JP2001139467A - 上皮形成促進剤 - Google Patents

上皮形成促進剤

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JP2001139467A
JP2001139467A JP2000005070A JP2000005070A JP2001139467A JP 2001139467 A JP2001139467 A JP 2001139467A JP 2000005070 A JP2000005070 A JP 2000005070A JP 2000005070 A JP2000005070 A JP 2000005070A JP 2001139467 A JP2001139467 A JP 2001139467A
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Japan
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acetoacetin
monoacetoacetin
wound
compound
ointment
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JP2000005070A
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English (en)
Inventor
Masayoshi Nagayama
正義 長山
Tetsushi Iwamoto
哲史 岩本
Junji Kaga
順二 加賀
Naomasa Shibuya
直応 澁谷
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課 題】 新規かつ優れた創傷の上皮形成剤を提供
する。 【解決手段】 栄養補給作用と抗菌作用を併せ有するア
セトアセチン化合物を有効成分として含有する肉芽形成
能と細菌防止能を有する創傷の上皮形成促進剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は栄養補給作用と抗菌
作用を併せ有するアセトアセチン化合物を含有すること
を特徴とする創傷の上皮形成促進剤に関する。
【0002】
【従来の技術】日本は現在、急激な高齢化社会を迎えつ
つあり、それに伴って、高齢者が例えば交通事故による
骨折、意識障害を伴う手足の麻痺、或いは悪性腫瘍の手
術などが原因で長期入院を余儀なくされるケースが多く
なってきている。そして、高齢者のみならず、睡眠薬の
誤飲や自殺帰途に由来する中枢神経抑制物質の過量投与
などの意識障害を伴う麻痺患者や癌などの重篤な患者が
手術等で長期入院をすると、長時間同じ姿勢で床に臥す
ことが多くなるため、褥瘡、所謂床ずれと言う重大な合
併症が発生する。
【0003】褥瘡発生の身体的要因として、患者の栄養
状態や貧血状態の悪化は褥瘡を誘発させる代表的要因と
考えられている。現在、これらの治療法としては、1)
植皮などの手術的療法、2)非手術的(保存的)療法と
に大別されるが、多くの症例においては、上記の手術的
療法は、患者の基礎疾患や全身状態を考慮すると実際に
は行えず、保存的療法、中でも軟膏療法に頼らざるを得
ないのが現状である。褥瘡の軟膏療法としては、担当医
師により様々に治療法が工夫されているが、主に、抗
生物質軟膏、殺菌消毒剤(抗菌剤含有軟膏)、酵素
(壊死組織除去剤)製剤、創傷治癒促進剤(表皮、肉
芽形成促進剤または保護剤)含有軟膏等の治療法を適宜
組み合わせて治療が行われている。しかし、これらの治
療法は、筋肉や骨に達する重篤な褥瘡等の創傷には、な
お十分なものではなく、早期に治療できる薬剤の開発が
望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、創傷
治療にも有用な創傷の上皮形成促進剤を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来から、
外傷、手術侵襲下の生体に対する有効な合成エネルギー
源として、モノアセトアセチンに着目し、該化合物を経
静脈投与した場合に優れた栄養補給源として機能するこ
とを見出し、多くの研究報告を行ってきた(例えば、日
消外会誌、20(5)1087〜1092(1987)参照)。
【0006】そして、本発明者は、モノアセトアセチン
のみならずその類縁化合物の新たな薬理作用を種々検討
した結果、栄養補給作用と抗菌作用を併せ有するモノア
セトアセチンが創傷の上皮形成を促進する新知見を得
た。さらに本発明者は、式(I)
