JP2001128436A - モータ用ロータアッセンブリおよびステッピングモータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 全体の大幅な軽量化を図ることができて起動
特性等に優れるとともに、併せて製造コストおよび金型
費の低減化も達成することができるモータ用ロータアッ
センブリおよびこれを用いたステッピングモータを得
る。 【解決手段】 ロータマグネットが、ケーシング１に回
転自在に支承されるシャフト１０と、このシャフト１０
の外周の一個所に固定されて径方向に延出する支持部材
１１と、この支持部材１１の外周に固定され、励磁コイ
ル６が巻回されたヨーク２と隙間を介して配設される円
環状のロータマグネット１２とを備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、励磁コイル内に回
転自在に設けられるロータマグネットとシャフトとが一
体化されたモータ用ロータアッセンブリおよびこれを組
み込んだステッピングモータに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、各種のモータにおいて
は、ケーシングの内部外周に固定された励磁コイルの内
部に、一定の隙間を介してマグネットが回転自在に配設
されており、このマグネットの中心部に出力軸となるシ
ャフトが一体化されている。ところで、このようなマグ
ネットとシャフトとからなるロータアッセンブリを製造
するに際して、シャフトの外周のロータ部分の全体をマ
グネットによって形成すると、マグネット自体が高価で
あるために、製造コストが嵩んで経済的ではない。この
ため、従来のこの種のロータアッセンブリとして、薄肉
円筒状のマグネットの中空部に、円柱状のアルミニウム
製のブッシュを接着固定し、このブッシュの中心にシャ
フトを挿入したロータアッセンブリが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のロータアッセンブリにあっては、ロータ部分の全体
をマグネットによって形成する場合に比べて、一定のコ
ストの低減化を図ることはできるものの、金属製である
ためにロータアッセンブリの重量が大きく、よって起動
性に劣り、かつ駆動トルクが小さくなるとともに、モー
タ全体の重量が大きくなるという問題点があった。

【０００４】そこで、薄肉円筒状のマグネットの中空部
に、射出成形によって合成樹脂を充填するとともに、当
該合成樹脂の中心部に、同時にシャフトを一体化したも
のも知られている。このようなロータアッセンブリによ
れば、一層のコストの低減化と軽量化とを図ることが可
能になるが、マグネットを粉末成形によって形成した場
合に、これを薄肉に形成すると、成形時における合成樹
脂の射出圧力によって割れを生じる虞がある。このた
め、一定の厚さ寸法以上にマグネットの薄肉化を図るこ
とができず、上述したコストの低減化およびロータアッ
センブリ全体の軽量化には、一定の限度がある。

【０００５】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、全体の大幅な軽量化を図ることができて起動特性等
に優れるとともに、併せて製造コストの低減化も達成す
ることができるモータ用ロータアッセンブリおよびこれ
を用いたステッピングモータを提供することを目的とす
るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の本発明
に係るモータ用ロータアッセンブリは、モータのケーシ
ング内に収納された励磁コイル内に、回転自在に設けら
れるロータアッセンブリであって、上記ケーシングに回
転自在に支承されるシャフトと、このシャフトの外周の
一個所に固定されて径方向に延出する支持部材と、この
支持部材の外周に固定され、上記励磁コイルが巻回され
たヨークと隙間を介して配設される円環状のロータマグ
ネットとを備えてなることを特徴とするものである。

【０００７】ここで、請求項２に記載の発明は、上記支
持部材が、中心部に上記シャフトが挿通される開口部が
形成された円板状部材であり、かつその外周部が上記ロ
ータマグネットの軸線方向の中心部に固定されているこ
とを特徴とするものであり、さらに請求項３に記載の発
明は、上記支持部材の開口部の周縁および外周部の周縁
の少なくとも一方に、軸線方向に延びる鍔部が形成され
ていることを特徴とするものである。

【０００８】また、請求項４に記載の本発明に係るステ
ッピングモータは、ケーシングの内部外周に、励磁コイ
ルが巻回されるとともに、内周部に複数の極歯が円周方
向に間隔をおいて形成された複数のリング状のヨークが
軸線方向に向けて配設され、上記ヨークの内方に隙間を
介して請求項１ないし３のいずれかに記載のロータアッ
センブリが回転自在に設けられてなることを特徴とする
ものである。

