JP4026702B2 - プラズマエッチング装置およびプラズマアッシング装置 - Google Patents

プラズマエッチング装置およびプラズマアッシング装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ処理装置に関し、特に、真空チャンバ内において静電チャック方式により固定した被処理物に対してプラズマを用いたエッチングなどの処理を行うプラズマエッチング装置およびプラズマアッシング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマを利用したドライエッチング、アッシング、薄膜堆積、プラズマドーピングあるいは表面改質などのプラズマ処理は、半導体製造装置や液晶ディスプレイ製造装置をはじめとして、各種の産業分野において広く利用されている。
【0003】
例えば、半導体のシリコンウェーハや液晶ディスプレイのガラス基板などの上に導電体膜や絶縁膜などを形成し、これらをエッチングするような場合に、これら被処理物を真空チャンバ内の載置部に固定する必要がある。この固定手段として、「静電チャック」が用いられることが多い。
【0004】
図8は、このような静電チャックを有する載置部の構造を例示する模式図である。
【0005】
同図に表した載置部は、載置台130とその上に設けられた静電チャック140とを有し、プラズマ処理装置において、図示しない真空チャンバ内に適宜配置される。同図に例示した静電チャック140は、いわゆる「双極型」の構造を有するものである。アルミニウム(Al)などからなる支持台142の上に、セラミックや有機材料などからなる絶縁性部材146が、固定手段144により固定されている。固定手段144としては、例えば、接着剤、インジウム(In)半田、あるいはロウ付けなどを用いることができる。
【0006】
絶縁性部材146の内部には、一対の電極148A、148Bが埋設されている。これらの電極148A、148Bは、給電部152を介して直流の高電圧電源160に接続されている。また、給電部152は、絶縁体150によって載置台130や支持台142から絶縁されている。さらに、高電圧電源160と電極148A、148Bとの間には、高周波カットフィルタ165などが適宜設けられる。
【0007】
半導体ウェーハやガラス基板などの被処理物Wは、絶縁性部材146の上に載置され、高電圧電源160から電極148A、148Bに電圧を印加することにより固定される。
【0008】
図9は、静電チャックに電圧を印加した状態の電荷の分布を表す模式図である。すなわち、同図は双極型の電極の一方のみを例示したものであるが、例えば電極148Aにプラスの直流電圧を印加すると、電極148Aと絶縁性部材146との界面および絶縁性部材146と被処理物Wとの間には、それぞれマイナス、プラス、マイナスの電荷が誘起される。その結果として、被処理物Wと絶縁性部材146との間に「クーロン力」あるいは「ジョンソンラーベック力」と呼ばれる引力が発生し、被処理物Wは絶縁性部材146に吸引される。なお、絶縁性部材146として絶縁体を用いた場合にも、吸着力は小さくなるが同様の効果が得られる。
【0009】
プラズマ処理装置においてこのような静電チャック140を設けることにより、機械的なチャッキング機構が不要となり、脱着も容易に被処理物Wを固定することができる。
【0010】
このようにして被処理物Wを固定した状態において、真空チャンバ内に所定のプロセスガスを導入し、プラズマを生成することより、プラズマ処理を実施することができる。例えば、プロセスガスのプラズマにより活性種を生成し、これを被処理物Wの表面に供給することによって、ドライエッチングやアッシングなどのプラズマ処理を施すことができる。このようなプラズマを形成するためのプロセスガスとしては、例えば被処理物の表面の薄膜のエッチングを行う場合には、酸素ガス(O)、あるいはCF、NF等のフッ素系ガスやCl等のハロゲン系ガスを添加したガスなどを用いることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プラズマ処理に際しては、このように被処理物Wを静電チャック140により固定した状態で、被処理物W側に高周波電力を印加する場合が多い。例えば、図8に例示した載置部の場合、載置台130に高周波電源180が接続されて高周波電力が印加可能とされている。そして、真空チャンバ内にプロセスガスを導入し、載置台130に高周波電力を印加することにより、真空チャンバ内にプラズマを生成したり、被処理物Wに高周波バイアスを印加してエッチングを促進することができる。
