JP2001144069A - フィルム状基板のプラズマエッチング装置 - Google Patents

フィルム状基板のプラズマエッチング装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】フィルム状基板の熱膨張に伴う問題を避けるこ
とができしかもアンダーカットを防止して形状制御でき
るフィルム状基板のプラズマエッチング方法及び装置を
提供する。 【解決手段】本発明のフィルム状基板のプラズマエッチ
ング方法は、カソード電極に、フィルム状基板を静電吸
着及びメカニカルクランプ手段によりフィルム状基板と
メカニカルクランプ手段との間に隙間をあけて保持し、
エッチングガスとしてフッ素を含むハロゲンガスと
、Nとの混合ガスを使用することを特徴としてい
る。 また本発明によるエッチング装置は、カソード電
極上に、フィルム状基板を静電吸着保持する静電吸着電
極を設け、静電吸着電極上に静電吸着保持されるフィル
ム状基板の周縁部を、フィルム状基板との間に隙間をあ
けて保持するメカニカルクランプ手段を設け、エッチン
グガスがフッ素を含むハロゲンガスとO、Nとの混
合ガスから成ることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空チャンバー内
にカソード電極とアース電極とを対向して配置し、カソ
ード電極にフィルム状基板を装着し、真空チャンバー内
に発生されたプラズマを利用してエッチング処理を行う
ようにしたフィルム状基板のプラズマエッチング方法及
び装置に関するものであり、HDD用サスペンション一
体型FPCまたは半導体部品用FPCにおけるポリイミ
ド膜のエッチングや、光学素子FPCのたは光導波路に
おけるポリイミド膜のエッチング等に有利に利用され得
る。
【0002】
【従来の技術】このようなフィルム状基板のエッチング
において基板電極にフィルム状基板を保持する方式とし
て従来種々の形式のものが用いられている。その一例と
してテンション方式は添付図面の図7に示すように、冷
却ステージA上にフィルム状基板Bをばね部材等の引張
手段により引張密着保持するように構成している。また
図8に示す方式では、基板電極の冷却ステージ上にフィ
ルム状基板は、SUS板のマスクを基板に押し付け密着
保持される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】テンション方式では、
基板をばね部材等の引張手段で挟み込むため、基板にそ
のためのスペース及び基板の機械的強度が必要であり、
また熱膨張による伸びを吸収する必要がある。また、引
張手段のばね部材等がプラズマ照射により劣化し、場合
によってはばね部材等からアーク放電が生じ得る。さら
にフィルム状基板が弾性変形するため、方向性と曲率の
関係を最適化することが困難である。
【0004】またSUS板のマスクを押し付け基板を密
着保持する方式においては、熱的強度の観点からSUS
板の厚さは5mm以上である必要があり、またマスクを支
持する際に熱逃げが必要であり、そのためプラズマ照射
開口の縁部は図9に示すように30°以下のテーパ角が必
要となる。そのため小さなパターンを形成することがで
きず、今日要求されるパターン幅を満たすマスクを製作
することは実質的に不可能である。
【0005】一方、この種のエッチングにおいて使用さ
れるCFとOや、SFとOガスでは、基板内分
布が±5%以内でも、オーバーエッチングや裾引き形状
を改善するためのオーバーエッチングによってマスク下
に図10に示すようにアスペクト比1/2程度のサイドエ
ッチングが進行することになり、垂直性の維持が困難と
なる。
【0006】そこで、本発明は、このような従来技術の
問題点を解決して、フィルム状基板の熱膨張に伴う問題
を避けることができしかもアンダーカットを防止して形
状制御できるフィルム状基板のプラズマエッチング方法
及び装置を提供することを目的としている。
【0007】上記目的を達成するために、本発明の第1
の発明によれば、真空チャンバー内にカソード電極とア
ース電極とを対向して配置し、カソード電極にフィルム
状基板を装着し、真空チャンバー内に発生されたプラズ
マを利用してエッチング処理を行うようにしたフィルム
状基板のプラズマエッチング方法において、カソード電
極に、フィルム状基板を静電吸着及びメカニカルクラン
プ手段によりフィルム状基板とメカニカルクランプ手段
との間に隙間をあけて保持し、エッチングガスとしてフ
ッ素を含むハロゲンガスとO、Nとの混合ガスを使
用することを特徴としている。
【0008】本発明によるエッチング方法においては、
