭化物が多くなり過ぎて、軟磁性が劣るからである。C
rは、複合磁性の実現の他に、本発明部材の耐食性を確
保する元素である。Crの範囲を10.0%〜25.0
%としたのは、10.0%未満では耐食性を確保する効
果が小さく、逆に25.0%を超える範囲では加工性が
悪くなるためである。Crのより好ましい範囲は、1
2.0%〜18.0%である。
【0011】次に、Fe−Cr−C系合金への添加元素
として、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、
W、Co、Cu、Bを選択したのは、これらの元素は何
れも本発明部材の耐力、強度を高める効果を持っている
からであり、各元素を単独で添加しても、また2種以上
の元素を複合添加しても高耐力化の目的は達せられる。
1種または2種以上の元素の添加範囲を、単独または合
計で0を超えて5.0%以下としたのは、5.0%を超
える範囲では、加工性が悪くなるからである。好ましい
添加範囲は、0.01%〜5.0%である。以下、各元
素の効果を述べる。
【0012】Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Wの各元素は、強磁性部においては、一部は炭化物
となり、残りはマトリックスのフェライト中に固溶し
て、耐力、強度を高める効果がある。また弱磁性部にお
いては、マトリックスのオーステナイトに固溶して本発
明部材の耐力、強度を高める効果がある。耐力、強度を
高める機構は、固溶硬化や析出硬化等、添加元素により
様々である。更に、Moは該部材の耐食性を高める効果
があり、また、Vを添加すると強磁性部において、炭化
物、フェライト粒径ともに大きくなるので、該部材の軟
磁性を改善することもできる。また更に、Co、Cuは
ともに、強磁性部においてはフェライト中に、また弱磁
性部においてはオーステナイト中にそれぞれ固溶して耐
力、強度を高める効果がある。Bもまた、強磁性部、弱
磁性部のマトリックスの強化に有効な元素である。
【0013】次に本発明の望ましい範囲として、Ni当
量(=%Ni+30×%C+0.5×%Mn+30×%
N)を規定した理由を述べる。このNi当量の式に含ま
れるNi、C、Mn、Nの各元素は、何れもオーステナ
イト形成元素であり、弱磁性部の透磁率を下げる効果が
ある。Ni当量の範囲を10.0〜25.0%としたの
は、10.0%未満では上述の効果が小さく、逆に2
5.0%を超える範囲では、弱磁性部の透磁率は下がる
ものの、強磁性部の軟磁性が劣るからである。ここで、
各元素の好ましい範囲を述べる。Cの範囲は、上述した
様に0.30〜0.80%である。MnとNは、それぞ
れNi;4.0%以下、Mn;1.0%以下、N;0.
10%以下が望ましい。これらの元素は、含有量が多く
なり過ぎると加工し難くなることがあるので、望ましい
範囲の上限を示した。
【0014】更に望ましい範囲として、Al:5.0%
以下、Si:7.0%以下のいずれか1種、またAl、
Siの2種を合計で0.1〜12.0%とした理由を述
べる。AlやSiは、強磁性部において炭化物、フェラ
イト粒ともに大きくする効果があり、強磁性部の軟磁性
改善に有効である。また、AlやSiは該部材の電気抵
抗率を上げるため、本発明部材が交流磁場中やパルス磁
場中で使用される場合には、うず電流損失が低減されて
磁場応答性が良くなる。これらの元素の含有量を規定し
た理由は、Al単独添加の場合5.0%を超える範囲、
Si単独添加の場合7.0%を超える範囲では加工性が
悪くなるからである。より好ましくは、Al;0.1〜
5.0%、Si;0.1〜7.0%の範囲が良い。好ま
しい範囲の下限を0.1%としたのは、一般にAlやS
iは脱酸元素として含まれることが多く、溶鋼中の酸素
を除去する役割を果たすだけであれば0.1%未満でも
良いが、上述の磁気特性や電気抵抗率の効果を顕著にす
るためには0.1%以上が必要となるからである。
【0015】また本発明において、AlとSiを複合添
加する場合、合計で12.0%とするのが良い。12.
