JP2001149504A - ワンピースゴルフボール - Google Patents

ワンピースゴルフボール

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JP2001149504A
JP2001149504A JP34215499A JP34215499A JP2001149504A JP 2001149504 A JP2001149504 A JP 2001149504A JP 34215499 A JP34215499 A JP 34215499A JP 34215499 A JP34215499 A JP 34215499A JP 2001149504 A JP2001149504 A JP 2001149504A
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mass
ball
piece golf
golf ball
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JP34215499A
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Masatoshi Yokota
政利 横田
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クリアーコートの密着力、ボールの白色耐久
性に優れたワンピースゴルフボールを提供する。 【解決手段】 基材ゴム、α,β−不飽和カルボン酸及
び/又はその金属塩、有機過酸化物を含有する白色ゴム
組成物からなるボール本体と、該ボール本体表面に塗装
されてなるクリアーコートとからなるワンピースゴルフ
ボールにおいて、前記白色ゴム組成物は、前記基材ゴム
100質量部に対して酸化防止剤0.1〜5.0質量
部、光安定剤0.05〜3.0質量部を含有するゴム組
成物であり、前記クリアーコートは、樹脂成分100質
量部に対して、紫外線吸収剤0.05〜5.0質量部含
有されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白色ゴム組成物か
らなるボール本体に、白色ペイントを施すことなく、ク
リアーコートが形成されているワンピースゴルフボール
に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来の
ワンピースゴルフボールは、ボール表面を鮮明な白色と
するために、白色ペイントを施した後、クリアーペイン
トを施していた。しかし、近年の塗装工程簡略化の要求
から、白色ペイントの塗装を省略して、白色ゴム組成物
で構成されるボール本体表面にクリアーコートを形成し
てなるワンピースゴルフボールが検討されている。
【0003】白色ペイントを省く場合、従来と同程度の
白色外観を確保するためには、ボール本体を鮮やかな白
色で構成する必要がある。また、クリアー塗料では、ボ
ール本体又はクリアーコートの劣化により、両者の密着
力が低下して、クリアーコートが剥離しやすいという問
題がある。このような問題を解決するワンピースゴルフ
ボールとして、例えば、特開平7−51403号公報に
は、ボール本体を酸化チタン及び青色系顔料及び紫色系
顔料を配合したゴム組成物で構成し、クリアー塗料に酸
化防止剤及び/又は光安定剤を含有したワンピースゴル
フボールが提案されている。このワンピースゴルフボー
ルは、クリア塗料に酸化防止剤及び/又は光安定剤を含
有することにより、クリアーコートの劣化が防止され、
さらには塗膜の密着性の低下が防止されるとともに、ボ
ール本体に含有させる顔料の種類及び量を工夫すること
によってボール本体に鮮やかな白色を付与するものであ
る。
【0004】しかしながら、クリアー塗料に酸化防止剤
及び/又は光安定剤を添加することにより、クリアーコ
ートの劣化を防止しても、クリアーコートを透過する光
や酸素によるボール本体自体が劣化することを防止でき
ない。このため、時間の経過に伴い、ボール本体が劣化
し、結局塗膜との密着性低下、さらにはボール本体が変
色するという問題を招来する。特に白色ゴムで構成され
るボールの光劣化による変色は、青色顔料や白色顔料の
配合比率の工夫等だけでは解決できない。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、白色ゴム組成
物で構成されるボール本体とクリアーコートからなるワ