【化2】 (式中、R、R及びRは同一又は異なって、水素
原子又はCH−CO−CH−CO−などのエステル
残基を示すが、R、R及びRの全てが水素原子で
はない)で表わされるアセトアセチン化合物が褥瘡等の
重篤な創傷に優れた治療効果があることを知見した。又
本発明者はアセトアセチン化合物(I)は創傷の局所に
適用すると容易に創傷内に経皮吸収されることを知見し
た。又さらに本発明者は栄養補給作用と抗菌作用を併せ
有するアセトアセチン化合物を含有する組成物を創傷部
位に投与すると、抗菌作用に基づいて、細菌感染が防止
され、栄養補強作用に基づいて肉芽組織が形成されるこ
と、そしてその結果上皮が速やかに形成されることを知
見した。さらに種々鋭意検討した結果、本発明を完成す
るに至った。
【0007】すなわち本発明は(1)栄養補給作用と抗
菌作用を併せ有する式
【化3】 (式中、R、R及びRは同一又は異なって、水素
原子又はCH−CO−CH−CO−などのエステル
残基を示し、R、R及びRの少なくとも一つはエ
ステル残基を示す)で表わされるアセトアセチン化合物
を含有することを特徴とする創傷の上皮形成促進剤、
(2)アセトアセチン化合物がモノアセトアセチン、ジ
アセトアセチン及びトリアセトアセチンから選ばれる少
なくとも一種以上である前記(1)記載の上皮形成促進
剤、(3) 前記(1)記載のアセトアセチン化合物を
有効成分として含有し、肉芽組織形成能と細菌感染防止
能を有する創傷の上皮形成促進剤、(4)創傷が褥瘡、
擦り傷、膿瘍、火傷又は潰瘍である前記(1)〜(3)
のいずれかに記載の上皮形成促進剤、(5)剤型が外用
剤である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の上皮形
成促進剤、及び(6)外用剤が軟膏、クリーム剤、ゲル
剤、ローション剤、液剤、パップ剤、粉末剤、滴下剤、
貼付剤又はエアゾール剤である前記(5)記載の上皮形
成促進剤、に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で有効成分として使用され
るアセトアセチン化合物を表わす上記式(I)中の
、R及びRで示されるエステル残基は、薬理学
的に許容されるエステル残基であればあればどのような
ものでもよく、具体的には例えばCH−CO−CH
−CO−が好適な例として例示される。栄養補給作用と
抗菌作用を併せ有するアセトアセチン化合物には、モノ
アセトアセチン、ジアセトアセチンもしくはトリアセト
アセチン又はそれらの任意の混合物が含まれる。本発明
で使用されるアセトアセチン化合物は、公知方法もしく
は自体公知の方法又はそれらに準じる方法によって容易
に製造される。公知方法としては、例えば特開平2−1
72949号公報、特表平3−501024号公報、米
国特許第5,420,335号公報等を挙げることがで
きる。例えば、モノアセトアセチンは、グリセロールと
アセト酢酸とから合成される公知化合物であり、例え
ば、特開平2−172949号公報に記載の方法により
製造することができる。該アセトアセチン化合物に異性
体が存在する場合には、アセトアセチン化合物はいずれ
の異性体でもよいし、それらのラセミ混合物を含む任意
の混合物であってよい。例えばモノアセトアセチンに
は、次式(II)及び(III)で、ジアセトアセチン
は式(IV)及び(V)で示される、2つの位置異性体
が存在しており、本発明ではそのいずれか、或いは両者
を併用することもできる。併用の場合のそれぞれの異性
体の混合比率は任意でよい。
【0009】
【化4】
【0010】本発明の有効成分であるモノアセトアセチ
ン、ジアセトアセチン、トリアセトアセチンなどのアセ
トアセチン化合物は、血中などに存在するエステラー
ゼにより速やかにケトン体に分解されて、細胞内で速や
かに代謝される優れたエネルギー源である。ケトン体
は、インスリンやカルニチンなどを必要とせず直接、細
胞内に入って代謝され、また、ケトン体には抗菌作用が
認められる。モノアセトアセチンは、水と極めて親和
性が高く、軟膏剤等に容易に製剤化できる。等の特徴を
有しており、軟膏剤などの形態で創傷などの局所に投与
することにより、局所でのエネルギー源に利用されると
共にその抗菌作用により、創傷の治癒が促進される。
【0011】本発明の上皮形成促進剤は、上記アセトア
セチン化合物を有効成分とし、これを適当な基剤成分や
その他の添加剤と共に所望の製剤形態に調製することが
できる。該製剤形態及びその投与経路としては、この種
の創傷治療剤が通常取りうる各種形態及び投与経路がい
ずれも採用できる。
【0012】一般には、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、
