JP2001131400A - 樹脂組成物および光学フィルム - Google Patents

樹脂組成物および光学フィルム

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JP2001131400A
JP2001131400A JP31525399A JP31525399A JP2001131400A JP 2001131400 A JP2001131400 A JP 2001131400A JP 31525399 A JP31525399 A JP 31525399A JP 31525399 A JP31525399 A JP 31525399A JP 2001131400 A JP2001131400 A JP 2001131400A
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film
polycarbonate resin
optical film
resin composition
resin
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JP31525399A
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English (en)
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Hiroshi Awaji
弘 淡路
Yoshitaka Nagamatsu
美貴 永松
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 液晶表示装置において、画像の視認性を向上
させるために液晶セルと偏光板との間に位相差フィルム
が積層されている。その材質は主としてビスフェノール
Aからなるポリカーボネート(PC)樹脂の一軸延伸フ
ィルムが用いられ実用化されているが光弾性係数が高い
ために、光弾性複屈折に起因する位相差ムラが発生し、
表示像のカラーバランスやコントラストの低減を引き起
こしやすいという問題を抱えている。 【解決手段】 PC樹脂100重量部に対し、層状珪酸
塩をホストとし、有機オニウム塩をゲストとする層状化
合物を無機灰分量として0.1〜10重量部を、適当な
溶媒中で混合させた後、キャスト法でフィルムとするこ
とにより、かかる問題を解決し、光弾性係数が小さく応
力による表示ムラが生じにくい樹脂組成物および光学フ
ィルムを提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、低光弾
性、加工性にすぐれた光学用樹脂組成物、これからなる
光学フィルム、液晶表示装置に有用な位相差フィルムお
よび液晶表示装置用基板に関する。さらに詳しくは、本
発明は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、層
状珪酸塩をホストとし、有機オニウム塩をゲストとする
層間化合物を無機灰分量として0.1〜10重量部を、
適当な溶媒中で混合させた後、溶媒を除去して得られる
組成物、および前記組成物の溶液をキャスト製膜して得
られる透明性、低複屈折性、耐熱性、耐湿性、製膜性に
すぐれた光学フィルム、位相差フィルムおよび液晶表示
装置用基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートなどの非晶質熱可塑性
樹脂はその透明性から光学フィルムなどの光学部品とし
て利用されている。たとえば、液晶表示装置において、
画像の視認性を向上させるために液晶セルと偏光板との
間に位相差フィルムが積層されている。この位相差フィ
ルムは液晶層を透過した楕円偏光を直線偏光に変換する
役目をしている。その材質は主としてビスフェノールA
からなるポリカーボネート樹脂の一軸延伸フィルムが用
いられ実用化されている。その理由は(1)透明性が高
い、(2)高い屈折率異方性を示す、(3)耐熱性が比
較的高い、など位相差フィルムに要求される性質が優れ
ているからである。しかし、該フィルムを液晶セルに偏
光板とともに貼り合わせた時の貼りムラ、バックライト
や外部環境からの熱を受けることによる構成材料間の熱
膨張差、偏光フィルムの収縮、等により応力が発生す
る。その結果、ビスフェノールAからなるポリカーボネ
ートフィルムは、光弾性係数が大きいために、光弾性複
屈折に起因する位相差ムラが発生し、表示像のカラーバ
ランスやコントラストの低減を引き起こしやすいという
問題を抱えている。
【0003】一方、ポリカーボネート樹脂と層間化合物
からなる組成物としては、特開平7−228762に開
示されているように、溶融状態のポリカーボネート樹脂
に、機械的せん断下で混合(溶融混練)されることを特
徴とする物がある。この方法では、層間化合物の分散が
容易ではないこと、高温下での混合による組成物の着
色、樹脂の分子量低下などの畏れがあり、光学フィルム
用としては問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記光弾性複屈折に起
因する位相差ムラを克服するためには、応力により位相
差の変化しにくい、すなわち、光弾性係数の小さなフィ
ルム材料を使用することが考えられる。光弾性係数の小
さな材料として、特開平07−287122号等にみら
れるオレフィン系の材料や、国際公開WO95/233
353にみられるような特殊ポリカーボネート樹脂が知
られている。しかし、オレフィン系の材料を用いた場
合、フィルムを配向させても複屈折が発現しにくく、延
伸して位相差フィルムとする場合、任意の位相差値を得
