JP2001122462A - 搬送装置および帯電防止部材ならびに帯電防止方法 - Google Patents

搬送装置および帯電防止部材ならびに帯電防止方法

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JP2001122462A
JP2001122462A JP30353699A JP30353699A JP2001122462A JP 2001122462 A JP2001122462 A JP 2001122462A JP 30353699 A JP30353699 A JP 30353699A JP 30353699 A JP30353699 A JP 30353699A JP 2001122462 A JP2001122462 A JP 2001122462A
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charge
charging
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JP30353699A
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Masao Suzuki
正雄 鈴木
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Original Assignee
Riso Kagaku Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 孔版原紙や印刷用紙などを搬送する搬送装置
において、簡易で低コストな手法によって、搬送対象の
帯電を効果的に解消し、孔版原紙の搬送不良や破損、あ
るいは印刷用紙の搬送不良や破損や印刷不良や、印刷装
置自体に設置されている電子デバイス等に対する静電破
壊を効果的に防ぐ。 【解決手段】 孔版原紙10と摩擦する部材のうちサー
マルヘッド4やプラテンローラ5のように材質の変更が
困難でかつ強く負の摩擦帯電を生じさせることが避けら
れないもの以外の部材のうち、例えばガイド部材3a,
3bを、孔版原紙10が正に強く帯電するような材質に
変更し、さらにその形状や寸法を調節して、その搬送経
路中で孔版原紙10に生じる帯電の総和を正負両極性で
中和させることにより、最終的に孔版原紙10の帯電を
解消する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は搬送装置および帯電
防止部材ならびに帯電防止方法に係り、特に孔版印刷装
置や複写機等において搬送対象物を搬送する搬送装置お
よびそれに使用されて搬送対象物である印刷用紙や孔版
原紙の帯電を防止する帯電防止部材ならびにそのために
用いられる帯電防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】孔版印刷装置のような印刷装置では一般
に、搬送装置によって印刷用紙を搬送するに際して、給
紙台に載置されていた印刷用紙をさばき機構および一次
給紙ローラ等によって送り出し、二次給紙ローラ等によ
って搬送経路に沿って搬送して、感熱穿孔済みの孔版原
紙が装着されたドラム部まで搬送する。そしてこのドラ
ム部で謄写印刷が行なわれた後、排紙搬送機構によって
排紙台へと送出される。このような一連の搬送動作およ
び印刷動作が繰り返されて、印刷済みの印刷物が排紙台
に載置されて行く。
【0003】また、感熱穿孔部一体型の孔版印刷装置に
おいて、孔版原紙(マスタ)をドラム部に装着するに際
しては、未穿孔の孔版原紙を感熱穿孔部にまで搬送し、
感熱穿孔部に設けられたサーマルヘッドによって孔版原
紙に対して感熱穿孔を行った後、この感熱穿孔済みの孔
版原紙をドラム部に搬送して、そのドラム表面に着版さ
せる。
【0004】上記のような印刷用紙を搬送する場合も孔
版原紙を搬送する場合も、搬送経路には一般にテンショ
ンローラ、ガイド板、プラテンローラ等が配設されてお
り、これらのうちテンションローラやプラテンローラが
その表面での摩擦力によって搬送対象物に搬送力を与え
ることによりその搬送を行うと共に、そのようにして搬
送力を与えられて送出された搬送対象物は所定の搬送経
路に沿って進むように、ガイド板等によって導かれる。
【0005】また、孔版原紙の搬送の場合には、さらに
サーマルヘッドが設けられており、サーマルヘッドに対
して孔版原紙をその裏側からプラテンローラ等で押圧し
ながら、孔版原紙の感熱穿孔を行うようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、テンシ
ョンローラやプラテンローラは、その目的上、搬送対象
物に対してある程度の摩擦が生じるように設計されてい
るので、その摩擦に起因して搬送対象物に帯電が生じる
ことが避け難い。
【0007】また、孔版印刷装置の場合には特に、孔版
原紙に対して感熱穿孔を行うためにサーマルヘッドおよ
びプラテンローラが用いられるが、孔版原紙は一般に芯
材の表面に合成樹脂系の膜を着膜して形成されており、
しかもそのような材質の孔版原紙に対して押圧を加える
プラテンローラの材質も、孔版原紙との間で摩擦帯電を
発生しやすい硬質ゴムのような材質となっている。しか
も、サーマルヘッドの表面や構成部材には、発熱素子ア
レイ等を保護するための保護層や、サーマルヘッド全体
の温度調節を行うための蓄熱層などのガラス質の部材
や、孔版原紙あるいは印刷用紙との間での静電的な相性
から帯電しやすい合成樹脂材料からなるプリント配線基
板のような部材等が用いられているので、そのようなサ
ーマルヘッドと孔版原紙との間で摩擦帯電が生じること
が避け難い。
【0008】ところが、そのような既に本来の使用目的
に適した設定として用いられているサーマルヘッドや搬
送機構を構成する部材の材質を変更することは、実際上
容易ではなく、また帯電防止のためにそれらを変更する
ことは本末転倒であって実用的ではない。
【0009】その結果、搬送対象物である印刷用紙や孔
版原紙を搬送する際に、搬送経路との摩擦に起因して搬
送対象物に摩擦帯電が生じ、これが搬送終了する間に搬
送対象物に蓄積されて、孔版原紙の搬送ジャムや着版ミ
ス、引いては破損を生じるという問題がある。また、印
刷用紙の搬送ジャムや破損、あるいは帯電した印刷用紙
