JP2001116126A - 油圧制御装置 - Google Patents

油圧制御装置

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JP2001116126A
JP2001116126A JP29444099A JP29444099A JP2001116126A JP 2001116126 A JP2001116126 A JP 2001116126A JP 29444099 A JP29444099 A JP 29444099A JP 29444099 A JP29444099 A JP 29444099A JP 2001116126 A JP2001116126 A JP 2001116126A
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hydraulic
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hydraulic pressure
pressure
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JP29444099A
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Naoki Hori
直樹 堀
Katsuji Yamashita
勝司 山下
Koichi Kayashima
浩一 萱嶋
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 出力ポートの出力油圧特性を切り換える際
に、出力油圧の変化を抑制することのできる油圧制御装
置を提供する。 【解決手段】 出力ポートの出力油圧を調整するスプー
ルと、スプールに付勢力を付与するコイルばねと、スプ
ールに電磁力を作用させることにより付勢力を付与する
電磁コイルとを備え、コイルばねからスプールに対して
与えられる付勢力のつり合い状態を変更することにより
電磁力に対する出力ポートの出力油圧特性を変更するこ
とができる電磁弁を有し、電磁力を制御することにより
出力ポートの出力油圧を変更することのできるリニアソ
レノイドバルブを有する油圧制御装置において、出力ポ
ートの出力油圧特性を変更する際に、スプールに作用す
る付勢力のつり合い状態の変化を抑制するように、電磁
力を制御する電磁力制御手段(スプール1,2)を備え
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、出力特性を変更
可能な電磁弁を有する油圧制御装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】無段変速機は、変速比を無段階(つまり
連続的)に制御することができる伝動装置である。この
ため、車両用エンジンの出力側に無段変速機を配置する
ことにより、車両の加速要求に応じてエンジン回転数を
制御することができる。したがって、エンジンの運転状
態を最適燃費曲線に近づけ易くなり、燃費が向上する利
点がある。一方、ロックアップクラッチ付きのトルクコ
ンバータをエンジンの出力側に配置した場合は、ロック
アップクラッチのオフ(解放)状態では、エンジントル
クをトルクコンバータにより増幅することができるとと
もに、トルクコンバータを構成する複数の回転要素同士
が、流体的な動力の伝達状態になるために、エンジント
ルクの変動を吸収することができる利点がある。これに
対して、ロックアップクラッチがオン(係合)される
と、トルクコンバータを構成する複数の回転要素同士が
直結状態になり、機械的な動力伝達状態になるため、回
転要素同士の間における動力損失が抑制され、燃費が向
上する利点がある。
【0003】上記のようなトルクコンバータおよび無段
変速機を、エンジンの出力側に配置したパワートレーン
の一例が、特開平11−182656号公報に記載され
ている。この公報においては、エンジンの出力側にトル
クコンバータが設けられており、このトルクコンバータ
の出力側に無段変速機が設けられている。このトルクコ
ンバータはロックアップクラッチを有し、トルクコンバ
ータの出力軸に無段変速機が接続されている。この無段
変速機は、相互に平行に配置された駆動側回転軸および
従動側回転軸を有している。そして、駆動側回転軸側に
は駆動側プーリが設けられており、従動側回転軸には従
動側プーリが設けられている。さらに、駆動側プーリお
よび従動側プーリにはベルトが巻き掛けられている。
【0004】また、ベルトに対する従動側プーリの挟圧
力などを制御する油圧回路が設けられており、各種セン
サ群の信号がコンピュータに入力され、これらの信号に
基づく制御信号がアクチュエータに入力されるように構
成されている。
【0005】この油圧回路は、カットバルブおよびリニ
アソレノイドバルブならびにベルト押圧油圧制御弁を備
えている。リニアソレノイドバルブは、出力ポートの出
力油圧を調整するためのスプールや、スプールに電磁力
を作用させる電磁コイルを備え、出力ポートの出力油圧
が目標出力油圧となるように電磁コイルに対する電流値
が制御されるとともに、出力ポートの出力油圧をベルト
押圧油圧制御弁に向けて出力している。一方、ベルト押
圧油圧制御弁は、リニアソレノイドバルブからの出力油
圧に応じた出力油圧を出力ポートから従動側プーリの油
圧室に向けて出力している。こうしたことにより、ベル
トに対する従動側プーリの挟圧力を制御している。
【0006】ところで、トルクコンバータは、その入力
回転速度と出力回転速度との比、すなわち、速度比が所
定の領域にある場合には、エンジントルクを増幅するこ
とができる。このため、ロックアップクラッチがオフさ
れている場合と、オンされている場合とでは、無段変速
機に入力されるトルクが異なる。したがって、ロックア
ップクラッチの状態に対応して、無段変速機のトルク容
量、すなわちベルトに対する従動側プーリの挟持力を適
切に制御する必要がある。
【0007】そこで、特開平11−182656号公報
においては、カットバルブを用い、ロックアップクラッ
チのオン・オフに対応して、リニアソレノイドバルブの
出力油圧特性、すなわち、電磁力に対する出力ポートの
出力油圧特性を変更することがおこなわれている。具体
的には、リニアソレノイドバルブのスプールに与えられ
る油圧室の油圧力を変更し、リニアソレノイドバルブの
スプールに与えられる付勢力のつり合い状態を変更する
ことがおこなわれている。このため、電磁コイルに対す
る電流値が同じであっても、ロックアップクラッチがオ
フされている場合には、オンされている場合に比べてリ
ニアソレノイドバルブの出力油圧を高めることができる
ようになる。その結果、ロックアップクラッチの状態に