ることが困難であり、また、極端に大きな延伸倍率を必
要とし、均一な位相差値を有するフィルムを工業的に得
ることが難しいという問題を抱えている。
【0005】また、特殊ポリカーボネート樹脂の場合、
光弾性係数も適度に小さく、また、配向による位相差の
付与も工業的実施上、特に問題とはならないが、一般に
は、フィルムの耐熱性が高くなり、従来用いられていた
延伸装置をそのまま用いることが出来ず、耐熱性の高い
特殊な延伸装置を必要とする他、延伸加工温度が高く均
一な延伸が困難となり、幅広い範囲での位相差バラツキ
が大きくなるという欠点を有する。この耐熱性を下げる
ためには、可塑剤が使用される。モノマーの可塑剤の場
合、使用量が増えるとフィルムからしみ出るという問題
があるし、高分子量ポリマー系可塑剤の場合、非相溶化
によるヘイズの増加、透過率の低下、すなわち透明性の
低下という問題がある。
【0006】また特開平7−228762に開示されて
いるように、溶融状態のポリカーボネート樹脂に、機械
的せん断下で混合(溶融混練)する方法では、層間化合
物の分散が容易ではないこと、高温下での混合による組
成物の着色、樹脂の分子量低下などの畏れがあり、光学
フィルム用としては品質上問題である。
【0007】本発明は、透明性、加工特性に優れ、かつ
光弾性係数が小さく応力による表示ムラが生じにくいこ
とに加え、簡便な方法で安価な光学用樹脂組成物および
光学フィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリカーボネート樹
脂に対し、層状珪酸塩をホストとし、有機オニウム塩を
ゲストとする層状化合物を、適当な溶媒中で混合させた
後、キャスト製膜してフィルムとすることにより、かか
る問題を解決することを見いだし本発明の完成に至っ
た。
【0009】すなわち本発明の第1は、ポリカーボネー
ト樹脂に対し、層状珪酸塩をホストとし、有機オニウム
塩をゲストとする層状化合物を含む樹脂組成物を内容と
する(請求項1)。
【0010】本発明の第2は、ポリカーボネート樹脂に
対し、層状珪酸塩をホストとし、有機オニウム塩をゲス
トとする層状化合物を含む樹脂組成物から構成される光
学フィルムを内容とする(請求項6)。
【0011】本発明の第3は、該光学フィルムを延伸し
て得られることを特徴とする位相差フィルムを内容とす
る(請求項13)。
【0012】本発明の第4は、該光学フィルムの少なく
とも一方の表面に透明電極層を設けたことを特徴とする
透明導電フィルムを内容とする(請求項14)。
【0013】本発明の第5は、該透明導電フィルムを電
極基板として用いた液晶表示装置を内容とする(請求項
15)。
【0014】本発明の第6は、該透明導電フィルムを電
極基板として用いたタッチパネルを内容とする(請求項
16)。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明における第1の樹脂組成物
は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、層状珪
酸塩をホストとし、有機オニウム塩をゲストとする層状
化合物を無機灰分量として0.1〜10重量部を含む。
【0016】ポリカーボネートの数平均分子量は、好ま
しくは、10000〜110000であり、より好まし
くは、15000〜80000である。
【0017】本発明で用いられる芳香族ポリカーボネー
ト樹脂は、多価フェノール類を共重合成分として含有し
ても良い、1種以上のビスフェノール類と、ビスアルキ
ルカーボネート、ビスアリールカーボネート、ホスゲン
等の炭酸エステル類との反応により製造される。
【0018】ビスフェノール類としては、具体的にはビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパンすなわちビスフェノール
A、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキ
サン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−
メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプ
ロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニ
ル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニ
ルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ジベンジルメタン、4,4′−ジヒドロキシ
ジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、フェノ
ールフタレイン等が挙げられる。この中で代表的なもの
は、ビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン等で
あり、最も一般的にはビスフェノールAが用いられる。
【0019】多価フェノール類は、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂のレオロジー的性質を変化させたり表面摩耗特
性を改良する目的で共重合成分として用いられ、例えば
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
等のトリスフェノール類等が挙げられる。
【0020】本発明に使用される芳香族ポリカーボネー
ト樹脂の製造方法に制限はないが、ビスフェノール類の
アルカリ金属塩と炭酸エステル誘導体とを原料とし生成
ポリマーを溶解する有機溶剤とアルカリ水との界面にて