【0012】
しかしながら、本発明者は、このような高周波バイアス印加型のプラズマ処理装置において、静電チャック140の絶縁性部材146の電気抵抗に応じてエッチング速度が変動する現象を見いだした。
【0013】
図10は、絶縁性部材146の抵抗率と被処理物Wのエッチング速度との関係を例示するグラフ図である。すなわち、同図の横軸は、絶縁性部材146として用いたセラミックの体積抵抗率(Ωcm)を対数で表し、縦軸は、被処理物Wの上に形成した酸化シリコン膜のエッチング速度を表す。
【0014】
同図から、絶縁性部材146(セラミック)の体積抵抗率が低くなるに従って、エッチング速度が低下していることが分かる。すなわち、体積抵抗率が1014Ωcmを下回ると、エッチング速度が低下を始める。
【0015】
同様の現象は、電極148A、148Bの上側の絶縁性部材146の厚みを薄くして抵抗成分が低下した場合にも見られた。またさらに、同様の現象は、マイクロ波などによって生成したプラズマを用いて被処理物をプラズマ処理する場合にも見られ、特に、被処理物Wに高周波バイアスを印加した場合に顕著に生ずることを見いだした。
【0016】
静電チャックに用いる絶縁性部材146は、被処理物Wの吸着力を高くし、また被処理物Wへの熱伝導を高めるためには厚みを薄くすることが望ましく、また一方、エッチングなどのプラズマ処理に耐えられる材料を用い、また同時に安価で容易に製造できるものであることが望ましい。
【0017】
しかし、図10に例示したようなエッチング速度の低下が生ずると、絶縁性部材146の材料や厚みなどのデザインの選択範囲が狭くなる点で問題である。
【0018】
本発明はかかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、絶縁性部材の抵抗が低下してもエッチング速度の低下が生じないような静電チャックを有するプラズマエッチング装置およびプラズマアッシング装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のプラズマエッチング装置は、大気よりも減圧された雰囲気を維持可能な真空チャンバと、前記真空チャンバ内にプラズマを生成する手段と、前記真空チャンバ内に設けられ、一対の電極を有し、プラズマエッチング処理される被処理物をジョンソンラーベック力により吸着する静電チャックと、前記一対の電極と前記被処理物との間に設けられる体積抵抗率が10 10 Ωcm以下の絶縁性部材と、接地電位から隔絶された直流電圧電源と、前記被処理物が載置される載置台に高周波電力を印加する高周波電源と前記被処理物を前記プラズマエッチング処理する際には前記一対の電極のいずれか一方に前記直流電圧電源の正極を接続し、前記一対の電極のいずれか他方に前記直流電圧電源の負極を接続し、前記被処理物の脱着時には、前記一対の電極のそれぞれに接地電位を接続するスイッチと、を備えることを特徴とする。
また、本発明のプラズマアッシング装置は、大気よりも減圧された雰囲気を維持可能な真空チャンバと、前記真空チャンバ内にプラズマを生成する手段と、前記真空チャンバ内に設けられ、一対の電極を有し、プラズマアッシング処理される被処理物をジョンソンラーベック力により吸着する静電チャックと、前記一対の電極と前記被処理物との間に設けられる体積抵抗率が10 10 Ωcm以下の絶縁性部材と、接地電位から隔絶された直流電圧電源と、前記被処理物が載置される載置台に高周波電力を印加する高周波電源と前記被処理物を前記プラズマアッシング処理する際には前記一対の電極のいずれか一方に前記直流電圧電源の正極を接続し、前記一対の電極のいずれか他方に前記直流電圧電源の負極を接続し、前記被処理物の脱着時には、前記一対の電極のそれぞれに接地電位を接続するスイッチと、を備えることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、静電チャックの絶縁性部材の抵抗が低い場合においても、プラズマ電力がグラウンドにリークすることを防ぎ、エッチング速度の低下などの問題を解消できる。
【0021】
ここで、前記プラズマを生成する手段は、マイクロ波を導波する導波管と、前記マイクロ波を前記真空チャンバ内に導入する透過窓と、を含む「マイクロ波励起型」のものとすることができる。
【0022】
または、前記プラズマを生成する手段は、高周波電力を発生する高周波電源と、前記高周波電力を伝搬する導体アンテナと、前記導体アンテナから前記真空チャンバ内に高周波電力を導入する透過窓と、を含む「誘導結合型」のものとすることができる。
【0024】
