JP2001131645A - 鋼帯の連続熱処理方法 - Google Patents
鋼帯の連続熱処理方法Info
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Abstract
安定してビルドアップに起因したハースロール疵の発生
を抑制することができる鋼帯の連続熱処理方法を提供す
る。 【解決手段】 ハースロールに作用する面圧(P)が下
記式を満足するように炉内張力を制御する。 【数6】
Description
を行う際に、鋼帯の酸化物や鉄粉がハースロール表面に
付着・堆積して発生するビルドアップに起因した鋼帯裏
面への押込疵の発生を防止する連続熱処理方法に関す
る。
のハースロールが用いられる。これらのハースロールは
高温の酸化性あるいは還元性の雰囲気中で長時間連続し
て鋼帯の搬送に使用される。そのため、ハースロール表
面には、鋼帯表面の酸化物や鉄粉などが付着・堆積して
ビルドアップといわれる付着物が形成される。
ると、被熱処理材である鋼帯が搬送される際に、ビルド
アップが鋼帯の裏面(ハースロールと接触する側の面を
裏面、接触しない側の面を表面とする)に押し込まれ、
鋼帯裏面にはビルドアップの転写した押込疵(以下、ハ
ースロール疵と称す)が発生する。このハースロール疵
は鋼帯製品の表面品質を著しく低下させるとともに、ハ
ースロール疵が発生したときには、ハースロールの手入
れのため操業の停止が余儀なくされることもある。
め、ハースロール材質やロール表面粗度などの観点から
種々の対策が提案されている。
は、表面にセラミック溶射層、サーメット溶射層ならび
に金属系溶射層を形成し、耐摩耗性、耐ビルドアップ性
に優れた溶射ハースロールが開示されている。また、特
開平10−168527号公報には、表面に溶射または
めっきを施し、更に表面粗度を1.0μm以下としたハ
ースロールが開示されている。
帯とハースロールとを非接触状態にして通板させるいわ
ゆるフロータ方式のハースロールを用いてハースロール
疵の発生を防止する方法が提案されている。
6−322435号公報や特開平10−168527号
公報に開示された方法では、溶射層の脱落、あるいは溶
射材料と酸化物や鉄粉との反応によりピックアップが生
じ、ハースロール疵の発生の抑制効果が不安定であると
いった問題や、炉内に設けられた多数のハースロールに
溶射を施す必要があるため溶射コストが嵩むといった問
題がある。更に特開平10−168527号公報に開示
された方法ではロール粗度管理が必要となりロール交換
頻度が必然的に高くなりロールコストが嵩むといった欠
点がある。
鋼帯はハースロールと非接触で搬送されるため、ロール
表面に溶射処理を施す必要はないが、高価なフロータ装
置を必要とするため、設備費が嵩むといった問題や、大
幅な設備改造を必要とするため、既存の設備への適用が
難しいといった問題がある。
し、既存設備への適用が容易で、かつ低コストで安定し
てビルドアップに起因したハースロール疵の発生を抑制
することができる鋼帯の連続熱処理方法を提供すること
ことにある。
を解決するため、ハースロールと鋼帯とが接触した際に
ハースロールと鋼帯との間に生じる面圧(以下、ハース
ロール面圧またはロール面圧という)に注視し、種々の
実験および検討を重ねた。なお、鋼帯の厚さを板厚とい
う。
する模式図である。符号11はハースロール、12は鋼
帯、13はビルドアップ、Pはロール面圧、T1、T2
は張力である。なお、以下、張力T1とT2の平均値
((T1+T2)/2)を炉内張力という。
T1、T2を受けハースロール11に案内されて搬送さ
れており、ハースロール11と鋼帯12との接触面では
半径方向の力、すなわちロール面圧Pが発生する。ハー
スロール11の表面にビルドアップ13が生成すると、
これらのビルドアップはロール面圧により鋼帯12の裏
面に押し込まれ、鋼帯裏面に凹状のハースロール疵を発
生させる。
ール面圧と板厚の関係を示すグラフである。同図におい
て、図中の線より上の部分はハースロール疵が発生する
領域で、下の部分はハースロール疵が発生しない領域を
示す。
内張力と板厚の関係を示すグラフである。同図におい
て、図中の線より上の部分はハースロール疵が発生する
領域で、下の部分はハースロール疵が発生しない領域を
示す。
(a)ロール面圧が限界値(以下、ロール限界面圧とい
う)以上になると、ビルドアップが転写してハースロー
ル疵が発生する。
厚ともいう)で整理できる。すなわち、ロール限界面圧
Pc(MPa)は以下の式で表すことができる。
なるように鋼帯に作用する炉内張力を制御することによ
りハースロールの疵を防止することができる。
もので、その要旨は以下の通りである。 (1)鋼帯をハースロールに巻き付けて搬送しながら熱
処理を行う鋼帯の連続熱処理炉において、前記ハースロ
ールに作用する面圧(P)が下記式を満足するように鋼
帯の炉内張力を制御してハースロール疵の発生を抑制す
ることを特徴とする鋼帯の連続熱処理方法。
明の実施の形態を説明する。図4は、本発明の実施の形
態を説明する連続熱処理炉の模式図である。符号21は
ハースロール、22は鋼帯、23は加熱帯、24は均熱
帯、25は冷却帯を示す。
帯23、均熱帯24および冷却帯25からなる複数の処
理帯を有し、それぞれの処理帯には複数のハースロール
21が設けられる。鋼帯22は張力を受けハースロール
21に巻き付けられて搬送される。
帯、均熱帯および冷却帯からなる熱処理炉を示すが、本
発明はこれに限定されるものでなく、公知の熱処理炉で
よい。また、炉内のハースロール全部が対象となりえ
る。
れ、鋼帯を搬送するためのロールであり、公知のハース
ロールを用いることができる。例えば、ロール径が70
0〜900mmで、セラミックス、耐熱合金やサーメッ
トなどを表面に溶射したロールとすることができる。
するロール面圧と鋼帯に作用する炉内張力を示す模式図
である。図5において、張力T1とT2はそれぞれハー
スロール入側および出側の鋼帯に作用する張力であり、
炉内張力TはT1とT2の平均値すなわち(T1+T
2)/2で定義される。
