JP2001121265A - アーク溶接装置およびアーク溶接方法 - Google Patents

アーク溶接装置およびアーク溶接方法

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JP2001121265A JP30083899A JP30083899A JP2001121265A JP 2001121265 A JP2001121265 A JP 2001121265A JP 30083899 A JP30083899 A JP 30083899A JP 30083899 A JP30083899 A JP 30083899A JP 2001121265 A JP2001121265 A JP 2001121265A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接ワイヤの突き出し長さの調整が容易であ
る共に、ワイヤ送給性やアーク安定性を良好なものとす
ることができるアーク溶接装置を提供する。 【解決手段】 トーチボディ2に設けた給電チップ4を
介して溶接ワイヤ3を連続的に給電しつつ送給するアー
ク溶接装置1において、前記給電チップ4の被溶接母材
6側に、室温での曲げ強度が300MPa以上、熱膨張
係数が8.0×10−6 /℃以下、熱伝導度が100
W/(m・K)以上、耐熱衝撃温度が300℃以上、電
気抵抗が10Ω・cm以上の特性をもつ絶縁ガイド5
を装着した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接ワイヤを送給
しつつアーク溶接を行うに際し、高速での溶接を行った
ときでも溶接欠陥を生じがたく良好な溶接ビードの形成
が可能であるようにしたアーク溶接装置およびアーク溶
接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶接ワイヤを送給しつつアーク溶接を行
うに際しては、例えば、図11に示すようなアーク溶接
装置が用いられる。
【0003】図11に示すアーク溶接装置11は、図示
しない支持機構により支持された給電チップ12をそな
え、その中心には溶接ワイヤ通過孔12Hが形成されて
いて溶接ワイヤ13の送給が可能となっており、そのま
わりにはシールドガス送給用シールドガスノズル14を
設けた構造をなしている。
【0004】そして、被溶接母材15へのアーク溶接に
際しては、図示しない電源を接続して給電チップ12と
被溶接母材15との間に電圧を印加すると共にシールド
ガス送給用ガスノズル14からシールドガスを供給し、
図示しない溶接ワイヤ供給ロールを駆動して溶接ワイヤ
13を送給する。
【0005】このとき、シールドガスとしては、炭酸ガ
スや、アルゴンガスを主体としかつ炭酸ガスまたは酸素
ガスを加えた混合ガスを使用する。
【0006】そして、溶接電流を調整して、例えば、短
絡移行,粒状移行,スプレー移行,パルス制御の溶滴移
行などのアーク形態としてアーク溶接を行う。
【0007】これらのなかでパルス制御の溶滴移行によ
るアーク形態では、溶接ワイヤ13が被溶接母材15と
短絡せずにこの被溶接母材15と一定の距離を保った状
態でI・Rにより抵抗加熱されたのちアーク加熱によ
って形成された小粒の溶滴が被溶接母材15へ移行する
ことになるため、かなり良好な溶接ビードが形成される
こととなる。
【0008】このパルス制御移行型のアーク溶接では、
平均電流が小さい状態で瞬間的に電流を大きくすること
により溶滴を強制的にスプレー移行させるものであり、
スパッタ発生のない溶接方法として好適なものである
が、溶接速度を大きくすると溶接ビードの幅よりもアー
クの幅が広くなって溶接ビードの両端がアークにさらさ
れることとなるため、ワイヤ溶融量の少ない従来法では
アンダーカット,ビード切れ,ハンピングビードの発生
などといった不具合が生じやすくなって溶接品質が低下
することがあるという問題点があった。
【0009】そこで、このような不具合を解消するた
め、図12に示すようなアーク溶接装置も開発された。
【0010】このアーク溶接装置21は、溶接ワイヤ2
2を通過させる溶接ワイヤ通過孔23Hを形成した給電
チップ23と、同じく溶接ワイヤ通過孔24Hを形成し
た絶縁チップ24とを結合し、溶接ワイヤ通過孔24H
を形成した絶縁チップ24と、同じく溶接ワイヤ通過孔
25Hを形成したワイヤガイドチップ25とを結合した
構造をなすものである。
【0011】このようなアーク溶接装置21において、
図示しない電源を接続して給電チップ23と被溶接母材
26との間に電圧を印加すると共に図示しないシールド
ガスノズルからシールドガスを供給し、図示しない溶接
ワイヤ供給ロールを駆動して溶接ワイヤ22を送給す
る。
【0012】このとき、溶接ワイヤ22に対する電源の
接続は給電チップ23を介して行われ、溶接ワイヤ22
の先端が被溶接母材26と接触すると、通電加熱により
溶接ワイヤ22が温度上昇して溶断し、溶接ワイヤ22
と被溶接母材26との間にアークが形成され、溶接ワイ
ヤ22の先端から溶滴が被溶接母材26に向けて移行す
ることにより溶接ビードが形成され、この間、溶接ワイ
ヤ22はIRによる抵抗加熱によりその温度があらか
じめ上昇しているものとなる。
【0013】このようなアーク溶接装置21では、給電
