JP2001133391A - 路面摩擦係数推定装置 - Google Patents

路面摩擦係数推定装置

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JP2001133391A
JP2001133391A JP31742199A JP31742199A JP2001133391A JP 2001133391 A JP2001133391 A JP 2001133391A JP 31742199 A JP31742199 A JP 31742199A JP 31742199 A JP31742199 A JP 31742199A JP 2001133391 A JP2001133391 A JP 2001133391A
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friction coefficient
road surface
road
wheel
wheel speed
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JP31742199A
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English (en)
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Hikari Nishira
西羅  光
Taketoshi Kawabe
武俊 川邊
Seiichi Shin
誠一 新
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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  • Regulating Braking Force (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 センサーの測定値に含まれるノイズなどの影
響を抑制して路面摩擦係数の推定精度を向上させる。 【解決手段】 スリップ率λに対する路面摩擦係数μの
特性(μ-s特性)に相似な関数(μ-s関数)を設定
し、スリップ率λに対応する路面摩擦係数μquを演算す
る(7e)。次に、車輪速xw、制駆動トルクu、路面
摩擦係数演算値μqu、輪荷重Wおよび車輪の慣性モーメ
ントIに基づいて、路面摩擦係数演算値μquに応じた車
輪速推定値xwprを演算し、車輪速xwから車輪速推定値
xwprを減じて誤差eを演算する(7f)。さらに、車
輪速推定誤差e、路面摩擦係数演算値μqu、輪荷重Wお
よび車輪の慣性モーメントIに基づいてμ-s関数を校
正するための校正パラメーターθprを演算する(7j)
とともに、種々の路面状態に対して予め設定した複数の
校正パラメーターθi(i=1,2,・・)の近傍に校
正パラメーターθprを収束させて補正し(7g〜7
i)、路面摩擦係数演算値μquを校正パラメーターθpr
により校正して路面摩擦係数推定値μprを求める(7
k)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はタイヤと路面との間
の摩擦係数を推定する装置に関し、特に、各種センサー
の測定値に含まれるノイズなどの影響を抑制して推定精
度を向上させたものである。
【0002】
【従来の技術】路面摩擦係数の推定装置および推定方法
には次に示すものが知られている。(a)車輪回転加速
度が0近傍の時に路面摩擦係数を推定する装置(特開平
5−77706号公報参照)。(b)左右輪の作動やそ
れを制限するために必要なトルクから路面摩擦係数を推
定する装置(特開平5−346394号公報参照)。
(c)操舵時のスリップ角とコーナリングフォースの関
係から路面摩擦係数を推定する装置(特開平5−255
510号公報参照)。(d)車輪制動力と車輪速度の共
振ゲインを検出して路面摩擦係数を推定する方法(特開
平10−2183号公報参照)。
【0003】ところが、上述した(a)の装置では車輪
回転加速度が0近傍でなければ路面摩擦係数を推定でき
ない。また、(b)の装置では例えば直進中に左右輪が
同一車輪速になった時には路面摩擦係数を推定できな
い。同様に、(c)の装置でも直進時は路面摩擦係数を
推定できない。これら(a)〜(c)の装置では、路面
摩擦係数を断続的にしか推定できず、路面状態が急変し
た時には一時的に正確な路面摩擦係数が得られない。さ