応じて、ベルトに対する従動側プーリの挟圧力を適切に
制御することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リニア
ソレノイドバルブの出力油圧特性を変更する過程におい
て、リニアソレノイドバルブのスプールに与えられる付
勢力のつり合い状態が変化するために、リニアソレノイ
ドバルブの出力油圧が急激に変化するとともに、出力油
圧の変動を招く。その結果、出力油圧が所望の値から外
れるという問題があった。
【0009】そして、出力油圧が所望の値から外れる
と、ベルトに対する従動側プーリの挟圧力が、伝達する
べきトルクに対応する値以上に高められてしまい、ベル
トの耐久性が減少するといったおそれがある。また、ベ
ルトに対する従動側プーリの挟圧力が、伝達するべきト
ルクに対応する値以下に減少してしまい、ベルトのスリ
ップが発生するといったおそれがある。
【0010】そこで、上記公報においては、ロックアッ
プクラッチがオフ状態からオン状態に切り換えられるこ
とにともない、リニアソレノイドバルブの出力油圧特性
を変更する際に、まず、リニアソレノイドバルブの出力
油圧を高め、その後にリニアソレノイドバルブのスプー
ルに与えられる油圧室の油圧力を変更することで、ベル
トに対する従動側プーリの挟圧力が不用意に減少するこ
とを防止している。
【0011】しかしこうした制御をおこなうと、リニア
ソレノイドバルブの出力油圧特性を変更する際に、リニ
アソレノイドバルブの出力油圧が必要以上に高められる
ことから、ベルトの耐久性のうえで好ましいものではな
かった。
【0012】この発明は上記の事情を背景としてなされ
たものであり、電磁弁の出力油圧特性を変更する際に、
電磁弁の出力ポートの出力油圧の変化を抑制することの
できる油圧制御装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1の発明は、出力ポートの
出力油圧を調整する弁体と、この弁体に付勢力を付与す
る付勢力付与機構と、前記弁体に電磁力を作用させるこ
とにより付勢力を付与する電磁コイルとを備え、前記付
勢力付与機構から前記弁体に対して与えられる付勢力の
つり合い状態を変更することにより前記電磁力に対する
前記出力ポートの出力油圧特性を変更することができる
電磁弁を有し、前記電磁力を制御することにより前記出
力ポートの出力油圧を制御する油圧制御装置において、
前記出力ポートの出力油圧特性を変更する際に、前記弁
体に作用する付勢力のつり合い状態の変化を抑制するよ
うに、前記電磁力を制御する電磁力制御手段を備えてい
ることを特徴とするものである。
【0014】請求項1の発明によれば、出力ポートの出
力油圧特性を変更する際に、電磁力の制御により、弁体
に付与される付勢力のつり合い状態が変化することが抑
制される。
【0015】請求項2の発明は、請求項1の構成に加え
て、前記付勢力付与機構は第1の油圧室を有し、前記電
磁弁は、前記第1の油圧室の油圧が変更されることによ
り前記出力ポートの出力油圧特性が変更されるものであ
り、前記電磁力制御手段は、前記第1の油圧室の油圧変
化に影響を与える因子に基づいて前記電磁力を制御する
ことを特徴とするものである。
【0016】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
と同様の作用が生じるほか、電磁力を第1油圧室の実際
の油圧変化に応じて制御することができる。
【0017】請求項3の発明は、請求項2の構成に加え
て、前記電磁弁は、前記出力ポートに連通する第2の油
圧室の油圧を用いて前記第1の油圧室の油圧が変更され
るものであり、前記電磁力制御手段は、前記電磁弁の目
標出力油圧に基づいて前記電磁力を制御することを特徴
とするものである。
【0018】請求項3の発明によれば、請求項2の発明
と同様の作用が生じるほか、電磁弁の目標出力油圧に基
づいて電磁力が制御されるため、センサなどの格別の構
成を設けることなく電磁力を制御することができる。
【0019】請求項4の発明は、請求項1ないし3のい
ずれかの構成に加えて、複数の回転要素に巻き掛け伝動
部材を巻き掛けた無段変速機と、前記出力ポートの出力
油圧に基づいて、前記巻掛け伝動部材に対する前記回転
要素の保持力を制御する保持力制御機構とを備えている
ことを特徴とするものである。
【0020】請求項4の発明によれば、請求項1ないし
3のいずれかの発明と同様の作用が生じるほか、巻き掛
け伝動部材に対する回転要素の保持力が、無段変速機に
より伝達するべきトルクに応じた状態に制御される。
【0021】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明を図面を参照し
ながら具体的に説明する。図2は、この発明をFF(フ
ロントエンジンフロントドライブ;エンジン前置き前輪
駆動)形式の車両に用いた一実施形態のスケルトン図で
ある。図2において、1は車両の駆動力源としてのエン
ジンであり、このエンジン1としては内燃機関、具体的
にはガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエ
ンジンなどが用いられる。そして、エンジン1のクラン
クシャフト2が車両の幅方向に配置されている。
【0022】また前記エンジン1の出力側には、トラン
スアクスル3が設けられている。このトランスアクスル
3は内部中空のケーシング4を有し、ケーシング4の内
部には、トルクコンバータ5と前後進切り換え機構6と
無段変速機7と最終減速機(言い換えれば差動装置)8
とが設けられている。まず、トルクコンバータ5の構成
について説明する。ケーシング4の内部には、クランク
シャフト2と同一の軸線(図示せず)を中心として回転
可能なインプットシャフト9が設けられており、インプ
ットシャフト9におけるエンジン1側の端部にはタービ
ンランナ10が取り付けられている。
【0023】一方、クランクシャフト2の後端にはドラ
イブプレート11を介してフロントカバー12が連結さ
れており、フロントカバー12にはポンプインペラ13
が接続されている。このタービンランナ10とポンプイ
ンペラ13とは対向して配置され、タービンランナ10
およびポンプインペラ13の内側にはステータ14が設
けられている。また、インプットシャフト9におけるフ
ロントカバー12側の端部には、ダンパ機構16を介し
てロックアップクラッチ15が設けられている。上記の
ように構成されたフロントカバー12およびポンプイン
ペラ13などにより形成されたケーシング(図示せず)
内に、作動流体としてのオイルが供給されている。
【0024】上記構成により、エンジン1の動力(トル
ク)がクランクシャフト2からフロントカバー12に伝
達される。この時、ロックアップクラッチ15が解放さ