重縮合反応させる界面重合法、ビスフェノール類と炭酸
エステル誘導体とを原料とし、ピリジン等の有機塩基中
で重縮合反応させるピリジン法、ビスフェノール類とビ
スアルキルカーボネートやビスアリールカーボネート等
の炭酸エステルを原料とし、溶融状態で重縮合させる溶
融重合法が一般に知られている。ここで界面重合法とピ
リジン法で用いられる炭酸エステル誘導体としては、ホ
スゲン、カルボジイミダゾール等が挙げられ、中でもホ
スゲンが入手容易性から最も一般的である。溶融重合法
に用いられる炭酸エステルの具体例については、(a)
ビスアルキルカーボネートとしてジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネ
ート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカ
ーボネート等が、(b)ビスアリールカーボネートとし
てはジフェニルカーボネート、ビス(2,4−ジクロロ
フェニル)カーボネート、ビス(2,4,6−トリクロ
ロフェニル)カーボネート、ビス(2−ニトロフェニ
ル)カーボネート、ビス(2−シアノフェニル)カーボ
ネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ビ
ス(3−メチルフェニル)カーボネート、ジナフチルカ
ーボネート、等が挙げられる。この中では、入手容易性
の点からジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート
等のビスアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネー
ト、ビス(3−メチルフェニル)カーボネート、ビス
(4−メチルフェニル)カーボネート等のビスアリール
カーボネートが好ましく用いられ、中でも反応容易性か
らジフェニルカーボネートが最適である。
【0021】本発明で用いられる芳香族ポリカーボネー
ト樹脂の分子量には特に制限はないが、通常は40℃の
テトラヒドロフラン(THF)溶媒によるゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィ(GPC)において、単分子
量分散ポリスチレンを対照としての重量平均分子量Mw
が15,000以上、靱性や成形容易性から好ましくは
20,000〜80,000程度、最も好ましくは3
5,000〜65,000程度が適当である。
【0022】本発明に用いられる層状珪酸塩としては、
Al、Mg、Li等を含む八面体シート構造を2枚のS
iO4 四面体シート構造がはさんだ形の2:1型が好適
であり、その単位構造である1層の厚みは通常9.5Å
程度である。具体的には、モンモリロナイト、ヘクトラ
イト、フッ素ヘクトライト、サポナイト、バイデライ
ト、スチブンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li
型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、N
a型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨
潤性合成雲母、バーミキュライト、フッ素バーミキュラ
イト、ハロイサイト等が挙げられ、天然のものでも合成
されたものでも良い。
【0023】本発明においては、これらの層状珪酸塩の
陽イオン交換容量(CEC)は30ミリ当量/100g
以上である必要があるが、好適には50ミリ当量/10
0g以上、さらに好適には70ミリ当量/100g以上
であるのが望ましい。陽イオン交換容量は、メチレンブ
ルーの吸着量測定により求めることで測定される。陽イ
オン交換容量が30ミリ当量/100g未満では、層間
への有機オニウムイオンの挿入(インターカレーショ
ン)量が不十分となりポリカーボネート樹脂への分散性
が悪くなるため、組成物の強度や剛性の上昇が十分でな
く成形表面外観も悪くなる。陽イオン交換容量や入手容
易性からこれらの層状珪酸塩の中でも、モンモリロナイ
ト、ヘクトライト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li型
フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na
型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母が好適に用いら
れ、特に入手容易性からはベントナイトを精製して得ら
れるモンモリロナイトが、純度の点ではLi型フッ素テ
ニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素
フッ素雲母等の膨潤性フッ素雲母が本発明には最適であ
る。
【0024】本発明に用いられる層間化合物のゲストと
してはポリエチレングリコール鎖を有する有機オニウム
イオンがあげられる。ここで有機オニウムイオンとは、
アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウ
ムイオン、複素芳香環由来のオニウムイオン等に代表さ
れる構造を持つものである。本発明における該オニウム
イオンを存在させることにより、負に帯電した珪酸塩層
の層間に分子間力の小さい有機構造を導入することがで
き、ポリカーボネートとの親和性を示すことにある。本
質的にそのオニウムイオン種に制限はないが、該イオン
がポリカーボネート親和性の構造である芳香環を有する
ことが、組成物から得られるフィルムの透明性向上の点
で重要である。。オニウムイオン種としては入手容易性
と安定性の観点から、アンモニウムイオン、ホスホニウ