らに、(d)の推定方法では制動力を微少励振させた
り、ステップ的に変化させなければ路面摩擦係数を推定
できず、路面摩擦係数推定のために運転者の意に反して
無関係な力を加えることになるので、好ましい推定方法
ではない。
【0004】そこで、本出願人は、上記従来装置の問題
点を解決するために、(e)適応オブザーバーを用いて
路面摩擦係数を推定する装置を提案している(特願平1
0−145611号)。この推定装置は、車輪速推定誤
差に基づいて路面摩擦係数を校正するためのパラメータ
ーを随時更新し、校正パラメーターにより路面摩擦係数
を補正することによって正確な路面摩擦係数を推定する
ことができる。上記(a)〜(d)の推定装置および推
定方法と異なり、直進中であれば車両に余計な制駆動力
を加えることなく路面摩擦係数を推定できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(e)の推定装置では、センサー測定値に含まれるノイ
ズなどの不確定要素によって校正パラメーターの演算が
影響を受けることがあり、その点における対策が不充分
である。
【0006】本発明の目的は、センサーの測定値に含ま
れるノイズなどの影響を抑制して路面摩擦係数の推定精
度を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】一実施の形態の路面摩擦
係数推定の演算ブロック図4に対応づけて本発明を説明
すると、 (1) 請求項1の発明は、車輪の速度(車輪速)xw
を検出する車輪速検出手段7aと、車体の速度(車体
速)xvを検出する車体速検出手段7bと、車輪の制動
トルクおよび駆動トルク(制駆動トルク)uを検出する
制駆動トルク検出手段7cと、車輪速xwおよび車体速
xvに基づいて車輪のスリップ率λを演算するスリップ
率演算手段7dと、スリップ率λに対する路面摩擦係数
μの特性(μ-s特性)に相似な関数(μ-s関数)を設
定し、スリップ率λに対応する路面摩擦係数μquを演算
する路面摩擦係数演算手段7eと、車輪速xw、制駆動
トルクu、路面摩擦係数演算値μqu、輪荷重Wおよび車
輪の慣性モーメントIに基づいて、路面摩擦係数演算値
μquに応じた車輪速推定値xwprを演算し、車輪速xwか
ら車輪速推定値xwprを減じて誤差eを演算する車輪速
推定誤差演算手段7fと、車輪速推定誤差e、路面摩擦
係数演算値μqu、輪荷重Wおよび車輪の慣性モーメント
Iに基づいてμ-s関数を校正するための校正パラメー
ターθprを演算する校正パラメーター演算手段7jと、
路面摩擦係数演算値μquを校正パラメーターθprにより
校正して路面摩擦係数推定値μprを求める路面摩擦係数
校正手段7kとを備えた路面摩擦係数推定装置であっ
て、種々の路面状態に対して予め設定した複数の校正パ
ラメーターθi(i=1,2,・・)の近傍に校正パラ
メーターθprを収束させる校正パラメーター補正手段7
g〜7iを備え、上記目的を達成する。 (2) 請求項2の路面摩擦係数推定装置は、校正パラ
メーター補正手段7g〜7iによって、校正パラメータ
ーθprと所定値θ*との差の絶対値と、校正パラメータ
ーθprの関数であって予め設定した校正パラメーターθ
iによってその関数形が定まる可変ゲインf{θpr}と
の積から成る補正項により補正値を求め、校正パラメー
ター演算手段7jにより演算された校正パラメーターθ
prに加算するようにしたものである。 (3) 請求項3の路面摩擦係数推定装置は、可変ゲイ
ンf{θpr}を、θpr=θiにおいて値が0となり、そ
の前後において値が正から負へ切り換わるようにしたも
のである。 (4) 請求項4の路面摩擦係数推定装置は、車体速検
出手段7bによって、4輪すべての車輪速を検出し、駆
動時には最小の車輪速検出値を車体速xvとし、制動時
には最大の車輪速検出値を車体速xvとするようにした
ものである。
【0008】上述した課題を解決するための手段の項で
は、説明を分かりやすくするために一実施の形態の図を
用いたが、これにより本発明が一実施の形態に限定され
るものではない。
【0009】
【発明の効果】本発明によれば、スリップ率λに対する
路面摩擦係数μの特性(μ-s特性)に相似な関数(μ-
s関数)を設定し、スリップ率λに対応する路面摩擦係
数μquを演算する。次に、車輪速xw、制駆動トルク
u、路面摩擦係数演算値μqu、輪荷重Wおよび車輪の慣
性モーメントIに基づいて、路面摩擦係数演算値μquに
応じた車輪速推定値xwprを演算し、車輪速xwから車輪
