JP2001107883A - 遠心式流体機械 - Google Patents

遠心式流体機械

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JP2001107883A
JP2001107883A JP28687299A JP28687299A JP2001107883A JP 2001107883 A JP2001107883 A JP 2001107883A JP 28687299 A JP28687299 A JP 28687299A JP 28687299 A JP28687299 A JP 28687299A JP 2001107883 A JP2001107883 A JP 2001107883A
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impeller
pressure
fluid
pressure chamber
centrifugal
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JP28687299A
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Takeshi Okubo
剛 大久保
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 羽根車自体で羽根車推力を相殺させることが
可能であり、容易に小型化、コストダウン化を図ること
ができる遠心式流体機械の提供。 【解決手段】 主軸10に取り付けられた羽根車8を内
部ケーシング5内で回転させて流体を圧送する遠心ポン
プ1は、羽根車8の前シュラウド81に形成され、所定
の受圧面82aを有するシール部82と、シール部82
の受圧面82aと対向するように内部ケーシング5に形
成された圧力室51と、羽根車8の羽根車出口8bから
圧力室51に流体を導くための流路Pと、内部ケーシン
グ5とシール部82の受圧面82aとにより画成され、
圧力室51と羽根車8の羽根車入口8aとを連通する間
隙部Gとを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遠心ポンプ等の各
種遠心式流体機械に関し、特に、主軸に取り付けられた
羽根車をケーシング内で回転させて流体を圧送する遠心
式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】遠心ポンプ等の遠心式流体機械には、後
向き羽根、径向き羽根、又は、前向き羽根を複数有する
遠心羽根車(以下、単に「羽根車」という)が備えられ
ている。この種の羽根車を備えた遠心流体機械では、一
般に、羽根車出口から流出する流体の圧力(吐出圧力)
に近い圧力で加圧される外表面積が前シュラウド側より
も後シュラウド側で大きくなる。このため、遠心式ポン
プ等の羽根車には、前シュラウドと後シュラウドとに作
用する力に不つり合いが生じ、いわゆる羽根車推力が後
シュラウド側から前シュラウド側に向かう方向に発生す
る。このような羽根車推力が発生すると、羽根車が取り
付けられている主軸には、いわゆるスラスト荷重が作用
するため、遠心ポンプ等には、スラスト荷重を受け止め
るスラスト軸受や、スラスト荷重を相殺するスラストバ
ランス機構が備えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た羽根車推力は、遠心式流体機械が取り扱う流体の量等
によっても変動し、羽根車推力が過剰に発生すると、ス
ラスト軸受やスラストバランス機構の負担が過大とな
り、これらを大型化しなれば、主軸に発生するスラスト
荷重をバランスさせることが困難となるが、この場合、
遠心流体機械自体が大型化してしまったり、コストアッ
プを招いてしまったりするという問題がある。
【0004】そこで、本発明は、羽根車自体で羽根車推
力を相殺させることが可能であり、容易に小型化、コス
トダウン化を図ることができる遠心式流体機械の提供を
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
による遠心式流体機械は、主軸に取り付けられた羽根車
をケーシング内で回転させて流体を圧送する遠心流体機
械において、羽根車の前シュラウドに形成されており、
所定の受圧面を有するシール部と、シール部の受圧面と
対向するようにケーシングに形成された圧力室と、羽根
車の羽根車出口から圧力室に流体を導くための流路と、
ケーシングとシール部の受圧面とにより画成され、圧力
室と羽根車の羽根車入口とを連通する間隙部とを備える
ことを特徴とする。
【0006】この遠心式流体機械に備えられた羽根車の
前シュラウドには、例えば、主軸の軸方向と交差する方
向(略直交方向)に伸びる受圧面をもったシール部が形
成されており、羽根車を収容するケーシングには、受圧
面と対向する圧力室が形成されている。圧力室に対して
は、流路を介して羽根車出口から羽根車によって昇圧さ
れた流体が導かれる。また、圧力室は、ケーシングとシ
ール部の受圧面とにより画成される間隙部を介して羽根
車入口と連通している。従って、この遠心式流体機械を
作動させると、羽根車出口から流出する流体の一部は、
圧力室を流通した後、間隙部を介して羽根車入口に流入
することになる。
【0007】ここで、羽根車推力が増大して、羽根車が
(主軸と共に)圧力室側に(後シュラウド側から前シュ
