JP2001140057A - 自己潤滑摺動材料 - Google Patents

自己潤滑摺動材料

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JP2001140057A
JP2001140057A JP32654099A JP32654099A JP2001140057A JP 2001140057 A JP2001140057 A JP 2001140057A JP 32654099 A JP32654099 A JP 32654099A JP 32654099 A JP32654099 A JP 32654099A JP 2001140057 A JP2001140057 A JP 2001140057A
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lubricant layer
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Naoto Enoshima
尚登 榎島
Kazuhiko Takahashi
和彦 高橋
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐摩耗性及び耐焼付性の双方を両立させるのに
有利な自己潤滑摺動材料を提供する。 【解決手段】自己潤滑摺動材料は、母材1と、母材1の
表面に積層された自己潤滑性をもつ固体潤滑剤を用いて
形成された固体潤滑剤層3とで構成されている。固体潤
滑剤層3はチタンなどの硬質成分を含む。硬質成分の含
有濃度は、固体潤滑剤層3のうち母材1側では、固体潤
滑剤層3の表出面3s側よりも相対的に多く設定されて
おり、且つ、固体潤滑剤層3の表出面3s側では、母材
1側よりも相対的に少なく設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自己潤滑性をもつ固
体潤滑剤で形成された固体潤滑剤層をもつ自己潤滑摺動
材料に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平2−221714号公報には、摺
動面に、硬いTiCコーテイング層を形成し、このTi
Cコーテイング層の上に層状固体潤滑剤層を形成した複
層構造の固体潤滑軸受が開示されている。このもので
は、摺動の際には、層状固体潤滑剤層の固体潤滑剤が相
手材に移着するため、潤滑性を高めることができ、優れ
た摩擦摩耗特性を期待できる。
【0003】さらに特開平3−162563号公報に
は、摺動面に、耐摩耗性に優れた耐摩耗性層を形成し、
この耐摩耗性層の表面に、耐摩耗性層よりも軟質な耐焼
付性層を形成した複層構造の摺動部品が開示されてい
る。
【0004】さらにまた特開平5−52265号公報に
は、摺動面に、耐摩耗性に優れた硬質クロムメッキ層を
形成し、この硬質クロムメッキ層の表面に軟質合金めっ
き層を形成した複層構造のピストンリングが開示されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した各公報技術に
よれば、耐摩耗性を有する硬い層の上に、軟質な層が積
層されている構造である。換言すれば、耐摩耗性を有す
る硬い層の内部には、軟質な物質が含まれておらず、軟
質な層の内部には硬い耐摩耗性を有する物質が含まれて
いない。このように最表面側には耐摩耗性を有する物質
が含まれていないため、耐摩耗性が充分ではなく、従っ
て耐摩耗性及び耐焼付性の双方を両立させることは容易
ではない。
【0006】上記した特開平2−221714号公報技
術によれば、硬いTiCコーテイング層の上に層状固体
潤滑剤層を積層しており、摺動の初期において、層状固
体潤滑剤層の固体潤滑剤が剥離して相手材に移着するた
め、潤滑性を高めることができ、優れた摩擦摩耗特性を
期待できる。しかしながら上記した層状固体滑剤層はせ
ん断力に対して弱いため、激しい環境下において層状固
体潤滑層は過剰に剥離してしまい、摩滅し易い傾向を示
し、長期にわたる優れた潤滑性能をあまり期待すること
ができない。
【0007】そこで、層状固体潤滑剤層が過剰に剥離し
て摩滅し易い不具合を解消すべく、母材の表面に、自己
潤滑性をもつ固体潤滑剤で形成された無給油用の固体潤