ムイオンの構造が好適である。
【0025】本発明の樹脂組成物の原料として好適に用
いられる、陽イオン交換容量が30ミリ当量/100g
以上の層状珪酸塩をホストとし有機オニウムイオンをゲ
ストとする層間化合物とは、有機オニウムイオンを、負
の層格子および交換可能なカチオンを含有する粘土と反
応させる公知の技術(例えば特公昭61−5492号公
報、特開昭60−42451号公報等に記載)により製
造される、層間に該オニウムイオンが挿入(インターカ
レーション)された化合物を意味する。該層間化合物の
調製は、例えば特願平5−245199号、特願平5−
245200号等に記載された4級アンモニウムイオン
挿入反応及び精製方法等により行われる。
【0026】層間化合物中の有機オニウムイオンの量
は、原料の層状珪酸塩の陽イオン交換容量に対し0.8
〜2.0当量の範囲であれば特に制限はないが、通常の
反応条件では1.0〜1.3当量程度のものとなる。こ
の量が0.8当量よりも少ないと、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂への分散性が低下し、2.0当量より多いと該
オニウムイオン由来の遊離化合物が顕著となり、成形時
の熱安定性低下、発煙、金型汚染、臭気等の原因となる
場合がある。
【0027】層間化合物の水分量は、ポリカーボネート
樹脂組成物からなるフィルム製造時の望ましくない濁り
や発泡を抑制するために、5wt%以下、好ましくは3
wt%以下、最も好ましくは1wt%以下に制御するこ
とが望ましい。該水分量が5wt%を超えると得られた
フィルムに濁りや発泡の発生が顕著となり、光学フィル
ムとしての性能・品質が大きく低下する。
【0028】本発明のポリカーボネート樹脂組成物にお
いては、透明性保持、弾性率向上および光弾性低下効果
発現の観点から層状珪酸塩を無機灰分量として0.1〜
10重量%、好適には0.3〜8重量%、さらに好適に
は0.3〜5重量%含むのが望ましい。ここで無機灰分
量とは、ポリカーボネート組成物の有機成分を650℃
の電気炉内で完全に焼失せしめた残渣の重量分率のこと
である。該無機灰分量が0.1重量%未満の場合は弾性
率の向上が顕著でなく、一方10重量%を超えると、靱
性と透明性の低下が大きく、いずれの場合も好ましくな
い。なお、層間化合物を添加する場合は各々単独で用い
てもよく併用してもよい。
【0029】本発明の組成物の製造方法としては、ま
ず、適当な溶媒に層状珪酸塩を加え、攪拌、超音波処理
などにより十分分散させる。陽イオン交換能を持つ層状
珪酸塩の層間陽イオンの有機オニウムイオンによる交換
現象において、有機オニウムイオンの構造制御により層
間の疎水性を変化させ、構造が制御された有機オニウム
イオンのインターカレーションによる層間引力の低減と
層間距離の増大の相乗効果により、溶媒中での攪拌のよ
うな簡便な手段でも劈開分散が容易に達成される。次い
で、この分散液にポリカーボネート樹脂を均一に溶解さ
せてドープ液を調製し、溶媒を蒸発除去することで組成
物が得られる。
【0030】本発明の組成物は、一般に溶液からのキャ
スト法や溶融押し出し法によりフィルムに加工される。
しかし、光学フィルムは高度な厚み精度や光学等方性な
どの均一性を要求されるため溶液からのキャスト法が好
ましく用いられる。溶剤としては、ジクロロメタン、ク
ロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロアルカ
ン類、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、
1,4−ジオキサンなどの環状エーテル類、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
などのケトン類、クロロベンゼンなどの芳香族溶剤が用
いられる。このうち、ジクロロメタン、1,2−ジクロ
ロエタン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサ
ン、シクロヘキサノン、クロロベンゼンなどが溶解性と
ドープ安定性の面から特に好ましい。これらは、単独溶
剤でもよいし、二種以上の混合溶剤でもよい。樹脂の濃
度としては、本発明の光学フィルムのために15重量%
から35重量%が用いられる。
【0031】本発明における、特定の陽イオン交換容量
の層状珪酸塩に有機オニウムイオンをインターカレーシ
ョンした層間化合物は、ポリカーボネート樹脂マトリッ
クスに対し極めて優れた劈開分散性を有し、樹脂マトリ
ックス中に微分散され、ポリカーボネート樹脂の透明性
を維持しながら、極めて効率的に強度や剛性を向上さ
せ、フィルムにおいて応力に対して複屈折が発生しにく
いという性質(低光弾性)を発現させる。
【0032】その、光弾性係数が小さいため応力により
位相差が発生しにくく、生産性良く高品位のフィルムを
製造することが可能となる。
【0033】本発明のフィルムの膜厚は用途に応じて選
択すればよいが、一般的には、10〜500μm、好ま
しくは、30〜300μm、より好ましくは50〜10
0μmの範囲が用いられる。
【0034】本発明フィルムの分子を配向させ位相差フ
ィルムとする事が出来る。一般的には、一軸あるいは二
軸に加熱延伸することにより分子を配向する事が出来
る。一軸延伸法としては、テンター法による横一軸延
伸、ロール間による縦一軸延伸、ロール間圧延法などの
任意の方法が用いられる。その他、必要により湿式延伸
法を採用することもできる。また、フィルムの三次元屈
折率を制御するために、特開平2−160204号、特
開平4−230704号、特開平5−157911号な