ラウド側に向かう方向に)移動すると、ケーシングとシ
ール部の受圧面とにより画成される間隙部が狭まるた
め、この間隙部を流通する流体の圧力損失が増大する。
このため、圧力室内では流体の圧力が高まり、シール部
の受圧面には、羽根車を圧力室とは反対側に移動させよ
うとする力が作用する。一方、羽根車推力が減少して羽
根車が圧力室の反対側に(前シュラウド側から後シュラ
ウド側に向かう方向に)移動すると、ケーシングとシー
ル部の受圧面とにより画成される間隙部が広がるため、
この間隙部を流通する流体の圧力損失は減少する。この
ため、圧力室内では流体の圧力が低下し、シール部の受
圧面に作用する力も低減することになる。
【0008】このように、この遠心式流体機械は、羽根
車自体で羽根車推力を相殺させることが可能であるの
で、主軸に作用するスラスト荷重を受け止めるための機
構の負担が軽減される。従って、スラスト軸受を小型
化、単純化でき、また、スラストバランス機構を省略で
きるので、遠心式流体機械を容易に小型化、コストダウ
ン化することが可能となる。
【0009】また、かかる構成は、羽根車を複数備える
と共に、各羽根車の間に、前段の羽根車から流出した流
体を後段の羽根車に導くための返し羽根を備えた遠心多
段ポンプに好適であり、少なくとも何れか1体の羽根車
に対して、シール部、圧力室、流路、及び、間隙部を設
けると好ましい。
【0010】一般に、遠心多段ポンプの各羽根車間に
は、前段の羽根車から流出した流体を後段の羽根車に導
くための返し羽根(戻り案内羽根)が配置されるが、羽
根車の前シュラウドにシール部を形成し、圧力室をシー
ル部の受圧面に対向するように設ければ、シール部、圧
力室、流路、及び、間隙部を返し羽根と干渉させること
なく配置することが可能となる。シール部、圧力室、流
路、及び、間隙部は、少なくとも1体の羽根車に対して
設ければよいが、これらをできるだけ多くの羽根車に対
して設けることにより、各羽根車ごとに羽根車推力を相
殺させることが可能となり、主軸に作用するスラスト荷
重を受け止めるスラスト軸受等の負担を効率よく軽減す
ることができる。
【0011】更に、間隙部は、流路面積が圧力室側から
羽根車入口側に向かうにつれて減少するように画成され
ていると好ましい。
【0012】この場合は、例えば、シール部の受圧面と
共に間隙を画成するケーシングの圧力室側の一部に傾斜
面を形成する等して、間隙部の圧力室側がテーパ形状を
呈するようにする。これにより、間隙部の流路面積が圧
力室側から羽根車入口側に向かうにつれて減少すること
になるので、間隙部の入口における流体の圧力損失量が
低下し、圧力室から間隙部に流入する流体は、間隙部を
流通する間に徐々に圧力を失う。従って、間隙部が急激
に狭まったような場合、羽根車を圧力室とは反対側に移
動させようとする力が、テーパ形状としていない場合よ
りも増加することになるので、主軸の軸方向における羽
根車の動的安定性が向上し、かつ、ケーシングと受圧面
とが接触して間隙部で焼付きが発生することを防止可能
となる。
【0013】また、間隙部は、羽根車の前シュラウド側
から後シュラウド側に向けて傾斜させられていると好ま
しい。
【0014】このような構成を採用すれば、圧力室内か
ら間隙部を介して羽根車入口に流入する流体は、羽根車
入口付近を流通している流体とスムースに合流するの
で、圧力室内から間隙部を介して羽根車入口に流入する
流体によって、羽根車入口付近の流れが乱されてしまう
ことを防止可能となる。
【0015】一方、ケーシングと前シュラウドの表面と
によって画成されると共に、羽根車出口及び中間圧力室
と連通しており、流路の一部をなす前シュラウド空間部
を更に備え、この前シュラウド空間部には、羽根車出口
における流体の圧力と同等以上の圧力を有し、かつ、異
物が混入していない高圧流体が供給されるように遠心式
流体機械を構成してもよい。
【0016】かかる構成は、異物が混入している流体を
取り扱う各種遠心式流体機械に好適なものである。遠心
式流体機械にて取り扱う流体に異物が混入していると、
羽根車出口から圧力室に流入する流体に混入している異
物が間隙部に入り込み、ケーシングと受圧面とが間隙部
で焼き付いてしまうおそれがある。これを踏まえて、こ
の遠心式流体機械は、羽根車出口と圧力室とを連通する
流路の一部をなす前シュラウド空間部に、羽根車出口に
おける流体の圧力と同等以上の圧力を有し、かつ、異物
が混入していない高圧流体が供給されるように構成され
ている。
【0017】これにより、前シュラウド空間部に供給さ
れた高圧流体は、圧力室に流入すると共に、羽根車出口
側に向かう流れを形成することになるので、異物が混入
している流体が羽根車出口から前シュラウド空間部に流
入することが防止される。この結果、前シュラウド空間
部と連通している圧力室及び間隙部に対する異物の流入
を防止可能となり、ケーシングと受圧面とが間隙部で焼
き付いてしまうことを防止できる。この場合、例えば、
遠心ポンプの場合は、ポンプ吐出口と前シュラウド空間
部とを異物除去手段(例えば、サイクロンセパレータ、
ストレーナ等)を介して連通させれば(接続すれば)、
前シュラウド空間部に高圧流体を容易に供給可能とな
る。更に、所定の高圧流体供給手段によって他系統から
所定圧力を有する高圧流体を前シュラウド空間部に供給
してもよい。
【0018】また、ケーシングとシール部の外周面とに
よって画成されると共に、羽根車出口及び中間圧力室と
連通しており、流路の一部をなすシール流路を更に備