ローション剤、液剤、パップ剤、粉末剤、滴下剤、貼付
剤、エアゾール剤等の外用剤の形態で患部に局所投与さ
れる。上記各種製剤形態へ調製する場合の基剤成分や添
加剤としては、例えば、セレシン、パラフィン、流動パ
ラフィン、スクワレン等の炭化水素類、ミツロウ、カル
ナウバロウ、キャンデリラロウ、ラノリン、ホホバ油等
のロウ類、オリーブ油、ココナツ油、ヒマシ油、カカオ
油、ハードファット、豚油等の油脂類、中鎖脂肪酸トリ
グリセリド、モノステアリン酸グリセリン、脂肪酸ポリ
グリセリン等の脂肪酸グリセリンエステル類、ミリスチ
ン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、乳
酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モ
ノカプリル酸プロピレングリコール、アジピン酸ジイソ
プロピル、セバシン酸ジエチル等のエステル類、エタノ
ール、イソプロピルアルコール、セタノール、ステアリ
ルアルコール、セトステアリルアルコール、オクチルド
デカノール等のアルコール類、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸類、ジメチ
ルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサ
ン等のシリコン類、メチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース等のセルロース類、デンプン、ゼラチ
ン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマ
ー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム
等の水溶性高分子類、アラビヤゴム、トラガントゴム、
カラギーナン等の天然ゴム類、ポリブテン、ポリイソブ
テン、ポリイソブチレン等の合成ゴム類、グリセリン、
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−
ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシ
レングリコール等の多価アルコール類、トリエタノール
アミン、イソプロパノールアミン等のアミン類、タル
ク、ベントナイト、カオリン、二酸化チタン、塩化アル
ミニウム等の無機物質類、ジクロロジフルオロメタン、
トリクロロフルオロメタン、LPG,ジエチルエーテル
等の噴射剤、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイ
ン酸ポリオキシエチレンソルミタン、テトラオレイン酸
ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリ
オキシエチレンソルビット、自己乳化型モノステアリン
酸グリセリン、モノオレイン酸ポリグリセリン、モノス
テアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノラウリ
ン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンセチ
ルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
セチルエーテル、ピロオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリ
ウム、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコ
ール、N−ステアロイル−N−カルボキシメチル−N−
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン
等の界面活性剤、精製水等を使用できる。
【0013】また、必要に応じて、通常配合される、例
えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸
プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、塩化ベンザルコ
ニウム、ソルビン酸塩等の保存剤やジブチルヒドロキシ
トルエン、没食子酸プロピル等の酸化防止剤等の各種添
加剤を適宜添加することもできる。本発明の上皮形成促
進剤は、その有効成分であるアセトアセチン化合物の抗
菌作用を一層高めるために、更に殺菌消毒剤や抗生物質
を同時に配合することもできる。そうすれば、アセトア
セチン化合物の栄養補給効果と殺菌・抗菌効果が相俟っ
