JP2001120357A - 歯ブラシ - Google Patents

歯ブラシ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 毛先が歯間部や歯周ポケット、歯間三角部に
入りやすく、歯と歯の間や、歯と歯茎の境目などに蓄積
した除去しにくい歯垢の清掃効果が高く、歯茎への当た
り具合もソフトで使用感に優れた歯ブラシを提供するこ
と。 【解決手段】 合成モノフィラメント1として、フィラ
メント最先端部を原点(0,0,0) とする3次元座標(x,y,
z) を設定し、該座標の+x軸上にフィラメントの中心
軸を沿わせたとき、フィラメント毛先より0.1 mmから8.
0 mmまでの任意の部分におけるテーパー部のyz平面方向
の断面積sが、合成モノフィラメントの最大径部のyz平
面方向の断面積Dに対して、 p=s/D=a・x(0.85-a) (0.05≦a≦0.65) によって特定される比率pからなるテーパー形状を備え
た合成モノフィラメントを用いた。また、フィラメント
先端より0.1 mmから8.0 mmまでの部分の屈曲回復率BR
(%)をBR ≧60とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯と歯の間や、歯
と歯茎の境目などに蓄積した除去しにくい歯垢の清掃効
果が高く、歯茎への当たり具合もソフトで使用感に優れ
た歯ブラシに関する。
【0002】
【従来の技術】歯周疾患およびう蝕の二大歯科疾患予防
のためには、歯ブラシによる歯垢除去が重要であり、近
年、スクラブ法やバス法などの毛先磨きによる刷掃法が
歯垢除去に有効であることが認められてきた。
【0003】また、合成フィラメントからなる刷毛を用
いた歯ブラシに関しては、バス法などの刷掃における毛
先による歯茎の損傷を避けるため、細めの柔らかい刷毛
を用いた歯ブラシが使用されてきた。しかし、このよう
な刷毛は、ソフト感はあるが、毛腰が弱いために歯垢を
掻き取る力が不十分であり、また耐久性が低いという欠
点があった。
【0004】他方、毛先が歯と歯茎の境目などの凹部に
容易に入るように、毛先をテーパー状に研磨加工した歯
ブラシも知られているが、このテーパー部の長さはせい
ぜい1mm程度と短いため、清掃効果やソフト感が向上
するには至らず、通常の毛先ラウンド状の刷毛とほとん
ど差がなかった。
【0005】さらに、テーパー部を化学的処理によって
より長く先鋭化した刷毛についても、ハケ用、化粧用、
洗顔用などの刷毛類で使用されている(実開昭57−1
2934号、実開昭57−65632号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
テーパー部を備えた刷毛類には、適切なテーパー形状を
とっていないものもあり、例えば、テーパー部が長すぎ
たり、細すぎたりすると、毛腰が弱くなってしまい、ブ
ラッシング時に大きくたわみ、毛先の進入性、刷掃効
果、歯肉のマッサージ効果が低下してしまうという問題
があった。また、逆にテーパー部が短すぎたり、太すぎ
たりすると、歯間部や歯周ポケット、歯間三角部に入り
にくくなり、これらの部位の刷掃効果が落ちてしまうと
いう問題があった。
【0007】本発明は、上記のような問題を解決するた
めになされたもので、毛先が歯間部や歯周ポケット、歯
間三角部に入りやすく、歯と歯の間や、歯と歯茎の境目
などに蓄積した除去しにくい歯垢の清掃効果が高く、歯
茎への当たり具合もソフトで使用感に優れた歯ブラシを
提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る歯ブラシは、合成モノフィラメント
として、フィラメント最先端部を原点(0,0,0)と
する3次元座標(x,y,z)を設定し、該座標の+x
軸上にフィラメントの中心軸を沿わせたとき、フィラメ
ント毛先より0.1mmから8.0mmまでの任意の部
分におけるテーパー部のyz平面方向の断面積sが、前
記合成モノフィラメントの最大径部のyz平面方向の断
面積Dに対して、下記(1)式 p=s/D=a・x(0.85-a) (0.05≦a≦0.65) ‥‥(1) によって特定される比率pからなるテーパー形状を備え
た合成モノフィラメントを用いたものである。なお、
(1)式中のパラメータaを、0.10≦a≦0.45
の範囲とすれば、より好ましいものとなる。
【0009】また、請求項2に係る歯ブラシは、請求項
1に係る歯ブラシにおいて、前記合成モノフィラメント