0%を超える範囲では加工性が特別に悪くなるからであ
る。また、AlとSiの更に望ましい添加範囲は、各元
素を単独添加する場合には0.3〜3.5%、AlとS
iを複合添加する場合には合計で0.5〜7.0%の範
囲である。なお、本発明の複合磁性部材の素材となる合
金鋼は、不可避不純物としてP、S、Oを、特に磁気特
性を劣化しない範囲として、それぞれ0.1%以下含有
してもよい。
【0016】次に、強磁性部の最大透磁率と弱磁性部の
透磁率を規定した理由を述べる。本発明部材は複合磁性
部材であるので、一つの部材において強磁性と弱磁性の
両方の特性を満足しなければならない。強磁性部の最大
透磁率を200以上としたのは、例えばモ−タ部品の様
に、高い最大透磁率が要求される用途に対して、最低
限、必要な特性であるからである。強磁性部の最大透磁
率の望ましい範囲は500以上、更に好ましくは700
以上である。また弱磁性部の最大透磁率を50以下とし
たのは、これを超える範囲では磁束が通り易く、強磁性
部との透磁率の比が小さくなり、弱磁性部としての用途
に適さなくなるからである。弱磁性部の透磁率のより望
ましい範囲は10以下、更に望ましい範囲は2以下であ
る。
【0017】次に、強磁性部と弱磁性部の0.2%耐力
を規定した理由を述べる。本発明部材が、例えば高速回
転モータの回転子の様に、使用中に応力がかかる部品と
して適用される場合、変形、破損に耐え得るだけの十分
な材料強度が必要とされる。本発明部材の強磁性部と弱
磁性部の0.2%耐力を比較すると、炭化物が固溶しオ
−ステナイト組織主体となっている弱磁性部は、(フェ
ライト+炭化物)組織主体の強磁性部と比較して耐力が
小さい。そこで本発明では、最低限必要な材料強度とし
て、強磁性部の0.2%耐力を400MPa以上、弱磁
性部の0.2%耐力を300MPa以上であることとし
た。その理由は、0.2%耐力がこの範囲であれば、例
えば数万rpmの高速回転用モータの回転子としての用
途にも適用できるからである。
【0018】なお、本発明部材の製造方法は、熱間加工
もしくは冷間加工によって目的の大きさ、形状に仕上げ
た後、A3変態点以下で焼鈍し、(フェライト+炭化
物)組織主体の強磁性体とした後、弱磁性化したい箇所
をオーステナイト化温度以上に加熱・急冷するか、また
は溶融・凝固するとよい。加熱・急冷、溶融・凝固の何
れのプロセスを経ても、オ−ステナイト組織主体の弱磁
性部を得ることができる。この場合の加熱源は、高周波
加熱、レーザ、TIG溶接機等、公知のいかなる加熱源
を用いてもよい。これらの製造工程を施すことで、本発
明の複合磁性部材を得ることができる。
【0019】ここで、本発明部材の強磁性部における
(フェライト+炭化物)主体の組織とは、強磁性部をX
線回折した時に検出されるすべてのピ−ク面積の総和の
内、80%以上のピ−ク面積を(フェライト+炭化物)
が占めている組織を指すこととした。また、弱磁性部に
おけるオ−ステナイト主体の組織とは、弱磁性部をX線
回折した時に検出されるすべてのピ−ク面積の総和の
内、50%以上のピ−ク面積をオ−ステナイトが占めて
いる組織を指すこととした。強磁性部における(フェラ
イト+炭化物)組織、弱磁性部におけるオ−ステナイト
組織の割合が、それぞれこの範囲内であれば強磁性部、
弱磁性部の磁気特性は本発明の請求範囲から外れること
はない。
【0020】
【実施例】本発明では、複合磁性部材の素材であるFe
−Cr−C系合金にTi、Zr、Hf、V、Nb、T
a、Mo、W、Co、Cu、B等の元素を添加した場合
の、強磁性、弱磁性それぞれの状態での磁気特性と機械
的性質が重要となる。化学組成と特性の関係を明確にす
るために、合金素材として真空溶解で元素含有量を種々
に変えた合金鋼塊を溶製した。
【0021】表1に、複合磁性部材の素材である合金鋼
の化学組成とNi当量(=%Ni+30×%C+0.5
×%Mn+30×%N)を示す。次に、各素材について
説明する。まず、部材No.20の素材は、本発明の比
較例であり特開平9−93885号に開示される0.6
%C−13%Cr−Fe組成に相当する。部材No.1
〜4、6〜11の各素材は、すべて部材No.20の素
材を基本組成として、Ti、Zr、Hf、V、Nb、T
a、Mo、W、Co、Cuの各元素を1%狙いで添加し
たものであり、部材No.5の素材は、Vを4.95%
添加したものである。また部材No.12の素材は、B
を0.05%添加したものである。
【0022】部材No.13〜15の各素材は、部材N
o.20の素材を基本組成として、それぞれ(Ti、N
b)、(Mo、Cu)、(V、Mo)をそれぞれ複合添
加したものである。部材No.16〜17の各素材は、
Moを添加した部材No.8の素材を基本組成として、
それぞれNiを添加したもの(No.16)と、Alを
単独添加したもの(No.17)である。また、部材N
o.18〜19の各素材は、部材No.16の素材を基
本組成として、それぞれAlを単独添加したもの(N
o.18)と、AlとSiを複合添加したもの(No.
