JP2001144345A - 磁気抵抗効果素子およびそれを用いた磁気メモリ - Google Patents

磁気抵抗効果素子およびそれを用いた磁気メモリ

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JP2001144345A
JP2001144345A JP32254999A JP32254999A JP2001144345A JP 2001144345 A JP2001144345 A JP 2001144345A JP 32254999 A JP32254999 A JP 32254999A JP 32254999 A JP32254999 A JP 32254999A JP 2001144345 A JP2001144345 A JP 2001144345A
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tunnel
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bias voltage
barrier
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Masayuki Sunai
正之 砂井
Koichiro Inomata
浩一郎 猪俣
Yoshiaki Saito
好昭 斉藤
Kentaro Nakajima
健太郎 中島
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Toshiba Corp
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    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
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    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強磁性トンネル接合のバイアス電圧に対する
磁気抵抗比の依存性が少なく実用性の高い磁気抵抗効果
素子を提供する。 【解決手段】 強磁性層(4)/トンネル障壁(5)/
強磁性層(6)/トンネル障壁(7)/強磁性層(8)
の5層構造を含む強磁性二重トンネル接合を有し、前記
3つの強磁性層の磁化の相対的角度によりトンネルコン
ダクタンスが変化する磁気抵抗効果素子において、零バ
イアス付近のバイアス電圧の増加に対して、そのトンネ
ルコンダクタンスが、4.2K付近の極低温で、指数関
数的増加を示す磁気抵抗効果素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,磁気抵抗効果素子
およびそれを利用した磁気メモリ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】薄い絶縁体層で隔てられた2つの強磁性
体層からなる強磁性トンネルにおいては、強磁性体層を
電極としてバイアス電圧を印加するとトンネル電流が流
れる。このときトンネル抵抗は、2つの強磁性体層の磁
化のなす相対角度に依存して変化する。具体的には、2
つの強磁性体層の磁化が反平行のときにトンネルコンダ
クタンスは最小値をとり、平行のとき最大値をとる。こ
のようなトンネルコンダクタンスの変化、つまりトンネ
ル抵抗の変化により、所謂、磁気抵抗効果(MR)が得
られる。従って、2つの強磁性体層のうち、1つ磁性体
層の磁化を外部磁場に対して固定し、他方の磁化を外部
磁場に追随するようにしておけば、外部磁場の変化を抵
抗変化として検出できる。
【0003】これによく似た現象が金属人工格子膜にお
いても発見されており、近年磁気ヘッドに応用されてい
る。例えば、強磁性層と非磁性金属層とを数nmの周期
で積層した積層膜が、強磁性体層の磁化の方向に依存し
て巨大磁気抵抗効果(GMR)を示す材料として見出さ
れている。ここで用いられているものは、数%程度の抵
抗変化率(磁気抵抗比)をもつ。
【0004】最近になって、強磁性トンネル接合はGM
R材料よりも大きな磁気抵抗比をもつことが明らかにさ
れた。また、強磁性トンネル接合はGMR材料に比べて