滑剤層を積層すると共に、この無給油用の固体潤滑剤層
の全体に、耐摩耗性をもつ硬質成分を混在させ、これに
より層状固体潤滑剤の耐摩耗性を高めることが、本発明
者等により提案されている。このものでは、耐摩耗性を
もつ硬質成分が固体潤滑剤層の内部にこれの厚み方向に
ほぼ均一に混在しているものである。
【0008】しかしながらこの場合には、固体潤滑剤層
に硬質成分を混在させているため、耐摩耗性は向上する
ものの、相手材として比較的軟質な軟質系材料であるリ
ン青銅などが採用されているときには、焼付が生じ易く
なる。すなわち、耐摩耗性及び耐焼付性の双方の両立
は、必ずしも満足できるものではない。その理由は、固
体潤滑剤層にはこれの厚み方向にほぼ均一に硬質成分が
含まれているため、上記した軟質系材料である相手材と
固体潤滑剤層とが摺動する初期において、固体潤滑剤層
の剥離が起こりにくくなり、このため軟質系材料である
相手材の構成成分が固体潤滑剤層の表出面側に移着する
ためと推察される。
【0009】本発明は上記した実情に鑑みてなされたも
のであり、耐摩耗性及び耐焼付性の双方を両立させるの
に有利な自己潤滑摺動材料を提供することを課題とする
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記した課題
のもとに鋭意開発を進めている。そして、固体潤滑剤層
に硬質成分を含ませると共に、硬質成分の含有濃度が、
母材側では固体潤滑剤層の表出面側よりも相対的に多く
設定されており、且つ、固体潤滑剤層の表出面側では母
材側よりも相対的に少なく設定されている層構造を採用
すれば、固体潤滑剤層の耐摩耗性を確保しつつ、摩擦特
性に大きな影響を与える摺動初期において、固体潤滑剤
が相手材の側に移着することを促し、これにより相手材
に移着した固体潤滑剤と母材上の固体潤滑剤層との摺動
を図ることができ、以て耐摩耗性及び耐焼付性の双方を
効果的に両立させることができることを本発明者は知見
し、試験で確認し、本発明に係る自己潤滑摺動材料を完
成した。
【0011】すなわち本発明に係る自己潤滑摺動材料
は、母材と、母材の表面に積層された自己潤滑性をもつ
固体潤滑剤を用いて形成された固体潤滑剤層とで構成さ
れ、固体潤滑剤層は硬質成分を含むと共に、硬質成分の
含有濃度は、固体潤滑剤層のうち母材側では固体潤滑剤
層の表出面側よりも相対的に多く設定されており、固体
潤滑剤層の表出面側では母材側よりも相対的に少なく設
定されていることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る自己潤滑摺動材料に
よれば、固体潤滑剤層は硬質成分を含む。固体潤滑剤層
に含まれている硬質成分の含有濃度は、母材側では固体
潤滑剤層の表出面側よりも相対的に多く設定されてお
り、且つ、固体潤滑剤層の表出面側では母材側よりも相
対的に少なく設定されている。『相対的に少なく設定』
は、硬質成分の含有濃度が0%である形態も含む。
【0013】このように硬質成分の含有濃度が固体潤滑
剤層の表出面側では母材側よりも相対的に少なくされて
いるため、固体潤滑剤層の表出面側では固体潤滑剤の割
合が増加している。従って、摩擦特性に大きな影響を与
える摺動初期において、固体潤滑剤層の固体潤滑剤を相
手側に移着させ易くなる。
【0014】このため、摺動初期において、固体潤滑剤
が相手材の側に移着することを促すことができる。故
に、相手材に移着した固体潤滑剤と母材上の固体潤滑剤
層との摺動を図り得る。よって、耐摩耗性及び耐焼付性
の双方を効果的に両立させることができる。
【0015】母材の材質としては、一般的には金属系で
あり、例えばチタン系、鉄系(炭素鋼系、合金鋼系、ス
テンレス鋼系)、ニッケル系、アルミニウム系等を適宜
採用することができるが、これらに限定されるものでは
ない。チタン系としては例えばTi−Al−V系、Ti
−Al系、Ti−V系等を採用することができるが、こ
れらに限定されるものではない。
【0016】代表的な固体潤滑剤としては、二硫化モリ
ブデン、グラファイト、ボロンナイトライド等を採用す
ることができる。硬質成分としてはチタン、クロム、バ
ナジウムなどの金属成分を採用することができる。
【0017】本発明に係る自己潤滑摺動材料によれば、
硬質成分の含有濃度は、固体潤滑剤層のうち母材側では
