JP2001133459A - 担体の被覆方法 - Google Patents

担体の被覆方法

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JP2001133459A JP31593099A JP31593099A JP2001133459A JP 2001133459 A JP2001133459 A JP 2001133459A JP 31593099 A JP31593099 A JP 31593099A JP 31593099 A JP31593099 A JP 31593099A JP 2001133459 A JP2001133459 A JP 2001133459A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】抗体が担体に非特異的に結合しにくい担体の被
覆方法を提供すること。 【解決手段】本発明は、金属イオンを有するタンパク質
を含有する溶液に、例えばエチレンジアミン四酢酸のよ
うなキレート剤を添加し、次いで、この溶液中からキレ
ート剤を除去することにより、金属イオンを除去し、そ
の後、このタンパク質で、リン酸カルシウム、特にハイ
ドロキシアパタイトで構成された担体の表面を被覆する
ことを特徴とする。例えば、キレート剤の除去は、ゲル
ろ過クロマトグラフィーにより行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、担体の被覆方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】リン酸カルシウムで構成された担体に抗
原を吸着させたものに、かかる抗原に対する特異抗体
(以下、「特異抗体」と略す。)を反応させた場合、特
異抗体が抗原と抗原抗体反応を起こし、これにより担体
は凝集反応を起こすことが知られている。
【0003】このため、担体に抗原を吸着させたもの
は、血液などに特異抗体が存在するか否かを検出する試
薬として利用されている。
【0004】この場合、特異抗体を検出するためには、
抗原を吸着させた担体に対して特異抗体以外の抗体が、
非特異的に結合してはならない。すなわち、吸着させた
抗原に対する特異抗体のみが、担体と結合することが特
異抗体検出の条件である。
【0005】そこで、本発明者らは、これまで担体に対
して特異抗体のみを結合させる機構を検討してきた。
【0006】その結果、担体に抗原を吸着させ、さらに
抗原が吸着していない部分を、抗体との相互作用が低い
タンパク質で被覆すれば、担体に対し特異抗体以外の抗
体が非特異的に結合するのを防止できることを見出し
た。
【0007】しかしながら、この方法では、特異抗体を
高い感度で検出するには、未だ不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、抗体
が担体に非特異的に結合しにくい担体の被覆方法を提供
することにある。
【0009】
【問題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(6)の本発明により達成される。
【0010】(1) 金属イオンを有するタンパク質
を、少なくとも表面がリン酸カルシウムで構成された担
体に吸着させる担体の被覆方法であって、前記タンパク
質を含有する溶液にキレート剤を添加し、次いで、該溶
液中から前記キレート剤を除去することにより、前記金
属イオンを除去し、その後、このタンパク質で前記担体
の表面を被覆することを特徴とする担体の被覆方法。こ
れにより、抗体が非特異的に結合しにくい担体を提供す
ることができる。
【0011】(2) 前記キレート剤の除去は、ゲルろ
過クロマトグラフィーにより行う上記(1)に記載の担
体の被覆方法。これにより、タンパク質から金属イオン
を好適に除去できる。
【0012】(3) 前記キレート剤は、エチレンジア
ミン四酢酸である上記(1)または(2)に記載の担体
の被覆方法。エチレンジアミン四酢酸は金属イオンと好
適に錯塩を形成することができる。このため、タンパク
質から金属イオンを好適に除去できる。
【0013】(4) 前記タンパク質は、金属酵素であ
る上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の担体の被
覆方法。これにより、担体を好適に被覆できる。
【0014】(5) 前記タンパク質は、カゼインであ
る上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の担体の被
覆方法。カゼインは、リン酸カルシウムで構成された担
体を被覆するタンパク質として最適である。
【0015】(6) 前記リン酸カルシウムは、ハイド
ロキシアパタイトである上記(1)ないし(5)のいず
れかに記載の担体の被覆方法。
【0016】ハイドロキシアパタイトは、担体として最
適である。
【0017】
【発明の実施の形態】上記の担体に対して特異抗体のみ
を結合させる機構では、特異抗体のみを高い感度で検出
するには未だ不十分であった。これは、抗原が吸着して
いない担体の表面を抗体との相互作用が低いタンパク質
で、完全に被覆できないことに起因するものだと考えら
れる。
【0018】ところで、上記のタンパク質の中には、そ
の分子内に金属イオンを有するものがある。