れている場合は、ポンプインペラ13のトルクが流体に
よりタービンランナ10に伝達され、ついでインプット
シャフト9に伝達される。ロックアップクラッチ15の
解放状態では、ポンプインペラ13からタービンランナ
10に伝達されるトルクを、ステータ14により増幅す
ることができる。これに対して、ロックアップクラッチ
15が係合されている場合は、フロントカバー12のト
ルクが機械的にインプットシャフト9に伝達される。つ
まり、ロックアップクラッチ15の係合状態では、トル
クの増幅がおこなわれない。
【0025】前記ケーシング4の内部におけるトルクコ
ンバータ5と前後進切り換え機構6との間には、オイル
ポンプ17が設けられている。このオイルポンプ17の
ロータ(図示せず)と、ポンプインペラ13とが円筒形
状のハブ19により接続されている。また、オイルポン
プ17のボデー(図示せず)はケーシング4側に固定さ
れている。この構成により、エンジン1の動力がポンプ
インペラ13を介してロータに伝達され、オイルポンプ
17を駆動することができる。
【0026】前記無段変速機7は、インプットシャフト
9と同心状に配置された駆動側シャフト21と、駆動側
シャフト21と相互に平行に配置された従動側シャフト
としてのカウンタシャフト22とを有している。駆動側
シャフト21には駆動側プーリ23が設けられており、
カウンタシャフト22側には従動側プーリ24が設けら
れている。駆動側プーリ23は、駆動側シャフト21に
固定された固定シーブ25と、駆動側シャフト21の軸
線方向に移動できるように構成された可動シーブ26と
を有している。
【0027】また、この可動シーブ26を駆動側シャフ
ト21の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ
26と固定シーブ25とを接近・離隔させる油圧アクチ
ュエータ27が設けられている。この油圧アクチュエー
タ27は、油圧シリンダ(図示せず)と、この油圧シリ
ンダ内に設けられ、かつ、駆動側シャフト21の軸線方
向に動作するピストン(図示せず)と、リターンスプリ
ング(図示せず)とを備えた公知のものである。
【0028】一方、従動側プーリ24は、カウンタシャ
フト22に固定された固定シーブ28と、カウンタシャ
フト22の軸線方向に移動できるように構成された可動
シーブ29とを有している。また、この可動シーブ29
をカウンタシャフト22の軸線方向に動作させることに
より、可動シーブ29と固定シーブ28とを接近・離隔
させる油圧アクチュエータ30が設けられている。この
油圧アクチュエータ30は、油圧シリンダ(図示せず)
と、この油圧シリンダ内に設けられ、かつ、カウンタシ
ャフト22の軸線方向に動作するピストン(図示せず)
と、リターンスプリング(図示せず)とを備えた公知の
ものである。さらに、駆動側プーリ23および従動側プ
ーリ24に対してベルト31が巻き掛けられている。
【0029】上記構成の無段変速機7においては、油圧
アクチュエータ27の油圧シリンダに作用する油圧を制
御することにより、固定シーブ25と可動シーブ26と
の間の溝幅が調整される。その結果、駆動側プーリ23
におけるベルト31の巻き掛け半径が変化し、無段変速
機7の入力回転数と出力回転数との比、すなわち変速比
が無段階(連続的)に制御される。一方、油圧アクチュ
エータ30に作用する油圧を制御することにより、ベル
ト31に対する従動側プーリ24の挟圧力(言い換えれ
ば保持力)が制御される。このように、ベルト31の挟
圧力が制御されることにより、ベルト31の張力(言い
換えればトルク容量)が制御される。
【0030】前記前後進切り換え機構6は、インプット
シャフト9と無段変速機7との間の動力伝達経路に設け
られている。前後進切り換え機構6はダブルピニオン形
式の遊星歯車機構32を有している。この遊星歯車機構
32は、インプットシャフト9の無段変速機7側の端部
に設けられたサンギヤ33と、このサンギヤ33の外周
側に、サンギヤ33と同心状に配置されたリングギヤ3
4と、サンギヤ33に噛み合わされたピニオンギヤ35
と、このピニオンギヤ35およびリングギヤ34に噛み
合わされたピニオンギヤ36と、ピニオンギヤ35およ
びピニオンギヤ36を、サンギヤ33の周囲を一体的に
公転可能な状態で保持したキャリヤ37とを有してい
る。そして、このキャリヤ37と駆動側シャフト21と
が連結されている。また、キャリヤ37とインプットシ
ャフト9との間の動力伝達経路を接続・遮断するクラッ
チCRが設けられている。さらに、ケーシング4側に
は、リングギヤ34の回転・固定を制御するブレーキB
Rが設けられている。
【0031】前記無段変速機7と最終減速機8との間の
動力伝達経路には、カウンタシャフト22と相互に平行
なインターミディエイトシャフト39が設けられてい
る。インターミディエイトシャフト39にはカウンタド
リブンギヤ40とファイナルドライブギヤ41とが形成
されている。前記カウンタシャフト22にはカウンタド
ライブギヤ42が形成され、カウンタドライブギヤ42
とカウンタドリブンギヤ40とが噛み合わされている。
【0032】一方、前記最終減速機8はリングギヤ43
を有し、ファイナルドライブギヤ41とリングギヤ43
とが噛み合わされている。また、リングギヤ43はデフ
ケース(図示せず)の外周に形成され、このデフケース
の内部には複数のピニオンギヤ(図示せず)が取り付け
られている。このピニオンギヤには2つのサイドギヤ
(図示せず)が噛み合わされている。2つのサイドギヤ
には別個にフロントドライブシャフト44が接続され、
各フロントドライブシャフト44には、駆動輪(前輪)
45が接続されている。
【0033】図3は、無段変速機7を制御するための油
圧回路の一部を示す図である。オイルポンプ17の吸入
側がオイルタンク46に接続されており、オイルタンク
46には、作動油をオイルタンク46に還流する戻し油
路47が接続されている。また、オイルポンプ17の吐
出側には吐出油路48が設けられている。この吐出油路
48には、リニアソレノイドバルブ49およびベルト押
圧油圧制御弁50が接続されている。
【0034】まず、リニアソレノイドバルブ49の構成
について説明する。このリニアソレノイドバルブ49
は、電磁コイル50Aと、ケーシングK1の内部に往復
自在に配置され、かつ、電磁コイル50Aへの通電によ
り発生する電磁力により、図3の下側に押圧されるスプ
ール51とを有している。このスプール51には、ラン
ド53,〜55が形成されている。また、ケーシングK
1の内部における電磁コイル50Aとは反対側の位置に
は、スプール51を図3の上側に向けて押圧するコイル
ばね56が設けられている。
【0035】ケーシングK1にはライン圧入力ポート5
7と、このライン圧入力ポート57に連通する出力ポー
