JP2001109028A - 分極反転構造の作製方法 - Google Patents
分極反転構造の作製方法Info
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Abstract
構造を分極反転周期方向と垂直方向にも均一に作製する
方法を提供すること。 【解決手段】 電圧印加法により分極反転構造を作製す
るにあたり、電極形状を、そのエッジ部による電界集中
を利用して可及的に均一に電界を印加できる形状とす
る。具体的には、電極Eのグレーティング幅をW、結晶
基板の厚さをtとするとき、グレーティング幅Wを基板
厚さtの2倍以下とすれば、優位なエッジ効果を得るこ
とができる。
Description
理、光応用計測制御分野に応用される波長変換素子の作
製方法に関するものである。
状態を周期的に分極反転させた構造とすることによっ
て、波長変換素子として利用することができる。即ち、
この周期的に分極反転した結晶(周期的分極反転結晶)
をポンプ(入力、入射)光源と組み合わせることで、擬
似位相整合(Quasi−Phase−Matching:QPM)方式によ
り、波長変換素子として用いることできる。同一非線形
光学結晶においても、分極反転構造の周期を変えること
により、2倍波発生(Second Harmonic Generation:SH
G)、光パラメトリック発振(Optical Parametric Osci
llator:OPO)、差周波発生(Difference Frequency Ge
neration:DFG)、和周波発生(Sum Frequency:Generat
ion:SFG)の波長素子として用いることができ、青色の
可視領域から赤外領域まで幅広い波長領域まで実現可能
なため、光通信、光情報処理、ガス検知などの光応用計
測分野、に応用できるため盛んに研究が行なわれてい
る。
た波長変換素子の製造方法としては、電子ビーム照射
法、プロトン交換法、電圧印加法等が報告されている
が、現在、分極反転構造が結晶内部まで作製しやすい等
の利点があることなどから、電圧印加法が最もよく用い
られている。
結晶の波長変換素子としての変換効率は、実効的な非線
形光学定数:deff(今回、波長変換素子としてよく用い
られるd33について説明する)で与えられ、以下の関係が
ある。deff=(2d33/mπ)sin(mπD)ここで、d33はバルク
結晶としての非線形光学定数、mは次数、Dは分極反転
比率(分極反転ドメイン幅/分極反転周期)をそれぞれ
表す。周期的な分極反転構造を有した非線形光学結晶に
おける理想的な最大変換効率(m=1の場合)は、Dに
依存し、最も理想的な値はD=1/2、すなわち、分極
反転ドメイン幅が分極反転周期のちょうど半分の時、波
長変換素子として、最も変換効率が良い。よって、周期
的な分極反転構造を作製する場合、最も重要なことは、
分極反転ドメインを分極反転比率50%で均一に作製す
ることである。
向、即ち光が通過する方向における分極反転ドメインの
分極反転比率を改良するような報告は存在する。しかし
ながら、分極反転ドメインの分極反転周期方向と垂直方
向への均一性の影響については、特段注目されていなか
った。
を有した非線形光学結晶を用いた場合、丸いビームのみ
を入射する時、分極反転領域は、最低限、基板厚さ(Z
軸方向)×基板厚さと同じ長さ(グレーティング幅:分
極反転周期方向と垂直方向の長さ)であればよい。しか
し、このような分極反転領域のみでは、結晶がポンプ光
源によりレーザー破壊された時に使用不可能となるた
め、分極反転領域の分極反転周期方向と垂直方向の長さ
(グレーティング幅)は基板厚さの10〜20倍程度で
あることが多い。
ついて注目し、分極反転構造の均一性について報告され
たことはなかったが、波長変換素子として利用する場
合、分極反転ドメインの分極反転周期方向と垂直方向へ
の均一性も重要であることを本発明者らは認識した。即
ち、グレーティング幅を結晶基板厚さの10〜20倍程
度とすべく、そのような電極領域を結晶基板に設けて電
圧を印加した場合に、得られた分極反転結晶を観察する
と分極反転ドメイン幅にバラツキが発生してしまうこと
が判明した。つまり部分的に細ったドメイン等が生成さ
れてしまい、波長変換素子として用いた場合に変換効率
が低下するという問題があった。
形光学結晶において、周期的な分極反転構造を分極反転
周期方向と垂直方向にも均一に作製する方法を提供する
ことを目的とする。
作製方法は、非線形光学結晶に電圧印加法によって分極
反転構造を作製する工程において、前記結晶の分極反転
部を形成する部分に電極領域を設けるにあたり、当該電
極のグレーティング幅を非線形光学結晶基板厚さの2倍
以下にすることを特徴とするものである。
転周期方向においても分割するようにしても良い。
ィング幅の電極領域を相隣接するよう複数平行に並べ、
これら電極にそれぞれ電圧印加することで、実質的に長
グレーティング幅の分極反転構造を作製することもでき
る。
電圧印加法によって、非線形光学結晶に周期的分極反転
構造を形成する工程を示す図である。図1(a)に示す例
では、反転させるべき分極方向がZ軸の方向であり、該
Z軸方向に対して垂直な2面(+Z面、−Z面)を基板
面として有する誘電体結晶の基板1を用いている。該基