また、前記静電チャックは、前記一対の電極と前記被処理物との間に設けられた絶縁性部材をさらに有し、前記絶縁性部材の体積抵抗率は、1014Ωcm以下であるような場合においても、本発明によればプラズマ電力のグラウンドへのリークを防ぎ、エッチング速度の低下などの問題を解消することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、具体例を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態にかかるプラズマ処理装置の要部断面構造を表す模式図である。
【0027】
また、図3は、その載置部の構造をさらに詳細に表した断面図である。
【0028】
まず、その全体構成について説明すると、本発明のプラズマ処理装置は、いわゆる「マイクロ波励起型」の装置であり、プラズマ処理室10とプラズマ生成室20とが設けられた真空チャンバ2を有する。真空チャンバ2は、プロセスガスを導入するためのガス供給口22を有し、図示しない真空ポンプにより矢印Eの方向に真空排気される。また、プロセスガスの流れを調節するために、所定のコンダクタンス開口を有する排気整流板12が適宜設けられている。
【0029】
プラズマ処理室10は、被処理物Wに対してエッチングやアッシングなどのプラズマ処理を施す空間であり、載置台30の上に静電チャック40が設けられている。被処理物Wは、静電チャック40の上に載置され、固定される。そして、プラズマ処理に際して被処理物Wを冷却するために、フッ素系絶縁流体などの冷却媒体14が適宜循環される。
【0030】
一方、プラズマ生成室20においては、導波管28を介してマイクロ波Mが供給され、スロット26を介して誘電体窓24から真空チャンバ2内に導入される。誘電体窓24は、例えば、石英、Al、AlNなどの誘電体により形成され、真空チャンバ2の気密を維持しつつマイクロ波Mを導入する役割を有する。
【0031】
このようにして導入されたマイクロ波は、ガス供給口22から供給されたプロセスガスのプラズマを生成する。また、生成されたプラズマは、永久磁石25の磁場により所定の範囲に閉じこめられる。また一方、載置台30に高周波電源80を接続して100kHzから100MHz程度の周波数の高周波電力を供給することにより、被処理物Wの近傍においてもプラズマを生成し、あるいはバイアス効果によってプラズマによるエッチングを促進することもできる。
【0032】
また、図2は、本発明の実施の形態にかかるプラズマ処理装置の他の具体例を表す模式図である。同図については、図1に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0033】
図2に例示した装置は、いわゆる「誘導結合型プラズマ(Induction Coupling Plasma:ICP)装置」と称される形式のものであり、誘電体窓24には導体からなるICP用アンテナ27が接続されている。アンテナ27の一端は接地され、他端は、整合器29を介して高周波電源84に接続されている。
【0034】
高周波電源84からアンテナ27に供給された2MHzから100MHz程度の周波数の高周波電力は、誘電体窓24を介してチャンバ2内に導入され、ガス供給口22を介して導入されたプロセスガスのプラズマを生成する。
【0035】
次に、図1、図2に例示したプラズマ処理装置に設けられる静電チャック40の構造について、図3を参照しつつ詳しく説明する。静電チャックは、載置台30の上に設けられ、「双極型」の構造を有する。そして、アルミニウム(Al)などからなる支持台42の上に、セラミックや有機材料などからなる絶縁性部材46が、固定手段44により固定されている。固定手段44としては、例えば、接着剤、インジウム(In)半田、あるいはロウ付けなどを用いることができる。
【0036】
絶縁性部材46の内部には、一対の電極48A、48Bが埋設されている。これらの電極48A、48Bは、給電部52を介して直流の高電圧電源60に接続されている。また、給電部52は、絶縁体50によって載置台30や支持台42から絶縁されている。さらに、高電圧電源60と電極48A、48Bとの間には、高周波カットフィルタ65などが適宜設けられる。
【0037】
半導体ウェーハやガラス基板などの被処理物Wは、絶縁性部材46の上に載置され、高電圧電源60から電極48A、48Bに電圧を印加することにより固定される。
【0038】