ト58とが形成されている。ライン圧入力ポート57
は、ケーシングK1におけるランド54に対応する位置
に設けられている。このライン圧入力ポート57と吐出
油路48とが接続されている。また、出力ポート58
は、ケーシングK1におけるランド54とランド55と
の間に臨んで設けられている。なお、ランド54の下端
面の受圧面積と、ランド55の上端面の受圧面積は同一
に設定されている。
【0036】また、ケーシングK1におけるランド54
とランド55との間には油圧室59Aが形成され、この
油圧室59Aに臨むポート59が形成されている。さら
に、油圧室59Aと出力ポート58とが連通されてい
る。さらに、ケーシングK1の内部におけるランド53
とランド54との間には油圧室60Aが形成されてい
る。油圧室60Aに臨むランド53およびランド54
は、ランド53の下端面の受圧面積の方がランド54の
上端面の受圧面積よりも狭く設定されている。また、油
圧室60Aと油圧室59Aとが、フィードバックポート
60および出力ポート58により接続されている。さら
にまた、ケーシングK1の内部におけるランド53の上
方には油圧室61が設けられている。さらに、油圧室6
1に臨むフィードバックポート61Aが設けられてい
る。
【0037】上記構成のリニアソレノイドバルブ49
は、電磁コイル50Aに対して通電されていない状態
(つまりオフ)では、通電されている状態に比べて、ス
プール51が図3において上側に位置されて、ライン圧
入力ポート57と出力ポート58との間の油路の流通面
積が拡大される。
【0038】ベルト押圧油圧制御弁50は、ケーシング
K2の内部に往復移動可能に収納されたスプール62
と、このスプール62を所定方向(図3の下側)に押圧
するコイルばね63とを有している。スプール62には
ランド64,65が形成され、ランド64に臨んで油圧
室66が形成されている。この油圧室66に臨む入力ポ
ート66Aが設けられ、入力ポート66Aと出力ポート
58とが接続されている。
【0039】また、ランド64とランド65との間に臨
んでライン圧入力ポート67および出力ポート68が形
成されている。このライン圧入力ポート67と吐出油路
48とが接続されている。また、ランド65に臨んで油
圧室69Aが形成され、ケーシングK2における油圧室
69Aに臨む位置には、フィードバックポート69が形
成されている。そして、出力ポート68が油圧アクチュ
エータ30の油圧シリンダに接続されている。さらに、
フィードバックポート69と出力ポート68とが接続さ
れている。
【0040】一方、リニアソレノイドバルブ49にはカ
ットバルブ70が接続されている。このカットバルブ7
0は、ケーシングK3の内部に往復移動可能に設けられ
たスプール71と、スプール71を所定方向に押圧する
コイルばね72とを有している。また、スプール71に
はランド73,74が形成されている。また、ケーシン
グK3におけるランド73とランド74との間に臨む位
置にはポート75が形成されており、ランド74に臨む
位置には、切換油路75Aを介してポート75に接続さ
れたポート76が形成されている。ポート75が油圧室
61に接続され、ポート76がポート59に接続されて
いる。
【0041】さらに、ランド73に臨む位置には、切換
油路77Aを介してポート75に連通するドレーンポー
ト77が形成され、ランド73に臨んで油圧室78が形
成されている。この油圧室78には、ロックアップクラ
ッチ15のオン・オフに対応してオン・オフ制御される
ソレノイドバルブ79の出力ポート79Aが接続されて
いる。なお、吐出油路48は、ライン圧制御弁80およ
びロックアップクラッチリレーバルブ81を介してロッ
クアップクラッチ15の油圧室に接続されている。
【0042】つぎに上記構成を有するFF車の制御系統
を、図4のブロック図に基づいて説明する。エンジン1
およびロックアップクラッチ15ならびに無段変速機7
を制御するコントローラとしての電子制御装置(EC
U)104が設けられている。この電子制御装置104
は、演算処理装置(CPUまたはMPU)および記憶装
置(RAMおよびROM)ならびに入出力インターフェ
ースを主体とするマイクロコンピュータにより構成され
ている。この電子制御装置104に対して、エンジン回
転数センサ105の信号、アクセル開度センサ106の
信号、スロットル開度センサ107の信号、ブレーキス
イッチ108の信号、シフトレバー(図示せず)の操作
状態を検出するシフトポジションセンサ109の信号、
駆動側プーリ23の回転数を検出する入力回転数センサ
110の信号、従動側プーリ24の回転数を検出する出
力回転数センサ111の信号などが入力されている。
【0043】前記シフトポジションセンサ109の信号
に基づいて、駆動ポジションまたは被駆動ポジションの
いずれが選択されているかが判断される。さらに、駆動
ポジションのうち、前進ポジションまたは後進ポジショ
ンのいずれが選択されているかが判断される。また、入
力回転数センサ110の信号、出力回転数センサ111
の信号に基づいて、車速および無段変速機7の変速比を
演算することができる。
【0044】また、この電子制御装置104には、各種
の信号に基づいてエンジン1およびロックアップクラッ
チ15ならびに無段変速機7を制御するために各種のデ
ータが予め記憶されている。例えば、アクセル開度およ
び車速などのような走行状態に基づいて、無段変速機7
の変速比を制御することにより、エンジン1の最適な運
転状態を選択するためのデータが、電子制御装置104
に記憶されている。また、電子制御装置104にはアク
セル開度および車速をパラメータとするロックアップク
ラッチ制御マップが記憶されており、このロックアップ
クラッチ制御マップに基づいて、ロックアップクラッチ
リレーバルブ81が制御されて、ロックアップクラッチ
15が係合・解放、もしくはスリップの各状態に制御さ
れる。
【0045】さらに電子制御装置104に対しては、燃
料噴射制御装置112および点火時期制御装置113な
らびにリニアソレノイドバルブ49が接続されている。
そして、各種の入力信号やデータに基づいて、電子制御
装置104から、燃料噴射制御装置112、点火時期制
御装置113、リニアソレノイドバルブ49に対して制
御信号が出力される。
【0046】ここで、実施形態の構成とこの発明の構成
との対応関係を説明すれば、スプール51がこの発明の
弁体に相当し、リニアソレノイドバルブ49がこの発明
の電磁弁に相当し、コイルばね56および油圧室61が
この発明の付勢力付与機構に相当し、リニアソレノイド
バルブ49がこの発明の電磁弁に相当し、リニアソレノ
イドバルブ49および電子制御装置104が、この発明
の電磁弁を有する油圧制御装置に相当する。また、駆動