の先端より0.1mmから8.0mmまでの部分の屈曲
回復率BR (%)が BR ≧60 で特定されることを特徴とするものである。
【0010】上記請求項1および2に係る歯ブラシの場
合、歯磨き操作の際に、先鋭テーパー部が歯間部、特に
歯周ポケットや歯間三角部に容易に入り込んでこれらの
部分を刷掃するので、歯垢除去率を高めることができ
る。また、毛先による歯肉への刺激も良好で、ソフトな
感触が得られ、使用感が著しく向上するとともに、耐久
性も高めることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1および図2に本発明の
第1の実施の形態を示す。図1は第1の実施の形態で用
いられる合成モノフィラメントのz軸方向から見た模式
拡大平面図、図2は図1の合成モノフィラメントを用い
て構成された歯ブラシの平面図である。図において、1
は合成モノフィラメント、2は歯ブラシの柄部、3は歯
ブラシヘッド部、4は合成モノフィラメント1を束ねた
毛束である。
【0012】第1の実施の形態の場合、図1に示すよう
に、xyz座標の+x軸上にフィラメント1の中心軸を
沿わせたとき、フィラメント先端より0.1mmから
8.0mmまでの任意の部分におけるyz平面方向の断
面積sと、フィラメントの最大径部のyz平面方向の断
面積Dとの比率pが、 p=s/D=a・x(0.85-a) ‥‥(1) 但し、0.05≦a≦0.65 によって特定されるテーパー形状を備えた合成モノフィ
ラメント1を用いる。そして、このようなテーパー形状
を備えた合成モノフィラメント1を複数本束ねて毛束4
とし、図2に示すように、歯ブラシヘッド部3に所定の
方法で植毛したものである。
【0013】前記合成モノフィラメント1の素材として
は、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの
合成樹脂を使用することができるが、テーパー加工の面
からポリエステルを使用することが好ましい。歯ブラシ
ヘッド部3を含む歯ブラシハンドルの素材としては、ポ
リプロピレン樹脂、AS樹脂などの通常用いられている
合成樹脂を用いることができる。
【0014】テーパー部5の全長は5〜15mm、好ま
しくは8〜12mmとし、合成モノフィラメント1の最
大径は0.15〜0.25mm、好ましくは0.17〜
0.20mmとする。また、歯ブラシヘッド部3へ植毛
した後の合成モノフィラメント1の植毛面からの刷毛長
さ(毛丈)は、通常の歯ブラシと同様に10〜13mm
程度であるが、刷毛長さが8mm未満であっても、前記
(1)式およびパラメータaを満たすテーパー形状であ
れば、本発明の効果が得られる。
【0015】歯ブラシ自体の製造方法としては、歯ブラ
シヘッド部3に毛束4が確実に固定されればよいので特
に限定はなく、従来公知の方法を利用することができ
る。例えば、図1のように両端にテーパー部5を備えた
合成モノフィラメント1の場合には、金属片(平線)を
用いて毛束を二つ折りにして植毛穴に打ち込む平線植毛
法を利用することができ、また、後述する図4に示すよ
うな一方の端部にのみテーパー部5を形成した合成モノ
フィラメント1の場合には、インモールド法や熱融着法
などを利用することができる。
【0016】上記のようなテーパー形状を備えた合成モ
ノフィラメント1を用いた場合、先鋭なテーパー部先端
が歯間部によく入り、特に歯周ポケットや歯間三角部に
も容易に入り込むため、歯垢除去率を高めることができ
る。
【0017】さらに、狭い部分への毛先の挿入が容易に
可能となったため、ブラッシングに無理な力を入れる必
要がなくなり、刷毛の耐久性も向上する。また、毛先に
よる歯肉への刺激も良好でソフト感が得られ、使用感を
著しく向上させることができる。
【0018】上記効果をすべてあげるには、上記(1)
式中のパラメータaが、0.05≦a≦0.65、より
好ましくは0.10≦a≦0.45の条件を満足しなけ
ればならない。パラメータaが0.05≦a≦0.65
の条件を満たさないときには、たとえ(1)式で示され
るテーパー形状を持つ刷毛であっても、上述の効果を発
揮することはできない。
【0019】すなわち、パラメータaが0.05より小
さい場合、テーパー部5が非常にか細くなってしまうた
め、刷毛の持つ「腰」が弱くなりすぎてブラッシング時
に大きくたわむこととなり、毛先の進入性、刷掃効果、
歯肉のマッサージ効果が低下してしまう。さらに、耐久
性も低下してしまう。逆に、パラメータaが0.65よ