が複数枚重なって搬送されるという、いわゆる重送不良
の要因すなわち重送要因を生じ、両面印刷時の片面白紙
あるいは多色刷り時の色抜けなどの印刷不良を来すとい
う問題がある。
【0010】また、搬送対象物に対する不都合の他に
も、近年の印刷装置にはサーマルヘッドをはじめとして
それ自体を電子制御するためや印刷情報の電子的データ
処理を行うためなどに電子デバイスが多用されている
が、そのような電子デバイスに対して、孔版原紙や印刷
用紙に蓄積された帯電電荷が静電破壊や電磁的動作障害
(EMI)を発生させるという問題があった。
【0011】そこで、そのような問題を解消するため
に、搬送対象物に帯電している電荷を、例えば刷毛状の
除電ブラシのような除電装置を用いて放電させるという
対策も提案されている。しかしながら、搬送中に摩擦帯
電した状態が放電可能しきい値未満の電位となっている
場合も多く、必ずしも効果的な除電ができないという問
題があった。
【0012】また、コロナ放電を用いて外部から電荷あ
るいはイオンを強制的に投入する手法も提案されている
が、高電圧を用いるので安全対策が必要となり、また装
置が煩雑かつ高コストとなる。しかもそのような電荷や
イオンを発生させる高電圧デバイス自体も煩雑化して高
コストなものとなるという問題があった。
【0013】本発明はこのような問題を鑑みて成された
もので、その目的は、装置を繁雑で高コストなものとす
ることなく、簡易で低コストな手法によって、搬送対象
の帯電を効果的に解消し、孔版原紙の搬送ジャム、着版
ミス、破損や、印刷用紙の搬送ジャム、破損、印刷位置
ずれ、重送不良に起因した両面印刷時の片面白紙不良や
多色刷り時の色抜け不良などの印刷不良の発生や、印刷
装置に用いられている電子デバイス等に対するEMIあ
るいは静電破壊を、効果的に防ぐことを達成することに
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の搬送装置は、シ
ート状の搬送対象物を搬送経路に沿って搬送する搬送装
置において、前記搬送対象物が前記搬送経路を通って搬
送される間に前記搬送対象物の帯電の正負が中和するよ
うに、前記搬送対象物との摩擦によって該搬送対象物に
正の帯電を生じさせる帯電手段と負の帯電を生じさせる
帯電手段とを、前記搬送対象物の搬送方向に配列したこ
とを特徴とするものである。
【0015】すなわち、搬送対象物を搬送経路に沿って
搬送する間には、その搬送経路中に配設された種々の構
成部材との間での摩擦に起因して、搬送対象物に帯電が
生じることは避け難いが、その摩擦による搬送対象物の
帯電が搬送経路中で正極性の帯電と負極性の帯電とを繰
り返すように設定することによって、その一連の搬送経
路を通過した時点での最終的な搬送対象物の帯電状態を
中和させるようにしたものである。
【0016】なお、前記帯電手段が、前記搬送装置を構
成する複数の部材によって構成されており、該複数の部
材の全体で前記搬送対象物に帯電する電荷の正負を中和
させるようにすることは、好ましい一態様である。
【0017】すなわち、搬送装置を構成する複数の部材
そのものを帯電手段として用いて、その帯電手段である
複数の部材との摩擦による搬送対象物の帯電が搬送経路
中で正極性の帯電と負極性の帯電とを繰り返すように設
定することによって、その一連の搬送経路を通過した時
点での最終的な搬送対象物の帯電状態を中和させるこよ
うにするものである。
【0018】あるいは、前記帯電手段を、前記搬送装置
を構成する部材とは別に設け、前記部材との摩擦によっ
て前記搬送対象物に帯電する電荷の極性に対して逆極性
の電荷を摩擦帯電させて、前記搬送対象物に帯電する電
荷の正負を中和させるようしてもよい。
【0019】すなわち、搬送装置を構成する部材とは別
に、その部材との摩擦に起因して搬送対象物に生じる帯
電の極性とは逆極性の摩擦帯電を積極的に起こさせるこ
とにより、コロナ放電のような高電圧を用いた繁雑で危
険性のある強制帯電等を用いることなく、摩擦帯電のみ
によって安全かつ簡易に搬送対象物の帯電状態を中和さ
せるようにする。
【0020】また、前記帯電手段を、前記搬送装置を構
成する部材とは別に、前記搬送対象物が搬送される間に
該搬送対象物に対して正および負の極性の摩擦帯電を少
なくとも1回ずつ生じさせて、該搬送対象物に帯電する
電荷の正負を中和させる帯電手段としてもよい。
【0021】すなわち、搬送装置を構成する部材との摩
擦に起因して搬送対象物に生じる帯電とは別に、その搬
送対象物に対して正極性の摩擦帯電と負極性の摩擦帯電
とを、例えば正/負/正/負のように1回あるいはそれ
以上繰り返して、搬送対象物の帯電の正/負が中和する
ように、むしろ積極的に摩擦帯電を起こさせることによ
り、コロナ放電のような高電圧を用いた繁雑で危険性の
ある強制帯電等を用いることなく、摩擦帯電のみによっ
て安全かつ簡易に搬送対象物の帯電状態を中和させるよ
うにする。
【0022】本発明の搬送装置は、シート状の搬送対象
物を搬送経路に沿って搬送する搬送装置において、前記
搬送対象物に帯電した電荷を除去する除電装置と、前記
搬送対象物が前記搬送経路を通って前記除電装置に到達
するまでの間に、前記搬送経路との摩擦によって前記搬
送対象物に帯電する静電的電位が前記除電装置が除電可
能なしきい値電位以上の電位となるように、前記搬送対
象物に帯電を発生させる摩擦帯電部材を備えたことを特
徴とするものである。
【0023】すなわち、除電装置を用いて除電する場合
には、その前に摩擦帯電によって搬送対象物をむしろ積
極的に高電位に帯電させて、除電装置にとって除電しや
すい静電的状態にする。ここで、そのような積極的な摩
擦帯電を起こさせる手法としては、搬送経路の構成部材
自体を摩擦帯電部材に適合するような設定にしても良
い。その場合には、搬送経路の構成部材自体を敢えて帯
電しやすいように設定する。
【0024】あるいは、前記摩擦帯電部材を、前記搬送
装置を構成する部材とは別に設けるようにしてもよい。
すなわち、搬送経路の構成部材自体とは別に、専用の摩
擦帯電用の部材を付設してもよい。このような専用の摩
擦帯電用の部材は、例えば除電装置と共に搬送装置に対
して後付けで装着可能な、いわゆるアフターパーツのよ
うなものとすることなども可能である。
【0025】また、前記シート状の搬送対象物が被印刷