側プーリ23および従動側プーリ24がこの発明の回転
要素に相当し、ベルト31がこの発明の巻き掛け伝動部
材に相当し、油圧アクチュエータ30、ベルト押圧油圧
制御弁50がこの発明の保持力制御機構に相当する。さ
らに、油圧室61がこの発明の第1の油圧室に相当し、
油圧室59Aがこの発明の第2の油圧室に相当する。
【0047】上記構成を有する車両の動作について説明
する。エンジン1のトルクはトルクコンバータ5を経由
して前後進切り換え機構6に伝達される。また、シフト
装置の操作に基づいて前後進切り換え機構6が制御され
る。まず、前進段が選択された場合はクラッチCRが係
合され、かつ、ブレーキBRが解放されて、インプット
シャフト9と駆動側シャフト21とが直結状態になる。
この状態でインプットシャフト9にトルクが伝達される
と、インプットシャフト9およびキャリヤ37ならびに
駆動側シャフト21が一体回転する。駆動側シャフト2
1のトルクはベルト31を介してカウンタシャフト22
に伝達されるとともに、このトルクはインターミディエ
イトシャフト39を介して最終減速機8に伝達された
後、さらにこのトルクが車輪45に伝達されて車両が前
進する。
【0048】これに対して、後進段が選択された場合は
クラッチCRが解放され、かつ、ブレーキBRが係合さ
れて、リングギヤ34が固定される。すると、インプッ
トシャフト9の回転にともなってピニオンギヤ35,3
6が共に自転しつつ公転し、キャリヤ37がインプット
シャフト9の回転方向とは逆の方向に回転する。その結
果、駆動側シャフト21およびカウンタシャフト22な
らびにインターミディエイトシャフト39が前進段の場
合とは逆方向に回転し、車両が後退する。
【0049】つぎに、無段変速機7の変速比の制御と、
ロックアップクラッチ15の制御とについて説明する。
無段変速機7においては、油圧アクチュエータ27の油
圧シリンダに作用する油圧を制御することにより、駆動
側プーリ23の溝幅が調整される。その結果、無段変速
機7の変速比が制御される。また、無段変速機7に入力
されるトルクおよび無段変速機7の変速比に基づいて、
ベルト31に対する従動側プーリ24の挟圧力(つまり
保持力)が制御される。さらに、電子制御装置104に
記憶されているロックアップクラッチ制御マップに基づ
いて、ロックアップクラッチ15が、オン(係合)・オ
フ(解放)・スリップのいずれかに制御される。
【0050】そして、無段変速機7に入力されるトルク
は、エンジントルクおよびロックアップクラッチ15の
状態に基づいて変化する。エンジントルクは、エンジン
回転数およびスロットル開度に基づいて判断することが
できる。ところで、トルクコンバータ5は、その入力回
転速度と出力回転速度との比、すなわち、速度比が所定
の領域にある場合は、トルクを増幅することができる。
このため、ロックアップクラッチ15がオンされている
場合と、オフされている場合とでは、無段変速機7に入
力されるトルクが異なる。したがって、ベルト31の滑
りを防止し、かつ、耐久性を向上することを目的とし
て、ロックアップクラッチ15の状態に対応して、ベル
ト31に対する従動側プーリ24の挟圧力が制御され
る。
【0051】ここで、ベルト31に対する従動側プーリ
24の挟圧力の制御について説明する。まず、スプール
51に対して、コイルばね56の弾性力などの付勢力が
ランド55の下端面に作用し、その付勢力によりスプー
ル51が図3の上側に向けて押圧される。一方、リニア
ソレノイドバルブ49の電磁コイル50Aに対する電流
が所望の値に制御される。電磁コイル50Aに電流値に
応じた電磁力が発生し、その電磁力により、スプール5
1がコイルばね56の弾性力などに抗して図3において
下向きに押圧される。
【0052】また、油圧室59Aの油圧は、出力ポート
58およびフィードバックポート60を介して油圧室6
0Aに伝達されており、その油圧がランド54の上端面
およびランド53の下端面に作用している。ここで、上
端面の受圧面積の方が下端面の受圧面積よりも広いた
め、油圧室60Aの油圧はスプール51を図3の下側に
向けて押圧する力として作用する。また、油圧室59A
の油圧は、ランド54の下端面およびランド55の上端
面にも作用するが、ランド54の下端面の受圧面積と、
ランド55の上端面の受圧面積が同じであるために、ラ
ンド54の下端面に作用する油圧力と、ランド55の上
端面に作用する油圧力とが相殺される。
【0053】また、油圧室61の油圧がランド53の上
端面に作用している。ここで、ロックアップクラッチ1
5のオフ時には、ソレノイドバルブ79の出力ポート7
9Aからカットバルブ70の油圧室78に対して、パイ
ロット圧が導入されない。このため、スプール71がコ
イルばね72の弾性力により押圧され、スプール71は
図3の右側半分に示すオフ位置に位置する。このとき、
切換油路77Aは開いた状態にあることから、油圧室6
1の油がドレーンポート77からドレーンされて、油圧
室61は大気圧まで減圧されている。
【0054】一方、ロックアップクラッチ15のオン時
には、リニアソレノイドバルブ79の出力ポート79A
からカットバルブ70の油圧室78に対して、パイロッ
ト圧が導入される。このため、スプール71がコイルば
ね72の弾性力に抗して図3の下方に向けて押圧され、
スプール71は図3の左側半分に示すオン位置に位置す
る。このとき、切換油路75Aは開いた状態にあること
から、油圧室61には油圧室59Aの油圧が伝達され
て、油圧室61の油圧は油圧室59Aの油圧と等しくな
っている。
【0055】上記のように、スプール51に対してその
軸線方向に作用する各種の付勢力、具体的には、電磁コ
イル50Aの電磁力、油圧室61の油圧力、油圧室60
Aの油圧力、ランド55の下端面に作用するコイルばね
56の弾性力のつり合い(バランス)状態に基づいて、
スプール51の軸線方向の位置が決まるとともに、出力
ポート58の開度が制御され、出力ポート58の出力油
圧が調整される。
【0056】そして、この実施形態においては、ロック
アップクラッチ15のオンからオフへの切り換え時に
は、油圧室61の油圧力が減少して、スプール51に作
用する付勢力のつり合い状態が変化し、ライン圧入力ポ
ート57と出力ポート58との間の油路の連通面積が広
くなる。なお、スプール51に作用する付勢力がつり合
った状態でスプール51は停止する。すると、出力ポー
ト58の出力油圧が増加し、油圧室66の油圧が増加す
る。その結果、コイルばね63の弾性力および油圧室6
6の油圧力と、油圧室69Aの油圧力とのバランスによ
り、出力ポート68の出力油圧が増加する。このように
して、従動側プーリ24の油圧アクチュエータ30の油
圧シリンダに作用する油圧が増加し、ベルト31に対す
る従動側プーリ24の挟圧力が増加する。したがって、
