JP2001110639A - 平面型磁気素子 - Google Patents
平面型磁気素子Info
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Abstract
の平面型の磁気素子を提供することを目的とする。 【構成】 本発明は、隣接するコイル導体間の溝部が1
以上の溝アスペクト比(コイル導体の厚さ/コイル導体
間の間隔)を有する平面コイルに、絶縁体層及び磁性体
層を積層してなることを特徴とする磁気素子である。本
発明による平面型磁気素子により、インダクタについて
はQを、トランスではゲインおよび電圧変動率を改善す
ることができ、集積回路用素子として適しており、電子
機器の小型・薄型化に大いに貢献する。
Description
面トランスなどの平面型の磁気素子に関する。
められ、これに伴って機器全体に占める電源部の容積比
率は増大する傾向にある。これは、各種の回路がLSI
化される一方で、電源部に必須の回路要素であるインダ
クタやトランスなどの磁気部品の小形・集積化が遅れて
いるためである。
形化するために、これらの磁気素子を平面型にすること
が試みられている。従来、平面型インダクタとしては、
スパイラル平面コイルの両面を絶縁体層で挟み、更にこ
れらの両面を磁性体で挟んだ構造のものが知られてい
る。同様に、平面型トランスとしては、絶縁体層を介し
て1次側のスパイラル平面コイルと2次側のスパイラル
平面コイルとを形成し、これらの両面を絶縁体層で挟
み、更にこれらの両面を磁性体で挟んだ構造のものが知
られている。なお、スパイラル平面コイルは、1層のス
パイラル状コイル導体からなるものでもよいし、絶縁体
層の両面に2層のスパイラル状コイル導体を形成して発
生磁界が同一方向となるように接続したものでもよい。
equency of a Planar-Type Microtransformer and Its
Application to Multilayered Switching Regulators";
K.Yamasawa et al.,IEEE Trans. Mag. Vol.26,No.3,May
1990,pp.1204-1209で報告されているが、動作に対する
損失が大きい。また、同様の平面型磁気素子について、
米特許番号4、803、609で開示されている。
るには、これらを半導体製造プロセスと同様に薄膜プロ
セスを利用して製造することが検討されている。
する周波数帯域において十分高いQ値を持つことが必要
である。また、平面トランスは、トランスゲインを所定
の値(昇圧ならばゲイン>1、降圧ならばゲイン<1)
にし、かつ電圧変動率を小さくする必要がある。
タンスである。
次コイルの結合係数、L1、L2は1次及び2次側のイン
ダクタンス、QはQ=ωL1/R1で与えられ、R1は1
次側のコイル抵抗である。トランスのゲインはQ<<1
のときQにほぼ比例し、Q>>1のときQに無関係に一
定値k(L2/L1)1/2となる。
高くし、電圧変動を抑制するには、可能なかぎりコイル
抵抗を低減させ、インダクタンスを大きくすることが必
要である。
磁気素子では、平面コイルを構成するコイル導体の断面
積を大きく取れなかったため、コイル抵抗が非常に大き
く、インダクタンスが小さく、漏れ磁束が多かった。こ
の結果、インダクタではQが低く、トランスではゲイン
Gが低く電圧変動率が大きいため、実用化の大きな障害
となっていた。
た場合、平面コイルパターンとしては、インダクタンス
を大きく取れ、そのために品質係数Qが高いなどの理由
で、スパイラル型が有利である。実際に、図1に示され
るような急冷して得られたアモルファスリボンを適当な
寸法に切ったアモルファス磁性合金箔と正方形スパイラ
ル平面コイルを用いた平面インダクタが製作され、5V
・2W級降圧チョッパー型DC−DCコンバータの出力
チョークコイルに応用されている(平成元年電気学会全
国大会)。この場合、図2Aのように、インダクタには
負荷電流に相当した直流電流と半導体スイッチのスイッ
チングによる交流電流とが流れる。直流電流の増大に伴
って、磁性体の動作点はB−H曲線の飽和領域に至り、
透磁率の増加割合が低下するので、インダクタンスは急
激に小さくなる(図2B参照)。図3はこの様子を示す
もので、このときの交流過電流は半導体スイッチに過大
なストレスを与え、素子を破壊させる場合がある。
流重畳特性と呼ぶが、チョークコイルには直流電流を重
畳した場合でもインダクタンスなどの電気的特性が一定
であることが望まれる。図4に代表的な直流重畳特性の
様子を示した。
に相当する直流電流と半導体スイッチのスイッチングに
よる交流電流とが流れる。チョークコイルには、大きな
直流電流が重畳された場合でも、インダクタンスなどの
電気的特性ができるだけ一定しているという直流重畳特
性を有することが要求される。しかし、直流重畳電流が
増大した結果、磁性体の動作点がB−H曲線の飽和領域
に達すると透磁率の増加割合が低下するので、インダク
タンスは急激に小さくなる。また、このときの過電流は
半導体スイッチに過大なストレスを与え、素子を破壊さ
せる場合がある。
性体とが非常に接近しており、小さなコイル電流でも発
生する磁界の値が大きいため、磁性体が磁気飽和しやす
い。その具体例として、Al−Cu合金からなるスパイ
ラル平面コイルと、その両面に設けられた絶縁体層と、
これらの両面に設けられた磁性体層とで構成される平面
インダクタについて以下に説明する。この平面インダク
タでは、スパイラル平面コイルを構成するコイル導体は
幅50μm、厚さ10μm、導体間間隔10μm、巻数
20、絶縁体層は膜厚1μm、磁性体は膜厚5μm、飽
和磁束密度BS=15kG、透磁率μs=5000であ
る。
u合金の許容電流密度を5×108A/m2と仮定した場
合、許容電流Imaxは250mAである。ところが、コ
イル電流とこれによって発生する磁性体面内磁界との関
係を調べたところ、コイル電流が48mA以上になる
と、磁性体が磁気飽和した。すなわち、この平面インダ
クタをチョークコルとして用いる場合、最大直流重畳電
流は48mAに制限されることになる。この値は、コイ
ル許容電流の約1/5にすぎず、磁性体が容易に飽和す
ることがわかる。
インダクタの場合に限定されず、トランスの場合でも重
要である。例えば、フォワード型又はフライバック型の
DC−DCコンバータ用トランスでは、1次コイルに片
極性のパルス電圧が印加されるので、やはり磁気飽和に
よるインダクタンスの急激な低下が問題になる。また、
プッシュプル型のDC−DCコンバータではトランスに
印加される電圧は原理的には正負対称であるので、磁気
飽和の影響は軽微であると考えられがちであるが、スイ
ッチングトランジスタの特性のばらつきなどにより正負
のオン時間が変動してトランスが偏磁するため、やはり
磁気飽和によるインダクタンスの急激な低下が問題にな
る。
クタやトランスを構成する磁性体の磁気飽和の影響を軽
減することにより、直流重畳特性を改善でき、このよう
な平面型磁気素子において、磁性体の磁気異方性の有効
的な利用が模索されている。
イラル型、つづら折れ−スパイラル複合型など種々のコ
イルパターンが用いられている。これらのコイルパター
ンのうち、インダクタンスの値を最も大きくできるの
は、スパイラル型である。したがって、同一の電気的特
性を得るにあたり、他のコイルパターンに比べてより小
形化できる。しかし、スパイラル型の場合、外部引き出
し端子を設けるには、2層スパイラルコイルをスルーホ
ール導体で接続するか、又は端子引き出し用導体を別途
設けなければならず、他のコイルパターンに比べて製造
プロセスがやや複雑である。
路に用いる磁気素子が回路調整のためのトリミング機能
を持っていることが好ましい。従来、トリミング機能付
き磁気素子としては、例えば磁気回路の一部にコイル磁
芯との距離を調節できるねじ部を設け、磁気回路のギャ
ップを変えることによりインダクタンスを連続的に可変
できるようにしたものが用いられている。しかし、従来
の平面磁気素子の性能は、平面コイルや磁性体の特性、
素子の構造パラメータなどに著しく依存する。これら因
子は素子の製造プロセスに大きく影響を受けるため、製
造後の素子特性のばらつきが非常に大きかった。しか
も、構造的な問題から、従来の平面磁気素子にトリミン
グ機能を付加することは困難であった。
が大きく取れるように設計された磁気素子について
は、"Issues Related to 1-10-MHz Transformar Desig
n";A.F.Goldberg et al.,IEEE Trans. Power Electroni
cs Vol.4,No.1,January,1989,pp.113-123 で報告されて
いる。
・集積化に大きく貢献するものと期待されているが、実
用化にはほど遠く、電源部に代表されるLC回路を含ん
だ回路部の小形化は達成されていない。
持つので、 (1)他のデバイスと一緒に集積化する際、他のデバイ
スの動作に影響を及ぼさないこと(漏れ磁束の無いこ
と) (2)インダクタンスが大きいことを満たすことは難し
い。このため、電源部に代表されるLC回路を含んだ回
路部の小型・集積化は達成されていない。これらの点に
関する要望、すなわち要求する諸性能を満たす平面型磁
気素子の実用化が強く要望されている。
素子にトリミング機能を付加することは困難であった。
型磁気素子を提供することである。
れる。
流特性が優れている。
タンスを含む。
る。
できるトリミング機能を有している。
手段により上記の目的を達成する。また、各手段は各々
独立ではなく、組み合わせて使用することが可能であ
り、組み合わせることによって、更なる性能の向上及び
取扱の便宜を図ることができる。
体間の溝アスペクト比(コイル導体の幅/コイル導体間
の間隔)が1以上であるスパイラル平面コイルに、絶縁
体及び磁性体を積層してなることを特徴とする。
導体の導体アスペクト比(コイル導体の幅/コイル導体
の高さ)が1以上であることを特徴とする。
イルを磁性体を挟んで成る積層型の平面インダクタにお
いて、磁性体の外形寸法wをスパイラル外形寸法a0よ
りも2α(α=[μs・g・t/2]1/2;μsは磁性体
透磁率、tは磁性体厚み、gは上下磁性体間の距離)以
上大きく設定したことを特徴とする。
及び下面を磁性体層で挟んだ磁気素子において、前記磁
性体層が平面コイルが発生する磁界の方向と直交する方
向に一軸磁気異方性を有することを特徴とする。
体層で挟んだ構造の磁気素子において、前記平面コイル
が、複数個の外部接続端子を有し、かつ、外形寸法の異
なる複数の1ターン平面コイルからなり、前記1ターン
平面コイルは同一平面上に配置されることを特徴とす
る。
磁性体層が導体層が包囲するように構成され、前記導体
層に流れる面電流により前記磁性体層が閉磁路方向に磁
化されるように構成したことを特徴とする。
する。
は、コイル抵抗を低減し、その結果、インダクタではQ
を、トランスではゲインおよび電圧変動率を改善するこ
とができる。
は、コイルを構成する導体の断面積を大きくすることに
より許容電流を大きく取ることが可能である。
は、磁性体の外形寸法を大きくすることによって、外部
への漏れ磁界を低減することを利用しており、その磁性
体の外形寸法の最適設計により、インダクタ外部への漏
れ磁束の低減、及び、インダクタンスの増大効果を図っ
ている。
は、磁性体の一軸磁気異方性を有効に活用して、磁気飽
和を生じにくくすることにより、直流重畳特性及び高周
波特性に優れている。
は、複数の外部接続端子を有する構造により、外部回路
との電気的接続が極めて容易であり、外部から電気的特
性のトリミングが可能であることにより、素子の応用上
極めて有用な磁気部品となる。
は、ほぼ完全な内鉄構造となっていることから漏れ磁界
が無く、かつ、有効な導体の断面積が大きいことから電
流容量が大きくとれる。
便宜上、各手段について独立に説明を行なうが、前述し
たように、各手段を組み合わせて磁気素子を形成するこ
とが可能である。材料については、どの手段についても
ほぼ同様であることから、この説明の最後にまとめて記
載する。
手段について説明する。
分解斜視図である。図5では、半導体基板10上に絶縁
体層20Aを介して磁性体層30Aが配され、その上に
絶縁体層20Bを介してスパイラル状のコイル導体から
なるスパイラルコイル40が配されている。そして、そ
の上に絶縁体層20C、磁性体層30B、保護層50が
この順で配されている。図6は図5の6−6断面図であ
り、同一部材には同一番号を付している。
解斜視図である。ここでは、1次コイルと2次コイルの
巻数が同一の場合を示している。図7では、半導体基板
10上に絶縁体層20Aを介して磁性体層30Aが配さ
れ、その上に絶縁体層20Bを介してコイル導体からな
る1次側スパイラルコイル40Aが設けられている。こ
のコイル40A上に絶縁体層20Cを挟んで配された2
次側スパイラルコイル40Bが設けられている。さら
に、その上に絶縁体層20D、磁性体層30B、保護層
50がこの順で配されている。図8は図7の8−8断面
図であり、同一部材には同一番号を付している。
コンなどの半導体を用いた場合を示してあるが、ガラス
基板を用いた場合はそれ自体絶縁体であるので、磁性体
層30Aの下地に絶縁体層20Aを設ける必要はない。
5の平面インダクタ及び図7の平面トランスのいずれに
おいても、スパイラルコイルを構成するコイル導体間の
溝部の溝アスペクト比h/b(hはコイル導体の厚さ、
bはコイル導体間の間隔)が1以上で形成されている。
/bを有する溝を実現するには、種々の方法が考えられ
る。1つの方法として、ドライエッチングにより導体を
スパイラル状に深溝エッチングした後、空隙部に絶縁体
を埋め込む方法が考えられる。他の方法として、ドライ
エッチングによりコイル導体間の溝部に対応する領域に
絶縁体パターンを形成した後、導体を埋め込む方法が考
えられる。
め込む場合と空洞を形成する場合が考えられる。ここで
は、溝部の全体に絶縁体を埋め込む場合を示し、溝に空
洞を形成する場合については、本発明の第2の手段を説
明する時点で述べる。この方法では、平面コイル用の導
体を形成し、この導体上にマスク材をコイルパターン状
に形成し、ドライエッチング法により露出した導体をエ
ッチングして溝アスペクト比h/bが1以上の深い溝を
形成する。具体的には、高い指向性を持つイオンビーム
エッチング法、ECRプラズマエッチング法、反応性イ
オンエッチング法などを用いる。この際、マスク材や下
地と導体とのエッチング選択比を十分確保して垂直異方
性エッチングが実現できるように、適宜方法を選択す
る。
部を有するコイル導体の上から絶縁体層を形成する際に
は、溝部を誘電率の低い絶縁体で埋め込み、かつ上部表
面を平坦化することが好ましい。絶縁体として、SiO
2やSi3N4など無機材料を用いる場合は、CVD法、
反応性スパッタ法やバイアススパッタ法などのスパッタ
法を適宜選択する。また、絶縁体として有機物を用いる
場合は、低誘電率であるポリイミド(感光性のものも含