どにみられるような、特殊な延伸方法も好適に用いるこ
とが出来る。延伸温度は、使用する樹脂のガラス転移温
度(Tg)に依存し、(Tg−30)℃〜(Tg+3
0)℃、好ましくは、(Tg−20)℃〜(Tg+2
0)℃の範囲が用いられる。温度がこの範囲より低いと
均一配向が困難になり、この範囲より高いと配向の緩和
が起こり期待された配向度が得られないうえに配向制御
が困難になるため好ましくない。好ましい位相差の範囲
は、用途により適宜選択することが出来る。一般には、
λ/4位相差フィルムとして用いる場合は100nmか
ら200nmの範囲が選択され、λ/2位相差フィルム
として用いる場合は、200nmから350nmの範囲
が選択される。また、STN型液晶表示装置の色補償用
として用いる場合は、液晶表示装置の方式により、40
0nmから2000nmの範囲で選択される。必要とさ
れる位相差は、延伸温度や延伸倍率を調節する事により
得ることが出来る。
【0035】また、本発明フィルムは液晶表示装置用基
板としても好適に用いることが出来る。本発明フィルム
を用いた液晶表示装置は、使用環境下での偏光板の収縮
により該基板に応力がかかっても、位相差を生じること
がないため、表示品位を損なうことが無いという特徴を
有する。該基板として用いる場合、フィルムの位相差
は、20nm以下、より好ましくは10nm以下であ
り、その位相差バラツキは10%以下が好ましく、ま
た、その吸収軸の方向バラツキは±5°の範囲にあるこ
とが望ましい。また、表示像が視野角度により変化する
ことを防ぐため、フィルムの二軸性は小さく保つ方が好
ましい。フィルムの面方向から測定した位相差R(0)
と、光軸に対して直交方向へ45°傾けて測定した位相
差(R(45))の比(R(45)/R(0))で、フ
ィルムの二軸性を表すことが出来る。R(45)/R
(0)は、好ましくは、5以下、より好ましくは3以
下、更に好ましくは1.5以下である。また、液晶表示
装置がSTN型の液晶表示装置の場合、前記位相差フィ
ルムを該液晶表示装置用基板として用いることも可能で
ある。
【0036】液晶表示装置用基板として用いる場合、一
般には、該フィルムの少なくとも一方の表面に酸素や水
蒸気に対するバリヤー性を付与するため単層または複数
層からなるガスバリヤー層や、透明電極層が形成され
る。
【0037】ガスバリヤー層としては、各種ガスバリヤ
ー層を用いることができる。ガスバリヤー層を形成する
前に、フィルムとの密着性を上げるため、アンカーコー
ティングを施す場合もある。有機材料系のガスバリヤー
層としては、ポリビニールアルコール、ビニールアルコ
ールーエチレン共重合体等のビニールアルコール系重合
体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリルーアクリ
ル酸メチル共重合体やアクリロニトリルースチレン共重
合体のアクリロニトリル系重合体、あるいはポリ塩化ビ
ニリデン等の有機高分子材料からなる層を用いることが
できる。これらの材料は、本発明フィルム上にグラビア
コーターやリバースコーターを用いて湿式コーティング
法により成膜を行いガスバリヤー層とする事ができる。
ポリビニルアルコール系のバリヤー層を用いる場合、吸
湿により酸素バリヤー特性が急激に低下するため、別
途、水蒸気バリヤー層を形成させることが好ましい。
【0038】また、無機系のガスバリヤー層としては、
二酸化珪素あるいはこれを主成分として含み、一酸化珪
素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物の1種以上を含
む化合物、及び/または、窒化珪素、あるいはこれを主
成分として含み、窒化アルミニウムなどの金属窒化物の
1種以上を含む化合物を用いることができ、この化合物
の具体例としては、例えばSiOx、SiAlNなどが
あげられる。前記無機系バリヤー薄膜、すなわち珪素酸
化物を主体とした金属酸化物、及び/または、珪素窒化
物を主体とした金属窒化物のうちでもSiOx、特にx
の値が1.3〜1.8、好ましくは1.5となるもの
が、酸素ガスおよび水蒸気バリヤー性の点から好まし
い。これら無機系バリヤー層は、スパッタや電子ビーム
蒸着法のような物理的気相堆積法(PVD)の他、化学
的気相堆積法(CVD)によって成膜することもでき
る。また、ポリシラザンなどの有機金属化合物層を本発
明フィルム上に形成させた後熱分解することにより形成
させることもできる。
【0039】これらバリヤー層は、単独で用いても良
く、また、複数以上を併用しても構わない。特に、有機
系バリヤー層と無機系バリヤー層を併用した場合、バリ
ヤー層のクラックピンホールに対する有機系バリヤー層
の優れた耐性と、特に水蒸気に対する無機バリヤー層の
優れた耐性が相乗効果を成すため、特に好ましい組み合
わせである。なかでも、ポリビニルアルコール系のバリ
ヤー層と、電子ビーム蒸着法により成膜したシリカまた
はアルミナのバリヤー層との組み合わせが特性上最も好
ましい。この時、各層の密着性を向上する目的でそれぞ
れの層の間に、アンカーコート層を設けることができ
る。アンカーコート層として、ポリジメチルシロキサン
等のシロキサン系硬化物や、ウレタン系・エポキシ系の
硬化物層が好適に用いられる。これら硬化物層を形成さ
せる方法は特に限定されず、熱硬化法や紫外線硬化法・
電子ビーム硬化法を用いることができる。有機バリヤー
層上に硬化物層上を形成させ更に無機系バリヤー層を形
成することが、有機バリヤー層を外界から保護するとい
う意味で好ましい。そのため、硬化物上に無機バリヤー
が形成されるが、無機バリヤー層は、成膜中に該層を形
成させる基材からの低分子量物が揮発すると形成される