チップ23の先端からアークの先端までの距離が従来の
ものに比べて長くなっているため、溶接ワイヤの加熱が
十分になされうることから、高速の溶接を行ったときで
もワイヤ溶融量を増大でき、ワイヤ送給速度一定の場合
に溶接電流が減少し、アーク力は溶接電流にほぼ比例す
ることからアーク力を抑制できる結果、アンダーカット
などの不具合が発生しないものとなり、品質のよい溶接
ビードが形成されることとなる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このように、給電チッ
プ23の先端から溶接ワイヤ22の先端までの距離を大
きくすることによって溶接ワイヤ22に対する給電加熱
(IRによる通電加熱)が良好に行われ、高速のアー
ク溶接を行ったときでもアンダーカットなどの不具合の
発生がなく、また、昇温した溶接ワイヤ22はワイヤガ
イドチップ25のワイヤ通過孔25Hによりガイドされ
ているため曲がりの発生もなく、溶接線はずれを生ずる
ことがなくなって、良好な溶接が可能となるが、溶接ワ
イヤの突き出し長さの調整に手間取ることもありうると
いう問題点があると共に、給電チップ23と絶縁チップ
24とワイヤガイドチップ25の3部品を締結すること
となるため締結部位が2個所に生じ、それら締結部での
密着性が良くない場合や、3部品に形成した溶接ワイヤ
通過孔の孔径とその大きさの関係および中間に設ける絶
縁チップ24の特性(とくに熱伝導度など)が適切でな
い場合などにはガスシールドアーク溶接に必要なワイヤ
送給性やアーク安定性を良好なものにできないこともあ
りうるという問題点があった。
【0015】
【発明の目的】本発明は、このような従来の問題点にか
んがみてなされたものであって、ガスシールドアーク溶
接に必要なワイヤ送給性やアーク安定性を良好なものと
することができ、アンダーカットなどの不具合を伴うこ
となく高速での溶接が可能であり、これと同時に、スパ
ッタの発生を少なくして良好なる溶接ビードの形成が可
能であるようにすることを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるアーク溶
接装置は、請求項1に記載しているように、トーチボデ
ィに設けた給電チップを介して溶接ワイヤを連続的に給
電しつつ送給するアーク溶接装置において、前記給電チ
ップの被溶接母材側に絶縁ガイドを装着した構成とした
ことを特徴としている。
【0017】そして、本発明に係わるアーク溶接装置に
おいては、請求項2に記載しているように、絶縁ガイド
の素材として、室温での曲げ強度が300MPa以上、
熱膨張係数が8.0×10−6 /℃以下、熱伝導度が
100W/(m・K)以上、耐熱衝撃温度が300℃以
上、電気抵抗が10Ω・cm以上のものを用いたもの
とすることができる。
【0018】同じく、本発明に係わるアーク溶接装置に
おいては、請求項3に記載しているように、給電チップ
への絶縁ガイドの装着部位を常時密着状態としたものと
することができ、この場合に、請求項4に記載している
ように、給電チップと絶縁ガイドをねじ結合し、絶縁ガ
イドに形成しためねじ部の深さhを給電チップに形成し
たおねじ部の高さHよりも小さくすると共に、絶縁ガイ
ドに形成しためねじ部の端面における凹面の傾斜角θを
給電チップに形成したおねじ部の端面における凸面の傾
斜角Θよりも小さくして、少なくとも、絶縁ガイドに形
成しためねじ部における溶接ワイヤ通過孔開口周端部と
給電チップに形成したおねじ部における溶接ワイヤ通過
孔開口周端部を常時密着状態としたものとしたり、ある
いはまた、請求項5に記載しているように、給電チップ
と絶縁ガイドをねじ結合し、絶縁ガイドに形成しためね
じ部の深さhを給電チップに形成したおねじ部の高さH
よりも小さくすると共に、絶縁ガイドに形成しためねじ
部の端面における凹面の曲率半径Rを給電チップに形成
したおねじ部の端面における凸面の曲率半径rよりも大
きくして、少なくとも、絶縁ガイドに形成しためねじ部
における溶接ワイヤ通過孔開口周端部と給電チップに形
成したおねじ部における溶接ワイヤ通過孔開口周端部を
常時密着状態としたものとしたりすることができる。
【0019】同じく、本発明に係わるアーク溶接装置に
おいては、請求項6に記載しているように、給電チップ
の溶接ワイヤ通過孔径a(mm)と絶縁ガイドの溶接ワ
イヤ通過孔径b(mm)と溶接ワイヤの直径dとの関係
において a≦b a=d×(1.03〜1.18) b=d×(1.18〜1.70)、場合によってはb=
d×(1.20〜1.70) としているものとなすことができる。
【0020】同じく、本発明に係わるアーク溶接装置に
おいては、請求項7に記載しているように、給電チップ
の溶接ワイヤ通過孔径a(mm)に対して、絶縁ガイド
の溶接ワイヤ通過孔の軸芯をa×0%超過〜a×20%
以下の範囲で偏芯させているものとすることができる。
【0021】本発明に係わるアーク溶接方法は、請求項
8に記載しているように、請求項1ないし7のいずれか
に記載のアーク溶接装置を用い、鋼中のNb量とAl量
との関係が、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 である溶接ワイヤを用いるようにしたことを特徴として
おり、例えば、請求項9に記載しているように、重量%
で、C:0.01〜0.15%、Si:0.15〜1.