用紙および孔版原紙のうち少くともいずれか一方であ
り、前記孔版原紙を用いて前記被印刷用紙に対して孔版
印刷を行う、いわゆる孔版印刷装置に本発明は特に好適
に利用可能である。すなわち、孔版印刷装置では、孔版
原紙の材質とサーマルヘッドやプラテンローラの材質と
の静電的相性の点から特に孔版原紙の搬送に際して帯電
が生じやすい傾向にあり、それに起因した孔版原紙の搬
送ミスや破損や着版不良等を解消することが急務であっ
たが、本発明によれば特にそのような不都合の原因とな
っていた孔版原紙の帯電を簡易な手法により解消するこ
とができ、また印刷用紙の重送要因となっていた帯電を
も同様に簡易な手法により解消することができる。従っ
て、本発明に係る搬送装置は孔版印刷装置において特に
好適に利用可能なものである。
【0026】本発明の帯電防止部材は、シート状の搬送
対象物を搬送経路に沿って搬送する搬送装置に用いられ
る帯電防止部材であって、前記搬送装置を構成する部材
とは別に、前記搬送対象物が搬送される間に前記搬送対
象物に対して正および負の極性の摩擦帯電を少なくとも
1回ずつ生じさせて、該搬送対象物に帯電する電荷の正
負を中和させることを特徴とするものである。
【0027】すなわち、上記のような帯電防止部材を、
いわゆる後付けで搬送装置に付設することにより、搬送
対象物に帯電する電荷の正負を中和させることができ
る。
【0028】本発明の帯電防止方法は、シート状の搬送
対象物を搬送経路に沿って搬送される間に、前記搬送対
象物との摩擦によって該搬送対象物に正の帯電を生じさ
せる帯電手段と負の帯電を生じさせる帯電手段とを前記
搬送対象物の搬送方向に配列しておき、前記搬送対象物
の帯電の正負を中和させて、前記搬送対象物の帯電を防
止することを特徴とするものである。
【0029】すなわち、印刷装置内などに用いられる搬
送装置に対して、上記のような帯電手段を予め配設して
おいてもよく、あるいは、いわゆる後付けで付設しても
よい。いずれにしても、上記のような手法を搬送装置に
適用することによって、前記搬送対象物の帯電を防止す
ることが可能である。このような本発明に係る搬送装置
および帯電防止部材ならびに帯電防止方法は、孔版印刷
装置などに特に好適に利用することができるものであ
る。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、搬送対象物が前記搬送
経路を通って搬送される間に前記搬送対象物の帯電の正
負が中和するように、前記搬送対象物との摩擦によって
該搬送対象物に正の帯電を生じさせる帯電手段と負の帯
電を生じさせる帯電手段とを前記搬送対象物の搬送方向
に配列するという、簡易で低コストな手法によって、印
刷用紙や孔版原紙のような搬送対象物に生じていた摩擦
帯電を中和させることができる。またこれと同様に、帯
電防止部材によっても、搬送中の摩擦帯電を中和させる
ことができる。これにより、搬送装置を含む印刷装置全
体を繁雑で高コストなものとすることなく、搬送対象の
帯電を効果的に解消して、孔版原紙の搬送ジャム、着版
ミス、破損や、印刷用紙の搬送ジャム、破損、印刷位置
ずれ、重送不良に起因した両面印刷時の片面白紙不良や
多色刷り時の色抜け不良などの印刷不良の発生を、効果
的に防ぐことができる。しかも、そのように搬送対象物
に生じていた摩擦帯電を中和して解消することにより、
従来はそのような搬送対象物の帯電に起因して印刷装置
内の電子デバイス等に発生していたEMIあるいは静電
破壊を解消することも可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。
【0032】まず、本発明の発明者は、搬送対象物であ
る印刷用紙や孔版原紙がどのようにして搬送中に摩擦帯
電するのか、その摩擦帯電の発生要因についてを種々の
実験および考察により確認した。摩擦帯電すなわち2つ
の物体どうしを摩擦させた際に生じる静電気帯電は一般
に、双方の部材を構成する分子の持つ自由電子の移動
(自由電子の授受)に起因して発生する。この種の帯電
現象は、例えば毛皮とエボナイト棒(あるいは琥珀)と
の摩擦などにより生じるということが、広く一般に知ら
れている。この一例に則して言えば、毛皮とエボナイト
棒とをこすり合わせることにより、毛皮を構成する物質
の持っていた自由電子がエボナイト棒に移動すること
で、その両者が帯電することになる。これは、双方の分
子構造において、毛皮の構成分子は電子を放出すること
によって電気的により安定的な状態となる一方、エボナ
イト棒の方は電子を取り込むことによって電気的により
安定的な状態となるためと言われている。このようにし
て毛皮とエボナイト棒とをこすり合わせて自由電子を移
動させた後、その毛皮とエボナイト棒とを接触させるこ
とを止めて両者を離すと、毛皮の方には電子が放出した
分の正極性の帯電が生じる一方、エボナイト棒の方には
電子を取り込んだ分の負極性の帯電が生じる。このよう
な各種の材質が正または負のどちらにどの程度の強さで
帯電する傾向にあるかを示す序列(順番)は、一般に帯
電列と呼ばれるもので、各種の材質に関して多くの研究
および実験が施行され、それらの帯電列が種々公表され
ている。
【0033】そのような確認済みの帯電列の実測結果に
従うと、孔版印刷装置のような印刷装置の搬送機構やサ
ーマルヘッド等に一般に用いられるような材質のうち、
ガラス、ナイロン、羊毛等からなる材質は、印刷用紙や
孔版原紙との摩擦に起因して一般に正に帯電する。換言
すれば、このとき印刷用紙や孔版原紙は負に摩擦帯電す
る。特に孔版原紙は負に強く摩擦帯電する。また逆に、
ポリエチレン、テフロン、エボナイト等の材質は、印刷
用紙や孔版原紙との摩擦に起因して一般に負に帯電す
る。換言すれば、このとき印刷用紙や孔版原紙は正に摩
擦帯電する。あるいは、鋼やアルミニウムのような金属
や硬質ゴムは、上記の各種材質と比較して相対的に帯電
列の中間に位置している。
【0034】実際に孔版印刷装置に用いられている各種
構成部材の材質、すなわちサーマルヘッドの保護層に用
いられているガラス材質や、プラテンローラに用いられ
ている硬質ゴムや、印刷用紙として用いられるいわゆる
普通紙や、孔版原紙の材質などについて、その帯電特性
を実験により確認したところ、図6に示すような帯電列
となっていることが確認された。そしてさらには、その
帯電列分布図に示したA,B,Cの各グループの材質