【0019】また、担体は静電的な結合により、タンパ
ク質をその表面に吸着する。したがって、このようなタ
ンパク質が分子内に金属イオンを有している場合、金属
イオンが担体とタンパク質との静電的な結合に作用し、
担体とタンパク質との間で強い結合能が得られないもの
と考えられる。
【0020】このことが原因となり、上述の如く担体の
表面をタンパク質で、完全に被覆できないものと推察さ
れる。
【0021】そこで、本発明者は、キレート剤で金属イ
オンを有するタンパク質から金属イオンを除去すれば、
このタンパク質でリン酸カルシウムで構成された担体の
表面を完全に被覆できるものと考えた。本発明は、本発
明者のかかる知見に基づいてなされたものである。
【0022】以下、本発明の担体の被覆方法を添付図面
に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0023】図1は、担体の被覆方法の工程を示す図で
ある。本発明の担体の被覆方法は、金属イオンを有する
タンパク質を含有する溶液にキレート剤を添加し、次い
で、この溶液中からキレート剤を除去することにより、
金属イオンを除去し、その後、このタンパク質でリン酸
カルシウムで構成された担体の表面を被覆することを特
徴とする。
【0024】(第一工程)まず、第一段階は、金属イオ
ンを有するタンパク質を含有する溶液にキレート剤を添
加する工程である。
【0025】タンパク質溶液にキレート剤を添加するこ
とにより、キレート剤はタンパク質が有する金属イオン
と錯塩を形成し、このタンパク質から金属イオンを除去
することができる。
【0026】ここで、本発明におけるタンパク質として
は、抗体との相互作用が低いタンパク質が好ましく用い
られ、例えば、カゼイン、アルブミン(例えばウシ血清
由来)、ゼラチン等が挙げられる。
【0027】このようなタンパク質の中でも、金属酵素
が好ましく用いられる。金属酵素は、その分子内に金属
イオンを有しているため、金属イオンとの親和性が高
い。そして、リン酸カルシウムは、金属イオンであるカ
ルシウムイオンおよびリン酸イオンよりなる。このた
め、リン酸カルシウムで構成された担体は、金属酵素を
強く吸着する。したがって、金属酵素はリン酸カルシウ
ムで構成された担体の表面を被覆するのに好適である。
【0028】このような金属酵素としては、例えば、カ
ゼイン、トランスフェリン、フェレドキシン等が挙げら
れる。
【0029】また、タンパク質としては、タンパク質の
一部がリン酸化されているリン酸化タンパク質であるこ
とが好ましい。上述の如く担体(リン酸カルシウム)は
静電的な結合によりタンパク質をその表面に吸着する。
特に、リン酸化タンパク質のリン酸基は担体(リン酸カ
ルシウム)の表面のカルシウムイオンと強く結合すると
考えられる。このため、担体(リン酸カルシウム)はこ
のようなリン酸化タンパク質を比較的強く吸着し、担体
の表面は好適に被覆されるようになる。
【0030】このようなリン酸化タンパク質としては、
例えば、カゼイン、ビテリン、ホスビチン等が挙げられ
る。
【0031】以上述べた事項を総合して考慮すると、タ
ンパク質としてはカゼインが最適である。カゼインは金
属イオンとしてカルシウムイオンを有する金属酵素であ
り、カルシウムイオンとの親和性が極めて高い。さら
に、カゼインは哺乳類の乳に含まれるタンパク質であ
り、抗体との相互作用が極めて低い。すなわち、カゼイ
ンは、担体(リン酸カルシウム)への吸着能が極めて高
く、かつ抗体との相互作用が低いので、担体の表面を被
覆するタンパク質として最適である。
【0032】金属イオンとしては、上記のタンパク質が
有する金属イオン、例えば、カルシウムイオン(C
2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、ストロンチウ
ムイオン(Sr2+)等が挙げられる。
【0033】その中でも、除去すべき金属イオンとして
は、カルシウムイオンが好ましい。カルシウムイオンを
有するタンパク質は、カルシウムイオンとの親和性が極
めて高く、その分子内にカルシウムイオンを強く結合し
ている。そこで、このタンパク質からカルシウムイオン
を除去すれば、タンパク質はその分子内でカルシウムイ
オンと結合することがなくなり、担体(リン酸カルシウ
ム)の表面に存在するカルシウムイオンと強く結合でき
るようになる。このため、担体(リン酸カルシウム)
は、上記のタンパク質をより強く吸着することが可能と
なり、担体の表面は好適に被覆される。
【0034】ここでキレート剤とは、金属イオンに配位
してキレート化合物を生成する多座配位子をいい、例え
ば、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコール四酢
酸、ジメチルグリオキシム、ジチゾン、アセチルアセト
ン、グリシン等が挙げられる。
【0035】この中でも、キレート剤としては、エチレ
ンジアミン四酢酸(以下「EDTA」と略す。)が最適
である。EDTAは、水への高い溶解度と金属イオンと
の高い結合能を有し、特にカルシウムイオン等の2価金
属イオンと選択的に錯塩の形成が可能である。このた
め、EDTAは、上記のタンパク質からカルシウムイオ
ンを効率的に除去することができる。
【0036】タンパク質溶液のタンパク質濃度は、0.