35%、Mn:0.50〜1.80%、P:0.025
%以下、S:0.025%以下、Cu:0.50%以
下、Cr:0.50%以下、Ni:0.50%以下、M
o:1.00%以下、Al:0.30%以下、Ti:
0.30%以下、Nb:1.20%以下、残部Feおよ
び不純物からなり Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 である溶接ワイヤを用いるようになすことができる。
【0022】同じく、本発明に係わるアーク溶接方法に
おいては、請求項10に記載しているように、体積抵抗
率ρが32μΩ・cm以下である溶接ワイヤを用いるよ
うになすことができる。
【0023】同じく、本発明に係わるアーク溶接方法に
おいては、請求項11に記載しているように、請求項1
ないし7のいずれかに記載のアーク溶接装置を用い、絶
縁ガイドからの溶接ワイヤの見掛け突き出し長さL(m
m)を10〜25mmの範囲としてアーク溶接するよう
にしたことを特徴としている。
【0024】同じく、本発明に係わるアーク溶接方法に
おいては、請求項12に記載しているように、請求項1
ないし7のいずれかに記載のアーク溶接装置を用い、消
耗電極式アーク溶接に適用してアーク溶接するようにし
たことを特徴としている。
【0025】同じく、本発明に係わるアーク溶接方法に
おいては、請求項13に記載しているように、請求項1
ないし7のいずれかに記載のアーク溶接装置を用い、非
消耗電極式アーク溶接に適用してアーク溶接するように
したことを特徴としている。
【0026】同じく、本発明に係わるアーク溶接方法に
おいては、請求項14に記載しているように、請求項1
ないし7のいずれかに記載のアーク溶接装置を用い、給
電チップの先端から被溶接母材までの距離Eを14〜4
8mmの範囲としてアーク溶接するようにしたことを特
徴としている。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明に係わるアーク溶接装置お
よびアーク溶接方法は、上述した構成を有するものであ
り、図1に示すようなアーク溶接装置を用いることがで
きる。
【0028】このアーク溶接装置1は、トーチボディ2
の先端側に取り付けられかつ溶接ワイヤ3が通過する溶
接ワイヤ通過孔4Hを形成した導電性材料からなる給電
チップ4と、同じく溶接ワイヤ通過孔5Hを形成した電
気絶縁性材料からなる絶縁ガイド5を結合してなるもの
であって、給電チップ4の被溶接母材6側に絶縁ガイド
5を装着した構造をなすものとなっている。
【0029】このうち、給電チップ4の素材としては、
銅または銅合金が好適に使用され、また、絶縁ガイドの
素材としては、室温での曲げ強度が300MPa以上、
熱膨張係数が8.0×10−6 /℃以下、熱伝導度が
100W/(m・K)以上、耐熱衝撃温度が300℃以
上、電気抵抗が10Ω・cm以上であるセラミックス
材料が好適に使用される。
【0030】また、給電チップへの絶縁ガイド5の装着
部位においては、常時密着状態として、溶接ワイヤ3の
連続送給性が損なわれないようにすることが好ましく、
例えば、図2に示すように、絶縁チップ4と絶縁ガイド
5をねじ結合し、絶縁ガイド5に形成しためねじ部5A
の深さhを給電チップ4に形成したおねじ部4Aの高さ
Hよりも小さくすると共に、絶縁ガイド5に形成しため
ねじ部5Aの端面における凹面の傾斜角θを給電チップ
4に形成したおねじ部4Aの端面における凸面の傾斜角
Θよりも小さくしたアーク溶接装置1を使用するものと
なすことができ、これによって、絶縁ガイド5に形成し
ためねじ部5Aにおける溶接ワイヤ通過孔開口周端部5
Eと給電チップ4に形成したおねじ部4Aにおける溶接
ワイヤ通過孔開口周端部4Eを常時密着状態とすること
ができるようになり、溶接ワイヤ3の送給安定性がより
一層向上したものとなる。
【0031】あるいはまた、図3に示すように、給電チ
ップ4と絶縁ガイド5をねじ結合し、絶縁ガイド5に形
成しためねじ部5Aの深さhを給電チップ4に形成した
おねじ部4Aの高さHよりも小さくすると共に、絶縁ガ
イド5に形成しためねじ部5Aの端面における凹面の曲
率半径Rを給電チップ4に形成したおねじ部4Aの端面
における凸面の曲率半径rよりも大きくしたアーク溶接
装置1を使用するものとなすことができ、これによって
も、絶縁ガイド5に形成しためねじ部5Aにおける溶接
ワイヤ通過孔開口周端部5Eと給電チップ4に形成した
おねじ部4Aにおける溶接ワイヤ通過孔開口周端部4E
を常時密着状態とすることができるようになり、溶接ワ
イヤ3の送給安定性がより一層向上したものとなる。
【0032】そして、より望ましくは、給電チップ4に
形成した溶接ワイヤ通過孔4Hの孔径a(mm)と、絶
縁ガイド5に形成した溶接ワイヤ通過孔5Hの孔径b
(mm)との関係を a≦b にすると共に、溶接ワイヤ3の線径d(mm)との関係
を a=d×(1.03〜1.18) b=d×(1.18〜1.70)ないしはb=d×
(1.20〜1.70) としたアーク溶接装置1を使用するものとなすことがで
き、これによって、連続する溶接ワイヤ通過孔4H,5
Hでの溶接ワイヤ3の通過がより一層安定して良好に行
えるようになると共に、溶接ワイヤ3に対する給電も良
好に行え、さらにまた昇温して熱膨張した溶接ワイヤ3
の良好な送給性を維持したうえで曲がり防止をも良好に
行えるようになる。
【0033】このように、孔径aを1.03×d(m
m)以上とすることによって給電チップ4での溶接ワイ
ヤ3の良好な送給性が維持されると共に、孔径aを1.