好ましくは、フィルム状基板とメカニカルクランプ手段
との間の隙間は0.1mm 〜0.5mm に設定され得る。またエ
ッチングガスにはCHFガスが混合され得る。
【0009】本発明の第2の発明によれば、真空チャン
バー内にカソード電極とアース電極とを対向して配置
し、カソード電極にフィルム状基板を装着し、真空チャ
ンバー内に発生されたプラズマを利用してエッチング処
理を行うようにしたフィルム状基板のプラズマエッチン
グ装置において、カソード電極上に、フィルム状基板を
静電吸着保持する静電吸着電極を設け、静電吸着電極上
に静電吸着保持されるフィルム状基板の周縁部を、フィ
ルム状基板との間に隙間をあけて保持するメカニカルク
ランプ手段を設け、エッチングガスがフッ素を含むハロ
ゲンガスとO、Nとの混合ガスから成ることを特徴
としている。
【0010】本発明によるエッチング装置においては、
フィルム状基板とメカニカルクランプ手段との間の隙間
は好ましくは0.1mm 〜0.5mm 、さらに好ましくは0.2mm
〜0.3mm に設定され得る。また、好ましくは、メカニカ
ルクランプ手段はテフロンから成り得る。さらに、フィ
ルム状基板を保持するカソード電極は冷却手段を備え得
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、添付図面の図1〜図4を参
照して本発明の実施の形態を説明する。図1には、本発
明のプラズマエッチング装置の一つの実施の形態を概略
的に示す。1は図示していない排気系及び放電用ガス及
びエッチングガス源に接続された真空チャンバーであ
り、この真空チャンバー1の下側壁には基板電極すなわ
ちカソード電極を構成する高周波電極2が設けられ、高
周波電極2に対向して真空チャンバー1の上側壁に沿っ
てアノード電極3が設けられ、この対向電極3はアース
電位に接続されている。高周波電極2は水冷チャネル4
を備えた水冷電極本体5とその上に固着された静電吸着
電極6とを備え、そして絶縁碍子7を介して真空チャン
バー1の下側壁に固定されている。この静電吸着電極6
は図示していない直流電源によって付勢するようにされ
ている。
【0012】処理すべきフィルム状基板7は静電吸着電
極6上に静電吸着されるが、吸着力は基板表面の形状に
依存し、吸着すべき導体に制限があり、またパターン形
成するためにレジストマスクを用いる表面に凸凹があ
り、吸着力を強くできない。また、基板の導体パターン
部分は強く、それ以外の部分は弱く、さらにフィルム状
基板7の熱膨張はその材質によって異り、基板の導体パ
ターン部分では熱膨張も大きく、プラズマ処理中に膨み
が生じ易い。そしてこの皺寄せが基板端面に現れると、
基板端面に異常放電が生じたり、静電吸着電極の表面が
プラズマでエッチングされ、静電吸着電極の寿命が短く
なる。そのため、本発明においては、フィルム状基板7
の表面より僅かに小さい開口面積のをもちアルミナなど
の絶縁材料で構成した額縁状のクランプ部材8でフィル
ム状基板7をクランプするようにしている。この場合、
基板の熱膨張を吸収するために、フィルム状基板7とク
ランプ部材8との間には隙間が設けられる。
【0013】また、基板のアンダーカットを防止して形
状制御できるようにするため、本発明においては、エッ
チングガスにCHFなどのCHを含むガスが混合され
る。それにより、側壁保護膜を形成しながらエッチング
が行われることになり、パターンの垂直性を保持するこ
とができる。エッチングガスにCHFなどのCHを含
むガスを混合する代わりに、額縁状のクランプ部材8を
テフロンのようなCHF系を含む材料で構成しても同様
の作用効果が得られる。
【0014】また図1に示すように、高周波電極2はマ
ッチングボックス9を介して高周波電源10に接続され
る。
【0015】図2及び図3には、アノード電極を挟んで
両側に多数のカソード電極を設けた本発明の別の実施の
形態を示す。すなわち図示したように、長方形の真空チ
ャンバー11の下側壁とそれに対向した上側壁にはそれぞ
れカソード電極すなわち高周波電極12が四つずつ対称的
に設けられている。そして真空チャンバー11内において
上下両側の高周波電極12の中間位置すなわち真空チャン
バー11の長手方向中央軸線位置に沿って共通のアノード
電極13が配置されている。アノード電極13は図1に示す
実施の形態の場合と同様にアース電位に接続されてい
る。上下各側の高周波電極12は二つずつ対を成してそれ
ぞれの可変真空コンデンサ14を介して共通のマッチング
回路網及び高周波電源15に接続されている。従って、八
つの高周波電極12に対してその半分の四つの高周波電源