無段変速機7のトルク容量を、トルクコンバータ5のト
ルク増幅状態に対応した値に制御することができる。
【0057】これに対して、ロックアップクラッチ15
のオフからオンへの切り換え時には、油圧室61の油圧
が増加してスプール51に作用する付勢力のつり合い状
態が変化し、ライン圧入力ポート57と出力ポート58
との間の油路の連通面積が縮小される。なお、スプール
51に作用する付勢力がつり合った状態で、スプール5
1が停止する。すると、出力ポート58の出力油圧が減
少し、油圧室66の油圧が減少する。その結果、スプー
ル62に作用する力のつり合い関係が変化して、出力ポ
ート68の出力油圧が減少する。このようにして、油圧
アクチュエータ30の油圧シリンダに作用する油圧が減
少し、ベルト31に対する駆動側プーリ24の挟圧力が
減少する。つまり、無段変速機7のトルク容量が減少す
ることになる。
【0058】つぎに、ロックアップクラッチ15のオン
・オフに対応するリニアソレノイドバルブ49の出力油
圧特性を説明する。図5は、ロックアップクラッチ15
のオン・オフに対応する出力ポート58の出力油圧と、
電磁コイル50Aに対する電流値(言い換えれば電磁コ
イル50Aの電磁力)との関係を示す線図である。図5
において、特性1がロックアップクラッチ15のオフに
対応し、特性2がロックアップクラッチ15のオンに対
応している。そして、特性1を示す線分の勾配の方が、
特性2を示す線分の勾配よりも傾斜が急になっている。
2つの特性を比較すると、同じ電流値に対して、特性1
の出力油圧の方が特性2の出力油圧よりも高い値にな
る。このような出力油圧特性の切り換えは、カットバル
ブ70のオン・オフ制御により油圧室61の油圧を変更
することにより達成される。
【0059】ところで、出力油圧特性を特性1と特性2
とで相互に切り換える際には、つぎのような問題が生じ
る。例えば、特性1から特性2に切り換える際には、特
性1の油圧室61に対して油圧室59Aの油圧が作用し
ておらず、スプール51に作用する軸線方向の押圧力の
バランスにより、スプール51が軸線方向の所定位置に
保持されている状態から、特性2に切り換えられる際に
は、油圧室61に対して油圧室59Aの油圧が作用し
て、例えば、図6に示すように油圧室61の油圧力が急
激に増加した後、ほぼ一定の状態になる。
【0060】ここで、図7に示すように、電磁コイル5
0Aへの通電により生じる電磁力が一定であるとすれ
ば、スプール51を図3において下方に向けて押圧する
押圧力も、油圧室61の油圧力の変化に同期して急激に
変化する。その結果、出力ポート58の出力油圧が急激
に変化する。
【0061】また、出力油圧特性を特性2から特性1に
切り換える場合には油圧室61の油圧力が急激に減少し
変動した後、ほぼ一定の状態になる。ここで、電磁コイ
ル50Aへの通電により生じる電磁力が一定であるとす
れば、スプール51を図3において下方に向けて押圧す
る押圧力も、油圧室61の油圧力の変化に同期して急激
に変化する。その結果、出力ポート58の出力油圧が急
激に変化し、油圧アクチュエータ30の油圧シリンダに
作用する油圧が急激に変化する。
【0062】このようにして、油圧アクチュエータ30
の油圧シリンダに作用する油圧が急激に変化すると、そ
の過程において、油圧アクチュエータ30の油圧シリン
ダに作用する油圧が許容上限油圧よりも大きくなった
り、逆に許容下限油圧よりも小さくなるという事態を招
く。そして、油圧アクチュエータ30の油圧シリンダに
作用する油圧が許容上限油圧よりも大きくなると、ベル
ト31に対する挟圧力が、伝達するべきトルクに対応す
る値以上に高められてしまい、ベルト31の耐久性が減
少するといったおそれがある。また、油圧アクチュエー
タ30の油圧シリンダに作用する油圧が許容下限油圧よ
りも小さくなると、ベルト31に対する挟圧力が、伝達
するべきトルクに対応する値以下に減少してしまい、ベ
ルト31のずべりが発生するといった問題がある。
【0063】そこで、この実施形態においては、図1に
示す制御をおこなうことにより、リニアソレノイドバル
ブ49の出力油圧特性の切換過程において、出力ポート
58の出力油圧が変化することを抑制している。なお、
図1に示す制御は、リニアソレノイドバルブ49の出力
油圧特性を切り換えるべき判断がなされたときにおこな
われる。まず、ステップS1においては、電磁コイル5
0Aに対する電流値の変化のさせ方と、カットバルブ7
0の切り換え(つまり、出力油圧特性切り換え)指示と
の相対的なタイミングが決定される。ここで、このステ
ップS1においては、スプール51を図3の下方向に付
勢する押圧力の変化が抑制されるように、電流値の変化
のさせ方が決定される。
【0064】以下、ステップS1の制御内容を具体的に
説明する。例えば、出力油圧特性を特性1から特性2に
切り換える場合は、油圧室61の油圧力が、前述した理
由により図7のような変化を示す。そこで、この実施形
態においては、電磁コイル50Aに対する通電により発
生する電磁力が、油圧室61の油圧力の変化とは逆位相
となり、電磁力による付勢力と油圧室61の油圧による
付勢力との和が一定となるように、電磁コイル50Aに
対する電流値の制御内容を決定する。つまり、油圧室6
1の油圧力が増加する場合は、電磁力が弱められるよう
に電磁コイル50Aの電流値を決定し、油圧室61の油
圧力が減少する場合は、電磁力が強められるように電磁
コイル50Aの電流値を決定し、油圧室61の油圧力が
一定である場合は、電磁力が一定になるように電磁コイ
ル50Aの電流値を決定する。
【0065】図8は、この実施形態の制御内容をさらに
詳細に示すものであり、出力油圧特性を特性1から特性
2に切り換える場合のカットバルブ70の切換指示と、
電磁コイル50Aの電流値との変化態様を示すタイムチ
ャートである。図8には、電磁コイル50Aの電流値を
特性1に対応する第1の電流値から、特性2に対応する
第2の電流値に変更する過程の制御が示されている。
【0066】ここで、図9に示すように、破線で示すリ
ニアソレノイドバルブ49の電流値の電流指示信号に対
して、実線で示す実際の電磁力の変化には所定の応答遅
れが生じる。
【0067】また、カットバルブ70の油圧回路切り換
え指示が発生してから、油圧室61の油圧力が変化を開
始するまでの間に所定の応答遅れが生じる。そこで、図
8に示すように、電磁力の応答遅れおよび油圧室61の
油圧力の応答遅れを考慮して、カットバルブ70の切り
換え指示と、電流値を変更させる時点との相対的なタイ
ミング(つまり時間差)が決定される。
【0068】さらに、油圧室61の油圧変化は、カット
バルブ70の切換動作遅れなどに加え、油圧室61の油
圧状態や、油圧室61には油圧室59Aの油圧が伝達さ
れることから油圧室59Aの油圧状態といった油圧回路