む)などが望ましいが、レジストなどを用いてもよい。
これらを溶剤とともにスピンコートした後、適当な硬化
処理によって絶縁体層を形成する。無機物、有機物にか
かわらず、絶縁体をコイル溝の溝部に埋め込んだ後、エ
ッチバック処理によりその上面を平坦にする。
絶縁体層のコイル溝の溝部に対応する領域の上にレジス
トパターンを形成し、ドライエッチング法により露出し
た絶縁体層をエッチングして、溝部に対応する領域にコ
イルパターン状に絶縁体を残す。次に、レジストを残し
たまま、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法などの方法
により導体を埋め込み、スパイラルコイルを形成する。
導体埋め込み後に、リフトオフ法によって、レジストと
ともにその上の導体を除去する。
パイラル平面コイルのパターンに応じて適宜選択する。
素子の効果について説明する。
溝アスペクト比h/bとコイル抵抗R及びインダクタン
スLとの関係を示すグラフである。図9では、インダク
タンスLに関して、磁性体の透磁率(μs)と厚み
(t)との積μs・tをパラメータとし、μs・t=50
00μm又は1000μmの場合について示している。
図9から明らかなように、インダクタンスLは溝アスペ
クト比h/bにほとんど依存せず、ほぼ一定である。一
方、コイル抵抗は溝アスペクト比h/bの増大に伴って
急激に減少し、5以上ではほとんど一定になる。
の溝アスペクト比h/bとL/Rとの関係を示すもので
ある。L/RはインダクタのQに比例する量で、Q=2
πfL/R(fは周波数:Hz)の関係がある。図10
では、磁性体の透磁率(μs)パラメータとし、μs=1
04又は103の場合について示している。図10から明
らかなように、L/Rは溝アスペクト比h/bの増大に
伴って大きくなるが、5以上ではほとんど一定になる。
0.5、1.0、2.0、又は5.0に設定して作製さ
れた平面インダクタについて、5MHzにおけるQを示
す。次表では、磁性体の透磁率(μs)と厚み(t)と
の積μs・tをパラメータとし、μs・t=5000μm
又は1000μmの場合について示している。表1から
明らかなように、溝アスペクト比h/bが1の場合のQ
は0.3の場合の約3.5倍、0.5の場合の約1.5
倍である。このように、溝アスペクト比h/bを1以上
とすることにより、高いQを実現でき、平面インダクタ
の性能を大きく改善できる。
溝アスペクト比h/bと平面トランスの1次側コイルの
Q及びトランスゲインGとの関係を示す。図11から明
らかなように、溝アスペクト比h/bを1以上に大きく
することにより、Qを大きくでき、その結果トランスゲ
インGを大きくできる。
を左右する材料の選択が大きな課題となるが、材料の選
択については、本説明の最後に記載する。
d(hはコイル導体の高さ、dはコイル導体の幅)を第
2の手段に従って設定した例を示す。
アスペクト比h/bを設定した例の分解斜視図を示し、
基板10上に直接平面コイル40が形成されている。図
12Bは図12Aの12B−12B断面図であり、42
はコイル導体を示す。導体は通常の半導体プロセスでの
配線形成で使用されるような製法を用いることで形成で
きる。配線ピッチには自ずと限界がある。ピッチ幅が狭
くなるほど小型化が可能であるが、高い導体アスペクト
比化は困難になる。従って、所望の特性に応じて最も適
当なピッチ、導体アスペクト比h/dを決め、製造する
ことが望ましい。高い導体アスペクト比という点で特に
数値を決めるものではないが、概ね1以上、すなわち、
線高が線幅以上である高い導体アスペクト比h/dの導
体からなることが好ましく、また、小型化という観点か
らは、高い溝アスペクト比h/bであることが好まし
い。数値的には特に限定されるところはないが、マイク
ロコイルという観点からは、導体幅、溝距離共に10μ
m以下程度であることが実質上効果を発揮すると考えら
れる。
導体の製造であるが、エッチングにより形成することを
考えると、狭く深い溝を刻むことになる。従って選択性
の良好な導体膜を使用する必要がある。そのためには導
体層としてエッチング容易面が導体形成面に対して平行
になるように形成された配向性の結晶膜を用いることが
望ましい。もちろん単結晶であればなお良い。
よりインダクタンスが不足することが考えられるが、リ
アクタンスはωL(ωは駆動角周波数)であるため、駆
動周波数の高周波数化で補うことができる。近年スイッ
チング周波数は高周波数化が進んでおり、微小化による
低リアクタンスは十分に補うことができる。例えばMH
z程度の高周波数領域ではnH程度の低インダクタンス
でもインダクタとしては十分に動作する。
体を接近させると、隣接する溝の対向面積が増大し、距
離が近いこととの相乗効果で線間容量が増大する結果を
招く。これを利用してLC回路を構成することも可能で
ある。しかしながら一般にはLC発振周波数(カットオ
フ周波数)が小さくなり、インダクタとしての動作がで
きなくなり、高周波数化に対応できない可能性があるた
め、極力線間容量は低減したい。微細化されたコイル導
体上には通常の半導体プロセスで使用されるように、例
えばSiO2のような絶縁体が形成されるが、この絶縁
体層20に代え線間を空洞化し、線間の誘電率を低減す
ることで線間容量を低減することができる。この場合、
平面コイル上に絶縁膜を形成する際、線間に空洞ができ
るような条件で成膜を行なえば良い。従って空洞内は真
空に近い状態の場合もあるし、絶縁膜の形成に用いた原
料ガスが存在する場合もある。いずれにせよ、通常の固
体状絶縁体が存在する場合に比べはるかに低誘電率であ
り、線間容量は確実に低減される。
半導体素子形成プロセスで用いられているCVD法を応
用すればよい。一般の半導体プロセスでは密着性よく、
全面にわたってSiO2などの絶縁膜を形成するわけで
あるが、第2の手段の場合はコイル上面での絶縁膜の形
成が主体に進み、溝の空間は維持され、結果として空間
上部に蓋がなされるような条件を設定すれば良い。具体
的には、膜堆積速度が原料ガスの輸送速度で決まるよう
に条件を設定すればよい(供給律速)。この様子を図1
3に示す。基板10上に形成された導体42から構成さ
れるコイル上面には、直接原料ガス82が供給される
が、溝の下部では原料ガス82が到達しにくいため、上
面SiO2での膜80の成長が早く、図13A→図13
B→図13C→図13Dと順に反応が進み、結果として
上記のような空洞70が形成される。また図14に示す
ように、コイル導体42の上面に対し斜め方向(θ)か
ら絶縁体粒子84をスパッタする事でも空洞化は実現で
きる。しかしながら空洞化後の絶縁膜の平坦性を考慮す
ると、CVD法で形成することが望ましい。
15に示した平行平板コンデンサで近似して説明する。
A、60B(距離s0)に、非誘電率εの絶縁体20を
充満したときの容量(C0)は、 C0=ε0・ε・t/s0(F/m) (但し、ε0は真空の誘電率)となる。これに対し平行
電極板間の空間に一様に幅(s)の空洞が存在する場合
の容量をCとすると、 C/C0=1/[k(ε−1)+1] (但し、kは空洞が占める割合(s/s0)を示す)と
なる。
誘電率約4)のときのC/C0のk依存性を示す。溝の
空洞の割合をほぼ1/3以下とすれば、容量は絶縁体充
満状態に比べ1/2以下になることが分かる。空洞に気
体が存在する場合(もしくは真空に近い状態)、絶縁体
の種類などでも異なるが、おおむね1/3以上の空洞化
が実用的である。
タを構成するのであるが、コイルだけではインダクタン
スが小さいため、磁芯を構成するようにコイルに近接し
て磁性体層20を設けることが望ましい。この場合、漏
れ磁界を極力低減するため、コイルの上下面を磁性体で
挟む構造とすることが好ましい。この構造を図17に示
す。表面に酸化膜を有するSi基板などの絶縁性の基板
10上に磁性体層30Aを形成し、絶縁体層20Aを介
して平面コイル40から構成されるコイルを形成し、更
にその上に絶縁体層20Bを介して磁性体層30Bを形
成する。この構造では磁性体層30A、30Bが磁気シ
ールドの役割をも果たすことになり、外部への漏れ磁界
をほとんどなくすことができる。従って周囲に配置する
素子への影響の考慮が最小限度ですむため、トータルと
してみた場合、部品の小型化を実現できる。また場合に
よっては、磁芯を設けず、空芯コイルとして用いること
も可能であり、片側だけに磁性体層を設けたもので用い
ることも可能である。なお図18に示した構造では平面
コイルを、絶縁体層20Cを介することによって多層化
したものを示す。こうすることでターン数を多くするこ
とができので、高インダクタン化が図れる。
ようにスパイラル状、図19Bに示すようにミアンダー
状など各種形態が考えられる。インダクタンス的にはス
パイラルの方が有利である。
いられるものに比べかなりの膜厚になるので基板との接
合強度が問題となる場合が考えられる。その場合には、
図20に示すように接合層25としてCrなどの薄層を
介して基板10上に導体42を形成すれば良い。この接
合層25を介する方法は、他の手段である第1、第3、
第4及び第5の手段についても、同様のコイル形状であ
ることから、同様に適用できる。また、導体は、所望の
特性に応じて最も適当なピッチ、導体アスペクト比h/
dを決定して製造することが好ましい。小形化という観
点からは、隣接する導体間の間隔が導体の幅以下である
ことがあることが好ましい。これらの寸法は特に限定さ
れないが、実質的な効果を得るためには隣接する導体間
の間隔が10μm以下であることが好ましい。これにつ
いても、接合層と同様に他の手段に適用できる。
体に説明したが、例えば2個のコイルを組み合わせてマ
イクロトランスを構成することもできる。この構造の一
例を図21に示す。表面に酸化シリコン膜が形成された
Si基板などの基板10上に、磁性体層30A、絶縁体
層20A、平面コイル40A、絶縁体層20B、平面コ
イル40B、絶縁体層20C、磁性体層30Bが順次積
層されている。例えば、平面コイル40Aが一次コイル
を構成し、平面コイル40Bが二次コイルを構成するこ
とになる。一次コイルと二次コイルは所望の巻線比に設
定される。この様な構成では磁性体層30A、30Bは
一次コイルと二次コイルとの積層体を挟むように設けら
れることが好ましい。また一次コイルと二次コイルと
を、コイルの上から見た概念図として示した図22Aの
ように、同一平面上に形成しても良い。同図では一次コ
イルと二次コイルとが交互に組み合わされ、同一平面上
に存在している様子を示している。しかしながら必ずし
も交互に組み合わされる必要は無い。また、図22Bに
示されるように一次コイルの内側に二次コイルが存在す
るように構成しても良い。
スパイラルコイル40が1層の場合について説明する。
図で、磁性体層30A及び磁性体層30Bの間に絶縁体
層20A及び20Bを介してスパイラルコイル40が配
置されている。ここでa0はスパイラルコイル40の外
形の1辺の寸法、wは磁性体層30A及び30Bの一辺
の寸法、tは磁性体層30A及び30Bの厚み、gは磁
性体層30Aと30Bとの間の距離である。また図24
には、磁性体層30A及び30Bの間に絶縁体層20C
を介してスパイラルコイル40A及び40Bを配しスル
ーホール導体42を有した絶縁体層20Cを平面コイル
40Aと40Bとの間に配したものを示す。ここにおけ
るa0、w、t、gは図23の場合と同様の部位の寸法
を示している。
絶縁体を介して上下より磁性体で挟み込む積層型平面イ
ンダクタにおいて、上述したようにスパイラル外形寸法
と磁性体外形寸法の関係を最適化することにより、 (1)外部への漏洩磁束が少なく磁気シールド効果が高
い (2)インダクタンスの値を増大できることを可能にし
た。この場合、第3の手段による平面インダクタは、半
導体あるいはガラス基板上に前薄膜プロセスで形成して
も良いし、その他の絶縁基板(ポリイミドなどの各種高
分子材料)上にスパイラルコイルを形成し、これを適当
な絶縁フィルムを介して磁性箔でサンドイッチしても良
い。
合に、漏洩磁束によるノイズや回路の誤動作の問題があ
る。これは、ハイブリッドIC化の点でも問題になる
し、LやCを含んだすべての回路部品をモノリシックに
集積化する1チップ化の際には更に大きな問題となる。
すなわち、これらの集積回路の場合には、各部品が接近
して配置されるために、インダクタの漏れ磁束の影響が
一層深刻になるためである。平面インダクタにおいて、
この様な漏洩磁束の影響を軽減するために、第3の手段
では、磁性体層の外形寸法wとスパイラルコイルの外形
寸法a0の相対関係を最適化した。
の外寸法a0に対して磁性体層30の外形寸法wを種々
変化させた場合の磁性体層の端部からの漏れ磁束100
の様子を示すもので、wをある限度以上大きくすること
により、インダクタ外部への漏洩磁束を劇的に低減でき
る。ここで、図25Aは、ほぼa0=wとし、図25B
からCは、wを順次大きくしたものである。また図26
は、スパイラルコイル・磁性体積層型平面インダクタの
磁界分布を描いたものである。この図より、スパイラル
コイルの端部よりα(α=[μs・g・t/2]1/2;μ
sは磁性体の透磁率、tは磁性体層の厚さ、gは上下磁
性体層間の距離)の距離だけ離れると磁界の大きさはコ
イル端部の値の約0.37倍に小さくなる。すなわち、
磁性体層の外形寸法wとして、スパイラルコイル外形寸
法a0よりも2α以上大きくすれば、インダクタ外部へ
の漏洩磁束を劇的に低減できることが分かる。ここでは
コイル導体42の幅70μm、コイル導体間の距離10
μm、磁性体間ギャップ5μm、コイル電流0.1Aと
した。
部)から外部へ漏れる磁束の大きさをw=a0の時の値
を基準にして示したものである。平面インダクタをモノ
リシックに集積回路内に形成する場合には、僅かな漏れ
磁束でも他のデバイスに大きく影響するので、磁性体層
の外形寸法wとしてa0+10α以上とすることが望ま
しい。これにより、磁束は外部に殆ど漏れはない。
インダクタンスをなるべく大きな値としたい。第3の手
段のように、磁性体層の外形寸法wをスパイラルコイル
の外形寸法a0よりも2α(αは前述の通り)以上大き
くすれば、インダクタンスを有効に高めることができ
る。図28は、wの大きさを種々変えた場合のインダク
タンス値の変化の一例を調べたもので、w≧a0+2α
とすることにより、w=a0の場合の1.8倍以上の値
が得られることが分かる。
お、以下においては平面インダクタについて説明し、平
面トランスについての説明は省略する。ただし、平面ト
ランスの場合は1次側及び2次側の2つのスパイラル平
面コイルを積層する以外は、構造的に平面インダクタと
ほぼ同一であり、第4手段によって得られる効果も類似
のものである。
ラル平面コイル1の両面を絶縁体層20で挟み、これら
の両面を磁性体層30で挟んだ構造の平面インダクタに
ついて考える。上下の磁性体層30には、図中矢印で示
す方向に一軸磁気異方性が導入されているものとする。
ル40にコイル電流を流したとき、磁性体層3上での発