り大きい場合、テーパー部5が毛先方向に十分に細くな
りきらないため、歯間部や歯周ポケット、歯間三角部に
入りにくくなり、これらの部位での刷掃効果が低下して
しまう。
【0020】なお、上記第1の実施の形態では、図1に
示したように、左右のテーパー部5を同じテーパー形
状、すなわち同じパラメータaとした場合について例示
したが、パラメータaの範囲(0.05≦a≦0.6
5)を満たす限り、例えば図3に例示するように、左右
のテーバー部5ごとに異なるパラメータa1 、a2 を採
用し、左右の端部でテーパー形状を異ならせてもよいも
のである。また、図1あるいは図3のように両端部にテ
ーパー部5を形成した合成モノフィラメントだけに限ら
ず、図4に示すように一方の端部にだけテーパー部5を
形成した合成モノフィラメント1であってもよい。
【0021】また、歯ブラシヘッド部3に植毛される毛
束4として前記テーパー形状を備えた合成モノフィラメ
ント1のみを用いたが、これに限定されるものではな
く、植毛面に植毛された全刷毛に対する本発明の合成モ
ノフィラメント1の比率が25%以上であれば、前述し
た効果を発揮することができる。この場合において、1
つの毛束4内において、前記テーパー形状を備えた合成
モノフィラメント1と、これ以外の形状のフィラメント
とを比率25%以上で混合結束して植毛してもよいし、
また、前記テーパー形状を備えた合成モノフィラメント
1のみからなる毛束4と、これ以外の通常の形状の合成
モノフィラメントのみからなる毛束とを植毛面全体で比
率25%以上となるように混合配置して植毛してもよ
い。
【0022】さらに、合成モノフィラメント1の断面形
状は、前記(1)式ならびにパラメータaの範囲を満た
す限り、円形、楕円形、方形など、種々の断面形状を採
用することができる。
【0023】次に、第2の実施の形態について説明す
る。第2の実施の形態は、前述した第1の実施の形態と
同様の歯ブラシ構成において、合成モノフィラメント1
の先端より0.1mmから8.0mmまでの部分の屈曲
回復率BR (%)がBR ≧60となるように設定したも
のである。
【0024】上記のように、合成モノフィラメント1の
先端より0.1mmから8.0mmまでの部分の屈曲回
復率BR (%)がBR ≧60の範囲となるように設定し
た場合、テーパー先端部が先鋭でしかもしなやかとなる
ため、歯間部や歯周ポケット、歯間三角部などの口腔内
の細やかな部位に入りやすくなり、清掃実感をさらに向
上させることができる。また、屈曲に対する回復性がよ
いことから、刷毛の耐久性も向上させることができる。
なお、該効果をより一層発揮させるには、BR≧80と
することが好ましい。
【0025】前記屈曲回復率BR (%)がBR <60の
場合には、合成モノフィラメント1のテーパー先端部の
しなやかさが失われるため、通常のブラッシングでは口
腔内の細やかな部位に刷毛が非常に進入しにくくなる。
さらに、屈曲に対する回復性が悪くなることから、刷毛
の耐久性も低下してしまう。
【0026】なお、前記屈曲回復率BR は、次のように
して求める。 まったく屈曲が見られない合成モノフィラメント1
を、図5に示すように、金属製円柱棒Bに巻き付けて固
定する。この時、刷毛巻き付け方向が円柱長軸Cに対し
て垂直になるように注意する。 の状態のまま23±4℃の水に24時間浸漬す
る。 の状態のまま37±2℃の水に90秒間浸漬す
る。 の状態のまま23±4℃の水に1分間浸漬する。 合成モノフィラメント1を金属性円柱棒Bから外
し、23±4℃の水の入ったシャーレに移して1時間静
置する。 軽く水を拭き取り、合成モノフィラメント1の先端
より0.1mmから8mmまでの部分の曲率半径を測定
する。 で得られた各部位の曲率半径の測定結果をrとす
ると、次式より各部位の屈曲回復率BR (%)を算出す
る。
【0027】
【数1】
【0028】
【実施例】本発明者らは、合成モノフィラメント1にお
けるテーパー部5の形状が歯ブラシの使用感に及ぼす影
響を調べるために、前記(1)式中のパラメータaの違
いによる使用感について、被験者15名で評価テストを
行なった。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1から明らかなように、パラメータaが
0.05≦a≦0.65の条件を満たすときに、(1)
式で規定されるテーパー形状を持つ刷毛は、狭い部分の
汚れが取れている感じが「あり」、歯茎への当たり心地
