JP2001140068A - 光学薄膜の成膜方法および成膜装置 - Google Patents

光学薄膜の成膜方法および成膜装置

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JP2001140068A JP32625999A JP32625999A JP2001140068A JP 2001140068 A JP2001140068 A JP 2001140068A JP 32625999 A JP32625999 A JP 32625999A JP 32625999 A JP32625999 A JP 32625999A JP 2001140068 A JP2001140068 A JP 2001140068A
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陽一 矢崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外波長領域まで広範囲に低吸収な金属フッ
化物膜等の光学薄膜を成膜する。 【解決手段】 真空槽10内のターゲットTと基板Wの
間に不導体のメッシュ16を設けるとともに、ターゲッ
トTの近傍に発生するプラズマPの側方を囲むシールド
17にDCバイアスを印加して、プラズマP中の二次電
子や、ガスシャワーヘッド13から供給されるフッ素ガ
ス等の負イオンの運動方向を基板Wからそらすことで、
成膜中の光学薄膜に与えるダメージを低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタリングに
よる光学薄膜の成膜方法および成膜装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、反射防止膜等の光学薄膜を光学部
品等の基板に成膜する場合、材料を加熱し蒸発させて基
板に付着させる真空蒸着法が主流であった。この真空蒸
着法に対して、スパッタリングによる成膜方法は、自動
化・省力化・大面積基板への適応性、あるいはスパッタ
粒子のエネルギーが蒸着粒子に比べて1〜2桁高いこと
による低温成膜の可能性などの点で有利であることか
ら、近年では、スパッタリングによるコーティングが多
くなっている。
【0003】また、光学薄膜を構成する物質としては、
SiO2 、Al23 等の金属酸化物の他に、紫外波長
領域においても吸収が低い等の理由からMgF2 、Ca
2等の金属フッ化物が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、MgF
2 やCaF2 等の金属フッ化物は、300℃程度の基板
加熱を行ないながら真空蒸着する場合には、光吸収が少
なく、機械的強度の高い良質な光学薄膜を得られるのに
対して、スパッタリングでは、反応性DCスパッタリン
グや、RFスパッタリングにフッ素を含有するスパッタ
リングガスを用いた場合であっても、成膜した膜中にフ
ッ素原子が不足することによる光吸収が生じ易いという
未解決の課題がある。
【0005】例えば、特開平4−289165号公報に
は、金属フッ化物をスパッタする際のスパッタリングガ
スとして、不活性ガスとフッ素系ガスまたはフッ素原子
含有化合物ガスとの混合ガスを用いることが記載されて
いるが、この方法では可視光波長領域でさえ充分に低吸
収な薄膜が得られないことが確認されている(特開平9
−104976号公報参照)。
【0006】また、特開平9−104976号公報には
ターゲットを分子状に近い状態でスパッタする方法が開
示されており、特開平10−183332号公報では成
膜プロセス中の水分圧を制御することによって低吸収化
をはかることが報告されているが、これらは、いずれも
可視光波長領域での低吸収化についての成膜方法であ
る。
【0007】本発明は上記従来の技術の有する未解決の
課題に鑑みてなされたものであり、可視光波長領域から
紫外波長領域まで広い範囲で低吸収である極めて高品質
な金属酸化物膜や金属フッ化物膜を成膜できる光学薄膜
の成膜方法および成膜装置を提供することを目的とする
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の光学薄膜の成膜方法は、反応室内で、ター
ゲットの近傍にスパッタリングガスを供給し、前記ター
ゲットから発生するスパッタ粒子を基板の近傍に供給さ
れた反応ガスと反応させて光学薄膜を成膜する成膜工程
を有し、前記ターゲットと前記基板の間の空間部の側方
に配設された側方部材にDCバイアス電力を供給するこ
とで、前記空間部に発生する二次電子と負イオンの運動
方向を制御することを特徴とする。
【0009】ターゲットが、金属ターゲットであるとよ
い。
【0010】反応ガスが、フッ素ガスを含むガスである
とよい。
