JP2001131430A - 難燃性高分子複合材料、難燃性高分子複合材料製造用組成物及び難燃性高分子複合材料成形体 - Google Patents

難燃性高分子複合材料、難燃性高分子複合材料製造用組成物及び難燃性高分子複合材料成形体

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JP2001131430A
JP2001131430A JP35684399A JP35684399A JP2001131430A JP 2001131430 A JP2001131430 A JP 2001131430A JP 35684399 A JP35684399 A JP 35684399A JP 35684399 A JP35684399 A JP 35684399A JP 2001131430 A JP2001131430 A JP 2001131430A
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retardant
flame retardancy
polymer
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Tatsuaki Oda
達明 小田
Makio Nomura
牧夫 野村
Hisakuni Ito
寿国 伊藤
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Ishizuka Glass Co Ltd
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Ishizuka Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で高い難燃性を示す難燃性高分子複合材
料と、それを製造するための難燃性高分子複合材料製造
用組成物、及該難燃性高分子複合材料にて構成された成
形体を提供する。 【解決手段】 高分子材料、無機材料及び金属材料の1
種又は2種以上からなる担持材料粒子1に、珪素成分及
び/又は金属成分と酸素とを含有する化合物層2を複合
化させた構造を有する難燃性付与用複合粒子10を、樹
脂等の高分子材料からなる基質中に分散及び/又はコー
ティング等により表面に定着することにより、例えば難
燃性付与対象材料に高熱が付与された場合に、その高熱
により難燃性付与用複合粒子の化合物層が燃焼を阻害す
る保護膜が形成される。これにより、難燃性付与対象材
料に対して高い難燃性能、具体的にはUL94燃焼性試
験にてテストしたときに、同法のV−0〜V−2の範囲
を充足する難燃性能を付与することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性高分子複合
材料、難燃性高分子複合材料製造用組成物及び難燃性高
分子複合材料成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂材料(高分子材料)は、化学的、物
理的に優れた性能を有し、成形性及び加工性にも優れて
いることにより、広範囲な分野で使用され、需要が伸び
ているが、殆どの樹脂材料は燃えやすいのが大きな欠点
であるため、その使用が制限されており、樹脂材料の難
燃化が望まれている。
【0003】樹脂材料を難燃化するための難燃剤として
は、ハロゲン系難燃剤が主流であるが、ハロゲン系難燃
剤から発生するダイオキシンやフランの問題から環境保
護上好ましくなく、エコロジカルな難燃剤の開発、実用
化が望まれている。ノンハロゲン系のリン系難燃剤もリ
ンの水素化物であるホスフィンが発生し、好ましくな
い。
【0004】また、水酸化アルミニウムや水酸化マグネ
シウム等の無機系難燃剤があり、水酸化アルミニウムは
低有害性、低発煙性、電気絶縁性も良好、しかも低コス
トであるため難燃剤の中では需要量も多い。しかし、問
題点として機械的性質、耐水性の低下、多量(150部
以上)配合するためのコンパウンドの粘度上昇、400
℃以上の高温での難燃効果が低いこと、あるいは成形加
工温度が高い樹脂の加工時に脱水発泡し易い等がある。
【0005】また、水酸化マグネシウムは水酸化アルミ
ニウムと同様の難燃効果があり、水酸化アルミニウムの
欠点である樹脂の加工温度での脱水発泡がないが、酸に
対して弱く、湿度の高い条件では空気中の炭酸ガスと反
応して炭酸マグネシウムが生成して白化したり、コスト
が水酸化アルミニウムに比べ高い等の欠点がある。な
お、これらの無機系難燃剤は単独では難燃効果が小さい
ため、他の難燃剤との併用が必要でもある。この他、ガ
ラス系難燃剤として低融点ガラスを用いたものがある
が、製造工程が複雑で、樹脂への添加量も多く必要であ
り、製造コストも高く、また耐水性にも問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題点を解決して、安価で高い難燃性を示す難燃性高
分子複合材料と、それを製造するための難燃性高分子複
合材料製造用組成物、及該難燃性高分子複合材料にて構
成された成形体を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課
題を解決するために、本発明の難燃性高分子複合材料の
第一の態様は、高分子材料、無機材料及び金属材料の1
種又は2種以上からなる担持材料粒子に、珪素成分及び
/又は金属成分と酸素とを含有する化合物層を複合化さ
せた構造を有する難燃性付与用複合粒子が、高分子材料
からなる基質(以下、高分子基質ともいう)中に分散さ
れ、かつUL94燃焼性試験(本明細書では、第5版:
1996年10月26日によるものを採用する)にてテ
ストしたときに、V−0〜V−2の範囲を充足する難燃
性能を付与したことを特徴とする。
【0008】また、本発明の難燃性高分子複合材料の第
二の態様は、高分子材料、無機材料及び金属材料の1種
又は2種以上からなる担持材料粒子に、珪素成分及び/
又は金属成分と酸素とを含有する化合物層を複合化させ
た構造を有する難燃性付与用複合粒子が、高分子材料か
らなる基質(以下、高分子基質ともいう)の表面に定着
され、かつUL94燃焼性試験にてテストしたときに、
V−0〜V−2の範囲を充足する難燃性能を付与したこ
とを特徴とする。該態様は、上記した第一の態様と組み
合わせることも可能である。
【0009】上記構成によれば、高分子材料、無機材料
及び金属材料の1種又は2種以上からなる担持材料粒子
に、珪素成分及び/又は金属成分と酸素とを含有する化
合物層を複合化させた構造を有する難燃性付与用複合粒
子を、樹脂等の高分子材料からなる基質(すなわち、難
燃性付与対象材料)中に分散及び/又はコーティング等
により表面に定着することにより、例えば難燃性付与対
象材料に高熱(例えば500℃以上)が付与された場合
に、その高熱により難燃性付与用複合粒子の化合物層が
燃焼を阻害する保護膜が形成される。これにより、難燃
性付与対象材料に対して高い難燃性能、具体的にはUL
94燃焼性試験にてテストしたときに、V−0〜V−2
の範囲を充足する難燃性能を付与することが可能とな
る。また、該保護膜の形成効果により、難燃性付与対象
材料への配合量が少量でも十分な難燃性能を付与するこ
とが可能となり、結果として上記複合粒子を含めた難燃
剤の配合量が比較的少量であっても、上記の難燃性能を
達成できる。その結果、最終的に得られる材料の強度や
耐久性、さらには成形性や流動性(例えば射出成形可能
な材質の場合には、金型中での流れ性)などを従来の難
燃剤を用いた場合よりも向上できる効果、すなわち強度
や耐久性、成形性、流動性等の低下を抑制できる効果も
達成できる。難燃性能は、望ましくはV−0を充足する
のがよい。
【0010】上記の化合物層は、加熱により珪素及び/
又は金属の酸化物を主体とするガラス質セラミックスを
生ずるものとすることができる。上記の化合物層に含ま
れる珪素成分及び/又は金属成分は、加熱による酸化等
も相俟ってガラス質セラミックスを生じやすく、また、
その生成される珪素及び/又は金属の酸化物を主体とす
るガラス質セラミックスは耐熱性が高いため、高熱が付
加されたときに極めて強力な保護膜となって、難燃性付
与対象材料に対して一層高い難燃性を付与することが可
能となる。なお、上記のようなガラス質セラミックは、
初めから化合物層の一部をなすものとして存在していて
もよいし、化合物層の一部又は全部が加熱されたときに
ガラス質セラミックに転化する形態でもよい。また、金
属成分としては、例えばTi、Cu、Al、Zn、Ni
及びZr、あるいはその他の遷移金属元素の1種又は2
種以上を採用することができる。なお、本発明の難燃性
高分子複合材料においては、UL94燃焼性試験にてテ
ストしたときに、その燃焼残留物中の珪素成分の酸化物
換算重量含有率WSiと、同じく金属成分の酸化物換算重
量含有率WMとの合計WSi+WMが、0.5〜60重量%
となっているのがよい。WSi+WMが60重量%を超え
ると、複合材料の強度(例えば引張強度等)や伸びとい
った機械的性質が損なわれやすくなり、WSi+WMが
0.5重量%未満では難燃性能向上効果への寄与が不十
