JP2001141013A - トロイダル型無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

トロイダル型無段変速機の変速制御装置

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JP2001141013A
JP2001141013A JP31957199A JP31957199A JP2001141013A JP 2001141013 A JP2001141013 A JP 2001141013A JP 31957199 A JP31957199 A JP 31957199A JP 31957199 A JP31957199 A JP 31957199A JP 2001141013 A JP2001141013 A JP 2001141013A
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oil chamber
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oil
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努 山崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 変速制御弁のストロークを制限することな
く、過剰な差圧が供給されることによって生じる急ダウ
ンシフトを防止できるトロイダル無段変速機の変速制御
装置を提供する。 【解決手段】 スプール73のストロークに応じてライン
圧PLをHi側油室またはLow側油室のうちの一方へ
供給して差圧を制御する変速制御弁70とを具え、制御弁
70は油路150から油路175を介してLow側油室にライン
圧PLを供給することで減速側へ変速させ、油路150から
油路174を介してHi側油室にライン圧PLを供給するこ
とで増速側へ変速させるトロイダル型無段変速機の変速
制御装置において、油路150とHi側油圧PHiを排出す
る制御弁70の油路151との間に変速差圧弁200を配設し、
この差圧弁200は、制御弁70がLow側油室にライン圧
PLを供給する際に、このライン圧PLを減圧し油路174
を介して第2の油室に供給することによって前記差圧の
増大を制限する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トロイダル型無段
変速機の変速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トロイダル型無段変速機は、主軸上に対
向配置される入出力ディスクおよび、これら入出力ディ
スク間で摩擦係合により動力の受渡しを行う摩擦ローラ
を主要な要素とする無段変速機構を具え、摩擦ローラの
傾動により変速比を無段階に設定するものである。
【0003】こうした従来技術には、例えば、図9に示
す、本願出願人が提案した特開平5−39847号公報
に記載のものがある。図9は、無段変速機構における片
側部分(摩擦ローラ18d)について示したものである
が、他の片側部分については、基本的にはほぼ同様の構
造であることから説明を省略する。
【0004】摩擦ローラ(以下、パワーローラという)
18dは、主軸に直交する軸線O2上を移動可能なローラ支
持部材(以下、トラニオンという)105に傾動自在に支
持される。トラニオン105はそれぞれ、油圧作動ピスト
ン107と連動し、このピストン107で区切られたHi側油
室101およびLow側油室102間の差圧に応じて移動す
る。
【0005】Hi側油室101およびLow側油室102はそ
れぞれ、ライン圧PLを元圧とする変速制御弁70が接続
されている。変速制御弁70は、ダウンシフトを欲する際
には、スプール73の移動に応じてライン圧PLをLow
側油室102に供給すると共に、Hi側油室101をドレンし
てトラニオン105を入力(出力)ディスク18aの軸心O3
に直交する軸線O2方向下向きに移動させる。また、変
速制御弁70は、アップシフトを欲する際には、スプール
73の移動に応じてライン圧PLをHi側油室101に供給す
ると共に、Low側油室102をドレンしてトラニオン105
を入力ディスク18aの軸心O3に直交する軸線O2方向上
向きに移動させる。
【0006】このトラニオン105の移動と連動して、パ
ワーローラ18dが入力ディスク18aに対して相対移動する
と、パワーローラ18dが入力ディスク18aから受ける力の
方向が変化するため、引き摺られて傾動する。
【0007】変速比は、Hi側油室101の油圧PHiとL
ow側油室102の油圧PLowとの差圧に応じて変化するも
のであるから、変速制御弁70によって差圧を制御するこ
とで任意の変速比を設定できる。
【0008】図10は、変速制御弁70におけるスプール
73のストローク量xcに対するHi側油室101の油圧PHi
およびLow側油室102の油圧PLowを示した特性図であ
り、Hi側油室101の油圧PHiは破線で、Low側油室1
02の油圧PLowは実線で示す。
【0009】図面左側の斜線領域(Up)は、Hi側油
室101の油圧PHiがLow側油室102の油圧PLowに比べ
て高いアップシフト領域であり、図面右側の斜線領域
(Down)は、Hi側油室101の油圧PHiがLow側
油室102の油圧PLowに比べて低いダウンシフト領域であ
る。
【0010】変速制御弁70は、図10の如く、変速制御
弁70内を摺動するスプール73のストローク量xcに応じ
てHi側油圧PHiまたはLow側油圧PLowによる差圧
を制御するものであって、変速制御弁70のスプール73を
ステップモータ(図示せず)でストロークさせることに
よって行われ、その差圧の大きさが大きくなるほど、変
速スピードは速くなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ト
ロイダル型無段変速機の変速制御装置では、変速制御弁
のバルブスティックや、外乱などによるステップモータ
の誤作動などによって、急変速が発生する可能性があ
る。特に、変速制御弁のスプールがダウンシフト側に大
きくストロークした状態でバルブスティックすると、ダ
ウンシフト方向の差圧が運転者の意思とは無関係に大き
くなり、ダウンシフトの変速スピードが必要以上に高く
なって、運転者が予期しない急ダウンシフトが発生して
しまうことを考慮しなければならない。
【0012】この場合の対策としては、例えば、変速制