大きな抵抗をもつので、相対的に大きな出力電圧が得ら
れる。これらの性質により、強磁性トンネル接合はポス
トGMR材料として期待されている。また、強磁性体の
磁化はヒステリシスを示すので、不揮発メモリを構成す
るメモリ素子としての応用が期待される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、強磁
性トンネル接合では大きな磁気抵抗が得られるものの、
この磁気抵抗比は接合に印加されるバイアス電圧に大き
く依存する。すなわち、強磁性トンネル接合では、印加
されるバイアス電圧が増加すると、接合を流れるトンネ
ル電流が急激に増加するとともに抵抗変化の大きさが小
さくなり、その結果として接合の磁気抵抗比が減少す
る。この性質は、強磁性トンネル接合のバイアス依存性
として知られ、磁気抵抗効果素子としての応用に大きな
制限を加えるものである。
【0006】このような欠点を避けるためには、次のよ
うな方法が考えられる。第一は、磁気抵抗比があまり減
少しないような小さなバイアス電圧で素子を動作させる
ことである。しかし、この場合には出力も小さくなり、
強磁性トンネル接合をMR素子として実用化するうえで
問題となる。
【0007】第二は、絶縁体層のつくる障壁ポテンシャ
ルが高い接合を用いることである。このような接合では
もともと大きな磁気抵抗比が得られるので、バイアス電
圧の増加による磁気抵抗比の減少分を補うことができ利
用可能な範囲にとどまらせることができる。しかし、こ
の場合には抵抗値自体が大きくなり、そのままでは応用
が難しい。そこで絶縁体層を薄くすることが考えられる
が、この場合には素子の製造が困難になる。
【0008】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、強磁性トンネル接合のバイアス電圧
に対する磁気抵抗比の依存性のより少ない実用性の高い
磁気抵抗効果素子を提供することを目的とする。さら
に、本発明はそのような磁気抵抗効果素子を用いること
によって、特性の向上を図った磁気メモリおよび磁気セ
ンサを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気抵抗効果素
子は、強磁性層/トンネル障壁/強磁性層/トンネル障
壁/強磁性層の5層構造からなる強磁性二重トンネル接
合を有し、前記3つの強磁性層の磁化の相対的角度によ
りトンネルコンダクタンスが変化する磁気抵抗効果素子
において、4.2K付近の極低温で、零バイアス付近の
バイアス電圧の増加に対して、そのトンネルコンダクタ
ンスが指数関数的増加を示すことを特徴とする。
【0010】本発明は、上述した特性を示す磁気抵抗効
果素子では、磁気抵抗比のバイアス依存性がより小さく
なることを見出すことによりなされたものである。つま
り、4.2K付近の極低温での接合のトンネルコンダク
タンスの変化と、室温における磁気抵抗比のバイアス依
存性に明確な相関があることを見出した。本来、磁気抵
抗効果素子ではバイアス電圧の増加に対してトンネルコ
ンダクタンスが増加するが、4.2K付近において特に
零バイアス付近で指数関数的増加を示すとの報告例はな
い。従来は、トンネルコンダクタンスがバイアス電圧に
比例するという報告がなされているだけである(Phy
s.Rev.Lett.,79,3744,199
7)。
【0011】より具体的には、零バイアス電圧付近にお
けるバイアス電圧に対するトンネルコンダクタンスの増
加のし方は、バイアス電圧Vが零からトンネル障壁のバ
リアポテンシャルの半分の高さに相当する電圧までの範
囲内で、単位面積当たりのコンダクタンスJ/Vが J/(V/2)=a+b(1−e-|V/2|/γ)+c(V
/2−V02 のように変化する部分を有することが好ましい。上記式
中、γは後述するようにトンネル障壁付近の強磁性体の
キュリー温度に関係する電圧である。本発明において
は、γ≧15mV、さらにγ≧25mVであることが好
ましい。また、V0はトンネルコンダクタンスがバイア
ス電圧に対して非対称に変化する場合に、その非対称性
を補償するために導入される電圧値である。トンネルコ
ンダクタンスがバイアス電圧に対して対称的に変化する
場合にはV0=0である。a、b、cは定数である。な