分となる場合がある。なお、珪素成分はSiOに換算
する。また、金属成分を含有する場合は、各金属成分
を、含有される金属イオンの価数(X線光電子分光法に
より特定可能である)に対応する組成の酸化物に換算す
る。例えばZn2+が検出されれば対応する酸化物はZ
nOであり、Cuが検出されれば対応する酸化物はC
Oである。
【0011】化合物層や担持材料粒子は、例えば不純物
成分等の形で不可避的に混入するものを除いて、塩素あ
るいはフッ素等のハロゲン成分を含有しないものとして
構成することもできる。これにより、高熱付加時に従来
のような有害ガスを発生しないためエコロジカルな難燃
性材料が実現できる。
【0012】次に、上記化合物層は炭素成分を含有する
ものとして形成できる。当該難燃性付与用複合粒子を難
燃性付与対象材料に複合させる際のなじみ性(親和性)
を向上させ、難燃性付与対象材料に対して難燃性付与用
複合粒子を均一に分散させることが可能となる他、例え
ば難燃性付与対象材料を成形する際の成形性等も向上さ
せることが可能である。
【0013】次に、当該難燃性付与用複合粒子は、加熱
により燃焼阻害性気体を分解生成するものとすることが
できる。この場合、難燃性付与対象材料に高熱が付与さ
れた場合に、燃焼阻害性気体が発生し、該燃焼阻害性気
体が難燃性付与対象材料への難燃効果をさらに向上させ
る。この難燃性向上は、燃焼阻害性気体により燃焼のた
めの酸素が、難燃性付与対象材料付近において相対的に
減少するためであると推測される。
【0014】具体的に、燃焼阻害性気体としては、窒
素、硫黄及び炭素の1種又は2種以上を含有するものが
生成されるものとすることができる。この場合、例えば
窒素含有ガスとしてはNガスやNOガス、NOガ
ス、硫黄含有ガスとしてはSOガス、炭素含有ガスと
してはCOガス等が発生し、それらが難燃性付与対象
材料への難燃効果をさらに向上させる。
【0015】一方、当該難燃性付与用複合粒子の平均粒
径は、0.05〜500μmとするのがよい。平均粒径
が0.05μm未満の場合、当該難燃性付与用複合粒子
の製造が困難になる場合がある他、難燃性付与対象材料
へ複合(添加)した場合に偏在が生じて複合(添加)を
均一にできない場合があるため、難燃性付与効果が低下
したり、難燃性付与対象材料の性能が特にその偏在領域
において低下したりする場合がある。また、500μm
を超える場合、複合(添加)した粒子の分布が不均一に
なる場合がある他、難燃性付与対象材料の特性、例えば
樹脂であれば流動性等の性質が低下したり、難燃性付与
対象材料が外観不良を起こしたりする場合がある。な
お、平均粒径の測定は、例えばレーザー回折式粒度計を
用いることができる。この場合、レーザー回折式粒度計
による測定では、入射レーザー光の凝集粒子による回折
挙動と、孤立した一次粒子による回折挙動とで大きな差
異を生じないため、測定された粒径が、一次粒子単体で
存在するものの粒径なのか、あるいはこれが凝集した二
次粒子の粒径なのかが互いに区別されない。したがっ
て、該方法で測定した平均粒径は、凝集を起こしていな
い孤立した一次粒子も広義に含めた二次粒子の平均粒径
を反映した値となる。なお、難燃性付与用複合粒子の平
均粒径は、望ましくは0.1〜300μmとするのがよ
い。
【0016】基質を構成する高分子材料としては、例え
ば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、
ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン
・スチレン(ABS)、アクリル樹脂等の汎用樹脂、変
性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリカーボネー
ト(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド
(PA)等のエンジニアリングプラスチック及びPC/
ABSアロイ、PC/PBTアロイ、PC/PETアロ
イ、PC/エラストマー、PA/PP、PA/エラスト
マー等のポリマーアロイ等、さらには、イソプレン系、
ニトリル系、エポキシ系等のゴム、エポキシ樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等
の熱硬化性樹脂を用いることができるが、これらに限定
されるものではない。一方、担持材料粒子は、難燃材料
粒子とすることができる。この場合、上述した化合物が
加熱により、例えばガラス質セラミックスを生じること
による難燃性付与効果に加えて、担持材料粒子としての
難燃材料粒子の難燃効果も加わるため、難燃性付与用複
合粒子の難燃性付与対象材料への難燃性付与効果が一層
向上する。このような難燃材料粒子としては、例えば、
エコロジカルなノンハロゲン系難燃材料である水和金属
化合物、白雲母、金雲母、黒雲母、絹雲母等の雲母類、
カオリン、滑石、沸石、ホウ砂、ダイアスポア、石膏等
の鉱物類、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸
化珪素等の金属酸化物、炭酸カルシウム等の金属化合
物、赤燐、ポリリン酸アンモニウム等のリン系化合物、
窒素系化合物等に代表される無機系難燃材料粒子(無機
材料系粒子)、及びリン系、シリコーン系、窒素系の有
機系難燃材料粒子、さらには金属粉末粒子(金属材料系
粒子)等を用いることができる。なお、樹脂への添加
性、難燃効果、コスト等の面において、無機系難燃材料
粒子を用いることが最も好ましい。特に、無機材料系粒
子としては、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウ
ムの少なくともいずれかを主成分とするものを使用する
と、難燃性付与効果が一層高まる。これら水酸化物を用
いた場合、例えば、上記アルコキシドをSiから構成さ
れるものとし、上記金属塩をZn及び/又はNiから構
成されるものとすれば、難燃性付与効果がさらに高ま
る。また、金属粒子(例えば、Al、Ni、Mgを主成
分とする金属)を使用した場合、難燃性付与効果の向上
に加え、例えば本発明の複合材料を電子機器の筐体等に
使用すれば、有害電磁波の漏洩を遮蔽する電磁遮蔽効果
も合わせて達成することができる。
【0017】上記難燃材料粒子は、例えば平均粒径0.
05〜100μmのものを用いることが好ましい。平均
粒径が上記下限値未満の場合、製造が困難になる場合が
ある他、難燃性付与対象材料へ複合(添加)した場合に
偏在が生じ、複合(添加)を均一にできない場合がある
ため、難燃性付与効果が低下したり、難燃性付与対象材
料の性能が特にその偏在領域において低下したりする場
合がある。また、上限値を超える場合、複合(添加)し
た粒子の分布が不均一になる場合がある他、難燃性付与
対象材料の特性、例えば流動性等の性質が低下したり、
難燃性付与対象材料が外観不良を起こしたりする場合が
ある。なお、平均粒径の測定は、レーザー回折式の粒度
測定装置により行うことができる。
【0018】一方、担持材料粒子として高分子材料粒子
を用いることもできる。高分子材料粒子としては、例え
ば熱可塑性高分子材料からなるものや、熱硬化性高分子
材料からなるもの、あるいはそれらの混合材料等を使用
することができる。この場合、難燃性付与対象材料とし
て樹脂を用いた場合に、担持材料としての高分子材料が
樹脂となじみ(親和性)がよいため、当該難燃性付与用
複合粒子が難燃性付与対象材料に対して均一に分散され
ることとなり、難燃性付与対象材料に効果的に難燃性を
付与することが可能となる。高分子材料粒子を用いた場
合、例えば、上記アルコキシドをSiから構成されるも
のとし、上記金属塩をCu及び/又はFeから構成され
るものとすれば、難燃性付与効果をさらに高めることが
できる。
【0019】なお、高分子材料粒子としては、例えば、
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ
スチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・ス
チレン(ABS)等の汎用樹脂、変性ポリフェニレンエ
ーテル(PPE)、ポリカーボネート(PC)、ポリブ
チレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)、ポリアミド(PA)等のエンジニ
アリングプラスチック及びPC/ABSアロイ、PC/
PBTアロイ、PC/PETアロイ、PC/エラストマ
ー、PA/PP、PA/エラストマー等のポリマーアロ
イ等の微粉末粒子を用いることができる。なお、担持材
料粒子として、前記の無機材料系粒子、金属粒子及び高
分子材料粒子の2種以上のものを組み合わせて使用する
ことも可能である。
【0020】次に、上記本発明の難燃性高分子複合材料
は、所定の形状に成形することにより、種々の用途に適
した難燃性高分子複合材料成形体を得ることができる。
成形方法は特に限定されるものではなく、プレス成形、
ブロー成形、押出し成形、射出成形あるいはカレンダ加
工など任意な成形方法を用いることができる。
【0021】上記難燃性高分子複合材料成形体は、例え