と、搬送対象物すなわち印刷用紙および孔版原紙とを摩
擦させた際に生じる、帯電電荷の極性およびその帯電傾
向の強弱を調べた結果、図7の表に示すような結果とな
った。なお、図7に付した数字が示す帯電傾向の強さに
ついては、例えばAグループの材質とCグループの材質
との摩擦(具体的には例えば毛皮とエボナイトとの摩擦
など)によって生じる帯電の強さは、Aグループの材質
にとっては+4に非常に強く帯電するものと表現され、
またこのときBグループの材質にとっては−4に非常に
強く帯電するものと表現されている。図7の表中に示し
た帯電傾向の数値はそのような評価手法に基づいて表現
されたものとなっている。
【0035】実際の孔版印刷装置の搬送経路において
は、孔版原紙を搬送するために摩擦を生じる搬送部材で
あるテンションローラおよびプラテンローラは、共に硬
質ゴム製であり、またサーマルヘッドの表面にはガラス
質の保護層が形成されているが、それらの材質の帯電列
は全て孔版原紙に対して正の側にあり、しかも孔版原紙
自体の帯電列は相対的に負の帯電特性寄りに存在してい
るので、そのような孔版原紙を搬送する際には、搬送部
材との摩擦によって孔版原紙が負に強く帯電すること
が、理論的にも確認される。また実際に、図8に概要構
成を示すような搬送装置を備えた孔版印刷装置において
孔版原紙を搬送させたところ、孔版原紙はその搬送中に
搬送装置の各種構成部材との間で強く負に摩擦帯電する
傾向にあることが確認された。
【0036】すなわち、図8において、マスターロール
1から供給される未穿孔の孔版原紙10は一対のテンシ
ョンローラ2a,2bで押圧されつつ付勢されて送り出
され、ガイド部材3aに導かれつつサーマルヘッド4へ
と到達すると、プラテンローラ5によって背面から押圧
されてサーマルヘッド4に圧接されつつ感熱穿孔が行わ
れる。こうして感熱穿孔された孔版原紙10は、さらに
ガイド部材3b,3cに導かれつつロードローラ6a,
6bに至り、このロードローラ6a,6bによって押圧
されつつ付勢されて送り出される。そして不図示の版胴
に着版される。このようなサーマルヘッド4を中心とし
た搬送経路において、孔版原紙10は、まずテンション
ローラ2a,2bで押圧される際に強い摩擦力を受ける
ので、このときテンションローラ2a,2bの材質すな
わち硬質ゴムとの摩擦に起因して帯電が生じやすい。続
いてサーマルヘッド4に対して背面から押圧されつつ摩
擦されるので、このときサーマルヘッド4の表面のガラ
ス質との間で強い摩擦帯電が生じる。そしてロードロー
ラ6a,6bでも強い摩擦力を受けて帯電が生じる。こ
れらの帯電はいずれも負極性の帯電となっている。
【0037】このように、孔版原紙10は搬送中に非常
に強く負に帯電することが確認されたが、このような帯
電を防止するためにサーマルヘッド4の保護層7の材質
等を変更することは、サーマルヘッド4の構造および製
法からの変更を要することになるので実際的ではなく、
またそのような帯電防止のために本来の機能に適した材
質を変更することは技術的にも本末転倒である。しかし
孔版原紙10に対して摩擦帯電を生じさせる部材はサー
マルヘッド4やプラテンローラ5だけではない。そこ
で、搬送経路中において孔版原紙10と摩擦する部材の
うちサーマルヘッド4やプラテンローラ5のように材質
の変更が困難でかつ強く摩擦することが避けられないも
の以外で、材質を変更しても構わない部材として、例え
ばガイド部材3a,3b,3cに着目し、このガイド部
材3a,3b,3cを、孔版原紙10が正に強く帯電す
るような材質、すなわち図6に示す帯電列において孔版
原紙10よりも相対的に著しく負帯電寄りに位置してい
る(すなわち相手側を正に強く帯電させる)Cグループ
の材質を用いたものに変更し、さらにその形状や寸法を
調節して、孔版原紙10を搬送させることによって、そ
の搬送経路中で孔版原紙10に生じる帯電の総和が正負
両極性で中和するようにして、最終的に搬送後の孔版原
紙10を帯電がほとんど解消された状態にすることがで
きることを、本発明の発明者は案出した。
【0038】そして実際に、ガイド部材3a,3b,3
cの表面の材質をテフロンに変更し、その形状や寸法を
調節して、孔版原紙10を搬送させた結果、搬送後の孔
版原紙10は帯電量が極めて少くなっていることが確認
された。この実験結果によれば、サーマルヘッド4やプ
ラテンローラ5等との間での摩擦に起因して孔版原紙1
0は正に強く帯電するが、それをガイド部材3a,3
b,3cとの摩擦によって孔版原紙10に生じた負の強
い帯電と中和させることができ、その結果、最終的に搬
送後の孔版原紙の帯電量を極めて少くすることができる
ものと考えられる。
【0039】このように、摩擦によって生じる帯電の極
性が搬送経路全体で中和するようにその搬送経路中で孔
版原紙10に接触する部材の材質を設定するという、本
発明に係る基本的な手法によれば、種々の場合で生じて
いた摩擦帯電を解消することができることが確認でき
た。そこで、以下そのような種々の実施の形態について
各別に説明する。
【0040】(実施形態1)この第1の実施の形態の孔
版印刷装置における孔版原紙を搬送する搬送装置(搬送
経路)を中心とした概要構成は、図1(A)に示すよう
に、孔版原紙10をロール状に保持してなるマスターロ
ール1と、マスターロール1から供給される未穿孔の孔
版原紙10を押圧しつつ付勢して送り出す対のテンショ
ンローラ2a,2bと、孔版原紙10が所定の搬送経路
を通ってサーマルヘッド4へと到達するように導くガイ
ド部材3aと、孔版原紙10に対して背面から押圧力を
加えてサーマルヘッド4に圧接させるプラテンローラ5
と、未穿孔の孔版原紙10に対して感熱穿孔を行う(加
熱による穿孔を施す)サーマルヘッド4と、送り出され
る穿孔済みの孔版原紙10をロードローラ6a,6bへ
とさらに導くガイド部材3b,3cと、穿孔済みの孔版
原紙10を排出側へとさらに付勢して送り出すロードロ
ーラ6a,6bとを備えている。
【0041】孔版印刷装置では一般に、和紙やPET
(ポリエステルテレフタレート)製の化学繊維不織布な
どの支持体に感熱性フィルムをラミネートした構造の孔
版原紙10が用いられている。従って、孔版原紙10は
帯電列で負に強く帯電しやすい材質となっている。未穿
孔の孔版原紙10は一般に、200版程度の感熱穿孔が