【0011】本発明による成膜装置は、反応室内でター
ゲットおよび基板をそれぞれ保持するターゲット保持手
段および基板保持手段と、前記ターゲットの近傍にスパ
ッタリングガスを供給するスパッタリングガス供給手段
と、前記基板の近傍に反応ガスを供給する反応ガス供給
手段と、前記ターゲットと前記基板の間の空間部の側方
に配設された側方部材と、該側方部材にDCバイアス電
力を供給するDCバイアス電源を有することを特徴す
る。
【0012】側方部材の外壁が不導体処理されていると
よい。
【0013】ターゲットと基板の間の空間部が、不導体
の有孔仕切板によってプラズマ空間と反応空間に分離さ
れているとよい。
【0014】側方部材が、プラズマ空間を囲むシールド
であるとよい。
【0015】
【作用】反応性DCスパッタリングによって成膜される
金属フッ化物等の光学薄膜の光吸収は、成膜中にプラズ
マの二次電子あるいは反応ガスから生じた負イオンがタ
ーゲットにおける陰極電位降下によって加速され、大き
な運動エネルギーで基板に入射して成膜中の膜にダメー
ジを与えることに起因することが判明した。そこで、基
板とターゲットの間の空間部の側方に設けたシールド等
の側方部材にDCバイアス電力を供給し、ダメージの原
因となる二次電子や負イオンの運動方向を基板からそら
せることで、特に紫外波長領域における吸収を低減す
る。
【0016】反応性DCスパッタリングにおける二次電
子や負イオンによるダメージを低減することで、紫外波
長領域から可視光波長領域まで広範囲に低吸収である高
品質な光学薄膜を実現できる。
【0017】シールドの外壁が不導体化されていれば、
DCバイアスの効果を長時間安定維持し、低吸収で高性
能な光学薄膜を安定して成膜できるという利点がある。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。
【0019】図1は一実施の形態による成膜装置を示す
もので、これは、反応室である真空槽10の下方に基板
Wを保持する基板保持手段が配置され、Mgの金属ター
ゲットであるターゲットTは、ターゲット保持手段であ
るマグネトロンカソード11にビス止めされている。マ
グネトロンカソード11は直流電源11aと接続され、
マグネトロンカソード11の上面には、冷却水11bが
流れている。真空槽10内には、ターゲットTの近傍へ
スパッタリングガスを導入するためのスパッタリンクガ
ス供給手段であるガスシャワーヘッド12と、基板W側
へ反応ガスを導入するための反応ガス供給手段であるガ
スシャワーヘッド13が設けられており、これらの導入
口12a,13aから真空槽10内に導入されるガスの
流量はマスフローコントロールシステム14,15によ
って制御され、真空槽10内のガス圧が制御できるよう
になっている。
【0020】ターゲットTと基板Wの間の空間部には不
導体の有孔仕切板であるメッシュ16が設けられ、さら
にメッシュ16の円周から上方に側方部材であるシール
ド17が配設されている。
【0021】ターゲットTと基板Wの間の空間部の側方
に配設されたシールド17の外壁17aは、不導体処理
されており、かつ、メッシュ16に対して着脱自在であ
り、シールド17の電位はDCバイアス電源18によっ
て制御できるように構成されている。シールド17と真
空槽10は絶縁体19によって絶縁され、基板Wとター
ゲットTの間には開閉自在のシャッタ20が設けられて
いる。
【0022】成膜方法は以下の通りである。真空槽10
を所定の真空度に排気したのち、ガスシャワーヘッド1
2,13からそれぞれスパッタリングガスとフッ素ガス
等の反応ガスを供給し、直流電源11aから直流電力を
マグネトロンカソード11に供給し、プラズマPを発生
させる。次いで、DCバイアス電源18からDCバイア
ス電力をシールド17に供給し、シールド17の内側に
DCバイアスを印加して、シャッタ20を開き、成膜を
開始する。
【0023】ターゲットTから発生するスパッタ粒子を
反応ガスと反応させて基板Wに付着させる成膜工程にお
いて、プラズマP中の二次電子や反応ガスから生じた負
イオンが、ターゲットTにおける陰極電位降下によって
加速され、大きな運動エネルギーをもって基板Wに入射
すると、成膜中の膜にダメージを与え、成膜された光学
薄膜のフッ素原子欠乏等による吸収増加を招き、特に紫
外波長領域において必要な光学特性を得られない。
【0024】そこで、プラズマPを囲むシールド17に
DCバイアス電源18から直流電力を印加し、上記の二
次電子や反応ガスの負イオンの運動方向をDCバイアス
電位によって制御し、側方へそらすことで、基板Wへ与
えるダメージを低減する。
【0025】詳しく説明すると、従来の反応ガスを用い
た反応性DCスパッタリングでは、ターゲット近傍で反
応ガスが負イオン化され、ターゲット電極電位とプラズ
