JP2001106005A - エアバッグ用ガス発生器及びエアバッグ装置 - Google Patents

エアバッグ用ガス発生器及びエアバッグ装置

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JP2001106005A
JP2001106005A JP29198299A JP29198299A JP2001106005A JP 2001106005 A JP2001106005 A JP 2001106005A JP 29198299 A JP29198299 A JP 29198299A JP 29198299 A JP29198299 A JP 29198299A JP 2001106005 A JP2001106005 A JP 2001106005A
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igniter
gas
airbag
air bag
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Sadahiro Nakajima
禎浩 中島
Nobuyuki Oji
信之 大路
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝火薬を確実に燃焼できるエアバック用ガス
発生器の提供。 【解決手段】 点火器112には孔191を持つカップ190が
被せられており、点火時の火炎は、伝火薬116に狭い幅
で直進する。よって、伝火薬116が完全燃焼するため、
ガス発生剤109を完全燃焼させるに十分な火炎を確実に
発生できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアバッグ用ガス
発生器及びそれを用いたエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動車
を始め各種車両等に搭載されているエアバッグシステム
は、該車両が高速で衝突した際に、ガスによって急速に
膨張したエアバッグ(袋体)で搭乗者を支持し、搭乗者
が慣性によりハンドルや前面ガラス等の車両内部の硬い
部分に激突して負傷すること等を防ぐことを目的とす
る。このようなエアバッグシステムは、通常、車両の衝
突によって作動してガスを放出するガス発生器と、該ガ
スを導入して膨張するエアバッグとから構成されてい
る。
【0003】ガス発生器中に含まれるガス発生手段を点
火燃焼させるための点火手段は、通常、点火器と点火器
の作動により生じる火炎により燃焼される伝火薬を含む
が、点火器と伝火薬の配置の仕方によっては、伝火薬が
十分に燃焼されず、その結果、ガス発生手段を完全に燃
焼させることができない。即ち、点火器が作動して生じ
た火炎が伝火薬に向かって放射状に放たれた場合等に
は、その火炎の押圧力によって伝火薬が伝火薬収容室の
奥に向かって押圧されてしまい、押圧された奥の方の伝
火薬は十分に燃焼しないという問題が生じる。 よって
本発明は、伝火薬の完全な燃焼を確保し、その結果、ガ
ス発生剤の燃焼動作をより円滑で確実なものにすること
により、製品としての性能や信頼性を高めることができ
るエアバック用ガス発生器及びそれを用いたエアバック
装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガス排出口を
有するハウジング内に、衝撃によって作動する点火器と
伝火薬とを含む点火手段と、該点火手段によって着火・
燃焼されエアバッグを膨張させるための燃焼ガスを発生
するガス発生手段とを含んで収容してなるエアバッグ用
ガス発生器であり、該点火手段に於いて、点火器の火炎
放出部と伝火薬の少なくとも一部が向かい合っており、
かつ火炎放出部の面積(A)と伝火薬の面積(B)の面
積比(A/B)が0.005〜0.3であることを特徴
とするエアバック用ガス発生器を提供する。
【0005】かかるエアバック用ガス発生器は、点火器
により伝火薬を燃焼させ、さらにガス発生剤を燃焼させ
る構造のものであればどのような構造のものでも適用す
ることができ、前記面積比(A/B)を満たすことによ
り、点火器が作動着火した場合、伝火薬の面積に対して
十分に小さい面積の点火火炎が伝火薬収容室の奥まで入
ることができるので、確実に伝火薬を燃焼させることが