の内部状態の影響を受ける。そこで、図8に示す時間差
は、油圧室61の油圧変化に影響を与える油圧室59A
の油圧状態(因子)に応じて決定される。
【0069】具体的には、図10の線図に示すように、
油圧室59Aの油圧を間接的に示すリニアソレノイドバ
ルブ49の目標出力油圧が高圧になるほど、電流値を変
化させる時点を早めるように、時間差が短く(少なく)
設定される。その理由は、油圧室59Aの油圧が高圧に
なるほど、油圧室61の圧力の増加開始のタイミングが
早まるためである。なお、目標出力油圧は、たとえばエ
ンジン回転数、スロットル開度、無段変速機7の変速
比、ロックアップクラッチ15の状態などの各種の条件
に基づいて判断され、その判断結果をマップ化したデー
タが電子制御装置104に記憶されている。
【0070】また、油圧室61の油圧力は、図7に示す
ように急激に増加した後、一旦減少して再度増加し、そ
の後所定油圧力になるという変動現象を生じる。そこ
で、この実施形態においては、電磁コイル50Aの電流
値を第1の電流値から第2の電流値まで減少させる過程
で、図8に示すように、まず、電磁コイル50Aの電流
値を、油圧室61の油圧力の急激な変化に対応させて所
定の変化速度(言い換えれば変化割合、もしくは変化勾
配)で第2の電流値よりもオフセット量だけ低い仮電流
値まで減少させる。そして、この仮電流値を所定のオフ
セット保持時間に亘って継続した後、第2の電流値に増
加させる変化態様が決定される。このようにして、電磁
コイル50Aに対する通電による電磁力が、図9に示す
ような変化を示し、油圧室61の油圧力の変化とは逆位
相になり、油圧室61の油圧力の変化に起因してスプー
ル51に作用する押圧力の変化を抑制することができ
る。
【0071】さらに、油圧室61の油圧力の変化(つま
り油圧変化)は、前述した理由により油圧室59Aの油
圧状態の影響を受ける。そこで、図8に示す電流値の変
化速度、オフセット量および保持時間は、油圧室61の
油圧変化に影響を与える油圧室59Aの油圧状態に応じ
て決定される。
【0072】具体的には、図11に示すように、リニア
ソレノイドバルブ49の目標出力油圧が高圧になるほ
ど、電流値の変化速度が高速に設定される。その理由
は、油圧室59Aの油圧が高圧になるほど、油圧室61
の油圧力の増加速度が速くなるからである。
【0073】また、図12に示すように、リニアソレノ
イドバルブ49の目標出力油圧が高圧になるほどオフセ
ット量が多く設定される。その理由は、油圧室59Aの
油圧が高いほど、油圧室61の油圧力の増加・減少の変
化量(言い換えれば変化程度もしくは変化割合)が多く
(大きく)なるからである。また、図13に示すよう
に、リニアソレノイドバルブ49の目標出力油圧が高圧
になるほどオフセット保持時間が長く設定される。その
理由は、油圧室59A油圧が高圧になるほど、油圧室6
1の油圧力の変化時間が長くなるからである。
【0074】図14には、出力油圧特性を特性2から特
性1に切り換える場合の電磁コイル50Aの電流値を、
特性2に対応した第2の電流値から、特性1に対応する
第1の電流値に変更する過程の制御が示されている。こ
の図14の場合も、図8の場合と同様にして、電磁コイ
ル50Aの電流値の制御内容が決定される。
【0075】上記のようにして、ステップS1で決定さ
れた制御内容に基づいて制御信号を出力し(ステップS
2)、この制御ルーチンを終了する。ここで、図1の制
御例に示された機能的手段とこの発明の構成との対応関
係を説明すれば、ステップS1およびステップS2がこ
の発明の電磁力制御手段に相当する。
【0076】以上のように、カットバルブ70を切り換
えて電磁コイル50Aの電磁力に対する出力ポート58
の出力油圧特性を切り換える際に、スプール51に作用
する付勢力のつり合い状態が変化することを抑制するよ
うに、電磁コイル50Aの電磁力が制御されている。こ
のため、出力ポート58の出力油圧特性を変更する過程
で、ライン圧入力ポート57と出力ポート58との間の
油路の流通面積の変化が抑制され、出力油圧の変化(変
動)が抑制される。
【0077】また、油圧室61の油圧変化は、油圧室5
9Aの油圧状態といった油圧回路の内部状態の影響を受
けるが、この実施形態においては、油圧室59Aの油圧
状態に応じて電磁力が制御されている。したがって、電
磁力を油圧室61の実際の油圧変化に応じて制御するこ
とができ、出力ポート58の出力油圧の制御精度を向上
することができる。
【0078】さらに、この実施形態においては、リニア
ソレノイドバルブ49の目標出力油圧に基づいて油圧室
59Aの油圧状態が間接的に判断されるため、センサな
どの格別な構成を設けることなく、電磁力を制御するこ
とができる。したがって、油圧回路の部品点数の増加が
抑制され、油圧回路の低コスト化・小型化・軽量化を図
ることができる。
【0079】さらにまた、この実施形態によれば、ベル
ト31に対する従動側プーリ24の挟圧力(言い換えれ
ばベルト31の保持力)が、無段変速機7に入力される
トルクに応じた状態に高精度に制御することができる。
したがって、ベルト31に対する挟圧力が必要値(伝達
するべきトルクに応じた挟圧力)以上に高められること
を抑制でき、ベルト31の耐久性を向上することができ
る一方、ベルト31に対する挟圧力が必要値(伝達する
べきトルクに応じた挟圧力)以下に減少することを抑制
でき、ベルト31のスリップを回避できるとともに、無
段変速機7のトルク伝達性能が向上して車両の走行性能
が一層向上する。
【0080】なお、図2に示すスケルトン図において
は、駆動力源としてエンジンが搭載されているが、エン
ジンに代えて電動機を搭載した電気自動車に対して、こ
の実施形態の制御を適用することもできる。さらに、駆
動力源としてエンジンおよび電動機の両方を搭載した、
いわゆるハイブリッド車に対して、この実施形態の制御
を適用することもできる。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、出力ポートの出力油圧特性を変更する際に、弁体
に付与される付勢力のつり合い状態が変化することが抑
制されるように電磁力が制御される。したがって、出力
ポートの出力油圧の変化(振動)が抑制される。
【0082】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
と同様の効果を得られるほか、電磁力を、第1の油圧室
の実際の油圧変化に応じて制御することができる。した
がって、出力ポートの出力油圧の制御精度を向上するこ
とができる。
【0083】請求項3の発明によれば、請求項2の発明
と同様の効果を得られるほか、電磁弁の目標出力油圧に
基づいて電磁力が制御されるため、センサなどの格別の