御弁に収納されたスプールのストロークを規制してダウ
ンシフトを発生させる差圧の最大値を制限することによ
り、急ダウンシフトを防止する方法が考えられる。
【0013】ところが、変速制御弁のストロークを規制
することによって差圧を制限する場合、ライン圧の変動
により通常の変速制御時に必要な差圧が得られなくな
る。
【0014】本発明の解決すべき課題は、上述の事実に
鑑みてなされたものであり、変速制御弁のストロークを
規制することなく、過剰な差圧が供給されることによっ
て生じる急ダウンシフトを防止することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】この目的のため、第1発
明によるトロイダル型無段変速機の変速制御装置は、同
軸上に対向配置された入出力ディスクと、該入出力ディ
スク間で摩擦係合により動力の受渡しを行うよう、入出
力ディスクの軸心周りに配置された複数の摩擦ローラ
と、該摩擦ローラを傾動自在に支持するとともに、入出
力ディスクの軸心に直交する軸方向に移動可能なローラ
支持部材と、油圧シリンダに摺動自在に設けられ、第1
および第2の油室間の差圧に応じて前記ローラ支持部材
を移動させる油圧作動ピストンと、弁体内部に摺動自在
に設けられるスプールの変位量に応じて、入力される元
圧を前記第1または第2の油室のうちの一方の油室へ供
給して前記差圧を制御する変速制御弁とを具え、前記変
速制御弁は前記第1の油室に元圧を供給することで減速
側へ変速させ、前記第2の油室に元圧を供給することで
増速側へ変速させるトロイダル型無段変速機の変速制御
装置において、前記変速制御弁が前記第1の油室に元圧
を供給する際に、この元圧を減圧して第2の油室に供給
することによって前記差圧の増大を制限する差圧制限手
段を設けたことを特徴とするものである。
【0016】第2発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、同軸上に対向配置された入出力ディス
クと、該入出力ディスク間で摩擦係合により動力の受渡
しを行うよう、入出力ディスクの軸心周りに配置された
複数の摩擦ローラと、該摩擦ローラを傾動自在に支持す
るとともに、入出力ディスクの軸心に直交する軸方向に
移動可能なローラ支持部材と、油圧シリンダに摺動自在
に設けられ、第1および第2の油室間の差圧に応じて前
記ローラ支持部材を移動させる油圧作動ピストンと、弁
体内部に摺動自在に設けられるスプールの変位量に応じ
て、入力される元圧を前記第1または第2の油室のうち
の一方の油室へ供給して前記差圧を制御する変速制御弁
とを具え、前記変速制御弁は前記第1の油室に元圧を供
給することで減速側へ変速させ、前記第2の油室に元圧
を供給することで増速側へ変速させるトロイダル型無段
変速機の変速制御装置において、前記変速制御弁が前記
第1の油室に元圧を供給する際に、この元圧を減圧して
第1の油室に供給することによって前記差圧の増大を制
限する差圧制限手段を設けたことを特徴とするものであ
る。
【0017】第3発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、第1発明において、前記差圧制限手段
は、前記変速制御弁に入力される元圧側の油路と、前記
第2の油室の油圧を排出する前記変速制御弁の油路との
間に配設され、前記元圧を所定圧に減圧して前記第2の
油室の油圧を排出する前記変速制御弁の油路に供給し、
前記第2の油室の油圧の最小値を制限するようにしたこ
とを特徴とするものである。
【0018】第4発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、第1発明において、前記差圧制限手段
は、前記変速制御弁からの元圧を前記第2の油室に供給
する油路中に配設されるとともに、前記変速制御弁に入
力される元圧側の油路が分岐して接続され、前記元圧を
所定圧に減圧して前記第2の油室に供給し、前記第2の
油室の油圧の最小値を制限するようにしたことを特徴と
するものである。
【0019】第5発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、第2発明において、前記差圧制限手段
は、前記変速制御弁からの元圧を前記第1の油室に供給
する油路中に配設され、該変速制御弁からの元圧を制限
して前記第1の油室に供給するようにしたことを特徴と
するものである。
【0020】
【発明の効果】第1発明によるトロイダル型無段変速機
の変速制御装置は、第1の油室に元圧を供給する際に、
この元圧を減圧して第2の油室に供給することによっ
て、減速側へ変速する際の最大差圧を制限する差圧制限
手段を設けたことにより、変速制御弁の誤作動によって
変速制御弁が第1の油室に対して所定圧より大きな元圧
を供給しても、差圧制限手段によって第1および第2の
油室間の差圧を制限して、通常のダウンシフトに必要な
差圧の最大値を取るように制御することができる。
【0021】このため、変速制御弁のストロークを規制
することなく、変速比を大きくする側の差圧の最大値を
制限し、変速スピードが必要以上に高くなることを防止
して、急ダウンシフトを防止することができる。
【0022】従って、第1発明によれば、既存の変速制
御弁を何等変更することなく、変速制御弁の動作に起因
する過剰な差圧が供給されることによって生じる急ダウ
ンシフトを防止することができる。
【0023】第2発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、第1の油室に元圧を供給する際に、こ
の元圧を減圧して第1の油室に供給することによって、
減速側へ変速する際の最大差圧を制限する差圧制限手段
を設けたことにより、変速制御弁の誤作動によって変速
制御弁が第1の油室に対して所定圧より大きな元圧を供
給しても、差圧制限手段によって第1および第2の油室
間の差圧を制限して、通常のダウンシフトに必要な差圧
の最大値を取るように制御することができる。従って、
第2発明によれば、第1発明と同様の作用効果が得られ
る。
【0024】第3発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、前記差圧制限手段が、前記変速制御弁
に入力される元圧側の油路と、前記第2の油室の油圧を
排出する前記変速制御弁の油路との間に配設され、前記
元圧を所定圧に減圧して前記第2の油室の油圧を排出す
る前記変速制御弁の油路に供給し、前記第2の油室の油