固体潤滑剤層の表出面側よりも相対的に多く設定されて
おり、且つ、固体潤滑剤層の表出面側では母材側よりも
相対的に少なく設定されている。
【0018】この場合には、固体潤滑剤層における硬質
成分の含有濃度の形態としては、母材側から固体潤滑剤
層の表出面側に向かうにつれて、硬質成分の含有濃度が
連続的に減少するような傾斜組成として設定しても良
い。あるいは、固体潤滑剤層における母材側では硬質成
分の含有濃度が高く、固体潤滑剤層の表出面側では硬質
成分の含有濃度が低く、あるいは0%となるように不連
続的組成として設定することもできる。
【0019】上記した固体潤滑剤層としては例えば物理
的成膜処理(PVD)、化学的成膜処理(CVD)等で
薄膜状に形成することができる。例えばマグネトロン式
のイオンプレーティング処理を採用することができる。
【0020】固体潤滑剤層の厚みとしては母材の種類、
用途などに応じて適宜選択することができ、特に限定さ
れるものではないが、下限値としては例えば0.2μ
m、0.5μm、1μm、2μm、5μm、10μm等
とすることができ、上限値としては例えば1.5μm、
2μm、5μm、10μm、30μm、50μm、10
0μm等とすることができる。
【0021】固体潤滑剤層は、複数の層で形成すること
ができる。例えば、固体潤滑剤層は、硬質成分が多く含
まれている第1層(母材側)と、硬質成分があまり含ま
れていないか、あるいは、全く含まれていない第2層
(表出面側)とで構成することができる。
【0022】上記した第1層の厚みとしては、例えば
0.2〜30μm、殊に0.4〜5μm、0.6〜2μ
mにすることができる。同様に、第2層の厚みとしては
例えば0.2〜30μm、殊に0.4〜5μm、0.6
〜2μmにすることができる。但しこの厚みに限定され
るものではない。
【0023】
【実施例】以下、本発明の各実施例を図面を参照して説
明する。
【0024】(実施例1)本実施例に係る自己潤滑摺動
材料は、図1に示すように、母材1と、母材1の表面に
積層された固体潤滑剤層3とで構成されている。母材1
はチタン合金(主組成:mass%でTi−Al6%、
V4%)で形成されており、固体潤滑剤層3は、自己潤
滑性をもつ固体潤滑剤である二硫化モリブデンを用いて
形成されており、マグネトロンタイプのイオンプレーテ
ィングにより母材1上に成膜されている。固体潤滑剤層
3は、母材1に被覆された第1層31と、第1層31に
被覆された第2層32とで構成されている。第1層31
の厚みは約1μmである。第2層32の厚みは約1μm
である。
【0025】固体潤滑剤層3の第1層31は、固体潤滑
剤層3の耐摩耗性の向上を意図したものであり、固体潤
滑剤である二硫化モリブデン(MoS2)と、二硫化モ
リブデンに混在した硬質成分であるチタンとで構成され
ている。第1層31においてチタンの含有濃度(平均含
有濃度)はat%(atmic%)で20%である。第
1層31の平均硬度はHv1500である(荷重:5g
w)。
【0026】固体潤滑剤層3の第2層32は、摺動初期
において、相手材への固体潤滑剤の移着を促進し、焼付
を抑えるためのものである。従って第2層32は、固体
潤滑剤である二硫化モリブデンで形成されており、硬質
成分であるチタンを実質的に含まない。この結果、固体
潤滑剤層3に含まれている硬質成分であるチタンの含有
濃度は、母材1側では固体潤滑剤層3の表出面3s側よ
りも相対的に多く設定されており、固体潤滑剤層3の表
出面3s側では母材1側よりも相対的に少なく設定され
ている。
【0027】この結果本実施例によれば、摺動初期にお
いて固体潤滑剤層3の第2層32を構成する固体潤滑剤
が相手材の側に移着することを促すことができる。よっ
て相手材に移着した固体潤滑剤と母材1上の固体潤滑剤
層3との摺動を図ることができ、耐摩耗性を向上でき
る。さらに母材1側の第1層31はチタン含有濃度が高
いため、第1層31により固体潤滑剤層3の耐摩耗性を
確保することができる。これにより母材1に積層した固
体潤滑剤層3の耐摩耗性及び耐焼付性の双方を両立させ
るのに有利となる。
【0028】本実施例によれば、固体潤滑剤層3の第1
層31は、固体潤滑剤である二硫化モリブデンと、硬質
成分であるチタンとが混在して構成されており、チタン
のみで構成されているものではない。従って、固体潤滑