え、このシール流路には、羽根車出口における流体の圧
力と同等以上の圧力を有し、かつ、異物が混入していな
い高圧流体が供給されるように構成してもよい。
【0019】この場合、シール流路に供給された高圧流
体は、圧力室に流入すると共に、羽根車出口側に向かう
流れを形成することになるので、異物が混入している流
体が羽根車出口からシール流路に流入することが防止さ
れる。この結果、シール流路と連通している圧力室及び
間隙部に対する異物の流入を防止可能となり、ケーシン
グと受圧面とが間隙部で焼き付いてしまうことを防止で
きる。この場合も、例えば、遠心ポンプの場合は、ポン
プ吐出口とシール流路とを異物除去手段を介して接続す
れば、シール流路に高圧流体を容易に供給可能となる。
更に、所定の高圧流体供給手段によって他系統から所定
圧力を有する高圧流体をシール流路に供給してもよい。
【0020】更に、圧力室に、羽根車出口における流体
の圧力と同等以上の圧力を有し、かつ、異物が混入して
いない高圧流体が絞り手段を介して供給されるように構
成することも可能である。
【0021】このような構成を採用しても、間隙部に対
する異物の流入を防止可能となり、ケーシングと受圧面
とが間隙部で焼き付いてしまうことを防止できる。な
お、オリフィス等の絞り手段を介して圧力室内に高圧流
体を供給すれば、圧力室内の流体がもつ圧力を羽根車推
力の変動に応じて変化させることができる。また、この
場合も、例えば、遠心ポンプの場合は、ポンプ吐出口と
圧力室とを異物除去手段及び絞り手段(例えば、オリフ
ィス等)を介して接続すれば、圧力室に高圧流体を容易
に供給可能となる。更に、所定の高圧流体供給手段によ
って他系統から所定圧力を有する高圧流体を圧力室に供
給してもよい。
【0022】請求項8に記載の本発明による遠心式流体
機械は、主軸に取り付けられた羽根車をケーシング内で
回転させて流体を圧送する遠心流体機械において、羽根
車の前シュラウドに形成されており、羽根車の外周部に
位置するシール部と、前シュラウドの表面と対向するよ
うにケーシングに形成された圧力室と、シール部の外周
面とケーシングとにより画成され、羽根車の羽根車出口
から圧力室に流体を導くための流路と、ケーシングと前
シュラウドの端面とにより画成され、圧力室と羽根車の
羽根車入口とを連通する間隙部とを備えることを特徴と
する。
【0023】この遠心式流体機械に備えられた羽根車の
前シュラウドには、羽根車の外周部に位置するようにシ
ール部が形成されており、羽根車を収容するケーシング
には、前シュラウドの表面と対向する圧力室が形成され
ている。圧力室に対しては、流路を介して羽根車出口か
ら羽根車によって昇圧された流体が導かれる。また、圧
力室は、ケーシングと前シュラウドの端面とにより画成
される間隙部を介して羽根車出口と連通している。従っ
て、この遠心式流体機械を作動させると、羽根車出口か
ら流出する流体の一部は、圧力室を流通した後、間隙部
を介して羽根車入口に流入することになる。
【0024】ここで、羽根車推力が増大して羽根車が
(主軸と共に)圧力室側に(後シュラウド側から前シュ
ラウド側に向かう方向に)移動すると、ケーシングと前
シュラウドの端面とにより画成される間隙部が狭まるた
め、この間隙部を流通する流体の圧力損失が増大する。
このため、圧力室内では流体の圧力が高まり、前シュラ
ウドの表面のほぼ全体に羽根車を圧力室とは反対側に移
動させようとする力が作用する。一方、羽根車推力が減
少して羽根車が圧力室の反対側に(前シュラウド側から
後シュラウド側に向かう方向に)移動すると、ケーシン
グと前シュラウドの端面とにより画成される間隙部が広
がるため、この間隙部を流通する流体の圧力損失は減少
する。このため、圧力室内では流体の圧力が低下し、前
シュラウドの表面に作用する力も低減することになる。
【0025】このように、この遠心式流体機械によって
も、羽根車自体で羽根車推力を相殺させることが可能で
あるので、主軸に作用するスラスト荷重を受け止めるス
ラスト軸受等の負担を軽減することができる。特に、こ
のような構成を採用すれば、前シュラウドの表面のほぼ
全体に羽根車推力を相殺するための力が加わるので、単
位羽根車推力の変化に対する羽根車の移動量を小さくす
ること、すなわち、羽根車推力の変動に対する許容量を
大きくすることが可能となる。
【0026】この結果、スラスト軸受やスラストバラン
ス機構を小型化、単純化、又は、省略することが可能と
なるので、遠心式流体機械を容易に小型化、コストダウ
ン化することができる。また、かかる構成も、羽根車を
複数備えると共に、各羽根車の間に前段の羽根車から流
出した流体を後段の羽根車に導くための返し羽根を備え
た遠心多段ポンプに好適である。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
による遠心式流体機械の好適な実施形態について詳細に
説明する。
【0028】〔第1実施形態〕図1は本発明による遠心
式流体機械の一例である遠心ポンプの第1実施形態を示
す部分断面図である。同図に示す遠心ポンプ1は、例え
ば、いわゆる横形の多段ポンプであり、ボイラ給水ポン
プ等として用いるのに好適なものである。図1に示すよ
うに、遠心ポンプ1は、吸込口2と吐出口3とを有する
外部ケーシング4を備え、外部ケーシング4の内部に
は、いわゆる輪切構造の内部ケーシング5が複数(この
場合、5体)配置されている。外部ケーシング4の一端
側(図中右側の端部)には、複数の締結ボルトVを介し