生磁界の方向を図30に破線矢印で示す。Aの領域で
は、コイルによる発生磁界の方向と一軸磁気異方性の方
向(磁化容易軸の方向)とが一致する。一方、Bの領域
では、コイルによる発生磁界の方向と一軸磁気異方性の
方向とが直交する、すなわち発生磁界の方向と磁化困難
軸の方向とが一致する。
の磁化容易軸方向と磁化困難軸方向とで観測されるB−
H曲線を示す。磁化容易軸方向では透磁率が非常に高い
半面、飽和しやすく、磁化困難軸方向では反対に飽和し
にくい。したがって、図30のA領域は飽和しやすい
が、B領域は発生磁界の方向が困難軸の方向であるため
飽和しにくい。図32Aに示すように、コイルによる発
生磁界が大きいと、図30のA領域は飽和して磁束が空
間に漏れる。このとき、図32Bに示すように、磁束の
大部分は図30のB領域を通る。結局、インダクタンス
の大きさは困難軸方向の磁気特性に左右される。
の問題を解決するために、以下に説明する3つの構造を
採用する。第1は、スパイラル平面コイルの両面に、一
軸磁気異方性を導入した複数層の磁性体を、隣り合う磁
性体で一軸磁気異方性の方向が互いに直交する方向とな
るように、絶縁体層を介して積層するものである。第2
は、スパイラル平面コイルの両面に、それぞれ底辺に平
行な方向に一軸磁気異方性が導入された4個の三角形状
の磁性体を、これらの頂点が一致するように配置して構
成される角型の磁性体層を設けるものである。第3は、
スパイラル平面コイルの両面に、コイルの電流方向と平
行なストライプ状の凹凸を形成することにより形状一軸
磁気異方性が導入された磁性体層を設けるものである。
を図33に示す。この平面インダクタは、スパイラル平
面コイル40の両面を、絶縁体層20A、第1層の磁性
体層30A、絶縁体層20B、第2層の磁性体層30B
で順次挟んだ構造を有している。ここで、絶縁体層20
については、ドットで示す(図35も同様)。図33の
ように構成した場合、スパイラル平面コイル40に最も
近接している第1層の磁性体層30AでA領域に相当す
る部分は飽和しやすいが、A領域から空間に漏れだした
磁束は第2層の磁性体層30BのB領域に相当する部分
を通過する。結局、磁束は第1層、第2層のいずれの磁
性体層においても、磁化困難軸の方向に通過し、磁気飽
和が生じにくくなる。
重畳特性の例を実線で及び図29の平面インダクタの直
流重畳特性の例を破線で示す。図34から明らかなよう
に、磁性体層が2層の場合は、磁性体層が1層の場合と
比較して、インダクタンスが倍増し、インダクタンスが
低下し始める直流電流も増大する。
上下の磁性体層が2層ずつの場合について説明したが、
図35に示すように磁性体層を4層ずつ設けるというよ
うに磁性体層を更に多層化してもよい。この場合も、ス
パイラル平面コイル40に対して奇数層目の磁性体層と
偶数層目の磁性体層とで一軸磁気異方性の方向が互いに
直交するようにする。
以下のような方法により製造できる。磁性体として3μ
m以上の厚さを有する非晶質合金、結晶質合金、酸化物
などの軟磁性薄帯を用いる場合には、各磁性体に一軸磁
気異方性を予め導入しておき、一層ごとに一軸磁気異方
性の方向が互いに直交するように絶縁体層を介して積層
する。
セスにより磁性体を形成する場合には、静磁場中成膜や
成膜後の磁界中熱処理などによって一軸磁気異方性を導
入する。この場合、磁性体材料は磁歪が小さいことが好
ましいが、応力分布を適当にコントロールできれば、磁
歪の比較的大きな材料でも逆磁歪効果を介して一軸磁気
異方性を導入できると考えられる。薄膜プロセスによっ
て図33又は図35の平面インダクタを製造する場合に
は、磁性体層と絶縁体層とを交互に形成できるように多
元式の成膜装置を用いることが生産性の点で有利であ
る。
を図36に示す。この平面インダクタは、スパイラル平
面コイル40の両面を、絶縁体層20及び磁性体層30
で順次挟んだ構造を有し、各磁性体層30がそれぞれ底
辺に平行な方向に一軸磁気異方性が導入された4個の三
角形状の磁性体を、これらの頂点が一致するように配置
して構成されているものである。図36の平面インダク
タでは、磁性体層30の全領域においてコイルにより発
生する磁界の方向と磁化容易軸の方向とが直交するの
で、磁気的に飽和しやすい領域は存在しない。
重畳特性の例を実線で、及び図29の平面インダクタの
直流重畳特性の例を破線で示す。図37から明らかなよ
うに、図29の平面インダクタのインダクタンスは小電
流領域では大きいものの、わずかな直流重畳電流の増大
によって急激に低下し、その後一定になる。このインダ
クタンス一定の領域は図29のB領域のみの磁性体が動
作しているためである。一方、図36の平面インダクタ
では、インダクタンスが一定の範囲が小電流側から大電
流側まで広く、またインダクタンスの値そのものも図1
の場合に比べて2倍程度大きい。
法により製造することができる。3μm以上の厚さを有
する非晶質合金、結晶質合金、酸化物などの軟磁性薄帯
を用いる場合は、薄帯を角型スパイラルコイルの一辺以
上の寸法を底辺とする三角形状に切断した後、これらの
底辺に平行に磁界を印加した状態で熱処理を行って一軸
磁気異方性を付与する。そして、4個の三角形状磁性薄
帯を、それぞれ磁化容易軸がコイル導体と平行になるよ
うに配置する。
セスで形成する場合には、三角形状のマスクを用い、静
磁場中成膜などによって一軸磁気異方性を付与する。す
なわち、B領域に三角形状のレジストマスクを形成した
状態でA領域のコイル導体が延びる方向と平行に磁界を
印加し、A領域に磁性膜を成膜する。A領域に磁性膜を
所定の厚さに形成した後、B領域のレジストを除去して
その上の磁性膜をリフトオフする。次に、A領域にレジ
ストマスクを形成し、B領域のコイル導体が延びる方向
と平行に磁界を印加してB領域に磁性膜を成膜する。最
後に、前記と同様に、残ったレジストを除去してその上
の磁性膜をリフトオフする。
を図38に示す。この平面インダクタは、スパイラル平
面コイル40の両面を、絶縁体層20及び磁性体層30
で順次挟んだ構造を有し、磁性体層30には、平面コイ
ル40に流れる電流の方向と平行にストライプ状の凹凸
が交互に形成されている(詳細形状は、図39参照)。
このストライプ状の凹凸によって、一軸磁気異方性を有
することができる。図38の平面インダクタでも、磁性
体層30の全領域において、コイルにより発生する磁界
の方向と磁化容易軸の方向とが直交するので、磁気的に
飽和しやすい領域は存在しない。
磁性体層を形成する方法としては、フォトリソグラフィ
ー又は機械的加工により下地にストライプ状の凹凸を形
成した後、磁性体層を成膜する方法や、磁性体層を成膜
した後、フォトリソグラフィー又は機械的加工により磁
性体層自体にストライプ状の凹凸を形成する方法が採用
できる。
以下のような機構により形状磁気異方性が誘導される。
一般に、強磁性体は複数の磁区で構成されているが、十
分薄い膜では磁性膜の上面から下面まで通して磁壁が存
在せず、膜厚方向に単磁区の構造が実現することが知ら
れている。磁区内の磁気モーメントは、近距離力である
交換相互作用のために、一様な方向と大きさを持ち、外
場に対して剛体的に回転するとみなせる。また、薄膜表
面の凹凸などにより磁極が出現すると、反磁場及びもれ
磁場が発生する。したがって、磁性体薄膜の表面又は界
面に異方的な形状を形成して形状磁気異方性を導入する
と、膜内の磁気モーメントが影響を受ける。ただし、磁
性体層の表面形状は、以下に述べるように一定の条件を
満たすことが好ましい。
に平行な帯状の凹凸を持つ磁性薄膜を考える。いま、凸
部の帯状の磁性体部分に注目し、i番目の磁性体の存在
領域を式(1)のように表す。ここで、dは凹部におけ
る磁性体の厚さ、Lは凸部の幅、Wは凹凸の段差、δは
凸部間の間隔である。
の凹凸がX方向に無限に繰り返している表面構造を意味
する。膜の本来の磁気異方性が十分小さい場合、膜全体
の形状磁気異方性により、磁化ベクトルIは膜面に平行
となる。ここで、IのX軸方向の方向余弦をcosφと
おく。cosφが0でない場合、帯状の磁性体のYZ面
に磁化Iとcosφとの積で表される面密度の磁極が生
じる。この磁極が発生させる磁場は、(x,z)の関数
として解析的に解くことができる。i=0の磁性体に注
目すると、自分自身に及ぼす反磁場Hd、及び無限に連
なる帯状の磁性体から受ける有効磁場Hmは式(2)の
ように表される。
と考え、i=0の帯状の凸部磁性体の安定状態を考慮す
ると、φ=0(Iが帯方向に平行)とφ=π/2(Iが
帯方向に垂直)との単位体積当たりのエネルギー差密度
Ukは、膜厚方向に平均して式(3)のようになる。た
だし、Ukの正負は、Uk>0のとき帯方向(Y軸)が
容易軸となるように定めている。
ことにより、磁性体に形状異方性を導入できる。ただ
し、膜全体で帯方向(Y軸)を安定に容易軸とするに
は、少なくとも帯状磁性体の中心部分(X=0,Z=
0)が容易軸である必要がある。そこで、Ukの式で
(X=0,Y=0)に注目し、i=±1まで考慮する
と、Ukの式は式(4)のように表される。
kの正負は第2項の正負で決定される。よって、式
(5)の不等式を満たすような表面形状であれば、表面
の帯状の凹凸が伸びる方向に容易軸を持たせる、すなわ
ち垂直な方向に困難軸を持たせるのに有効である。
設定したときの、Ukの式の第2項の変化を示す。図4
0からわかるように、例えばδ/L=1/16の場合の
ように凹凸の段差が浅くなると、異方性の正負が逆転
し、帯状の凹凸が伸びる方向に垂直な方向が磁化容易軸
になる可能性がある。一例として、W=0.5μm、L
=4μm、δ=2μm、d=2μmとした場合に最隣接
(i=±1)の凸部まで考慮に入れたときのエネルギー
差を求めたところ、異方性磁場に換算して80Oe以上
であった。ただし、磁化の値は1Tと仮定した。
線)及び図29の平面インダクタ(破線)の直流重畳特
性の例を示す。図41から、図38の平面インダクタで
は、インダクタンスが一定の範囲が小電流側から大電流
側まで広い範囲にわたっていることがわかる。
構造を採用すれば、磁性体層の動作が磁化困難軸に固定
されるので、磁気飽和が生じにくくなる。また、磁性体
の困難軸を利用しているので、磁化過程が回転磁化とな
り、磁壁移動磁化に比べて、高周波うず電流損を低減で
き、周波数特性の改善にも有効である。
イル形状を限定して説明したが、次に、スパイラルコイ
ル形状を長方形としたとき及び端子の取り出しを容易に
したときの磁気素子について説明する。
クタを取り上げて具体的に説明する。なお、平面トラン
スの場合は1次用と2次用の2つを積層する以外は、構
造的に平面インダクタと同一であり、第4の手段によっ
て得られる効果は類似のものであるので、ここでは省略
する一軸磁気異方性を有する磁性体の磁化容易軸方向と
磁化困難軸方向とで観測されるB−H曲線は、図42に
示すように磁化容易軸では透磁率が非常に高い反面、飽
和し易く、磁化困難軸方向では反対に飽和し難い。ま
た、図42に示す如く磁化容易軸の透磁率は、低周波に
おいて高いものの、高周波では急激に低下する。一方、
磁化困難軸の透磁率は、低周波においてこそ劣るもの
の、高周波においては容易軸のそれに比べてはるかに高
い値を示す。平面型磁気素子において、磁性体の磁化困
難軸のみを用いることができれば、素子の電気特性の向
上に大きく貢献するものと考えられる。
つの場合が考えられる。よって、ここでは、その場合分
けを3つとして順次説明する。
ものを用い、その長軸と磁性体の磁化容易軸が一致する
ように、磁性体をスパイラルコイルの上面及び下面より
絶縁体を介して積層する。このような、第4の手段の第
1番目について、図43に示す。図43Aは、平面コイ
ル40を絶縁体20で封止した上面及び下面に磁性体層
30を配置した平面図であり、図43Bは図43Aの4
3Bに沿った断面図(42は導体、100は磁束を示
す)である。ここで、長方形スパイラルコイルの長軸と
短軸の比(アスペクト比=長軸の長さm/短軸の長さ
n)はなるべく大きく設定する。アスペクト比m/nを
十分大きくとれば、磁性体のほとんどの領域において、
磁界方向と磁気容易軸とが直交するが、この状態をより
完全なものとするために、図44に示す如く、長方形ス
パイラルコイルの長軸方向のコイル導体部分にのみ磁性
体を形成しても良い。但し、図44の断面図は、図43
Aの断面図と同様の形状である(図45も同様)。
長方形スパイラルコイルを2つ直列接続し、更に2つの
長方形スパイラルコイルの長軸方向が一致するように、
同一平面上に配置する。更に、長方形スパイラルの長軸
と磁性体の磁化容易軸が一致するように、磁性体をコイ
ルの上面及び下面に絶縁体を介して配置する。
を長軸方向に並べた場合を示し、図46A及び図47A
は短軸方向に並べた場合を示している。また、図46B
は図46Aの46Bに沿った断面図、図47Bも同様で
ある。このように、2つの長方形スパイラルコイルを直
列接続することによって、図43及び図44の場合に比
べて少なくとも2倍以上のインダクタンス値を得ること
ができる。また、2つの長方形スパイラルコイル間の接
続に関し、空中をわたるような配線は必要ない。
る場合のコイル接続方法は2通り考えられる。図46
は、2つの長方形スパイラルコイルの巻方向が逆の場
合、図47は同一の場合である。磁束の通る磁路は、図
に示した如く、後者の方が細分される。どちらが優れる
かは、種々の条件にも左右されるので適宜選択する。
図43Aのようにスパイラルコイルの全面にわたって磁
性体層30を形成しても良い。
46、図47に示す如く、長方形スパイラルコイルの巻
始めと巻終わりの部分が露出していることにより、端子
の引出しが極めて容易になる。
体の困難軸を有効に利用することができるので、磁化過
程が回転磁化によることになり、磁気飽和の影響の軽減
のみならず、高周波特性の改善にも有効である。
7では、スパイラルコイルの上面及び下面に一枚のみ一
軸異方性磁性体を形成させる場合を示したが、一般的に
は、これらの磁性体を多層化して用いる。
には、種々の方法が考えられる。3μm以上の厚さを有
する非晶質合金、結晶質合金、酸化物などの軟磁性薄帯
を用いるときは、一軸磁気異方性を磁界中熱処理などに
よって予め付与しておき、長方形スパイラルフィルムな
どとともに積層する。この時、積層による応力の影響を
できるだけ避けるために磁歪の小さな磁性体を選択す
る。
セスで形成する場合は、静磁場中成膜や成膜後の磁界中
熱処理などによって一軸磁気異方性を付与する。このと
きも磁性体材料は磁歪が小さいことが望まれるが、応力
分布を適当にコントロールできれば、磁歪値の比較的大
きな材料でも逆磁歪効果を介して一軸磁気異方性を導付
与することが可能になると考えられる。薄膜プロセスで
第4の手段による磁性体構造を実現するには、磁性体と
絶縁体を交互に形成する必要があるので、多元式の成膜
装置を用いることが生産性の点で有利である。
トランジスタ、抵抗、キャパシター等の他の素子と集積
化する際には、漏れ磁束による回路の誤動作を防ぐた
め、特に、図44、図45、図46、図47のときに