マ電位の電位勾配により加速され基板へ飛び込みダメー
ジの原因になってしまうという欠点があった。また、プ
ラズマ中の二次電子についても負イオンの場合と同様の
ダメージを生じる。
【0026】ここで負イオンは、基板への運動中に気体
分子に散乱され中性化してしまうことはあるが、運動エ
ネルギーは依然大きな状態で維持されておりダメージの
原因となりうる。そこでターゲットと基板間の空間部の
側方に導電性のシールドを設けて、これにDCバイアス
(正電位)を印加すると、ターゲット近傍で生じた負イ
オンおよび二次電子は、プラズマの側方に導入された正
のDCバイアスとターゲット電位間の電位勾配により加
速される。これによって、負イオンや二次電子の進行方
法を基板への入射方向から側方へそらすことができる。
【0027】その結果、基板に入射してくる負イオンや
二次電子が減少し、光吸収の少ない光学薄膜を成膜する
ことができる。
【0028】この負イオンおよび二次電子の進行方向
は、ターゲットと基板間での電位勾配の空間分布によっ
て決定されるものである。つまり、ターゲットと基板間
の距離や、DCバイアス導入部位(シールド)のサイ
ズ、形状、導入DCバイアスの大きさによって変化する
ものである。そこで、装置の形状、サイズ等に応じて、
シールドヘ導入するDCバイアスの大きさを実験または
シミュレーション等により最適化する。
【0029】なお、反応ガスとしては、F2 (フッ素ガ
ス)、F2 (フッ素ガス)をAr,Kr,Xe等で希釈
したもの、あるいはNF3 ,CF4 ,O2 等が挙げられ
る。また、二次電子については、すべてのスパッタリン
グ現象で生じるものとする。
【0030】さらに、ターゲットと基板間側方のシール
ドは、導電性の材料(例えば、金属)を用いることか
ら、成膜プロセス中に反応ガスによって不導体化されて
しまう。この現象は、シールドの外壁を不導体処理する
とともに、シールドの下方に不導体のメッシュを設け
て、シールドとメッシュによって囲まれたプラズマ空間
にスパッタリングガスのみを導入することによって、反
応ガスを寄せ付けないようにすることで回避できる。
【0031】反応ガスは、ターゲット、シールド、メッ
シュ等で囲まれたプラズマ空間の外側の反応空間に導入
しなければならない。また、導入するスパッタリングガ
スの流量には、反応ガスの流量に応じて、ターゲット、
シールド、メッシュ等で囲まれた部位すなわちプラズマ
空間を不導体化しないための最適範囲が存在するが、そ
の条件を満たす範囲であれば安定して電位を投入しつづ
けることが可能となり、安定したプロセス条件での成膜
が可能となる。
【0032】なお、平板状のターゲットTとマグネトロ
ンカソード11の替わりに、図2に示すように、頂角1
20°の円錐型構造にしたターゲットT1 とマグネトロ
ンカソード31を用いてもよい。この場合は、ターゲッ
トT1 の表面が中央から側方に向かって傾斜する凸形状
であるため、負イオンや二次電子が側方に向かって発生
することから、より一層基板へのダメージを低減し、低
吸収な光学薄膜を得られるという利点が付加される。
【0033】次に実施例を説明する。
【0034】(第1実施例)図1の真空槽において、直
径100mm厚さ6mmのMgのターゲットがマグネト
ロンカソードにビス止めされ、基板とターゲットの間の
距離は120mmである。マグネトロンカソードの上面
には、4±1℃に制御された冷却水が流れている。
【0035】また、ターゲットから60mm下方に直径
130mmで不導体のメッシュが設けられ、さらにメッ
シュの円周から上方にシールドを設けている。メッシュ
の開孔率は50%であり、シールドの外壁は予め不導体
処理しておく。メッシュとシールドは着脱自在であり、
シールドの電位はDCバイアス電源によって制御され
る。直流電源からのターゲットへの投入電力は150W
である。
【0036】次に、光学薄膜の成膜手順を説明する。直
径30mmの石英基板を真空槽内に設置し、シャッタを
閉じて、真空ポンプにより真空槽内を2×10-5Paま
で排気する。その後、スパッタリングガスとしてArガ
スを、反応ガスとして10%F2 /Arガスを真空槽内
に導入し、ガス圧が2Paになるようにマスフローコン
トロールシステムでガス流量を制御する。
【0037】直流電源から直流電力をマグネトロンカソ
ードに供給してプラズマを発生させる。次いで、DCバ
イアス電力をシールドに供給し、シールドの内部を所定
の電位勾配に制御する。このときのシールドへのDCバ
イアスは100Vとした。その後、シャッタを開けて成
膜を開始する。膜厚が目標値に達したら、シャッタを閉
め、直流電源を切り成膜を終了した。
【0038】物理的膜厚は、反射率測定より得られた干
渉のピーク波長を用いて計算により求めた。また吸収率
は、吸収率(%)=100−透過率−反射率とし表面の