可能な量をロール状にして、マスターロール1として保
持されている。このような未穿孔の孔版原紙10の感熱
性フィルムに対してサーマルヘッド4を用いて孔を感熱
穿孔することによって孔版原紙10のいわゆる製版が行
われる。
【0042】マスターロール1から供給される未穿孔の
孔版原紙10は、(1)少なくとも表面が硬質ゴムから
なるテンションローラ2a,2b、(2)表面をテフロ
ンコーティングされたガイド部材3a、(3)表面にガ
ラス質の保護層7を備えたサーマルヘッド4および少な
くとも表面が硬質ゴムからなるプラテンローラ5、
(4)表面をテフロンコーティングされたガイド部材3
b,3c、(5)少なくとも表面が硬質ゴムからなるロ
ードローラ6a,6b、という順で排出側へと搬送され
て行く。不図示の排出側ではさらに、送られて来た穿孔
済みの帯状の孔版原紙10を着版可能な長さに裁断して
版胴へと送り、その版胴に着版する。このようなサーマ
ルヘッド4を中心とした搬送経路中での孔版原紙10の
摩擦帯電の様子は次のようなものとなる。
【0043】すなわち、図1(B)に示すように、まず
(1)のテンションローラ2a,2bでは、その主な材
質が硬質ゴムであることから、ここで孔版原紙10は負
に帯電する。
【0044】(2)のガイド部材3aでは、アルミニウ
ム合金製の構造部材の表面にテフロンコーティングが施
されており、それとの摩擦によって、孔版原紙10は正
に強く帯電する。この正の帯電によって、それまで負に
帯電していた孔版原紙10はその極性が変化して、むし
ろ若干正に帯電した状態となる。
【0045】(3)のサーマルヘッド4およびプラテン
ローラ5では、その主な材質がガラス質および硬質ゴム
であり、そのいずれもが孔版原紙10を負に帯電させる
もので、特にサーマルヘッド4の表面のガラス質は孔版
原紙10を強く正に帯電させるものである。このため、
穿孔後の孔版原紙10はその表裏両面が負に強く帯電す
ることになる。
【0046】(4)ガイド部材3b,3cでは、アルミ
ニウム合金製の構造部材の表面にテフロンコーティング
が施されており、このテフロンコーティングとの摩擦に
よって孔版原紙10の表裏両面に強い正の摩擦帯電が生
じる。このガイド部材3b,3cの長さは比較的長いの
で、その全長を孔版原紙10が搬送されて行くうちに摩
擦帯電による正の電荷が蓄積されて行き、その正の電荷
が、上記(3)のサーマルヘッド4およびプラテンロー
ラ5で孔版原紙10に強く帯電していた負の電荷と中和
する。その結果、ガイド部材3b,3cを通過後の孔版
原紙10は、むしろ若干正に帯電した状態となる。
【0047】(5)ロードローラ6a,6bでは、その
主な材質が硬質ゴムであり、孔版原紙10を負に帯電さ
せる帯電特性を有していることに起因して、孔版原紙1
0に負の摩擦帯電が生じる。しかしここで、前述したよ
うに(4)のガイド部材3b,3cを通過後の孔版原紙
10の帯電状態は若干正に摩擦帯電した状態としておい
たので、その正の電荷とロードローラ6a,6bで生じ
た負の電荷とが中和して、最終的に孔版原紙10の帯電
状態を正あるいは負のいずれにも帯電しない状態とする
ことができる。
【0048】ここで、比較例として図1(B)中に点線
で示した従来の帯電状態を参照すると、従来では(5)
を通過する段階でさらに大きく負に帯電した状態となっ
ていたことが分かる。すなわち、サーマルヘッド4およ
びプラテンローラ5で強く負に帯電した後、それが放電
もしくは中和されることなく、テフロンコーティング等
を施されていない従来の鋼板等からなるガイド部材(図
示省略)の表面との摩擦に起因して負の摩擦帯電がさら
に蓄積されて行き、最終的には大幅に負極性に帯電した
状態となっていたが、このような大幅な負の帯電を、本
発明の手法によれば上記のようにして効果的に解消する
ことができる。
【0049】なお、上記実施の形態では、本発明に係る
正の帯電を生じさせる帯電手段として、ガイド部材3
a,3b,3cをその表面にテフロンコーティングを施
して用いており、また負の帯電を生じさせる帯電手段と
しては一般的な構造および材質からなるサーマルヘッド
4およびプラテンローラ5ならびにロードローラ6a,
6bを用いていることは言うまでもない。
【0050】上記のように、第1の実施の形態に示した
手法によれば、搬送装置を構成する部材のうち材質を変
更可能なガイド部材3a,3b,3cの材質を、本発明
の手法に適したものに変更し、それを本発明に係る帯電
手段の一つとして用いることにより、印刷装置全体を繁
雑で高コストなものとすることなく、孔版原紙の搬送中
での帯電を正/負で中和させることによって効果的に解
消して、その帯電に起因して発生していた孔版原紙の搬
送ジャムや着版ミスや破損等を解消することができる。
【0051】(実施形態2)この第2の実施の形態で
は、孔版印刷装置において印刷用紙を印刷部(図示省
略)へと搬送する給紙部分および印刷済みの印刷用紙を
排紙台へと送出する排紙部分の搬送装置(搬送経路)
に、本発明を適用した場合について述べる。
【0052】まず、この搬送装置の給紙部分は、図2
(A)に示すように、(1)白紙状態のいわゆる普通紙
あるいは透明フィルムなどの印刷用紙11を載置する給
紙台12と、(2)表面が硬質ゴム製のさばき板13お
よび一次給紙ローラ14と、(3)表面にテフロンコー
ティングが施された帯電発生部材15aと、(4)表面
がナイロン製のガイド部材16aと、(5)少なくとも
表面が硬質ゴム製の二次給紙ローラ17a,17bと、
(6)表面にテフロンコーティングが施された帯電発生
部材15bと、(7)表面がナイロン製のガイド部材1
6bとが、この順で搬送経路の進行方向に配置されて、
その主要部が構成されている。
【0053】このような給紙部分の搬送経路中での印刷
用紙11の摩擦帯電の様子は次のようなものとなる。
【0054】すなわち、図2(B)に示すように、
(1)の給紙台12に載置された複数枚の印刷用紙11
のうちから、(2)のさばき板13および一次給紙ロー
ラ14によってその一枚ずつが繰り出される。このと
き、さばき板13および一次給紙ローラ14との摩擦に
起因して印刷用紙11には正の帯電が生じる。
【0055】(3)の帯電発生部材15aでは、その表
面に施されたテフロンコーティングとの摩擦によって、
印刷用紙11に強い負の摩擦帯電が生じる。すなわち、