お、トンネル障壁のバリアポテンシャルは、たとえばト
ンネル障壁として多用されている非晶質のAl23では
約1eVである。この場合、バリアポテンシャルの半分
の高さに相当する電圧は0.5Vとなる。
【0012】本発明の磁気メモリは、上述した磁気抵抗
効果素子をメモリセルとして具備することを特徴として
いる。
【0013】本発明の磁気抵抗効果素子においては、極
低温においてそのコンダクタンスのバイアス電圧依存性
を調べると、γ≧15mVを満たす場合にバイアス電圧
の増加に伴う磁気抵抗比の低下の度合いが大きく緩和さ
れる。このバイアス依存性の程度が本発明で規定するγ
の値に何故依存するかは詳らかではないが、基本的には
以下のような機構が働いているものと考えられる。たと
えば、トンネル障壁を挟む2つの強磁性体層の磁化が反
平行の場合に、一方向に偏極したスピンを持つ電子がバ
リアと強磁性電極の界面付近でマグノンを励起すること
によってスピンフリップを起こし、本来トンネルできな
いはずの電子でもスピンの反転によりトンネルできるよ
うになる結果、コンダクタンスを押し上げることが考え
られる。この場合、γはトンネルに寄与しているバリア
付近もしくはバリアに接する強磁性体層の劣化の度合に
関係し、具体的にはキュリー温度と関係すると予想され
る。
【0014】以下、上記の機構についてより詳細に説明
する。バリア付近の強磁性体のキュリー温度は同じ組成
のバルクの強磁性体のそれより低くなっている。なぜな
ら、酸化物バリアと接する数原子層分の強磁性体は、バ
リアから酸素原子を取り込んだり、アモルファス状のバ
リアと接することで大きな歪みを受ける等、キュリー温
度低下の要因が幾つもあるからである。本来的には、γ
はバルクの強磁性電極のキュリー温度と等価の電圧に近
い値をとり得るため、最大では120mV程度の値にな
るはずである。しかし、前述のように界面付近の強磁性
体は劣化しているため、実際のγの値はこれより低くな
っている。このように、γの値は界面の強磁性状態の劣
化の度合いを反映するものである。界面付近の強磁性体
が劣化していると、界面において強磁性スピン系の集団
揺らぎである強磁性マグノンの励起を促進する。このた
め、磁気抵抗比を決定するバリアに接する強磁性電極表
面の伝導電子のスピン偏極度が低下し、高いバイアス電
圧が印加された状態で磁気抵抗比が減少する。すなわ
ち、γの低い磁気抵抗効果素子ほど「バイアス依存性」
が大きくなると考えられる。これに対して、本発明にお
いて規定したγ≧15mVを満たす磁気抵抗効果素子
は、バイアス依存性が低いことが判明している。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0016】図1は本発明の磁気抵抗効果素子の一実施
形態の概略構造を示す断面図である。図1において、強
磁性二重トンネル接合Aは、第1の強磁性層4と第2の
強磁性層6との間、および第2の強磁性層6と第3の強
磁性層8との間にそれぞれ絶縁体などからなるトンネル
障壁5および7を介してトンネル電流が流れるように構
成されている。そして、第1の強磁性層4と第3の強磁
性層8にはそれぞれ反強磁性層3、9を積層することに
よって、第1の強磁性層4と第3の強磁性層8の磁化を
ピン止して外部磁場により反転しないようにしてある。
第2の強磁性層6は上下から絶縁層で挟まれており、基
本的に、外部磁場の向きに応じて自由に回転できるよう
になっている。この第2の強磁性層6を外部磁場により
反転させ、上下の絶縁層を隔てた2つの強磁性層4と8
の磁化との相対角度により変化するトンネル抵抗(トン
ネル電流)によって、磁気抵抗効果(MR)を得るもの
である。
【0017】すなわち、第1の強磁性層4と第3の強磁
性層8の磁化を同じ方向にそろえてピン止めした状態
で、第2の強磁性層6の磁化のみを外部磁場で反転させ
て、第1の強磁性層4および第3の強磁性層8の磁化と
反平行にすることによって、強磁性トンネル接合の抵抗
は最大となる。また、外部磁場によって、第2の強磁性
層6の磁化のみを反転させ、第1の強磁性層4および第
3の強磁性層8の磁化と同じ方向、すなわち平行にする
ことによって、強磁性トンネル接合の抵抗は最小とな
る。このように、外部磁場によってトンネル接合Aの抵