剤層3の耐摩耗性を確保しつつ、潤滑性能を確保するの
に有利となる。
【0029】(試験例)上記した実施例1の条件に基づ
いて、実施例a、実施例b、実施例cに係る試験片を形
成した。この場合には、図2に示すように、母材1とし
て、断面円形状をなす前記チタン合金で形成されている
長尺状の軸状部材(軸径:6mm、軸長:70mm)を
用い、これの外周面の全体に前記固体潤滑剤層3を積層
形成した。
【0030】また比較例a、比較例b、比較例cとし
て、第1層31を積層するものの、第2層32を積層し
なかった試験片も形成した。
【0031】相手材6として、円筒形状のブッシュを用
いた。ブッシュとしては、リン青銅(主組成:mass
%で、Cuが93.8%、Snが6%、Pが0.2%)
で形成されたもの、軸受材(JIS−SUJ2)で形成
されたもの、ステンレス鋼(JIS−SUS440C)
で形成されたものをそれぞれ用いた。
【0032】そして往復摺動試験機を用い、各試験片に
ついて摺動試験を実施し、固体潤滑剤層3の摩耗量を求
めた。摺動試験においては、シャフト横力を40Nと
し、軸状部材の往復を1回としたとき、往復する軸状部
材の周波数は100Hzとし、軸状部材の往復を1回と
したとき振動回数は1億回とした。
【0033】試験結果などを表1に示す。試験では、軸
状の母材1の長手方向の両端部に設けたバネにより母材
1を長さ方向に往復移動させ、そのときのバネの自由振
動の減衰カーブから摩擦力トルクを求め、これを摩擦力
とした。
【0034】
【表1】
【0035】本発明品に相当する実施例a、実施例b、
実施例cでは、固体潤滑剤層3の摩耗は表出面3s側の
第2層32で収まり、第1層31の摩耗はほとんど観察
されなかった。すなわち本発明品では層摩耗量は少なか
った。
【0036】これに対して相手材6がリン青銅である比
較例aでは、摺動初期において焼付が発生し、固体潤滑
剤層3にリン青銅の移着が認められた。相手材6がSUJ2
およびSUS440Cである比較例b、比較例cでは、焼付は
認められなかったが、固体潤滑剤層3の層摩耗量は1.
6μm、1.7μmと多かった。その理由は、相手材6
の材料硬度が硬くて固体潤滑剤層3の摩滅を促進したも
のと推察される。
【0037】相手材6がSUJ2およびSUS440Cであり材料
硬度が高い場合であっても、実施例b、実施例cによれ
ば、耐摩耗性を確保する第1層31が設けられている他
に、摺動初期における固体潤滑剤の良好なる剥離を期待
できる第2層32が設けられているため、固体潤滑剤層
3の摩耗量が軽減されていた。
【0038】(実施例2)実施例2は実施例1と基本的
には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏
する。本実施例に係る自己潤滑摺動材料は、図3に示す
ように、母材1と、母材1の表面に積層された固体潤滑
剤層3Aとで構成されている。母材1はチタン合金で形
成されており、固体潤滑剤層3Aは、自己潤滑性をもつ
固体潤滑剤である二硫化モリブデンを用いて形成されて
いる。固体潤滑剤層3Aは、母材1に被覆された第1層
31と、第1層31に被覆された第2層32と、第2層
32に被覆された第3層33とで構成されている。第1
層31の厚みは約1μmである。第2層32の厚みは約
1μmである。第3層33の厚みは約1μmである。
【0039】固体潤滑剤層3Aの第1層31は、固体潤
滑剤層3Aの耐摩耗性の確保を意図するものであり、固
体潤滑剤である二硫化モリブデンと、硬質成分であるチ
タンとで構成されている。第1層31においてチタンの
含有濃度はat%で20%である。固体潤滑剤層3Aの
第2層32は、固体潤滑剤である二硫化モリブデンと、
硬質成分であるチタンとで構成されている。第2層32
においてチタンの含有濃度はat%で10%である。固
体潤滑剤層3Aの第3層33は、摺動初期において相手
材6への固体潤滑剤の移着を促進するためのものであ
り、固体潤滑剤である二硫化モリブデンで形成されてお
り、硬質成分であるチタンを含まない。
【0040】この結果、実施例2においても、実施例1
の場合と同様に、硬質成分であるチタンの含有濃度は、
固体潤滑剤層3のうち母材1側では固体潤滑剤層3Aの
表出面3s側よりも相対的に多く設定されており、固体