ール21に作用する面圧(P)が下記式を満足するよう
に鋼帯の炉内張力Tを制御してハースロール疵の発生を
抑制することを特徴とする。
帯の炉内張力Tを制御することにより、図2に示すよう
に、ビルドアップの転写によるハースロール疵の発生を
抑制することができる。
とすると、近似的にT・t=R・Pで表されるので、具
体的には、下記の(2)式を満足するように炉内張力T
を設定すればよい。
内の各ハースロールに設けた張力計で各ハースロールの
入側および出側の鋼板に作用する張力の平均値である炉
内張力Tを測定する。この炉内張力が上記(2)式を満
足するように、各ハースロールのトルクの調節を行う。
処理帯に設けた各ハースロールのトルクを調整して、
(2)式を満足するように各ハースロール前後の鋼帯に
作用する炉内張力を設定して熱処理を行った。鋼帯は、
幅:1000mm 厚:0.4〜3.2mmの低炭素鋼
板を用いた。ハースロールは、直径が1000mmの溶
射ロールを用いた。熱処理温度は800℃で、鋼帯の搬
送速度は200mpmとした。表1にハースロールの仕
様を示す。比較例として、(2)式を満足しない過大な
炉内張力を付与した試験も実施した。
けるハースロール疵の発生状況を調査した。表2にハー
スロール疵の発生状況を、疵発生無し:○、疵発生有
り:×、で示す。
13、14、17〜21、23、25〜29、31の本
発明例では、ハースロールの疵の発生は無く表面性状は
良好であった。なお、通板も問題なかった。
2、24、30、32の比較例ではハースロール疵が発
生し、表面性状は不良であった。
う際に、鋼帯とハースロールとの面圧を適正に制御する
ことにより、ハースロール表面に生成したビルドアップ
に起因した鋼帯裏面への押し込み転写疵、すなわちハー
スロール疵を防止することが可能となり鋼帯品質が向上
する。また、大幅な設備改造を行う必要がないので既存
設備への適用が容易であり、低コストで安定した操業が
実現できる。
ある。
厚の関係を示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
模式図である。
圧と炉内張力を示す模式図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 鋼帯をハースロールに巻き付けて搬送し
ながら熱処理を行う鋼帯の連続熱処理炉において、前記
ハースロールに作用する面圧(P)が下記式を満足する
ように鋼帯の炉内張力を制御してハースロール疵の発生
を抑制することを特徴とする鋼帯の連続熱処理方法。 【数1】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30943999A JP4496572B2 (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 鋼帯の連続熱処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30943999A JP4496572B2 (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 鋼帯の連続熱処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001131645A true JP2001131645A (ja) | 2001-05-15 |
JP4496572B2 JP4496572B2 (ja) | 2010-07-07 |
Family
ID=17993020
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30943999A Expired - Fee Related JP4496572B2 (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 鋼帯の連続熱処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4496572B2 (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04110424A (ja) * | 1990-08-31 | 1992-04-10 | Kawasaki Steel Corp | 連続焼鈍炉におけるヒートバックルの防止方法 |
JPH06346154A (ja) * | 1993-06-08 | 1994-12-20 | Nippon Steel Corp | 鋼帯のスリップ防止ロール |
JPH07316667A (ja) * | 1994-05-23 | 1995-12-05 | Nippon Steel Corp | 連続熱処理炉内の通板金属帯蛇行及びスリップ防止方法 |
JPH08269580A (ja) * | 1995-03-30 | 1996-10-15 | Nippon Steel Corp | ハースロール |
JPH10237555A (ja) * | 1997-02-26 | 1998-09-08 | Nkk Corp | 金属帯の連続熱処理装置および連続熱処理方法 |
-
1999
- 1999-10-29 JP JP30943999A patent/JP4496572B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (5)
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JPH10237555A (ja) * | 1997-02-26 | 1998-09-08 | Nkk Corp | 金属帯の連続熱処理装置および連続熱処理方法 |
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---|---|
JP4496572B2 (ja) | 2010-07-07 |
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