ンピースゴルフボールであって、クリアーコートの密着
力が優れ、しかも白色耐久性に優れたワンピースゴルフ
ボールを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のワンピースゴル
フボールは、基材ゴム、α,β−不飽和カルボン酸及び
/又はその金属塩、有機過酸化物を含有する白色ゴム組
成物からなるボール本体と、該ボール本体表面に塗装さ
れてなるクリアーコートとからなるワンピースゴルフボ
ールにおいて、前記白色ゴム組成物は、前記基材ゴム1
00質量部に対して酸化防止剤0.1〜5.0質量部、
光安定剤0.05〜3.0質量部を含有するゴム組成物
であり、前記クリアーコートは、樹脂成分100質量部
に対して、紫外線吸収剤0.05〜5.0質量部含有さ
れていることを特徴とする。
【0007】前記クリアーコートには、さらに樹脂成分
100質量部に対して蛍光増白剤が0.02〜0.5質
量部含有されていることが好ましい。前記酸化防止剤は
フェノール系化合物であり、前記光安定剤はヒンダード
アミン系化合物であり、前記紫外線吸収剤はベンゾフェ
ノン系及び/又はベンゾトリアゾール系化合物であるこ
とが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】まず、本発明のワンピースゴルフ
ボールのボール本体について説明する。
【0009】本発明のボール本体を構成するゴム組成物
は、従来よりワンピースゴルフボールに用いられている
基材ゴム、α,β−不飽和カルボン酸及びその金属塩、
及び有機過酸化物を含有するゴム組成物に、更に酸化防
止剤及び光安定剤、白色顔料を配合したものである。
【0010】上記基材ゴムとしては、ブタジエンゴム
(BR)、エチレン・プロピレン・ジエン3元共重合体
(EPDM)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム
(IIR)、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NB
R)、スチレンゴム(SBR)等の1種または2種以上
が用いられる。これらのうち、ブタジエンを主成分とす
るゴムが好ましく、具体的には使用される基材ゴムの5
0質量%以上がブタジエンゴムであることが好ましい。
また、ブタジエンゴムとしては、シス1,4結合の含有
割合が90%以上のハイシスポリブタジエンが好ましく
用いられる。
【0011】α,β−不飽和カルボン酸及びその金属塩
としては、具体的には、アクリル酸又はメタクリル酸等
のような炭素数3〜8のα、β−不飽和カルボン酸、及
びその亜鉛塩、マグネシウム塩等の一価又は二価の金属
塩が用いられ、これらのうち高い反発性を付与するアク
リル酸亜鉛が好ましく用いられる。不飽和カルボン酸金
属塩の配合量は、基材ゴム100質量部に対して15〜
40質量部が好ましく、特に18〜38質量部が好まし
い。15質量部以下では軟らかくなりすぎて打球時の変
形量が大きくなるために、クリアーコートの密着性が低
下するからである。40質量部以上では、打球感が硬く
なりすぎるからである。
【0012】有機過酸化物としては、具体的には、ジク
ミルパーオキサイド、1、1―ビス(t―ブチルパーオ
キシ)―3、5―トリメチルシクロヘキサン、2、5―
ジメチルー2、5―ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、ジーt―ブチルパーオキサイド等が挙げられ、これ
らのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられ
る。有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に
対して0.3〜5.0質量部が好ましく、特に0.5〜
3.0質量部が好ましい。
【0013】本発明で用いられる酸化防止剤とは、空気
中に存在する酸素と反応して発生したラジカルを捕捉
し、ラジカル連鎖反応の進行を禁止するラジカル連鎖禁
止剤で、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール
系酸化防止剤、高分子型フェノール系酸化防止剤等のフ
ェノール系酸化防止剤が好ましく用いられる。モノフェ
ノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル
−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、
2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステ
アリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネートなどが挙げられれる。ビス
フェノール系酸化防止剤としては、2,2′−メチレン
ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,
2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−
ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス
〔1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ〕エチル2,4,8,10−テトラオキサスピロ
〔5,5〕ウンデカンなどが挙げられる。高分子型フェ
ノール系としては、1,1,3−トリス(2−メチル−
4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、テトラキス−〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−
t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタン、ビス〔3,3′−ビス−(4′−ヒドロキ
シ−3′−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕
グリコールエステル、1,3,5−トリス(3′,5′
−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−S−
トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオ
ンなどが挙げられるが、これらに限定されない。具体的
には、大内新興社製のノクラックNS−6や吉富製薬社
製のヨシノックス425等が挙げられる。
【0014】これらの酸化防止剤は、基材ゴム100質
量部あたり、0.01〜5.0質量部含有することが好
ましい。0.1質量部未満では、酸化防止効果が不十分
であり、ボール本体の変色、ゴムの酸化に基づくクリア
ーコートとの密着性低下を防止できないからである。一
方、酸化防止剤の量が多いほど、酸化防止効果が向上す
る。しかしながら、酸化防止剤の量が多くなりすぎる
と、酸化の原因となるラジカルを捕捉するだけでなく、
ゴムの架橋反応に用いられるためのラジカル、架橋開始
剤である有機過酸化物の分解から生成したラジカルまで
捕捉してしまう。このため、ゴム組成物の架橋が不十分
となり、硬度の低下をもたらす。ボール硬度が低下しす
ぎると、打撃によりボールが過度に変形しやすくなるた
め、結局はクリアーコートの密着性低下の原因ともな
る。従って、酸化防止剤は、5.0質量部未満とする必
要がある。
【0015】本発明で用いられる光安定剤とは、HAL
Sと一般に称されるヒンダードアミン系化合物で、ピぺ
リジンの2位及び6位の炭素上のすべての水素がメチル
基で置換された構造をもっている。このような光安定剤
は、紫外線吸収能力はないが、極めて優れた耐候性付与
能力を持っている。その安定化機構は明確ではないが、
ヒドロぺルオキシドの非ラジカル分解と、生成した安定
N−オキシルの触媒的ラジカル捕捉が主と考えられてい
る。つまり、ヒンダードアミン系化合物に代表される光
安定剤は、ヒドロぺルオキシドを非ラジカル的に分解す
るので、ラジカル連鎖禁止剤である酸化防止剤と併用し
ても、酸化防止効果を損なうことなく、ゴムに耐候性を
付与することができる。
【0016】光安定剤としては、具体的には三共社製の
サノールLS770、サノールLS−1114、サノー
ルLS−774等が挙げられる。このような光安定剤の
含有量は、基材ゴム100質量部あたり0.05〜3.
0質量部が好ましい。0.05質量部未満では、光安定
効果が得られず、3.0質量部超入れても光安定効果が
飽和するだけでなく、密着性低下をもたらすことにな
り、しかもボールの外観が濁った白色になるからであ
る。
【0017】白色顔料としては、酸化チタンが好ましく
使用される。酸化チタンの種類は、特に限定しないが、
隠蔽性が良好であるという理由から、ルチル型を用いる
ことが好ましい。酸化チタンの含有量は、基材ゴム10