19)である。なお、部材No.1〜19は、すべて本
発明の請求範囲内にある化学成分を有する部材である。
【0023】
【表1】
【0024】得られた合金鋼塊を1100℃に加熱して
鍛造を行い20mm厚の板材とした後、再度1100℃
に加熱して熱間圧延を行い、板厚5.0mmの圧延板を
得た。熱間圧延によって得られた5.0mm厚の板をA
3変態点以下の780℃で焼鈍して軟化した後、冷間圧
延を行い、板厚1.0mmの冷間圧延板を得た。この冷
間圧延板を再度、A3変態点以下の700℃で焼鈍して
軟磁性材料とした。軟磁性材料となった鋼板の一部を高
周波加熱によって約1200℃で10分間保持後、水冷
し、部分的に弱磁性化した。この部分的な弱磁性化処理
により合金鋼板を複合磁性部材とした。
【0025】強磁性部の金属組織は、作製した複合磁性
部材の内、高周波の熱影響を受けていない強磁性部から
15mm角程度のブロックを切り出し、ミクロ組織観察
とX線回折により、すべての部材が(フェライト+炭化
物)主体の組織となっていることを確認した。調査の一
例として、部材No.15のミクロ組織(SEM観察)
を図1に、X線回折結果を図2に示す。図2から、X線
回折により検出されるすべてのピ−クは、フェライト相
かCr23炭化物のいずれかであり、(フェライト
+炭化物)が100%の組織となっていることが分か
る。強磁性部の磁気特性は、外径45mm、内径33m
mのJISリングを切り出し、1次巻線150回、2次
巻線30回の巻線を行った後、4000A/mの直流磁
場を印加して測定した。また、機械的性質は、強磁性部
よりJIS13B板引張試験片を採取し、引張試験を行
って測定した。
【0026】一方、高周波加熱によって形成された弱磁
性部の金属組織は、強磁性部の場合と同様、15mm角
程度のブロックを切り出し、ミクロ組織観察とX線回折
により、すべての部材がオ−ステナイト組織主体となっ
ていることを確認した。調査の一例として、部材No.