18×d(mm)以下とすることによって給電チップ4
での良好な給電性が確保されることになる。また、孔径
bを1.18×d(mm)以上ないしは1.20×d
(mm)以上とすることによって絶縁ガイド5での溶接
ワイヤ3の良好な送給性が維持されると共に、孔径bを
1.70×d(mm)以下とすることによって絶縁ガイ
ド5での昇温した溶接ワイヤ2の曲がり変形が防止され
るようになる。
【0034】さらにまた、給電チップ4に形成した溶接
ワイヤ通過孔4Hの孔径a(mm)に対して、絶縁ガイ
ド5に形成した溶接ワイヤ通過孔5Hの軸芯をa×20
%以下の範囲で偏芯させているものとすることが場合に
よっては望ましく、給電チップ4から送り出される溶接
ワイヤ3がアーク熱で移行・溶融する場合に溶接ワイヤ
3はその殆どにおいて曲がりを持っているため、溶接ワ
イヤ3の曲がりによっては給電チップ4による給電を良
好に行うことができないこともあり得るのに対して、上
記のごとく偏芯させたものとすることによって曲がりを
持っている溶接ワイヤ3は給電チップ4のほぼ先端で接
触することとなり、図4に示すように、溶接電圧:30
V,溶接電流:200A,シールドガス:CO,溶接
ワイヤ径:1.2mm,有効突き出し長さ:33mmの
溶接例で示すごとく、溶接ワイヤ3に対する給電を安定
して良好に行うことができるようになる。しかし、偏芯
の程度が大きくなりすぎるとかえって溶接ワイヤ3の送
給性が低下して瞬時アークスタート率が悪くなってしま
うこととなるので好ましくない。
【0035】次に、本発明において使用する溶接ワイヤ
3は、鋼中のNb量とAl量との関係が、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 であるものを用いることも場合によっては望ましい。
【0036】すなわち、溶接ワイヤ中のNb量およびA
l量によるスパッタ発生への影響を調べたところ図5に
示す結果(○:スパッタ発生少量,△:スパッタ発生や
や多量,×:スパッタ発生多量)が得られ、スパッタの
発生が少ないものとするためには、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 とするのが良いことが認められた。
【0037】そして、このような溶接ワイヤとしてより
望ましくは、重量%で、C:0.01〜0.15%、S
i:0.15〜1.35%、Mn:0.50〜1.80
%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、C
u:0.50%以下、Cr:0.50%以下、Ni:
0.50%以下、Mo:1.00%以下、Al:0.3
0%以下、Ti:0.30%以下、Nb:1.20%以
下、残部Feおよび不純物からなり Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 であると共に、さらに望ましくは体積抵抗率ρが32μ
Ω・cm以下であるものとするのが良いことが認められ
た。
【0038】ここで、上記成分組成とするのが好ましい
限定理由は下記のとおりである。 C:0.01〜0.15% Cは鋼系溶接ワイヤの基本組成であり、体積抵抗率ρ
(μΩ・cm)の増減への影響はあまり大きくない。そ
こで、溶接作業性および溶接ワイヤの製造性の観点から
その上限は0.15%とし、下限は0.01%とするの
がよい。
【0039】また、溶滴直前の溶接ワイヤの粘性につい
てはC量が多くなればそれに従って粘性が低くなるが、
上限である0.15%までは大きな融点の低下はない。 Si:0.15〜1.35% Siは体積抵抗率ρの増減に大きな影響を及ぼす元素で
あり、体積抵抗率ρを32.0μΩ・cm以下とするた
めには上限を1.00%とし、下限は脱酸元素としての
作用を考慮して0.15%とするのが良い。 Mn:0.50〜1.80% MnはSiと共に脱酸元素として作用するものであり、
体積抵抗率ρには影響が少ないためその上限を1.80
%とし、下限は0.50%とするのが良い。 P:0.025%以下 Pは不純物元素であり、体積抵抗率ρの増減には影響が
少ない。したがって、溶接金属の割れなどへの悪影響を
及ぼさない範囲として上限を0.025%とするのが良
い。 S:0.025%以下 Sは不純物元素であり、体積抵抗率ρの増減には影響が
少ない。したがって、溶接金属への割れなどへの悪影響
を及ぼさない範囲として上限を0.025%とするのが
良い。 Cu:0.50%以下 Cuは体積抵抗率ρを小さくする元素であるが、鋼系溶
接金属の割れ感受性への影響が大きく、溶接ワイヤ表面
のCuめっき量も考慮して上限を0.50%とするのが
良い。 Cr:0.50%以下 Crは体積抵抗率ρを大きくする元素であるため、上限
を0.50に規制するのが良い。 Ni:0.50%以下 Niは体積抵抗率ρの増減には大きな影響を及ぼさない
が、溶接金属への悪影響を考慮して上限を0.50%に
規制するのが良い。 Mo:1.00%以下 Moは体積抵抗率ρの増減には大きな影響を及ぼさない
が、溶接金属への悪影響をもたらさない範囲でその上限
を1.00%とするのが良い。 Al:0.30%以下 Alは体積抵抗率ρを小さくする元素であるが、0.0
5%以上では一般的にもスパッタ発生は減少する。しか
し、IR法により高温化した溶接ワイヤの溶滴直上の
溶接ワイヤを表面のアルミナ酸化皮膜で強固に覆うこと
によって直下の溶滴と凝集させることなく溶滴移行の安
定化を維持できる効果を有する。そしてAl単独添加の
上限は0.30%とするのが良い。 Ti:0.30%以下 Tiはアーク安定化元素であり、また、脱酸元素であっ
て、溶滴移行性を制御できる有効な元素であるが、体積
抵抗率ρには大きな影響がないのでこの点からは多くし