圧の最小値を制限するから、第1発明の作用効果を簡単
な構成で実現することができる。
【0025】第4発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、前記差圧制限手段が、前記変速制御弁
からの元圧を前記第2の油室に供給する油路中に配設さ
れるとともに、前記変速制御弁に入力される元圧側の油
路が分岐して接続され、前記元圧を所定圧に減圧して前
記第2の油室に供給し、前記第2の油室の油圧の最小値
を制限するようにしたから、第1発明の作用効果を簡単
な構成で実現することができる。
【0026】第5発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、前記差圧制限手段が、前記変速制御弁
からの元圧を前記第1の油室に供給する油路中に配設さ
れ、該変速制御弁からの元圧を制限して前記第1の油室
に供給するようにしたから、第2発明の作用効果を簡単
な構成で実現することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。なお、無段変速機構は従来と
同様であり、各実施形態を説明する上で、図9を参照す
るものとする。
【0028】図1は、本発明を適用し得るデュアルキャ
ビティ型トロイダル変速機構であって、トロイダル無段
変速機構の油圧作動ピストンを簡略化して併せて示した
回路図であり、また、図2は、本発明装置の第一実施形
態を示した回路図である。
【0029】図1の回路図で伝動列を説明すると、第1
無段変速機構18は、対向面がトロイダル曲面に形成され
る一対の入出力ディスクと、これら入出力ディスクの対
向面間に摩擦接触されると共にトルク伝達軸16に関し対
称配置される一対のパワーローラ18c、18dと、これら
パワーローラをそれぞれ傾転可能に支持するトラニオン
104,105および油圧アクチュエータとしてのサーボピス
トン106,107を具える。なお、第2無段変速機構20も同
様、対向面がトロイダル曲面の入出力ディスク、一対の
パワーローラ20c,20dおよびその支持機構並びにサー
ボピストン116,117を具えるが、第1無段変速機構18と
作用が等しいため、その説明を省略する。
【0030】第1無段変速機構18のパワーローラ18c,
18dをそれぞれ回転可能に支持するトラニオン104,105
は、これの軸を中心として回転可能かつ軸方向に移動可
能に支持される。トラニオン104,105には、それぞれ各
シリンダのピストン106,107の上下(図中では左右各
側)に、それぞれ先に述べたHi側油室101およびLo
w側油室102を画成する。ここで、パワーローラ18c側
とパワーローラ18d側とでは、互いにHi側油室101お
よびLow側油室102との関係は逆である。パワーロー
ラ18c,18dの入出力ディスクとの接触位置半径を代え
て変速比を変化させる場合に、各シリンダの油室に作用
する油圧によりピストン106とピストン107は互いに逆方
向に上下動可能であり、Low側油室102の油圧を相対
的に上昇させると減速側への変速を行う。その後、変速
比が目標値に近づくと、Hi側油圧101の油圧が上昇し
Low側油室102とHi側油圧101との油圧差が小さくな
る。それに伴い変速速度は遅くなり、変速を終了する。
【0031】ここで図9を参照すると、上記の変速比制
御において実変速比が指令された目標変速比となるよう
にフィードバック機構を有する。フィードバック機構
は、ピストン107と一体でトラニオン105の回転軸部と一
体回転する延長軸部がバルブボディ部を貫通した部分に
おいて、この延長軸部下端に結合して設けたプリセスカ
ム121と、軸123に枢支されたL字リンク122とにより構
成し、このリンク122の一方のアームをカム121の斜面
(カム面)121aと線接触(T)させ、他方のアームは
調整ねじ124を介し前進用変速制御弁70のフィードバッ
ク弁体としてのスプール73へ当接させ、実際の変速比
(以下、実変速比という)を変速制御弁70へフィードバ
ックさせる(フィードバック量は、比L2/L1に応じて
設定される)。
【0032】図2は、トロイダル変速機構のパワーロー
ラアクチュエータとして機能する油圧作動ピストンに差
圧を供給するための油圧回路を示し、変速制御弁70が第
1の油室であるLow側油室102に元圧であるライン圧
PLを供給する際に、このライン圧PLを減圧して第2の
油室であるHi側油室101に供給するものである。
【0033】変速制御弁70は、変速比を指令する電気信
号に応じて作動するステップモータ(図示せず)を設
け、スプール73が、前進時、前記ステップモータの作動
に応じて、第1,第2無段変速機構18,20のHi側油室
101およびLow側油室102に対する油圧の配分の調整を
なし、所定の変速比を実現する。
【0034】また、変速制御弁70にはポート70d,70
e,70f,70g,70hが設けられている。ポート70f
は、これを油路150に接続し、変速制御弁70に供給する
元圧として、この油路のライン圧PLを用い、これを変
速制御圧力とする。ポート70gおよびポート70hには、
それぞれ油路174,175を接続し、これら油路は、正逆切
換弁81を介しその前進時切換状態においては、油路174
をHi側油室101への油路176に、油路175をLow側油
室102への油路177に、それぞれ通ずるものとする。
【0035】また、ポート70dは、ポート70gまたは70
hからの油圧をドレンするために用いられ、さらにポー
ト70eは、後述の変速差圧弁200に接続されている。
【0036】前後進検出部材77は、前進用クラッチが締
結された前進状態では、前後進検出部材77は図2の実線
にて示すように反時計方向に回動した状態にあり、正逆
切換弁81のスプール81bを図中下方位置にある状態とす
る。かかる状態では、前進用変速制御弁70からの油路17
4,175が油路176,177に通じ、Hi側油室101とLow
側油室102の油圧が変速制御弁70によって制御される。
変速制御弁70の図中下方位置への移動はHi側の変速
(アップシフト)を、また、上方位置への移動はLow
側の変速(ダウンシフト)をそれぞれ示すが、変速制御
にあたり、ステップモータを作動させて変速指令部材72
を所定位置に移動させると、これに応じてスプール73が
移動する。
【0037】本実施形態では、差圧制限手段の一例とし
ての変速差圧弁200が変速制御弁70に入力される元圧側
の油路150と、Hi側油室101の油圧を排出する変速制御