1〜1000mg/mLであることが好ましく、特に1
〜50mg/mLであることがより好ましい。
【0037】タンパク質濃度がこの範囲の下限値未満で
あると、添加量に見合う効果が期待できない場合があ
る。一方、この範囲の上限値を超えると、未反応タンパ
ク質が残る場合がある。
【0038】一方、キレート剤は、タンパク質溶液中で
の最終濃度が1〜1000mMとなるように添加するこ
とが好ましく、特に、1〜10mMとなるように添加す
ることがより好ましい。
【0039】タンパク質溶液中でのキレート剤濃度が低
すぎると、キレート剤が十分に金属イオンを除去できな
い場合がある。一方、キレート剤濃度を上限値を超えて
高くしても、添加量に見合う効果を期待できない場合が
ある。
【0040】なお、キレート剤は、固体(粉体、粒体
等)の状態でタンパク質溶液に添加してもよいし、キレ
ート剤溶液の状態でタンパク質溶液に添加してもよい。
【0041】(第二工程)次に、第二段階は上記のタン
パク質溶液中からキレート剤を除去することにより、金
属イオンを除去する工程である。
【0042】タンパク質溶液中からキレート剤を除去す
れば、タンパク質溶液中から金属イオンが除去される。
これに伴ってタンパク質中の金属イオンも除去される。
このため、担体(リン酸カルシウム)はタンパク質を強
く吸着できるようになる。
【0043】ここで、本発明における「金属イオンの除
去」とは、タンパク質溶液中の金属イオンを、タンパク
質溶液中から完全に消失させることをいうのではなく、
タンパク質溶液中の金属イオンの大部分を除くことを意
味する。このような観点から、本発明における「金属イ
オンの除去」とは、タンパク質溶液中の金属イオンを四
分の一以下程度にまで減少させることを目安とすること
ができる。
【0044】なお、キレート剤を分離する方法として
は、ゲルろ過クロマトグラフィー、限外ろ過、透析等が
挙げられる。
【0045】この中でも、キレート剤を分離する方法と
しては、ゲルろ過クロマトグラフィーが最適である。ゲ
ルろ過クロマトグラフィーによるキレート剤の分離は、
タンパク質溶液中からキレート剤を効率的に除去するこ
とが可能であり、さらに操作が簡便であるという利点が
ある。
【0046】ゲルろ過クロマトグラフィーに用いるゲル
はタンパク質およびキレート剤の種類、分子量等により
適宜選択可能である。好適には、デキストランが用いら
れる。
【0047】また、タンパク質溶液のボリューム等によ
り、限外ろ過、透析等が適宜選択可能である。
【0048】(第三工程)第三段階は、リン酸カルシウ
ムで構成された担体の表面をタンパク質で被覆する工程
である。
【0049】この工程では、担体(リン酸カルシウム)
はタンパク質を強く吸着するので、タンパク質と担体と
を接触させるだけで、容易にタンパク質で担体の表面を
被覆することができる。したがって、例えば、タンパク
質溶液中に担体を添加することにより、担体の表面をタ
ンパク質で被覆することができる。
【0050】本発明に用いられる担体(リン酸カルシウ
ム)は、球状であることが好ましい。球状とすることに
より、被覆の均一性が向上するという利点が得られる。
【0051】担体が球状である場合、かかる担体の平均
粒径は、2〜100μm程度であることが好ましく、5
〜80μm程度であることがより好ましい。粒径が小さ
すぎると、軽量になるため効果が期待できない場合があ
る(例えば、本発明を利用して特異抗体のみを担体に結
合させる機構を実施し、凝集の有無を検査しようとする
場合、担体の粒径が小さすぎると、担体の凝集が起きに
くくなる場合がある。)。一方、粒径が大きすぎると、
担体どうしの相互作用が強くなる場合がある(本発明を
実施する前に、すでに担体が凝集してしまっている場合
がある。)。