ば高分子基質の軟化を伴う再成形を前提としない、最終
成形体(最終的な成形製品はこれに当たる)として構成
することができる。その適用対象は、難燃性が要求され
るあらゆる成形製品であり、特に限定されるものではな
いが、一例を挙げれば以下の通りである。 ・自動車部品:インパネ等の内装部品、バンパー等の外
装部品、エンジン内のプラスチック部品等。 ・一般弱電製品:テレビ、ビデオ、パソコン、オーディ
オプレーヤー、電子レンジ等の家電製品の筐体その他の
部品部材 ・建築用部材(内装部材、外装部材) ・繊維製品(衣料、敷物、カーテンなど) ・ゴムあるいはエラストマー部材:床材、シーリング部
材、耐震材など(基質をなす高分子材料をゴムあるいは
エラストマーとする必要がある) ・シート状部材、塗料等。
【0022】一方、成形体は、高分子基質を軟化させて
所期の二次形状に再成形するための仮成形体とすること
もできる。このような仮成形体を使用することで、最終
的な成形体製品の製造効率を大幅に高めることができ
る。例えば使用する高分子基質の材質が流動性に欠ける
場合には、最終的な二次形状に個別に対応した中間形状
を有するプレフォームを仮成形体として使用すること
で、局所的な材料流動のばらつきを抑制することがで
き、欠陥の少ない製品を能率よく製造することができ
る。
【0023】一方、仮成形体は、前記難燃性付与用複合
粒子が高分子基質中に分散された粒状成形物とし、個々
の粒状成形物よりも大体積の二次形状に再成形するため
のマスターバッチとすることもできる。このようなマス
ターバッチは、射出成形機などの種々の成形機におい
て、流動性の高い成形用素地として活用することがで
き、ひいては成形工程の簡略化と高能率化に大きく寄与
する。この場合、マスターバッチは、高分子基質とは同
質または異質の高分子材料からなる希釈高分子材料とと
もに再成形することにより、自身よりも難燃性付与用複
合粒子の含有量が小さい二次成形体を製造するために使
用することができる。このようにすることで、最終的な
二次成形体中の難燃性付与用複合粒子の含有率を、希釈
高分子材料に対するマスターバッチの配合比率を変更す
ることにより、自由にしかも簡単に調整することが可能
になる。また、マスターバッチの製造時に高分子基質と
難燃性付与用複合粒子との混練を行い、さらに成形時
に、そのマスターバッチが希釈高分子材料と混合される
ことで、高分子基質中への難燃性付与用複合粒子の分散
がいわば2段階に図られ、最終的に得られる二次成形体
中の複合粒子の分散状態をより均一なものとすることが
できるようになる。
【0024】上記本発明の難燃性高分子複合材料に使用
される難燃性付与用複合粒子は、具体的には、以下のよ
うな製造方法により得られたものを使用することができ
る。該製造方法においては、金属元素及び/又はSiの
化合物を溶媒中に分散及び/又は溶解させた溶液(例え
ば、アルコキシド溶液)から発生するゾル状組成物を担
持材料と接触させる工程と、前記ゾル状組成物を乾燥さ
せる工程とを少なくとも含み、前記ゾル状組成物の乾燥
により生成するゲル状組成物を前記担持材料と複合化さ
せて難燃性付与用複合粒子を得るようにする。
【0025】このように、ゾル状組成物を乾燥させてゲ
ル状組成物を担持材料に複合化させる、いわゆるゾルゲ
ル法により難燃性付与用複合粒子を得ることができる。
上記のようなゾルゲル法は簡便な上、特別な装置を必要
とすることもないため、製造コストを大幅に低減するこ
とが可能であり、製造時に従来のような有害物質を発生
することもない。このような製造方法により得られる難
燃性付与用複合粒子は、担持材料にゲル状の金属元素及
び/又はSiの化合物が複合化された構成となる。これ
を樹脂等の難燃性付与対象材料に対して混入ないしコー
ティング等により複合(添加)させると、例えば難燃性
付与対象材料に高熱が付与された場合に、その高熱によ
り難燃性付与用複合粒子中の上記無機化合物がガラス化
ないしセラミック化し、そのガラス化ないしセラミック
化した無機化合物が保護膜となって、難燃性付与対象材
料に対して高い難燃性を付与することが可能となる。ま
た、このような難燃性付与用複合粒子を複合化した材料
は、高熱付加時に従来のような有害ガスを発生しないた
めエコロジカルな難燃性材料となる。なお、上記製造方
法において、ゾル状組成物を担持材料と接触させる工程
は、担持材料をゾル状組成物に浸漬する方法や、担持材
料に対してゾル状組成物を吹き付ける方法等を採用する
ことができる。
【0026】上記担持材料を担持材料粒子とし、その表
面の全面又は一部に前記ゲル状組成物を複合化させて難
燃性付与用複合粒子を得ることができる。この場合、上
記ゾルゲル法によると、担持材料粒子に対して上記無機
化合物を含むゲル状組成物が均一に分散複合化された難
燃性付与用複合粒子を得ることが可能で、例えば、担持
材料粒子の表面を前記ゲル状組成物の被膜で覆った被覆
難燃性付与用複合粒子とする場合、そのゲル状組成物の
被膜は、例えば0.01〜1.0μm程度の薄くて均一
なものとなる。このような難燃性付与用複合粒子を難燃
性付与対象材料に複合(添加)した場合、担持材料粒子
に対して均一かつ薄膜状でゲル状組成物が被膜されてい
るため、その難燃性付与効果は大きく、その難燃性付与
用複合粒子の量が、例えば難燃性付与対象材料に対して
5〜150重量部、好ましくは20〜100重量部程度
の少量添加で十分な難燃性を付与することが可能であ
る。この場合、少量添加であるため、添加する樹脂等の
難燃性付与対象材料の物性変化も少なく、また、コスト
面でも大幅な削減が可能となる。
【0027】上記ゾルゲル法を用いた製造方法は、具体
的には担持材料粒子とゾル状組成物との混合物を作る混
合工程と、その混合物から前記溶媒を蒸発させて乾燥組
成物となす乾燥工程とを含むものとすることができる。
これは、例えば所定の容器にゾル状組成物を入れ、これ
に担持材料粒子を浸漬して混合物とした後に、その混合
物から溶媒を蒸発させるものであり、その混合物を液切
りすることなく溶媒を蒸発・乾燥させることができるた
め非常に簡便な方法である。なお、上記乾燥組成物は粉
砕又は解砕して、難燃性付与用複合粒子として用いるの
がよい。この場合、粉砕又は解砕により難燃性付与用複
合粒子は微粉末化するため、難燃性付与対象材料への混
入ないしコーティング等による複合(添加)の際、その
扱いが容易となり、当該難燃性付与用複合粒子を難燃性
付与対象材料に対して簡便かつ均一に分散複合化させる
ことが可能となる。上記乾燥工程としては、加熱乾燥又
は真空乾燥、及びそれらの併用により行うことができ
る。
【0028】なお、乾燥工程としては、例えば、担持材
料粒子の集積体に振動及び/又は撹拌を加えながら、こ
れにゾル状組成物を接触させつつ行うこともできる。こ
の場合、集積体の振動及び/又は攪拌により乾燥効率が
向上し、乾燥時間を短縮することが可能となる。一方、
担持材料粒子にこれよりも大径の打撃メディアを混在さ
せ、それら担持材料粒子と打撃メディアとの集積体に振
動及び/又は撹拌を加えるものとすることもでき、この
場合、乾燥時間を一層短縮することが可能である。
【0029】次に、上記ゾル状組成物は、金属元素及び
/又はSiのアルコキシドを加水分解することにより製
造するのがよい。このようなアルコキシドを加水分解さ
せて生成したゾル状組成物には、金属元素及び/又はS
iの酸化物が含有され、さらにアルコキシドに由来する
有機物(化合物層中の前記した炭素成分はこれに由来す
るものとなる)が残存することとなる。この酸化物は、
上記した通り高熱によりガラス化ないしセラミック化し
て難燃性付与対象材料に高い難燃性を付与し、また、残
存有機物は、例えば難燃性付与対象材料として樹脂を用
いた場合に、当該難燃性付与用複合粒子を難燃性付与対
象材料に複合させる際のなじみ性(親和性)を向上さ
せ、難燃性付与対象材料に対して難燃性付与用複合粒子
を均一に分散させることが可能である他、難燃性付与対
象材料の成形性等も向上させることが可能である。
【0030】上記ゾル状組成物を作るための溶媒はアル
コールを用いることができる。アルコールは比較的低沸
点であるため、乾燥工程が短時間で行える利点を備えて
いる。このようなアルコールとしては、例えば、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール等を用い
ることができる。その他の溶媒としては、アセトン、ア
セチルアセトン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン等の環状炭
化水素系溶媒、その他の鎖状炭化水素系溶媒、及びこれ
らの混合溶媒(アルコールとの混合溶媒も可)を用いる
ことができる。例えば、ケトン系の溶媒はアルコキシド
を安定化した状態で分散ないし溶解させることが可能で
あり、比較的低沸点のため乾燥工程を短時間で行うこと
ができる。また、炭化水素系の溶媒は含水率が低いた
め、アルコキシドを安定化した状態で分散ないし溶解さ
せることが可能であり、均一な膜厚のゲル状組成物被膜
を形成することができる。
【0031】なお、ゾル状組成物を作るための溶媒の配
合量を25〜98重量%、アルコキシドの配合量を0.