弁70の油路151との間に配設されている。変速差圧弁200
は、バルブボディ内を摺動自在に配設されたスプール20
2を具え、Hi側油室101と変速制御弁70を介して連通す
るポート200a,200b(Low側油室102)と、ライン
圧供給油路150に接続されたポート200c,200dとドレ
ンポート200eとが形成されている。
【0038】ここで、スプール202のランド部202aの左
端面に作用する油圧PHiによる力をFHiとし、ばね201
のばね力をFs1、また、ランド部202bの右端面に作用
する油圧PLow(ライン圧PL)による力FLとすると、
スプール202は、FHi、Fs1およびFLによる力の釣り合
いによって摺動する。但し、スプール202における釣り
合いの関係は、 FL=FHi+Fs1 ・・・
(1)で表される。
【0039】また、ばね201のばね力Fs1は、ばね定数k
1、スプール202のストローク量をx1とすると、Fs1
(x1)=k1・x1で表される。これにより、ランド部20
2aの左端面の面積をA1とすると、油圧PHiは、上式
(1)より、PHi={FL−Fs1(x1)/A1}とな
る。
【0040】ここで、第1実施形態の作用を説明する。
【0041】ダウンシフト時は、変速制御弁70のスプー
ル73が図面上方向に移動して、油路150と油路175とを連
通させて変速制御弁70に入力されるライン圧PLをLo
w側油室102に供給するとともに、油路174と油路151と
を連通させてHi側油室101の油圧を変速差圧弁200に排
出する。
【0042】変速差圧弁200には、ポート200c,200d
にライン圧PL(Low側油圧PLowに相当)が供給され
るとともに、ポート200a,200bにHi側油圧PHiが供
給される。このとき、スプール202はポート200cからの
ライン圧PLが上昇するに伴いばね201のばね力に抗して
図中左側に移動する。これにより、変速差圧弁200は、
油路150および油路151との間に所定の差圧を生じさせ、
ダウンシフトがさらに進むと、スプール202は油路151と
ドレンポート200eを連通させる。
【0043】変速制御弁70におけるスプール73のストロ
ーク量に応じた油圧PHiおよび油圧PLowの関係は、図
3に示す如くなる。図3は、変速制御弁70におけるスプ
ール73のストローク量xcに対するHi側油室101の油圧
PHiおよびLow側油室102の油圧PLowを示した特性図
であり、Hi側油室101の油圧PHiは破線で、Low側
油室102の油圧PLowは実線で示す。
【0044】図3を参照すると、変速差圧弁200によっ
て、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量x
cに対応する油圧PLowは、ドレンの状態からライン圧P
Lが供給されて上昇し、また、油圧PHiは最大圧(本形
態ではライン圧PL)の状態から下降している。
【0045】しかしながら、Hi側油圧PHiが減少する
割合は、Low側油圧PLowが増加する割合よりも小さ
く済んでいる。なお、このとき、ダウンシフト方向の差
圧ΔPdownは、ばね201のばね定数k1に依存する。つま
り、ダウンシフト時において、変速差圧弁200は、油路1
50のライン圧PLを所定圧に減圧してHi側油室101の油
圧PHiを排出する変速制御弁70の油路151に供給し、こ
のHi側油圧PHiの最小値を制限することにより、油路
174のHi側油圧PHiが急激に減圧することを防止す
る。
【0046】ところで、トロイダル型無段変速機のパワ
ーローラ18c,18dは、図9に示す如く、パワーローラ
18c(18d)の回転軸線O1が入出力ディスク軸線O3に
対して直交する非オフセット位置(以下、中立位置とい
う)となるように決定されており、これを中立状態とい
う。
【0047】トロイダル型無段変速機の変速は、油圧作
動ピストン107によってトラニオン105が軸線O2に沿っ
て上下動することにより行われる。具体的には、以下の
ような作用をもたらす。
【0048】油圧作動ピストン107は、目標とする変速
比に相当する差圧に応じてストロークし、トラニオン10
5を軸線O2に沿って上向きまたは下向きに移動させる。
このとき、パワーローラ回転軸線O1は、ディスク軸線
O3に対してオフセットした状態になる。このように、
パワーローラがオフセットすることで、パワーローラ18
c,18dは、回転ディスク18aから引き摺り力を受けて
トラニオン軸線O2周りをディスク面に沿って傾動し、
実変速比の変化が開始される。
【0049】実変速比はフィードバック機構によって油
圧ピストンにフィードバックされ、実変速比が目標変速
比に達すると、油圧作動ピストン107はパワーローラの
オフセットを0として、実変速比が目標変速比を維持す
るようにする。
【0050】つまり、油圧作動ピストン107は、実変速
比が目標の変速比となるようにパワーローラ18c,18d
のオフセット量を制御している。
【0051】上記のことから、変速制御弁70は、スプー
ル73のストローク量xcに応じてHi側油室101とLow
側油室102との間の差圧を変化させ、油圧作動ピストン1
07をストロークさせている。パワーローラ18c,18dの
中立状態は本来、図3に示す如く、Hi側油圧PHiおよ
びLow側油圧PLowが等しく、差圧が0となる変速制
御弁ストローク位置xc=xc0で確保される。
【0052】このため、本来中立状態であるストローク
位置xc=xc0より右側の斜線で示す領域(Down)
ではダウンシフトを発生させる差圧となり、ストローク
位置xc=xc0より左側の斜線で示す領域(Up)では
アップシフトを発生させる差圧となるため、アップシフ
ト領域がダウンシフト領域に比べて大きくなる。
【0053】そこで、本実施形態を考察すると、トロイ
ダル型無段変速機では、伝達トルクが入力されるときに
は、パワーローラ18c,18dには前記引き摺り力をキャ
ンセルするために反対方向の力(以下、保持力)をパワ
ーローラ18c,18dに作用させることで中立状態を保持
している。即ち、本実施形態において、前記引き摺り力
によってパワーローラ18c,18dが移動しようとする方
向は、ダウンシフト方向のため、実際に中立状態を確保
するためのストローク位置は、パワーローラ18c,18d
に保持力を作用させるアップシフト方向の位置となる。
【0054】しかして引き摺り力は、変速機に入力され
る伝達トルクの応じて変化するため、実際の中立位置
も、伝達トルクの応じて変化する。