て、更に優れた効果を奏し得る。
【0014】殺菌消毒剤としては、グルコン酸クロルヘ
キシジン、スルファジアジン銀、ポピドンヨード、イソ
プロパノール、アクリノール等を例示することができ、
最も汎用され使用が容易な消毒薬としてはポピドンヨー
ドが好ましい。またヨード製剤のカデキソマーヨードも
好ましい。
【0015】抗生物質としては、クロラムフェニコー
ル、エリスロマイシン、塩酸テトラサイクリン、塩酸カ
ナマイシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸フラジオマイシ
ン、塩酸オキシテトラサイクリン、硫酸ポリミキシン、
硫酸コリスチン、バシトラシン、塩酸グラミシジン、硫
酸ストレプトマイシン、マレイン酸クロルフェニラミ
ン、硫酸ゲンタマイシン、クロラムフェニコール等を例
示することができ、クロラムフェニコール、エリスロマ
イシン、塩酸テトラサイクリン、塩酸カナマイシン、硫
酸ゲンタマイシン、硫酸フラジオマイシン等が好まし
い。かくして調製される本発明上皮形成促進剤における
アセトアセチン化合物等の有効成分濃度は、通常製剤当
たり、0.1〜80重量%であり、好ましくは、5〜5
0重量%である。そして、これを投与する患者の症状に
応じて、例えば一日に数回、適当量を患部に塗布するこ
とによって優れた創傷治癒効果を奏することができる。
【0016】上記したように本発明の上皮形成促進剤
は、褥瘡のほか、擦り傷、膿瘍、火傷、糖尿病性潰瘍等
の創傷治療のために例えば局所投与することにより、肉
芽組織形成の促進と細菌感染防止が図られ、結果として
創傷を治癒し患者の疼痛を緩和することができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため、本
発明の製剤例を実施例として挙げ、次いで薬理試験例を
挙げる。
【0018】〔実施例1〕軟膏剤の調製 有効成分であるモノアセトアセチンを下記の各成分に加
温しながら懸濁させ、均一な懸濁液として急冷して、本
発明軟膏剤を調製した。 モノアセトアセチン 40g 白色ワセリン 60g
【0019】〔実施例2〕ゲル剤の調製 カルボキシビニルポリマー(Hivis-Wako 103)1gを
適量(約50mL)の精製水に溶かして2w/v%ゲル溶
液とし、有効成分であるモノアセトアセチン及びトリエ
タノールアミンを除く下記の成分を加えて、攪拌・溶解
させた。この後、トリエタノールアミンを加えて、攪拌
しゲル化させて、本発明のゲル剤を調製した。 モノアセトアセチン 20g カルボキシビニルポリマー(Hivis-Wako 103) 1g 精製水 50g プロピレングリコール 4.98g イソプロピルアルコール 5g 濃グリセリン 20g パラオキシ安息香酸メチル 0.01g パラオキシ安息香酸プロピル 0.01g
【0020】〔実施例3〕クリーム剤の調製 下記の各成分(クロタミトン、モノステアリン酸グリセ
リド、セトステアリルアルコール、オクチルドデカノー
ル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モ
ノオレイン酸ソルビタン、パラオキシ安息香酸ブチル)
を加温して溶解させ、これに有効成分であるモノアセト
アセチン及びパラオキシ安息香酸メチル、濃グリセリ
ン、精製水を加温して溶解させたものを加え、高速攪拌
により、乳化、冷却して、本発明クリーム剤を調製し
た。 モノアセトアセチン 5g クロタミトン 5g モノステアリン酸グリセリド 20g セトステアリルアスコール 2g オクチルドデカノ−ル 10g モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 3.3g モノオレイン酸ソルビタン 1.2g パラオキシ安息香酸ブチル 0.01g パラオキシ安息香酸メチル 0.02g 濃グリセリン 5g 精製水 46.47g
【0021】〔実施例4〕パップ剤の調製 有効成分であるモノアセトアセチンを下記の各成分に溶
解、分散して均一なペーストを調製し、これを50cm
×70cmの基布(木綿布)の上に延展し、ポリエチレ
ンフィルムを被せ、10cm×14cmにカットして本
発明のパップ剤を調製した。 モノアセトアセチン 10g カルボキシメチルセルロース 5g ポリアクリル酸ナトリウム 5g プロピレングリコール 5g クロタミトン 5g 1mol/L塩酸 15g 水酸化アルミニウム 0.5g 1mol/L乳酸 5g 精製水 49g
【0022】〔薬理試験例〕 実験1 250〜300gのSD系雄性ラット6匹を用いた。まず、ラッ
トの腹腔内にネンブタールを投与して麻酔を行い、背部