【０００９】さらに、請求項５に記載の発明は、請求項
４に記載の発明において、上記ケーシングの内部外周
に、分割された２組の上記ヨークが配設され、かつ上記
ヨークには、上記ケーシングを塞ぐとともに上記シャフ
トを支持する軸受が設けられた端面板が一体に形成され
ていることを特徴とするものである。

【００１０】請求項１〜３のいずれかに記載のモータ用
ロータアッセンブリおよび請求項４または５に記載のス
テッピングモータにおいては、シャフトの外周の一個所
において、支持部材を間に介して円環状のロータマグネ
ットを支承した構成であるため、上記支持部材として、
単にロータマグネットを支持するに充分な強度のものを
使用すればよく、しかもロータマグネットの一層の薄肉
化も図ることが可能になる。この結果、ロータアッセン
ブリ全体の大幅な軽量化を達成することができ、よって
モータとしての起動性を向上させ、かつ駆動トルクも増
大させることが可能になるとともに、製造コストの低減
化も図ることができる。

【００１１】上記支持部材としては、例えばシャフトか
ら放射状の延びる複数本のリブ等の各種形状のものが適
用可能であるが、請求項２に記載の発明のように、中心
部に上記シャフトが挿通される開口部が形成された円板
状部材を用いれば、製造が容易であるとともに、薄肉で
あっても充分な強度が得られるために好適である。この
際に、上記支持部材の外周部を、上記ロータマグネット
の軸線方向の中心部に固定すれば、一層安定的にロータ
マグネットをシャフト上に支承することが可能になり、
かつこのロータマグネットの外周に設けられるコイル等
を左右対称に形成することができ、よって当該コイル等
を覆う樹脂を一の金型によって成形することが可能にな
るために、金型費の低減化も図ることができる。

【００１２】また、特に上記支持部材を円板状部材に形
成したような場合には、請求項３に記載の発明のよう
に、上記支持部材の開口部の周縁および外周部の周縁の
少なくとも一方または両方に、軸線方向に延びる鍔部を
形成すれば、支持部材とシャフトとの位置決め、および
／または支持部材とロータマグネットとの位置決めが容
易になり、よって組立作業の簡易化を図ることが可能に
なるとともに、組み付け強度も増加するために好適であ
る。

【００１３】さらに、上記構成からなるロータアッセン
ブリを、モータのケーシング内に組み込むに際して、シ
ャフトをケーシングの両端部に設けられた軸受によって
回転自在に支持する必要がある。そこで、請求項５に記
載の発明のように、ヨークを２分割し、それぞれのヨー
クに、ケーシングを塞ぐとともにシャフトを支持する軸
受を設けた端面板を一体に形成すれば、ロータアッセン
ブリのシャフト両端側から、ヨークを外装してそれぞれ
の軸受に上記シャフトを挿入することにより組立を行な
うことが可能になり、モータの組立作業も簡略化するこ
とができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】図１〜図３は、本発明のモータ用
ロータアッセンブリおよびステッピングモータの一実施
形態を示すものである。図１および図２に示すように、
このステッピングモータは、外観略円筒状に形成された
ケーシング１の内部外周に、２組のヨーク２が軸線方向
に隣接するようにして組み込まれている。各々のヨーク
２は、金属板からなる円環状の部材であり、その内周縁
には、周方向に等間隔をおいて軸線方向に屈曲された極
歯２ａが形成されている。

【００１５】また、各ヨーク２の外周面には、合成樹脂
からなるボビンケース３および端子台４が一体的に成形
され、さらにこのヨーク２の一側面には、ケーシング１
の端部を塞ぐ端面板５が同様に一体的に成形されてい
る。そして、ボビンケース３の外周に、励磁コイル６が
巻回されるとともに、当該励磁コイル６の端部が端子台
４に立設された端子７に電気的に接続されている。ここ
で、図２に示すように、隣接するヨーク２の端子７は、
直線状に交互に配設されている。さらに、２組のヨーク
２は、互いに分割して形成されており、端子台４は、そ
れぞれの端子７部分が軸線方向に凸状に形成されるとと
もに、隣接するヨーク２の端子７部分が凹状に形成され
ることにより、一体に組み立てられた際に全体として長
方形の板状をなすように形成されている。