できる。かかる作用をより確実に行わせるため、前記面
積比(A/B)は、好ましくは0.01〜0.3、より
好ましくは0.01〜0.1である。
【0006】また、本発明においては、前記面積比(A
/B)を満たす手段として、(i)点火手段に於いて、点
火器自体を小さくして、前記面積比(A/B)を満たす
手段、(ii)点火手段に於いて、点火器の天面に1又は2
以上の孔を有するカップを被せることにより、前記面積
比(A/B)を満たす手段、(iii)点火手段に於いて、
点火器の火炎放出部に相当する部分のみから又は火炎放
出部に相当する部分から優先的に火炎が放出されるよう
にして、前記面積比(A/B)を満たす手段、のそれぞ
れを単独で使用することができ、又は二つもしくは三つ
の手段を組み合わせて使用することもできる。
【0007】上記において、「点火器の火炎放出部と伝
火薬の少なくとも一部が向かい合って」とは、点火器の
火炎放出部と伝火薬が軸方向に正対している場合のほ
か、正対していなくても点火器からの点火火炎のほぼ全
てが伝火薬に達する配置であればよい。
【0008】また、上記(iii)の手段としては、少なく
とも点火器の天面がカバー部材で被覆されており、前記
カバー部材の火炎放出部に相当する部分のみから又は火
炎放出部に相当する部分から優先的に火炎が放出される
ようにすることもできる。かかる手段としては、例え
ば、点火器の天面を被覆するカバー部材に、穴、しぼ
り、やぶれやすい部分を形成する手段が挙げられる。
【0009】また本発明は、ガス排出口を有するハウジ
ング内に、衝撃によって作動する点火器と伝火薬とを含
む点火手段と、該点火手段によって着火・燃焼されエア
バッグを膨張させるための燃焼ガスを発生するガス発生
手段とを含んで収容してなるエアバッグ用ガス発生器で
あり、該点火手段が、点火器と伝火薬が軸方向に正対
し、かつ分離して配置されている及び/又は燃焼室に連
通される伝火孔と伝火薬が半径方向に正対しないように
配置されている構造であって、前記面積比(A/B)を
満たすエアバック用ガス発生器を提供する。また、その
ために前記(i)〜(iii)の手段を用いることができる。
【0010】かかるエアバック用ガス発生器は、点火器
と伝火薬が軸方向に正対し、かつ分離して配置されてい
る場合、あるいは燃焼室に連通される伝火孔と伝火薬が
半径方向に正対しないように配置されている場合又はそ
れらの両方の配置状態を備えている場合に適用すること
もできる。「伝火孔と伝火薬が半径方向に正対しないよ
うに配置されている場合」の例としては図1の構造を挙
げることができ、逆に「正対するように配置されている
場合」の例としては図2の構造を挙げることができる。
また、「正対するように配置されている場合」とは、伝
火孔の一部又は全部と伝火薬とが、直に接するように配
置されているか又は伝火薬の燃焼により、容易に溶融又
は破裂する部材を介して接するように配置されているこ
とを意味する。このように、伝火薬が伝火孔に対して奥
まった位置にある場合に本発明は特に有効である。
【0011】かかるエアバック用ガス発生器は、点火器
が作動着火した場合、生じた火炎が該孔を通って狭い幅
で直進するため、伝火薬が押圧されることが抑制され、
しかも伝火薬の奥の方まで火炎が到達するので、伝火薬
を瞬時に完全燃焼させることができる。その結果、点火
器、伝火薬及び伝火孔の位置関係に係わらず、その後の
ガス発生剤の燃焼までの燃焼動作が円滑かつ確実になさ
れる。
【0012】本発明のエアバック用ガス発生器に於い
て、上記した解決手段以外の構成要素については特に限
定されるものではなく、公知のエアバック用ガス発生器
と同様の構成要素を採用することがき、更にそれらの構
成要素に於いて当業者によって通常なされる改変も含ま
れる。
【0013】例えば、本発明のエアバック用ガス発生器
は、点火手段を2以上有しており、夫々の点火手段によ
り別々に着火・燃焼し、エアバッグを膨張させる燃焼ガ
スを発生する2以上のガス発生手段を有している構造に
用いることもできる。
【0014】また、ガス発生手段としては、従来から広
く使用されている無機アジド、例えばナトリウムアジド
(アジ化ナトリウム)に基づくアジド系ガス発生剤の
他、無機アジドに基づかない非アジド系ガス発生剤を使
用することができる。但し、安全性を考慮すれば、非ア
ジド系ガス発生剤が望ましく、かかる非アジド系ガス発