てケーシングカバー6が固定されている。これにより、
外部ケーシング4、各内部ケーシング5、及び、ケーシ
ングカバー6が一体化される。
【0029】外部ケーシング4の内部には、吸込口2か
ら流体を吸込む両吸込羽根車7が収容されており、各内
部ケーシング5の内部には、それぞれ、複数の羽根9
(図2等参照)を有する羽根車(遠心羽根車、計5体)
8が収容されている。両吸込羽根車7及び各羽根車8
は、図示しない原動機によって回転駆動される主軸10
に取り付けられている。また、各内部ケーシング5に
は、各羽根車8の羽根車出口8b(図2等参照)から流
出した流体を正圧回復(昇圧)させる案内羽根11が固
定されている。案内羽根11によって減速された流体
は、各羽根車8の間に配置された返し羽根(戻り案内羽
根)12によって後段の羽根車8に導かれる。
【0030】両吸込羽根車7及び各羽根車8が取り付け
られた主軸10は、吸込口2側において、グランドパッ
キンやメカシール等が収容されると共に外部ケーシング
4に装着されたスタッフィングボックス(図示せず)を
貫通しており、外部ケーシング4に固定された軸受箱1
4内のラジアル軸受(図示せず)によって支持されてい
る。同様に、主軸10は、吐出口3側において、ケーシ
ングカバー6に装着されたスタッフィングボックス(図
示せず)を貫通しており、ケーシングカバー6に固定さ
れた軸受箱15内のラジアル軸受及びスラスト軸受(何
れも図示せず)によって支持されている。
【0031】図2は、図1に示す遠心ポンプ1に備えら
れた羽根車8の周囲を示す拡大断面図である。同図に示
すように、羽根車8の前シュラウド81には、シール部
82が形成されている。このシール部82は、羽根車入
口8aの周囲に位置する前シュラウド端部の外径を拡大
させたものである。羽根車8を主軸10に取り付けた
際、シール部82の端面は、主軸10の軸方向と交差し
(略直交し)、受圧面82aとして機能する。一方、内
部ケーシング5には、シール部82の受圧面82aと対
向する圧力室51が形成されている。この圧力室51
は、シール部の受圧面82aと、圧力室51の内側(主
軸10側)に位置するように内部ケーシング5に形成さ
れた突部52の端面とにより画成される極めて狭小
(0.1mm程度)な間隙部Gを介して羽根車入口8a
と連通している。
【0032】また、圧力室51は、内部ケーシング5と
シール部82の外周面82bとにより画成されるシール
流路Paと連通しており、このシール流路Paは、前シ
ュラウド空間部Pbと連通する。前シュラウド空間部P
bは、図2に示すように、内部ケーシング5と前シュラ
ウド81の表面とによって画成され、内部ケーシング5
と前シュラウド81の外周面とにより画成される端部シ
ール流路Pcを介して羽根車8の羽根車出口8bと連通
している。これらシール流路Pa、前シュラウド空間部
Pb、及び、端部シール流路Pcは、羽根車8の羽根車
出口8bから圧力室51に流体を導くための流路Pを構
成する。
【0033】この遠心ポンプ1では、これらシール流路
Pa、前シュラウド空間部Pb、及び、端部シール流路
Pcが、すべての羽根車8に対して設けられている。こ
こで、遠心ポンプ1の各羽根車8同士の間には、前段の
羽根車8から流出した流体を後段の羽根車8に導くため
の返し羽根12が配置されているが、シール部82は、
羽根車8の前シュラウド81に形成されており、圧力室
51は、シール部82の受圧面82aと対向する位置、
すなわち、前シュラウド81側に設けられている。従っ
て、図2に示すように、これらシール部82、圧力室5
1、流路P(Pa,Pb,Pc)、及び、間隙部Gと、
返し羽根12とが干渉することはない。
【0034】次に、上述した遠心ポンプ1の動作につい
て説明する。
【0035】遠心ポンプ1を運転するに際しては、図示
しない原動機を作動させて主軸10を回転駆動する。こ
れにより、回転する両吸込羽根車7によって吸込口2を
介して遠心ポンプ1の取り扱い対象となる流体が吸込ま
れ、最前段の羽根車8に対して流体が供給される。流体
は、羽根車入口8aを介して羽根車8の内部に流入し、
羽根9によって昇圧された後、羽根車出口8bから流出
する。そして、案内羽根11及び返し羽根12とによっ
て後段に位置する羽根車8の羽根車入口8aまで導かれ
る。そして、流体は、順次各羽根車8によって昇圧され
た後、吐出口3から吐出される。
【0036】一方、シール部82の受圧面82aと対向
している圧力室51に対しては、流路P、すなわち、端
部シール流路Pc、前シュラウド空間部Pb、及び、シ
ール流路Paを介して羽根車出口8bから羽根車8によ
って昇圧された流体が導かれる。これにより、遠心ポン
プ1の運転中、圧力室51の内部は常時流体で満たされ
ることになる。また、圧力室51は、内部ケーシング5
の突部52とシール部82の受圧面82aとにより画成
される間隙部Gを介して羽根車入口8aと連通してい
る。従って、この遠心ポンプ1の運転中、羽根車出口8
bから流出する流体の一部は、圧力室51を流通した
後、間隙部Gを介して羽根車入口8aに流入することに
なる。
【0037】ここで、例えば、いわゆる過渡状態となっ
て羽根車推力が増大し、羽根車8が主軸10と共に圧力
室51側、すなわち、後シュラウド83側から前シュラ
ウド81側に向かう方向に移動したとする。この場合、
内部ケーシング5の突部52とシール部82の受圧面8
2aとにより画成される間隙部Gは通常時よりも狭ま
り、間隙部Gを流通する流体の圧力損失が増大する。こ