膜質が好ましくない変化を受け、所望する特性が得られ
ない場合がある。硬化物を硬化させる方法として、電子
ビーム硬化法は、高温に加熱することなく未硬化物を少
なくすることができるという特徴を有しており、好まし
い硬化方法である。
【0040】また、透明電極層は、各種加工の最上層に
設けられ、インジウム酸化物を主体とする金属酸化物が
好ましい。該層は、目的により、本発明フィルムに直接
形成されることもあれば、前記バリヤー層上に形成され
ることもあり、また、バリヤー層上に密着性改善のため
の中間層を設けその上に形成されることもある。該透明
導電層は、液晶表示装置の電極として用いる場合、厚さ
20〜400nm程度、好ましくは50〜200nm程
度、さらに好ましくは80〜150nm、光線透過率8
0%以上、好ましくは85%以上、シート抵抗100Ω
/□以下、好ましくは50Ω/□以下の透明導電性薄膜
である。前記透明導電性薄膜の厚さが60〜150nm
程度の範囲内の場合には、シート抵抗および光線透過率
の双方を目的の範囲にしやすい。また、前記透明導電性
薄膜の光線透過率が85%程度以上の場合には、透明導
電性フィルムの透明性も良好にしうる。前記インジウム
酸化物を主体とする金属酸化物とは、酸化インジウムま
たはこれを主成分、具体的には80%(重量%、以下同
様)以上、さらには90〜95%含み、酸化スズ、酸化
カドミウムなどの他の金属酸化物の1種以上を20%以
下、さらには5〜10%含む化合物であり、この化合物
の具体例としては、例えばITO、CdIn2O4など
があげられる。前記インジウム酸化物を主体とした金属
酸化物のうちでもITO、とくに金属換算でスズが10
%以下、好ましくは5〜10%のものが、高い透明性を
維持しつつシート抵抗を下げる点から好ましい。
【0041】これら透明電極層は、無機系ガスバリヤー
と同じく、PVDやCVDの他、有機金属の熱分解法に
よっても形成させることができる。
【0042】また、上記、ガスバリヤー層や透明導電層
に加えて、液晶表示装置のカラー化を目的として、色素
などを用いたカラーフィルター層を設けることもでき
る。
【0043】このようにして得られた透明導電フィルム
を液晶表示装置用の電極基板として用い、公知の方法に
より、液晶表示装置を組み立てることができる。
【0044】更に、本発明フィルムは抵抗膜式タッチパ
ネル用基板としても、好適に用いることが出来る。特開
平3−121523や、月刊ディスプレィ1999年1
月号67頁((株)テクノタイムズ社刊)にみられるよ
うな、インナータイプ型のタッチパネルには、光学的特
性の制御されたフィルムが必要とされ、ビスフェノール
Aタイプのポリカーボネートを用いることが試みられて
いる。この様なタッチパネルの場合、偏光板とタッチパ
ネル用基板が貼合されて用いられるが、偏光板の収縮に
よる応力で基板の光学的特性が変化し、表示像に好まし
くない影響を与えるが、本発明光学フィルムを用いるこ
とにより、光学的特性の安定したタッチパネル用基板を
得ることが出来る。また、特開平10−48625号な
どにみられるように、位相差フィルムとタッチパネルを
組み合わせて用いる事が知られている。この様なタッチ
パネルにおいて、本発明フィルムを用い、特に、位相差
フィルムをタッチパネル用基板として用いることも有用
である。
【0045】タッチパネル用基板用途においても、本発
明フィルムは液晶表示装置用基板と同様に透明導電層を
表面に形成する。タッチパネル用基板は、必要により、
液晶表示装置用と同様の水蒸気バリヤー層を形成するこ
とも、タッチパネル内での好ましくない結露を防止する
ためには有効である。透明導電層のシート抵抗値は、2
00〜2000Ω/□、より好ましくは、300〜10
00Ω/□である。対向する表面との接触による好まし
くない光干渉模様(ニュートンリング)を防止する目的
で、透明導電層を形成させる表面は、フィラーを含有す
るコーティング処理や磨耗処理により予め粗面化してお
くことも可能である。タッチパネル用基板の光線透過率
を向上するため、透明導電層での光反射を防止する目的
で、透明導電層の下に屈折率の異なる層を多層設けて反
射率を低減することもできる。酸化インジウムを主体と
した透明導電層の下層に、シリコンの酸化物を主体とし
た低屈折率の層を形成させ、更に、その下層に、チタン
やジルコニウムの酸化物を主体とした高屈折率層を設け
た、三層からなる薄膜は、好ましい組み合わせである。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例にて具体的に説明する
が、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0047】フィルムの各物性値は以下のようにして測
定した。 厚み:フィルムから10mm×150mmのサイズでM
D、TD方向それぞれ5枚の試験片を切り出した。温度
20℃±2℃、湿度60%±5%において、各試験片の
5ヶ所をミツトヨ製デジマティックインジケーターを用
いて測定し、その平均値をフィルムの厚みとした。 引張弾性率:MD方向サンプル(幅15mm×チャック間
100mm)を使用し、引張速度20mm/minで測定した。n=5の
うち上端あるいは下端で破断したものを除外し平均値を
算出した。 位相差:フィルムから50mm×150mmのサイズでM
Dの試験片を切り出した。温度20℃±2℃、湿度60
%±5%において、王子計測製KOBRA 21−SD
Hを用いて、各試験片について無加重における位相差値
R(0)を測定した。 光弾性係数:における各試験片について、温度20
℃±2℃、湿度60%±5%において、王子計測製KO
BRA 21−SDHを用いて、各試験片について0.