生剤組成物としては、例えば、テトラゾール、トリアゾ
ール、又はこれらの金属塩等の含窒素有機化合物とアル
カリ金属硝酸塩等の酸素含有酸化剤を主成分とするも
の、トリアミノグアニジン硝酸塩、カルボヒドラジッ
ド、ニトログアニジン等を燃料及び窒素源とし、酸化剤
としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属の硝酸塩、塩
素酸塩、過塩素酸塩などを使用した組成物など種々のも
のを用いることができる。
【0015】その他にもガス発生手段は、燃焼速度、非
毒性、燃焼温度及び分解開始温度等の要求に応じて適宜
選定される。各燃焼室毎に異なる燃焼速度のガス発生手
段を用いる場合には、例えば、アジ化ナトリウム等の無
機アジド又はニトログアニジン等の非アジドを燃料及び
窒素源として用いる等、その組成や組成比自体が異なる
ガス発生手段を用いる他、ペレット状、ウエハー状、中
空円柱状、ディスク状、又は単孔体状若しくは多孔体状
等の様に組成物の形状を変えるか、或いは成形体の大き
さ等により表面積を変えたガス発生手段を用いることが
できる。特に、ガス発生手段の形状を貫通孔が複数個存
在する多孔体に形成する場合には、その孔の配置は特に
制限はないが、ガス発生器性能の安定化のため、成形体
の外端部と孔の中心との距離及び相互の孔の中心間距離
がほぼ等しくなる配置構造が望ましい。具体的には、例
えば成形体の断面が円型である円筒状成形体に於いて
は、中心に1個とその周囲に相互に等距離となる正三角
形の頂点の位置に孔の中心を有する6個の孔を配置した
構造が好ましい。更に同様にして中心に1個と周囲に1
8個の孔が存在する配置も考えられる。これらの孔数と
配置構造はガス発生剤の製造のしやすさ、及び製造コス
トと性能の兼ね合いで決定されるものであり、特に限定
されるものではない。
【0016】また、ハウジング内には、ガス発生手段の
燃焼によって発生した燃焼ガスを冷却するクーラント手
段を含んで収容することもできる。このクーラント手段
は、ガス発生手段の燃焼によって生じた燃焼ガスを冷却
及び/又は浄化する目的でハウジング内に配設されるも
のであり、例えば、従来使用されている燃焼ガスを浄化
する為のフィルタ及び/又は発生した燃焼ガスを冷却す
るクーラントを使用する他、適宜材料からなる金網を環
状の積層体とし、圧縮成形した積層金網フィルタ等も使
用できる。この積層金網クーラントは、望ましくは、平
編のステンレス鋼製金網を円筒体に形成し、この円筒体
の一端部を外側に繰り返し折り曲げて環状の積層体を形
成し、この積層体を型内で圧縮成形するか、或いは平編
のステンレス鋼製金網を円筒体に形成し、この円筒体を
半径方向に押圧して板体を形成し、該板体を筒状に多重
に巻回して積層体を形成して、これを型内で圧縮成形す
る等によって成形することができる。またその内側と外
側とを異なる積層金網体として二重構造として、内側に
クーラント手段の保護機能、外側にクーラント手段の膨
出抑止機能を有するものとすることもできる。なお、該
クーラント手段の外周を、積層金網体、多孔円筒体又は
環状ベルト体等からなる外層で支持することにより、そ
の膨出を抑止することもできる。
【0017】ハウジングは、ガス排出口を有するディフ
ューザシェルと、該ディフューザシェルと共に収容空間
を形成するクロージャシェルとを鋳造、鍛造又はプレス
加工などにより形成し、両シェルを接合して形成するこ
とができる。両シェルの接合は各種溶接法、例えば電子
ビーム溶接、レーザ溶接、ティグ溶接、プロセクション
溶接などにより行うことができる。このディフューザシ
ェルとクロージャシェルとは、ステンレス銅板等の各種
鋼板をプレス加工して形成した場合には、両シェルの製
造が容易になると共に、製造コストの低減も達成され
る。また両シェルを円筒形の単純、簡単な形状に形成す
ることによりそのプレス加工が容易となる。ディフュー
ザシェルとクロージャシェルの材料に関しては、ステン
レス鋼板が望ましいが、鋼板にニッケルメッキを施した
ものでもよい。
【0018】エアバッグ用ガス発生器は、該ガス発生器
で発生するガスを導入して膨張するエアバッグ(袋体)
と共にモジュールケース内に収容され、エアバッグ装置
となる。このエアバッグ装置は、衝撃センサが衝撃を感
知することに連動してガス発生器が作動し、ハウジング
のガス排出口から燃焼ガスを排出する。この燃焼ガスは