てもよいものの溶接金属の靭性などへの悪影響を考慮し
て上限を0.30%とするのが良い。 Nb:1.20%以下 Nbは脱窒元素として有効であるが、体積抵抗率ρへの
影響は少ない。また、活性元素であるNbは溶接雰囲気
ガスとの反応によりNbの炭・窒化物を形成しやすく、
これらがAl添加の効果とほぼ同様に溶滴直上の高温化
された溶接ワイヤからの凝集を防止し、溶滴移行を規則
化するのでアーク安定化を促進しスパッタの抑制に効果
を発揮する。
【0040】したがって、Nb単独添加の下限は0.1
0%とし、上限は1,20%とするのが良い。
【0041】そして、スパッタの発生を少なくするため
に、NbとAlとの関係については、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 とするのが望ましい。
【0042】さらにまた、溶接ワイヤの体積抵抗率ρが
大きいと、溶接ワイヤの自己発熱によるワイヤ長手方向
への膨張が大きくなり短絡を生じやすくなってその結果
としてアークの安定化が損なわれると共に、ワイヤ先端
の溶融金属球を中心として溶接ワイヤの自己発熱により
融点近傍または融点以上に過熱した溶融金属が溶融金属
球の方向に落下してより大きな溶融金属球を形成し、そ
れが重力および他のアーク力などの作用で母材側溶融池
に移行し、いったん大きな溶融金属球が離脱・移行する
とアークは長く伸び、溶接ワイヤが定速度で送給されて
いるため次の溶融金属球が形成されるまでに時間を要す
ることとなり、あたかもアーク長さが長くなったり短か
くなったりして息継ぎをする状態を呈してアークが不安
定になるので、体積抵抗率はある程度抑制されたものと
することが望ましく、具体的には32μΩ・cm以下と
なる成分組成を有するものを用いることがより望まし
い。
【0043】そしてまた、より望ましくは、絶縁ガイド
5に形成した溶接ワイヤ通過孔5Hの孔径b(mm)を
溶接ワイヤ3の線径d(mm)および溶接電流Y(A)
に対して 500・b−400・d−20≧Y≧500・b−40
0・d−220 の関係としたアーク溶接装置1を使用するものとなすこ
とができ、これによって、良好なる溶接ワイヤ3の送給
性が維持されると共に溶接ワイヤ3の溶着発生がより安
定して防止されることとなる。
【0044】さらにまた、絶縁ガイド5の先端からの溶
接ワイヤ3の見掛け突き出し長さ(含むアーク長さ)L
(mm)を10〜25mmの範囲内としたアーク溶接装
置1を使用することがより望ましく、これによって、絶
縁ガイド5を熱衝撃から保護する機能を十分良好なもの
にできるようになる。
【0045】このような本発明による溶接ワイヤを用い
るアーク溶接方法は、消耗電極式アーク溶接に適用して
アーク溶接するものとなすことができ、あるいはまた、
非消耗電極式アーク溶接に適用してアーク溶接するもの
となすことができ、いずれの場合にも、溶接ワイヤ3を
Rにもとづく抵抗発熱させることによってより高速
の溶接にも十分に対応しうるものとなる。
【0046】そして、アーク溶接に際しては、上記した
アーク溶接装置1を用い、給電チップ4の先端から被溶
接母材6までの距離(溶接ワイヤの有効突き出し長さ)
Eを14〜48mmの範囲としてアーク溶接することが
より望ましく、距離Eが14mmよりも短いと溶接ワイ
ヤ3のIRによる発熱効果が小となり、ワイヤ溶融量
の増加が十分でなくなる傾向となり、48mmよりも長
いとIRによる発熱が過大となり、溶滴移行が乱れ、
ビード外観不良およびスパッタ発生量の増大をきたす傾
向となる。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこのような実施例のみに限定されないことはい
うまでもない。
【0048】図1は本発明の実施例による溶接ワイヤを
用いるアーク溶接方法の実施に使用するアーク溶接装置
を示すものであって、この図1に示すアーク溶接装置1
は、トーチボディ2に固定されかつ溶接ワイヤ3を通過
させる溶接ワイヤ通過孔4Hを形成した給電チップ4
と、同じく溶接ワイヤ通過孔5Hを形成すると共にスパ
ナ工具係合部5Tを形成した絶縁ガイド5とを前記給電
チップ4の一端に形成したおねじ部4Aと絶縁ガイド5
の一端に形成しためねじ部5Aとでねじ結合して給電チ
ップ4の被溶接母材6側に絶縁ガイド5を装着した構造
を有し、図2において拡大して示すように、絶縁ガイド
5に形成しためねじ部5Aの深さhを給電チップ4に形
成したおねじ部4Aの高さHよりも小さくする(すなわ
ち、この実施例ではh=6.5mm,H=7.5mmと
して、h<Hとする)と共に、絶縁ガイド5に形成した
めねじ部5Aの端面における凹面の傾斜角θを給電チッ
プ4に形成したおねじ部4Aの端面における凸面の傾斜
角Θよりも小さくする(すなわち、θ=30°,Θ=4
5°として、θ<Θとする)ことにより、絶縁ガイド5
に形成しためねじ部5Aと給電チップ4に形成したおね
じ部4Aとがねじ結合した状態において、絶縁ガイド5
に形成しためねじ部5Aにおける溶接ワイヤ通過孔開口
周端部5Eと給電チップ4に形成したおねじ部4Aにお
ける溶接ワイヤ通過孔開口周端部4Eとを常時密着状態
となるようにしている。
【0049】このとき、給電チップ4は溶接ワイヤ3に
対する給電が可能であるように導電性材料(この実施例
では、Cu金属)が使用してあり、絶縁ガイド5は溶接
ワイヤ3に対して絶縁体であるように絶縁性材料(この
実施例では、SiCやAl等)が使用してあっ
て、絶縁ガイド5の外周部分にはスパナ工具係合部5T
が形成してあるものとなっている。
【0050】このような構造を有するアーク溶接装置1
を使用し、溶接ワイヤ3として、C:0.06%、S
i:0.35%、Mn:1.35%、P:0.015
%、S:0.012%、Cu:0.22%、Cr:0.