速推定値xwprを減じて誤差eを演算する。さらに、車
輪速推定誤差e、路面摩擦係数演算値μqu、輪荷重Wお
よび車輪の慣性モーメントIに基づいてμ-s関数を校
正するための校正パラメーターθprを演算するととも
に、種々の路面状態に対して予め設定した複数の校正パ
ラメーターθi(i=1,2,・・)の近傍に校正パラ
メーターθprを収束させて補正し、路面摩擦係数演算値
μquを校正パラメーターθprにより校正して路面摩擦係
数推定値μprを求める。これにより、センサーの測定値
に含まれるノイズなどの影響を抑制でき、路面摩擦係数
の推定精度を向上させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】まず、この実施の形態の路面摩擦
係数の推定原理を説明する。タイヤと路面との間の摩擦
係数はタイヤと路面との間のスリップ率に依存して変化
するが、スリップ率λに対する路面摩擦係数μの特性
(以下、μ-s(slip)特性と呼ぶ)は、図1に示すよ
うに、路面状態が乾燥(dry)、湿潤(wet)、氷結(ic
y)と変化しても相似形状を示す。
【0011】このことから、図2に示すようなμ-s特
性と相似な関数(以下、μ-s関数と呼ぶ)を予め設定
し、このμ-s関数を用いてスリップ率λに対する路面
摩擦係数μquを演算し、さらにμ-s関数を実際のμ-s
特性に近似させるための校正パラメーターθを用いて路
面摩擦係数演算値μquを補正すれば、μ-s特性のスリ
ップ率λに対するの路面摩擦係数μを求めることができ
る。つまり、
【数1】 μ≒θ・μqu
【0012】さらに、路面摩擦係数μの推定値μprは、
校正パラメーターθの推定値θprを用いて次式により求
めることができる。
【数2】 μpr=θpr・μqu
【0013】ここで、校正パラメーターθの推定値θpr
は路面摩擦係数演算値μquを校正するパラメーターであ
るから、以下では校正パラメーター推定値θpr自体を校
正パラメーターと呼ぶことにする。
【0014】また、以上の定式化において、校正パラメ
ーターθは路面状態を表すパラメーターと考えることが
できる。そこで、校正パラメーターθが、走行が予想さ
れるいくつかの典型的な路面状態に対応する値の内の1
つをとれば、路面摩擦係数μは精度よく近似できると仮
定する。すなわち、
【数3】 μ=θ・μqu+μγ
【数4】 θ∈{θ1,θ2,・・,θn}
【数5】 ただし、|θ・μqu|≫|μγ| と表されるものと考える。上式において、{θ1,θ2,
・・,θn}は事前に想定した路面状態に対応する校正
パラメーターの値である。また、路面摩擦係数μは有限
な値をとるのでμγも有限の値である。すなわち、|μ
γ|<γ0となる正の定数γ0が存在する。
【0015】ところで、車輪の運動方程式は次式で表さ
れる。
【数6】 I・d(xw)/dt=μ・W−u 上式において、xwは車輪速(車輪の回転速度)、Wは
輪荷重、uは制駆動トルク、Iは車輪慣性モーメントで
ある。上式に基づいて以下の演算を行うことにより、校
正パラメーターθprを得ることができる。
【数7】 d(xwpr)/dt=μpr・W/I−h1(xwpr−
xw)−h2・sgn(xwpr−xw)−(1/I)u
【数8】 e=xw−xwpr
【数9】 d(θpr)/dt=e・μqu・(W/cI)
【数10】 ここで、sgn(xwpr−xw)=−1((xwpr−xw)<0の時), =0 ((xwpr−xw)=0の時), =+1((xwpr−xw)>0の時) 上式において、xwprは車輪速xwの推定値、Wは輪荷
重、h1、h2およびcは設計者が適宜決定する正の定数
であり、特にh2はh2>(γ0・W/I)(γ0は正の定
数)を満たすように選定する。
【0016】校正パラメーター(推定値)θprが時間の
経過とともに校正パラメーターθに収束することは、以
下のように証明することができる。
【0017】数式6の両辺から数式7の両辺をそれぞれ
減算すると次式が得られる。
【数11】 de/dt=(θ−θpr)μqu・W/I−h1
・e−h2・sgn(e)+μγ・W/I 一方、誤差eおよび(θ−θpr)の収束性を簡単な方法
で保証するために、次式に示す正の値をとる関数Vを想
定し、
【数12】 V=(1/2)e2+(c/2)(θ−θp
r)2 θを定数と仮定したとき、関数Vの時間変化dV/dtは次
式で表される。
【数13】 dV/dt=e・de/dt−c(θ−θpr)・d
(θpr)/dt 上式に数式11を代入すると、次式が得られる。
