JP2001133423A - 電子分光装置および分析方法 - Google Patents

電子分光装置および分析方法

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JP2001133423A JP31668699A JP31668699A JP2001133423A JP 2001133423 A JP2001133423 A JP 2001133423A JP 31668699 A JP31668699 A JP 31668699A JP 31668699 A JP31668699 A JP 31668699A JP 2001133423 A JP2001133423 A JP 2001133423A
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Shigeki Yoshida
茂樹 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的に分離された近接する複数の領域の境
界近傍を分析する際の、分析領域の限定度の信頼性を向
上せしめ、より高精度な測定を可能にする電子分光装置
を提供する。 【解決手段】 電離放射線をプローブとして試料に照射
し、試料から放出される電子の量を運動エネルギー別に
検出する電子分光装置において、試料にバイアスを印加
する手段3と、バイアス印加したことによって移動する
ピークを検出する手段と、その移動量をもとにバイアス
を調整する手段12とを具備したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物質表面の元素分
析やその状態などを分析する電子分光装置に係り、特に
電気的に分離された近接する複数の領域の境界近傍を高
精度に測定できるように改良された電子分光装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】表面分析は通常試料から放出される電
子,X線等のエネルギーや強度分布を調べることによ
り、その試料に含まれる元素やその化学結合状態、ある
いは試料の電子構造を与えるものである。試料表面から
電子やイオン等を放出されるための励起線には、電子
線,X線,イオンといった電離放射線を用いるが、例え
ば軟X線を照射して表面から放出される光電子を観測す
る場合はX線光電子分光(XPS又はESCA)法と呼
ばれ、試料の極表面の元素分析やその化学結合状態を与
える手法としてよく知られている。この他にも真空紫外
光を用いる紫外線光電子分光(UPS)法、集束電子線
を用いるオージェ電子分光(AES)法もよく知られて
いる。
【0003】近年、微小部の分析に対するニーズも一層
高まってきており、これまで微小部分析が不得手であっ
たX線光電子分光(XPS)や紫外線光電子分光(UP
S)においても数十ミクロン程度の分析領域が実用とな
ってきている。電子分光装置、とりわけXPS,UPS
などの電子分光装置における微小部分析手段は、分光
結晶による集光方式(例えば、Surf.and In
terface Anal.6,215(198
4))、制限視野方式(例えば、Surf.andI
nterface Anal.5,217(198
3))、のような手段で行われるのが一般的である。
【0004】の手段は、アノードで発生したX線を分
光結晶により単色化すると同時に、試料表面上に焦点照
射することで微小部分析を実現する方法である。現在で
は、照射領域は<100μmサイズ程度まで実現されて
おり、X線の照射された局所領域のスペクトル解析が可
能である。ただし、通常このように数字で表されるビー
ム径は定義によって示されるものであり、実際はビーム
の“ぼけ”によって、照射領域は数字以上に広いものと
なる。
【0005】の手段は、アナライザーのインプットレ
ンズに制限視野アパーチャーを設けることにより、局所
領域から発生した光電子のみを選択的に検出する。これ
により、局所領域のスペクトル解析が可能となる。この
方法はに比べると、はるかに分析領域の限定能力が高
く、現在微小部分析において最も一般的に使用されてい
る手段である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】微小部の分析、特に、
電気的に分離された近接する複数領域の境界近傍を分析
することを考える。例えば、絶縁物と導電物の境界や、
電気的に分離された近接する導電領域の境界が挙げられ
る。これらの境界近傍を信頼性高く光電子分光において
分析しようとすると、集光X線照射による方法では、
上記のようにX線の広がりで分析領域がぼけてしまうた
め、仮に絶縁物と導電物の境界近傍の絶縁物上を分析し
ようとすると、導電物の信号が混入しないように境界か
らビームのボケを考慮した分、離れた場所を分析せざる
を得ず、結果境界の極近傍の信号を得ることは困難とな
る。制限視野による方法は、よりは分析領域の限定
能力は高いが、投影モードによる結像系を利用するた
め、やはりレンズ系の“ぼけ”が生じ、制限した視野よ
りも、やはりやや広い領域を分析してしまう。また、境
界の両側に同じ元素が存在するような場合には元素マッ
ピングの領域識別精度が低下し、視野の制限能力が低下
する。
【0007】このような電気的に分離された近接する複
数領域の境界部の極近傍を分析するにはロックイン技
術が有効である。例えば、電気的に分離された近接する
2つの導電領域があったとする。その片方の領域の境界
近傍のみを検出する場合、境界近傍に分析領域を上記
あるいはの手段により設定し、分析したい方の領域に
電圧変調をかけ、これに同調する信号のみをロックイン
アンプで検出する。このようにすれば所望の領域の境界
近傍を信頼性高く分析することができる。ただし、この
方法は、絶縁物と導電物の絶縁物上の境界近傍を直接分
析する場合には適応できない。このような時は、普通に
制限視野で境界を測定し、ロックインで測定した導電物
上の結果を差し引く方法などの手段をとれば分析可能で
ある。しかし、変調手段やロックインアンプなど装置設
備がやや複雑になったり、2度測定しなければならない
など手間もかかる。
【0008】導電物と絶縁物を分離して分析することに
限ればdiffrential−chargingの
積極利用という方法もある。すなわち、光電子分光装置
には通常チャージアップ緩和のために中和電子銃が設け
られているが、これを積極的に利用し、絶縁物を積極的
に負に帯電させ、導電物上の信号と分離する方法である
(J.H.Thomas III,C.E.Bryso
n III,T.R.Pampalone:Surf.