【0055】伝達トルクが大きくなると、引き摺り力も
大きくなるため、実際の中立位置もさらにアップシフト
方向に移動する。このため、伝達トルクが最大のときの
中立位置がストローク位置xc=xc2の場合、伝達トル
クが生じない状態と比べて、実際にはアップシフト方向
の差圧ΔPc2を発生させている。また、伝達トルクが最
小のときの中立位置がストローク位置xc=xc3の場合
でも、伝達トルクが生じない状態と比べて、実際にはア
ップシフト方向の差圧ΔPc3を発生させている。従っ
て、実際には、中立位置が変化することによって、ダウ
ンシフトを発生させる領域(Down)も変化する。
【0056】ストローク位置xc=xc4を考えてみる
と、中立状態がストローク位置xc=xc2のときに発生
させ得るダウンシフト方向の相対的な差圧の最大値ΔP
down(xc2)は、ΔPdown(xc2)=ΔPc0+ΔPc2で
あり、また、中立状態がストローク位置xc=xc3のと
きに発生させ得るダウンシフト方向の相対的な差圧の最
大値ΔPdown(xc3)は、ΔPdown(xc3)=ΔPc0+
ΔPc3である。ΔPc2>ΔPc3のため、最大値ΔPdown
(xc2)は、中立状態がストローク位置xc=xc3のと
きに発生させ得るダウンシフト方向の相対的な差圧の最
大値ΔPdown(xc3)よりも大きくなる。
【0057】このように入力トルクが時々刻々と変化し
て一定ではないトロイダル型無段変速機に対しては、変
速制御弁70のスプール73のストローク量を制限して急ダ
ウンシフトを防止できても、上記した中立位置の変動を
考慮することはできない。従って、この点からみても、
本実施形態装置は優れた作用効果が得られる。
【0058】本実施形態の構成では、特に、変速機に伝
達トルクが入力されない場合の中立位置が図10の従来
技術に比べて右側にずれている。ダウンシフト領域が狭
くなり、ダウンシフト方向の変速スピードが低下するこ
とが考えられるが、上記のように、変速機に伝達トルク
が入力されると中立位置がずれるため、ダウンシフト側
のストローク量を確保することができるようになるため
に問題とならないことを付記する。
【0059】図8は、変速制御弁70におけるスプール73
のストローク量xcに対するダウンシフト方向の差圧Δ
Pdownを示した作用図であって、本実施形態における作
用を一点鎖線Aで示し、併せて、従来装置における作用
を実線Dで示す。
【0060】図8を参照すると、従来装置では、差圧Δ
Pdownはスプール73のストローク量xcに比例して大き
くなり、スプール73の最大ストローク量xcmaxに対して
差圧ΔPcmaxが最大差圧となる。
【0061】これに対して本実施形態で得られる差圧Δ
Pdownは、常に、実線Dよりも傾きが緩やかな一点鎖線
Aの値を取る。従って、スプール73の最大ストローク量
xcmaxで得られる最大差圧は、差圧ΔPcmaxよりも低い
差圧ΔPcとなる。
【0062】つまり、本実施形態では、差圧ΔPdown
が、急ダウンシフトを発生させる直前の差圧ΔPcを越
えないように、ばね201のばね定数k1を設定すること
で、急ダウンシフトを防止することができる。
【0063】また図8から明らかなように、スプール73
のストローク量xcに対する差圧ΔPdownの変化量が小
さく、即ち、変速制御弁70が実際に供給する差圧に対す
る応答性が低くなるため、例えば、ステップモータの誤
作動によって、変速制御弁70の制御にノイズが含まれる
場合であっても、差圧ΔPdownに現れるノイズの影響を
低減することができる。
【0064】従って、本実施形態によれば、変速制御弁
70の誤作動によって変速制御弁70がLow側油室102に
対して所定圧よりも大きなライン圧PLを供給しても、
変速差圧弁200によってHi側油室101およびLow側油
室102間の差圧を制限して、通常のダウンシフトに必要
な差圧の最大値を取るように制御することができる。
【0065】このため、変速制御弁70のストロークを規
制することなく、変速比を大きくする側の差圧の最大値
を制限し、変速スピードが必要以上に高くなることを防
止して、急ダウンシフトを防止することができる。
【0066】従って、第1実施形態によれば、既存の変
速制御弁70を何等変更することなく、変速制御弁70の動
作に起因する過剰な差圧が供給されることによって生じ
る急ダウンシフトを防止することができる。
【0067】特に、変速差圧弁200が、変速制御弁70に
入力される元圧側の油路150と、Hi側油室101の油圧P
Hiを排出する変速制御弁70の油路151との間に配設さ
れ、ライン圧PLを所定圧に減圧してHi側油室101の油
圧PHiを排出する変速制御弁70の油路151に供給し、H
i側油室101の油圧PHiの最小値を制限するから、上記
作用効果を簡単な構成で実現することができる。
【0068】図4は、本発明の第2の実施形態であっ
て、油圧作動ピストンに差圧を供給するための油圧回路
を示し、変速制御弁70がLow側油室102にライン圧PL
owを減圧してLow側油室102に供給するものである。
【0069】第2の実施形態では、差圧制限手段である
変速差圧弁210が変速制御弁70からのライン圧PLをLo
w側油室102に供給する油路175中に配設されている。変
速差圧弁210は、弾性部材(本形態ではばね211)で支持
されたスプール212を具え、ダウンシフト時に変速制御
弁70のポート70hから油圧が供給されるポート210a,2
10bと、Low側油室102と正逆切換弁81を介して連通
するポート210cと、このポート210cからの油圧PLow
をドレンするドレンポート210dとが形成されている。
【0070】ここで、スプール212のランド部212aの下
端面に作用するばね力をFs2(x2)、スプール212のラン
ド部212bの上端面に作用するLow側油室102の油圧P
Lowによる力をFLowと置くと、スプール212は、Fs2(x
2),FLowの釣り合いによって摺動する。但し、スプー
ル212における釣り合いの関係は、 で表される。
【0071】また、ばね211のばね力Fs2(x2)は、ばね
定数をk2、スプール212のストローク量をx2とする
と、Fs2(x2)=k2・x2で表される。これにより、ラン
ド部212bの上端面の面積をA2とすると、油圧PLow
は、上式(2)より、PLow=FLow/A2となる。
【0072】ここで、第2実施形態の作用を説明する。
【0073】ダウンシフト時は、変速制御弁70のスプー