【００１６】他方、端面板５は、ケーシング１の中心部
が軸線方向に肉厚に形成されており、この肉厚部分に焼
結含油軸受８が一体成形により組み込まれている。そし
て、この軸受８間に、ロータアッセンブリが回転自在に
支持されている。このロータアッセンブリは、上記軸受
８間に回転自在に支承されたシャフト１０と、このシャ
フト１０の外周に固定された円板状の支持部材１１と、
この支持部材１１の外周に固定され、ヨーク２の極歯２
ａと一定の隙間を介して配設された円環状のロータマグ
ネット１２から構成されたものである。

【００１７】上記支持部材１１は、シャフト１０が挿通
される開口部の周縁と外周縁とに、それぞれ軸線方向に
屈曲された鍔部１１ａ、１１ｂが形成されている。そし
て、上記ロータアッセンブリは、支持部材１１の鍔部１
１ａによって形成された開口部にシャフト１０が挿入さ
れるとともに、鍔部１１ｂがロータマグネット１２の内
周に挿入されて当該ロータマグネット１２の軸線方向の
中央部に配置された状態で、互いに一体的に固定されて
いる。

【００１８】そして、上記ロータアッセンブリは、その
鍔部１１ａと一方の端面板５の肉厚部分との間に、ナイ
ロンワッシャ１３が介装され、他方の端面板５の肉厚部
分との間にナイロンワッシャ１３とスプリング１４とが
介装されることにより、端面板５間に位置決めされた状
態でケーシング１内に組み込まれている。なお、図中符
号１５は、最終的にシャフト１０の一端部に固定され
て、図示されない減速歯車列等の出力側と歯合するピニ
オンである。

【００１９】以上の構成からなるロータアッセンブリお
よびステッピングモータを組み立てるには、予め図３に
示すような芯出し治具２０を用いてロータアッセンブリ
を組み立てる。先ず、上記芯出し治具２０の中心部に穿
設された穴２１にシャフト１０を挿入して位置決めする
とともに、この穴２１の周囲に形成された円形の段部２
２にロータマグネット１２を係合されることにより位置
決めする。次いで、支持部材１１を、これらシャフト１
０とロータマグネット１２の上方から、その鍔部１１
ａ、１１ｂが下方に位置するよう臨ませて、開口部にシ
ャフト１０を挿通し、かつ鍔部１１ｂがロータマグネッ
ト１２内周面の軸線方向中心部に位置するように挿入し
て位置決めする。次いで、それぞれ鍔部１１ａとシャフ
ト１０との間２３ａおよび鍔部１１ｂとロータマグネッ
ト１２との間２３ｂを、接着剤等によって一体的に固定
する。この際に、上述した接着剤等によらずに、支持部
材１１を単にシャフト１０およびロータマグネット１２
に圧入することにより、一体的に固定してもよい。

【００２０】次いで、このようにして一体化されたロー
タマグネットを間に挟むようにして、シャフト１０一端
側から一方のヨーク２の端面板５を外装するとともに、
他端側から他方のヨーク２の端面板５を外装し、互いの
対向面を当接させるとともに、端子台４の凹凸を係合さ
せることにより一体化する。そして、このヨーク２の外
周にケーシング１を被せ、その開口部から端子台４およ
び端子７を突出させることにより、ステッピングモータ
の組立が完了する。

【００２１】このように、上記構成からなるモータ用ロ
ータアッセンブリおよびステッピングモータにおいて
は、シャフト１０の外周の一個所に固定した支持部材１
１を間に介して円環状のロータマグネット１２を支承し
た構成であるため、支持部材１１として、ロータマグネ
ット１２を支持するに充分な強度、例えば厚さ１ｍｍ〜
数ｍｍ程度の鋼板を使用すればよく、さらにはロータマ
グネット１２としても、従来より一層薄肉のものを用い
ることができるために、ロータアッセンブリひいてはス
テッピングモータ全体の大幅な軽量化を達成することが
できる。この結果、ステッピングモータとしての起動性
を向上させ、かつ駆動トルクも増大させることができる
とともに、各々のヨーク２、端面板５および端子台４を
一の金型によって同形に形成し、これらを左右から組み
合わせることにより製造することができるため、金型費
が安価になって製造コストの低減化も図ることができ
る。