【数14】 dV/dt=−h1・e2−|e|・(h2−sgn
(e)・μγ・W/I)−(θ−θpr)(e・μqu・W
/I−c・d(θpr)/dt)
【0018】ここで、数式9により校正パラメーター
(推定値)θprを変化させれば右辺第2項は0となり、
h1>0、h2>γ0・W/Iであるので、Vの時間変化d
V/dtは次式で表される。
【数15】dV/dt=−h1・e2−|e|・(h2−sgn
(e)・μγ・W/I)<0 (e≠0のとき) 上式から明らかなように、関数Vは単調減少して0に収
束する。すなわち、eおよび(θ−θpr)も0に収束す
るので、校正パラメーターの推定値θprは真値θに収束
する。よって、路面摩擦係数推定値μpr(=θpr・μq
u)は真の路面摩擦係数μに収束する。
【0019】しかし、以上のような構成とした場合に、
実際にセンサーの測定値などを用いて路面摩擦係数の推
定を行うと、ノイズなどの影響で推定値の偏差や振動が
残ることが確認された。
【0020】そこで、この実施の形態では、構成パラメ
ータの演算において、事前に設定した種々の路面状態に
対応する校正パラメーターの値θi(i=1,2,・
・,n)の近傍に推定値θprを収束させるための補正項
を付加することによって、推定値θprの偏差や振動を抑
える。補正項は、校正パラメーターθprと所定値θ*
の差の絶対値と、校正パラメーターθprの関数であって
予め設定した校正パラメーターθiによってその関数形
が定まる可変ゲインf{θpr}との積から成る。すなわ
ち、
【数16】 f{θpr}|θpr−θ*| ただし、可変ゲインf{θpr}はθpr=θiにおいて値
が0となり、θpr=θiの近傍において、
【数17】 θpr<θi←→f{θpr}>0, θpr>θi←→f{θpr}<0 となるような可変ゲインとする。この補正項を上記数式
9に足し合わせる。
【0021】このような補正項を付加することによっ
て、予め設定した種々の路面状態に対応する校正パラメ
ーターの値θi(i=1,2,・・,n)の近傍におい
て、校正パラメーターθprがこれらの値θiに収束する
ように補正され、雑音的な振動や偏差を吸収することが
できる。すなわち、本出願人が特願平10−14561
1号で提案した路面摩擦係数推定装置の上記問題点、つ
まりセンサーの測定値に含まれるノイズなどの不確定要
素が路面摩擦係数推定に与える影響を抑制し、路面摩擦
係数の推定精度を向上させることができる。
【0022】図3は一実施の形態の構成を示す図であ
る。図において、車輪速センサー1は車輪2の回転速度
xwを検出する。車輪速センサー1には、タコジェネレ
ーターや回転型インクリメントエンコーダーを用いるこ
とができる。また、車体速センサー3は車体の速度xv
を検出する。この実施の形態では、非駆動輪または非制
動輪の回転速度を検出し、それを車体速xvとして用い
る。車体速センサー3には空間フィルターを用いた光学
式対地車速計やドップラーレーダーなどを用いることが
でき、その場合は検出した速度Vvを車輪2の半径rwに
より回転速度に換算する必要がある。すなわち、
【数18】 xv=Vv/(2πrw)
【0023】なお、4輪すべての車輪速を検出し、駆動
時には最小の車輪速検出値を車体速xvとし、制動時に
は最大の車輪速検出値を車体速xvとしてもよい。その
場合には上述した車体速の検出方法に比べ路面摩擦係数
の推定精度がやや悪くなるが、推定装置の構成を単純化
することができる。
【0024】ブレーキ液圧センサー4は制動装置(不図
示)のブレーキシリンダーに設けられ、ブレーキ液圧p
bを検出する。エンジン制御装置5は、エンジン6のス
ロットルバルブ開度、回転速度およびエンジントルクの
マップから、スロットルバルブ開度と回転速度に対応す
るエンジントルクを表引き演算してエンジントルクqe
を推定する。
【0025】計算機ユニット7はマイクロコンピュータ
ーとメモリやA/Dコンバーターなどの周辺部品から構
成され、後述する路面摩擦係数演算プログラムを実行し
て路面摩擦係数μを推定する。
【0026】図4は路面摩擦係数を推定する演算ブロッ
ク図であり、図5は路面摩擦係数推定プログラムを示す
フローチャートである。これらの図により、一実施の形
態の動作を説明する。計算機ユニット7のマイクロコン
ピューターは、ソフトウエア形態で図4に示す処理ブロ
ック7a〜7kを構成し、車輪速xwの変化に対して充
分に短い時間間隔で図5に示すプログラムを実行して路
面摩擦係数を推定する。