ル73が図面上方向に移動して、油路150と油路175とを連
通させて変速制御弁70に入力されるライン圧PLを、変
速差圧弁210を介してLow側油室102に供給するととも
に、油路174と油路151とを連通させてHi側油室101の
油圧をドレンする。
【0074】変速差圧弁210には、ポート210a,210b
にライン圧PL(Low側油圧PLowに相当)が供給され
るとともに、ポート210cからLow側油室102にLow
側油圧PLowが供給される。このとき、スプール212はポ
ート210aからのライン圧PLが上昇するに伴いばね211
のばね力に抗して図中下側に移動する。これにより、変
速差圧弁210は、変速制御弁ポート70f,70hからのラ
イン圧PLと油路175からのLow側油圧PLowとの間に
所定の差圧を生じさせ、ダウンシフトがさらに進むと、
スプール212は油路175とドレンポート210dとを連通さ
せる。
【0075】変速制御弁70におけるスプール73のストロ
ーク量に応じた油圧PHiおよび油圧PLowの関係は、図
5に示す如くなる。図5は、変速制御弁70におけるスプ
ール73のストローク量xcに対するHi側油室101の油圧
PHiおよびLow側油室102の油圧PLowを示した特性図
であり、Hi側油室101の油圧PHiは破線で、Low側
油室102の油圧PLowは実線で示す。
【0076】図5を参照すると、油圧PLowは、変速制
御弁70におけるスプール73のストローク量xcが位置xc
dに達すると、変速差圧弁210のドレンポート210dから
ドレンされて油圧PLowの上昇が停止する。つまり、変
速差圧弁210の作用によって、変速制御弁70におけるス
プール73のストローク量xcに対応する油圧PLowは、ド
レンの状態からライン圧PLが供給されて上昇し、スプ
ール73のストロークが位置xcdに達するところで上昇を
停止する。また、油圧PHiは、最大圧(ライン圧PL)
の状態からドレンされて徐々に低下する。従って、ダウ
ンシフト時において、変速差圧弁210は、変速制御弁70
からのライン圧PLを制限してLow側油室102に供給
し、油路175のLow側油圧PLowが急激に増圧すること
を防止する。
【0077】ここで再び図8を参照し、本実施形態にお
ける作用を示す二点鎖線Bを見ると、本実施形態で得ら
れる差圧ΔPdownは、スプール73のストローク量xcが
位置xcdに達するまでは、変速制御弁70が供給する差圧
の変化量と等価な従来装置である実線Dと同一値を取る
(以下、第1の変化量における領域α1という)。しか
しながら、本実施形態で得られる差圧ΔPdownは、スプ
ール73のストローク量xcが位置xcdに達すると、実線
Dよりも傾きが緩やかな値を取り(以下、第2の変化量
における領域α2という)、スプール73の最大ストロー
ク量xcmaxで得られる最大差圧は、差圧ΔPcmaxよりも
低い差圧ΔPcとなる。
【0078】従って、変速制御弁73におけるスプール73
のストローク量の最大値xcmaxとなるときの差圧ΔPdo
wnが、急ダウンシフトを発生させる直前の差圧ΔPcを
越えないように、ばね211のばね定数k2およびスプール
212のストローク位置x2dを設定することで、急ダウン
シフトを防止することができる。
【0079】また、図8から明らかなように、スプール
212のストローク量x2が位置x2dとなるときの変速制御
弁70におけるスプール73のストローク位置xcdを境に、
ダウンシフト時の変速スピードは2段階に変化する。
【0080】この場合、変速差圧弁210によって差圧特
性が変化するのは、変速制御弁70におけるスプール73の
ストローク量が位置xcdよりも大きくなる第2の変化量
における領域α2だけなので、ストローク量が位置xcd
よりも小さい第1の変化量における領域α1では、ダウ
ンシフト時の変速スピードが低下してしまうことを抑制
することができる。
【0081】このため、本実施形態では、第1の変化量
によって変速が行われるときには、ダウンシフト時の変
速スピードの低下を抑えることによって応答性を確保
し、第2の変化量によって変速が行われるときには、差
圧の最大値を制限し変速スピードが必要以上に高くなる
ことを防止して、急ダウンシフトを防止する。
【0082】従って、本実施形態によれば、変速制御弁
70の誤作動によって変速制御弁70がLow側油室102に
対して所定圧よりも大きなライン圧PLを供給しても、
変速差圧弁210によってHi側油室101およびLow側油
室102間の差圧を制限して、通常のダウンシフトに必要
な差圧の最大値を取るように制御することができる。
【0083】このため、変速制御弁70のストロークを規
制することなく、変速比を大きくする側の差圧の最大値
を制限し、変速スピードが必要以上に高くなることを防
止して、急ダウンシフトを防止することができる。
【0084】従って、第2実施形態によれば、既存の変
速制御弁70を何等変更することなく、変速制御弁70の動
作に起因する過剰な差圧が供給されることによって生じ
る急ダウンシフトを防止することができる。
【0085】特に、変速差圧弁210が、変速制御弁70か
らのライン圧PLをLow側油室102に供給する油路175
中に配設され、この変速制御弁70からのライン圧PLを
制限してLow側油室102に供給するから、上記作用効
果を簡単な構成で実現することができる。
【0086】図6は、本発明の第3の実施形態であっ
て、油圧作動ピストンに差圧を供給するための油圧回路
を示し、変速制御弁70がLow側油室102にライン圧PL
を供給する際に、このライン圧PLを減圧してHi側油
室101に供給するものである。
【0087】第3の実施形態では、差圧制限手段である
変速差圧弁220が変速制御弁70からのライン圧PLをHi
側油室101に供給する油路174中に配設されるとともに、
変速制御弁70に入力される油路150から油路152が分岐し
て接続されている。変速差圧弁220は、弾性部材(本形
態ではばね221)で支持されたスプール222を具え、ライ
ン圧PLが供給されるポート220aと、ダウンシフト時
に、Hi側油室101と正逆切換弁81を介して連通するポ
ート220c,220dと、Low側油室102と連通するポート2
20fと、ポート220cからの油圧PLowを変速制御弁70の
ポート70gに連通するポート220bとが形成されてい
る。
【0088】ここで、スプール222のランド部222aの上
端面に作用するHi側油室101の油圧PHiによる力をFH