【００２２】さらに、支持部材１１の外周部を、ロータ
マグネット１２の軸線方向の中心部に固定しているの
で、安定的にロータマグネット１２をシャフト１０上に
支承することができる。加えて、支持部材１１の開口部
の周縁および外周部の周縁に、軸線方向に延びる鍔部１
１ａ、１１ｂを形成しているので、図３に示したよう
に、支持部材１１とシャフト１０およびロータマグネッ
ト１２との位置決め、芯出し作業が容易になるととも
に、接着が容易になり、よって組立作業の簡易化を図る
ことができる。

【００２３】また、ヨーク２を２分割し、それぞれのヨ
ーク２に、ケーシング１を塞ぐとともにシャフト１０を
支持する軸受８を設けた端面板５を一体に形成している
ので、ロータアッセンブリのシャフト１０の両端側か
ら、各々のヨーク２を外装してそれぞれの軸受８にシャ
フト１０を挿入することにより、モータの組立作業も簡
略化することができる。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１〜３のい
ずれかに記載のモータ用ロータアッセンブリおよび請求
項４または５に記載のモータによれば、ロータアッセン
ブリ全体の大幅な軽量化を達成することができ、よって
モータとしての起動性を向上させ、かつ駆動トルクも増
大させることが可能になるとともに、併せて製造コスト
の低減化も図ることができる。特に、請求項２に記載の
発明によれば、製造が一層容易であるとともに、薄肉で
あっても充分な強度が得られ、かつより安定的にロータ
マグネットをシャフト上に支承することが可能になとと
もに、ひいてはモータ製造に要する金型費を低減させて
一層の製造コストの低減化を図ることができる。

【００２５】また、請求項３に記載の発明によれば、支
持部材とシャフトとの位置決め、および／または支持部
材とロータマグネットとの位置決めが容易になるため
に、組立作業の簡易化を図ることが可能になり、さら
に、請求項５に記載の発明によれば、ロータアッセンブ
リのシャフト両端側から、ヨークを外装してそれぞれの
軸受に上記シャフトを挿入することにより組立を行なう
ことが可能になり、モータの組立作業も簡略化すること
ができるといった効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示すシャフトの片側を省
略した縦断面図である。

【図２】図１の側面図である。

【図３】図１のロータアッセンブリの組立状態を示す縦
断面図である。

【符号の説明】

１ ケーシング ２ ヨーク ６ 励磁コイル ８ 軸受 １０ シャフト １１ 支持部材 １１ａ、１１ｂ 鍔部 １２ ロータマグネット

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 モータのケーシング内に収納された励磁
   コイル内に、回転自在に設けられるロータアッセンブリ
   であって、 上記ケーシングに回転自在に支承されるシャフトと、こ
   のシャフトの外周の一個所に固定されて径方向に延出す
   る支持部材と、この支持部材の外周に固定され、上記励
   磁コイルが巻回されたヨークと隙間を介して配設される
   円環状のロータマグネットとを備えてなることを特徴と
   するモータ用ロータアッセンブリ。
2. 【請求項２】 上記支持部材は、中心部に上記シャフト
   が挿通される開口部が形成された円板状部材であり、か
   つその外周部が上記ロータマグネットの軸線方向の中心
   部に固定されていることを特徴とする請求項１に記載の
   モータ用ロータアッセンブリ。
3. 【請求項３】 上記支持部材は、上記開口部の周縁およ
   び外周部の周縁の少なくとも一方に、軸線方向に延びる
   鍔部が形成されていることを特徴とする請求項１または
   ２に記載のモータ用ロータアッセンブリ。
4. 【請求項４】 ケーシングの内部外周に、励磁コイルが
   巻回されるとともに、内周部に複数の極歯が円周方向に
   間隔をおいて形成された複数のリング状のヨークが軸線
   方向に向けて配設され、上記ヨークの内方に隙間を介し
   て請求項１ないし３のいずれかに記載のロータアッセン
   ブリが回転自在に設けられてなることを特徴とするステ
   ッピングモータ。
5. 【請求項５】 上記ケーシングの内部外周に、分割され
   た２組の上記ヨークが配設され、かつ上記ヨークには、
   上記ケーシングを塞ぐとともに上記シャフトを支持する
   軸受が設けられた端面板が一体に形成されていることを
   特徴とする請求項４に記載のステッピングモータ。