潤滑剤層3Aの表出面3s側では母材1側よりも相対的
に少なく設定されている。
【0041】(実施例3)実施例3は実施例1と基本的
には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏
する。本実施例に係る自己潤滑摺動材料は、図4に示す
ように、母材1と、母材1の表面に積層された固体潤滑
剤層3Bとで構成されている。母材1はチタン合金で形
成されており、固体潤滑剤層3Bは、自己潤滑性をもつ
固体潤滑剤である二硫化モリブデンを用いて形成されて
いる。固体潤滑剤層3Bは、母材1に被覆された第1層
31と、第1層31に被覆された第2層32とで構成さ
れている。第1層31の厚みは約1μmである。第2層
32の厚みは約1μmである。
【0042】固体潤滑剤層3Bの第1層31は、固体潤
滑剤である二硫化モリブデンと、硬質成分であるチタン
とで構成されている。第1層31においてチタンの含有
濃度はat%で20%である。固体潤滑剤層3Bの第2
層32は、固体潤滑剤である二硫化モリブデンと、硬質
成分であるチタンとで構成されている。第2層32にお
いてチタンの含有濃度は傾斜組成とされている。
【0043】すなわち、第2層32において、母材1側
つまり第1層31側ではチタンの含有濃度はat%で2
0%であるが、第2層32の表出面3sに向かうにつれ
てチタンの含有濃度が少なくなるようにされており、第
2層32の表出面3sではチタンの含有濃度は0%とさ
れている。従ってこの場合には固体潤滑剤層3Bにおい
て、層硬度は母材1に近づくにつれて高くなる。
【0044】実施例3においても、実施例1の場合と同
様に、硬質成分であるチタンの含有濃度は、母材1側で
は固体潤滑剤層3Bの表出面3s側よりも相対的に多く
されており、固体潤滑剤層3Bの表出面3s側では母材
1側よりも相対的に少なくされている。
【0045】(実施例4)実施例4は実施例1と基本的
には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏
する。本実施例に係る自己潤滑摺動材料は、図5に示す
ように、母材1と、母材1の表面に積層された固体潤滑
剤層3Cとで構成されている。母材1はチタン合金で形
成されており、固体潤滑剤層3Cは、自己潤滑性をもつ
固体潤滑剤である二硫化モリブデンと、硬質成分である
チタンとで構成されている。固体潤滑剤層3においてチ
タンの含有濃度は傾斜組成とされている。
【0046】すなわち、固体潤滑剤層3Cにおいて、母
材1側ではチタンの含有濃度はat%で20%である
が、固体潤滑剤層3Cの表出面3sに向かうにつれてチ
タンの含有濃度が次第に少なくなるようにされており、
固体潤滑剤層3Cの表出面3sではチタンの含有濃度は
0%とされている。
【0047】この結果、実施例4においても、硬質成分
であるチタンの含有濃度は、固体潤滑剤層3Cのうち母
材1側では固体潤滑剤層3Cの表出面3s側よりも相対
的に多くされており、固体潤滑剤層3Cの表出面3s側
では母材1側よりも相対的に少なくされている。この場
合には固体潤滑剤層3Cにおいて、層硬度は母材1に近
づくにつれて高くなる。
【0048】(実施例5)実施例5は実施例1と基本的
には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏
する。本実施例に係る自己潤滑摺動材料は、図6に示す
ように、母材1と、母材1の表面に積層された固体潤滑
剤層3Dとで構成されている。母材1はチタン合金で形
成されており、固体潤滑剤層3Dは、自己潤滑性をもつ
固体潤滑剤であるグラファィトを用いて形成されてお
り、マグネトロンタイプのイオンプレーティングにより
母材1上に成膜されている。固体潤滑剤層3Dは、母材
1に被覆された第1層31と、第1層31に被覆された
第2層32とで構成されている。第1層31の厚みは約
1μmである。第2層32の厚みは約1μmである。
【0049】固体潤滑剤層3Dの第1層31は、固体潤
滑剤層3Dの耐摩耗性の向上を意図したものであり、固
体潤滑剤であるグラファィトと、硬質成分であるクロム
とで構成されている。第1層31においてクロムの含有
濃度はat%(atmic%)で20%である。第1層
31の平均硬度はHv1500〜Hv4000である
(荷重:5gw)。