i、スプール222のランド部222aの上端面に作用するば
ね221の力をFs3(x3)、スプール222のランド部222bの
下端面に作用するLow側油室102の油圧PLowによる力
をFLowと置くと、スプール222は、FHi、Fs3(x3),F
Lowの釣り合いによって摺動する。但し、スプール222に
おける釣り合いの関係は、 で表される。
【0089】また、ばね221のばね力Fs3(x3)は、ばね
定数をk3、スプール222のストローク量をx3とする
と、Fs3(x3)=k3・x3で表される。これにより、ラン
ド部222bの下端面の面積をA3とすると、油圧PHiは、
上式(3)より、PLow=FLow/A3となる。
【0090】ここで、第3実施形態の作用を説明する。
【0091】ダウンシフト時は、変速制御弁70のスプー
ル73が図面上方向に移動して、油路150と油路175とを連
通させて変速制御弁70に入力されるライン圧PLをLo
w側油室102に供給するとともに、油路174と油路151と
を連通させてHi側油室101の油圧を変速差圧弁220で調
圧する。
【0092】変速差圧弁220には、ポート220aにライン
圧PL(Low側油圧PLowに相当)が供給されるととも
に、ポート200c,200dにHi側油圧PHiが供給される
一方、ポート220eに油路175からライン圧PL(Low
側油圧PLowに相当)が供給される。このとき、スプー
ル222はポート220eからのライン圧PLがばね221のばね
力に抗して図中上側に移動する。これにより、変速差圧
弁220は、油路152からのライン圧PLと、油路174からの
Hi側油圧PHiとの間に所定の差圧を生じさせ、ダウン
シフトがさらに進むと、スプール222は油路174とドレン
ポート220eとを連通させる。
【0093】変速制御弁70におけるスプール73のストロ
ーク量xcに応じた油圧PHiおよび油圧PLowの関係は、
図7に示す如くなる。図7は、変速制御弁70におけるス
プール73のストローク量xcに対するHi側油室101の油
圧PHiおよびLow側油室102の油圧PLowを示した特性
図であり、Hi側油室101の油圧PHiは破線で、Low
側油室102の油圧PLowは実線で示す。
【0094】図7を参照すると、油圧PHiは、最大圧
(ライン圧PL)の状態からドレンされて徐々に下降
し、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量x
cが位置xcLに達すると、ドレンポート220bからドレン
される状態からライン圧PLが供給される状態へと切り
換わるために上昇する。つまり、変速差圧弁220の作用
によって、変速制御弁70におけるスプール73のストロー
ク量xcに対応する油圧PHiは、ドレンの状態からライ
ン圧PLが供給されて上昇する。また、油圧PLowは、変
速制御弁70におけるスプール73のストロークxcに比例
した油圧が供給されて上昇する。従って、ダウンシフト
時において、変速差圧弁220は、ライン圧PLを所定圧に
制限してHi側油室101に供給し、油路174のHi側油圧
PHiが急激に減圧することを防止する。
【0095】ここで再び図8を参照し、本実施形態にお
ける作用を示す二点破線Cを見ると、本実施形態で得ら
れる差圧ΔPdownは、スプール73のストローク量xcが
位置xcLに達するまでは、従来装置である実線Dと同一
値を取る(以下、第1の変化量における領域β1とい
う)。しかしながら、本実施形態得られる差圧ΔPdown
は、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量x
cが位置xcLに達すると、差圧ΔPdownの変化量が0の
一定値ΔPcを取り(以下、第2の変化量における領域
β2という)、スプール73の最大ストローク量xcmaxで
得られる最大差圧は、差圧ΔPcmaxよりも低い差圧ΔP
cとなる。
【0096】従って、変速制御弁70におけるスプール73
のストローク量xcが位置xcLに達したときの差圧ΔPd
ownが、急ダウンシフトを発生させる直前の差圧ΔPcを
越えないように、ばね221のばね定数k3およびスプール
222のストローク位置x3dを設定することで、急ダウン
シフトを防止することができる。
【0097】また、図8から明らかなように、スプール
222のストローク量が位置x3dとなるときの変速制御弁7
0におけるスプール73のストローク位置xcLを境に、ダ
ウンシフト時の変速スピードは一定値となる。
【0098】この場合、変速差圧弁220によって差圧特
性が変化するのは、変速制御弁70におけるスプール73の
ストローク量が位置xcLよりも大きくなる第2の変化量
における領域β2だけなので、ストローク量が位置xcL
よりも小さい第1の変化量における領域β1では、差圧
特性に影響を与えることがない。そして、スプール73の
ストローク量xcが位置xcLのときの差圧ΔPdownが、
急ダウンシフトが発生する直前の差圧ΔPcになるよう
に設定できることから、通常のダウンシフト時に変速ス
ピードが低下することを防止できるため、変速機の変速
特性を変化させることなく、即ち、通常のダウンシフト
領域でダウンシフトの応答性が低下することなく、変速
制御弁70の動作に起因する過剰な差圧が供給されること
によって生じる急ダウンシフトを防止できる。
【0099】従って、本実施形態によれば、変速制御弁
70の誤作動によって変速制御弁70がLow側油室102に
対して所定圧よりも大きなライン圧PLを供給しても、
変速差圧弁220によってHi側油室101およびLow側油
室102間の差圧を制限して、通常のダウンシフトに必要
な差圧の最大値を取るように制御することができる。
【0100】このため、変速制御弁70のストロークを規
制することなく、変速比を大きくする側の差圧の最大値
を制限し、変速スピードが必要以上に高くなることを防
止して、急ダウンシフトを防止することができる。
【0101】従って、第3実施形態によれば、既存の変
速制御弁70を何等変更することなく、変速制御弁70の動
作に起因する過剰な差圧が供給されることによって生じ
る急ダウンシフトを防止することができる。
【0102】特に、変速差圧弁220が、変速制御弁70か
らのライン圧PLをHi側油室101に供給する油路174中
に配設されるとともに、変速制御弁70に入力される元圧
側の油路150から油路152が分岐して接続され、ライン圧
PLを所定圧に減圧してHi側油室101に供給し、Hi側
油室101の油圧PHiの最小値を制限するから、上記作用