Interface Anal.,14,39(198
9))。この方法は簡便で有効な手段であるが、絶縁物
を負にしか帯電できないため、同じ元素が絶縁物と導電
物に存在する場合、導電物の信号は絶縁物の信号のバッ
クグラウンドにのってしまい、スペクトルとしての精度
が低下してしまう。
【0009】本発明の目的は、上記問題点を鑑み、微小
部の分析、特に、電気的に分離された近接する複数領域
の境界部の極近傍を比較的簡便にしかも信頼性高く分析
する手段を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
成された本発明の構成は、以下の通りである。
【0011】すなわち本発明は、電離放射線をプローブ
として試料に照射し、試料から放出される電子の量を運
動エネルギー別に検出する電子分光装置において、試料
にバイアスを印加する手段と、それによる信号ピークの
移動量をもとにバイアスを調整する手段とを具備したこ
とを特徴とする。
【0012】また本発明は、電離放射線をプローブとし
て試料に照射し、試料から放出される電子の量を運動エ
ネルギー別に検出する電子分光分析方法において、試料
にバイアスを印加し、バイアス印加したことによって移
動するピークを検出し、その移動量をもとにバイアスを
調整することを特徴とする。
【0013】さらに本発明は、電気的に分離された隣接
する複数の領域の境界およびその近傍の電子分光分析方
法において、試料にバイアスを印加し、バイアス印加し
たことによって移動するピークを検出し、その移動量を
もとにバイアスを調整することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に述べ
る。
【0015】本発明による電子分光装置の一例を図1に
示した。本発明による電子分光装置および測定方法は以
下の通りである。
【0016】試料には電気的に分離された2つの領域1
及び領域2を有するものをここでは示しているが、これ
に限定されるわけではない。まず、試料の特定領域に直
流電源3を接続し、X線源4より試料表面にX線4’を
照射する。試料から放出される光電子6をエネルギー分
析器8で分光し、制御装置10により、信号をスペクト
ルの形に処理し、ディスプレイ11に表示する。同時に
その結果を、調整装置12により適切なものかどうか判
断し、バイアスが不適当であれば適切なバイアスになる
ように直流電源3の電圧値を調整する。
【0017】今、例えば電気的に分離された近接する複
数の領域として、ガラス(領域1)の上に金属膜(領域
2)が形成されており、その表面には自然酸化膜が形成
されているため、酸素は導電膜上にも存在しているよう
な場合を考える(図2)。その境界の極近傍(絶縁物
側、すなわち領域1側)をXPSで分析する場合には、
まず、試料を試料ホルダに設置するが、導電部(領域
2)は直流電源3を介してアースに接続される。
【0018】そして、集光X線あるいは制限視野で境界
の絶縁物側(領域1側)に分析領域13を定める。集光
X線を用いる場合は、予めX線の位置を光学顕微鏡像な
どと対応させておき、試料表面の光学顕微鏡像を見なが
ら分析個所を設定することができる(不図示)。制限視
野で分析領域を特定する場合は、境界近傍の信号強度の
強い元素、例えばこの場合には金属膜を構成する元素の
光電子の強度が大きければその信号を利用してマッピン
グを行い、金属膜との境界ぎりぎりのところに制限視野
をかける(図2)。この時、金属膜を多少含むように制
限視野をかけておくと、境界の極めて近傍を分析したと
いう確かな証拠になる。なお、このケースのように絶縁
物がある場合は分析領域の電位安定のために電子中和銃
5(図1参照)を併用する方が望ましい。
【0019】次に、直流電源3により導電部(領域2)
に10〜30V程度のバイアスを印加する。バイアスの
大きさは注目ピークが分離すればよく、対象とするピー
クの幅や形状およびその前後のスペクトルの形によって
適宜設定される。極性は、プラス/マイナスのどちらで
もよいが、バイアス印加することによって注目元素が極
端にバックグラウンドの影響を受ける場合は、できるだ
けその影響を受けないような極性にするのが望ましい。
【0020】上記例においては、境界近傍のガラス上を
分析したいので、例えば金属膜にマイナス電圧を印加す
ると、ガラスの酸素ピークは金属膜上の酸化膜からの酸
素ピークが形成するバックグラウンド上に重畳すること