【0052】また、本発明に用いられる担体(リン酸カ
ルシウム)は、二次粒子であることが好ましい。これに
より、均質な担体が得られ、担体をタンパク質で均一に
被覆することが容易となる。
【0053】さらに、本発明に用いられる担体(リン酸
カルシウム)には、多孔質粒子または緻密質粒子を適宜
選択可能である。
【0054】なお、担体を構成するリン酸カルシウム
(リン酸系化合物)としては、例えば、Ca10(P
46(OH)2、Ca10(PO462、Ca10(PO
4612、Ca3(PO42、Ca227およびCa4
(PO42等が挙げられる。また、これらのリン酸カル
シウムの中でもCa/Pモル比が1.0〜2.0のもの
が好ましく、1.4〜1.8のものがより好ましい。
【0055】このようなリン酸カルシウムのうち、ハイ
ドロキシアパタイト(Ca10(PO 46(OH)2)が
最適である。ハイドロキシアパタイトは、タンパク質の
吸着能に優れる。この場合、ハイドロキシアパタイトの
合成の際に残存する物質(原料等)または合成の過程で
生じる二次反応生成物等が含まれていてもよい。
【0056】なお、リン酸カルシウム(担体)の球状二
次粒子は、例えば下記の方法により製造することができ
る。まず、公知の湿式法により得られたリン酸カルシウ
ムスラリーを直接噴霧乾燥することにより造粒し、球状
の二次粒子とすることができる。あるいは、リン酸カル
シウムスラリーに粘度調整剤、熱分解性有機化合物粒子
または繊維等の添加物を加え噴霧乾燥することにより球
状の二次粒子を造粒することができる。
【0057】このようなリン酸カルシウムは、400〜
1300℃程度で焼成されたものであることが好まし
く、650〜1050℃で焼成されたものであることが
より好ましい。
【0058】かかる温度範囲で焼成されたリン酸カルシ
ウムは、熱分解することなく、しかもタンパク質に対し
優れた吸着能を有する。
【0059】なお、このような担体は、ナイロン等の樹
脂(ポリマー)で構成されたビーズ(粒体)の表面を、
リン酸カルシウムで被覆した複合粒子であってもよい。
【0060】以上の工程を行うことにより、タンパク質
で担体(リン酸カルシウム)の表面を効率良く被覆でき
る。
【0061】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により更
に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0062】(実施例) [1] まず、4mg/mLのカゼイン水溶液(雪印乳
業(株)「ブロックエース」の濃度を調整したもの)
2.5mLに、カゼイン水溶液中でのEDTAの最終濃
度が10mMとなるように、EDTA7.3mgを添加
した。その後、かかる液を1分間攪拌した後、10分間
静置した。
【0063】[2] 次に、上記[1]で得たカゼイン
水溶液をゲルろ過クロマトグラフィー(ファルマシア社
製「Sephadex G25M」)にかけ、流速1m
L/minで溶出し、カゼインを含む画分を分取した。
【0064】ここで、ゲルろ過クロマトグラフィーの前
後において、カゼイン水溶液中の金属イオン濃度(カル
シウムイオンは423nmの吸光度、マグネシウムイオ
ンは285nmの吸光度、ストロンチウムイオンは46
1nmの吸光度)を、原子吸光分析器により測定した。
その結果を下記表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】表1より明らかなように、カゼイン水溶液
をEDTAで処理することにより、カゼイン水溶液中の
金属イオン濃度、特に目的とするカルシウムイオン濃度
が低下した。このことは、カゼインのカルシウムイオン
が除去されていることを示すものである。
【0067】[3] 次に、上記の[2]で得られたカ