は、コイル導体が露出する部分に、磁気シールド用磁性
体を形成する。この一例を図48A及びBに示す。ここ
で、図48Aは平面図、図48Bは断面図を示し、部材
の番号については、図43と同様である。
49及び図50は、第5の手段に係る磁気素子を構成す
る平面コイルを示すものである。
をなし、外形寸法の異なる複数の1ターン平面コイル4
0を同一平面上に配置したものであり、各1ターン平面
コイル40は正方形の1辺に2個の外部接続端子を有す
る。図50の平面コイルは、図49と同様に、外形がほ
ぼ正方形をなし、外形寸法の異なる複数の1ターン平面
コイル40を同一平面上に配置したものであるが、各1
ターン平面コイル40は正方形の対抗する2辺に2個ず
つ合計4個の外部接続端子を有する。なお、図49及び
図50では、外形がほぼ正方形の1ターン平面コイルを
示しているが、1ターン平面コイルの外形は特に限定さ
れない。
び図50において破線で表示されている磁性体層30で
サンドイッチされている。磁性体としては、ソフトフェ
ライト、磁性薄帯、磁性薄膜などが用いられる。ただ
し、フェライト以外の磁性薄帯、磁性薄膜を用いる場合
には、平面コイルと磁性体層30との間に絶縁体層を設
ける必要がある。
としてスパイラルコイルを用いた場合のようにスルーホ
ール導体や端子引き出し用導体を設ける必要がないた
め、製造プロセスが簡略化される。また、それぞれの1
ターン平面コイル40の外部接続端子は、全て磁性体層
30の外側に設けられるので、外部回路との接続が極め
て容易である。
タとして使用する場合のインダクタンス調整効果につい
て説明する。以下に述べるように、インダクタンスは、
外部接続端子どうしの接続方法の変更、又は外部端子の
選択すなわち使用する1ターン平面コイルの選択により
調整できる。
て、1ターン平面コイル40の全外部接続端子のうち、
最も外側の1個と中央部の1個を除いて、隣接するもの
どうしを互いに接続したものである。図51では、隣接
するコイル導体に流れる電流の向きが互いに逆になる。
したがって、発生する磁界はつづら折れコイルパターン
の場合と類似する。
て、1ターン平面コイル40の全外部接続端子のうち、
最も外側の1個と中央部の1個を除いて、互いに線対称
の位置にあるものどうしを互いに接続した構成を有す
る。図52では、隣接するコイル導体に流れる電流の向
きが互いに逆になる。したがって、発生する磁界はスパ
イラルコイルパターンの場合と類似する。
て、図51の接続方法と図52の接続方法とを併用した
ものである。図52では、隣接するコイル導体に流れる
電流の向きが互いに逆向きの個所と同じ個所との両者を
含む。したがって、発生する磁界はつづら折れ−スパイ
ラル複合型コイルパターンの場合と類似する。
ダクタンスLの値は、図52の場合が最も大きく、図5
3、図51の順で小さくなる。このように、第5の手段
の平面磁気素子では、外部接続端子どうしの接続方法を
変更することにより、インダクタンスを調整できる。な
お、外部接続端子の接続方法は、図51〜図53に示す
方法に限定されず、必要なインダクタンスが得られるよ
うに、使用者が適宜選択することができる。
形の異なる1ターン平面コイルの2つの外部接続端子ど
うしを接続した場合、1個の1ターン平面コイルで得ら
れるインダクタンス値を示すものである。図54から明
らかなように、外形寸法の異なる1ターン平面コイルを
選択することにより、種々のインダクタンス値が得られ
る。また、図54に示すように1ターン平面コイルを選
択するとともに、図51〜図53に示す接続方法を種々
変更して併用すれば、インダクタンス値を広範囲にかつ
細かくトリミングできる。
ランスとして用いる場合について説明する。図49に示
すように外部接続端子を設けた場合、図55〜図57に
示すように複数の平面コイルを2群以上に分け、同一群
内の1ターン平面コイルを外部で相互に接続することに
よりトランスを構成できる。図55及び図56は1入力
−1出力型、図57は1入力−2出力型のトランスを示
す。なお、2群以上に分割された同一群内の平面コイル
の接続方法は、図55〜図57で示した方法に限定され
ない。1次コイル、2次コイル、3次コイル、…を構成
する複数の平面コイルの外部接続方法を種々変更するこ
とにより、それぞれのコイルのインダクタンスや、コイ
ル間の結合係数を調整できる。このことは、外部からト
ランスの変圧比や変流比を調整できることを意味する。
図58に、第5の手段に係る平面磁気素子を1入力−1
出力型トランスに応用した場合の、外部接続方法による
変圧比及び変流比の調整効果を調べた結果を示す。
外部接続端子の接続方法を例として、電気的特性の調整
効果について説明した。図50のように外部接続端子を
設ければ、端子接続方法のバリエーションが更に広がる
ので、より細かな調整効果が得られる。ただし、外部接
続端子の数が多すぎると、使用者が誤接続するおそれが
あるため、図49又は図50に示したように、1個の平
面コイル当りの外部接続端子数は2〜4個で十分である
と考えられる。
がなく、かつ大きなインダクタンスを必要とする場合に
は、コイル導体間間隔を製造プロセスの許すかぎり小さ
くして、図52のように外部端子を接続する。一方、イ
ンダクタンスは小さくても構わないが、周波数特性を良
好にしたい場合には、コイル導体間間隔をできるだけ大
きくして、図51のように外部端子を接続する。同様
に、トランスに応用する場合でも、外部から電気的特性
を調整する必要がない場合には、コイル導体間間隔をで
きるだけ小さくする。このように平面コイルを構成すれ
ば、特性固定型平面磁気素子を高性能化できる。
には、これらを半導体製造プロセスと同様に薄膜プロセ
スを利用して製造することが好ましい。Si、GaAs
などの半導体基板上に第5の手段の磁気素子を形成する
ことにより、トランジスタなどの能動素子、抵抗、コン
デンサなど受動素子とのモノリシック化が可能であり、
小形化できる。半導体基板上に磁気素子を形成する場
合、能動素子と同一平面でもよいし、能動素子の上部又
は下部でもよい。
及び磁気素子92を同一平面上に形成したものである。
図60は半導体基板10中に能動素子90を形成し、基
板10上に絶縁体層20を介して配線層95を形成し、
配線層95上に絶縁体層20を介して磁気素子1を形成
したものである。図61は半導体基板10上に磁気素子
1を形成し、磁気素子1上に絶縁体層20を介して能動
素子90を形成したものである。いずれの素子でも、半
導体基板10、能動素子90、磁気素子1の間は図示し
ないコンタクトホールを介して配線により接続されてい
る。第5の手段の例のように、本発明は、どの手段によ
っても、能動素子及び受動素子が半導体基板上に形成さ
れ、平面コイルからなるインダクタ及びトランス等と一
体的に素子を構成することができる。このことは、どの
手段についても同様に言及できるので、ここでの記載の
みにとどめる。
2Aに第6の手段にかかる磁気素子の断面図を示す。電
流容量の増大を考えた場合、図62Aに示すように、コ
イルを構成する導体42を面状とし、この面状導体で絶
縁体20を介して配置される磁性体30を磁化するよう
な構成が挙げられる。この場合、磁化電流が面電流であ
るため有効な断面積が増大し、許容電流は増大する。図
17に示したのは外鉄構造であるが、図62Aに示した
構造では、ほぼ完全な内鉄構造が実現でき、この構造で
も十分漏れ磁界は少なくすることができる。インダクタ
ンス的には駆動周波数によって異なるが、1MHz程度
の周波数領域を境にして、低周波領域では図17に示す
構造が有利であり、それ以上の高周波領域では図18に
示す構造が有利とみられる。ただし電流容量的には図6
2Aに示した構造のほうが絶対的に有利である。
の許容電流(Imax)を考えてみる。図62Bに、各部
の寸法を表わす記号を示し、部材番号は、図62Aと同
様である。インダクタンスL(H)は、 L=2μs・δ2・ln(d1/d2)×10-7 となり、直流抵抗RDC(Ω)は、 RDC=(ρ/πδ1)ln(d1/d2) となる。なお、μsは磁性体の比透磁率、ρは比抵抗で
ある。
/m2))を用いたときは、 Imax=π×108・d1・d2(A) となる。これと同形状のものを通常のスパイラルコイル
で構成した平面インダクタで実現すると、導体の断面積
はかなり小さくなるため、概略オーダーとして2けた以
下程度のImaxしか得ることができない、また図62A
の構造コイルを、図63Aに示したように平面状に複数
個形成して直列に接続することで高インダクタンス化が
実現できる。さらには、図63Bに示すように、同様の
構造を積層してもよい。この場合は単位面積当たりのイ
ンダクタンスが大きくなる。
コイルでもトランスを構成することができる。すなわち
図64に示すように磁性体層30を包囲する導体層40
A、40Bを絶縁体層20Bを介して多層化すれば良
い。この場合、所望の巻線比に応じて一次コイルと二次
コイルの導体層の積層数を決定すれば良い。
段は独立して用いても諸特性を向上することが可能であ
るが、各手段を適当に組み合わせることにより、更に、
特性の向上を図ることが可能であるし、取扱についても
操作性の向上が図れる。
明を実施するために、磁気素子を構成するのに必要な材
料(導体42、磁性体30、基板10及び絶縁体20)
について記載する。
抵抗の金属を主体に考える。例えば、Al及びAl合
金、Cu及びCu合金、Au及びAu合金、Ag及びA
g合金などが代表例として挙げられるが、これらに限定
されないことはいうまでもない。また、これらの金属を
用いた平面コイルは、許容電流密度が高いほど定格電流
を増やせるので、エレクトロマイグレーション、ストレ
スマイグレーション、サーマルマイグレーションなどに
よるコイル断線に対する耐性の高い材料を用いることが
好ましい。
の使用される周波数領域、求められる特性を考慮して適
宜選定することができ、高透磁率材料、恒透磁率材料、
高磁束密度材料、低損失材料などが挙げられる。例え
ば、パーマロイ、フェライト、センダスト、各種非晶質
磁性合金、或は、単結晶膜などを用いることができる。
電力用を考えると、磁束が容易に飽和しないように高磁
束密度材料を使用することが望まれる。また単一の磁性
体である必要はなく、例えばFeCo膜とSiO 2膜と
の積層体、人工格子膜,FeCo相とB4C相との混合
相、粒子分散層などでも良い。なお導体上に形成する場
合、磁性体が絶縁体である場合は必須ではないが、導電
性を有する場合は、導体との間に絶縁体を形成する必要
がある。
面コイルによる磁化方向と、磁性体の困難軸とを一致さ
せ、磁性体の異方性磁界をコイル電流が形成する磁界よ
り大きくすることが好ましい。具体的には、飽和磁化が
高く、適当な値の異方性磁界Hkを有する磁性体が好ま
しい。また、積層などによる応力の影響をできるだけ避
けるために、磁歪のなるべく小さな磁性体(例えば、λ
s<10-6)を選択することが好ましい。
えば図65を参照して説明する。図65は、コイル導体
の巻数と、最大許容電流及び最大許容電流を流したとき
に発生する磁性体面内磁界の大きさとの関係を調べたも
のである。なお、コイル導体としてAl−Cu合金を用
い、導体厚さ10μm、導体間間隔3μmとして、巻数
を変化させることによりコイルの外形寸法を変化させ、
これに対応して磁性体の外形寸法を変化させている。導
体−磁性体間に膜厚1μmの絶縁体層が形成されてい
る。コイル導体の許容電流密度は5×108(A/m2)
一定である。
たときに発生する磁界の大きさは約20〜30Oeであ
る。使用するコイル電流の最大値を、許容電流値の80
%とすれば、最大16〜24Oeの磁界が磁性体に加わ
ることになる。したがって、この場合には、一軸磁気異
方性が導入された磁性体の異方性磁界Hkとして16〜
24Oeの大きさが必要である。
素子の構造パラメータにも依存するので、ここで示した
値に限定されない。ただし、磁気飽和の影響を回避する
には5Oe以上の値であることが好ましい。
が、基板上に形成される磁性体叉は導体と絶縁されるよ
うに、少なくとも表面が絶縁体であれば良い。しかしな
がら、微細加工の容易性、1チップ化などを考慮する
と、Siなどの半導体基板を用いることが望ましい。こ
の場合、表面に酸化膜の形成などの手法により、絶縁体
化しておく必要がある。
Si3N4などの無機物や、ポリイミドなどの有機物が挙
げられるが、層間の容量結合を小さくするため、なるべ
く誘電率の低いものが好ましい。また、上下の磁性体層
間の磁気的結合によって、磁性体層に導入された一軸磁
気異方性が乱されないように、絶縁体層の膜厚を決定す
る。適当な絶縁体層の膜厚は使用される磁性体に応じて
異なるので、適宜選択する。
下記のような方法で作製し、その性能を確認した。
μmのSiO2膜を形成した。このSiO2膜上にRFス
パッタ法により膜厚1μmのセンダスト膜及び膜厚1μ
mのSiO2膜を順次形成した。
ッタ法によりコイル導体となる膜厚10μmのAl−C
u合金膜を形成した。このAl−Cu合金膜上にエッチ
ングマスクとなる膜厚1.5μmのSiO2膜を形成し
た。このSiO2膜上にポジ型フォトレジストを塗布し
た後、フォトエッチングによりライン幅37μm、ライ
ン間隔3μmのスパイラルコイル状にパターニングし
た。CF4ガスを用いた反応性イオンエッチングにより
露出したSiO2膜をエッチングしてスパイラルコイル
状のSiO2マスクを形成した。更に、Cl2、BCl3
ガスによる低圧マグネトロン反応性イオンエッチングに
より、露出したAl−Cu合金膜をエッチングしてAl
−Cu合金からなるスパイラル状のコイル導体を形成し
た。このとき、マスクのSiO2及び下地SiO2に対す
るAl−Cu合金のエッチング選択比は15であり、垂
直異方性エッチングを実現できた。このようにして、外
形寸法2mm、巻数20、コイル導体幅37μm、導体
間間隔3μm、導体厚さ10μmのスパイラルコイルを
形成した。溝アスペクト比は、導体間間隔3μm、コイ
ル導体厚さ10μmより、3.3である。
クを除去した後、バイアススパッタ法によりSiO2膜
を堆積し、コイル導体間の溝部をSiO2膜で埋め込ん
だ。エッチバック法によりSiO2膜上面を平坦化し
た。このSiO2膜上に、1μmのセンダスト膜を形成
し、更にSi3N4膜からなる保護膜を形成して平面イン
ダクタを作製した。
タにより測定した結果、周波数2MHzにおいて抵抗分
R=5.8Ω、インダクタンスL=3.78μH、Q=
8が得られた。
グで動作する降圧チョッパー型DC−DCコンバータの
出力側チョークコイルとして用いた。このDC−DCコ
ンバータは、入力電圧10V、出力電圧5V、出力電力
500mWのものである。その結果、正常に動作するこ
とが確認され、定格負荷時の効率は70%、平面インダ
クタによる損失は58mW、その他の半導体素子などが
156mWであった。
めに、同一のプロセスを用い、コイル導体幅21μm、
導体間間隔20μm、導体厚さ4μmに設定して平面イ
ンダクタを形成した。この場合の溝アスペクト比は0.