5Kgの加重を架けて位相差値R(w)を測定した。次式
より光弾性係数を算出した。 光弾性係数(cm2/dyne)={R(w)−R(0)}×1
-7×(50×10-1)/(0.5×9.8×105) ガラス転移温度:フィルムから試験片を約4mgに切
り出し、島津製DSCを用いて、200℃まで20℃/
minの昇温速度で測定した。DSCプロファイルの変
化点からガラス転移温度を求めた。 全光線透過率とヘイズ:フィルムから50mm×50mm
のサイズで試験片を切り出し、日本電色工業製濁度計N
DH−300Aを用いて、温度20℃±2℃、湿度60
%±5%において3ヶ所を測定し、その平均値を算出し
た。
【0048】比較例1 ビスフェノールAタイプのポリカーボネート樹脂を用い
て塩化メチレン溶液(16重量%)を調製し、溶液流延
法によりフィルムを作製した。フィルムの物性値を表1
に示す。
【0049】実施例1 層間化合物としてポリオキシプロピレン(25)メチルジエ
チルアンモニウムイオンをゲストとする粘土鉱物(ヘク
トライト)2部を塩化メチレンに攪拌しながら1時間分
散させた。この分散溶液にビスフェノールAタイプのポ
リカーボネート樹脂100部を徐々に追加して溶解し組
成物溶液(16重量%)を調製した。これをバーコータ
ーを用いてガラス基板上にキャストした。室温で10分乾
燥後、フィルムを基板から引き剥がし、オーブンにて80
℃で10分、120℃で10分乾燥してフィルムを得た。比較
例1に比べ、弾性率が増加し、光弾性係数が低下してい
ることが確認された。得られたフィルムの物性値を表1
に示す。
【0050】実施例2 層間化合物としてポリオキシプロピレン(25)メチルジエ
チルアンモニウムイオンをゲストとする粘土鉱物(ヘク
トライト)5部を用いて実施例1と同様にフィルムを作
製した。得られたフィルムの光弾性係数が、比較例1に
比べ、低下していることが確認された。得られたフィル
ムの物性値を表1に示す。
【0051】実施例3 層間化合物としてジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニ
ウムイオンをゲストとする粘土鉱物(ヘクトライト)5
部を用いて実施例1と同様にフィルムを作製した。得ら
れたフィルムの光弾性係数が、比較例1に比べ、低下し
ていることが確認された。得られたフィルムの物性値を
表1に示す。
【0052】実施例4 層間化合物としてテトラデシルベンジルジメチルアンモ
ニウムイオンをゲストとする粘土鉱物(ヘクトライト)
5部を用いて実施例1と同様にフィルムを作製した。得
られたフィルムの光弾性係数が、比較例1に比べ、低下
していることが確認された。得られたフィルムの物性値
を表1に示す。
【0053】
【表1】 実施例5 実施例4の樹脂組成物を用いて連続的な溶剤キャスティ
ング法により位相差9nm、遅相軸のバラツキが±5°
以下のロールフィルムを作成した。更に、フィルム上に
アクリル系UV硬化型ハードコートをコーティングした
のち、200×660mmのターゲットを3台備えたマ
グネトロンスパッタ装置を用いて、始めにフィルムの片
面にガスバリヤー層を成膜し、更に、フィルムの他方の
面にガスバリヤー膜、透明導電膜を順次形成した。バリ
ヤー膜用ターゲットとしてSiO 2 、透明導電薄膜用タ
ーゲットとして酸化スズ比10%のITO、スパッタガ
スとしてバリヤー薄膜はアルゴン流量100sccm、
酸素1sccmで総ガス圧2.0mTorr、ITOで
はアルゴン350sccm、酸素3.5sccm、総ガ
ス圧5mTorr、パワー条件としてバリヤー薄膜はR
F3kW(2.27W/cm2)、ITOはDC5.0A
250V(0.96W/cm2)となるようにして成膜
を行った。バリヤー薄膜は3分処理し、45nm、IT
Oは3分処理し、100nmとなる透明導電フィルムを
得た。得られたフィルムは、シート抵抗50Ω/□、光
線透過率80%、酸素ガスバリヤー性0.5cc/m2
day、水蒸気バリヤー性0.1g/m2/day、であ
る透明導電フィルムが得られた。更に、この透明導電フ
ィルムを用いて、透明電極層を対向させるように配置
し、公知の方法にて液晶表示装置を組み立てた。
【0054】実施例6 実施例4で得られた未延伸フィルムを用いて、フィルム
上にアクリル系UV硬化型ハードコートをコーティング
したのち、DCマグネトロンスパッター法により、IT
Oの成膜を行った。ITOの膜厚は約20nm、シート
抵抗は450±10Ω/□であった。この透明導電膜付
き位相差板に電極として端部に銀電極を印刷し、別に用
意した5mmピッチのスペーサーと、銀電極を印刷した
透明導電ガラスを導電膜が向かい合うように両基板の周