抗を変化させることにより、磁気抵抗効果が得られる。
磁気抵抗比はこれらトンネル抵抗の比(トンネル抵抗変
化率)により定義される。
【0018】第1、第2、第3の強磁性層4、6、8の
構成材料は特に限定されるものではなく、パーマロイに
代表されるNi−Fe合金、強磁性を示すFe、Co、
Niおよびそれらを含む合金、NiMnSb、PtMn
Sbのようなホイスラー合金などのハーフメタル、Cr
2、マグネタイト、Mnぺロブスカイトなどの酸化物
系のハーフメタル、アモルファス合金などの種々の軟磁
性材料から、Co−Pt合金、Fe−Pt合金、遷移金
属−希土類合金などの硬質磁性材料まで、種々の強磁性
材料を使用することができる。
【0019】3つの磁性層のうち、第2の磁性層6のみ
を外部磁場によって変化させるためには、第1および第
3の強磁性層4、8に接して反強磁性膜を積層し、これ
ら反強磁性膜との交換結合により、強磁性層4、8の磁
化を固定する。ここで、反強磁性膜としては、FeM
n、IrMn、PtMn、NiMnなどの反強磁性合金
やNiO、Fe23などの反強磁性材料に限らず、Co
/Ru/Co、Co/Au/Coなどの反強磁性交換結
合膜を用いてもよい。
【0020】トンネル障壁層5、7は第1の強磁性層4
と第2の強磁性層6との間および第2の強磁性層6と第
3の強磁性層8との間にトンネル電流を流し得る範囲の
ポテンシャル高さと厚さであればよい。2つのトンネル
障壁層5、7の構成材料としては、Al、Si、Mg、
希土類元素またはこれらの元素を含む合金の酸化物また
は窒化物を用いることができる。これらの絶縁体からな
る薄膜はその作製条件によりバリアポテンシャルの高さ
が変化する。そして、磁気抵抗効果素子の特性はトンネ
ル障壁層の厚さおよびバリアポテンシャル障壁の高さに
より大きく変化する。このため、素子特性の選択の幅が
大きいが、素子サイズに合わせて適切に選択する必要が
ある。
【0021】図1において、12はシリコン単結晶基板
であり、表面を酸化することによりSiO2で覆われて
いる。その上の拡散バリア層11は拡散を防ぐための層
で、Ta、TaPt、Ti、TiNx、CoSi2等が用
いられる。その上の配向制御層10は反強磁性層9の結
晶配向性を確保するための層であり、NiFe、Cu、
Ag、Auが用いられる。また、上部の反強磁性層3上
には、Ta、Au等からなる保護層2、およびAl、C
u、Ag、Au等からなる配線層1が形成されている。
【0022】図1に示すような強磁性二重トンネル接合
の電流−電圧特性を測定し、この測定結果から、トンネ
ルコンダクタンスのバイアス電圧依存性を求める。具体
的には、この接合に流す電流を順次増やし、各電流値に
対する接合の上下の電極間に印加されているバイアス電
圧Vを測定する。
【0023】図2に、電流密度J(電流値/接合面積)
を接合全体のバイアス電圧の半分のV/2で割ったJ/
(V/2)のバイアス電圧V/2に対する変化の様子を
四角シンボルで示す。本発明に係る2つのトンネル障壁
層を有する強磁性二重トンネル接合は、素子全体に印加
されるバイアス電圧Vを2つのトンネル接合で二分する
ため、各トンネル接合に印加されるバイアス電圧は外部
から印加した接合全体のバイアス電圧Vの半分となって
いると考えられるので、V/2とJ/(V/2)として
まとめている。
【0024】図2に示されるように、零からトンネル絶
縁層のポテンシャルバリアの高さの半分程度のバイアス
電圧までの領域で、単位面積当たりのコンダクタンスJ
/(V/2)が指数関数的に増加する部分がある。前述
のように、トンネルコンダクタンスがバイアス電圧に対
して指数関数的に変化するという指摘は過去にはない。
【0025】本発明においては、トンネルコンダクタン
スがバイアス電圧に対して指数関数的に変化する実測デ
ータに対して、γの値を適切に選ぶことによって、下記
(1)式 J/(V/2)=a+b(1−e-|V/2|/γ)+c(V
/2−V02 で表される曲線をフィットさせることができる。図2に
実線で示されるフィット曲線は J/(V/2)=7080000+1900000(1−e
-|V/2|/0.049)+36200000V2 で表される。このように、γ=49mVとすることによ
り(1)式の曲線が実測データとほぼ完全に一致する。