0質量部に対して、0.5〜5質量部が好ましい。本発
明では、クリアーコートに紫外線吸収剤が含有されてい
るので、ボール本体用ゴム組成物には、白色に呈するの
に必要十分な量で足りるが、充分な隠ぺい力を確保して
鮮やかな白色外観を達成するためには、基材ゴム100
質量部に対し、0.5質量部以上とする必要がある。一
方、5.0質量部超含有しても、隠蔽性や白色性の向上
効果は飽和してしまうために、コスト的に不利になるだ
けだからである。
【0018】ゴム組成物に配合される顔料としては、白
色顔料のほか、青色顔料、紫色顔料を含有してもよい。
青色顔料、紫色顔料を白色顔料と併用することにより、
より鮮やかな白色を発揮させることができるからであ
る。
【0019】本発明にかかるゴム本体の白色ゴム組成物
には、上記基材ゴム、α,β−不飽和カルボン酸、酸化
防止剤、光安定剤、白色顔料の他、紫外線吸収剤を配合
してもよい。紫外線吸収剤と光安定剤との併用は、両者
の相乗効果により、より高度な耐候性が得られる。
【0020】また、ボール本体用の白色ゴム組成物に
は、上記成分以外に、酸化亜鉛、シリカ、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム等の充填材を含有してもよい。
【0021】次に、クリアーコートを構成するクリアー
塗料について説明する。
【0022】本発明で用いられるクリアー塗料は、塗膜
形成要素として、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等を含
み、紫外線吸収剤を含有することを特徴としている。
【0023】塗料の基材樹脂としては、ウレタン樹脂、
アクリル樹脂などが挙げられるが、伸びに優れ、ボール
本体との密着力に優れていることから、ウレタン樹脂を
用いることが好ましい。
【0024】本発明にいう紫外線吸収剤とは、紫外線、
特に有害であるというわれている300〜400mμの
紫外線を吸収できるもので、サリチル酸誘導体、ベンゾ
フェノン類、ベンゾトリアゾール類、シアノアクリレー
ト系、及びニッケル錯体等が例示される。サリチル酸誘
導体としてはフェニルサリシレート、p−t−ブチルフ
ェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレー
トなどが挙げられる。ベンゾフェノン系安定剤として
は、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−オクトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ
−4,4′−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられ
る。ベンゾトリアゾール類としては、2−(2′−ヒド
ロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3′−t
−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾ
トリアゾールなどが挙げられるが、これらには限らな
い。シアノアクリレート系としては、2−エチルヘキシ
ル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エ
チル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート
などが挙げられるが、これらには限らない。具体的に
は、ベンゾフェノン類として住友化学社製のスミソープ
130、スミソープ140等;ベンゾトリアゾール類と
してチバガイギー社製のTinuvin 900、Ti
nuvin 326、Tinuvin P;シアノアク
リレート類としてBASF社のUvinul N−35
などが挙げられる。
【0025】このような紫外線吸収剤は、有害な紫外線
を吸収してクリアーコートが紫外線により劣化すること
を防止するとともに、ボール本体に到達する紫外線量を
減らして、ボール本体を構成するゴムの劣化も防止でき
る。そして、紫外線吸収剤は、紫外線を他のエネルギー
に変換して、それ自身が分解されるわけではないので、
長期間にわたって紫外線吸収効果を発揮しつづけること
ができる。この点、ボール本体自体に、紫外線吸収剤を
配合あるいは酸化チタンを大量に含有させることによ
り、ボール本体の紫外線による劣化を防止する方法で