5〜40重量%程度にするのが好ましい。溶媒の配合量
が25重量%未満の場合は、アルコキシドが均一に分散
及び/又は溶解されにくくなることがあり、結果として
ゾル状組成物が担持材料に複合化されにくくなり、例え
ば担持材料粒子を用いた場合には、そのゲル状組成物の
複合化が不均一になったりする場合がある。また、溶媒
の配合量が98重量%を超えると、溶媒を蒸発させる乾
燥工程に長時間を要する場合があり、また、無駄な溶媒
を消費するためコスト高となる。一方、アルコキシドの
配合量が0.5重量%未満の場合、アルコキシドの金属
及び/又はSiのガラス化ないしセラミック化による難
燃効果が低下する場合があり、また、アルコキシドの有
機成分による難燃性付与対象材料へのなじみ性も低下す
る場合がある。また、アルコキシドの配合量が40重量
%を超えると、アルコキシドの溶媒への分散性及び/又
は溶解性が低下し、ゾル状組成物が担持材料に対して均
一に複合化しにくくなる場合がある。
【0032】上記アルコキシドは、Si及び/又はTi
を必須成分とするのがよい。Si及び/又はTiをアル
コキシドの成分として用いると、加水分解されて生成す
る例えばSiOやTiO等の酸化物は、高熱により
ガラス化ないしセラミック化し易いため、特に難燃性付
与効果が高いものとなる。また、これらSi及び/又は
Tiを含むアルコキシドはゲル化しにくいため、安定し
た状態のゾル状組成物を得ることが可能である。なかで
も、特にSiは、生成する酸化物の安定性、ゾル状組成
物の安定性等を考慮すると、アルコキシド成分として最
も優れている。なお、Siを用いたアルコキシドとして
は、例えばテトラエトキシシラン(Si(OC
)等を用いることができ、Tiを用いたアルコキシド
としては、例えばチタンイソプロポキシド(Ti(iso
−OC)等を用いることができる。また、上
記以外の成分としては、例えば、Cu、Al、Zn、N
i及びZrの1種又は2種以上を含有するもの、あるい
はその他の遷移元素を含有するもの等を採用することも
でき、この場合、例えば、アルミニウムイソプロポキシ
ド(Al(OC)等を用いることができる。
なお、アルコキシドの構成成分は目的に応じて変化させ
ることが可能で、この場合、形成されるゲル状組成物被
膜(化合物層)の性質がそれぞれ異なるものとなる。
【0033】一方、上記ゾル状組成物には、無機酸又は
有機酸の金属塩を配合することができる。この場合、金
属塩のカチオン金属元素は、Cu、Al、Zn、Ni、
Fe、Ti及びZrの1種又は2種以上を含有している
のがよく、また、アニオン成分の特に無機酸としては、
酸性気体を水に溶解して得られる酸(以下、酸性気体ベ
ース無機酸という)が使用されているのがよい。なお、
カチオン金属元素としては、上記以外のその他の遷移元
素を用いることも可能で、上記酸性気体とは、水に溶解
したときに酸性を示す気体のことをいう。酸性気体ベー
ス無機酸としては、例えば硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫
酸、及び炭酸の1種又は2種以上を使用することができ
る。このような金属塩をゾル状組成物に含有させると、
難燃性付与用複合粒子が添加された難燃性付与対象材料
に高熱が付与された場合に、前記酸性気体ベース無機酸
に由来する気体、例えばN含有ガスとしてのNガスや
NO ガスやNOガス、S含有ガスとしてのSO
ス、C含有ガスとしてのCOガス等の燃焼阻害性気体
が発生し、それらが難燃性付与対象材料への難燃効果を
さらに向上させる。なお、上記金属塩の具体例として
は、硝酸銅(Cu(NO・3HO)、硝酸亜鉛
(Zn(NO・6HO)等を例示することがで
きる。また、上記の無機酸以外にも、例えば、有機酸と
してシュウ酸、酢酸等を用いることも可能である。
【0034】上記ゾル状組成物中の金属塩の配合量は9
5重量%以下とするのがよい。金属塩の配合量が95重
量%を超えると、難燃性付与効果の主要因たる、アルコ
キシドの金属及び/又はSiのガラス化ないしセラミッ
ク化による難燃性の付与効果が低下し、UL94燃焼性
試験にてテストしたときに、V−0〜V−2の範囲を充
足する難燃性能が達成できなくなる場合がある。なお、
ゾル状組成物において、アルコキシドの重量配合率をW
A、金属塩の重量配合率をWBとしたときに、WA/WBが
0.01〜30の範囲にて設定されていることが好まし
い。WA/WBが0.01未満の場合、アルコキシド成分
に由来するガラス化ないしセラミック化による難燃性付
与効果が十分に得られなくなる場合があり、また、WA
/WBが30を超えると、金属塩に由来する発生ガスに
よる難燃性付与効果が十分に得られなくなる場合があ
り、結果として、難燃性付与用複合粒子の難燃性付与効
果が低下する場合がある。
【0035】上記ゾル状組成物は、溶媒としてのアルコ
ールを25〜98重量%と、アルコキシドとしてのシリ
コンアルコキシドを0.5〜40重量%と、金属塩とし
ての硝酸金属塩を5〜95重量%と、水0.1〜20重
量%とが配合されたものを使用するのがよい。このよう
な各配合量にてゾル状組成物を形成すると、上記ゾルゲ
ル法による担持材料へのゲル状組成物の複合化が均一に
でき、特に担持材料粒子に対しては均一な被膜を形成す
ることが可能となる。その結果、上述したアルコキシ
ド、金属塩に由来する難燃性付与効果を一層効果的に発
揮することができるようになる。
【0036】上記の製造方法においては、例えば、上記
金属塩をアルコールに分散及び/又は溶解させて第一溶
液を作る工程と、その第一溶液にアルコキシドを分散及
び/又は溶解させて第二溶液となす工程と、その第二溶
液に水を加えてゾル状組成物となす工程とを含むものと
することができる。このように、アルコールに対して金
属塩、アルコキシドを順に分散及び/又は溶解し、その
後の第二溶液に水を加える各工程を段階的に行うことに
より、ゾル状組成物を効率良く製造することが可能とな
る。なお、例えば、アルコール等の溶媒にアルコキシド
を分散及び/又は溶解しておき、それに金属塩やアルコ
ール等の溶媒を加えたりすることも可能で、ゾル状組成
物がゲル化しない条件であれば、上記各工程の順序は任
意に変更することが可能である。
【0037】次に、ゾル状組成物の乾燥は、40〜25
0℃の範囲にて行うのがよい。40℃未満の場合は、ゾ
ル状組成物の乾燥に長時間を要してしまう場合があり、
250℃を超えると、ゾル状組成物が分解してしまう場
合がある。なお、減圧乾燥を行う場合は、温度及び圧力
を、ゾル状組成物が安定に担持材料に残存(付着)する
ように調整する必要がある。
【0038】次に、ゾル状組成物中に担持材料粒子を浸
漬することにより混合物を作り、その混合物を液切りす
ることなく乾燥させる工程を行う場合、例えば、ゾル状
組成物1リットル当りの担持材料粒子の混合量は、1g
〜20kg程度とするのがよい。1g未満の場合、難燃
性付与用複合粒子の製造効率が低下し、また、20kg
を超えると、単位担持材料粒子当たりに対するゾル状組
成物の複合量が少なくなり、難燃性付与効果が低減する
場合がある。なお、上記混合量は、好ましくは1kg〜
10kg程度にするのがよい。また、例えば、ゾル状組
成物中のアルコキシド及び金属塩の合計含有量をWs
(単位:g)、担持材料粒子の比表面積値をSg(単
位:g/m)、ゾル状組成物への担持材料粒子の混合
量をWg(単位:g)としたときに、Ws/(Sg×Wg)
が0.002〜2.0g/mとなるように担持材料粒
子の混合量を調整するのがよい。
【0039】上記担持材料粒子の使用可能な材質につい
ては、難燃性付与用複合粒子の構成説明の際に例示した
ものと全く同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0040】難燃性付与用複合粒子は、難燃性付与対象
材料としての上記高分子材料からなる基質中に分散させ
たり、基質表面に定着させたりすることができる。この
ように難燃性付与用複合粒子を複合化した難燃性高分子