囲に絶縁性接着材を塗布して接着し透明タッチパネルを
作成した。バックライト付のTFTカラーTN液晶表示
装置のバックライトと反対側(観察側)の偏光板と液晶
セルのあいだに、タッチパネルを配置し、ペンによる押
圧が液晶セルに伝搬しないようタッチパネルと液晶表示
装置のあいだは0.5mm程度空隙が開くように周囲に
ギャップ剤入りの粘着剤を塗布し接着し、透明タッチパ
ネル付液晶表示装置を作製した。
【0055】
【発明の効果】本発明により、応力により位相差の変化
が少なく、かつ、適度な配向性と耐熱性を有する光学フ
ィルムを得ることが出来る。該光学フィルムを用いるこ
とにより、応力に対して表示特性が低下しにくい、位相
差フィルム、透明導電フィルム、液晶表示装置やタッチ
パネルを得ることができる。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 層状珪酸塩をホストとし、有機オニウム
    塩をゲストとする層間化合物とポリカーボネート樹脂か
    らなる樹脂組成物であって、層間化合物を有機溶媒に分
    散させ、これにポリカーボネート樹脂を溶解させたの
    ち、溶媒を除去することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリカーボネート樹脂100重量部に対
    し、層状珪酸塩をホストとし、有機オニウム塩をゲスト
    とする層間化合物を無機灰分量として0.1〜10重量
    部含むことを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリカーボネート樹脂がビスフェノール
    Aからなるポリカーボネート樹脂であることを特徴とす
    る請求項1、2記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 層間化合物が芳香族環を有する有機オニ
    ウムイオンをゲストとすることを特徴とする請求項1〜
    3記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 層状珪酸塩が、スメクタイト系であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4記載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 層状珪酸塩をホストとし、有機オニウム
    塩をゲストとする層間化合物とポリカーボネート樹脂か
    らなる樹脂組成物であって、層間化合物を有機溶媒に分
    散させ、これにポリカーボネート樹脂を溶解させたの
    ち、溶媒を除去することを特徴とする樹脂組成物からな
    る光学フィルム。
  7. 【請求項7】 ポリカーボネート樹脂100重量部に対
    し、層状珪酸塩をホストとし、有機オニウム塩をゲスト
    とする層間化合物を無機灰分量として0.1〜10重量
    部含むことを特徴とする樹脂組成物からなる請求項6記
    載の光学フィルム。
  8. 【請求項8】 ポリカーボネート樹脂がビスフェノール
    Aからなるポリカーボネート樹脂であることを特徴とす
    る請求項6、7記載の光学フィルム。
  9. 【請求項9】 層間化合物が芳香族環を有する有機オニ
    ウムイオンをゲストとすることを特徴とする請求項6〜
    8記載の請求項4記載の光学フィルム。
  10. 【請求項10】 層状珪酸塩が、スメクタイト系である
    ことを特徴とする請求項6〜9記載の光学フィルム。
  11. 【請求項11】 光弾性係数が70×10-13dyne/
    cm2以下であり、ガラス転移温度が100〜160℃で
    ある請求項6〜10記載の光学フィルム。
  12. 【請求項12】 位相差が20nm以下であることを特
    徴とする請求項6〜11記載の光学フィルム。
  13. 【請求項13】 請求項6〜11記載の光学フィルムを
    延伸して得られることを特徴とする位相差フィルム。
  14. 【請求項14】 請求項6〜11記載の光学フィルムの
    少なくとも一方の表面に透明電極層を設けたことを特徴
    とする透明導電フィルム。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の透明導電フィルムを
    電極基板として用いた液晶表示装置。
  16. 【請求項16】 請求項14記載の透明導電フィルムを
    電極基板として用いたタッチパネル。
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