【0027】ステップ1において車輪速検出部7aによ
り車輪速xwを検出する。すなわち、車輪速センサー1
により検出された車輪2の回転速度に応じた電圧または
パルス周期に基づいて、車輪2の回転速度xwを検出す
る。続くステップ2で車体速検出部7bにより車体速x
vを検出する。上述したようにこの実施の形態では非駆
動輪または非制動輪回転速度を検出し、それを車体速x
vとする。
【0028】ステップ3で制駆動トルク検出部7cによ
り制駆動トルクuを検出する。つまり、エンジン制御装
置5から入力したエンジントルク推定値qeと、ブレー
キ液圧センサー4から入力したブレーキ液圧pbとに基
づいて、次式により制駆動トルクuを求める。
【数19】 u=ce・qe+cb・pb 上式において、ce、cbはそれぞれエンジントルクq
e、ブレーキ液圧pbから制駆動トルクuへの換算係数で
ある。
【0029】ステップ4では、スリップ率演算部7dに
よりタイヤと路面との間のスリップ率λを演算する。車
輪速検出部7aで検出した車輪速xwと車体速検出部7
bで検出した車体速xvに基づいて、次式によりスリッ
プ率λを演算する。
【数20】 λ=(xw−xv)/xv (xw>xvの時), =(xw−xv)/xw (xw≦xvの時) なお、この実施の形態では、非駆動輪または非制動輪の
回転速度を車体速xvとする例を示すが、光学式対地車
速計やドップラーレーダーなどにより検出した車体速度
Vvを用いる場合には、車輪速xwも車輪2の周速を用い
る。
【0030】ステップ5において、路面摩擦係数演算部
7eにより、タイヤと路面との間のμ-s特性(図1参
照)と相似なμ-s関数(図2参照)を用いて、スリッ
プ率λに対する路面摩擦係数μquを演算する。
【0031】まず、スリップ率λに対する路面摩擦係数
μを表すμ-s特性(図1)に相似なμ-s関数を、次式
により設定する。
【数21】 μqu=−k1・λ−k2・λ1−k1・λ1 (λ≦−λ1の時), =k2・λ (−λ1<λ<λ2の時), =−k1・λ+k2・λ2+k1・λ2 (λ2≦λの時) このμ-s関数は、図2に示すように、正の傾きk2を有
する1次関数の両端に負の傾き−k1を有する1次関数
を接続した形状となり、定数k1、k2、λ1、λ2を適当
に選ぶことによって図1に示すμ-s特性と相似形とす
ることができる。次に、設定したμ-s関数を用いて演
算ブロック7dで演算したスリップ率λに対する路面摩
擦係数μquを求める。
【0032】なお、路面摩擦係数演算部7eは、次式で
表されるマジックフォーミュラを用いてスリップ率λに
対する路面摩擦係数μquを求めることもできる。
【数22】 μqu=D・sin[C・tan-1(B・φ)]
【数23】 φ=100(1−E)λ+(E/B)ta
n(100・B・λ) このマジックフォーミュラの係数B、C、D、Eに適当
な値を選定すると、図1に示すような実際のμ-s特性
を高い精度で近似できることが知られている(H.B.Pace
jka, Tire modes for vehicle dynamics analysis, Sup
plement to Vehicle System Dynamics, vol.21,(1991)
参照)。例えば、B=0.1、C=1.55、D=1、
E=0.432とすると、μ-s関数は図6に示す形状
となり、図1に示す実際のμ-s特性に近似させること
ができる。
【0033】ステップ6において、路面摩擦係数校正部
7kにより、路面摩擦係数演算部7eでμ-s関数を用
いて演算した路面摩擦係数μquを、後述する校正パラメ
ーター演算部7jで演算した校正パラメーター(推定
値)θprにより校正し、路面摩擦係数推定値μprを求め
る(数式2参照)。
【0034】ステップ7では、車輪速推定誤差演算部7
fにより、制駆動トルク検出部7cで検出した制駆動ト
ルクuと、車輪速検出部7aで検出した車輪速xwと、
路面摩擦係数校正部7kで推定した路面摩擦係数推定値
μprとに基づいて、上記数式7により車輪速推定値xwp
rを演算する。さらに、演算した車輪速推定値xwprと車
輪速検出部7aで検出した車輪速xwとに基づいて、上
記数式8により車輪速推定誤差eを演算する。
【0035】校正パラメーター候補値7gは、走行が予
想される種々の路面状態において実験を行い、各路面状
態に対して最適な校正パラメーターθi(i=1,2,
・・,n)を選定したものである。これらの校正パラメ
ーターθiは計算機ユニット7のメモリに記憶する。