は、クリアーコート自体の紫外線劣化を防止できない。
また紫外線吸収剤は非常に高価であるため、ボール本体
側に配合する場合、所望の効果を得るためには多量の紫
外線吸収剤を配合させる必要があるので、価格的に不利
になる。一方、酸化防止剤及び光安定剤を含有するクリ
アー塗料を用いることによってもクリアーコートの劣化
を防止することは可能である。しかしながら、酸化防止
剤及び光安定剤には紫外線吸収能力がないので、これら
だけでは、クリアーコートの紫外線劣化の防止に対して
不十分であり、しかも紫外線の透過を防止できないの
で、ボール本体に紫外線吸収剤を含有させることが必須
的になる。以上のような理由から、クリアーコートに紫
外線吸収剤を含有させる意義がある。
【0026】紫外線吸収剤の含有量は、クリア塗料中の
塗膜形成要素(樹脂分)100質量部あたり、0.05
〜3質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜2.5
質量部である。0.05質量部以下では、充分な劣化防
止効果は得られず、3質量部を超えても、劣化防止効果
が飽和する一方、ボール本体との密着性が低下するから
である。
【0027】クリアー塗料には、基材樹脂、紫外線吸収
剤の他、蛍光増白剤を含有することが好ましい。蛍光増
白剤は、紫外線を可視光(青色)に変えることにより、
ボールの外観を鮮やかな白色とすることができるからで
ある。このような蛍光増白剤は、紫外線が透過するクリ
アーコート側に含有することにより、蛍光増白剤による
外観向上効果を有効に発揮させることができる。つま
り、紫外線吸収剤を含有するクリアーコートとの組み合
わせにおいて、ボール本体に蛍光増白剤を含有させて
も、十分な増白効果は得られず、ボール本体に蛍光増白
剤を含有させることによって増白効果を得ようとする
と、大量の蛍光増白剤を必要とし、コストアップの原因
となるからである。
【0028】蛍光増白剤としては、チバガイギー社のユ
ビテックスO.B(UbitexO.B)〔2,5−ビ
ス(5−tert−ブチル−2−ベンズオキサゾリル)
チオフェンとして化学的に知られるブチル−ベンズオキ
サゾール誘導体〕、住友化学社製のwhiteflou
r PCS、ヘキストジャパン社製のHoslaluv
KCB等が挙げられる。蛍光増白剤の含有量は、クリ
アーコートの塗膜形成要素(樹脂分)100質量部に対
して0.02〜0.5質量部、好ましくは0.05〜
0.3質量部である。0.02質量部未満では増白効果
は得られず、0.5質量部超では増白効果が飽和すると
ともに、コストアップの原因となるからである。
【0029】尚、クリアー塗料に酸化防止剤及び光安定
剤を含有させて、鮮やかな白色外観を達成しようとする
技術が既に提案されている(例えば、特開平7−514
03号)。酸化防止剤、光安定剤は、既に生じたラジカ
ルの安定化、捕捉によって、それぞれ酸素又は光による
樹脂、ゴムの劣化の進行を抑制するもので、長期間紫外
線の暴露を受ける場合については、ボール本体の白色外
観を保持することができない、いわゆる耐候変色性を満
足することができない。クリアーコートを透過する紫外
線がボール本体の劣化をもたらすからである。一方、本
発明のワンピースゴルフボールのように、クリアーコー
トに紫外線吸収剤を含有させて、クリアーコートを透過
する紫外線量を低減させることは、以下のような効果が
ある。すなわちクリアーコートを透過する紫外線量を減
らして、ボール本体における紫外線によるラジカル発生
を防止するとともに、それでも発生したボール本体内の
ラジカル、パーオキサイドラジカルを、ボール本体に含
有されている酸化防止剤及び光安定剤が捕捉等すること
いう相乗効果が達成される。従って、クリアーコートに
光安定剤及び酸化防止剤が含まれていなくても、クリア
ーコートの劣化を防止することができ、ボール本体に紫
外線吸収剤が含まれていなくても耐候変色性及び耐候密
着性を満足することができる。しかしながら、本発明
は、クリア塗料に、紫外線吸収剤とともに、酸化防止
剤、光安定剤の併用を除外するものではない。
【0030】本発明のワンピースゴルフボールは、上記
ゴム組成物を加圧加熱成形してなるボール本体表面に、
上記クリアー塗料を塗装してクリアーコートを形成した
ものである。マーク等を印字するときは、ボール本体に
印字した後、クリアー塗料を塗布すればよい。
【0031】クリアー塗料を塗布するに当たり、ボール
本体に、表面研磨処理、サンドブラスト、フレーミング