10%、Ni:0.10%、Mo:0.05%、Al:
0.03%、Ti:0.01%、Nb:0.10%、残
部実質的にFeよりなり、体積抵抗率ρが23.8μΩ
・cmの成分組成および体積抵抗率を有する線径d=
1.2mmφのものを用い、有効突き出し長さEを使用
電流に応じて14〜48mmとしてパルスマグ法により
ビードオンプレート溶接を行った。
【0051】そして、このとき、絶縁ガイド5の素材と
して、室温での曲げ強度,熱(線)膨張係数,熱伝導
度,耐熱衝撃温度,電気抵抗(体積固有抵抗)が異なる
ものを選択してアーク溶接を行ったところ、表1〜表4
に示す結果であった。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】表1〜表4およびその他多くの試験の結
果、給電チップ4の被溶接母材6側に絶縁ガイド5を装
着した場合において、絶縁ガイド5の素材として、室温
での曲げ強度が300MPa以上、熱膨張係数が8.0
×10−6/℃以下、熱伝導度が100W/(m・K)
以上、耐熱衝撃温度が300℃以上、電気抵抗が10
Ω・cm以上であるのものを用いるのが良いことが確か
められた。
【0057】さらに、溶接ワイヤ3として、線径d=
1.0mmのもの(YGW12),線径d=1.2mm
のもの(YGW16)および線径d=1.6mmのもの
(YGW11)を用い、絶縁ガイド5の溶接ワイヤ通過
孔5Hの孔径bを種々変えて溶接ワイヤ3の送給性を評
価したところ、それぞれ、図6,図7および図8に示す
ものであった。
【0058】さらに、図6〜図8の結果を溶接ワイヤ3
の線径dについて整理したところ、図9に示す結果であ
った。
【0059】そして、溶接ワイヤ3の線径をd(mm)
とし、絶縁ガイド5の孔径をb(mm)とし、溶接電流
をY(A)とした場合において、 図6より、d=1.0mmの場合 500・b−450≧Y≧500・b−650 図7より、d=1.2mmの場合 500・b−500≧Y≧500・b−700 図8より、d=1.6mmの場合 500・b−650≧Y≧500・b−850 とするのがよく、定数Cと溶接ワイヤ3の線径dとの関
係において、 −400・d−220≦C≦−400・d−20 から、溶接電流Y(A)は、 500・b−400・d−20≧Y≧500・b−40
0・d−220 とするのがより望ましいことが認められた。
【0060】また、溶接ワイヤ3として線径d=1.2
mm(YGW16)を用いると共に有効突き出し長さE
を28mmとしてパルスマグ法によりビードオン溶接
(200A−32V)を行い、給電チップ4の溶接ワイ
ヤ通過孔4Hの孔径aと絶縁ガイド5の溶接ワイヤ通過
孔5Hの孔径bによるワイヤ送給性に及ぼす影響を調べ
たところ、図10に示す結果であった。
【0061】その結果、 ・a≦b ・a=d×(1.03〜1.18) ・b=d×(1.20〜1.70) の場合に溶接ワイヤ3の送給性がより一層安定して良好
な状態が得られるものとなっていた。
【0062】
【発明の効果】本発明によるアーク溶接装置では、請求
項1に記載しているように、トーチボディに設けた給電
チップを介して溶接ワイヤを連続的に給電しつつ送給す
るアーク溶接装置において、前記給電チップの被溶接母
材側に絶縁ガイドを装着した構成としたから、溶接ワイ
ヤの突き出し長さの調整に手間取ることが少なくなると
共に、締結部位が給電チップと絶縁ガイドとの1個所の
みとなるため溶接ワイヤの送給性やアーク安定性をより
一層良好なものにすることが可能であるという著しく優
れた効果がもたらされる。
【0063】そして、請求項2に記載しているように、
絶縁ガイドの素材として、室温での曲げ強度が300M
Pa以上、熱膨張係数が8.0×10−6 /℃以下、
熱伝導度が100W/(m・K)以上、耐熱衝撃温度が
300℃以上、電気抵抗が10Ω・cm以上のものを
用いることによって、アーク溶接時に絶縁ガイドが過熱
されるのを防止することが可能であると共に熱衝撃によ
る損傷を受けるのを軽減することが可能であるという著
しく優れた効果がもたらされる。
【0064】さらに、請求項3に記載しているように、
給電チップへの絶縁ガイドの装着部位を常時密着状態と
することによって、溶接ワイヤの送給安定性を良好なも
のにすることが可能であるという著しく優れた効果がも
たらされる。
【0065】さらに、請求項4に記載しているように、
給電チップと絶縁ガイドをねじ結合し、絶縁ガイドに形
成しためねじ部の深さhを給電チップに形成したおねじ
部の高さHよりも小さくすると共に、絶縁ガイドに形成
しためねじ部の端面における凹面の傾斜角θを給電チッ
プに形成したおねじ部の端面における凸面の傾斜角Θよ
りも小さくして、少なくとも、絶縁ガイドに形成しため
ねじ部における溶接ワイヤ通過孔開口周端部と給電チッ
プに形成したおねじ部における溶接ワイヤ通過孔開口周
端部を常時密着状態とするようになすことによって、溶
接ワイヤの送給安定性をより一層向上したものにするこ
とが可能であるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【0066】あるいはまた、請求項5に記載しているよ
うに、給電チップと絶縁ガイドをねじ結合し、絶縁ガイ
ドに形成しためねじ部の深さhを給電チップに形成した
おねじ部の高さHよりも小さくすると共に、絶縁ガイド
に形成しためねじ部の端面における凹面の曲率半径Rを
給電チップに形成したおねじ部の端面における凸面の曲
率半径rよりも大きくして、少なくとも、絶縁ガイドに
形成しためねじ部における溶接ワイヤ通過孔開口周端部
と給電チップに形成したおねじ部における溶接ワイヤ通
過孔開口周端部を常時密着状態とするようになすことに
よって、溶接ワイヤの送給安定性をより一層向上したも
のにすることが可能であるという著しく優れた効果がも
たらされる。
【0067】さらに、請求項6に記載しているように、
給電チップの溶接ワイヤ通過孔径a(mm)と絶縁ガイ
ドの溶接ワイヤ通過孔径b(mm)と溶接ワイヤの直径
dとの関係において a≦b a=d×(1.03〜1.18) b=d×(1.18〜1.70) としているものとなすことによって、連続する溶接ワイ