2である。
タにより測定した結果、周波数2MHzにおいて抵抗分
R=10.3Ω、インダクタンスL=3.7μH、Q=
4.5であった。
DCコンバータに組み込んだところ、平面インダクタに
よる損失が103mWとなり、コンバータの効率は65
%に低下した。
作製した。1次側コイルは、外形2mm、巻数20、導
体幅37μm、導体間間隔3μm、導体厚さ10μm、
溝アスペクト比3.3とした。2次側コイルは、外形2
mm、巻数40、導体幅17μm、導体間間隔3μm、
導体厚さ10μm、溝アスペクト比3.3とした。下部
及び上部の磁性体間のギャップは23μmである。
により測定した結果、1次側インダクタンスは3.8μ
H、2次側インダクタンスは14μH、相互インダクタ
ンスは6.8μHで、結合係数kは0.93と見積もら
れた。
500kHz正弦波電圧を加えたところ、2次側に実効
値1.7Vの正弦波電圧が発生した。この平面トランス
に200Ωの純抵抗負荷を接続したところ、無負荷時の
端子電圧に対する電圧変動率は約10%であった。
で動作するフォワード型DC−DCコンバータに用いて
評価した。このDC−DCコンバータは、入力電圧3
V、出力電圧5V、出力電力100mWのものである。
その結果、定格負荷時のトランスの損失は88mWであ
った。
するために、上記と同一のプロセスを用い、薄膜平面ト
ランスを作製した。1次側コイルは、外形2mm、巻数
20、導体幅21μm、導体間間隔20μm、導体厚さ
10μm、溝アスペクト比0.5とした。2次側コイル
は、外形2mm、巻数40、導体幅10μm、導体間間
隔10μm、導体厚さ10μm、溝アスペクト比1.0
とした。下部及び上部の磁性体間のギャップは23μm
である。
500kHz正弦波電圧を加えたところ、2次側に実効
値1.3Vの正弦波電圧が発生した。2次側電圧が低い
原因は、1次側コイル抵抗が高いために1次側電圧降下
が大きく、トランスゲインが低下したことによる。
Ωの純抵抗負荷を接続したところ、無負荷時の端子電圧
に対する電圧変動率は約18%であった。
Cコンバータに用いて評価したところ、定格負荷時のト
ランスの損失は152mWであり、発熱がかなり大きく
なり、50℃もの温度上昇が観察された。
おいて、基板10と導体42の間に絶縁体層を形成した
ときの実施例である。
形成した後、5μmのAl層をスパッタリング法により
形成した(比抵抗2.8×10-6Ωcm)。ついでフォ
トレジスト法でエッチングにより、幅5μm(導体アス
ペクト比1)、ピッチ10μm、ターン数200のスパ
イラル状コイル(内径1mm、外径5mm)を作成し
た。コイル抵抗は120Ω、インダクタンスは0.14
mHであった。
C−DCコンバータ(動作周波数300kHz)に組み
込んで試験したところ、インダクタとして動作している
ことが確認された。
ペクト比1/2)、ピッチ15μm、ターン数130の
同一外形(占有面積同一)のスパイラル状コイルを作成
したところ、インダクタンスは0.05mHであった。
o−Si−B系の非晶質合金(2μm厚)層を形成した
こと以外は実施例3と同様にしてコイルを形成した。
ルを用いてトランスを構成した例である。
とした。第2層のコイルは、導体厚5μm、幅5μm
(導体アスペクト比1)、ピッチ20μm、ターン数1
00のスパイラル状コイルとし、スパイラル中心がほぼ
同一となるようにした。
比と同一の昇圧比2で動作することが確認された。
実施例を示す。
形成した後、10μmのAl単結晶層をMBE法により
形成した(比抵抗2.6×10-6Ωcm)。ついでフォ
トレジスト法ではエッチングにより、幅5μm(導体ア
スペクト比2)、ピッチ10μm、ターン数200のス
パイラル状コイル(内径1mm、外径5mm)を作成し
た。コイル抵抗は50Ω、インダクタンスは0.14m
Hであった。
より、許容電流が増し、高電力化が可能となる。
実施例を示す。
(厚さ1μm)を形成した後に、蒸着法により5μmの
Al−Si−Cu合金層を形成した。ついでCVD法に
よりSiO2層(厚さ1μm)を形成した後、レジスト
パターンを形成し、マグネトロンRIE装置によりAl
合金層を切り、幅2μm(導体アスペクト比2.5)、
ピッチ3μm、ターン数500の正方形ミアンダー状コ
イル(内径1mm、外径4mm)を作成した。
素(N2O)とを原料としたプラズマCVD法により、
コイル上にSiO2層を形成した。この原料を用いたプ
ラズマCVD法は供給律速となる1例であり、本実施例
の導体間隔が1μmと狭く、かつ、導体アスペクト比が
2.5と大きいことから、コイルを構成する導体間は空
洞化することができた。なおインダクタンスは1.6m
Hであった。
合と、導体間にシリコンを充填した場合とでは、線間に
生じる容量が大きく異なるため、高周波特性が著しく異
なる。本実施例の場合は10MHzまでインダクタンス
の低下は生じなかったが、線間にシリコンを充填した場
合は800kHz程度で急激なインダクタンスの低下が
見られた。
体間を空洞にした実施例を示す。
さ1μm)を形成した後、スパッタリング法により1μ
mAl層を形成した。ついでSi基板を外気にさらすこ
とで表面を酸化した後、再度スパッタリング法によりA
l層を形成する工程を繰り返し、1μmのAl層間に約
30Åの酸化アルミニウム層が形成された5μmの導体
層を形成した。次に、表面にプラズマCVD法により酸
化シリコン層を形成した後、ドライエッチング法により
正方形ミアンダー状コイルを作成した。コイル諸元は、
外径5mm、繰り返し数1000、線幅2μm、導体線
間隔0.5μmである。ついでプラズマCVD法により
酸化シリコン層を形成し、導体線間隔を空洞のまま封じ
込めた。
ッパータイプのDC−DCコンバータ回路(昇圧比1.
5V/3V、出力電流0.2mA)を作り込み、ワンチ
ップ型のDC−DCコンバータを形成した。サイズは、
厚さが0.5mmで10mm×5mmであり、回路中の
スイッチング素子の駆動周波数は5MHzである。動作
試験の結果、十分に機能していることが確認された。な
お駆動周波数500kHzではインピーダンス不足で十
分な動作が実現できなかった。
コンバータを用いることにより、ポケットベル(登録商
標)などの従来カード化が困難であったものもカード化
することができる。図66に前記1チップDC−DCコ
ンバータを用いたカードタイプのポケットベルの概略図
を示す。アンテナ部210、動作回路部220、圧電ブ
ザーなどの発音部230、それと上記1チップ型のDC
−DCコンバータ240とがカード基体200上に配置
され、カバー部分(図示せず)で覆われ、全体としてカ
ード状のポケットベルが構成される。
製し、その性能を確認した。
の銅箔を接着した後、湿式化学エッチングによりスパイ
ラルコイル状にパターニングした平面コイルを7μm厚
のポリイミドフィルムを介して、5μm厚のCo系アモ
ルファス合金箔で挟み込み平面インダクタを形成した。
この時、スパイラルコイルの外形寸法a0は11mmで
あった。Co系アモルファス合金箔の透磁率は4500
と見積られ、磁性体間ギャップ114μmよりαの値は
約1mmとなり、磁性体外系寸法wを15mm(a0+
4αとなる)とした。このようにして形成した平面イン
ダクタに0.1Aの直流電流を流して、インダクタ近傍
の漏れ磁界を高感度ガウスメータで測定したところ、漏
れ磁界は検出限界以下であった。
るために、上記と同一の手法で形成した平面インダクタ
において、磁性体外形寸法wとして12mmを採用し
(a0+αとなる)、上記と同様に0.1Aの直流電流
を流してインダクタ近傍の漏れ磁界を測定したところ、
約30ガウスの漏れ磁界が検出された。
おいて、第4の手段を付加したときの実施例である(図
29参照)。
スパッタ法により1μm厚Co系アモルファス磁性薄膜
を形成した後、(2)RFスパッタ法により1μm厚絶
縁膜(SiO2)を成膜した。(3)その上に、DCマ
グネトロンスパッタ法によって、厚さ10μmのAl−
Cu合金膜を形成した後、マグネトロン方式反応性イオ
ンエッチングにより、スパイラルコイル状にパターンニ
ングして平面コイルを形成した。(4)更に、スパイラ
ル平面コイルの上からバイアススパッタ法によって絶縁
膜(SiO2)を埋め込み、平坦化した。(5)その上
に、RFマグネトロンスパッタ法により1μm厚Co系
アモルファス磁性薄膜を形成して平面インダクタを構成
した。
モルファス磁性薄膜の透磁率を概略求めたところ、約1
000であった。また、スパイラル平面コイルの外形寸
法a0は4.5mmであり、磁性体間ギャップ12μm
よりαは77μmと見積られ、磁性体外形寸法wとして
5mm(a0+6.5α)を採用した。実施例1と同様
に、平面インダクタの近傍で漏れ磁束を計測してみた
が、検出限界以下であった。
ンダクタを構成したが、磁性体寸法wのみ4.6mm
(a0+1.3α)に変更した。この平面インダクタ近
傍の漏れ磁界を実施例9と同様に高感度ガウスメータで
測定したところ、約50ガウスの漏れ磁束が検出され
た。
面インダクタを形成し、LCRメータによってインダク
タンスの値を測定してみたところ、磁性体外形15mm
を有する平面インダクタは12mmものに比べ、約1.