散乱による損失も吸収率に含め、物理的膜厚100nm
に換算した。
【0039】まず、シールドとメッシュが存在する場合
と、存在しない場合の陰極電位降下の時間変化を図3に
示す。図3のグラフからわかるように、DCバイアスの
シールドを施すと陰極電位降下の値が安定し、シールド
等が存在しない場合は、ターゲットのフッ化による陰極
電位降下の値が大きくなってしまう。
【0040】このことから、シールドやメッシュを用い
ることにより、反応ガスとターゲットの反応を抑えると
ともに、負イオンや二次電子の基板への入射エネルギー
を低減し、成膜中のダメージを回避できることが判明し
た。
【0041】また、直流電源によるターゲットへの投入
電力を95〜700Wの範囲で、直流電源によるシール
ドへのDCバイアスを0〜300Vの範囲で、また、圧
力を0.5〜3Paの範囲で変化させても、真空槽内へ
導入する反応ガスとスパッタリングガスの流量比をマス
フローコントロールシステムで最適化することによっ
て、上記と同様に陰極電位降下の値を小さく安定にでき
る条件が存在した。
【0042】さらに、メッシュの開孔率、大きさ、形
状、取付位置、およびシールドの外壁の不導体処理の有
無、形状などは、上記したものに限らず、異なる構成を
採用した場合においても同様の結果を得ることが確認で
きた。
【0043】次に、シールドへの100VのDCバイア
ス投入の有無による、MgF2 膜の吸収特性の違いを図
4に示す。図4のグラフからわかるように、シールドへ
のDCバイアスを導入しない場合には、250〜260
mm付近を中心波長とした吸収をもち、DCバイアスを
導入した際には低吸収なMgF2 膜が得られた。
【0044】ターゲットへの投入電力、シールドへのD
Cバイアス、圧力を変化させた場合においても、同様の
結果を得ることができる条件が存在した。
【0045】本実施の形態において、シールドやメッシ
ュによってターゲット近傍のプラズマ空間を囲み、スパ
ッタリングガスをシールド内に、反応ガスをシールド外
に導入することで、反応ガスを構造的にターゲット近傍
へ寄せ付けないようにすることに加えて、それでもター
ゲット近傍へ流れ込んでしまった反応ガスによる負イオ
ンや二次電子等の運動方向を、シールドにDCバイアス
を導入して基板方向からそらすことにより、光学薄膜の
光吸収を紫外波長領域においても大幅に低減できること
が確認できた。
【0046】(第2実施例)図1の装置において、ター
ゲットと基板間の距離を120,180,240mmの
3通りとした。このとき、シールドへのDCバイアスを
25V間隔で25〜125Vまで投入し、各DCバイア
スで成膜を行なった。その他の実験条件は第1実施例と
同様であった。
【0047】シールドへの投入DCバイアスと波長26
0nm付近での吸収率を0.2%/100nmを基準と
して判定したものを表1に示す。
【0048】
【表1】 ○ 吸収率が0.2%/100nm以下 × 吸収率が0.2%/100nm以上
【0049】この表は、膜厚100nm換算の吸収率が
0.2%を基準として吸収率の大小を比較したものであ
る。ターゲットと基板間の距離が120mmのとき、シ
ールドへのDCバイアスが100V以上でMgF2 膜の
250〜260nm付近を中心波長とした吸収が0.2
%/100nmより小さくなり、ターゲットと基板間の
距離が180mmのとき、シールドへのDCバイアスが
75V以上でMgF2膜の250〜260nm付近を中
心波長とした吸収が0.2%/100nmより小さくな
った。また、ターゲットと基板間の距離が240mmの
とき、シールドへのDCバイアスが50V以上でMgF
2 膜の250〜260nm付近を中心波長とした吸収が
0.2%/100nmより小さくなった。
【0050】上記の実験結果から、ターゲットと基板間
の距離が大きくなるに従って、シールドへ投入するDC
バイアスが小さくても、負イオンや二次電子が基板に到
達するまでに充分に基板上から外れることが確認され
た。また、装置構造の違いによりプロセス条件も異なる
ことも確認された。
【0051】(第3実施例)図1の装置において、ター
ゲットにAlを用いるとともに、ターゲットへの投入電
力は500Wとした以外は、第1実施例と同様の条件で
成膜を行なった。
【0052】シールドへの100VのDCバイアス投入
の有無による、AlF3 膜の吸収特性の違いを図5に示
す。図5のグラフからわかるようにシールドへのDCバ
イアスを導入しない場合には、300nmより短波長領
域で吸収が増大し、DCバイアスを導入した際には短波
長領域まで低吸収なAlF3 膜が得られた。
【0053】この実験結果により、MgF2 以外のフッ
化物にも同様にシールドとDCバイアスの効果が確認さ
れた。
【0054】(第4実施例)図1の装置を用いて、反応
ガスとしてO2 ガスを真空槽内に導入し、ガス圧が0.