一方、γの値を49mVよりも大きくした場合にも小さ
くした場合にも、(1)式の曲線は実測データから大き
くずれる。
【0026】本発明の強磁性トンネル接合は、その単位
面積当たりのトンネルコンダクタンスが、零バイアスに
近い低バイアス領域で、バイアス電圧に対し(1)式で
表される指数関数的増加を示す。γは個々の強磁性トン
ネル接合に特有の値であり、このγの値が大きいほど強
磁性トンネル接合の磁気抵抗比が半減するバイアス電圧
1/2が高くなり、バイアス電圧の増加に伴う磁気抵抗
比の減少の程度が緩和される。
【0027】ここで、aとcはトンネルバリアのポテン
シャルの高さと厚さによって決まる定数である。これら
の定数は、Simmonsらのトンネル接合の電流と電
圧に関する近似式(J.Appl.Phys.,Vo
l.34,1828(1963))を用いて、J/Vが
2に対してリニアになるバイアス電圧領域のデータか
ら決定される。トンネル接合の電極が強磁性体ではなく
常磁性体である場合には、(1)式の第2項の指数間数
的変化がなくなり、トンネルコンダクタンスはバイアス
電圧の2乗で変化し、前述のSimmonsの近似式と
完全に一致するようになる。一方、電極に強磁性体を用
いた場合には、(1)式の第2項で表される指数間数的
変化が加わり、特に零バイアス電圧付近では、V2の変
化から大きくずれる。
【0028】零バイアス近傍のトンネルコンダクタンス
の変化が本発明で規定するγの値に依存する理由につい
ては、上述したような機構が考えられる。すなわち、ト
ンネル障壁を挟む2つの強磁性体層の磁化が反平行の場
合に、一方向に偏極したスピンを持つ電子がバリアと強
磁性電極の界面付近でマグノンを励起することによって
スピンフリップを起こし、本来トンネルできないはずの
電子でもスピンの反転によりトンネルできるようになる
ことに由来していると考えられる。本発明で規定したγ
の値は界面の強磁性状態の劣化の度合いを反映し、バル
クの強磁性電極のキュリー温度と等価の電圧に近い値で
ある120mV程度の値より低くなっている。界面付近
の強磁性体の劣化は、界面において強磁性スピン系の集
団揺らぎである強磁性マグノンの励起を促進する。この
ため、磁気抵抗比を決定するバリアに接する強磁性電極
表面の伝導電子のスピン偏極度が低下し、高いバイアス
電圧が印加された状態で磁気抵抗比が減少する。すなわ
ち、γの低い磁気抵抗効果素子ほど「バイアス依存性」
が大きくなる。
【0029】本発明に係るγ≧15mVを示す磁気抵抗
効果素子は、零バイアス時の磁気抵抗比が半減する電圧
1/2がすべて400mV以上とバイアス依存性が低
く、極めて実用性が高いことが判明した。特に、以下に
示す本発明の実施例のように、アルミナ(Al23)タ
ーゲットを直接スパッタしてトンネルバリアを形成した
場合には、トンネルバリアとの界面付近の強磁性体の劣
化が少ないことが予想され、バイアス依存性が小さくな
ると考えられる。
【0030】
【実施例】本発明の実施例について説明する。
【0031】以下のようにして、Al23をトンネル障
壁とする図1に示した構造の強磁性二重トンネル接合を
有する磁気抵抗効果素子を作製した。
【0032】Si/SiO2基板12をスパッタ装置に
入れ、初期真空度を2×10-7Torrに設定した後、
Arを導入して圧力を2×10-3Torrに設定した。
Si/SiO2基板12上に、厚さ5nmのTaからな
る拡散バリア層11、厚さ15nmのNiFeからなる
配向制御層10、厚さ17nmのIr22Mn78からなる
反強磁性層9、厚さ3nmのCoFeからなる強磁性層
8を連続的に形成した。
【0033】次に、Arガス中でAl23ターゲットを
スパッタしてAl2xを成膜した。このときAl2x
厚さを1.5nmに設定した。その後、真空を破ること
なくスパッタ装置に純酸素を導入しグロー放電させてプ
ラズマを発生させ、酸素プラズマ中でAl2xを表面か
ら酸化してAl23に変換し、絶縁体層7を形成した。
このとき、グロー放電時のパワーおよび酸化時間を調整
して、Al2xからAl23への変換度合を調整した。
純酸素を排気した後、Arガス中において上記と同様の
条件でスパッタすることにより、絶縁体層7上に厚さ5
nmのCoFeからなる強磁性層6を形成した。さらに