複合材料は、上述のアルコキシド、金属塩、難燃材料粒
子等に起因する難燃性付与効果により高い難燃性を示
す。
【0041】なお、上記難燃性付与用複合粒子ととも
に、上記高分子材料からなる高分子基質が昇温により溶
融した場合に、その流動・滴下を抑制する流動抑制補助
剤を高分子基質中に配合することもできる。この場合、
流動抑制補助剤により高分子基質の溶融流動が抑制さ
れ、いわゆる燃焼時のドリップ防止性を向上させること
ができる。
【0042】なお、流動抑制補助剤は、例えば無水ホウ
酸、ホウ酸亜鉛等のホウ酸系無機化合物、赤燐(例え
ば、鈴裕化学製:ノーバレッド(商品名)、日本化学工
業製:ヒシガード(商品名)等)等の燐系無機化合物、
あるいはカーボン(例えば、東ソー製:GREP-EG(商品
名)、UCAR Carbon社製:GRAF Guard(商品名)に代表
される膨張性カーボン等)等の無機材料系のもの、もし
くはシリコーン等を使用することができる。
【0043】本発明の難燃性高分子複合材料において
は、高分子基質中の難燃性付与用複合粒子の含有比率
は、高分子基質100重量部に対して、5〜150重量
部とするのがよい。含有比率が5重量部未満の場合、難
燃性付与効果が不足してUL94燃焼性試験にてテスト
したときに、V−0〜V−2の範囲を充足する難燃性能
が達成できなくなる場合があり、また、150重量部を
超えると、高分子基質の性質を大きく変化させてしまう
等の問題が生じる場合がある。なお、上記含有比率は好
ましくは20〜100重量部とするのがよい。但し、上
記流動抑制補助剤を用いる場合は、難燃性付与用複合粒
子の含有比率は、例えば1〜150重量部程度とするこ
とが望ましい。なお、高分子基質中の難燃性付与用複合
粒子の含有比率を体積分率で表した場合、0.5〜75
体積%とするのがよい。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に示す実施例を参照して説明する。図1は、本発明に
おいて使用する難燃性付与用複合粒子の一実施例を概念
的に示す模式図である。難燃性付与用複合粒子10は、
珪素成分及び/又は金属成分と酸素とを含有し、例えば
加熱によりガラス質セラミックスを生じる化合物層2が
担持材料粒子1に複合化された構成を有し、前述したゾ
ルゲル法により製造することができる。なお、粒子10
は模式的に球状に描いているが、製法により形状は種々
に変化し、必ずしも球状とはならないことも多い。化合
物層2と担持材料粒子1との複合化の形態は、例えば、
図1(a)に示すように、化合物層2が担持材料粒子1
の表面をほぼ全体にわたって均一に被覆された状態が、
難燃効果の発揮という点に関して最も望ましいといえ
る。ただし、良好な難燃効果が維持できる範囲内にて、
図1(b)に示すように、担持材料粒子1の表面に化合
物層2が部分的に付着し、一部の表面が未被覆となって
露出している形態であってもよい。また、化合物バルク
中に難燃性付与用複合粒子10を分散させた塊状物を、
粉砕又は解砕すれば、例えば図1(c)のような構成の
不定形の難燃性付与用複合粒子10となることもある。
いずれにしろ、上記のような複合粒子10を例えば高分
子材料等からなる難燃性付与対象材料からなる基質に複
合化(基質中への分散及び/又は表面定着)すること
で、該難燃性付与対象材料にUL94燃焼性試験にてテ
ストしたときに、V−0〜V−2の範囲を充足する難燃
性能を付与することが可能となる。
【0045】図1(a)において、担持材料粒子1に被
膜ないし付着された化合物層2の厚さは、例えば0.0
1〜1.0μm程度とされる。このような難燃性付与用
複合粒子10を難燃性付与対象材料に複合(添加)した
場合、担持材料粒子1に対して均一かつ薄膜状で化合物
層2が被膜ないし付着されているため、その難燃性付与
効果は大きく、その難燃性付与用複合粒子10の量が、
例えば難燃性付与対象材料に対して5〜150重量部、
好ましくは20〜100重量部程度の少量添加で十分な
難燃性を付与することが可能である。この場合、少量添
加であるため、樹脂等の難燃性付与対象材料の物性変化
も少なく、また、コスト面でも大幅な削減が可能とな
る。
【0046】一方、図2に示すように、難燃性付与用複
合粒子10とともに従来からある難燃材料粒子11を混
合して、これを難燃性付与対象材料に複合(添加)する
ことも可能である。この場合、難燃性付与用複合粒子1
0の難燃性付与効果に加えて、難燃材料粒子11の難燃
性付与効果も相乗的に加わるため、難燃性付与対象材料
は高い難燃性を示すこととなる。
【0047】化合物層2は、例えば図10に模式的に示
すような構造を有しているものと推測される(本図にお
いて分子式は模式的に示したものであって、該分子式が
示す特定の構造を限定的に有していることを意味するも
のではない)。難燃性付与対象材料50の内部又は表面
に複合された化合物層2中には、珪素及び/又は金属
(これらを図中Mで示す)が酸化物又はアルコキシド5
2の状態(例えばSiO 、ZrO、Si(OCnH
m)l(n≧1、m≧1、l≧1)等)、又は単体状態
で含有され、さらに炭素成分51が例えばCnHm(n
≧1、m≧1)の状態で含有されている構造を推定でき
る。
【0048】図3(a)に示すように、上記のような難
燃性付与用複合粒子10は、単独で、あるいは必要に応
じて、難燃性付与用複合粒子とは別の難燃剤や難燃助
剤、充填剤、顔料や染料等の着色剤、分散剤等ととも
に、基質となるべき高分子材料(本実施例では、熱可塑
性樹脂を使用している)41中に配合・混練されてコン
パウンド531とされる。コンパウンド531は、例え
ばペレット等の粒状に成形することによりマスターバッ
チ粒子32とすることができる。マスターバッチ粒子3
2は、例えば球換算した直径による寸法にて0.1〜1
0mm程度(例えば1〜4mm程度)の大きさを有する
ものである。マスターバッチ粒子32の形状は、特に限
定されるものではないが、例えば図3(b)に示すよう
に、軟化させたコンパウンドをストランド状に押し出し
て、これを所定長に切断することにより、柱状(例えば
円柱状)形態の粒子を得ることができる。なお、図3
(c)及び(d)は、マスターバッチ粒子32の別の形
状例を示しており、前者は球状のもの(例えば型成形等
により製造できる)、後者はフレーク状のもの(例えば
シート状物の破砕・整粒により製造できる)を示すが、
これに限定されるものではない。
【0049】以下、上記マスターバッチを用いた成形体
(二次成形体)の製造方法を、図4により、射出成形を
採用する場合を例にとって説明する。射出成形装置50
1は、成形部502、その成形部502に溶融樹脂を供
給するスクリュ式射出装置等の射出装置503等により
構成される。成形部502は、金型505、その金型5
05を型締め及び型開きするための、カムもしくはクラ
ンク機構等の機械式駆動機構や油圧シリンダ等の流体圧
機構等で構成される駆動機構506を備えるとともに、
溶融樹脂を金型505に供給するランナ521には、ス
プル503aを介して射出装置503の射出ノズル50
3bが接続されている。
【0050】射出装置503は、バンドヒータ508等
の熱源で加熱される加熱シリンダ507内に、シャフト
512を介して油圧モータ513により駆動される供給
用のスクリュ509が収容され、これにマスターバッチ
Pを供給するホッパ510が備えられたものである。ス
クリュ509を回転させることによりホッパ510から
マスターバッチPが供給され、加熱シリンダ507内で
加熱により高分子材料基質が溶融されて溶融コンパウン
ドとなり、溜まり部507a内に溜められる。その後、
スクリュ509を油圧シリンダ511により所定距離前
進させると、ノズル503bからランナ521を通って
金型505内に所定量の溶融コンパウンドが射出され
る。
【0051】図5に示すように、金型505のキャビテ
ィ505a内に射出された溶融コンパウンドCは、高分
子材料基質が凝固することにより本発明の高分子複合材
料となり、これを型開きすることにより、キャビティ形