3倍のインダクタンス値90μHが得られた。この、イ
ンダクタンス増大効果は実施例10の手法で形成される
平面インダクタの場合においても、同様に認められた。
リッドタイプの降圧チョッパーICを構成した。ICに
は、パワーMOS−FETによるスイッチ素子、整流ダ
イオード、低電圧制御部などが含まれる。このコンバー
タは100kHzスイッチングで動作し、入力電圧10
V、出力電圧5V、出力電力2Wのもので、出力制御チ
ョークコイルとして80μH以上のインダクタンスが必
要であり、実施例9による平面インダクタはこの値を満
足する。実際にこのコンバータICを動作させたとこ
ろ、平面インダクタはチョークコイルとして正常に動作
し、FETのスイッチング波形のリンキングも少なく、
定格出力時(5V、0.4A)の出力リップル電圧はピ
ーク値で10mV程度で問題ないレベルであった。
た平面インダクタを実施例12のハイブリッド型DC−
DCコンバータICに組み込んだところ、FETのスイ
ッチング波形に大きなリンキングが見られ(平面インダ
クタの漏れ磁界の影響によるものと思われる)、また、
定格出力時(5V、0.4A)の出力リップル電圧のピ
ーク値は0.1Vとなった(インダクタンス値がチョー
クコイルとして必要な80μHを満足せず、リップル抑
制が不十分であることによる)。
製し、その性能を確認した。
さ100μmの銅箔を接着した後、ウェットエッチング
により導体幅100μm、導体間間隔100μm、巻数
20の角型スパイラル形状にパターニングして平面コイ
ルを形成した。この平面コイル上に厚さ10μmのポリ
イミドフィルムを重ねた。これらの両面を、一軸磁気異
方性を導入した厚さ15μmのCo系アモルファス磁性
薄帯(1層目)で挟んだ。このCo系アモルファス磁性
薄帯は、単ロール法を用いて溶湯急冷法により作製した
ものに、磁界中アニール法によって一軸磁気異方性を導
入したものである。この磁性薄帯については、異方性磁
界2Oe、困難軸透磁率5000、飽和磁束密度10k
Gである。これらの両面を厚さ5μmのポリイミドフィ
ルム、及び一軸磁気異方性を導入した厚さ15μmのC
o系アモルファス磁性薄帯(2層目)で挟んで、平面イ
ンダクタを作製した。なお、1層目と2層目のCo系ア
モルファス磁性薄帯は、一軸磁気異方性の方向が互いに
直交するように積層されている。この平面インダクタの
外形寸法10mmである。
タンスの直流重畳特性を測定した。その結果、インダク
タンス値は400mAまで12.5μHでフラットに維
持され、500mA以上で低下し始めた。
力電圧5Vの降圧チョッパー型DC−DCコンバータの
出力側チョークコイルとして用いた。このコンバータ
は、スイッチング周波数500kHzで、負荷電流40
0mAまで出力することができ、最大出力電力2W、効
率80%が得られた。
考例13a)をそのまま用いるか、又はCo系アモルフ
ァス磁性薄帯に無磁界アニールを施したもの(参考例1
3b)を用いた以外は、上記と全く同様な方法により平
面インダクタを作製した。前者の透磁率は2000、後
者の透磁率は10000であり、いずれも明確な磁気異
方性は認められなかった。
測定した。その結果、参考例13bの高透磁率磁性薄帯
を用いた平面インダクタでは、上記と比較してインダク
タンスが高かったが、インダクタンス一定の直流電流の
範囲は200mAまでであり、直流電流が250mA以
上でインダクタンスが急激に低下した。一方、参考例1
3aの低透磁率磁性薄帯を用いた平面インダクタでは、
上記と比較してインダクタンスが低く、しかも直流電流
が小さい範囲から徐々にインダクタンスが低下した。こ
れらの2つの平面インダクタは、上記と比較して周波数
特性も劣っていた。特に、100kHz以上の高周波側
で損失が急激に大きくなり、1MHzでのQ値は実施例
9の場合の1/2以下に低下した。
DC−DCコンバータの出力側チョークコイルとして用
いたが、上記と比較して直流重畳特性が劣っているた
め、最大負荷電流は200mA程度に制限された。この
ため、最大出力電力は上記に比べて半減し、効率も70
%程度であった。
1次側とし、この1次側スパイラル平面コイル上に絶縁
体層を介して巻数10の2次側スパイラル平面コイルを
形成した以外は、実施例13と同様な方法により平面ト
ランスを作製した。1次側インダクタンスの直流重畳特
性は、実施例13の平面インダクタとほぼ同等であっ
た。
電圧5Vのフォワード型DC−DCコンバータのトラン
スに適用し、実施例13の平面インダクタを出力側チョ
ークコイルに用いた。このコンバータは、スイッチング
周波数500kHzで、実施例13で適用したDC−D
Cコンバータと同等の定格出力を得ることができた。こ
の結果、絶縁型DC−DCコンバータの小形化が実現で
きた。
bの磁性体を用いた以外は、上記と全く同一構造の平面
トランスを作製した。1次側インダクタンスの直流重畳
特性は、参考例13a、bの平面インダクタとほぼ同等
であった。
ド型DC−DCコンバータのトランスに適用した。しか
し、トランスの磁気飽和のために、正常な電力変換がな
されず、コンバータとしての動作が確認できなかった。
の実施例を示す。
mのSiO2膜を形成した。次に、RFマグネトロンス
パッタ装置を用い、100Oeの磁界中で、SiO2膜
上に膜厚1μmのCoZrNbアモルファス磁性薄膜を
成膜し、約5Oeの異方性磁界を有する一軸磁気異方性
を導入した。この磁性薄膜上に、プラズマCVD法又は
RFスパッタ法により膜厚500nmのSiO2膜を堆
積した。同様にして、磁性薄膜の形成及びSiO2膜の
形成を繰り返して、合計4周期の磁性体層/絶縁体層の
多層膜を形成した。なお、最上部のSiO2膜の膜厚は
1μmとした。この際、隣り合う磁性体層どうしで、一
軸磁気異方性の方向が互いに直交するように、成膜時に
磁界の方向を変化させた。
高真空蒸着装置を用いて、SiO2膜上に膜厚10μm
のAl−0.5%Cu層を形成した。このAl−0.5
%Cu層上に、膜厚1.5μmのSiO2膜を堆積し
た。このSiO2膜上にポジティブタイプのフォトレジ
ストをスピンコートし、フォトリソグラフィーによりス
パイラルコイル状にパターニングした。レジストのコイ
ルパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性
イオンエッチングによりSiO2膜をエッチングし、更
にCl2ガス及びBCl3ガスを用いた反応性イオンエッ
チングによりAl−0.5%Cu層をエッチングして導
体幅100μm、導体間間隔5μm、巻数20のスパイ
ラル平面コイルを形成した。コイル導体間の溝部を埋め
込むために、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸
溶液を15μmの厚さにスピンコートし、350℃で熱
硬化してポリイミド化した。CF4ガス及びO2ガスを用
いた反応性イオンエッチングによりコイル導体の上面か
ら1μmの厚さになるまでポリイミド膜表面をエッチバ
ックした。
膜の形成及びSiO2膜の形成を繰り返して、合計4周
期の磁性体層/絶縁体層の多層膜を形成した。この際に
も、隣り合う磁性体層どうしで、一軸磁気異方性の方向
が互いに直交するように、成膜時に磁界の方向を変化さ
せた。
温及び降温過程を経るが、磁性体の耐熱性は良好であ
り、磁性膜形成直後と素子形成後で磁気特性はほとんど
変わらず、磁気特性に対する熱の影響は極めて軽微であ
った。
評価したところ、インダクタンスL=2μH、品質係数
Q=15(5MHz)であった。また、その直流重畳特
性を測定したところ、インダクタンスは直流重畳電流が
150mAまでフラットであり、200mA以上で低下
した。
V、出力電圧5Vの降圧チョッパー型DC−DCコンバ
ータの出力側チョークコイルとして用いた。このコンバ
ータはスイッチング周波数4MHzで負荷電流150m
Aまで出力することができ、最大出力電力0.75W、
効率70%が得られた。
絶縁体層として、前述したポリイミドを用いる代わり
に、CVD法又はバイアススパッタ法によるSiO2膜
を用いても、ほぼ同様な電気的特性が得られた。
薄膜を成膜した以外は、上記と同様な方法で薄膜型イン
ダクタを作製した。磁性膜の透磁率は10000であ
り、明確な磁気異方性が認められなかった。
較して、インダクタンス値は5倍程度の大きさであった
が、インダクタンス一定の直流電流の範囲は10mA程
度と極めて狭く、20mA以上の直流電流を重畳すると
インダクタンス値が急激に低下した。
−DCコンバータの出力側チョークコイルに適用した
が、上記と比較して直流重畳特性が劣っているため、最
大負荷電流は10mA程度に制限された。このため、最
大出力電力は上記に比べて1/10以下に低下した。
1次側とし、この1次側スパイラル平面コイル上に膜厚
2μmのポリイミド層を介して巻数10の2次側スパイ
ラル平面コイルを形成した以外は、実施例15と同様な
方法により平面トランスを作製した。1次側インダクタ
ンスの直流重畳特性は、実施例15の平面インダクタと
ほぼ同等であった。
電圧5Vのフライバック型DC−DCコンバータのトラ
ンスに適用し、実施例15の薄膜型インダクタを出力側
チョークコイルに用いた。このコンバータは、実施例1
5で適用したDC−DCコンバータと同等の定格出力を
得ることができた。磁気部品を全て薄膜化したことによ
り、絶縁型DC−DCコンバータの大幅な小形軽量化が
実現できた。
oZrNbアモルファス磁性薄膜を成膜した以外は、実
施例16と同様な方法で薄膜型トランスを作製した。1
次側インダクタンスの直流重畳特性は、実施例15の比
較例の薄膜型トランスとほぼ同等であった。
DCコンバータのトランスに適用したが、トランスの飽
和のためにスイッチング用パワーMOSFETに過大な
ピーク電流が流れ、素子が破壊した。
の実施例を示す。
さ100μmの銅箔を接着した後、ウェットエッチング
により導体幅100μm、導体間隔100μm、巻数2
0の角型スパイラル状にパターニングして平面コイルを
形成した。この平面コイル上に10μm厚のポリイミド
フィルムを積層した。
製された15μm厚のCo系アモルファス磁性合金薄帯
を底辺12mm、高さ6mmの二等辺三角形状に切断し
た薄帯を4個用意した。これら4個の三角形状アモルフ
ァス薄帯を三角形の底辺に平行な200Oeの磁界中で
熱処理して、底辺に平行に磁化容易軸を持つ一軸磁気異
方性を付与した。これらのアモルファス薄帯について
は、異方性磁界2Oe、困難軸保磁力0.01Oe、困
難軸透磁率5000、飽和磁束密度10kGであった。
平面コイルの両面を、ポリイミドフィルムを介して、磁
化容易軸がスパイラルコイルのコイル導体に平行になる
ように4個の三角形状アモルファス薄帯を頂点が一致す
るように配置して構成される角型の磁性体層で挟み込ん
で、平面インダクタを形成した。この平面インダクタの
外形寸法は12mmである。
流重畳特性を測定したところ、インダクタンス値は直流
電流200mAまで12.5μHでフラットに維持さ
れ、250mA以上で低下し始めた。
力電圧5Vの降圧チョッパー型DC−DCコンバータの
出力側チョークコイルに適用した。このコンバータは、
スイッチング周波数500kHzで、負荷電流200m
Aまで出力することができ、最大出力電力1W、効率8
0%が得られた。
考例17a)をそのまま用いるか、又はCo系アモルフ
ァス磁性薄帯に無磁界アニールを施したもの(参考例1
7b)を用いた以外は、上記と全く同様な方法により平
面インダクタを作製した。前者の透磁率は2000、後
者の透磁率は10000であり、いずれも明確な磁気異
方性は認められなかった。これらの平面インダクタの直
流重畳特性を測定した。その結果、参考例17bの高透
磁率磁性薄帯を用いた平面インダクタでは、上記と比較
してインダクタンスが高かったが、インダクタンス一定
の直流電流の範囲は100mAまでであり、直流電流が
120mA以上でインダクタンスが急激に低下した。一
方、参考例17aの低透磁率磁性薄帯を用いた平面イン
ダクタでは、上記と比較してインダクタンスが低く、し
かも直流電流が小さい範囲から徐々にインダクタンスが
低下した。これらの2つの平面インダクタは、上記と比
較して周波数特性も劣っていた。特に、100kHz以
上の高周波側で損失が急激に大きくなり、1MHzでの
Q値は実施例13の場合の1/2以下に低下した。
DC−DCコンバータの出力側チョークコイルとして用
いたが、上記と比較して直流重畳特性が劣っているた
め、最大負荷電流は100mA程度に制限された。この
ため、最大出力電力は上記に比べて半減し、効率も70
%程度であった。
1次側とし、この1次側スパイラル平面コイル上に絶縁
体層を介して巻数10の2次側スパイラル平面コイルを
形成した以外は、実施例17と同様な方法により平面ト
ランスを作製した。1次側インダクタンスの直流重畳特
性は、実施例5の平面インダクタとほぼ同等であった。
電圧5Vのフォワード型DC−DCコンバータのトラン
スに適用し、実施例5の平面インダクタを出力側チョー
クコイルに用いた。このコンバータは、スイッチング周
波数500kHzで、実施例17で適用したDC−DC
コンバータと同等の定格出力を得ることができた。この
結果、絶縁型DC−DCコンバータの小形化が実現でき
た。
bの磁性体を用いた以外は、実施例17と全く同一構造
の平面トランスを作製した。1次側インダクタンスの直
流重畳特性は、実施例17の平面インダクタとほぼ同等
であった。(実施例18’)この平面トランスを実施例
18と同一のフォワード型DC−DCコンバータのトラ
ンスに適用した。しかし、トランスの磁気飽和のため
に、正常な電力変換がなされず、コンバータとしての動
作が確認できなかった。
の実施例を示す。
mのSiO2膜を形成した。このSiO2膜上にネガティ
ブタイプのフォトレジストをスピンコートした後、フォ
トリソグラフィーによって、底辺5mm、高さ2.5m
mの2つの二等辺三角形の頂点が接したパターンのSi
O2膜が露出するようにレジストパターンを形成した。
RFマグネトロンスパッタ装置を用い、露出したSiO
2膜の底辺に平行な100Oeの磁界中で、膜厚1μm
のCoZrNbアモルファス磁性薄膜を成膜して、約5
Oeの異方性磁界を有する一軸磁気異方性を導入した。
レジストパターンを溶剤で除去し、レジスト上の磁性薄
膜をリフトオフした。
ォトリソグラフィーによって、成膜ずみの磁性薄膜パタ
ーンに直交する底辺5mm、高さ2.5mmの2つの二
等辺三角形の頂点が接したパターンのSiO2膜が露出
するようにレジストパターンを形成した。このとき成膜
ずみの磁性薄膜パターンはレジストパターンによって覆