15のミクロ組織(光顕)を図3に、X線回折結果を図
4に示す。図3のミクロ観察結果からは、若干のマルテ
ンサイト組織や未固溶炭化物も観察されるが、図4のX
線回折結果で検出されるオ−ステナイト(図中、γ)、
マルテンサイト(図中、α‘)、Cr23の各ピ−
クの面積の総和に対して、オ−ステナイトのピ−クが占
める割合は91.7%であり、オ−ステナイト主体の組
織となっていることが分かる。
【0027】弱磁性部の磁気特性は外径45mm、内径
33mmのJISリングを切り出し、1次巻線300
回、2次巻線30回の巻線を行った後、8000A/m
の直流磁場を印加して最大透磁率μmを測定するか、ま
たはJISリングで測定できない程、低い透磁率のもの
は、弱磁性部より20mm角程度のブロックを切り出
し、透磁率計により測定した。また、弱磁性部の機械的
性質は、強磁性部と同様、JIS13B板引張試験片を
採取し、引張試験を行って測定した。強磁性部、弱磁性
部それぞれの磁性と機械的性質を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】表2から、本発明の複合磁性部材No.1
〜19においては、すべての部材で最大透磁率200以
上、0.2%耐力400MPa以上の強磁性部と、最大
透磁率50以下、0.2%耐力300MPa以上の弱磁
性部が得られることが分かる。一方、比較例の部材N
o.20では、複合磁気特性に関しては問題ないが、強
磁性部、弱磁性部とも0.2%耐力が低い値となってい
る。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、単一材で強磁性部と弱
磁性部をもつ複合磁性部材の素材として、Fe−Cr−
C系合金、または複合磁気特性を改善するためにNi当
量(=%Ni+30×%C+0.5×%Mn+30×%
N)を調節したFe−Cr−C系合金やAlやSiを添
加したFe−Cr−C系合金に、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Mo、W、Co、Cu、Bの1種また
は2種以上を添加することにより、最大透磁率200以
上の強磁性部において400MPa以上の0.2%耐
力、また最大透磁率50以下の弱磁性部において300
MPa以上の0.2%耐力を有する高耐力複合磁性部材
を得ることができる。本発明は、複合磁性と高い耐力の
両方が要求される用途に複合磁性部材を適用するに当た
って欠くことのできない技術となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明部材の強磁性部の金属組織を示す顕微鏡
写真である。
【図2】本発明部材の強磁性部のX線回折の図である。
【図3】本発明部材の弱磁性部の金属組織を示す顕微鏡
写真である。
【図4】本発明部材の弱磁性部のX線回折の図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年12月3日(1999.12.
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】また本発明において、AlとSiを複合添
加する場合、合計で12.0%以下とするのが良い。1
2.0%を超える範囲では加工性が特別に悪くなるから
である。また、AlとSiの更に望ましい添加範囲は、
各元素を単独添加する場合には0.3〜3.5%、Al
とSiを複合添加する場合には合計で0.5〜7.0%
の範囲である。なお、本発明の複合磁性部材の素材とな
る合金鋼は、不可避不純物としてP、S、Oを、特に磁
気特性を劣化しない範囲として、それぞれ0.1%以下
含有してもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】次に、強磁性部の最大透磁率と弱磁性部の
最大透磁率を規定した理由を述べる。本発明部材は複合
磁性部材であるので、一つの部材において強磁性と弱磁
性の両方の特性を満足しなければならない。強磁性部の
最大透磁率を200以上としたのは、例えばモ−タ部品
の様に、高い最大透磁率が要求される用途に対して、最
低限、必要な特性であるからである。強磁性部の最大透
磁率の望ましい範囲は500以上、更に好ましくは70
0以上である。また弱磁性部の最大透磁率を50以下と
したのは、これを超える範囲では磁束が通り易く、強磁
性部との透磁率の比が小さくなり、弱磁性部としての用
途に適さなくなるからである。弱磁性部の透磁率のより
望ましい範囲は10以下、更に望ましい範囲は2以下で
ある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%でC:0.30〜0.80%、C
    r:10.0〜25.0%を含有し、Ti、Zr、H
    f、V、Nb、Ta、Mo、W、Co、Cu、Bの1種
    または2種以上を、単独または合計で0を超えて5.0
    %以下、残部がFeと不可避不純物の組成を有する合金
    鋼から成り、(フェライト+炭化物)組織主体で最大透
    磁率200以上、0.2%耐力400MPa以上の強磁
    性部と、オーステナイト組織主体で最大透磁率50以
    下、0.2%耐力300MPa以上の弱磁性部を有する
    ことを特徴とする高耐力複合磁性部材。
  2. 【請求項2】 質量%でNi当量(=%Ni+30×%
    C+0.5×%Mn+30×%N)が10.0〜25.
    0%である合金鋼から成ることを特徴とする請求項1に
    記載の高耐力複合磁性部材。
  3. 【請求項3】 質量%でAl:5.0%以下、Si:
    7.0%以下のいずれか一種を含有することを特徴とす
    る請求項1または2に記載の高耐力複合磁性部材。
  4. 【請求項4】 質量%でAl、Siの2種を合計で0.
    1〜12.0%含有することを特徴とする請求項1乃至
    3の何れかに記載の高耐力複合磁性部材。
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