を剃毛し、アルコール消毒を行った。次いで、ラット背
部の皮膚全層にメスを用いて縦横にそれぞれ5mmづつの
十字切開を行い、生じた4ヶの皮弁を皮下層から遊離し
て、互いに癒着しないような手術創を作成した。この手
術創は2cm間隔で3ヶ所作成して、第一匹目のラット
の背部手術創に対しては、頭側の手術創から順に実施例
1で製造したモノアセトアセチン軟膏処置、モノアセト
アセチン軟膏の基剤軟膏(実施例1のモノアセトアセチ
ンをグリセリンに置き換えた処方)処置、無処置、第2
匹目のラットには、頭側より、無処置、モノアセトアセ
チン軟膏処理、基剤軟膏処置、第3匹目のラットには、
モノアセトアセチン軟膏の基剤軟膏処置、無処置、モノ
アセトアセチン軟膏処置を施し、残る3匹に対しても同
様の順で試験物質を背部手術創に割り当てた。これらの
処置は朝、夕の一日2回行われ、10日間、観察を行い
創傷の治癒状況を観察した。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】実験2 250〜300gのSD系雄性ラット6匹を用いた。まず、実験
1と同様に麻酔と剃毛及び消毒を行った。次いでラット
背部正中の皮膚をつまみ上げて、パンチで約5mmの小孔
を2カ所に作成した。この小孔の間隔は2cmとした。
第1匹目のラットのパンチ創に対しては、頭側のパンチ
創から順に実施例1で製造したモノアセトアセチン軟膏
処置、無処置、第2匹目のラットには、頭側より、無処
置、モノアセトアセチン軟膏処置を施し、残る4匹に対
しても同様の順でモノアセトアセチン軟膏処置を施し
た。これらの処置は実験1と同様に朝、夕の一日2回行
われ、10日間、観察を行い創傷の治癒状況を観察し
た。結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】結果 実験1のモノアセトアセチン軟膏処置では、基剤軟膏処
置に比して6例中2例で、無処置に比して6例中4例で
創傷治癒傾向がみられ、実験2のモノアセトアセチン軟
膏処置では無処置に比して6例中3例で創傷治癒傾向が
認められた。
【0027】実験3 1.材料と方法 使用細菌株: Escherichia coli K12株(グラム陰性菌) Staphylococcus aureus 209P株(グラム陽性菌) Staphylococcus aureus MRSA(臨床分離株)(グラム
陽性菌) 3株とも大阪市立大学医学部細菌学教室からの分与を受
けた。 (2)実験方法: a.寒天平板希釈法 1)ミューラーヒントンブロス(MHB)20mlに植菌し、3
5℃、130rpmで一晩培養する。 2)OD(600nm)=1.0に調整した後、1/1000倍希釈す
る。およそ106cfu/mlの菌濃度になる。 3)使用薬剤濃度の寒天平板を次のようにして作成す
る。2倍濃度のMHagar 5mlを50℃に保温しておき、2倍
濃度の薬剤を5ml加え平板を作成する。10ml/シャーレで
よい。シャーレの裏に区画をつけ、番号を入れておく。 4)寒天平板の各区画に2)で調整した菌液(106cfu/m
l)を10から50ml播く。 5)37℃で18から24時間培養後、菌の発育を見る。肉眼
で観察し、菌が発育している場合は、+に、発育が認め
られない場合は、−(発育阻止)と判定する。 注;+の場合は菌液を播いたところに菌のコロニーが多
数観察されるが、−の場合は菌液を播いたところにコロ
ニーが観察されないで、菌液を播いていないところと区
別がつかない状態になる。発育を阻止している薬剤の最
低濃度を最小発育阻止濃度(MIC; minimuminhibitory c
oncentration)とする。 「日本化学療法学会:最小発育阻止濃度(MIC)測定法
改正について」日本化学療法学会雑誌、29:76−79(19
81)に準拠して行なった。
【0028】b.液体培地希釈法 1)ミューラーヒントンブロス(MHB)20mlに植菌し、3
5℃、130rpmで一晩培養する。 2)OD(600nm)=1.0に調整した後、1/1000倍希釈す
る。およそ106cfu/mlの菌濃度になる。 3)使用薬剤濃度の2倍濃度希釈液をMHBで5ml作成す
る。 4)必要本数の試験管を用意し、1からnまで番号をつけ
る。2番からn番目までの試験管にMHBを2.5ml加える。 5)1番目と2番目の試験管に3)の2倍濃度溶液を2.5ml
ずつ加える。2番目をよく混和し、2.5mlを取り3番目に
移す。順次n番目まで移す。 6)全ての試験管に調整培養液(106cfu/ml)を2.5mlず
つ加え、一晩(18時間から24時間、37℃)培養する。 7)培養後肉眼観察し、発育の有無を培養液のにごりで