状に対応した高分子複合材料成形体としての二次成形体
36が得られる。
【0052】なお、図6(a)に示すように、マスター
バッチ粒子32を単独で使用して成形体を得るようにし
てもよいが、同図(b)に示すように、マスターバッチ
粒子32の高分子基質と同材質あるいは異材質の高分子
材料からなる希釈高分子材料粒子40を適量配合するこ
とにより、複合粒子の含有率が、マスターバッチ粒子3
2中の含有率よりも小さい二次成形体を製造することも
できる。この場合、二次成形体中の複合粒子の含有率
は、マスターバッチ粒子32中の複合粒子の含有率と、
そのマスターバッチ粒子32に対する希釈高分子材料粒
子40の配合比率によって定まる。
【0053】なお、このような希釈して使用するための
マスターバッチ粒子は、複合粒子の含有率が、例えば重
量比率にて20〜67重量%と高いが、複合粒子をこの
ような高い含有率にて基質中に均一分散させるために、
分散剤を配合することが望ましい。分散剤としては、例
えば金属セッケンを好適に使用することができる。金属
セッケン分は、例えば有機酸成分が、ナフテン酸(ナフ
テート)、ラウリン酸(ラウレート)、ステアリン酸
(ステアレート)、オレイン酸(オレエート)、2−エ
チルヘキサニック酸(オクテート)、あまに油あるいは
大豆油脂肪酸(リノレート)、トール油(トーレー
ト)、ロジン等(レジネート)からなるものを例示でき
る。また、金属の種類は下記のようなものを例示でき
る。 ・ナフテネート系(Al、Ca、Co、Cu、Fe、P
b、Mn、Zn等) ・レジネート系(Al、Ca、Co、Cu、Fe、P
b、Mn、Zn等) ・リノレート系(Co、Fe、Pb、Mn等) ・ステアレート系(Ca、Zn等) ・オクテート系(Ca、Co、Fe、Pb、Mn、Zn
等) ・トーレート系(Ca、Co、Fe、Pb、Mn、Zn
等) これらのうち、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn
を、分散効果に特に優れる金属セッケンの具体例として
挙げることができる。なお、金属セッケンの複合材料中
への配合量は、多すぎると材料強度や均質性に問題が生
じ、少なすぎると分散効果が不十分となるので、これら
の不具合が生じないよう、例えば0.01〜3重量%の
範囲内(例えば0.3重量%)にて選定するのがよい。
【0054】なお、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂(ウレ
タンゴムを含む)あるいはシリコーン樹脂など、未硬化
樹脂成分が含有される主剤と、その未硬化樹脂成分を硬
化させるための成分が含有される硬化剤とからなる2液
混合型の注型樹脂材料、接着剤あるいは塗料を、本発明
の難燃性高分子複合材料として構成することも可能であ
る。具体的には、この目的のため、未硬化樹脂成分を含
有する主剤と、その未硬化樹脂成分を硬化させるための
硬化剤とからなり、難燃性付与用複合粒子を主剤又は硬
化剤の少なくともいずれかに配合されてなり、主剤と硬
化剤とを混合することにより、熱硬化性樹脂を基質とし
てこれに難燃性付与用複合粒子を分散させた難燃性高分
子複合材料が得られるようにした難燃性高分子複合材料
製造用組成物を使用することができる。
【0055】図7に、その具体例についてエポキシ樹脂
の場合を例に取って説明する。すなわち、主剤550
は、例えばビスフェノール系の未硬化エポキシ樹脂成分
中に、難燃性付与用複合粒子と、必要に応じて難燃性付
与用複合粒子とは別の難燃剤や難燃助剤、充填剤、顔料
や染料等の着色剤あるいは分散剤等を配合したものであ
り、適当な溶媒により粘度調整がなされている。一方、
硬化剤551は、アミンやイソシアナート、酸無水物な
どの硬化成分を溶媒中に溶解ないしは分散させたもので
ある。そして、使用する直前に(a)に示すように両剤
550,551を所定比率にて混合し、混合組成物55
2のポットライフ時間内に目的に応じた処置を行う。す
なわち、混合組成物552を注型用樹脂材料として使用
する場合は、(b)に示すようにこれを型553に注型
して硬化させることにより、所期の形状の難燃性高分子
複合材料成形体を得る。また、混合組成物552を塗料
として使用する場合は、(c)に示すようにこれを被塗
装物554の塗装面に塗布して硬化させることにより、
難燃性高分子複合材料塗膜555を得る。さらに、混合
組成物552を接着剤として使用する場合は、(d)に
示すようにこれを被接着物556a,556bの接着面
に塗布して貼り合わせることにより、難燃性接着層55
7により被接着物556a,556bが接着された接着
構造が得られる。
【0056】次に、難燃性付与用複合粒子は高分子基質
の表面に定着することも可能である。図8は、そのいく
つかの例を示している。図8(a)は、高分子基質50
の表面に形成された接着樹脂層560を介して難燃性付
与用複合粒子10を接着形態により定着する例を示す。
なお、高分子基質50中に、さらに難燃性付与用複合粒
子10を分散させておいてもよい(以下も同様)。ま
た、図8(b)に示すように、定着された粒子10の表
面側を、さらに樹脂等によるオーバーコート561で覆
うようにしてもよい。
【0057】図8(c)では、例えば成形金型505の
キャビティの内面に難燃性付与用複合粒子10を塗布し
ておき、次いでキャビティ内を溶融樹脂570で満たし
て凝固させることにより、塗布された粒子10を成形体
536を形成する基質50の表面に一体化させる例であ
る。図8(d)は、複合粒子10の表面を定着樹脂層5
62で予め覆っておき、加熱により定着樹脂層562を
軟化させつつ基質50の表面に付着させた後、樹脂を硬
化させることにより、複合粒子10を定着する例であ
る。この場合、基質50は、不要な変形が生じない程度
の温度にて予熱しておくと、定着樹脂層562の軟化・
付着を容易に行うことができる。図8(e)は、複合粒
子10を基質50表面に投射したり、圧入することによ
り、基質50の表層部に複合粒子10を埋め込む方法で
ある。この場合、基質50の少なくとも表層部を加熱等
により軟化させておくと埋込を容易に行うことができ
る。
【0058】
【実施例】(実施例1)金属塩として硝酸亜鉛六水和物
(Zn(NO・6HO)21.93gをエタノ
ール20ml中に入れ、溶解させた。その液中にテトラ
エトキシシラン(Si(OC)を6.92g
加え、次いで純水4.18gを滴下し、液を撹拌するこ
とでゾル状組成物を作製した。このゾル状組成物中に担
持材料として平均粒径55μmの水酸化アルミニウム7
5gを入れ、撹拌しながら混合した。その後、120℃
の乾燥器に入れ、溶媒分を揮発させて水酸化アルミニウ
ム表面にゲル状組成物のコーティング被膜を形成した。
なお、コーティング被膜の成分を推定するために、ゾル
状組成物のみを乾燥したゲル状組成物を分析したとこ
ろ、Si、Zn、O、N及びCの各元素を含有した化合
物となっていることがわかった。
【0059】上記ゾルゲル法によりコーティングした水
酸化アルミニウム(難燃性付与用複合粒子)とポリプロ
ピレン(グランドポリマー製:J708)の粉末あるい
はペレットとを混合し(ポリプロピレン100部に対
し、水酸化アルミニウム75部)、その後射出成形機に
入れ、180℃にて難燃性テスト用サンプル形状に射出
成形した。難燃性テスト用サンプル形状は、UL94燃
焼性試験に基づき、長さ125mm、幅13mm、厚み
1.6mmとした。
【0060】上記作製した難燃性テスト用サンプルを用
い、UL94燃焼性試験にてテストした結果、同試験の
V−0規格をクリアした。また、燃焼残滓中にはSiO
を含有すると思われるガラス質セラミックが形成され
ていることがわかった。さらに、燃焼中に窒素あるいは
窒素酸化物を含有したガスが発生していることを確認し
た。
【0061】(実施例2)金属塩として硝酸ニッケル六
水和物(Ni(NO・6HO)23.36gを
エタノール20ml中に入れ、溶解させた。その液中に
テトラエトキシシラン(Si(OC)を6.