印刷用紙11は、帯電発生部材15aを通る以前には正
に帯電していたものが、帯電発生部材15aを通った後
には帯電発生部材15aとの摩擦によって積極的に大幅
に負に帯電した状態となる。
【0056】(4)のガイド部材16aでは、その表面
の材質がナイロンであるため、これとの摩擦に起因して
印刷用紙11には正の摩擦帯電が生じる。すると、この
ときの摩擦帯電に起因して発生する正の電荷は、それ以
前にあらかじめ帯電発生部材15aとの摩擦によって印
刷用紙11に蓄積させておいた負の電荷と中和して、印
刷用紙11の帯電状態としては正にも負にも殆ど帯電し
ていない状態とすることができる。
【0057】(5)の二次給紙ローラ17a,17bで
は、その表面を含む材質が主に硬質ゴムとなっており、
帯電列上では印刷用紙11よりも相対的に負の極性寄り
に位置している。従って、印刷用紙11がこの二次給紙
ローラ17a,17bによって押圧されて摩擦力を加え
られながら送り出されると、そのときの摩擦に起因して
印刷用紙11には正の摩擦帯電が生じる。
【0058】(6)の帯電発生部材15bでは、その表
面に施されたテフロンコーティングとの摩擦によって、
印刷用紙11に強い負の摩擦帯電が生じる。すなわち、
帯電発生部材15aとの摩擦によって積極的に大幅に負
に帯電した状態となる。なおこのとき、それまで帯電し
ていた正の電荷は、それと見合った分の新たに生じた負
の電荷によって中和され、その中和されずに残った大部
分の負の電荷によって印刷用紙11が負極性の帯電状態
となる。
【0059】(7)のガイド部材16bでは、その表面
がナイロン製であることに起因して印刷用紙11には正
の摩擦帯電が生じる。すると、このときの摩擦帯電に起
因して発生する正の電荷は、それ以前にあらかじめ帯電
発生部材15aとの摩擦によって印刷用紙11に蓄積さ
せておいた負の電荷と中和して、印刷用紙11の帯電状
態を正にも負にも殆ど帯電していない状態とすることが
できる。
【0060】ここで、比較例として図2(B)中に点線
で示した従来の帯電状態を参照すると、従来では(1)
〜(7)のいずれの部位においても印刷用紙11は正に
帯電していた。しかも、搬送経路中で印刷用紙11と摩
擦して帯電を生じる各種部材の材質と印刷用紙11の材
質との帯電列上での組み合わせは、孔版原紙10の材質
と搬送経路中の各種部材との組み合わせの場合よりも、
帯電する度合いが小さいように考えられるが、しかし孔
版印刷装置においては一般に印刷能率を高めるために印
刷用紙11を速い速度で搬送することが要請されている
ので、そのような高速の搬送を行うと、その際に強い帯
電が生じやすくなる。そのようにして高速で搬送されて
行くうちに生じる摩擦帯電が放電もしくは中和されるこ
となく蓄積されて行き、最終的に印刷部(図示省略)へ
と送出される段階では大幅に正に帯電した状態となって
いた。しかし本発明の手法によれば、そのような帯電
を、簡易な手法によって効果的に解消することができ
る。
【0061】なお、上記実施の形態では、本発明に係る
帯電手段の一つとして、ガイド部材16a,16bのよ
うな既存の構成部材とは別に、印刷用紙11に対して積
極的に負極性の帯電を生じさせるための帯電発生部材1
5a,15bを新たに付設して用いているが、この帯電
発生部材15a,15bとしては既存の構成部材の少な
くとも一部を用いてもよいことは言うまでもない。すな
わち、例えば従来の安価なナイロンコーティングが施さ
れたガイド部材16a,16bの一部を上記のようなテ
フロンコーティングに変更して、その部分を帯電発生部
材15a,15bとして用いることなども可能である。
また、帯電発生部材15a,15bとガイド部材16
a,16bとの配列順序は上記のみには限定されないこ
とは言うまでもない。この他にも例えばガイド部材16
a、帯電発生部材15a、ガイド部材16b、帯電発生
部材15bのような順番に配置することも可能である。
この場合、印刷用紙11には+,−,+,−の順で摩擦
帯電が生じることになるが、このような正/負の極性の
摩擦帯電を交互に生じさせることによって、上記同様に
帯電電荷を中和させることができる。
【0062】次に、孔版印刷装置における排紙部分の搬
送装置の概要構成およびその帯電防止機能について述べ
る。この排紙部分の搬送装置は、印刷部(図示省略)で
インクの移転を施されて印刷された印刷用紙11が、サ
クション(ファーン)吸引されつつ搬送用ベルト22に
より搬送されて排紙台23へと到達するように、その主
要部が構成されている。図3(A)は、排紙部分の搬送
経路に配置された帯電発生部材(帯電手段)21a,2
1bを中心とした概要構成を示す図である。
【0063】このような搬送用ベルト22を用いて印刷
用紙11を搬送する方式(装置構成および方法)の場合
には、搬送用ベルト22に印刷用紙11が保持される際
に、その搬送用ベルト22の表面との摩擦に起因して印
刷用紙11に帯電が生じたり、あるいは補助手段的に搬
送用ベルト22と並行してガイド部材(図示省略)が設
けられている場合などには、そのようなガイド部材との
摩擦に起因した帯電が生じることもある。
【0064】そこで、図3(B)に示すように、印刷用
紙11を正に帯電させる帯電発生部材(帯電手段)21
aと負に帯電させる帯電発生部材(帯電手段)21bと
を、搬送経路に沿って交互に配置し、それらとの摩擦に
よる正の帯電(a)と負の帯電(b)とをむしろ積極的
に交互に発生させることにより、それら正/負両極性の
帯電電荷を中和させて、最終的に印刷用紙11の帯電状
態を殆ど帯電していない状態にすることができる。
【0065】ここで、比較例として図3(B)中に点線
で示した従来の帯電状態を参照すると、従来の搬送装置
の場合では、印刷用紙11には正の帯電が常に蓄積され
て行き、最終的に排紙台23に到達した段階では大幅に
正に帯電した状態となっていた。しかし本発明の手法に
よれば、そのような正の帯電を、上記のように簡易な手
法によって効果的に解消することができる。
【0066】(実施形態3)上記各実施の形態では、搬
送装置の構成部材であるガイド部材3a,3b等の表面
にテフロンコーティングを施す場合や、ガイド部材16
a,16b等の構成部材とは別に帯電発生部材15a,
15bを付設する場合の実施形態について示したが、ガ
イド部材3a,3b等の表面の材質を変更する手法とし