判定する。培養液がにごっている場合は、+に、にごり
が認められない場合は、−(発育阻止)と判定する。発
育を阻止している薬剤の最低濃度を最小発育阻止濃度
(MIC; minimum inhibitory concentration)とする。
【0029】〔薬剤の静菌作用と殺菌作用〕−と判定し
た薬剤濃度の培養液中では、混濁は、肉眼では認められ
ないが、発育を阻止された状態で細菌が生存しているか
もしれない(この時、薬剤は殺菌作用ではなく、静菌作
用を持つことになる)。そこで、−と判定したときの薬
剤の作用が、静菌的又は殺菌的のどちらの作用であるか
を、次のようにして調べた。−と判定した薬剤濃度の培
養液を遠心機(2000回転、10分)にかけ、菌を沈殿させ
て薬剤を含む培養液を除き、新たに薬剤を含まない培養
液(ミューラーヒントンブロス)を5ml加え、一晩(18
時間から24時間、37℃)培養する。この培養で菌の発育
(にごり)が認められる場合は、発育阻止は、薬剤の静
菌作用によるものであり、発育(にごり)が認められな
い場合は、発育阻止は、薬剤の殺菌作用によるものであ
る。注;cfu/ml(colony formation unit/ml)は、1m
l中のコロニーをつくる細菌の数(生細菌数)になる。
予備実験で600nmの吸光度が1の時、およそ細菌数は、10
9cfu/mlであることを確認している。
【0030】液体培地希釈法による結果を表3に、寒天
平板希釈法による結果を表4に示す。表3、4より、モ
ノアセトアセチンに関して、液体培地希釈法による最
小発育阻止濃度は供試した3株全てとも5%でみられ
た。一方、寒天平板希釈法では、E.coli K12株、S.aur
eus 209P株は2.5%、S.aureus MRSA株は5%であっ
た。モノアセトアセチンの効果が殺菌あるいは静菌作
用のいずれかを判定するため、上記の培養液から集菌
後、新たにミューラーヒントンII液体培地で18〜24時間
培養したところ、3株全ての発育増殖が認められた。以
上のことから、モノアセトアセチンはケトン体ではない
が、合成エネルギー源の特徴だけではなく、ケトン体の
持つ抗菌作用を有し、グラム陰性菌、グラム陽性菌に静
菌的に働くことが明らかになった。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】 注: MAA; モノアセトアセチン、 %はいずれも重
量% *は、培養後凝集塊が出ていた。そして、集菌後18時
間再培養した結果、増殖していた。
【0033】
【発明の効果】本発明の上皮形成促進剤は、栄養補給
作用に基づく肉芽組織形成の促進、抗菌作用に基づく
細菌感染防止効果を有し、その結果として患者の疼痛を
緩和し、ひいては上皮化による創傷の治療を行うことが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C206 AA01 AA02 DB03 MA01 MA02 MA03 MA04 MA33 MA36 MA37 MA48 MA52 MA63 MA83 ZA89 ZB35

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 栄養補給作用と抗菌作用を併せ有する
    式 【化1】 (式中、R、R及びRは同一又は異なって、水素
    原子又はCH−CO−CH−CO−などのエステル
    残基を示し、R、R及びRの少なくとも一つはエ
    ステル残基を示す)で表わされるアセトアセチン化合物
    を含有することを特徴とする創傷の上皮形成促進剤。
  2. 【請求項2】 アセトアセチン化合物がモノアセトア
    セチン、ジアセトアセチン及びトリアセトアセチンから
    選ばれる少なくとも一種以上である請求項1記載の上皮
    形成促進剤。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のアセトアセチン化合物
    を有効成分として含有し、肉芽組織形成能と細菌感染防
    止能を有する創傷の上皮形成促進剤。
  4. 【請求項4】 創傷が褥瘡、擦り傷、膿瘍、火傷又は
    潰瘍である請求項1〜3のいずれかに記載の上皮形成促
    進剤。
  5. 【請求項5】 剤型が外用剤である請求項1〜4のい
    ずれかに記載の上皮形成促進剤。
  6. 【請求項6】 外用剤が軟膏、クリーム剤、ゲル剤、
    ローション剤、液剤、パップ剤、粉末剤、滴下剤、貼付
    剤又はエアゾール剤である請求項5記載の上皮形成促進
    剤。
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