われている。RFマグネトロンスパッタ装置を用い、露
出したSiO2膜の底辺に平行な100Oeの磁界中
で、膜厚1μmのCoZrNbアモルファス磁性薄膜を
成膜して、約5Oeの異方性磁界を有する一軸磁気異方
性を導入した。レジストパターンを溶剤で除去し、レジ
スト上の磁性薄膜をリフトオフした。
mm角の正方形パターンを有し、磁化容易軸はそれぞれ
の辺に平行になっている。
RFスパッタ法によって膜厚1μmのSiO2膜を堆積
し、DCマグネトロンスパッタ又は高真空蒸着装置を用
いて膜厚10μmのAl−0.5%Cu層を形成し、更
に膜厚1.5μmのSiO2膜を形成した。このSiO2
膜上に、ポジティブタイプのフォトレジストをスピンコ
ートし、フォトリソグラフィーにより角型スパイラルコ
イル状にパターニングした。このとき、角型スパイラル
コイルの各辺と下部の磁性薄膜の各辺とを一致させた。
角型スパイラルコイル状のレジストパターンをマスクと
してCF4ガスを用いた反応性イオンエッチングにより
SiO2膜をパターニングし、更にSiO2膜のパターン
をマスクとしてCl2及びBCl3ガスを用いた反応性イ
オンエッチングによりAl−0.5%Cu層をパターニ
ングして、導体幅100μm、導体間間隔5μm、巻数
20のスパイラル平面コイルを形成した。コイル導体間
の溝部を埋め込むために、ポリイミドの前駆体であるポ
リアミック酸溶液を15μmの厚さにスピンコートし、
350℃で熱硬化してポリイミド化した。CF 4ガス及
びO2ガスを用いた反応性イオンエッチングによりコイ
ル導体の上面から1μmの厚さになるまでポリイミド膜
表面をエッチバックした。
じ方法で、上部にも一軸磁気異方性を導入したCoZr
Nbアモルファス磁性薄膜を形成して薄膜型インダクタ
を製造した。これらの工程の間に、下部の磁性体層は昇
温及び降温過程を経るが、磁性体の耐熱性は良好であ
り、磁性膜形成直後と素子形成後で磁気特性はほとんど
変わらず、磁気特性に対する熱の影響は極めて軽微であ
った。
したところ、インダクタンスL=2μH、品質係数Q=
15(5MHz)であった。また、直流重畳特性を測定
したところ、インダクタンスは直流電流80mAまでフ
ラットで、100mA以上で低下した。
絶縁体として、前述したポリイミドを用いる代わりに、
CVD法又はバイアススパッタ法によるSiO2膜を用
いても、ほぼ同様な電気的特性が得られた。
V、出力電圧5Vの降圧チョッパー型DC−DCコンバ
ータの出力側チョークコイルとして用いた。このコンバ
ータはスイッチング周波数4MHzで、負荷電流80m
Aまで出力することができ、最大出力電力0.4W、効
率70%が得られた。
薄膜を成膜した以外は、実施例15と同様な方法で薄膜
型インダクタを作製した。磁性膜の透磁率は10000
であり、明確な磁気異方性が認められなかった。
較して、インダクタンス値は5倍程度の大きさであった
が、インダクタンス一定の直流電流の範囲は8mA程度
と極めて狭く、10mA以上の直流電流を重畳するとイ
ンダクタンス値が急激に低下した。
−DCコンバータの出力側チョークコイルに適用した
が、上記と比較して直流重畳特性が劣っているため、最
大負荷電流は8mA程度に制限された。このため、最大
出力電力は上記に比べて1/10以下に低下した。
1次側とし、この1次側スパイラル平面コイル上に膜厚
2μmのポリイミド層を介して巻数10の2次側スパイ
ラル平面コイルを形成した以外は、実施例19と同様な
方法により薄膜型平面トランスを作製した。1次側イン
ダクタンスの直流重畳特性は、実施例19の平面インダ
クタとほぼ同等であった。
電圧5Vのフライバック型DC−DCコンバータのトラ
ンスに適用し、実施例19の薄膜型インダクタを出力側
チョークコイルに用いた。このコンバータは、実施例1
9で適用したDC−DCコンバータと同等の定格出力を
得ることができた。磁気部品を全て薄膜化したことによ
り、絶縁型DC−DCコンバータの大幅な小形軽量化が
実現できた。
oZrNbアモルファス磁性薄膜を成膜した以外は、上
記と同様な方法で薄膜型トランスを作製した。1次側イ
ンダクタンスの直流重畳特性は、実施例19の薄膜型ト
ランスとほぼ同等であった。
DCコンバータのトランスに適用したが、トランスの飽
和のためにスイッチング用パワーMOSFETに過大な
ピーク電流が流れ、素子が破壊した。
の実施例を示す。
SiO2膜を形成した。SiO2膜上にポジティブタイプ
のフォトレジストをスピンコートして、フォトリソグラ
フィーにより同心コイル状にパターニングした。このレ
ジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反
応性イオンエッチングにより、凸部幅δ=2μm、凹部
幅L=4μm、凹凸の段差W=0.5μmのSiO2膜
パターンを形成した。レジストを除去した後、RFマグ
ネトロンスパッタリング装置により、膜厚2μmのCo
ZrNbアモルファス磁性薄膜を形成した。なお、成膜
時には磁場を印加せず、基板を回転させることにより形
状異方性以外の異方性が導入されるのを防止した。な
お、同一のスパッタリング条件で、平滑な熱酸化SiO
2上にCoZrNbアモルファス磁性薄膜を成膜したと
ころ、回転中心付近では磁気異方性がほとんど認められ
ない。この素子を作製する際にも、回転中心付近に磁性
薄膜を成膜している。この磁性薄膜が片面に凹凸を有す
る下面の磁性体層として用いられる。
プラズマCVD法又はRFスパッタ法により膜厚500
nmのSiO2膜を堆積し、DCマグネトロンスパッタ
装置又は高真空蒸着装置を用いて膜厚10μmのAl−
0.5%Cu層を形成し、更に膜厚1.5μmのSiO
2膜を形成した。SiO2膜上にポジティブタイプのフォ
トレジストをスピンコートして、フォトリソグラフィー
によりスパイラルコイル状にパターニングした。このレ
ジストパターンをマスクとしてCF4ガスを用いた反応
性イオンエッチングによりSiO2膜をエッチングし、
更にSiO2膜パターンをマスクとしてCl2ガス及びB
Cl3ガスを用いた反応性イオンエッチングによりAl
−0.5%Cu層をエッチングして、導体幅100μ
m、導体間間隔5μm、巻数20のスパイラル平面コイ
ルを形成した。コイル導体間の溝部を埋め込むために、
ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を15μ
mの厚さにスピンコートし、350℃で熱硬化してポリ
イミド化した。CF4ガス及びO2ガスを用いた反応性イ
オンエッチングによりコイル導体の上面から1μmの厚
さになるまでポリイミド膜表面をエッチバックした。
ッタリング装置により、膜厚2.5μmのCoZrNb
アモルファス磁性薄膜を形成した。このCoZrNbア
モルファス磁性薄膜上に、ポジティブタイプのフォトレ
ジストをスピンコートして、フォトリソグラフィーによ
り同心コイル状にパターニングした。このレジストパタ
ーンをマスクとして、Cl2ガス及びBCl3ガスを用い
た反応性イオンエッチングによりCoZrNbアモルフ
ァス磁性薄膜をパターニングし、凸部幅δ=2μm、凹
部幅L=4μm、凹凸の段差W=0.5μmのパターン
を形成した。この磁性薄膜が上部の磁性体層として用い
られる。
温及び降温過程を経るが、磁性体の耐熱性は良好であ
り、磁性膜形成直後と素子形成後で磁気特性はほとんど
変わらず、磁気特性に対する熱の影響は極めて軽微であ
った。
のCoZrNbアモルファス磁性薄膜の表面又は界面に
設けられた帯状の凹凸は、前述した[数5]の不等式を
満たしている。
したところ、インダクタンスL=0.8μH、品質係数
Q=7(5MHz)であった。また、直流重畳特性を測
定したところ、インダクタンスは直流電流300mAま
でフラットで、350mA以上で低下した。
び上部磁性体層のパターニングは、フォトリソグラフィ
ーに限らず、微細な切削による機械的加工で行ってもよ
い。本実施例では磁性体層の片面にのみ凹凸を形成して
いるが、両面に凹凸を形成してもよい。
ように絶縁性の磁性体を用いた場合には、平面コイルに
直接磁性体層を積層することができるので、溝部を有す
るコイル導体自体を磁性体層に凹凸を与えるための下地
として利用することもできる。
絶縁体として、前述したポリイミドを用いる代わりに、
CVD法又はバイアススパッタ法によるSiO2膜を用
いても、ほぼ同様な電気的特性が得られた。
のCoZrNb層のパターニングを行わず、上下の磁性
体層を平滑なまま用いた以外は実施例21と同様な方法
により薄膜型インダクタを作製した(実施例21a)。
部幅L=20μm、凹凸の段差W=1μmにパターニン
グし、上部のCoZrNb層を凸部幅L=20μm、凹
部幅δ=2μm、凹凸の段差W=1μmにパターニング
した以外は実施例21と同様な方法により薄膜型インダ
クタを作製した(実施例21b)。この場合、磁性体層
の帯状の凹凸は前述した[数5]の不等式を満足しな
い。
ンダクタの特性を評価したところ、インダクタンス値は
実施例21の薄膜型インダクタと比較して8倍程度の大
きさであったが、20mA以上の直流電流を重畳すると
インダクタンス値は急激に低下した。
例を示す。
さ100μmの銅箔を接着した後、ウェットエッチング
によって導体幅100μm、導体間隔100μmの長方
形スパイラル状にパターンニングして平面コイルを形成
した。更に、困難軸透磁率5000、飽和磁束密度10
kGを有する15μmの一軸異方性Co系アモルファス
磁性箔を二層を用い、10μmポリイミドフィルムを介
して上下より平面コイルを挟み込んで平面インダクタを
形成した。ここで用いているCo系アモルファス磁性箔
は、単ロールを用いた溶湯急冷法で作製したものであ
り、磁界中アニール法によって一軸磁気異方性を付与し
てあり、異方性磁界は20eであった。本平面インダク
タの一軸異方性アモルファス合金箔の一層目と二層目は
5μm厚ポリイミドフィルムを層間絶縁に用いて積層し
てある。また、このインダクタの外形寸法は5×20m
m、平面コイルのスパイラル巻数は20である。
クタンス値(12.5μH)は直流電流400mAまで
フラットで、500mA以上で低下し始めた。
た。1次側スパイラルコイルの巻数は20、2次側スパ
イラルコイルの巻数は10である。本平面トランスは、
実施例22の平面インダクタと2次スパイラルコイル以
外は全く同一の構造を有する。1次側インダクタンスの
直流重畳特性は、実施例22の平面インダクタとほぼ同
等であった。
た実施例を示す。
SiO2膜の膜厚は1μm)RFマグネトロンスパッタ
装置によって1μm膜厚のCoZrNbアモルファス磁
性薄膜を1000eの磁界中で成膜して約50eの異方
性磁界を有する一軸磁気異方性を付与した。その上に、
プラズマCVDあるいはRFスパッタ法によって厚さ5
000ÅのSiO2膜を堆積した、これらの方法を用い
て、CoZrNb磁性膜の容易軸が各層毎に一致するよ
うに、5000ÅのSiO2膜を層間絶縁に用いて、合
計4周期の磁性体層/絶縁体層の多層膜を形成した後、
DCマグネトロンスパッタあるいは高真空蒸着装置を用
いてAl−0.5%Cu層を10μmの厚さで形成し
た。このAl−0.5%Cu膜上に1.5μm厚のSi
O2を形成し、更にポジティブタイプのフォトレジスタ
をスピンコートし、フォトリソグラフィーによって長方
形スパイラルコイルの長軸に磁性体の容易軸と一致する
ようにパターンニングした。レジストのコイルパターン
をマスクにしてCF4ガスを用いた反応性イオンエッチ
ングによってSiO2をパターンニングし、更にSiO2
のコイルパターンをマスクにしてCl2、BCl2ガスを
用いた反応性イオンエッチングによってAl−0.5%
Cuをコイルパターンニングした。コイルパターンは、
幅100μm、導体間隔5μm、2つの長方形スパイラ
ルコイルを短軸方向に並べて直列接続し、スパイラル巻
数20である。Al−0.5%Cuエッチングの後の1
0μm段差を平坦にするために、ポリイミドの前駆体で
あるポリアミック酸溶液を15μm厚さにスピンコート
し、350℃の温度で熱硬化してポリイミデ化した。更
に、CF4ガスとO2ガスによる反応性イオンエッチング
によってAl−0.5%Cu導体上面から1μmの厚さ
になるまでポリイミド膜表面をエッチバックした。最後
に、上部磁性体の磁化容易軸が下部磁性体のそれと一致
するように、4層多層磁性膜を形成した。なお、下部磁
性体は、デバイス作製中に種々の昇温、降温プロセスを
経るが、磁気特性に対するこのような熱の影響はきわめ
て軽微であり、磁性体の耐熱性は良好で、磁性膜形成後
とデバイス形成後の磁気特性は殆ど同一であった。この
ようにして形成した薄膜型のインダクタの電気的特性を
評価したところ、インダクタンスL=2μH、品質係数
Q=15(5MHz)であった。また、直流重畳特性を
測定したところ、インダクタンスは直流電流150mA
までフラットで200mA以上で低下した。
イミドを用いた場合と有機シランを用いたCVD法やバ
イアススパッタ法によるSiO2膜を用いた場合で、ほ
ぼ同様の電気的特性が得られた。
た。1次側スパイラルコイルの巻数は20、2次側スパ
イラルコイルの巻数は10である。1次と2次のスパイ
ラルコイルは2μmポリイミド層で絶縁した。本薄膜型
トランスは、実施例24の薄膜型インダクタと2次スパ
イラルコイル以外は全く同一の構造を有する。1次側イ
ンダクタンスの直流重畳特性は、実施例24の薄膜型イ
ンダクタとほぼ同等であった。
V、出力電圧5Vの降圧チョッパー型DC−DCコンバ
ータの出力側チョークコイルに適用した。このコンバー
タは、スイッチング周波数500kHzで、負荷電流4
00mAまで出力することができ、最大出力電流2W、
効率80%が得られた。
出力電圧5Vのフォワード型DC−DCコンバータのト
ランスに適用し、出力側チョークコイルには実施例22
で作製した平面インダクタを用いた。スイッチング周波
数500kHz、定格出力は実施例26のDC−DCコ
ンバータと同等であり、絶縁型DC−DCコンバータの
小型化が実現できた。
V、出力電圧5Vの降圧チョッパー型のDC−DCコン
バータの出力チョークコイルに適用した。このコンバー
タは、スイッチング周波数4MHzであり、負荷電流1
50mAまで出力することができ、最大出力電流0.7
5W、効率70%が得られた。
V、出力電圧5Vのフライバック型DC−DCコンバー
タのトランスに適用し、出力チョークコイルには実施例
24の薄膜型インダクタを使用した。定格出力は実施例
28のDC−DCコンバータとほぼ同等であるが、磁気
部品をすべて薄膜化したことにより、絶縁型DC−DC
コンバータの大幅な小型軽量化が図られた。
0μm厚の銅箔を接着した後、塩化第二鉄を用いた湿式