15が使用される。
【0016】また、各高周波電極12の両側と中央のアノ
ード電極13との間には図示したように、孔径が3mm以下
のパンチングメタルまたはメッシュメタルから成るアー
ス電位の仕切り部材16がそれぞれ設けられている。これ
らの仕切り部材16は、各高周波電極12と中央のアノード
電極13との間に画定された空間内に生成される放電プラ
ズマを閉じこめる働きをすると共に、隣接高周波電極12
間の高周波干渉を抑制する。
【0017】図3には、図2の装置における一つの高周
波電極12とアノード電極13との関連構成の詳細を拡大し
て示す。高周波電極12は真空チャンバー11の壁に設けた
開口部に例えばテフロンから成る絶縁部材17を介して真
空密封的に取付けられている。また高周波電極12は内部
に水冷チャネル18を備えている。高周波電極12の表面す
なわちアノード電極13に対向した面上にはアルミニウム
製の台座19が固着手段20によって固定され、その上に静
電吸着電極21が設けられ、この静電吸着電極21上に処理
すべきフィルム状基板(図示ていない)がアルミナ製の
クランプ22によって装着される。この場合、図1の実施
の形態で説明したように、アルミナ製のクランプ22は、
基板の周囲縁部を覆うように構成され、しかも熱膨張を
吸収するために基板との間に0.1mm〜0.5mm 好ましくは
0.2mm 〜0.3mm 程度の隙間が開けられる。さらに静電吸
着電極21にはリード線23を介して直流電源(図示してい
ない)が接続され、この直流電源は好ましくは全てまた
は幾つかの静電吸着電極21に対して共通に設けられ得
る。
【0018】中央のアノード電極13は内部に水冷チャネ
ル24が設けられている。またアノード電極13と各高周波
電極12との間の空間において中央のアノード電極13寄り
にエッチングガス供給用ガスパイプ25が設けられてい
る。エッチングガスとしてはフッ素を含むハロゲンガス
とOやNの混合ガス、或いはこの混合ガスにさらに
CHFなどのCHを含むガスを混合したものなどが使
用され得る。
【0019】各高周波電極12の両側に設けられ、プラズ
マ領域を限定する仕切り部材16は、高周波プラズマによ
って誘起される電位を最小にするために上述のようにア
ース電位に接続され、また各高周波電極12毎のガスの移
動すなわちガスの導入及び排気を容易にするため、仕切
り部材16は好ましくは開口率45%程度、しかもプラズマ
の漏れを抑制するため各孔の径3mm以下のメッシュやパ
ンチングメタルで構成される。
【0020】図4には、ポリイミドの高速エッチングプ
ロセスにおける作業ガスの種類及び流量とエッチング速
度との関係を示す。
【0021】図5には、エッチングガスとしてSF
びOの混合ガスを用いた場合のエッチング状態を写真
で示す。
【0022】図6には、エッチングガスとしてSF
びOの混合ガスにCHFを添加した場合のエッチン
グ状態を写真で示し、側壁保護膜の効果で80°のテーパ
ー角で加工することができていることが認められる。
【0023】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明による
プラズマエッチング方法においては、カソード電極に、
フィルム状基板を静電吸着及びメカニカルクランプ手段
によりフィルム状基板とメカニカルクランプ手段との間
に隙間をあけて保持し、エッチングガスとしてフッ素を
含むハロゲンガスとO、Nとの混合ガスを使用する
ように構成しているので、フィルム状基板の熱膨張に伴
う問題を避けることができしかもアンダーカットを防止
して形状制御が可能となる。
【0024】また、本発明によるプラズマエッチング装
置においては、カソード電極上に、フィルム状基板を静
電吸着保持する静電吸着電極を設け、静電吸着電極上に
静電吸着保持されるフィルム状基板の周縁部を、フィル
ム状基板との間に隙間をあけて保持するメカニカルクラ
ンプ手段を設け、エッチングガスがフッ素を含むハロゲ
ンガスとO、Nとの混合ガスから成るように構成し
ているので、基板の熱膨張を吸収することができ、それ
により基板端面に異常放電を生じさせたり、静電吸着電
極の表面をプラズマでエッチングすることがなく、安定
してエッチングを実施でき、さらに基板のアンダーカッ
トを防止して形状制御できるため、パターンの垂直性を
保持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態によるプラズマエッ
チング装置を示す概略線図。
【図2】本発明の別の実施の形態によるプラズマエッチ
ング装置を示す概略線図。