のため、圧力室51内では流体の圧力が高まり、シール
部82の受圧面82aには、羽根車8を圧力室51とは
反対側に移動させようとする力、すなわち、前シュラウ
ド81側から後シュラウド83側に向かう推力が作用す
る。
【0038】一方、羽根車推力が減少して羽根車8が主
軸10と共に圧力室51の反対側、すなわち、前シュラ
ウド81側から後シュラウド83側に向かう方向に移動
したとする。この場合、内部ケーシング5の突部52と
シール部82の受圧面82aとにより画成される間隙部
Gが広がり、この間隙部Gを流通する流体の圧力損失は
減少する。このため、圧力室51内では流体の圧力が低
下し、シール部82の受圧面82aに作用する推力も低
減することになる。
【0039】このように、この遠心ポンプ1は、羽根車
8自体で羽根車推力を相殺させることが可能であるの
で、主軸10に作用するスラスト荷重を受け止めるため
の機構の負担が軽減される。従って、スラスト軸受を小
型化、単純化でき、また、スラストバランス機構を省略
できるので、遠心ポンプ1は、小型化、コストダウン化
することが容易である。
【0040】なお、シール部82、圧力室51、流路P
(シール流路Pa、前シュラウド空間部Pb、端部シー
ル流路Pc)、及び、間隙部Gは、少なくとも1体の羽
根車8に対して設ければよいが、これらをできるだけ多
くの羽根車8に対して設けることが好ましい。これによ
り、各羽根車8ごとに羽根車推力を相殺させることが可
能となり、主軸10に作用するスラスト荷重を受け止め
るスラスト軸受等の負担を効率よく軽減することができ
る。
【0041】図3は、間隙部Gの他の態様を示す断面図
である。同図に示す例では、内部ケーシング5に形成さ
れており、シール部82の受圧面82aと共に間隙G1
を画成する突部52に傾斜面52aが形成されている。
すなわち、この突部52とシール部82の受圧面82a
とによって画成される間隙部G1は、その圧力室51側
にテーパ形状を呈する領域を有する。
【0042】このような構成のもとでは、間隙部G1の
流路面積は、圧力室51側から羽根車入口8a側に向か
うにつれて減少することになるので、間隙部G1の入口
における流体の圧力損失量が低下し、圧力室51から間
隙部G1に流入する流体は、間隙部G1を流通する間に
徐々に圧力を失う。従って、内部ケーシング5の突部5
2とシール部82の受圧面82aとが接近して間隙部G
1が急激に狭まったような場合に、羽根車8を圧力室5
1とは反対側に移動させようとする力が、テーパ形状と
していない場合よりも増加することになる。従って、主
軸10の軸方向における羽根車8の動的安定性が向上
し、かつ、内部ケーシング5の突部52と受圧面82a
とが接触して間隙部G1で焼付きが発生することを防止
可能となる。
【0043】また、図4に示す例のように、間隙部G2
を羽根車8の前シュラウド81側から後シュラウド83
側に向けて傾斜させてもよい。この場合、同図に示すよ
うに、内部ケーシング5の突部52の端面を傾斜させる
と共に、シール部82の受圧面82aの羽根車入口8a
側に、突部52の端面と対向する傾斜面を形成する。こ
の場合、圧力室51内から間隙部G2を介して羽根車入
口8aに流入する流体は、羽根車入口8a付近を流通し
ている流体とスムースに合流するので、圧力室51内か
ら間隙部G2を介して羽根車入口8aに流入する流体に
よって、羽根車入口8a付近の流れが乱されてしまうこ
とを防止可能となる。
【0044】図5は、本発明による遠心式流体機械を単
段式の遠心ポンプとして構成した例を示すものである。
同図に示す遠心ポンプ1Aの羽根車8にも、受圧面82
aを有するシール部82が設けられており、ケーシング
5には受圧面82aと対向する圧力室51が形成されて
いる。そして、圧力室51は、シール流路Pa、前シュ
ラウド空間部Pb、及び、端部シール流路Pcからなる
流路Pを介して羽根車8の羽根車出口8bと連通すると
共に、間隙Gを介して羽根車8の羽根車入口8aと連通
している。
【0045】一方、この遠心ポンプ1Aのケーシング5
には、羽根車8の後シュラウド83の表面と対向するバ
ランス室84が形成されている。このバランス室84
は、後シュラウド83から延出された後シール部85と
ケーシング5とにより画成されるシール流路を介して羽
根車8の羽根車出口8bと連通している。また、羽根車
8の後シュラウド83には、羽根車8の内部とバランス
室84とを連通するためのバランスホール83aが形成
されている。この遠心ポンプ1Aのように、後シュラウ
ド83にバランスホール83aを設けると共に、後シュ
ラウド83の表面と対向するバランス室84を設けるこ
とにより、羽根車8自体のスラスト荷重を効果的に減少
させることが可能となる。なお、後シール部85は、で
きるだけ後シュラウド83の内側(主軸10側)から延
出させることが好ましい。
【0046】〔第2実施形態〕以下、図6〜図8を参照
しながら、本発明による遠心式流体機械の第2実施形態
について説明する。なお、上述した第1実施形態に関し
て説明した要素と同一の要素については同一の符号を付
し、重複する説明は省略する。
【0047】図6に示す遠心ポンプ20は、上述した遠
心ポンプ1と同様に、複数の羽根車8を備えた、いわゆ
る横形多段ポンプとして構成されており、特に、異物が
混入している流体を取り扱う際に用いるのに好適なもの
である。この遠心ポンプ20の各羽根車8にも、受圧面
82aを有するシール部82が設けられており、内部ケ