強磁性層6の上に上記と同様の条件でAl23からなる
絶縁体層5を形成した。
【0034】次いで、Arガス中において上記と同様の
条件でスパッタすることにより、絶縁体層5上に、厚さ
5nmのCoFeからなる強磁性層4及び厚さ17nm
のIr22Mn78からなる反強磁性層3および厚さ5nm
のTaからなる保護層2を連続的に形成した。
【0035】その後、通常のフォトリソグラフィ技術と
イオンミリング技術を用いて、上記の積層膜から図1の
ように、Al23層からなるトンネル障壁5、7が含ま
れる二重トンネル接合部を規定した。接合部の面積は2
0×30μm2とした。
【0036】この接合部において、CoFe層4からト
ンネル効果によりAl23層5を通してCoFe層6へ
トンネル電流が流れ、さらにAl23層7を通してトン
ネル効果によりCoFe層8へトンネル電流が流れる。
また、CoFeからなる第1および第3の強磁性層4、
8はそれらに積層されたIrMn層3、9によって同一
方向にその磁化が固定され、数百Oe程度の弱い外部磁
場によってはその磁化の向きを変えることはない。一
方、CoFeからなる第2の強磁性層6は外部磁場の強
さと方向に応じて自由にその磁化の方向を変えるように
なっている。強磁性層6と強磁性層4、8の磁化の方向
が平行の場合には接合全体の抵抗は最も低い値Rmin
示す。強磁性層6と強磁性層4、8の磁化の方向が反平
行の場合には接合抵抗は最も高い値Rmaxを示す。磁気
抵抗比は MR比(%)=((Rmax−Rmin)/Rmin)×100 で定義される。このTMRは接合全体に印加されるバイ
アス電圧の増加に伴って減少する。
【0037】上記実施例の磁気抵抗効果素子では、図2
に示したようにフィッティングパラメータγは49mV
であった。また、上記実施例の磁気抵抗効果素子では、
磁気抵抗比TMRが零バイアス時の50%になる電圧V
1/2は0.8Vとなり、実用上十分に高い出力を得るこ
とができる。
【0038】また、上記と同様にして種々の磁気抵抗効
果素子を作製し、上記(1)式のフィッティングパラメ
ーターγと零バイアス時の磁気抵抗比が半減する電圧V
1/2との関係を調べた結果を図3に示す。図3に示され
るように、γが15mVでV 1/2が400mV、γ=2
5mVでV1/2が500mV強であり、γが15mV以
上であれば高いバイアス電圧を印加しても、実用上十分
高い出力を得ることができる。
【0039】次に、図4および図5を参照して、MOS
トランジスタ上に本発明の強磁性トンネル接合素子を積
層した構造を有する磁気メモリ素子(MRAM)につい
て説明する。図4は1セルのMRAMの断面図、図5は
3×3セルのMRAMの等価回路図を示す。
【0040】図4に示すように、MOSトランジスタ3
0はシリコン基板31上に形成されたゲート電極32、
ソース、ドレイン領域33、34からなっている。ゲー
ト電極32は読み出し用のワードライン(WL1)を構
成している。ゲート電極32上には絶縁層を介して書き
込み用のワードライン(WL2)35が形成されてい
る。トランジスタ30のドレイン領域34にはコンタク
トメタル36が接続され、さらにコンタクトメタル36
には下地層37が接続されている。この下地層37上の
書き込み用のワードライン(WL2)35の上方に対応
する位置に、図1に示したような強磁性トンネル接合素
子(TMR)20が形成されている。このTMR20上
にビットライン(BL)38が形成されている。
【0041】図5の等価回路図に示すように、トランジ
スタ30と強磁性トンネル接合素子(TMR)20とか
らなる複数の記録セルはアレイ状に配列されている。ト
ランジスタ30のゲート電極からなる読み出し用のワー
ドライン(WL1)32と、書き込み用のワードライン
(WL2)35とは平行に配置されている。また、TM
R10の上部に接続されたビットライン(BL)38
は、ワードライン(WL1)32およびワードライン
(WL2)35と直交して配置されている。
【0042】なお、MRAMはダイオードと本発明に係
る強磁性トンネル接合素子(TMR)とを積層して構成
してもよい。具体的には、ワードライン上にダイオード
と本発明に係るTMRとの積層体からなる記録セルを形
成し、TMR上にワードラインと直交して配置されたビ