ては、テフロン被膜をコーティングすること以外にも、
例えばシート状のテフロン素材を張り付けるようにして
もよい。あるいは、ガイド部材16a,16b等の表面
の一部に、例えばナイロン繊維や羊毛等からなる刷毛と
テフロン繊維やポリエチレン繊維等からなる刷毛とを交
互に植毛してなる帯電摩擦用起毛部材(帯電防止部材)
を貼り付けるようにしてもよい。また、そのような帯電
摩擦用起毛部材は、いわゆるオプションパーツのように
して、後付けで孔版印刷装置に付設可能としてもよい。
【0067】そのような帯電摩擦用起毛部材を、給紙台
12から送出される際の印刷用紙11に対して帯電防止
を施すために用いた場合の、具体的な一例を図4に示
す。給紙台12は印刷用紙11が1枚送出されるごとに
上昇し、その台上に載置されている最上部の印刷用紙1
1の高さが常に搬送に最適な位置となるように保つ。印
刷用紙11の搬送を開始するにあたって、ピックアップ
ローラ61が最上部の印刷用紙11を押圧しつつその摩
擦力によって繰り出して行き、それを図4中には不図示
の搬送経路へと送出する。このとき、最上部の印刷用紙
11とその直下の印刷用紙11とが擦れ合うので、それ
らの間で摩擦帯電が生じる。またこの時点より以前に印
刷用紙11が給紙台12に載置された段階などでも、既
に印刷用紙11が帯電している場合もある。しかし、そ
のように搬送される以前から帯電していた場合などに
は、その帯電量がどの程度のものであるのかは、場合に
よって様々に異なるので、その後の搬送中の帯電でそれ
を中和させようとしても、そのためにどの程度の積極的
な帯電量が必要であるのかが一義的には決められない場
合も多い。
【0068】そこで、このような場合には、印刷用紙1
1に対して帯電列の正極性側にある素材(印刷用紙11
を負に帯電させる素材)からなる帯電手段である刷毛4
1と負極性側にある素材(印刷用紙11を正に帯電させ
る素材)からなる帯電手段である刷毛42とを、印刷用
紙11の搬送方向に交互に配置してなる帯電摩擦用起毛
部材40を用いて、それらの強い摩擦帯電作用によって
印刷用紙11に対して交互に正および負の強い摩擦帯電
を生じさせ、最終的に印刷用紙11の帯電状態を中和さ
せるようにすることができる。本実施の形態では、正極
性側にある素材からなる刷毛41としてはナイロン繊維
からなる刷毛を用いると共に、負極性側にある素材から
なる刷毛42としてはテフロン繊維からなる刷毛とを用
いた。
【0069】なお、この帯電摩擦用起毛部材40は、印
刷用紙11を給紙台12に載置(セッティング)する場
合や摩擦が生じることが比較的少ない小型判の印刷用紙
11を印刷するといった場合には、図4中で右上に示す
ように跳ね上げるなどしておき、必要が生じたときに印
刷用紙11の最上面にセットして用いるようにしてもよ
い。あるいはこの帯電摩擦用起毛部材40についても、
いわゆるオプションパーツとして後付け可能に設定して
もよいことは言うまでもない。
【0070】ここでさらに、図9に示すように、上記の
帯電手段として刷毛状のものではなく短冊シート状の帯
電手段(A)91および帯電手段(B)92を用いて、
それを孔版原紙10の搬送経路中に配置した場合と、印
刷用紙11の搬送経路中に配置した場合とで、それぞれ
残留する帯電量がどれだけになるかを確認する実験を行
った。その帯電量の計測は、静電気検出センサ93を備
えた静電気計測器94を用いて行った。なお、図9
(A)はその実験装置の主要部の概要構成を模式的に示
す平面図、図9(B)はその搬送方向に沿った断面図で
ある。このときの帯電手段(A)91と帯電手段(B)
92との帯電列の組み合わせは、本発明に係る手法すな
わち互いに逆極性の帯電を生じさせる組み合わせの場合
と、比較例として同じ材質を用いて互いに同極性の帯電
を生じさせる組み合わせの場合とについてを試行した。
その結果を図10に示す。残留電荷は、帯電手段(A)
91と帯電手段(B)92とが同じ材質の場合には(図
10中(1)〜(3))、いずれも絶対値で3〜20
[kV](キロボルト)の電位となったが、帯電手段
(A)91と帯電手段(B)92とを本発明に係る組み
合わせとした場合には(図10中(4),(5))、い
ずれも1[kV]以下とすることができることが確認さ
れた。
【0071】(実施形態4)この第4の実施の形態で
は、除電ブラシを用いると共に、その除電ブラシによる
除電をより確実に実行可能とするために、搬送対象物に
対して、むしろ積極的に摩擦帯電を生じさせる摩擦帯電
部材(摩擦帯電手段)を用いた場合の一例を示す。図5
は、その搬送装置の主要部の構成を示す図である。マス
ターロール1から供給されて来た未穿孔の孔版原紙10
がテンションローラ2a,2bの間を通る際に摩擦帯電
が生じるが、その帯電量は除電ブラシ51の放電効果に
よる除電が可能なしきい値電位よりも低い電位となって
いる場合が多い。しかしその反面、数100〜1[k
V]程度の電位であるため、ここで除電しておかなけれ
ば、その帯電に起因して、駆動用半導体回路(ドライバ
LSI)等を備えたサーマルヘッド4に静電破壊やEM
Iが生じる場合がある。
【0072】そこで、このような場合には、孔版原紙1
0の搬送経路におけるテンションローラ2a,2bの後
段であってかつ除電ブラシ51の前段に、孔版原紙10
に対して積極的に摩擦帯電を生じさせる摩擦帯電部材5
0a,50bを配置する。このようにして、孔版原紙1
0の帯電状態をむしろ積極的に高電位に帯電させて、除
電ブラシ51にとって確実に除電できるしきい値電位V
th以上の帯電状態とすることにより、孔版原紙10に
帯電していた電荷を効果的に除電することができ、その
結果、サーマルヘッド4等の電子デバイスに対する静電
破壊やEMIを確実に防ぐことができる。なお本実施の
形態では、サーマルヘッド4との摩擦に起因して孔版原
紙10に生じた負の強い帯電は、その後段に設置されて
いるガイド部材3b,3c表面のテフロンコーティング
との摩擦で生じる正の帯電によって、静電的に中和され
る。
【0073】なお、本実施の形態では、孔版原紙10に
対する除電をサーマルヘッド4の通過前に行う場合につ
いての一例を示したが、除電を行う位置としては、これ
のみには限定されないことは言うまでもない。この他に
も、孔版原紙10の帯電に起因した静電破壊やEMIを
防ぐことが必要な場合などであれは、どのような部位に