ーシング5には受圧面82aと対向する圧力室51が形
成されている。そして、圧力室51は、シール流路P
a、前シュラウド空間部Pb、及び、端部シール流路P
cからなる流路Pを介して羽根車8の羽根車出口8bと
連通すると共に、間隙Gを介して羽根車8の羽根車入口
8aと連通している。
【0048】ここで、羽根車8に対して、シール部8
2、圧力室51、流路P、間隙Gを設けた遠心ポンプ2
0にて異物が混入している流体を取り扱った場合、何ら
対策を施さなければ、羽根車出口8bから圧力室51に
流入する流体に混入している異物が間隙部Gに入り込
み、内部ケーシング5(突部52)と受圧面82aとが
間隙部Gで焼き付いてしまうおそれがある。これを踏ま
えて、この遠心ポンプ20では、羽根車出口8bと圧力
室51とを連通する流路Pの一部をなす前シュラウド空
間部Pbに、羽根車出口8bにおける流体の圧力と同等
以上の圧力を有し、かつ、異物が混入していない高圧流
体が供給される。
【0049】すなわち、遠心ポンプ20の内部ケーシン
グ5には、前シュラウド空間部Pbと連通する高圧流体
流通路Pdが、例えば、放射状に複数本形成されてお
り、この高圧流体流通路Pdは、所定箇所に設置された
サイクロンセパレータ21に接続されている。サイクロ
ンセパレータ21は、流入する流体中の異物を除去する
異物除去手段として機能し、配管を介して遠心ポンプ2
0の吐出口3に接続されている。ここで、吐出口3から
吐出される流体(高圧流体)の圧力は、各羽根車8の羽
根車出口8bにおける流体の圧力と同等以上である。
【0050】このような構成のもとでは、遠心ポンプ2
0の運転中、吐出口3から吐出される高圧流体の一部
は、サイクロンセパレータ21に流入することになり、
サイクロンセパレータ21によって異物が除去された高
圧流体は、内部ケーシング5に形成された高圧流体流通
路Pdを介して前シュラウド空間部Pb内に流れ込む。
そして、前シュラウド空間部Pbに供給された高圧流体
は、図6において点線で示すように、圧力室51に流入
すると共に、羽根車出口8bに向かう流れを形成するこ
とになる。
【0051】これにより、異物が混入している流体が羽
根車出口8bから前シュラウド空間部Pbに流入するこ
とが防止される。この結果、前シュラウド空間部Pbと
連通している圧力室51及び間隙部Gに対する異物の流
入を防止可能となり、内部ケーシング5(突部52)と
受圧面82aとが間隙部Gで焼き付いてしまうことを防
止できる。なお、吐出口3と前シュラウド空間部Pbと
をサイクロンセパレータ21等の異物除去手段を介して
接続すれば、前シュラウド空間部Pbに高圧流体を容易
に供給可能となるが、ポンプ等の高圧流体供給手段によ
って他系統から所定圧力を有する高圧流体を前シュラウ
ド空間部Pbに供給してもよい。また、異物除去手段と
しては、ストレーナを用いることも可能である。
【0052】図7に、本発明による遠心流体機械の第2
実施形態に係る遠心ポンプの他の態様を示す。同図に示
す遠心ポンプ20Aでは、内部ケーシング5とシール部
82の外周面82bとによって画成されて流路Pの一部
をなすシール流路Paに羽根車出口における流体の圧力
と同等以上の圧力を有し、かつ、異物が混入していない
高圧流体が供給される。すなわち、遠心ポンプ20Aの
内部ケーシング5には、シール流路Paと連通する高圧
流体流通路Peが、例えば、放射状に複数本形成されて
おり、この高圧流体流通路Peは、所定箇所に設置され
たサイクロンセパレータ21に接続されている。サイク
ロンセパレータ21は、流入する流体中の異物を除去す
る異物除去手段として機能し、配管を介して遠心ポンプ
20の吐出口3に接続されている。ここで、吐出口3か
ら吐出される流体(高圧流体)の圧力は、各羽根車8の
羽根車出口8bにおける流体の圧力と同等以上である。
【0053】このような構成のもとでは、遠心ポンプ2
0の運転中、吐出口3から吐出される高圧流体の一部
は、サイクロンセパレータ21に流入することになり、
サイクロンセパレータ21によって異物が除去された高
圧流体は、内部ケーシング5に形成された高圧流体流通
路Peを介してシール流路Pa内に流れ込む。そして、
シール流路Paに供給された高圧流体は、図7において
点線で示すように、圧力室51に流入すると共に、羽根
車出口8b側、すなわち、前シュラウド空間部Pbに向
かう流れを形成することになる。
【0054】これにより、異物が混入している流体が羽
根車出口8bから前シュラウド空間部Pbに流れ込んだ
としてもシール流路Paに流入することは防止される。
この結果、シール流路Paと連通している圧力室51及
び間隙部Gに対する異物の流入を防止可能となり、内部
ケーシング5(突部52)と受圧面82aとが間隙部G
で焼き付いてしまうことを防止できる。なお、この場合
も、ポンプ等の高圧流体供給手段によって他系統から所
定圧力を有する高圧流体をシール流路Paに供給しても
よい。また、異物除去手段としては、ストレーナを用い
ることも可能である。
【0055】図8は、本発明による遠心流体機械の第2
実施形態に係る遠心ポンプの更に他の態様を示す。同図
に示す遠心ポンプ20Bでは、圧力室51に、羽根車出
口8bにおける流体の圧力と同等以上の圧力を有し、か
つ、異物が混入していない高圧流体が供給される。すな
わち、遠心ポンプ20Bの内部ケーシング5には、圧力
室51と連通する高圧流体流通路Pfが、例えば、放射
状に複数本形成されており、この高圧流体流通路Pf
は、絞り手段としてのオリフィス22を介して所定箇所