図4は、絶縁性部材46を上方から眺めた平面透視図である。すなわち、中央には絶縁体50により絶縁された給電部52が設けられている。そしてこの給電部52に接続された一対の電極48A、48Bが対向して設けられ、これを絶縁性部材46が取り囲んでいる。また、このような絶縁性部材46には、被処理物Wを持ち上げて、搬送や載置を容易にするためのリフトピンが貫通する穴47が適宜設けられている。
【0039】
なお、電極48A、48Bの平面形状は、図4に例示したものには限定されず、極性が異なる複数の電極が互い違い状、交互状などに配置された各種の形状を採用することができる。
【0040】
さて、以上説明した構成において、高電圧電源60は、高電圧発生部60Aと、スイッチ60B、60Cとを有する。高電圧発生部60Aは、接地電位から隔絶されている。つまり、「フローティング」の状態で電圧を印加することができるようにされている。
【0041】
一方、スイッチ60B、60Cは、電極48A、48Bを、高電圧発生部60Aと接地電位との間でそれぞれ切り替え可能としている。つまり、スイッチ60Bは、電極48Aの接続端T1を、接地電位S1と高電圧発生部60Aの一方の極(正極または負極)S2との間で切り替える。また、スイッチ60Cは、電極48Bの接続端T2を、高電圧発生部60Aの他方の極(負極または正極)S3と接地電位S4との間で切り替える。
【0042】
その動作について説明すると、まず、プラズマ処理に先立って、被処理物Wを真空チャンバ2の中に導入し、静電チャック40の上に載置する。具体的には、例えば図示しない搬送手段により被処理物Wを静電チャック40の上に搬送して載置する。この際には、図5に例示したように、電極48A、48Bはそれぞれ接地電位S1、S4に接続されている。
【0043】
次に、スイッチ60B、60Cを切り替えて、図6に例示したように、電極48A、48Bをそれぞれ高電圧発生部60Aの両端と接続する。この状態において、電極48A、48Bにそれぞれ逆極性の高電圧が印加され、被処理物Wは絶縁性部材46の表面に吸着固定される。
【0044】
この後、プラズマを生成してエッチングやアッシングなど、所定のプラズマ処理を施す。この際に、高周波電源80から載置台30に高周波電力を印加することにより、被処理物Wの周囲においてプラズマを生成し、あるいは高周波バイアス効果を利用してエッチングやアッシングなどのプラズマ処理を促進することができる。
【0045】
所定のプラズマ処理が終了したら、プラズマを停止し、スイッチ60B、60Cを切り替えて、図5に表したように電極48A、48Bをそれぞれ接地電位S1、S4に接続する。この状態において、被処理物Wを吸引する電荷は消滅し、静電チャックによる吸着作用は解消する。
【0046】
しかる後に、図示しない搬送手段などによって被処理物Wを載置台から取り出す。
【0047】
以上説明したように、本発明においては、プラズマ処理中は、静電チャックの電極48A、48Bに、接地電位から隔絶された高電圧を印加する。このように、電極48A、48Bにフローティング状態で高電圧を印加することにより、絶縁性部材46の抵抗が小さい場合でも、エッチング速度の低下を防ぐことができる。
【0048】
図7は、本発明における絶縁性部材46の抵抗率と被処理物Wのエッチング速度との関係を例示するグラフ図である。すなわち、同図の横軸は、絶縁性部材46として用いたセラミックの体積抵抗率(Ωcm)を対数で表し、縦軸は、被処理物Wの上に形成した酸化シリコン膜のエッチング速度を表す。また、同図には、図10に表した従来のプラズマ処理装置おけるエッチング速度の関係も併せて表した。
【0049】
図7から、本発明のプラズマ処理装置においては、絶縁性部材46(セラミック)の体積抵抗率が小さくなっても、エッチング速度が低下しないことが分かる。具体的には、絶縁性部材46の体積抵抗率が1014Ωcmを下回ってもエッチング速度は低下しない。
【0050】
本発明のプラズマ処理装置においてエッチング速度の低下が生じないのは、エッチング中は、静電チャック40の電源が接地電位から隔絶されているからである。すなわち、本発明者の検討の結果、図10に例示したようなエッチング速度の低下は、プラズマを生成させるための電力が絶縁性部材46を介して接地電位にリークすることに起因することが判明した。つまり、図8及び図9に例示したような従来の静電チャックの場合、高電圧電源160の一端が接地電位に接続されているため、絶縁性部材146の抵抗が小さくなると、高周波電源180から供給される高周波電力が絶縁性部材146を介して接地レベルにリークすることとなる。その結果として、高周波電力に損失が生じ、エッチング速度が低下する。
【0051】