【図3】図2に示すプラズマエッチング装置の細部の構
造を示す拡大縦断面図。
【図4】ポリイミドの高速エッチングプロセスにおける
作業ガスの種類及び流量とエッチング速度との関係を示
すグラフ。
【図5】エッチングガスとしてSF及びOの混合ガ
スを用いた場合のエッチング状態を示す写真。
【図6】エッチングガスとしてSF及びOの混合ガ
スにCHFを添加した場合を用いた場合のエッチング
状態を示す写真。
【図7】従来のプラズマ処理装置における基板保持構造
の一例を示す概略線図。
【図8】従来のプラズマ処理装置における基板保持構造
の別の例を示す概略線図。
【図9】図8に示す基板保持構造の一部を拡大して示す
概略拡大断面図。
【図10】従来のプラズマエッチング装置によるエッチン
グ状態の説明図。
【符号の説明】
1:真空チャンバー 2:高周波電極 3:アノード電極(対向電極) 4:水冷チャネル 5:水冷電極本体 6:静電吸着電極 7:絶縁碍子 8:額縁状のクランプ部材 9:マッチングボックス 10:高周波電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 賀文 千葉県山武郡山武町横田523 日本真空技 術株式会社千葉超材料研究所内 (72)発明者 菊池 正志 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内 (72)発明者 池田 均 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内 (72)発明者 大園 雅 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内 Fターム(参考) 5F004 AA16 BA06 BB13 BB15 BB21 BB22 BB25 BC08 BD07 CA09 DA16 DA18 DA25 DA26 DB25

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空チャンバー内にカソード電極とアース
    電極とを対向して配置し、カソード電極にフィルム状基
    板を装着し、真空チャンバー内に発生されたプラズマを
    利用してエッチング処理を行うようにしたフィルム状基
    板のプラズマエッチング方法において、 カソード電極に、フィルム状基板を静電吸着及びメカニ
    カルクランプ手段によりフィルム状基板とメカニカルク
    ランプ手段との間に隙間をあけて保持し、 エッチングガスとしてフッ素を含むハロゲンガスと
    、Nとの混合ガスを使用することを特徴とするフ
    ィルム状基板のプラズマエッチング方法。
  2. 【請求項2】フィルム状基板とメカニカルクランプ手段
    との間の隙間が0.1mm 〜0.5mm に設定されることを特徴
    とする請求項1に記載のフィルム状基板のプラズマエッ
    チング方法。
  3. 【請求項3】エッチングガスにCHFガスを混合する
    ことを特徴とする請求項1に記載のフィルム状基板のプ
    ラズマエッチング方法。
  4. 【請求項4】真空チャンバー内にカソード電極とアース
    電極とを対向して配置し、カソード電極にフィルム状基
    板を装着し、真空チャンバー内に発生されたプラズマを
    利用してエッチング処理を行うようにしたフィルム状基
    板のプラズマエッチング装置において、 カソード電極上に、フィルム状基板を静電吸着保持する
    静電吸着電極を設け、 静電吸着電極上に静電吸着保持されるフィルム状基板の
    周縁部を、フィルム状基板との間に隙間をあけて保持す
    るメカニカルクランプ手段を設け、 エッチングガスがフッ素を含むハロゲンガスとO、N
    との混合ガスから成ることを特徴とするフィルム状基
    板のプラズマエッチング装置。
  5. 【請求項5】フィルム状基板とメカニカルクランプ手段
    との間の隙間が0.1mm 〜0.5mm に設定されることを特徴
    とする請求項4に記載のフィルム状基板のプラズマエッ
    チング装置。
  6. 【請求項6】メカニカルクランプ手段がテフロン(登録
    商標)から成ることを特徴とする請求項4に記載のフィ
    ルム状基板のプラズマエッチング装置。
  7. 【請求項7】フィルム状基板を保持するカソード電極が
    冷却手段を備えていることを特徴とする請求項4にフィ
    ルム状基板のプラズマエッチング装置。
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