エアバッグ内に流入し、これによりエアバッグはモジュ
ールカバーを破って膨出し、車両中の硬い構造物と乗員
との間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態に基
づき、本発明のエアバッグ用ガス発生器を説明する。本
発明のガス発生器は、上記したとおり、伝火薬の燃焼動
作の問題を解決する手段を採用したことを特徴とするも
のであり、以下に於いては、前記手段と共に採用した場
合にエアバッグ用ガス発生器として望ましい作用効果を
奏する構成要素を含む形態について説明するが、前記解
決手段以外の構成要素については特に限定されるもので
はない。 「実施の形態1」図1及び図2は、一実施形態における
本発明のエアバッグ用ガス発生器を示す縦断面図であ
る。なお、図2は、伝火孔の配置が異なるほかは図1と
同一の形態のものである。これらの実施形態に示すガス
発生器は、特に運転席に配置するのに適した構造を有す
るものである。このガス発生器は、ガス排出口を有する
ディフューザシェル101と、該ディフューザシェルと
共に内部収容空間を形成するクロージャシェル102と
を接合してなるハウジング103内に、燃焼室と点火手
段収容室が配置されている。
【0020】燃焼室105は、ハウジング103と、そ
の内部に配置された略円筒形状の内筒部材104から形
成されている。この燃焼室105内には、衝撃をうけて
作動した点火手段によって燃焼し、燃焼ガスを発生する
ガス発生剤109が収容され、点火手段収容室170内
には、衝撃によって作動する点火手段が収容されてい
る。
【0021】点火手段は、点火手段収容室内に点火器と
伝火薬が収容されてなるものである。点火手段収容室1
70は、点火器112を、イニシエータカラー113及
び内筒部材104により包囲するように配置して形成さ
れている。
【0022】そして、点火器112とは軸方向に正対
し、かつ分離するように伝火薬収容室161が配置さ
れ、その内部にアルミニウム等の金属円筒製の伝火薬容
器に充填された伝火薬116が収容されている。この点
火器112には、伝火薬116に対向する側から、天面
に1又は2以上の孔191を有するカップ190(図3
参照)が被せられている。このカップ190は金属製の
ものが好ましく、その裾部分192をかしめたり、溶接
したりしてイニシエータカラー113に固定できる。カ
ップ190の天面と伝火薬116は接触していてもよい
し、間に間隙を有していてもよい。
【0023】そして、伝火薬161とは半径方向に正対
しない位置に、燃焼室105に連通する伝火孔195が
形成され、シールテープ196で閉塞されている。な
お、図2の形態の場合は、伝火薬161と半径方向に正
対する位置に、燃焼室105に連通する伝火孔195が
形成され、シールテープ196で閉塞されている。
【0024】カップ190の孔191の面積(A)と、
孔191と向かい合う伝火薬116の面積(B)との面
積比(A/B)は、0.006に設定されている。
【0025】電気着火式の点火器112は、イニシエー
タカラー113に、その頭部を突起させて設けられてい
る。この様にイニシエータカラー113に点火器112
を設けることにより、点火器112はイニシエータカラ
ー113に固定されて単一の部材となり、ガス発生器へ
の組付けが容易となる。
【0026】また、ハウジング103内には、ガス発生
剤109の燃焼によって発生した燃焼ガスを浄化・冷却
するためのクーラントフィルタ122が配設されてお
り、そのディフューザシェル101側の内周面は、クー
ラントフィルタ122の端面とディフューザシェル10
1天井部内面との間を燃焼ガスが通過することのない様
に、ショートパス防止部材123で覆われている。クー
ラントフィルタ122とハウジング103の内壁面との
間には、燃焼ガスが該フィルタ122の全面を通過する
ことができるように、間隙125が形成されている。
【0027】以上の図1及び図2に示す実施形態に於い
ては、点火器112の着火により生じた火炎は、カップ
190の孔191の作用により狭い幅で直進し、伝火薬
収容室161の奥まで到達して伝火薬116を瞬時に完
全燃焼させ、それにより生じた火炎は、シールテープ1
96を破裂させて伝火孔195から燃焼室105内に流
入し、ガス発生剤109を燃焼させてガスを発生させ