になる(図3(b))。この影響が大きい場合は、バイ
アスはプラスにして、金属膜上の酸化膜の酸素ピークを
ガラス上の酸素ピークよりも高結合エネルギー側にし
て、両者を分離するほうがよい(図3(a))。ただ
し、上述したように基本的には極性は境界の両側からの
信号を分離できればよく、バックグラウンドの大幅な増
加などのなんらかの支障がある場合には、バイアスの極
性や絶対値を調整すればよい。なお、図3において、1
5はバイアス印加されていない試料の金属膜(領域2)
からの光電子スペクトル、14は+バイアスによって低
運動エネルギー側にシフトした試料のガラス(領域1)
からの光電子スペクトル、16は−バイアスによって高
運動エネルギー側にシフトした試料のガラス(領域1)
からの光電子スペクトルである。
【0021】このような調整は、操作する者がマニュア
ル操作で逐次行ってもよいが、調整装置12を利用し、
自動で行うこともできる。すなわち、バイアス印加前の
スペクトルにおいて、指定した注目ピークの検出されて
いるエネルギー範囲を求める(例えば微分することによ
って求めることができる)。次に、そのピークの高エネ
ルギー側と低エネルギー側の任意範囲の信号強度を把握
し(例えば±30eVの範囲の信号強度)、注目ピーク
から先に求めたエネルギー範囲以上の上記任意範囲の高
エネルギー側と低エネルギー側の信号強度を比較し、ど
ちらかの強度が大きく異なる場合は、小さいほうの信号
強度のエネルギー領域に注目ピークをシフトさせるよう
に、バイアスの値と極性を決める。高低どちらかのエネ
ルギー範囲が約2割以上大きいような場合は、信号強度
の小さいほうに注目ピークがシフトするようにバイアス
の極性と値を選ぶほうが好ましい。
【0022】電気的に絶縁された導電物が近接している
ような場合にも、上記と同様にその境界近傍を領域別に
高精度に分析することができる。すなわち、片方の領域
と残りの領域の電位を変えることで各領域からの信号を
分離することができる。
【0023】また、X線電子分光に本発明を適用する場
合、照射X線の波長や単色化/非単色化であることは特
に限定しない。さらに、UPSやAESにおいても、X
PSと同様に本発明は適用できる。
【0024】試料の電気的に分離された領域が2領域以
上になる場合は、注目する領域にのみバイアス印加する
か、それぞれの領域へのバイアス値を変えることで、領
域別のスペクトル分離が可能である。
【0025】
【実施例】さらに実施例を挙げて、本発明を詳述する。
【0026】(実施例1)今、青板ガラス上にAgの印
刷配線が形成されている。配線材料はレジネートで、ス
クリーン印刷にて印刷し、大気中で480℃焼成して形
成した。配線からはAgやPbなどがガラス中に拡散す
るが、できるだけ配線に近い部分の青板ガラス上をXP
Sで分析し、Agの拡散量とその状態を分析する。
【0027】試料を試料ホルダに設置し、Ag配線を試
料ホルダに電気的に接続した。ガラスは絶縁物であるの
で試料ホルダおよび配線部からは電気的に浮いている。
非単色のAl−kα線(1486.6eV)を分析部に
照射し、Ag−3dのピークで約200μmの領域をマ
ッピングした。そして、配線際のガラス上に配線部分を
僅かに含むように約50μm□の制限視野13を位置さ
せた(図2)。こうすることで、境界部を確実に分析す
ることができる。
【0028】電子中和銃は、500eV、エミッション
電流2mAである。配線部(領域2)にプラス20Vの
バイアスを印加し、光電子束縛エネルギー0−1200
eVの範囲を測定した。O−1sのピークは強いピーク
と弱いピークの2本に分離した(図3(b))。
【0029】図3(b)における低結合エネルギー側の
強いピークが青板ガラス(領域1)からの信号で、高結
合エネルギー側の弱いピークが配線部(領域2)からの
信号である。スペクトルをさらにみると、Ag,Pbの
ピークも2本に分離しており、同様にガラスからのもの
と配線からのものが約20eV分離して現れていた。こ
のようにして、ガラス上の配線の際をXPS分析したと
ころ、青板ガラスの成分(Si,O,Na,Ca)の他
にAg,Pb,O,Cのピークが2つに分離されて検出
された。
【0030】ガラス上の信号のみを用い定量してみると
ガラス表面に約2%のAgが酸化物の状態で存在してい
ることがわかった。このような測定を数カ所で行った
が、いずれの場所でも、概ね1〜3%のAgが存在する