構成を設けることなく、電磁力を制御することができ
る。したがって、油圧制御装置の部品点数の増加を抑制
することができ、油圧制御装置の低コスト化・小型化・
軽量化を図ることができる。
【0084】請求項4の発明によれば、請求項1ないし
3のいずれかの発明と同様の効果を得られるほか、巻き
掛け伝動部材に対する回転要素の保持力が、無段変速機
により伝達するべきトルクに応じた状態に制御される。
したがって、巻き掛け伝動部材に対する保持力が必要以
上に高められることを抑制でき、巻き掛け伝動部材の耐
久性を向上することができる。また、巻き掛け伝動部材
に対する保持力が必要値以下に減少することを抑制で
き、巻き掛け伝動部材のスリップを回避でき、無段変速
機のトルク伝達性能の減少を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一制御例を示すフローチャートで
ある。
【図2】 この発明の油圧回路を適用したFF車の構成
を示すスケルトン図である。
【図3】 図2に示された無段変速機の油圧回路の一部
を示す図である。
【図4】 図2に示す車両の制御系統を示すブロック図
である。
【図5】 この発明の実施形態であり、電磁コイルの電
流値と出力ポートの出力油圧との関係を示す線図であ
る。
【図6】 電磁力の制御をおこなわない比較例におい
て、押圧力と電磁力と油圧力との関係を示すタイムチャ
ートである。
【図7】 この発明の制御例に対応するものであり、押
圧力と電磁力と油圧力との関係を示すタイムチャートで
ある。
【図8】 この発明の制御例に対応するものであり、電
磁コイルの電流値とカットバルブ切り換え指示との関係
を示すタイムチャートである。
【図9】 この発明の制御例に対応するものであり、リ
ニアソレノイドバルブの電流値指示と電磁力との関係を
示すタイムチャートである。
【図10】 この発明の制御例に対応するものであり、
目標出力油圧と図8の時間差との関係を示す線図であ
る。
【図11】 この発明の制御例に対応するものであり、
目標出力油圧と図8の電流値の変化速度との関係を示す
線図である。
【図12】 この発明の制御例に対応するものであり、
目標出力油圧と図8の電流値のオフセット量との関係を
示す線図である。
【図13】 この発明の制御例に対応するものであり、
目標出力油圧と図8の電流値のオフセット保持時間との
関係を示す線図である。
【図14】 この発明の制御例に対応するものであり、
電磁コイルの電流値とカットバルブ切り換え指示との関
係を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
7…無段変速機、 23…駆動側プーリ、 24…従動
側プーリ、 31…ベルト、 49…リニアソレノイド
バルブ、 50…ベルト押圧油圧制御弁、 50A…電
磁コイル、 51…スプール、 56…コイルばね、
58…出力ポート、 59A…油圧室、 61…油圧
室、 70…カットバルブ、 75,76…ポート、
79…ソレノイドバルブ、 104…電子制御装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 萱嶋 浩一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3H106 DA03 DA23 DB02 DB12 DB23 DB32 DC09 DC18 DD05 EE48 FB11 FB43 KK17 3J052 AA17 CA21 FB02 FB13 FB34 HA11 KA01 LA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 出力ポートの出力油圧を調整する弁体
    と、この弁体に付勢力を付与する付勢力付与機構と、前
    記弁体に電磁力を作用させることにより付勢力を付与す
    る電磁コイルとを備え、前記付勢力付与機構から前記弁
    体に対して与えられる付勢力のつり合い状態を変更する
    ことにより前記電磁力に対する前記出力ポートの出力油
    圧特性を変更することができる電磁弁を有し、前記電磁
    力を制御することにより前記出力ポートの出力油圧を制
    御する油圧制御装置において、 前記出力ポートの出力油圧特性を変更する際に、前記弁
    体に作用する付勢力のつり合い状態の変化を抑制するよ
    うに、前記電磁力を制御する電磁力制御手段を備えてい
    ることを特徴とする油圧制御装置。
  2. 【請求項2】 前記付勢力付与機構は第1の油圧室を有
    し、前記電磁弁は、前記第1の油圧室の油圧が変更され
    ることにより前記出力ポートの出力油圧特性が変更され
    るものであり、前記電磁力制御手段は、前記第1の油圧
    室の油圧変化に影響を与える因子に基づいて前記電磁力
    を制御することを特徴とする請求項1に記載の油圧制御
    装置。
  3. 【請求項3】 前記電磁弁は、前記出力ポートに連通す
    る第2の油圧室の油圧を用いて前記第1の油圧室の油圧
    が変更されるものであり、前記電磁力制御手段は、前記
    電磁弁の目標出力油圧に基づいて前記電磁力を制御する
    ことを特徴とする請求項2に記載の油圧制御装置。
  4. 【請求項4】 複数の回転要素に巻き掛け伝動部材を巻
    き掛けた無段変速機と、前記出力ポートの出力油圧に基
    づいて、前記巻掛け伝動部材に対する前記回転要素の保
    持力を制御する保持力制御機構とを備えていることを特
    徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の油圧制御
    装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009168117A (ja) * 2008-01-15 2009-07-30 Jtekt Corp 電磁弁
JP2011007298A (ja) * 2009-06-26 2011-01-13 Toyota Motor Corp 車両用自動変速機の油圧制御装置
JP2011256987A (ja) * 2010-06-11 2011-12-22 Denso Corp 油圧制御装置および油圧制御方法
US8478497B2 (en) 2009-06-26 2013-07-02 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Hydraulic control device and hydraulic control method for vehicle automatic transmission

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