る。このようにカップ190を使用することによって、
点火器112の着火から伝火薬116の燃焼とガス発生
剤109の燃焼によるガス発生までの燃焼動作が円滑に
なされる。そして、燃焼室105で発生したガスは、い
ずれもクーラントフィルタ122及び間隙125を経
て、複数のガス排出口126から排出される。 「実施の形態2」図4は、一実施形態における本発明の
エアバッグ用ガス発生器を示す縦断面図である。なお、
この実施形態に示すガス発生器は、特に運転席に配置す
るのに適した構造を有するものである。
【0028】このガス発生器は、ガス排出口を有するデ
ィフューザシェル101と、該ディフューザシェルと共
に内部収容空間を形成するクロージャシェル102とを
接合してなるハウジング103内に、二つの燃焼室と点
火手段収容室が配置されている。
【0029】第1の燃焼室105aは、ハウジング10
3と、その内部に配置された略円筒形状の内筒部材10
4から形成されている。また、内筒部材104の内側に
設けた段欠き部106に略平板円形の隔壁107を配置
し、内筒部材104内を更に2室に画成して、ディフュ
ーザシェル101側に第2の燃焼室105b、クロージ
ャシェル102側に点火手段収容室170が形成されて
いる。よって、このガス発生器では、第1の燃焼室10
5aと第2の燃焼室105bは、ハウジング103内に
同心円に設けられて、ハウジング103の半径方向に隣
接している。
【0030】この第1及び第2の燃焼室105a、10
5b内には、衝撃をうけて作動した点火手段によって燃
焼し、燃焼ガスを発生するガス発生剤(109a,10
9b)が収容され、点火手段収容室170内には、衝撃
によって作動する点火手段が収容されている。
【0031】第1の燃焼室105aと第2の燃焼室10
5bとを画成する内筒部材104には、貫通孔110が
設けられており、この貫通孔は、シールテープ111に
より閉塞されている。但し、このシールテープ111
は、ガス発生剤が燃焼すると破裂することから、両燃焼
室は該貫通孔110により連通される。このシールテー
プ111は第2の燃焼室105bのガス発生剤109b
が燃焼した時にのみ破れるように、その材質や厚さを調
整する。本実施の形態では、厚さ40μmのステンレス
製のシールテープを用いている。貫通孔110は、ガス
排出口126bよりも開口面積が大きなものであり、燃
焼室105b内の内部圧力をコントロールする機能は有
していない。
【0032】点火手段は、点火手段収容室内に点火器と
伝火薬が収容されてなるものである。点火手段収容室1
70は、第1の点火器112a、第2の点火器112b
を、イニシエータカラー113、内筒部材104及び略
平板円形の隔壁107により包囲するように配置して形
成されている。なお、略平板円形の隔壁107は、図5
の分解斜視図に示すように、内筒部材104の段欠き部
106に係止する区画円形部材150と、該区画円形部
材150に係合するシールカップ部材160とで構成さ
れている。
【0033】第1の点火器112a側には、第1の点火
器112aとは軸方向に正対し、かつ分離するように伝
火薬収容室161が配置され、その内部にアルミニウム
等の金属円筒製の伝火薬容器116に充填された伝火薬
116aが収容されている。この第1の点火器112a
には、伝火薬116aに対向する側から、天面に1又は
2以上の孔191を有するカップ190(図3参照)が
被せられている。このカップ190は金属製のものが好
ましく、その裾部分192をかしめたり、溶接したりし
てイニシエータカラー113に固定できる。カップ19
0の天面と伝火薬116aは接触していてもよいし、間
に間隙を有していてもよい。そして、伝火薬161aと
は半径方向に正対しない位置に、第1の燃焼室105a
に連通する第1の伝火孔117が形成され、シールテー
プ118で閉塞されている。
【0034】カップ190の孔191の面積(A)と、
伝火薬116aの面積(B)(図5に示す伝火薬容器1
16の開口部の面積に近似する)との面積比(A/B)
は、0.006に設定されている。
【0035】電気着火式の2つの点火器112a,11
2bは、1つのイニシエータカラー113に互いに平行
に、その頭部を突起させて設けられている。この様に1
つのイニシエータカラー113に点火器112a,11
2bを設けることにより、2つの点火器はイニシエータ