92g加え、次いで純水4.18gを滴下し、液を撹拌
することでゾル状組成物を作製した。このゾル状組成物
中に実施例1と同様の水酸化アルミニウム75gを入
れ、撹拌しながら混合した。その後、120℃の乾燥器
に入れ、溶媒分を揮発させて水酸化アルミニウム表面に
ゲル状組成物のコーティング被膜を形成した。なお、コ
ーティング被膜の成分を推定するために、ゾル状組成物
のみを乾燥したゲル状組成物を分析したところ、Si、
Ni、O、N及びCの各元素を含有した化合物となって
いることがわかった。
【0062】上記ゾルゲル法によりコーティングした水
酸化アルミニウム(難燃性付与用複合粒子)と実施例1
と同様のポリプロピレンの粉末あるいはペレット250
gとを混合し(ポリプロピレン100部に対し、水酸化
アルミニウム30部)、その後射出成形機に入れ、18
0℃にて難燃性テスト用サンプル形状に射出成形した。
難燃性テスト用サンプル形状は実施例1と同じものとし
た。作製した難燃性テスト用サンプルを用い、UL94
燃焼性試験にてテストした結果、同試験のV−2規格を
クリアした。また、燃焼残滓中にはSiOを含有する
と思われるガラス質セラミックが形成されていることが
わかった。さらに、燃焼中に窒素あるいは窒素酸化物を
含有したガスが発生していることを確認した。
【0063】また、酸素指数法による燃焼試験(JIS
K7201)のために、長さ120mm、幅6.5m
m、厚み3mmのサンプルを作成し、同燃焼試験にてテ
ストした結果、酸素指数値32を得た。
【0064】(実施例3)エタノール配合量を80ml
とした以外は、上記実施例1と同じ配合でゾル状組成物
を作成した。このゾル状組成物中に平均粒径0.85μ
mの水酸化マグネシウム50gを入れ、撹拌しながら混
合した。その後、120℃の乾燥器に入れ、溶媒分を揮
発させて水酸化マグネシウム表面にゲル状組成物のコー
ティング被膜を形成した。上記ゾルゲル法によりコーテ
ィングした水酸化アルミニウム(難燃性付与用複合粒
子)と実施例1と同様のポリプロピレンの粉末あるいは
ペレット250gとを混合し(ポリプロピレン100部
に対し、水酸化マグネシウム50部)、その後射出成形
機に入れ、180℃にて難燃性テスト用サンプル形状に
射出成形した。難燃性テスト用サンプル形状は実施例1
と同じものとした。作製した難燃性テスト用サンプルを
用い、UL94燃焼性試験にてテストした結果、同試験
のV−2規格をクリアした。
【0065】(実施例4)上記実施例1と同じ配合でゾ
ル状組成物を作成した。このゾル状組成物中に実施例1
と同様の水酸化アルミニウム20g、及び実施例3と同
様の水酸化マグネシウム10gを入れ、撹拌しながら混
合した。その後、120℃の乾燥器に入れ、溶媒分を揮
発させて水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムの
表面にゲル状組成物のコーティング被膜を形成した。
【0066】実施例1と同じ方法にて、同形状の難燃性
テスト用サンプルを作製し、UL94燃焼性試験にてテ
ストした結果、同試験のV−2規格をクリアした。ま
た、このサンプルについて、実施例2と同様に酸素指数
を測定したところ、酸素指数値31を得た。
【0067】(比較例1)実施例1と同様の水酸化アル
ミニウム75gとポリプロピレン100gとを混合し、
その後射出成形機に入れ、180℃にて難燃性テスト用
サンプル形状に射出成形した。難燃性テスト用サンプル
形状は実施例1と同じである。この難燃性テスト用サン
プルを用い、UL94燃焼性試験にてテストした結果、
サンプルはテスト開始後直ちに着火した。また、このサ
ンプルについて、実施例2と同様に酸素指数を測定した
ところ、酸素指数値20を得た。
【0068】(比較例2)実施例3と同様の水酸化マグ
ネシウム150gとポリプロピレン100gとを混合
し、その後射出成形機に入れ、180℃にて難燃性テス
ト用サンプル形状に射出成形した。難燃性テスト用サン
プル形状は実施例1と同じである。この難燃性テスト用
サンプルを用い、UL94燃焼性試験にてテストした結
果、同試験のV−0規格をクリアした。
【0069】上記実施例1〜4、及び比較例1,2の結
果を表1にまとめる。
【0070】
【表1】
【0071】これらの結果より、ゾルゲル法によりコー
ティングを施していない比較例の試験品は、ポリプロピ
レン100部に対して75部程度の少量では難燃性付与
効果がなく、大量(例えば150部)に添加する必要が
あることが分かる。これに対し、実施例で示したよう
に、難燃材料にゾルゲル法によりコーティングした試験
品では、少量(例えば30〜75部)でも難燃性付与効
果があることが分かる。
【0072】(実施例5)金属塩として硝酸ニッケル六
水和物(Ni(NO・6HO)93.43gを
エタノール80ml中に入れ、溶解させた。その液中に
テトラエトキシシラン(Si(OC)を2
7.74g加え、次いで純水16.76gを滴下し、液
を撹拌することでゾル状組成物を作製した。このゾル状
組成物中に担持材料として平均粒径55μmの水酸化ア
ルミニウム500gを入れ、撹拌しながら混合した。そ
の後、120℃の乾燥器に入れ、溶媒分を揮発させて水
酸化アルミニウム表面にゲル状組成物のコーティング被
膜を形成した。
【0073】上記ゾルゲル法によりコーティングした水
酸化アルミニウムとポリプロピレン(グランドポリマー
製:J708)の粉末あるいはペレットとを混合し(ポ
リプロピレン100部に対し、水酸化アルミニウム50
部)、その後、押出し成形機により上記の混合ペレット
を作成し、射出成形機により180℃にて難燃性テスト
用サンプル形状に射出成形した。難燃性テスト用サンプ
ル形状は、UL94燃焼性試験に基づき、長さ125m
m、幅13mm、厚み1.6mmとした。このテスト用
サンプルを用い、UL94燃焼性試験にてテストした結
果、同試験のV−2規格をクリアした。
【0074】また、酸素指数法による燃焼試験(JIS
K7201)のために、上記組成について、長さ120
mm、幅6.5mm、厚み3mmのサンプルを作成し、
同燃焼試験にてテストした結果、酸素指数値33を得
た。
【0075】さらに、上記組成について、引張試験法
(JISK7113)に基づいて1号形試験片を作成
し、同試験にてテストした結果、引張強度15.5×1
[Pa]を得た。
【0076】(実施例6)金属塩として硝酸亜鉛六水和
物(Zn(NO・6HO)93.43gをエタ
ノール80ml中に入れ、溶解させた。その液中にテト
ラエトキシシラン(Si(OC)を27.7
4g加え、次いで純水16.76gを滴下し、液を撹拌
することでゾル状組成物を作製した。このゾル状組成物
中に実施例5と同様の水酸化アルミニウム500gを入
れ、撹拌しながら混合した。その後、120℃の乾燥器
に入れ、溶媒分を揮発させて水酸化アルミニウム表面に
ゲル状組成物のコーティング被膜を形成した。
【0077】上記ゾルゲル法によりコーティングした水
酸化アルミニウムと、実施例5と同様のポリプロピレン
の粉末あるいはペレットとを混合し(ポリプロピレン1
00部に対し、水酸化アルミニウム50部)、その後射
出成形機に入れ、180℃にて難燃性テスト用サンプル
形状に射出成形した。難燃性テスト用サンプル形状は実
施例5と同じものとし、UL94燃焼試験を行った。ま
た、実施例5と同様の酸素指数測定用サンプル、及び引
張試験測定用サンプルを作成し、酸素指数法による燃焼
試験、引張試験法による引張強度試験も行った。
【0078】UL94燃焼性試験にてテストした結果、
同試験のV−2規格をクリアした。また、酸素指数法に
よる燃焼試験の結果、酸素指数値29を得た。さらに、
引張試験法による引張試験の結果、引張強度16.1×
10[Pa]を得た。
【0079】(実施例7)金属塩として硝酸亜鉛六水和
物(Zn(NO・6HO)93.43gをエタ
ノール400ml中に入れ、溶解させた。その液中にテ
トラエトキシシラン(Si(OC)を27.