【0050】固体潤滑剤層3Dの第2層32は相手材6
への固体潤滑剤の移着を促進するためのものであり、固
体潤滑剤である二硫化モリブデンで形成されており、硬
質成分であるクロムを含まない。この結果、硬質成分で
あるクロムの含有濃度は、母材1側では固体潤滑剤層3
Dの表出面3s側よりも相対的に多く含まれており、固
体潤滑剤層3Dの表出面3s側では母材1側よりも相対
的に少なくされている。
【0051】(実施例6)実施例6は実施例1と基本的
には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏
する。本実施例に係る自己潤滑摺動材料は、図7に示す
ように、母材1と、母材1の表面に積層された固体潤滑
剤層3Eとで構成されている。母材1はステンレス鋼
(組成:18Cr−8Ni)で形成されており、固体潤
滑剤層3Eは、自己潤滑性をもつ固体潤滑剤である二硫
化モリブデンで形成されており、マグネトロンタイプの
イオンプレーティングにより母材1上に成膜されてい
る。固体潤滑剤層3Eの第1層31は、固体潤滑剤層3
Eの耐摩耗性の向上を意図したものであり、固体潤滑剤
である二硫化モリブデンと、硬質成分であるチタンとで
構成されている。第1層31においてチタンの含有濃度
はat%で20%である。固体潤滑剤層3Eの第2層3
2は相手材6への固体潤滑剤の移着を促進するためのも
のであり、固体潤滑剤である二硫化モリブデンで形成さ
れており、硬質成分であるチタンを含まない。
【0052】そのほか、本発明は上記し且つ図面に示し
た実施例のみに限定されるものではなく、例えば、母材
は、アルミニウム合金、ニッケル合金、マグネシウム合
金に用いることができるなど、要旨を逸脱しない範囲内
で必要に応じて適宜変更して実施できるものである。
【0053】(付記)上記した記載から次の技術的思想
も把握することができる。
【0054】・母材と、母材と衝動する相手材とを備え
た摺動部材の組み合わせであって、母材の表面には、自
己潤滑性をもつ固体潤滑剤で形成された固体潤滑剤層が
積層されており、固体潤滑剤層は硬質成分を含むと共
に、硬質成分の含有濃度は、固体潤滑剤層のうち母材側
では固体潤滑剤層の表出面側よりも相対的に多く設定さ
れており、固体潤滑剤層の表出面3s側では母材側より
も相対的に少なく設定されていることを特徴とする摺動
部材の組み合わせ。この組み合わせによれば、耐摩耗性
及び耐焼付性の双方を両立させるのに有利である。
【0055】・請求項1において、硬質成分は母材と同
系材質であることを特徴とする自己潤滑摺動材料。
【0056】
【発明の効果】本発明に係る自己潤滑摺動材料によれ
ば、摺動初期において固体潤滑剤が相手材の側に移着す
ることを促し、相手材に移着した固体潤滑剤と母材上の
固体潤滑剤層との摺動を図ることができ、これにより耐
摩耗性及び耐焼付性の双方を両立させるのに有利であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る自己潤滑摺動材料の断面図であ
る。
【図2】試験している形態を示す断面図である。
【図3】実施例2に係る自己潤滑摺動材料の断面図であ
る。
【図4】実施例3に係る自己潤滑摺動材料の断面図であ
る。
【図5】実施例4に係る自己潤滑摺動材料の断面図であ
る。
【図6】実施例5に係る自己潤滑摺動材料の断面図であ
る。
【図7】実施例6に係る自己潤滑摺動材料の断面図であ
る。
【符号の説明】
図中、1は母材、3〜3Eは固体潤滑剤層、3sは表出
面、31は第1層、32は第2層をそれぞれ示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】母材と、前記母材の表面に積層された自己
    潤滑性をもつ固体潤滑剤を用いて形成された固体潤滑剤
    層とで構成され、 前記固体潤滑剤層は硬質成分を含むと共に、 前記硬質成分の含有濃度は、前記固体潤滑剤層のうち前
    記母材側では前記固体潤滑剤層の表出面側よりも相対的
    に多く設定されており、前記固体潤滑剤層の表出面側で
    は前記母材側よりも相対的に少なく設定されていること
    を特徴とする自己潤滑摺動材料。
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