化学エッチングにより、図49に示すような形状で、1
0個の1ターン平面コイルを形成し、20個の外部端子
用パッド部を設けた。コイル導体の幅は300μm、コ
イル導体間間隔は100μmとした。最も外側の1ター
ン平面コイルの外形寸法は9mm、最も内側の1ターン
平面コイルの外形寸法は1.8mmである。この平面コ
イルの上に、10μm厚のポリイミドフィルムを接着し
た。これを一辺10mm、厚さ10μmの零磁歪Co系
アモルファス合金箔で挟み込んで、平面磁気素子を作製
した。
52の接続方法で平面コイルの外部接続端子を接続する
ことにより、スパイラルコイル型に類似した平面インダ
クタを構成した。この平面インダクタをLCRメータで
測定したところ、500kHzでのインダクタンスの値
は約20μH、Q値は約10であった。
チングで動作するハイブリッドIC型のDC−DCコン
バータの出力チョークに応用したところ、正常に動作す
ることが確認された。これによって、薄型の直流電源を
開発できた。
線形電力増幅器のパワーMOSFETの直流バイアス供
給ライン高周波阻止フィルタに適用した。この素子の採
用により、電源ラインのフィルタを著しく小形化でき
た。
51の接続方法で平面コイルの外部接続端子を接続する
ことにより、擬つづら折れコイル型平面インダクタを構
成した。この平面インダクタをLCRメータで測定した
ところ、インダクタンスの値は約300nHであった。
この平面インダクタは、数10MHz程度まで周波数特
性が良好であった。
力増幅器の出力側ローパスフィルタに用いたところ、従
来の空心コイルを用いたフィルタに比べて著しい小形化
が実現できた。
55の接続方法で平面コイルの外部接続端子を接続する
ことにより、トランスを形成した。1次平面コイルの総
ターン数は7、2次平面コイルの総ターン数は2であっ
た。このトランスの変圧比を測定したところ、約0.2
5であった。
電力増幅器の整合用トランスとして用いた。この電力増
幅器の出力インピーダンスは200Ωである。50Ω負
荷に整合させるため、種々の端子接続を試行した結果、
ほぼ満足できる結果を得ることができた。このような整
合調整は、従来の平面トランスでは不可能であった。
40Co60合金膜を形成し、その上にRFスパッタ法によ
り1μm厚のSiO2膜を形成した。更に、DCマグネ
トロンスパッタ法により、10μm厚のAl−Cu合金
を形成した。このAl−Cu合金をSiO2パターンを
マスクとしてマグネトロン式反応性イオンエッチングに
よりエッチングし、10個の1ターン平面コイルをパタ
ーニングした。なお、外部接続端子は、図49及び図5
0に示す2種の配置のものをそれぞれ1個ずつ形成し
た。コイル導体の幅は200μm、コイル導体間間隔は
5μmとした。最も外側の1ターン平面コイルの外形寸
法は4.5mm、最も内側の1ターン平面コイルの外形
寸法は0.81mmである。このAl−Cuパターンの
上から、プラズマCVD法によりSiO2を埋め込んだ
後、レジストエッチバック法によりSiO2上面を平坦
化した。最後に、下層の磁性膜と同じ3μm厚のFe40
Co60合金膜を形成し、平面磁気素子を作製した。
9に示す片側外部端子型の磁気素子を用い、外部接続端
子をボンディングワイヤを介してリードフレームに接続
した後、樹脂封止することにより図67に示すシングル
インラインパッケージタイプ(SIP)の20ピン素子
を作製した。
外部から電子回路的にインダクタンスを多段調整できる
ようにした。これにより、素子の調整機能を一段と容易
にすることができた。
0に示す両側外部端子型磁気素子を用い、前記と同様に
して図68に示すデュアルインラインパッケージタイプ
(DIP)の40ピン素子を作製した。
外部から電子回路的に変圧比を多段調整できるようにし
た。これにより、素子の調整機能を一段と容易にするこ
とができた。
ピンインダクタ素子を作製する際、樹脂で封止する代わ
りに、Mn−Znフェライトパッケージでパッケージン
グした。この素子は(a)の素子に比べて、インダクタ
ンス値が倍増した。
パー型DC−DCコンバータ、降圧チョッパー型DC−
DCコンバータ、超薄型携帯電話のrf回路、共振型D
C−DCコンバータなどがある。その回路図の例とし
て、図69に昇圧チョッパー型DC−DCコンバータ、
図70に降圧チョッパー型DC−DCコンバータ、図7
1に超薄型携帯電話のrf回路、図72に共振型DC−
DCコンバータを示す。
製造した。基板としてはSi基板を用い、導体はAl、
絶縁体は酸化シリコンである。
62Bの記号に従い、下記の通りである。 d1=1×10-3(m)、d2=5×10-3(m) δ1=1×10-6(m)、δ2=1×10-6(m) μs=104、ρ=2.65×10-8(Ωm) d3=14×10-6(m) この様に作成したインダクタの各種特性は、 L=32(nH) RDC=14(mΩ) Imax=630(mA) Q1MHz=15、Q10MHz=150 であった。なおQは品質係数を表わし、直流抵抗成分に
対し有効に働くL成分比を示すものであり、大きい方が
優れたインダクタといえる。
れた。
(m)、d3=14×10-6(m))の平面状スパイラ
ルコイル(ターン数125)を作成し、特性を比較し
た。断面形状を図73に示す。導体45の上面及び下面
に磁性体30が配置されている。
は、 L=900(μH) RDC=600(Ω) Imax=6.4(mA) Q1MHz=9、Q10MHz=90 であった。
コイルは電流容量が大きく、大電流を要する電力用とし
て有効なことが分かる。またインダクタンス自体は小さ
いが、インピーダンス的には高周波化することで十分カ
バーできる。
より、本発明により下記の効果を有する。
は、コイル抵抗を低減することにより、インダクタでは
Qを、トランスではゲインおよび電圧変動率を改善する
ことができ、これらの素子の性能向上に著しく貢献す
る。
えた場合、許容電流とインダクタンスの大きさによりそ
の性能は決定される。許容電流はコイルを構成する導体
の断面積で決まるが、幅を広げることはその分占有面積
が増大し、小型化への要求に反する。またインダクタン
スは、ターン数を増やせば大きくなるが、その分占有面
積が増大し、これも小型化への要求に反する。よって、
本手段により、許容電流を大きく取ることが可能であ
る。
クタを設計する際には、インダクタンスをなるべく大き
な値としたい。この手段のように、磁性体の外形寸法w
をスパイラルコイルの外形寸法a0よりも2α(αは前
述の通り)以上大きくすれば、インダクタンスを有効に
高めることができる。例えば、w=a0+2αとするこ
とにより、w=a0の場合の1.8倍以上の値が得られ
る。
型の平面インダクタを構成すれば、インダクタ外部への
漏れ磁束を低減でき、また、インダクタンスの増大効果
も期待できるので、平面インダクタの性能改善に大きく
貢献する。
ダクタンスが高いだけでなく、漏れ磁束を少なくできる
ため、集積回路用素子として適しており、電子機器の小
型・薄型化に大いに貢献する。
は、磁性体の一軸磁気異方性を有効に活用することによ
り、直流重畳特性及び高周波特性に優れ、特にDC−D
Cコンバータなどの高周波回路の用途に適しており、か
つ、小形化・集積化が可能である。
回路との電気的接続が極めて容易であり、外部から電気
的特性のトリミングが可能であるので、素子の応用上極
めて有用な磁気部品となる。この磁気素子の応用として
は、例えば、先の実施例に示したが、昇圧チョッパー型
DC−DCコンバータ、降圧チョッパー型DC−DCコ
ンバータ、超薄型携帯電話のrf回路、共振型DC−D
Cコンバータなどがある。
漏れ磁界が無く、かつ電流容量のとれる構造を提供する
ことでこれも小型化に貢献するところ大である。
気素子の小型化を図ることが可能であり、平面インダク
タなどに要求される諸特性も改善される。
基板上に、磁気素子として平面状のマイクロコイルから
なる平面インダクタ及びトランスを形成することで、例
えばトランジスタなどの能動素子、抵抗、コンデンサな
どの受動素子との1チップ化が可能であり、平面インダ
クタ及びトランスを含む電気素子を小型化できる。ま
た、半導体の微細加工技術を用いることにより、平面イ
ンダクタ及びトランスそのものも小さくすることができ
る。
小型化等の障害となっていたインダクタンス部を小型
化、薄型化できるため、装置全体の小型化に寄与するこ
とができる。
コイルを用いた従来の平面インダクタの概略図。
コイルに流れる電流波形の一例。
抗及びインダクタンスとの関係を示すグラフ。
との関係を示すグラフ。
の関係を示すグラフ。
せた、高導体アスペクト比及び高溝アスペクト比の磁気
素子の分解斜視図、図12Bは図12Aの断面図。
程を示す工程図。
程図。
様子を示したインダクタの断面図。
の磁界分布の様子を示すグラフ。
束との関係を示すグラフ。
係を示すグラフ、を示す。
インダクタの分解斜視図。
における、コイルにより発生する磁界の方向と一軸磁気
異方性の方向との関係を示す説明図。
における磁化曲線を示す図。
軸の方向とが平行である磁性体領域における磁束分布を
示す図、Bは図30において磁界の方向と磁化容易軸の
方向とが直交する磁性体領域における磁束分布を示す
図。
図。
示す図。
図。
視図。
示す図。
解斜視図。
層の表面構造を示す斜視図。
Ukの第2項との関係を示す図。
示す図。
方向における磁化曲線を示す図、Bは一軸磁気異方性を
有する磁性体の磁化容易軸及び磁化困難軸の透磁率−周
波数特性の一例。
平面インダクタの概略図。
平面インダクタの概略図。
用磁性体を形成した平面インダクタの概略図。
ることにより作製された平面インダクタの平面図。
ることにより作製された他の平面インダクタの平面図。
ることにより作製された更に他の平面インダクタの平面
図。
法とインダクタンス値との関係を示すグラフ。
ることにより作製された平面トランスの平面図。
ることにより作製された他の平面トランスの平面図。
ることにより作製された更に他の平面トランスの平面
図。
法と変圧比及び変流比との関係を示すグラフ。
一平面上に形成された素子の断面図。
次形成された素子の断面図。
次形成された素子の断面図。
1ターン構造のコイルの構造図。
Bは図63Aのコイルを積層化した図。
体層を追加したときの断面図。
考図であり、スパイラル平面コイルの巻数とコイル導体
の最大許容電流及びコイル導体に最大許容電流を流した
ときに発生する磁界との関係を示す図。
トベルの概略図。
ルインラインパッケージタイプ(SIP)の20ピン素
子の平面図。
ルインラインパッケージタイプ(DIP)の40ピン素
子の斜視図。
回路図。
回路図。
Claims (12)
- 【請求項1】 基板と、 前記基板上に配置され、一軸磁気異方性が導入された第
1磁性体層と、 前記第1磁性体層上に配置された第1絶縁体層と、 前記第1絶縁体層上に配置された複数巻き数の導体で構
成され、隣接する導体間の溝部が1以上の溝アスペクト
比(導体の厚さ/導体間の間隔)を有し、長辺と短辺を
有する長方形の平面コイルと、 前記平面コイル上に配置された第2絶縁体層と、 前記第2絶縁体層上に配置され、一軸磁気異方性が導入
された第2磁性体層とを備え、 前記第1及び第2磁性体層の磁化容易軸が、前記平面コ
イルの前記長辺と平行に配置されていることを特徴とす
る平面型磁気素子。 - 【請求項2】 基板と、 前記基板上に配置され、一軸磁気異方性が導入された第
1磁性体層と、 前記第1磁性体層上に配置された第1絶縁体層と、 前記第1絶縁体層上に配置された複数巻き数の導体で構
成され、長辺と短辺を有する長方形の平面コイルと、 前記平面コイル上に配置された第2絶縁体層と、 前記第2絶縁体層上に配置され、一軸磁気異方性が導入
された第2磁性体層とを備え、 前記第1及び第2磁性体層の磁化容易軸が、前記平面コ
イルの前記長辺と平行に配置されていることを特徴とす
る平面型磁気素子。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の平面型磁
気素子において、前記第1及び第2磁性体層のそれぞれ
は、それらの底辺が四辺形の辺を構成するように配置さ
れ、それぞれ底辺と平行な磁気異方性を有する4つの部
分からなる磁性体を備えたことを特徴とする平面型磁気
素子。 - 【請求項4】 請求項1又は請求項2に記載の平面型磁
気素子において、前記第1及び第2磁性体層は、前記導
体のうち前記第1及び第2磁性体層の磁化容易軸と平行
な部分を覆うように構成されたことを特徴とする平面型
磁気素子。 - 【請求項5】 請求項1又は請求項2に記載の平面型磁
気素子において、前記平面コイルの長辺方向の端部は前
記第1及び第2磁性体層からはみ出ていることを特徴と
する平面型磁気素子。 - 【請求項6】 請求項1又は請求項2に記載の平面型磁
気素子において、前記平面コイルからの漏洩磁束遮蔽手
段を更に備えたことを特徴とする平面型磁気素子。 - 【請求項7】 請求項1又は請求項2に記載の平面型磁
気素子において、前記平面コイルは、2つの長方形の平
面コイルの短辺側が隣接するように配置されて構成され
てることを特徴とする平面型磁気素子。 - 【請求項8】 請求項1又は請求項2に記載の平面型磁
気素子において、前記平面コイルは、2つの長方形の平
面コイルの長辺側が隣接するように配置されて構成され
てることを特徴とする平面型磁気素子。 - 【請求項9】 請求項1又は請求項2に記載の平面型磁
気素子において、前記平面コイルは、コイルにより発生
する磁束が反対方向になるように配置された2つの長方
形の平面コイルを備えたことを特徴とする平面型磁気素
子。 - 【請求項10】 請求項1又は請求項2に記載の平面型
磁気素子において、前記平面コイルは、コイルにより発
生する磁束が同一方向になるように配置された2つの長
方形の平面コイルを備えたことを特徴とする平面型磁気
素子。 - 【請求項11】 基板と、 前記基板上に配置され、一軸磁気異方性が導入された磁
性体層と、 前記磁性体層上に配置された絶縁体層と、 前記絶縁体層上に配置された複数巻き数の導体で構成さ
れ、四辺形の平面コイルとを備え、 前記磁性体層は、ぞれぞれの頂点が接触して、それらの
底辺が四辺形の辺を構成するように配置され、それぞれ
底辺と平行な磁気異方性を有する4つの三角形からなる
磁性体を備えたことを特徴とする平面型磁気素子。 - 【請求項12】 請求項1から請求項11のいずれか1
項に記載の平面型磁気素子において、前記基板上に形成
された能動素子及び受動素子の少なくとも一方を更に備
えたことを特徴とする平面型磁気素子。
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