処理、プラズマ処理、コロナ放電処理等の前処理を施し
てもよい。当該処理により、クリアーコートの密着性を
向上させることができる。しかしながら、クリアーコー
トの密着性向上のための最も好ましい前処理は、シラン
カップリング剤による前処理である。このような前処理
により、初期の密着力を向上させることができる。
【0032】ここで、シランカップリング剤による前処
理とは、主としてシランカップリング剤を溶剤で希釈し
てなるシランカップリング剤溶液に浸漬する処理方法で
ある。シランカップリングとしては、γ−クロロプロピ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエ
トキシ)シラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロ
ピルトリメトキシシラン等のSi原子が1分子中に1個
である有機珪素化合物だけでなく、1分子中にSi原子
が2個以上含まれている有機珪素化合物を用いることも
できる。シランカップリング剤を用いる前処理は、前記
サンドブラストやフレーミング処理よりも簡便に行なう
ことができ、しかもボール本体表面を美麗に保持したま
まであるから、クリアーコートとの組み合わせにおい
て、特に好適な前処理と言える。また、シランカップリ
ング剤溶液の乾燥は速く、前処理したボール本体を長時
間待機させることなく、クリアー塗料の塗装工程に移っ
ていけるので、塗装工程省略要求に何ら反するものでは
ない。
【0033】本発明のワンピースゴルフボールは、さら
に初荷重98Nから終荷重1274Nをかけたときの変
形量が2.0〜4.0mmであることが好ましく、より
好ましくは2.2〜3.5mmである。この程度の変形
量とすることにより、打球感を確保しつつ、塗膜密着性
を確保することができる。
【0034】
【実施例】〔評価方法〕まず、下記実施例で用いた評価
方法について説明する。
【0035】外観 アマチュアーゴルファー10人が目視にて観察し、現在
住友ゴム工業株式会社が市販しているワンピースゴルフ
ボール(スタンダードレンジ)と比べて、8人以上が違
和感がないと感じた場合を「○」、3以上の人が違和感
があると感じた場合を「×」とした。
【0036】耐候試験 スガ試験機社製のサンシャインスーパーロングライフウ
ェザオーメーター(WEL−SUN−HC・B型)を用
いて、槽内温度63℃、湿度50%、60分中12分間
降雨の条件下で120時間照射し、照射前後の変色及び
照射後の密着性を下記基準に評価した。 (a)変色 照射前後での変色の程度に応じて、「◎」〜「×」の4
段階で評価した。 (b)密着性 紫外線照射後のゴルフボールを、クラブフェースと同じ
溝がついた鉄板に、45m/sの速度で50回打ちつけ
た。その後、クリアーコートの様子を観察し、全く剥離
がない場合を「○」、小さな剥離が起こっていた場合を
「△」、剥離が起こっていた場合を「×」とした。
【0037】総合評価 上記の評価結果のうち、もっとも悪い結果を、総合
評価の結果として採用した。
【0038】〔ゴルフボールの作製〕 ボール本体の作製 表1に示す組成のゴム組成物のうち、酸化防止剤及び光
安定剤の量を表2に示す量に変更したゴム組成物を調製
し、これを金型に充填して65℃で25分間加熱加圧成
形して、ワンピースゴルフボール本体を作製した。
【0039】尚、ブタジエンゴムとしては、日本合成ゴ
ム社製のハイシスポリブタジエンゴムである「BR−1
1」を用い、酸化防止剤としては吉富製薬社製の「ヨシ
ノックス425」を用い、光安定剤としては三共社製の
「サノールLS770」を用いた。
【0040】
【表1】
【0041】クリアー塗料の調製 塗膜形成樹脂であるウレタン樹脂100質量部に対し
て、紫外線吸収剤(チバガイギー社製のチヌビン90
0)、蛍光増白剤(チバガイギー社製のユビテックスO
B)の含有量を表2のように変えたクリア塗料を調製し
た。
【0042】尚、このクリアー塗料は、ポリウレタンポ
リオールとポリイソシアネートの2液型塗料であり、紫
外線吸収剤及び蛍光増白剤はポリウレタンポリオールに
添加した。
【0043】ゴルフボールの作製 上記で作製したボール本体に、信越化学社製のKBP−
43をイソプロピルアルコールで溶解してなる1質量%
溶液に浸漬した後、乾燥した。乾燥後、上記で調製した
クリアー塗料を塗布し、乾燥して、ワンピースゴルフボ
ール(実施例1〜8、比較例1〜7)を作製した。作製