結果となった。また、Pbは8〜9%存在していた。な
お、集光X線を用いても同様な評価が可能である。ま
た、バイアスはここではプラスとしたが、配線部の信号
の割合が小さいため配線部にマイナスバイアスを印加し
て、ガラス表面上の定量を行ってもほぼ同様な結果が得
られた。
【0031】(比較例)実施例1と同様な試料を通常の
制限視野による方法で分析した。マッピングはAgのピ
ークで行い、分析領域は約50μm□の制限視野を配線
部を含まないように設定した。数カ所で同様な測定を行
ったが、ガラス表面上でのAg濃度は2〜8%と実施例
1に比べばらつきが大きかった。尚、Pbも同様に7〜
12%とばらついていた。
【0032】値が低い場合は、分析領域の感度が最も高
い中央部が、最もAg濃度が高い境界から離れているた
め低濃度に測定されてしまったと考えられる(その点本
発明では、分析領域の感度のよい部分を境界の極近傍に
位置させることができる)。また、値が高い場合は、配
線のAgそのものをひっかけて測定してしまっている可
能性が考えられる。
【0033】このような分析領域の制限能力がばらつく
のは、分析レンズの被写界深度が浅いため、焦点の合う
マージンが狭いことが主な原因である。最適な試料高さ
からずれると分析領域は制限された視野よりもぼけてし
まうわけである。さらには今回のような印刷配線の場
合、ガラス面に対して配線の高さがエッジ部でも十数ミ
クロンのオーダー盛り上がって、かつ、場所によるばら
つきも大きいため、一層、正味の分析領域のばらつきが
大きくなったと考えられる。一方、本発明は高さの違う
境界部においても領域別に信号を信頼性高く分離するこ
とができる。
【0034】(実施例2)実施例1と同様な試料に対
し、制限視野のほぼ中央に配線とガラスの境界が位置す
るように約100μm□の分析領域13’を設定し(図
4)、同様な測定条件にてそれぞれの領域の同時分析を
行った。
【0035】ガラス上を分析する場合は、配線に+20
V印加して測定を行った。Ag,Pb,Na,O,Cに
おいて約20eVの分離したピークが見られた(図5
(a))。そのうち低結合エネルギー側のピークにて定
量を行った。
【0036】次に、配線上を分析する場合には、−20
Vを配線に印加して測定を行い、分離したピークの低結
合エネルギー側のピークにて定量を行った(図5
(b))。
【0037】これらの測定の結果、ガラス上には配線か
らAg,Pbが拡散しており、表面濃度はそれぞれ約5
%,8%であった。また、配線部にはガラスからのもの
と思われるNaが拡散しており、その表面濃度は約4%
であった。
【0038】(実施例3)電気的に絶縁された2つの導
電部の境界近傍を分析する例について述べる。
【0039】図6に示すように、青板ガラス19上にA
u薄膜をスパッタ法にて膜厚100μmを成膜し、間隔
約1μmの間隙18をパターニングすることで、電気的
に分離された2つの領域のAu薄膜17を形成した。パ
ターニングは、ここではFIB(Focused Io
n Beam)にて行った。イオンビームはGa+、加
速エネルギー30keVで行った。
【0040】このAu薄膜17の間隙18側のエッジ近
傍での表面組成をX線電子分光(XPS)で次の様に測
定した。
【0041】まず、間隙部を中心に両側のAu薄膜を含
むように分析領域を設定するために、Au薄膜の片方に
−15V印加した状態で、間隙部が形成されていると思
われる近傍を、バイアス印加したときのAu−4fのピ
ーク値(およそ69eV)で光電子マッピングした。分
析領域は300μm2である。
【0042】バイアス印加した領域ではコントラストが
強く、アース電位の残りの領域は弱いコントラストで示
された。この方法により、2つの領域の境界がわかるの
で、同様にして分析領域を50μm2にして、そのほぼ
中央に上記境界を位置させた(図7)。なお、図7にお
いて、20は分析領域(制限視野)、21は分析領域内
のバイアス印加したAu薄膜からの光電子像、22は分
析領域内のアース電位のAu薄膜からの光電子像、23
はバイアスの違いによって示されたAu薄膜の境界部で
ある。
【0043】バイアスを上記2領域ともアース電位と
し、XPS測定を行った。表面組成として、Au,O,
Cの他にGa,Naが僅かに検出された。Gaはイオン
ビームの材料であり、加工部およびその近傍に存在して
いると考えられた。Naは青板ガラスが起源と思われ、
FIB加工時の熱によりAu表面に拡散したものと思わ