板1は、当該結晶に単分極化処理を施したものであり、
片側の面には全面にわたって同じ分極が現れている。
して、該基板1の片面(+Z面)中の分極反転すべき領
域に、プラス側(高電位側)の液体電極2を対向させ
る。そして、+Z面の特定領域だけに液体電極2からの
電界を作用させるために、部分的に絶縁膜4を形成して
マスクしている。つまり、分極反転部を形成する部分に
所定のグレーティング幅をもって電極領域を形成する。
また、分極反転させるべき領域に電界が作用するように
裏面(−Z面)にマイナス側(グランド側)の液体電極
3を対向させる。この状態から、両方の液体電極2,3
を介して該基板1に分極反転電圧を印加することによっ
て、分極反転することが可能となり、図1(b)に示すよ
うに、周期的分極反転構造を有する非線形光学結晶が得
られるものである。
成方法なのであるが、本発明にあっては、電極領域を形
成するに際してそのグレーティング幅の設定手法につい
て特徴を有する。即ち、当該電極のグレーティング幅
を、非線形光学結晶基板厚さの2倍以下にするすること
を特徴とするものである。
極反転の一単位)の形状は、所定のグレーティング幅を
備える細長い長方形を呈している。本発明者らの実験に
よれば、このような細長い長方形電極にて電圧を印加し
た場合、当該電極の中央部分においては分極反転ドメイ
ン幅にバラツキが生じてしまうものの、電極のコーナー
部分(エッジ部)に相当する部分においては比較的均一
な分極反転構造が形成されていることを見出した。かか
る現象が生じる要因は必ずしも明らかでないが、鋭角的
部分であるコーナー部が存在する電極エッジ部には電界
集中が生じ、他方電極の中央部分にはシャープに電界が
加わらない結果ではないかと本発明者らは考えている。
つまり、電極エッジ部分においては比較的均一な電界が
印加される結果、良好な分極反転が行われるのに対し、
電極中央部分にあっては電界の均一性を担保できないこ
とが原因であろうと考えている。
ティング幅をエッジ部による電界集中効果が支配的とな
る幅について種々検討した結果、換言すると電界を可及
的に均一に印加し得る電極形状について検討した結果、
図2に示すように、電極Eのグレーティング幅をW、結
晶基板の厚さをtとするとき、グレーティング幅Wを基
板厚さtの2倍以下とすれば、優位なエッジ効果を得る
ことができることを知見した。この場合、当該結晶基板
の使用時にはレーザー光を入射させることに鑑み、基板
厚さ分を有効に使用することを考慮すると、グレーティ
ング幅Wを基板厚さと同等以上とすることが望ましい。
なお、分極反転周期sは変換する波長によって適宜決定
されるが、概ね10μm〜40μmの範囲から選択され
る。
得ることができる。しかし、長いグレーティング幅のも
のは得られない。この欠点を補うなため、長いグレーテ
ィング幅が必要な場合は、短いグレーティング幅で同じ
分極反転周期のものを並列に並べる(マルチグレーティ
ング)方法により、長いグレーティング幅と同等の性能
を与えることができる。即ち、図3に示すように、長い
グレーティング幅の電極領域Eを作製するにあたり、こ
れを短いグレーティング幅の電極領域E1、E2、E
3、E4に分割して順次(若しくは同時に)電圧印加法
にて分極反転構造を作製することで、結果的に長いグレ
ーティング幅の分極反転領域を形成するものである。
ドメインを接合させることにより、長いグレーティング
幅としても良いし、隣同士の分極反転ドメインが厳密に
接合していなくてもよい。さらに、これらの電極領域
は、分極反転周期方向におても、分割されていてもよい
(井桁形状、または、ドット状の集合形状)。この場
合、分極反転周期方向の分極反転ドメイン同士は接合
し、最終的には、分極反転周期の1/2程度にする。ま
た以上において、電極領域の形状は特に限定されない。
晶を用い、以下の工程により、波長変換素子としての周
期的な分極反転構造を作製した。 (1)LiNbO3結晶を所定のサイズに切り出す。 (2)LiNbO3結晶の+Z面上にレジストを塗布し、フォ
トリソグラフィー法により29.8μmの周期ごとにレ
ジスト抜き部分(分極が反転する部分)を作製する。こ
の周期は、SHG、OPO、SFG、DFGで異なり、
また、入力波長、結晶温度、出力波長によって、一義的
に決定されるものである。ここで、グレーティングの幅
(周期に垂直方向の幅)を0.5mm(基板厚さと同じ
長さ)、0.5mm、1mm、及び10mmとした。な
お、この場合の分極反転構造部分の長さは30mmとし
た。 (3)スパッタによりレジストがある部分、およびレジ
ストが抜けた部分上に金属膜(膜厚数1000オングス
トローム程度)を形成する。 (4)+側は、金属膜に液体電解質を接触させ、−側
は、液体電解質が直接、基板の−Z面に直接、接してい
る。 (5)電圧を印加することにより、分極を反転する。
O3=1:2、60℃、5〜10分)、±Z表面の分極反
転ドメイン幅を0.2mmおきに全長30mmにおいて
測定し、分極反転ドメイン幅の均一性を評価した。分極
反転ドメイン幅の測定場所を図4に示す。それぞれのグ
レーティングの幅における分極反転ドメインの平均分極
反転比率と標準偏差を表1に示す。
mmの場合に比べて、グレーティング幅が10mmの場
合、明らかに、分極反転ドメインの幅が場所によってバ