に設置されたサイクロンセパレータ21に接続されてい
る。サイクロンセパレータ21は、流入する流体中の異
物を除去する異物除去手段として機能し、配管を介して
遠心ポンプ20の吐出口3に接続されている。ここで、
吐出口3から吐出される流体(高圧流体)の圧力は、各
羽根車8の羽根車出口8bにおける流体の圧力と同等以
上である。
【0056】このような構成のもとでは、遠心ポンプ2
0の運転中、吐出口3から吐出される高圧流体の一部
は、サイクロンセパレータ21に流入することになり、
サイクロンセパレータ21によって異物が除去された高
圧流体は、オリフィス22及び内部ケーシング5に形成
された高圧流体流通路Peを介して圧力室51内に流れ
込む。そして、圧力室51に供給された高圧流体は、図
8において点線で示すように、シール流路Paを介して
前シュラウド空間部Pb側に向かう流れを形成すると共
に、間隙Gを介して羽根車入口8aに流れ込む。
【0057】これにより、異物が混入している流体が羽
根車出口8bから前シュラウド空間部Pbに流れ込んだ
としてもシール流路Paに流入することは防止される。
この結果、シール流路Paと連通している圧力室51及
び間隙部Gに対する異物の流入を防止可能となり、内部
ケーシング5(突部52)と受圧面82aとが間隙部G
で焼き付いてしまうことを防止できる。なお、オリフィ
ス22を介して圧力室51内に高圧流体を供給すれば、
圧力室51内の流体がもつ圧力を羽根車推力の変動に応
じて変化させることができる。また、この場合も、ポン
プ等の高圧流体供給手段によって他系統から所定圧力を
有する高圧流体を圧力室51に供給してもよい。また、
異物除去手段としては、ストレーナを用いることも可能
である。
【0058】〔第3実施形態〕以下、図9を参照しなが
ら、本発明による遠心式流体機械の第3実施形態につい
て説明する。なお、上述した第1実施形態等に関して説
明した要素と同一の要素については同一の符号を付し、
重複する説明は省略する。
【0059】図9に示す遠心ポンプ30も、上述した遠
心ポンプ1と同様に、複数の羽根車8を備えた、いわゆ
る横形多段ポンプとして構成されたものである。図9に
示すように、この遠心ポンプ30に備えられた羽根車8
の前シュラウド81には、羽根車8の外周部に位置する
シール部82が形成されており、羽根車8を収容する内
部ケーシング5には、前シュラウド81の表面と対向す
る圧力室51が形成されている。この圧力室51は、端
部シール流路Pcを介して羽根車出口8bと連通すると
共に、内部ケーシング5と前シュラウド81の端面81
aとにより画成される間隙部Gを介して羽根車出口8b
と連通している。
【0060】この遠心ポンプ30の運転中、前シュラウ
ド81の表面と対向している圧力室51に対しては、端
部シール流路Pcを介して羽根車出口8bから羽根車8
によって昇圧された流体が導かれる。これにより、遠心
ポンプ1の運転中、圧力室51の内部は常時流体で満た
されることになる。また、圧力室51は、間隙部Gを介
して羽根車入口8aと連通しているので、圧力室51内
の流体は、間隙部Gを介して羽根車入口8aに流入する
ことになる。
【0061】ここで、羽根車8が主軸10と共に圧力室
51側、すなわち、後シュラウド83側から前シュラウ
ド81側に向かう方向に移動したとする。この場合、間
隙部Gは通常時よりも狭まり、間隙部Gを流通する流体
の圧力損失が増大する。このため、圧力室51内では流
体の圧力が高まり、前シュラウド81の表面には、羽根
車8を圧力室51とは反対側に移動させようとする力、
すなわち、前シュラウド81側から後シュラウド83側
に向かう推力が作用する。一方、羽根車推力が減少して
羽根車8が主軸10と共に圧力室51の反対側、すなわ
ち、前シュラウド81側から後シュラウド83側に向か
う方向に移動したとする。この場合、間隙部Gが広が
り、この間隙部Gを流通する流体の圧力損失は減少す
る。このため、圧力室51内では流体の圧力が低下し、
前シュラウド81の表面に作用する推力も低減すること
になる。
【0062】このように、この遠心ポンプ30において
も、羽根車8自体で羽根車推力を相殺させることが可能
であるので、主軸10に作用するスラスト荷重を受け止
めるスラスト軸受等の負担を軽減することができる。特
に、このような構成を採用すれば、前シュラウド81の
表面のほぼ全体に羽根車推力を相殺するための力が加わ
るので、単位羽根車推力の変化に対する羽根車8の移動
量を小さくすること、すなわち、羽根車推力の変動に対
する許容量を大きくすることが可能となる。この結果、
スラスト軸受やスラストバランス機構を小型化、単純
化、又は、省略することが可能となるので、遠心ポンプ
30も、容易に小型化、コストダウン化することができ
る。
【0063】
【発明の効果】本発明による遠心式流体機械は、以上説
明したように構成されているため、次のような効果を得
る。すなわち、羽根車の前シュラウドに受圧面を有する
シール部を設け、流路を介して羽根車の羽根車出口と連
通すると共に間隙を介して羽根車入口と連通しており、
受圧面と対向する圧力室をケーシングに形成することに
より、羽根車自体で羽根車推力を相殺させることが可能
であり、容易に小型化、コストダウン化を図ることがで
きる遠心式流体機械の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による遠心式流体機械の第1実施形態に
係る遠心ポンプを示す部分断面図である。