74g加え、次いで純水16.76gを滴下し、液を撹
拌することでゾル状組成物を作製した。このゾル状組成
物中に担持材料として平均粒径1μmの水酸化アルミニ
ウム500gを入れ、撹拌しながら混合した。その後、
120℃の乾燥器に入れ、溶媒分を揮発させて水酸化ア
ルミニウム表面にゲル状組成物のコーティング被膜を形
成した。
【0080】上記ゾルゲル法によりコーティングした水
酸化アルミニウムと、実施例5と同様のポリプロピレン
の粉末あるいはペレットとを混合し(ポリプロピレン1
00部に対し、水酸化アルミニウム50部)、その後射
出成形機に入れ、180℃にて難燃性テスト用サンプル
形状に射出成形した。難燃性テスト用サンプル形状は実
施例5と同じものとし、UL94燃焼試験を行った。ま
た、実施例5と同様の酸素指数測定用サンプル、及び引
張試験測定用サンプルを作成し、酸素指数法による燃焼
試験、引張試験法による引張強度試験も行った。
【0081】UL94燃焼性試験にてテストした結果、
同試験のV−2規格をクリアした。また、酸素指数法に
よる燃焼試験の結果、酸素指数値32を得た。さらに、
引張試験法による引張試験の結果、引張強度23.1×
10[Pa]を得た。
【0082】(比較例3)実施例7と同様の平均粒径1
μmの水酸化アルミニウムとポリプロピレンとを混合し
(ポリプロピレン100重量部に対し、水酸化アルミニ
ウム50重量部)、その後射出成形機に入れ、180℃
にて難燃性テスト用サンプル形状に射出成形した。難燃
性テスト用サンプル形状は実施例5と同じである。この
難燃性テスト用サンプルを用い、UL94燃焼性試験に
てテストした結果、サンプルはテスト開始後直ちに着火
した。また、実施例5と同様の酸素指数測定用サンプル
を作成し、酸素指数法による燃焼試験を行ったところ、
酸素指数値19.7を得た。さらに、実施例5と同様の
引張試験測定用サンプルを作成し、引張試験法による引
張強度試験を行ったところ、引張強度19.6×10
[Pa]を得た。
【0083】(比較例4)ポリプロピレン100gを射
出成形機に入れ、180℃にて難燃性テスト用サンプル
形状に射出成形した。難燃性テスト用サンプル形状は実
施例5と同じである。この難燃性テスト用サンプルを用
い、UL94燃焼性試験にてテストした結果、サンプル
はテスト開始後直ちに着火した。また、実施例5と同様
の酸素指数測定用サンプルを作成し、酸素指数法による
燃焼試験を行ったところ、酸素指数値17.5を得た。
さらに、実施例5と同様の引張試験測定用サンプルを作
成し、引張試験法による引張強度試験を行ったところ、
引張強度22.3×10[Pa]を得た。
【0084】上記実施例5〜7、及び比較例3,4の結
果を表2にまとめる。
【0085】
【表2】
【0086】これらの結果より、ゾルゲル法によりコー
ティングを施した水酸化アルミニウムを添加したポリプ
ロピレンは、高い難燃性を有していることが分かる。し
かしながら、平均粒径の大きい水酸化アルミニウムを用
いると、樹脂特性(引張強度)が低下しており、そこ
で、平均粒径の小さい水酸化アルミニウムを用いると、
樹脂特性(引張強度)を維持したまま難燃性を向上させ
ることが可能であることが分かる。
【0087】なお、本実施例における担持材料粒子につ
いて、ゲル状組成物のコーティング前後の電子顕微鏡写
真を図9に示す。図9(a)はコーティング前の担持材
料粒子で、図9(b)はコーティング後の担持材料粒子
(難燃性付与用複合粒子)であり、担持材料粒子に対し
て均一に化合物層がコーティングされていることが分か
る。
【0088】なお、本明細書において「主成分」あるい
は「主体となる成分」とは、特に断りがないかぎり、最
も重量含有率の高くなる成分を意味するものとして用い
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】難燃性付与用複合粒子の形態をいくつか例示し
て示す模式図。
【図2】難燃性付与用複合粒子に別の難燃剤粒子を配合
して使用する例を示す模式図。
【図3】本発明の難燃性高分子複合材料からなるマスタ
ーバッチの製造方法の一例を、マスターバッチ粒子の種
々の形態とともに示す模式図。
【図4】射出成形機の一例を示す断面模式図。
【図5】射出成形により成形体を製造する一例を示す工
程説明図。
【図6】マスターバッチのいくつかの使用形態を示す説
明図。
【図7】二液混合型樹脂により本発明の難燃性高分子複
合材料を得る方法と、その適用形態をいくつか例示して
示す説明図。
【図8】高分子材料基質の表面に難燃性付与用複合粒子
を定着する方法をいくつか例示して示す工程説明図。
【図9】コーティング前の担持材料粒子、及び担持材料
粒子にコーティングを施した難燃性付与用複合粒子の電
子顕微鏡写真。
【図10】化合物層の分子レベル構造を推測して示す模
式図。
【符号の説明】
1 担持材料粒子 2 化合物層 10 難燃性付与用複合粒子 32 マスターバッチ粒子(仮成形体) 36 難燃性高分子複合材料成形体(二次成形体) 50 高分子材料基質 550 主剤 551 硬化剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 寿国 愛知県名古屋市昭和区高辻町11番15号 石 塚硝子株式会社内 Fターム(参考) 4J002 AC061 BB031 BB032 BB121 BB122 BC031 BC032 BG011 BG021 BG091 BN151 BN152 CC031 CC181 CD001 CF061 CF062 CF071 CF072 CF211 CG011 CG012 CH071 CH072 CK021 CL001 CL002 CP031 DA056 DE046 DE076 DE146 DE217 DE236 DF037 DG047 DH056 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 DK006 DM006 EX038 GH01 GL00 GQ00

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子材料、無機材料及び金属材料の1
    種又は2種以上からなる担持材料粒子に、珪素成分及び
    /又は金属成分と酸素とを含有する化合物層を複合化さ
    せた構造を有する難燃性付与用複合粒子が、高分子材料
    からなる基質(以下、高分子基質ともいう)中に分散さ
    れ、かつUL94燃焼性試験にてテストしたときに、V
    −0〜V−2の範囲を充足する難燃性能を付与したこと
    を特徴とする難燃性高分子複合材料。
  2. 【請求項2】 高分子材料、無機材料及び金属材料の1
    種又は2種以上からなる担持材料粒子に、珪素成分及び
    /又は金属成分と酸素とを含有する化合物層を複合化さ
    せた構造を有する難燃性付与用複合粒子が、高分子材料
    からなる基質(以下、高分子基質ともいう)の表面に定
    着され、かつUL94燃焼性試験にてテストしたとき
    に、V−0〜V−2の範囲を充足する難燃性能を付与し
    たことを特徴とする難燃性高分子複合材料。
  3. 【請求項3】 前記難燃性付与用複合粒子は、加熱によ
    り燃焼阻害性気体を分解生成する請求項1又は2に記載
    の難燃性高分子複合材料。
  4. 【請求項4】 前記燃焼阻害性気体として、窒素、硫黄
    及び炭素の1種又は2種以上を含有するものが生成され
    る請求項3記載の難燃性高分子複合材料。
  5. 【請求項5】 前記難燃性付与用複合粒子の平均粒径が
    0.05〜500μmである請求項1ないし4のいずれ
    かに記載の難燃性高分子複合材料。
  6. 【請求項6】 前記担持材料粒子は難燃材料粒子である
    請求項1ないし5のいずれかに記載の難燃性高分子複合
    材料。
  7. 【請求項7】 前記難燃材料粒子は、無機材料系粒子又
    は金属材料系粒子である請求項6記載の難燃性高分子複
    合材料。
  8. 【請求項8】 前記無機材料系粒子は、水酸化アルミニ
    ウム及び水酸化マグネシウムの少なくともいずれかを主
    成分とするものである請求項7記載の難燃性高分子複合
    材料。
  9. 【請求項9】 前記担持材料粒子は高分子材料粒子であ
    る請求項1ないし8のいずれかに記載の難燃性高分子複
    合材料。
  10. 【請求項10】 前記高分子材料粒子は熱可塑性高分子
    材料からなる請求項9記載の難燃性高分子複合材料。
  11. 【請求項11】 前記高分子材料粒子は熱硬化性高分子
    材料からなる請求項9記載の難燃性高分子複合材料。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の難燃性高分子複合材料の製造に使用され、未硬化の熱
    硬化性樹脂を含有する主剤と、該主剤を硬化させるため
    の硬化剤とからなり、前記難燃性付与用複合粒子を前記
    主剤又は硬化剤の少なくともいずれかに配合されてな
    り、前記主剤と前記硬化剤とを混合することにより、熱
    硬化性樹脂を基質としてこれに前記難燃性付与用複合粒
    子を分散させた難燃性高分子複合材料が得られるように
    したことを特徴とする難燃性高分子複合材料製造用組成
    物。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の難燃性高分子複合材料を所定の形状に成形したことを
    特徴とする難燃性高分子複合材料成形体。
  14. 【請求項14】 前記高分子基質の軟化を伴う再成形を
    前提としない、最終成形体として構成された請求項13
    記載の難燃性高分子複合材料成形体。
  15. 【請求項15】 前記高分子基質を軟化させて所期の二
    次形状に再成形するための仮成形体として使用される請
    求項13記載の難燃性高分子複合材料成形体。
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