ゼイン水溶液1mLに、ハイドロキシアパタイトビーズ
10mgを添加した。ここで使用したハイドロキシアパ
タイトビーズは700℃で焼成され、平均粒径10μ
m、Ca/Pモル比=1.67のものである。その後、
かかる混合物を1分間の攪拌の後、60分間静置した。
【0068】以上の操作により、カゼインで被覆された
ハイドロキシアパタイトビーズを得た。
【0069】(比較例1)上記の実施例における[1]
の工程および[2]の工程を行わず、[3]の工程を実
施した。つまり、EDTAで処理していないカゼイン水
溶液にハイドロキシアパタイトビーズを直接添加するこ
とにより、カゼインで被覆されたハイドロキシアパタイ
トビーズを作成した。
【0070】(比較例2)上記の実施例における[2]
の工程を行わなかった以外は、つまり、カゼイン水溶液
にEDTAを添加した後、かかるカゼイン水溶液に対し
てゲルろ過クロマトグラフィーを実施しなかった以外
は、上記の実施例と同様にして、カゼインで被覆された
ハイドロキシアパタイトビーズを作成した。
【0071】(評価) [ハイドロキシアパタイトビーズへのカゼインの吸着
量]上記の[3]の工程において、ハイドロキシアパタ
イトビーズへのカゼインの吸着量を以下の方法で調べ
た。
【0072】実施例および比較例1において、[3]の
工程を実施する前のカゼイン水溶液中のカゼイン濃度お
よび[3]の工程を実施した後のカゼイン水溶液上清中
のカゼイン濃度を測定した。なお、カゼイン濃度の確認
には、280nmの吸光度を測定した。その結果を表2
に示す。
【0073】
【表2】
【0074】実施例では、比較例1に比較して、上清中
のカゼイン濃度がより低下していることが窺える。これ
は、上清中のカゼイン濃度が低下した分だけ、カゼイン
がハイドロキシアパタイトビーズに吸着したことにな
る。つまり、比較例1に比し、実施例においてはより多
くのカゼインがハイドロキシアパタイトビーズに吸着
し、ハイドロキシアパタイトビーズをより効率良くカゼ
インで被覆することができたことを示す結果が得られ
た。
【0075】[カゼインで被覆されたハイドロキシアパ
タイトビーズへのヒト免疫グロブリンGの結合]実施例
で得られたカゼインで被覆されたハイドロキシアパタイ
トビーズに、ヒト免疫グロブリンG(以下、「ヒトIg
G」と略す。)が結合するか否かを検討した。
【0076】まず、上記の[3]の工程で得られたカゼ
インで被覆されたハイドロキシアパタイトビーズ1mg
に0、2.5、5.0、10.0μg/mLの各濃度の
ヒトIgG水溶液を500μL添加した。
【0077】かかる混合物を1分間攪拌した後、30分
間静置した。その後、1200rpm、5分間遠心分離
し、かかる液からハイドロキシアパタイトビーズを回収
した。
【0078】次に、これらのハイドロキシアパタイトビ
ーズに結合したヒトIgG量を、以下の方法にて測定し
た。
【0079】まず、回収したハイドロキシアパタイトビ
ーズに0.0005mg/mLのHorseradish Peroxida
se(HRP)標識抗ヒトIgG抗体水溶液500μLを
添加し、かかる混合物を1分間攪拌した後、30分間静
置した。
【0080】次に、かかる液にHRPの基質(発色剤)
として3,3',5,5'-Tetramethylbenzidine(TMB;Mo
ss社製「TMBE−500」)を500μL添加し
た。
【0081】かかる液を1分間攪拌した後、1N HC
l(塩酸)にて反応を停止させ、反応溶液上清の450
nmの吸光度を測定した。この結果を図2に示す。
【0082】また、比較例1および比較例2で得られた
カゼインで被覆されたハイドロキシアパタイトビーズに
ついても同様の実験を行った。
【0083】その結果、比較例1では、添加した2.