ットラインを形成して、多数の記録セルをアレイ状に配
置した構造が考えられる。
【0043】また、本発明の磁気抵抗効果素子は、磁気
メモリ素子だけでなく、磁気センサ、磁気ヘッドなどへ
も応用することができる。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の磁気抵抗効
果素子によれば、従来の強磁性トンネル接合で問題とさ
れていたバイアス電圧に対する磁気抵抗比の大きな依存
性を低減することができる。これにより、バイアス電圧
の広い範囲内で良好な磁気抵抗比を得ることが可能とな
り、磁気メモリ、磁気センサ、磁気ヘッドなどへの応用
に好適な安定した出力が得られる磁気抵抗効果素子を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気抵抗効果素子の一実施形態の概略
構造を示す断面図。
【図2】本発明の強磁性二重トンネル接合のバイアス電
圧対トンネルコンダクタンスの一例を示す図。
【図3】本発明の強磁性二重トンネル接合のバイアス電
圧対トンネルコンダクタンスにおける指数関数的変化の
程度を表すγとV1/2の関係の一例を示す図。
【図4】本発明に係る磁気抵抗効果素子とトランジスタ
とからなるMRAMの断面図。
【図5】本発明に係る磁気抵抗効果素子とトランジスタ
とからなるMRAMの等価回路図。
【符号の説明】
1…配線層 2…保護層 3…反強磁性層 4…第1の強磁性層 5…絶縁体層 6…第2の強磁性層 7…絶縁体層 8…第3の強磁性層 9…反強磁性層 10…配向制御層 11…拡散バリア層 12…基板 20…強磁性トンネル接合素子(TMR) 30…トランジスタ 31…シリコン基板 32…ゲート電極(読み出し用ワードライン) 33、34…ソース、ドレイン領域 35…書き込み用ワードライン 36…コンタクトメタル 37…下地層 38…ビットライン
フロントページの続き (72)発明者 斉藤 好昭 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 中島 健太郎 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 5D034 BA03 BB20 5E049 AA01 AA04 AA07 AA09 AA10 AB02 AB10 AC00 AC05 BA06 CB02 DB04 DB14 5F083 FZ10 KA01 MA06 MA16 MA20 PR04 PR22

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強磁性層/トンネル障壁/強磁性層/ト
    ンネル障壁/強磁性層の5層構造を含む強磁性二重トン
    ネル接合を有し、前記3つの強磁性層の磁化の相対的角
    度によりトンネルコンダクタンスが変化する磁気抵抗効
    果素子において、 零バイアス付近のバイアス電圧の増加に対して、そのト
    ンネルコンダクタンスが、4.2K付近の極低温で、指
    数関数的増加を示すことを特徴とする磁気抵抗効果素
    子。
  2. 【請求項2】 素子に印加されるバイアス電圧Vが零か
    ら前記トンネル障壁のバリアポテンシャルの高さの1/
    2までの範囲において、素子のコンダクタンスJ/V
    が、次式 J/(V/2)=a+b(1−e-|V/2|/γ)+c(V
    /2−V02 (式中、a、b、cは定数、V0はトンネルコンダクタ
    ンスがバイアス電圧に対して非対称に変化する場合に、
    非対称性を補償するために導入される電圧値である)に
    従って変化する部分を有することを特徴とする請求項1
    記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 前記γが、15mV≦γを満たすことを
    特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか1項
    記載の磁気抵抗効果素子をメモリセルとして具備するこ
    とを特徴とする磁気メモリ。
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