これに対して、本発明によれば、被処理物Wをフローティング状態として高電圧を印加するので、高周波電力がグラウンドにリークする回路は形成されない。このため、絶縁性部材46の抵抗が小さくなってもエッチング速度の低下を防ぐことができる。
【0052】
本発明によれば、図1あるいは図2に例示したようなプラズマ処理装置において、マイクロ波Mによってプラズマを生成するような場合でも、マイクロ波によって供給されるプラズマ生成の電力がグラウンドにリークすることを防止できる。その結果として、エッチング速度の低下を効果的に防ぐことができる。
【0053】
特に、図1あるいは図2に表したような誘電体窓24の面積が大きくなると、真空チャンバ2内において、カソードに対してグラウンドの面積が十分に大きくないので、静電チャック40における接地電位に対するリークが顕著となる傾向が認められる。本発明によれば、このような場合でも、高電圧電源60をフローティング状態とすることにより、接地電位に対するリークを確実に防ぐことができる。
【0054】
またさらに、高周波電源80から載置台30に高周波電力を供給する場合においても、高周波電力のグラウンドへのリーク回路は形成されないため、エッチング速度の低下は生じない。本発明は、特に、このような場合において、高周波電源80から供給される高周波電力のグラウンドへのリークを確実に防ぐことができる点で有利である。
【0055】
また、本発明によれば、静電チャックの絶縁性部材46の材料として、比抵抗が小さいものも使用可能となる。さらに、電極48A、48Bの上側の絶縁性部材46の厚みを薄くすることも可能となる。その結果として、絶縁性部材46の材料の選択の範囲が広がり、被処理物Wを吸着する吸引力をさらに高くするとともに、被処理物Wへの熱伝導を高めることも可能となる。
【0056】
また、プラズマを利用してエッチングするような場合において、絶縁性部材46のエッチングによる損傷を防ぐために、その表面にフッ素系樹脂などによる保護層を設けることが望ましい場合がある。本発明によれば、このような場合にも、絶縁性部材46の厚みを薄くして十分な吸引力を確保することができる点で有利である。
【0057】
特に、図1乃至図3に例示したように、載置台30に高周波電源80から高周波電力を印加するような場合には、絶縁性部材46に対するプラズマのラジカル成分のアタックが強いため、損傷が生じやすい。このような場合にも、本発明によれば、フッ素系樹脂などによるコートを施して、しかも絶縁性部材46の厚みを薄く形成することにより、被処理物Wの吸着力を確保できる点で有利である。
【0058】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0059】
例えば、本発明において、プラズマ生成室とプラズマ処理室の位置関係や、それぞれの具体的な構造については、当業者が適宜変更して本発明の作用効果が得られる限り、本発明の範囲に包含される。
【0060】
さらに具体的には、例えばマイクロ波を透過するためのマイクロ波導波管やICP用アンテナは、必ずしも真空チャンバ2の上方に設けられる必要はなく、真空チャンバ2の側面や下方に設けた構成も本発明の範囲に包含される。
【0061】
また、真空チャンバ2、マイクロ波導波管28、アンテナ27、ガス供給口22などの各要素の配置関係や形状、あるいは大きさの関係などについても、当業者が適宜変更して本発明の作用効果が得られる構成は、本発明の範囲に包含される。
【0062】
さらにまた、上述した具体例においては、真空チャンバの要部構成のみ説明したが、本発明は、このような真空チャンバを有する全てのプラズマ処理装置について適用可能であり、例えば、エッチング装置、アッシング装置、薄膜堆積装置、表面処理装置、プラズマドーピング装置などとして実現したプラズマ処理装置のいずれもが本発明の範囲に包含される。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、被処理物をプラズマ処理する際には、直流電圧電源を接地電位から隔絶された状態とした上で、静電チャックの電極に接続することにより、静電チャックの絶縁性部材の抵抗が低い場合においても、プラズマ電力がグラウンドにリークすることを防ぎ、エッチング速度の低下などの問題を解消できる。
【0064】
その結果として、絶縁性部材の材料の選択範囲が広がり、また厚みを薄くして吸着力を高めることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるプラズマ処理装置の要部断面構造を表す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかるプラズマ処理装置のもうひとつの具体例を表す模式図である。