5、5.0、10.0μg/mLのヒトIgG水溶液の
各濃度における吸光度は、実施例における吸光度のそれ
ぞれ4倍程度であった。
【0084】比較例2では、添加した2.5、5.0、
10.0μg/mLのヒトIgG水溶液の各濃度におけ
る吸光度は、実施例における吸光度のそれぞれ10倍程
度であった。
【0085】以上の結果から判るように、添加したヒト
IgG水溶液のいずれの濃度においても、本実施例で得
られたカゼインで被覆されたハイドロキシアパタイトビ
ーズの吸光度は、各比較例のそれに比し低いものであっ
た。このことは、実施例で得られたカゼインで被覆され
たハイドロキシアパタイトビーズへのヒトIgGの吸着
量が少なかったことを示している。つまり、カルシウム
イオンを除去したカゼインで被覆されたハイドロキシア
パタイトビーズへは、ヒトIgGの結合が抑制されてい
ることが判った。
【0086】一方、これに対し、比較例1および比較例
2では、明らかに、より多くのヒトIgGが、カゼイン
で被覆されたハイドロキシアパタイトビーズに結合して
いることを示唆する結果であった。
【0087】[カゼインで被覆されたハイドロキシアパ
タイトビーズへのヒト免疫グロブリンMの結合]実施例
および比較例1、2で得られたカゼインで被覆されたハ
イドロキシアパタイトビーズに、ヒト免疫グロブリンM
(以下、「ヒトIgM」と略す。)が結合するか否かを
調べた。
【0088】この実験では、ヒトIgGおよびHRP標
識抗ヒトIgG抗体の代わりに、ヒトIgMおよびHR
P標識抗ヒトIgM抗体を用いた以外は、上記のヒトI
gG結合実験で行った操作に従い実施した。
【0089】その結果、ヒトIgMの場合も前記のヒト
IgGの場合と同様の結果が得られた。
【0090】以上の結果をまとめると、カゼインが有す
るカルシウムイオンをEDTAで除去すれば、ハイドロ
キシアパタイトビーズはより多くのカゼインで被覆さ
れ、また、このように作成されたハイドロキシアパタイ
トビーズへは、抗体が非特異的に結合しにくいことが明
らかとなった。これは、カゼインでハイドロキシアパタ
イトビーズをほぼ完全に被覆できたことによるものと推
察された。
【0091】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、抗
体が非特異的に結合しにくい担体(リン酸カルシウム)
を作成することが可能である。
【0092】したがって、抗原を担体(リン酸カルシウ
ム)へ吸着させ、本発明を利用して担体の抗原が吸着し
ていない部分を、抗体との相互作用が低いタンパク質で
被覆すれば、目的とする特異抗体のみを結合させる機構
が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属イオンを有するタンパク質によるリン酸カ
ルシウムで構成された担体の被覆方法の工程を示す図で
ある。
【図2】実施例で作成されたカゼインで被覆されたハイ
ドロキシアパタイトビーズへのヒトIgGの結合量を示
す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属イオンを有するタンパク質を、少な
    くとも表面がリン酸カルシウムで構成された担体に吸着
    させる担体の被覆方法であって、 前記タンパク質を含有する溶液にキレート剤を添加し、
    次いで、該溶液中から前記キレート剤を除去することに
    より、前記金属イオンを除去し、その後、このタンパク
    質で前記担体の表面を被覆することを特徴とする担体の
    被覆方法。
  2. 【請求項2】 前記キレート剤の除去は、ゲルろ過クロ
    マトグラフィーにより行う請求項1に記載の担体の被覆
    方法。
  3. 【請求項3】 前記キレート剤は、エチレンジアミン四
    酢酸である請求項1または2に記載の担体の被覆方法。
  4. 【請求項4】 前記タンパク質は、金属酵素である請求
    項1ないし3のいずれかに記載の担体の被覆方法。
  5. 【請求項5】 前記タンパク質は、カゼインである請求
    項1ないし4のいずれかに記載の担体の被覆方法。
  6. 【請求項6】 前記リン酸カルシウムは、ハイドロキシ
    アパタイトである請求項1ないし5のいずれかに記載の
    担体の被覆方法。
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