ヤ貫通孔での溶接ワイヤの通過をより一層安定して良好
に行うことが可能であると共に、溶接ワイヤに対する給
電も良好に行うことが可能であり、さらにまた昇温して
熱膨張した溶接ワイヤの良好な送給性を維持したうえで
曲がり防止をも良好に行うことが可能であるという著し
く優れた効果がもたらされる。
【0068】さらにまた、請求項7に記載しているよう
に、給電チップの溶接ワイヤ通過孔径a(mm)に対し
て、絶縁ガイドの溶接ワイヤ通過孔の軸芯をa×0%超
過〜a×20%以下の範囲で偏芯させているものとする
ことによって、曲がりを持っている溶接ワイヤは給電チ
ップのほぼ先端で接触することとなり、溶接ワイヤに対
する給電を安定して良好に行うこと可能であるという著
しく優れた効果がもたらされる。
【0069】さらに、請求項8に記載しているように、
請求項1ないし7のいずれかに記載のアーク溶接装置を
用い、鋼中のNb量とAl量との関係が、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 である溶接ワイヤを用いるようになすことによって、ア
ンダーカットなどの不具合を伴うことなく高速での溶接
を行うことが可能であるのに加えて、スパッタ発生をも
少なくして良好なる溶接ビードの形成が可能であるよう
にアーク溶接を実施することができるという著しく優れ
た効果がもたらされる。
【0070】そして、請求項9に記載しているように、
重量%で、C:0.01〜0.15%、Si:0.15
〜1.35%、Mn:0.50〜1.80%、P:0.
025%以下、S:0.025%以下、Cu:0.50
%以下、Cr:0.50%以下、Ni:0.50%以
下、Mo:1.00%以下、Al:0.30%以下、T
i:0.30%以下、Nb:1.20%以下、残部Fe
および不純物からなり Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 である溶接ワイヤを用いるようになすことによって、ア
ーク溶接時のスパッタの発生をより一層少ないものにす
ることが可能であるという著しく優れた効果がもたらさ
れる。
【0071】そしてまた、請求項10に記載しているよ
うに、体積抵抗率ρが32μΩ・cm以下である溶接ワ
イヤを用いるようになすことによって、アーク溶接時の
アークの安定性をより一層良好なものにすることが可能
であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0072】さらにまた、請求項11に記載しているよ
うに、請求項1ないし7のいずれかに記載のアーク溶接
装置を用い、絶縁ガイドの先端からの溶接ワイヤの見掛
け突き出し長さL(mm)を10〜25mmの範囲とし
てアーク溶接することによって、絶縁ガイドを熱衝撃か
ら保護する機能を十分良好なものにすることが可能であ
るという著しく優れた効果がもたらされる。
【0073】さらにまた、請求項12に記載しているよ
うに、消耗電極式アーク溶接に適用してアーク溶接する
ものとなすことによって、消耗電極式アーク溶接の際に
おける高速溶接を可能にするという著しく優れた効果が
もたらされる。
【0074】さらにまた、請求項13に記載しているよ
うに、非消耗電極式アーク溶接に適用してアーク溶接す
るものとなすことによって、非消耗電極式アーク溶接の
際における高速溶接を可能にするという著しく優れた効
果がもたらされる。
【0075】そしてまた、請求項14に記載しているよ
うに、給電チップの先端から被溶接母材までの距離(有
効突き出し長さ)Eを14〜48mmの範囲としてアー
ク溶接するようになすことによって、アンダーカット,
ビード切れ,ハンピングビードの発生などといった不具
合を生じることなく高速溶接によるアーク溶接が可能に
なるという著しく優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるアーク溶接方法の実施
に使用するアーク溶接装置の断面説明図である。
【図2】図1に示したアーク溶接装置において給電チッ
プおよびこれとねじ結合する絶縁ガイドの一実施例を示
す断面説明図(図2の(A))および絶縁ガイドの平面
説明図(図2の(B))である。
【図3】図1に示したアーク溶接装置において給電チッ
プおよびこれとねじ結合する絶縁ガイドの他の実施例を
示す断面説明図(図3の(A))および絶縁ガイドの平
面説明図(図3の(B))である。
【図4】給電チップに対する絶縁ガイド孔偏芯率による
瞬時アークスタート率への影響を調べた結果を例示する
グラフである。
【図5】溶接ワイヤ中に含まれるNb量およびAl量に
よるスパッタ発生への影響を調べた結果を例示する説明
図である。
【図6】溶接ワイヤの線径d=1.0mmの場合におい
て、絶縁ガイドの溶接ワイヤ通過孔の孔径bによるワイ
ヤ送給性への影響を調べた結果を例示するグラフであ
る。
【図7】溶接ワイヤの線径d=1.2mmの場合におい
て、絶縁ガイドの溶接ワイヤ通過孔の孔径bによるワイ
ヤ送給性への影響を調べた結果を例示するグラフであ
る。
【図8】溶接ワイヤの線径d=1.6mmの場合におい
て、絶縁ガイドの溶接ワイヤ通過孔の孔径bによるワイ
ヤ送給性への影響を調べた結果を例示するグラフであ
る。
【図9】図6〜図8の結果を溶接ワイヤ径dで整理した
結果を例示するグラフである。
【図10】給電チップに形成した溶接ワイヤ通過孔の孔
径aと絶縁ガイドに形成した溶接ワイヤ通過孔の孔径b
によるワイヤ送給性への影響を調べた結果を例示するグ
ラフである。
【図11】溶接ワイヤを用いるアーク溶接装置の従来例
を示す断面説明図である。
【図12】溶接ワイヤを用いるアーク溶接装置の他の従
来例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 アーク溶接装置 2 トーチボディ 3 溶接ワイヤ 4 給電チップ 4A 給電チップのおねじ部 4E 給電チップのおねじ部の溶接ワイヤ通過孔開口周
端部 4H 給電チップの溶接ワイヤ通過孔 5 絶縁ガイド 5A 絶縁ガイドのめねじ部 5H 絶縁ガイドの溶接ワイヤ通過孔 5E 絶縁ガイドのめねじ部の溶接ワイヤ通過孔開口周