も「よい」という実使用感評価を得た。特に、パラメー
タaが、0.10≦a≦0.45の条件を満たす場合に
は、狭い部分の汚れが取れている感じが「非常にあ
り」、歯茎への当たり心地も「非常によい」という極め
て高い評価を得た。
【0031】さらに、合成モノフィラメント1における
屈曲回復率BR が歯ブラシの使用感と耐久性に及ぼす影
響を調べるために、表2に示すような種々の屈曲回復率
Rからなる歯ブラシを作製し、屈曲回復率BR の違い
による使用感と耐久性について、被験者30名で評価テ
ストを行なった。その結果を表3に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】表3から明らかなように、合成モノフィラ
メント1の先端より0.1mmから8.0mmまでの部
分の屈曲回復率BR (%)がBR ≧60のときに、毛先
が細かなところまで進入してくる感じが「あり」、刷毛
の耐久性も「よい」という評価を得た。特に、BR ≧8
0の場合には高い評価が得られた。
【0035】以上、本発明の実施の形態ならびに実施例
について説明したが、本発明はこれらに限定されるもの
ではなく、発明の主旨に沿って種々の変形が可能であ
る。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、合成モノフィラメント
として、特定のテーパー形状からなるテーパー部を備え
た合成モノフィラメントを用いたので、毛先が歯間部や
歯周ポケット、歯間三角部に入り込みやすくなり、歯と
歯の間や、歯と歯茎の境目などに蓄積した除去しにくい
歯垢の清掃効果が向上するとともに、歯茎への当たり具
合もソフトで使用感に優れた歯ブラシを得ることができ
る。
【0037】また、合成モノフィラメントの先端より
0.1mmから8.0mmまでの部分の屈曲回復率BR
(%)をBR ≧60としたので、歯間部や歯周ポケッ
ト、歯間三角部などの口腔内の細やかな部位に入りやす
くなり、清掃実感をさらに向上させることができるとと
もに、刷毛の耐久性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態で用いられる合成モノフィラメント
のz軸方向から見た模式拡大平面図である。
【図2】図1の合成モノフィラメントを用いて構成され
た歯ブラシの平面図である。
【図3】本発明で用いられる合成モノフィラメントの他
の形状例を示す模式拡大平面図である。
【図4】本発明で用いられる合成モノフィラメントのさ
らに他の形状例を示す模式拡大平面図である。
【図5】合成モノフィラメントの屈曲回復率の求め方の
説明図である。
【符号の説明】
1 合成モノフィラメント 2 柄部 3 歯ブラシヘッド部 4 毛束 5 テーパー部 D 合成モノフィラメントの最大径部の断面積 s テーパー部の任意の位置における断面積 a パラメータ BR 屈曲回復率
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 孝夫 東京都墨田区本所一丁目3番7号 ライオ ン株式会社内 Fターム(参考) 3B202 AA06 EA01 EB14 EG03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 毛先をテーパー状とされた合成モノフィ
    ラメントを束ねて毛束とし、該毛束を歯ブラシヘッド部
    に植毛した歯ブラシにおいて、 前記合成モノフィラメントとして、 フィラメント最先端部を原点(0,0,0)とする3次
    元座標(x,y,z)を設定し、該座標の+x軸上にフ
    ィラメントの中心軸を沿わせたとき、フィラメント毛先
    より0.1mmから8.0mmまでの任意の部分におけ
    るテーパー部のyz平面方向の断面積sが、前記合成モ
    ノフィラメントの最大径部のyz平面方向の断面積Dに
    対して、下記(1)式 p=s/D=a・x(0.85-a) (0.05≦a≦0.65) ‥‥(1) によって特定される比率pからなるテーパー形状を備え
    た合成モノフィラメントを用いたことを特徴とする歯ブ
    ラシ。
  2. 【請求項2】 前記合成モノフィラメントの先端より
    0.1mmから8.0mmまでの部分の屈曲回復率BR
    (%)が BR ≧60 で特定されることを特徴とする請求項1記載の歯ブラ
    シ。
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