ラツキがあることが分かる。したがって、分極反転ドメ
インを均一に反転させるには、グレーティング幅が基板
厚の2倍以下がよいことが判明した。また、グレーティ
ング幅が10mmの場合において、分極反転ドメインの
場所による比較を行なった場合、分極反転ドメイン幅の
バラツキは電極端近傍が最も小さいことが分かる。これ
は、分極反転時において、始めに分極反転が開始するた
めであると思われる。始めに開始する要因としては、分
極反転時の電圧印加における電界エッジ効果によるもの
であると考えられる。よって、グレーティング幅が小さ
いほど、有効であるため、ドメイン幅のバラツキが小さ
く、均一な分極反転ドメインが作製できる。
造の作製方法によれば、分極反転ドメイン幅にバラツキ
のない分極反転結晶を得ることができる。従って、当該
結晶を波長変換素子として用いた場合に、変換効率が低
下するといった問題を解消することができる。
る。
である。
す平面図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 非線形光学結晶に電圧印加法によって分
極反転構造を作製する工程において、前記結晶の分極反
転部を形成する部分に電極領域を設けるにあたり、当該
電極のグレーティング幅を非線形光学結晶基板厚さの2
倍以下とすることを特徴とする分極反転構造の作製方
法。 - 【請求項2】 上記電極領域が、さらに分極反転周期方
向において分割されていることを特徴とする請求項1記
載の分極反転構造の作製方法。 - 【請求項3】 請求項1または2により設定したグレー
ティング幅の電極領域を相隣接するよう複数平行に並
べ、これら電極にそれぞれ電圧印加して、実質的に長グ
レーティング幅の分極反転構造を作製することを特徴と
する分極反転構造の作製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28511099A JP3884197B2 (ja) | 1999-10-06 | 1999-10-06 | 分極反転構造の作製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP3884197B2 JP3884197B2 (ja) | 2007-02-21 |
Family
ID=17687256
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28511099A Expired - Lifetime JP3884197B2 (ja) | 1999-10-06 | 1999-10-06 | 分極反転構造の作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3884197B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004081647A1 (ja) * | 2003-03-14 | 2004-09-23 | Mitsubishi Cable Industries Ltd. | 分極反転結晶の製造方法 |
JP2008186034A (ja) * | 2008-04-28 | 2008-08-14 | National Institute For Materials Science | 擬似位相整合水晶の製造方法及び擬似位相整合水晶 |
WO2014045658A1 (ja) * | 2012-09-20 | 2014-03-27 | 富士電機株式会社 | 波長変換素子、光源装置、及び波長変換素子の製造方法 |
-
1999
- 1999-10-06 JP JP28511099A patent/JP3884197B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (6)
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GB2416597A (en) * | 2003-03-14 | 2006-02-01 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | Method of manufacturing domain inverted crystal |
GB2416597B (en) * | 2003-03-14 | 2006-11-29 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | Method of manufacturing domain inverted crystal |
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JP2014062960A (ja) * | 2012-09-20 | 2014-04-10 | Fuji Electric Co Ltd | 波長変換素子、光源装置、及び波長変換素子の製造方法 |
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JP3884197B2 (ja) | 2007-02-21 |
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