端部 6 被溶接母材
フロントページの続き Fターム(参考) 4E001 AA03 BB06 BB07 BB08 BB09 CA01 DD02 DD04 DD05 EA05 LD14 LH01 LH02 LH04 LH09 MB07 MC01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トーチボディに設けた給電チップを介し
    て溶接ワイヤを連続的に給電しつつ送給するアーク溶接
    装置において、前記給電チップの被溶接母材側に絶縁ガ
    イドを装着したことを特徴とするアーク溶接装置。
  2. 【請求項2】 絶縁ガイドの素材として、室温での曲げ
    強度が300MPa以上、熱膨張係数が8.0×10
    −6 /℃以下、熱伝導度が100W/(m・K)以
    上、耐熱衝撃温度が300℃以上、電気抵抗が10Ω
    ・cm以上のものを用いたことを特徴とする請求項1に
    記載のアーク溶接装置。
  3. 【請求項3】 給電チップへの絶縁ガイドの装着部位を
    常時密着状態としたことを特徴とする請求項1または2
    に記載のアーク溶接装置。
  4. 【請求項4】 給電チップと絶縁ガイドをねじ結合し、
    絶縁ガイドに形成しためねじ部の深さhを給電チップに
    形成したおねじ部の高さHよりも小さくすると共に、絶
    縁ガイドに形成しためねじ部の端面における凹面の傾斜
    角θを給電チップに形成したおねじ部の端面における凸
    面の傾斜角Θよりも小さくして、少なくとも、絶縁ガイ
    ドに形成しためねじ部における溶接ワイヤ通過孔開口周
    端部と給電チップに形成したおねじ部における溶接ワイ
    ヤ通過孔開口周端部を常時密着状態としたことを特徴と
    する請求項3に記載のアーク溶接装置。
  5. 【請求項5】 給電チップと絶縁ガイドをねじ結合し、
    絶縁ガイドに形成しためねじ部の深さhを給電チップに
    形成したおねじ部の高さHよりも小さくすると共に、絶
    縁ガイドに形成しためねじ部の端面における凹面の曲率
    半径Rを給電チップに形成したおねじ部の端面における
    凸面の曲率半径rよりも大きくして、少なくとも、絶縁
    ガイドに形成しためねじ部における溶接ワイヤ通過孔開
    口周端部と給電チップに形成したおねじ部における溶接
    ワイヤ通過孔開口周端部を常時密着状態としたことを特
    徴とする請求項3に記載のアーク溶接装置。
  6. 【請求項6】 給電チップの溶接ワイヤ通過孔径a(m
    m)と絶縁ガイドの溶接ワイヤ通過孔径b(mm)と溶
    接ワイヤの直径dとの関係において a≦b a=d×(1.03〜1.18) b=d×(1.18〜1.70) としていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれ
    かに記載のアーク溶接装置。
  7. 【請求項7】 給電チップの溶接ワイヤ通過孔径a(m
    m)に対して、絶縁ガイドの溶接ワイヤ通過孔の軸芯を
    a×0%超過〜a×20%以下の範囲で偏芯させている
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の
    アーク溶接装置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載のア
    ーク溶接装置を用い、鋼中のNb量とAl量との関係
    が、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 である溶接ワイヤを用いることを特徴とするアーク溶接
    方法。
  9. 【請求項9】 重量%で、C:0.01〜0.15%、
    Si:0.15〜1.35%、Mn:0.50〜1.8
    0%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、
    Cu:0.50%以下、Cr:0.50%以下、Ni:
    0.50%以下、Mo:1.00%以下、Al:0.3
    0%以下、Ti:0.30%以下、Nb:1.20%以
    下、残部Feおよび不純物からなり Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 である溶接ワイヤを用いることを特徴とする請求項8に
    記載のアーク溶接方法。
  10. 【請求項10】 体積抵抗率ρが32μΩ・cm以下で
    ある溶接ワイヤを用いることを特徴とする請求項8また
    は9に記載のアーク溶接方法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし7のいずれかに記載の
    アーク溶接装置を用い、絶縁ガイドの先端からの溶接ワ
    イヤの見掛け突き出し長さL(mm)を10〜25mm
    の範囲としてアーク溶接することを特徴とするアーク溶
    接方法。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし7のいずれかに記載の
    アーク溶接装置を用い、消耗電極式アーク溶接に適用し
    てアーク溶接することを特徴とするアーク溶接方法。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし7のいずれかに記載の
    アーク溶接装置を用い、非消耗電極式アーク溶接に適用
    してアーク溶接することを特徴とするアーク溶接方法。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし7のいずれかに記載の
    アーク溶接装置を用い、給電チップの先端から被溶接母
    材までの距離Eを14〜48mmの範囲としてアーク溶
    接することを特徴とするアーク溶接方法。
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