【0036】可変ゲイン設定部7hは、上記数式16に
示す校正パラメーター補正項の可変ゲインf{μpr}を
次式のように設定する。
【数24】 −σ・sin(f{θpr})
【数25】 f{θpr}=3π/2 (θ<θoの時), =π(θ−θo)/(2(θ1−θo))+3π/2 (θ∈[θo θ1]の時) =2π(θ−θi)/(θi+1−θi)+2iπ (θ∈[θi θi+1]の時、i=1,2,・・,n−1) =π(θ−θn)/(2(θn+1−θn))+2nπ (θ∈[θn θn+1]の時) =2nπ+π/2 (θ>θn+1の時) 上式において、θi(i=1,2,・・,n)は想定し
ている路面状態に対応する校正パラメーターの中でi番
目に小さい値であり、nは想定する路面状態である。θ
o、θn+1はゲインの連続性を満たすために設定する適当
な定数である。また、σも適当な正の定数である。図7
に、校正パラメーターθの候補値を0.2、0.5、
0.8とした場合の可変ゲインの例を示す。
【0037】補正項構成部7iは次式に示す補正項を構
成する。
【数26】 −σ・sin(f{θpr})|θpr−θ*| ここで、θ*は区間[θo θn+1]の外側にある適当な
定数とする。図8に補正項全体の設計例を示す。
【0038】ステップ8において、校正パラメーター演
算部7jにより、路面摩擦係数演算部7eで演算した路
面摩擦係数μquと、車輪速推定誤差演算部7fで演算し
た車輪速推定誤差eと、補正項構成部7iで構成した数
式26に示す補正項とに基づいて、次式により校正パラ
メーター(推定値)θprを演算する。
【数27】d(θpr)/dt=e・μqu・(W/cI)−σ・
sin(f{θpr})|θpr−θ*| なお、上式は数式9に数式26に示す補正項を加えたも
のである。
【0039】図9は、一実施の形態による路面摩擦係数
の推定結果を示すタイムチャートである。この例は、校
正パラメーターθ=0.2程度と推定される氷結路にお
ける、車両加速時の路面摩擦係数を推定したものであ
り、(a)は駆動輪に加えたトルクを表し、(b)は車
輪速(破線)と車体速(実線)を表す。また、(c)は
補正項を加えた場合(実線)と補正項を加えない場合
(破線)の校正パラメーター推定値θprを表し、(d)
は補正項を加えた場合(実線)と補正項を加えない場合
(破線)の路面摩擦係数推定値μprを表す。
【0040】校正パラメーター(推定値)θprの演算に
おいて、数式26に示す補正項を加えない場合には、タ
イヤのスリップが小さくなると同一路面を走行している
にも拘わらず校正パラメーターθprが大きく外れた値へ
と引きずられてしまうのに対し、補正項を加えた場合は
そのような現象を防止できる。また、補正項がない場合
は路面摩擦係数推定値μprが振動しているのに対し、補
正項がある場合は路面摩擦係数推定値μprの振動が抑制
されている。
【0041】このように、一実施の形態によれば、車輪
の慣性モーメントと輪荷重が知られていればどのような
種類の車輪にも適用でき、いずれかの車輪にスリップが
発生していれば速やかに路面摩擦係数を推定できる、と
いう効果に加え、センサーの測定値に含まれるノイズな
どの影響を抑制して正確な路面摩擦係数を推定すること
ができる。
【0042】以上の実施の形態の構成において、車輪速
検出部7aが車輪速検出手段を、車体速検出部7bが車
体速検出手段を、制駆動トルク検出部7cが制駆動トル
ク検出手段を、スリップ率演算部7dがスリップ率演算
手段を、路面摩擦係数演算部7eが路面摩擦係数演算手
段を、車輪速推定誤差演算部7fが車輪速推定誤差演算
手段を、校正パラメーター演算部7fが校正パラメータ
ー演算手段を、路面摩擦係数校正部7kが路面摩擦係数
校正手段を、校正パラメーター候補値7g、可変ゲイン
設定部7hおよび補正項構成部7iが校正パラメーター
補正手段をそれぞれ構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スリップ率λに対する路面摩擦係数μの特性
(μ-s特性)を示す図である。
【図2】 スリップ率λに対する路面摩擦係数μの特性
(μ-s特性)に相似な関数(μ-s関数)を示す図であ
る。
【図3】 一実施の形態の構成を示す図である。
【図4】 路面摩擦係数を推定する演算ブロック図であ
る。
【図5】 路面摩擦係数推定プログラムを示すフローチ
ャートである。
【図6】 マジックフォーミュラを用いて設定したμ-
s関数の一例を示す図である。
【図7】 校正パラメーターθの候補値を0.2、0.