【図2】図1の遠心ポンプの要部を示す拡大断面図であ
る。
【図3】間隙部の他の態様を示す拡大断面図である。
【図4】本発明による遠心式流体機械の第1実施形態に
係る遠心ポンプの他の態様を示す拡大断面図である。
【図5】本発明による遠心式流体機械の第1実施形態に
係る遠心ポンプの更に他の態様を示す拡大断面図であ
る。
【図6】本発明による遠心式流体機械の第2実施形態に
係る遠心ポンプを示す拡大断面図である。
【図7】本発明による遠心式流体機械の第2実施形態に
係る遠心ポンプの他の態様を示す拡大断面図である。
【図8】本発明による遠心式流体機械の第2実施形態に
係る遠心ポンプの更に他の態様を示す拡大断面図であ
る。
【図9】本発明による遠心式流体機械の第3実施形態に
係る遠心ポンプを示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1,1A,20,20A,20B,30…遠心ポンプ、
2…吸込口、3…吐出口、4…外部ケーシング、5…内
部ケーシング(ケーシング)、7…各羽根車、8…羽根
車、8a…羽根車入口、8b…羽根車出口、10…主
軸、12…返し羽根、21…サイクロンセパレータ(異
物除去手段)、22…オリフィス(絞り手段)、51…
圧力室、52…突部、52a…傾斜面、81…前シュラ
ウド、82…シール部、82a…受圧面、83…後シュ
ラウド、G,G1,G2…間隙部、P…流路、Pa…シ
ール流路、Pb…前シュラウド空間部、Pc…端部シー
ル流路、Pd,Pe,Pf…高圧流体流通路。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主軸に取り付けられた羽根車をケーシン
    グ内で回転させて流体を圧送する遠心流体機械におい
    て、 前記羽根車の前シュラウドに形成されており、所定の受
    圧面を有するシール部と、 前記シール部の前記受圧面と対向するように前記ケーシ
    ングに形成された圧力室と、 前記羽根車の羽根車出口から前記圧力室に流体を導くた
    めの流路と、 前記ケーシングと前記シール部の前記受圧面とにより画
    成され、前記圧力室と前記羽根車の羽根車入口とを連通
    する間隙部とを備えることを特徴とする遠心式流体機
    械。
  2. 【請求項2】 前記羽根車を複数備えると共に、前記各
    羽根車の間に、前段の羽根車から流出した流体を後段の
    羽根車に導くための返し羽根を備えており、少なくとも
    何れか1体の前記羽根車に対して、前記シール部、前記
    圧力室、前記流路、及び、前記間隙部が設けられている
    遠心多段ポンプであることを特徴とする請求項1に記載
    の遠心式流体機械。
  3. 【請求項3】 前記間隙部は、流路面積が圧力室側から
    羽根車入口側に向かうにつれて減少するように画成され
    ていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遠心式
    流体機械。
  4. 【請求項4】 前記間隙部は、前記羽根車の前シュラウ
    ド側から後シュラウド側に向けて傾斜させられているこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の遠心式流体機
    械。
  5. 【請求項5】 前記ケーシングと前記前シュラウドの表
    面とによって画成されると共に、前記羽根車出口及び前
    記中間圧力室と連通しており、前記流路の一部をなす前
    シュラウド空間部を更に備え、この前シュラウド空間部
    には、前記羽根車出口における流体の圧力と同等以上の
    圧力を有し、かつ、異物が混入していない高圧流体が供
    給されることを特徴とする請求項1又は2に記載の遠心
    式流体機械。
  6. 【請求項6】 前記ケーシングと前記シール部の外周面
    とによって画成されると共に、前記羽根車出口及び前記
    中間圧力室と連通しており、前記流路の一部をなすシー
    ル流路を更に備え、このシール流路には、前記羽根車出
    口における流体の圧力と同等以上の圧力を有し、かつ、
    異物が混入していない高圧流体が供給されることを特徴
    とする請求項1又は2に記載の遠心式流体機械。
  7. 【請求項7】 前記圧力室には、前記羽根車出口におけ
    る流体の圧力と同等以上の圧力を有し、かつ、異物が混
    入していない高圧流体が絞り手段を介して供給されるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の遠心式流体機
    械。
  8. 【請求項8】 主軸に取り付けられた羽根車をケーシン
    グ内で回転させて流体を圧送する遠心流体機械におい
    て、 前記羽根車の前シュラウドに形成されており、前記羽根
    車の外周部に位置するシール部と、 前記前シュラウドの表面と対向するように前記ケーシン
    グに形成された圧力室と、 前記シール部の外周面と前記ケーシングとにより画成さ
    れ、前記羽根車の羽根車出口から前記圧力室に流体を導
    くための流路と、 前記ケーシングと前記前シュラウドの端面とにより画成
    され、前記圧力室と前記羽根車の羽根車入口とを連通す
    る間隙部とを備えることを特徴とする遠心式流体機械。
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