でも、本実施の形態で示したような摩擦帯電部材50
a,50bおよび除電ブラシ51を配設することが望ま
しいことは言うまでもない。あるいは、孔版原紙10に
対する除電以外にも、印刷用紙11に対する除電を行う
場合などでも本実施の形態に示したような手法を適用可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における搬送装置を中心とし
た概要構成を示す図
【図2】第2の実施の形態における給紙部分の搬送装置
を中心とした概要構成を示す図
【図3】第2の実施の形態における排紙部分の搬送装置
を中心とした概要構成を示す図
【図4】帯電摩擦用起毛部材を用いた場合の一例を示す
【図5】摩擦帯電部材を用いた場合の一例を示す図
【図6】孔版印刷装置の搬送装置に用いられる主要な構
成部材の材質の帯電列を示す図
【図7】孔版印刷装置の搬送装置に用いられる主要な構
成部材の材質ごとの帯電極性およびその帯電傾向の強弱
を調べた結果を示す図
【図8】搬送途中における摩擦帯電現象およびそれを本
発明の手法によって解消する効果を確認する実験を行っ
た装置の概要構成を示す図
【図9】帯電手段としてシート状の帯電手段(A)およ
び帯電手段(B)を用いて搬送途中における摩擦帯電現
象を解消する効果を確認する実験に用いた装置の一例を
示す図
【図10】摩擦帯電現象を解消する効果を確認する実験
結果を示す図
【符号の説明】
1 マスターロール 2a,2b テンションローラ 3a,3b, 3c ガイド部材 4 サーマルヘッド 5 プラテンローラ 6a,6b ロードローラ 10 孔版原紙 11 印刷用紙

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状の搬送対象物を搬送経路に沿っ
    て搬送する搬送装置において、 前記搬送対象物が前記搬送経路を通って搬送される間に
    前記搬送対象物の帯電の正負が中和するように、前記搬
    送対象物との摩擦によって該搬送対象物に正の帯電を生
    じさせる帯電手段と負の帯電を生じさせる帯電手段とを
    前記搬送対象物の搬送方向に配列したことを特徴とする
    搬送装置。
  2. 【請求項2】 前記帯電手段が、前記搬送装置を構成す
    る複数の部材によって構成されており、該複数の部材の
    全体で前記搬送対象物に帯電する電荷の正負を中和させ
    ることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
  3. 【請求項3】 前記帯電手段が、前記搬送装置を構成す
    る部材とは別に設けられており、前記部材との摩擦によ
    って前記搬送対象物に帯電する電荷の極性に対する逆極
    性の電荷を摩擦帯電させて、前記搬送対象物に帯電する
    電荷の正負を中和させることを特徴とする請求項1また
    は2記載の搬送装置。
  4. 【請求項4】 前記帯電手段が、前記搬送装置を構成す
    る部材とは別に、前記搬送対象物が搬送される間に該搬
    送対象物に対して正および負の極性の摩擦帯電を少なく
    とも1回ずつ生じさせて、該搬送対象物に帯電する電荷
    の正負を中和させる帯電手段であることを特徴とする請
    求項1または2記載の搬送装置。
  5. 【請求項5】 シート状の搬送対象物を搬送経路に沿っ
    て搬送する搬送装置において、 前記搬送対象物に帯電した電荷を除去する除電装置と、 前記搬送対象物が前記搬送経路を通って前記除電装置に
    到達するまでの間に、前記搬送経路との摩擦によって前
    記搬送対象物に帯電する静電的電位が前記除電装置が除
    電可能なしきい値電位以上の電位となるように、前記搬
    送対象物に帯電を発生させる摩擦帯電部材を備えたこと
    を特徴とする搬送装置。
  6. 【請求項6】 前記摩擦帯電部材が、前記搬送装置を構
    成する部材とは別に設けられていることを特徴とする請
    求項5記載の搬送装置。
  7. 【請求項7】 前記シート状の搬送対象物が被印刷用紙
    および孔版原紙のうち少くともいずれか一方であり、前
    記孔版原紙を用いて前記被印刷用紙に対して孔版印刷を
    行うことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項に記
    載の搬送装置。
  8. 【請求項8】 シート状の搬送対象物を搬送経路に沿っ
    て搬送する搬送装置に用いられる帯電防止部材であっ
    て、前記搬送装置を構成する部材とは別に前記搬送経路
    中に配置され、前記搬送対象物が搬送される間に該搬送
    対象物に対して正および負の極性の摩擦帯電を少なくと
    も1回ずつ生じさせて、該搬送対象物に帯電する電荷の
    正負を中和させることを特徴とする帯電防止部材。
  9. 【請求項9】 シート状の搬送対象物を搬送経路に沿っ
    て搬送する間に前記搬送対象物との摩擦によって該搬送
    対象物に正の帯電を生じさせる帯電手段と負の帯電を生
    じさせる帯電手段とを前記搬送対象物の搬送方向に配列
    し、該2つの極性の帯電手段によって前記搬送対象物の
    帯電の正負を中和させて前記搬送対象物の帯電を防止す
    ることを特徴とする帯電防止方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6915738B2 (en) 2003-03-03 2005-07-12 Tohoku Ricoh Co., Ltd. Master making device and stencil printer using the same
JP2008015284A (ja) * 2006-07-06 2008-01-24 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2015125376A (ja) * 2013-12-27 2015-07-06 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 画像形成装置

Cited By (3)

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