【図3】図1のプラズマ処理装置の載置部の構造をさらに詳細に表した断面図である。
【図4】絶縁性部材46を上方から眺めた平面透視図である。
【図5】電極48A、48Bをそれぞれ接地電位S1、S4に接続した状態を表す模式図である。
【図6】電極48A、48Bをそれぞれ高電圧発生部60Aの両端と接続した状態を表す模式図である。
【図7】本発明における絶縁性部材46の抵抗率と被処理物Wのエッチング速度との関係を例示するグラフ図である。
【図8】従来のプラズマ処理装置における静電チャックを有する載置部の構造を例示する模式図である。
【図9】静電チャックに電圧を印加した状態の電荷の分布を表す模式図である。
【図10】絶縁性部材146の抵抗率と被処理物Wのエッチング速度との関係を例示するグラフ図である。
【符号の説明】
2 真空チャンバ
10 プラズマ処理室
12 排気整流板
14 冷却媒体
20 プラズマ生成室
22 ガス供給口
24 誘電体窓
25 永久磁石
26 スロット
27 アンテナ
28 マイクロ波導波管
29 整合器
30、130 載置台
40、140 静電チャック
42、142 支持台
44、144 固定手段
46、146 絶縁性部材
48A、48B、148A、148B 電極
50、150 絶縁体
52、152 給電部
60、160 高電圧電源
60A 高電圧発生部
60B、60C スイッチ
65 高周波カットフィルタ
80、84 高周波電源
M マイクロ波
W 被処理物

Claims (6)

  1. 大気よりも減圧された雰囲気を維持可能な真空チャンバと、
    前記真空チャンバ内にプラズマを生成する手段と、
    前記真空チャンバ内に設けられ、一対の電極を有し、プラズマエッチング処理される被処理物をジョンソンラーベック力により吸着する静電チャックと、
    前記一対の電極と前記被処理物との間に設けられる体積抵抗率が10 10 Ωcm以下の絶縁性部材と、
    接地電位から隔絶された直流電圧電源と、
    前記被処理物が載置される載置台に高周波電力を印加する高周波電源と、
    前記被処理物を前記プラズマエッチング処理する際には前記一対の電極のいずれか一方に前記直流電圧電源の正極を接続し、前記一対の電極のいずれか他方に前記直流電圧電源の負極を接続し、前記被処理物の脱着時には、前記一対の電極のそれぞれに接地電位を接続するスイッチと
    を備えることを特徴とするプラズマエッチング装置。
  2. 前記プラズマを生成する手段は、マイクロ波を導波する導波管と、前記マイクロ波を前記真空チャンバ内に導入する透過窓と、を含むことを特徴とする請求項1記載のプラズマエッチング装置。
  3. 前記プラズマを生成する手段は、高周波電力を発生する高周波電源と、前記高周波電力を伝搬する導体アンテナと、前記導体アンテナから前記真空チャンバ内に高周波電力を導入する透過窓と、を含むことを特徴とする請求項1記載のプラズマエッチング装置。
  4. 大気よりも減圧された雰囲気を維持可能な真空チャンバと、
    前記真空チャンバ内にプラズマを生成する手段と、
    前記真空チャンバ内に設けられ、一対の電極を有し、プラズマアッシング処理される被処理物をジョンソンラーベック力により吸着する静電チャックと、
    前記一対の電極と前記被処理物との間に設けられる体積抵抗率が10 10 Ωcm以下の絶縁性部材と、
    接地電位から隔絶された直流電圧電源と、
    前記被処理物が載置される載置台に高周波電力を印加する高周波電源と、
    前記被処理物を前記プラズマアッシング処理する際には前記一対の電極のいずれか一方に前記直流電圧電源の正極を接続し、前記一対の電極のいずれか他方に前記直流電圧電源の負極を接続し、前記被処理物の脱着時には、前記一対の電極のそれぞれに接地電位を接続するスイッチと
    を備えることを特徴とするプラズマアッシング装置。
  5. 前記プラズマを生成する手段は、マイクロ波を導波する導波管と、前記マイクロ波を前記真空チャンバ内に導入する透過窓と、を含むことを特徴とする請求項記載のプラズマアッシング装置。
  6. 前記プラズマを生成する手段は、高周波電力を発生する高周波電源と、前記高周波電力を伝搬する導体アンテナと、前記導体アンテナから前記真空チャンバ内に高周波電力を導入する透過窓と、を含むことを特徴とする請求項記載のプラズマアッシング装置。
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