5、0.8とした場合の可変ゲインの例を示す図であ
る。
【図8】 校正パラメーターθの補正項全体の設計例を
示す図である。
【図9】 一実施の形態による路面摩擦係数の推定結果
を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 車輪速センサー 2 車輪 3 車体速センサー 4 ブレーキ液圧センサー 5 エンジン制御装置 6 エンジン 7 計算機ユニット 7a 車輪速検出部 7b 車体速検出部 7c 制駆動トルク検出部 7d スリップ率演算部 7e 路面摩擦係数演算部 7f 車輪速推定誤差演算部 7g 校正パラメーター候補値 7h 可変ゲイン設定部 7i 補正項構成部 7j 校正パラメーター演算部 7k 路面摩擦係数校正部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D037 FA14 FA23 3D046 BB23 HH23 HH36 HH46 HH52 JJ06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輪の速度(以下、車輪速と呼ぶ)xwを
    検出する車輪速検出手段と、 車体の速度(以下、車体速と呼ぶ)xvを検出する車体
    速検出手段と、 車輪の制動トルクおよび駆動トルク(以下、制駆動トル
    クと呼ぶ)uを検出する制駆動トルク検出手段と、 車輪速xwおよび車体速xvに基づいて車輪のスリップ率
    λを演算するスリップ率演算手段と、 スリップ率λに対する路面摩擦係数μの特性(以下、μ
    -s特性と呼ぶ)に相似な関数(以下、μ-s関数と呼
    ぶ)を設定し、スリップ率λに対応する路面摩擦係数μ
    quを演算する路面摩擦係数演算手段と、 車輪速xw、制駆動トルクu、路面摩擦係数演算値μq
    u、輪荷重Wおよび車輪の慣性モーメントIに基づい
    て、路面摩擦係数演算値μquに応じた車輪速推定値xwp
    rを演算し、車輪速xwから車輪速推定値xwprを減じて
    誤差eを演算する車輪速推定誤差演算手段と、 車輪速推定誤差e、路面摩擦係数演算値μqu、輪荷重W
    および車輪の慣性モーメントIに基づいてμ-s関数を
    校正するための校正パラメーターθprを演算する校正パ
    ラメーター演算手段と、 路面摩擦係数演算値μquを校正パラメーターθprにより
    校正して路面摩擦係数推定値μprを求める路面摩擦係数
    校正手段とを備えた路面摩擦係数推定装置であって、 種々の路面状態に対して予め設定した複数の校正パラメ
    ーターθi(i=1,2,・・)の近傍に校正パラメー
    ターθprを収束させる校正パラメーター補正手段を備え
    ることを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の路面摩擦係数推定装置に
    おいて、 前記校正パラメーター補正手段は、校正パラメーターθ
    prと所定値θ*との差の絶対値と、校正パラメーターθp
    rの関数であって予め設定した校正パラメーターθiによ
    ってその関数形が定まる可変ゲインf{θpr}との積か
    ら成る補正項により補正値を求め、前記校正パラメータ
    ー演算手段により演算された校正パラメーターθprに加
    算することを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の路面摩擦係数推定装置に
    おいて、 前記可変ゲインf{θpr}は、θpr=θiにおいて値が
    0となり、その前後において値が正から負へ切り換わる
    ことを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
  4. 【請求項4】請求項1〜3に記載の路面摩擦係数推定装
    置において、 前記車体速検出手段は、4輪すべての車輪速を検出し、
    駆動時には最小の車輪速検出値を車体速xvとし、制動
    時には最大の車輪速検出値を車体速xvとすることを特
    徴とする路面摩擦係数推定装置。
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