したゴルフボールについて、上記評価方法に基づいて、
外観、耐候性を評価した。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】ボール本体に、酸化防止剤及び光安定剤が
含有されておらず、且つクリアーコートに紫外線吸収剤
が配合されていない場合、外観が劣り、変色し、密着性
も劣っていた(比較例1)。
【0046】ボール本体に、酸化防止剤、光安定剤のい
ずれか一方が含有されていない場合(比較例2,3)、
ボール本体に酸化防止剤と光安定剤が含有されていても
クリアーコートに紫外線吸収剤が含有されていない場合
(比較例4)、いずれも光、紫外線、又は酸素によるボ
ール本体又は塗膜の劣化を防止できないために、耐候性
(変色、密着)が劣っていた。
【0047】比較例9は、紫外線吸収剤をボール本体側
のみに添加し、光安定剤及び酸化防止剤を、塗料のみに
配合した場合である。この場合、多量の紫外線がクリア
ーコートを透過してボール本体にまで到達するために、
ボール本体が紫外線により劣化するとともに、クリアー
コート自体も紫外線により劣化変色する。つまり、照射
後の変色、密着性が悪くなった。
【0048】比較例8は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、
及び紫外線吸収剤を塗料に配合しているが、ボール本体
には酸化防止剤だけが配合されている場合である。この
場合、ボール本体にまで到達する紫外線が低減するの
で、ボール本体の変色は少なくて済むが、ボール本体の
劣化防止効果が十分でないために、照射後の密着性が低
下した。
【0049】一方、ボール本体に酸化防止剤及び光安定
剤が含有され、クリアーコートに紫外線吸収剤が含有さ
れている場合、照射後の変色については、これらの含有
量に比例して優れた効果を示すが、照射後の密着性につ
いては、これらの含有量が過剰になると却って低下する
結果となった(比較例5〜7)。
【0050】外観については、クリアーコートに蛍光増
白剤を含有させることにより鮮やかな白色とすることは
できる(比較例3,4)。しかし、蛍光増白剤が含有さ
れていても、酸化防止剤及び光安定剤、紫外線吸収剤が
過剰に含有される場合、酸化防止剤等は黄色味がかった
色をしているために、ボール本体やクリアーコートがく
すんだ白色となり、外観の低下の原因となった(比較例
5〜7)。
【0051】これらに対し、ボール本体に酸化防止剤及
び光安定剤が適量含有され、クリアーコートに適量の紫
外線吸収剤と蛍光増白剤が含有されている実施例は、外
観に優れ、耐候性(変色、密着性)に優れていた。
【0052】
【発明の効果】本発明のワンピースゴルフボールは、白
色ボール本体表面にクリアーコートを形成したもので、
鮮やかな白色外観を有し、しかも鮮やかな白色を長期間
にわたって保持することができ、しかもクリアーコート
の密着性が優れている。よって、本発明によれば、外
観、変色、塗膜密着性に優れたワンピースゴルフボール
を、最近の白色ペイント省略要求の下で提供することが
できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材ゴム、α,β−不飽和カルボン酸及
    び/又はその金属塩、有機過酸化物を含有する白色ゴム
    組成物からなるボール本体と、該ボール本体表面に塗装
    されてなるクリアーコートとからなるワンピースゴルフ
    ボールにおいて、 前記白色ゴム組成物は、前記基材ゴム100質量部に対
    して酸化防止剤0.1〜5.0質量部、光安定剤0.0
    5〜3.0質量部を含有するゴム組成物であり、 前記クリアーコートは、樹脂成分100質量部に対し
    て、紫外線吸収剤0.05〜5.0質量部含有されてい
    ることを特徴とするワンピースゴルフボール。
  2. 【請求項2】 前記クリアーコートには、さらに樹脂成
    分100質量部に対して蛍光増白剤が0.02〜0.5
    質量部含有されている請求項1に記載のワンピースゴル
    フボール。
  3. 【請求項3】 前記酸化防止剤はフェノール系化合物で
    あり、前記光安定剤はヒンダードアミン系化合物であ
    り、前記紫外線吸収剤はベンゾフェノン系及び/又はベ
    ンゾトリアゾール系化合物である請求項1又は2に記載
    のワンピースゴルフボール。
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