れる。
【0044】本実施例のように、分析領域を境界部に精
度よく位置させる際にも、本発明は適用できる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、物質表面の元素分析や
その状態などを分析する際、特に電気的に分離された近
接する複数の領域の境界近傍を分析する際の、分析領域
の限定度の信頼性が向上し、より高精度に測定すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子分光装置の一例を示す模式図
である。
【図2】本発明による電子分光装置の一つの適用例を示
す図である。
【図3】本発明による測定結果を示す図である。
【図4】本発明による電子分光装置の別の適用例を示す
図である。
【図5】本発明による測定結果を示す図である。
【図6】本発明による電子分光装置のさらに別の適用例
を示す図である。
【図7】本発明による電子分光装置により、分析領域内
に境界部を位置させたところを示す図である。
【符号の説明】
1 領域2と電気的に絶縁された領域 2 領域1と電気的に絶縁された領域 3 直流電源 4 X線源 4’ 照射X線 5 中和電子銃 5’ 照射中和電子線 6 試料から放出される光電子 7 真空チャンバー 8 エネルギー分析器 9 真空ポンプ 10 制御装置 11 ディスプレイ 12 試料に印加する電圧値を最適化する調整装置 13、13’ 分析領域 14 +バイアスによって低運動エネルギー側にシフト
した試料のガラス(領域1)からの光電子スペクトル 15 バイアス印加されていない試料の金属膜(領域
2)からの光電子スペクトル 16 −バイアスによって高運動エネルギー側にシフト
した試料のガラス(領域1)からの光電子スペクトル 17 電気的に分離されたAu薄膜 18 Au薄膜を電気的に分離する間隙 19 青板ガラス基板 20 制限視野 21 分析領域内のバイアス印加したAu薄膜からの光
電子像 22 分析領域内のアース電位のAu薄膜からの光電子
像 23 バイアスの違いによって示されたAu薄膜の境界

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電離放射線をプローブとして試料に照射
    し、試料から放出される電子の量を運動エネルギー別に
    検出する電子分光装置において、試料にバイアスを印加
    する手段と、それによる信号ピークの移動量をもとにバ
    イアスを調整する手段とを具備したことを特徴とする電
    子分光装置。
  2. 【請求項2】 バイアス印加したことによって移動する
    信号ピークを検出する手段を具備したことを特徴とする
    請求項1に記載の電子分光装置。
  3. 【請求項3】 電離放射線をプローブとして試料に照射
    し、試料から放出される電子の量を運動エネルギー別に
    検出する電子分光分析方法において、試料にバイアスを
    印加し、バイアス印加したことによって移動するピーク
    を検出し、その移動量をもとにバイアスを調整すること
    を特徴とする電子分光分析方法。
  4. 【請求項4】 電気的に分離された隣接する複数の領域
    の境界およびその近傍の電子分光分析方法において、試
    料にバイアスを印加し、バイアス印加したことによって
    移動するピークを検出し、その移動量をもとにバイアス
    を調整することを特徴とする電子分光分析方法。
  5. 【請求項5】 電気的に分離された隣接する複数の各領
    域が、導電物と絶縁物とからなることを特徴とする請求
    項4に記載の電子分光分析方法。
  6. 【請求項6】 電気的に分離された隣接する複数の各領
    域が、導電物からなることを特徴とする請求項4に記載
    の電子分光分析方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20230296523A1 (en) * 2020-04-30 2023-09-21 Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd. System and method for detecting contamination of thin-films

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