5Paになるようにマスフローコントロールシステムで
ガスの流量を制御する。ターゲットへの投入電力は25
0Wとした。その他の条件は第2実施例と同様であっ
た。
【0055】シールドへの100VのDCバイアス投入
の有無による、Al23 膜の吸収特性の違いを図6に
示す。図6のグラフからわかるように、シールドへDC
バイアスを導入しない場合には、500nmより短波長
領域で吸収が増大し、DCバイアスを導入した際には短
波長領域まで低吸収なAl23 膜が得られた。
【0056】この実験の結果により、フッ素以外にも酸
素のような負イオンを生成する可能性のある反応ガスを
用いた場合にも、同様にシールドとDCバイアスの効果
が確認された。
【0057】
【発明の効果】本発明は上述のとおり構成されているの
で、次に記載するような効果を奏する。
【0058】反応性DCスパッタリングにおいて、プラ
ズマ中の二次電子や反応ガスから発生する負イオンによ
るダメージを低減し、紫外波長領域から可視光波長領域
まで広範囲に低吸収である高品質な金属フッ化物膜、金
属酸化物膜等を成膜できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態による成膜装置を示す概略構成図
である。
【図2】一変形例を示す図である。
【図3】第1実施例のシールドの有無による陰極電位降
下の時間変化を示すグラフである。
【図4】第1実施例において成膜したMgF2 膜の膜厚
100nm換算での分光吸収率を示すグラフである。
【図5】第3実施例において成膜したAlF3 膜の膜厚
100nm換算での分光吸収率を示すグラフである。
【図6】第4実施例において成膜したAl23 膜の膜
厚100nm換算での分光吸収率を示すグラフである。
【符号の説明】 T,T1 ターゲット W 基板 10 真空槽 11,31 マグネトロンカソード 11a 直流電源 12,13 ガスシャワーヘッド 16 メッシュ 17 シールド 18 DCバイアス電源 19 絶縁体 20 シャッタ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応室内で、ターゲットの近傍にスパッ
    タリングガスを供給し、前記ターゲットから発生するス
    パッタ粒子を基板の近傍に供給された反応ガスと反応さ
    せて光学薄膜を成膜する成膜工程を有し、前記ターゲッ
    トと前記基板の間の空間部の側方に配設された側方部材
    にDCバイアス電力を供給することで、前記空間部に発
    生する二次電子と負イオンの運動方向を制御することを
    特徴とする光学薄膜の成膜方法。
  2. 【請求項2】 ターゲットが、金属ターゲットであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の光学薄膜の成膜方法。
  3. 【請求項3】 反応ガスが、フッ素ガスを含むガスであ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の光学薄膜の
    成膜方法。
  4. 【請求項4】 反応室内でターゲットおよび基板をそれ
    ぞれ保持するターゲット保持手段および基板保持手段
    と、前記ターゲットの近傍にスパッタリングガスを供給
    するスパッタリングガス供給手段と、前記基板の近傍に
    反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、前記ターゲッ
    トと前記基板の間の空間部の側方に配設された側方部材
    と、該側方部材にDCバイアス電力を供給するDCバイ
    アス電源を有する成膜装置。
  5. 【請求項5】 側方部材の外壁が不導体処理されている
    ことを特徴とする請求項4記載の成膜装置。
  6. 【請求項6】 ターゲットと基板の間の空間部が、不導
    体の有孔仕切板によってプラズマ空間と反応空間に分離
    されていることを特徴とする請求項4または5記載の成
    膜装置。
  7. 【請求項7】 側方部材が、プラズマ空間を囲むシール
    ドであることを特徴とする請求項6記載の成膜装置。
  8. 【請求項8】 有孔仕切板とシールドによって、プラズ
    マ空間が包囲されていることを特徴とする請求項7記載
    の成膜装置。
  9. 【請求項9】 ターゲットの表面が、中央から側方に向
    かって傾斜する凸形状であることを特徴とする請求項4
    ないし8いずれか1項記載の成膜装置。
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