効果を簡単な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用し得るトロイダル変速機構を有
するトロイダル無段変速機構の油圧作動ピストンを簡略
化して併せて示した回路図である。
【図2】 本発明の第1実施形態の変速制御油圧回路を
示す図にして、その一部を分割して示す回路図である。
【図3】 第1実施形態における変速制御弁の油圧特性
図である。
【図4】 本発明の第2実施形態の変速制御油圧回路を
示す図にして、その一部を分割して示す回路図である。
【図5】 第2実施形態における変速制御弁の油圧特性
図である。
【図6】本発明の第3実施形態の変速制御油圧回路を示
す図にして、その一部を分割して示す回路図である。
【図7】 第3実施形態における変速制御弁の油圧特性
図である。
【図8】 本発明装置と従来装置とで生じる差圧を比較
し、変速制御弁のストローク量に応じて油圧作動ピスト
ンに供給される差圧を示した差圧特性図である。
【図9】 油圧作動ピストンの具体的構造の一例を示す
断面図である。
【図10】 従来技術における変速制御弁の油圧特性図
であって、トロイダル無段変速機に特有な作用を説明す
るための従来技術における変速制御弁の油圧特性図であ
る。
【符号の説明】
16 トルク伝達軸 18 第1無段変速機構(トロイダル変速機構) 18a 入力(出力)ディスク 18c,18d パワーローラ(摩擦ローラ) 20 第2無段変速機構(トロイダル変速機構) 20a 入力(出力)ディスク 20c,20d パワーローラ(摩擦ローラ) 70 前進用変速制御弁 73 スプール 81 正逆切換弁 101 Hi側油室(第2の油室) 102 Low側油室(第1の油室) 104,105 トラニオン(ローラ支持部材) 106,107 ピストン 150 ライン圧側油路 151 Hi側油圧排出油路 152 ライン圧側分岐油路 174,176 Hi側油路 175,177 Low側油路 200 変速差圧弁 202 スプール 202a, 202b ランド部 210 変速差圧弁 212 スプール 212a, 212b ランド部 220 変速差圧弁 222 スプール 222a, 222b ランド部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同軸上に対向配置された入出力ディスク
    と、該入出力ディスク間で摩擦係合により動力の受渡し
    を行うよう、入出力ディスクの軸心周りに配置された複
    数の摩擦ローラと、該摩擦ローラを傾動自在に支持する
    とともに、入出力ディスクの軸心に直交する軸方向に移
    動可能なローラ支持部材と、油圧シリンダに摺動自在に
    設けられ、第1および第2の油室間の差圧に応じて前記
    ローラ支持部材を移動させる油圧作動ピストンと、弁体
    内部に摺動自在に設けられるスプールの変位量に応じ
    て、入力される元圧を前記第1または第2の油室のうち
    の一方の油室へ供給して前記差圧を制御する変速制御弁
    とを具え、 前記変速制御弁は前記第1の油室に元圧を供給すること
    で減速側へ変速させ、前記第2の油室に元圧を供給する
    ことで増速側へ変速させるトロイダル型無段変速機の変
    速制御装置において、 前記変速制御弁が前記第1の油室に元圧を供給する際
    に、この元圧を減圧して第2の油室に供給することによ
    って前記差圧の増大を制限する差圧制限手段を設けたこ
    とを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御装
    置。
  2. 【請求項2】 同軸上に対向配置された入出力ディスク
    と、該入出力ディスク間で摩擦係合により動力の受渡し
    を行うよう、入出力ディスクの軸心周りに配置された複
    数の摩擦ローラと、該摩擦ローラを傾動自在に支持する
    とともに、入出力ディスクの軸心に直交する軸方向に移
    動可能なローラ支持部材と、油圧シリンダに摺動自在に
    設けられ、第1および第2の油室間の差圧に応じて前記
    ローラ支持部材を移動させる油圧作動ピストンと、弁体
    内部に摺動自在に設けられるスプールの変位量に応じ
    て、入力される元圧を前記第1または第2の油室のうち
    の一方の油室へ供給して前記差圧を制御する変速制御弁
    とを具え、 前記変速制御弁は前記第1の油室に元圧を供給すること
    で減速側へ変速させ、前記第2の油室に元圧を供給する
    ことで増速側へ変速させるトロイダル型無段変速機の変
    速制御装置において、 前記変速制御弁が前記第1の油室に元圧を供給する際
    に、この元圧を減圧して第1の油室に供給することによ
    って前記差圧の増大を制限する差圧制限手段を設けたこ
    とを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記差圧制限手段は、前記変速制御弁に
    入力される元圧側の油路と、前記第2の油室の油圧を排
    出する前記変速制御弁の油路との間に配設され、前記元
    圧を所定圧に減圧して前記第2の油室の油圧を排出する
    前記変速制御弁の油路に供給し、前記第2の油室の油圧
    の最小値を制限するようにしたことを特徴とする請求項
    1に記載のトロイダル型無段変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 前記差圧制限手段は、前記変速制御弁か
    らの元圧を前記第2の油室に供給する油路中に配設され
    るとともに、前記変速制御弁に入力される元圧側の油路
    が分岐して接続され、前記元圧を所定圧に減圧して前記
    第2の油室に供給し、前記第2の油室の油圧の最小値を
    制限するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の
    トロイダル型無段変速機の変速制御装置。
  5. 【請求項5】 前記差圧制限手段は、前記変速制御弁か
    らの元圧を前記第1の油室に供給する油路中に配設さ
    れ、該変速制御弁からの元圧を制限して前記第1の油室
    に供給するようにしたことを特徴とする請求項2に記載
    のトロイダル型無段変速機の変速制御装置。
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