カラー113に固定されて単一の部材となり、ガス発生
器への組付けが容易となる。特に図4に示すガス発生器
では、イニシエータカラー113を、内筒部材104内
に挿入可能な大きさとする事により、2つの点火器11
2a,112bを設けたイニシエータカラー113を内
筒104内に挿入した後、内筒部材104の下端をかし
めて該イニシエータカラー113を固定することによ
り、2つの点火器を容易且つ確実に固定することができ
る。また、2つの点火器をイニシエータカラー113に
配置する際には、それぞれの点火器の向きを容易に規制
することができる。
【0036】隔壁107を構成する区画円形部材150
は、略平板円形状であって、シールカップ部材160の
伝火薬収容室161を内嵌する開口部151と、底面を
円形状に刳り抜き、点火器112bの上部を収容する円
形穴部152と、円形穴部152の略中央に貫通して穿
設された第2の伝火孔119とを有している。
【0037】シールカップ部材160は、前記区画円形
部材150の開口部151内に嵌入して第2の燃焼室1
05b内に突出する筒状の伝火薬収容室161と、前記
区画円形部材150の円形穴部152と対向する位置に
形成され、伝火薬収容室161と反対側に延在する筒状
の点火器収容口162とを有している。
【0038】伝火薬収容室161の内側には、伝火薬1
16aが収容されており、また点火器収容口162に
は、第2の点火器112bが内嵌されている。この区画
円形部材150とシールカップ部材160とは、シール
カップ部材160の伝火薬収容室161を前記区画円形
部材150の開口部151に嵌入して係合しており、点
火器収容口162に内嵌された第2の点火器112bの
上部は、区画円形部材150の円形穴部152内に突出
している。
【0039】この区画円形部150とシールカップ部材
160とからなる隔壁107は、図4に示すように、内
筒部材104の内周面に形成された段欠き部106に係
止される。即ち、区画円形部材150の周縁が段欠き部
106に支持され、シールカップ部材160は、区画円
形部材150に当接して支持されている。またこのシー
ルカップ部材160の周縁は、点火器収容口162と同
一方向に曲折して形成されており、この曲折部163は
内筒部材104の内周面に設けられた溝164内に嵌入
している。これにより、区画円形部150は、シールカ
ップ部材160に支持されて、ハウジング103の軸方
向への移動が阻止されている。
【0040】また、このシールカップ部材160周縁の
曲折部163を、内筒部材104内周面の溝164内に
嵌入することにより、隔壁107(即ちシールカップ部
材160)と内筒部材104とは隙間なく係合してい
る。従って、内筒部材104内に於いて、クロージャシ
ェル102側に設けられる点火手段収容室108と、デ
ィフューザシェル101側に設けられる第2の燃焼室1
05bとは、該シールカップ部材160と溝164との
組み合わせからなる点火手段シール構造により確実に区
画されている。
【0041】前記シールカップ部材160に形成される
点火器収容口162は、その裾部を袴状に開いており、
その内側、即ち、該収容口162に収容された第2の点
火器112bとの間には、Oリング181が配置され、
該収容口162と第2の点火器112bとの間のシール
が行われている。
【0042】また、Oリング181は、2つの点火器1
12a,112bを単一のイニシエータカラー113に
固定する点火器固定部材182にも圧接していることか
ら、この第2の点火器112bは、区画円形部材の円形
穴部152−シールカップ部材の点火器収容口162−
Oリング181−点火器固定部材182によって区画さ
れた空間内に配置されている。なお、この実施形態に於
いては、点火カップ190と点火器固定部材182とが
一体に形成され、両方の機能を同時に具備するようにな
されているが、点火カップ190と点火器固定部材18
2とを、ぞれぞれ独立して形成してもよい。
【0043】よって、イニシエータカラー113に配置
された2つの点火器112a,112bは、イニシエー
タカラー113に外嵌する点火器固定部材182(及び
点火カップ190)に固定されている。この様な点火器
固定部材182(及び点火カップ190)を用いること
により、2つの点火器112a,112bを容易にイニ
シエータカラー113に組み合わせることができる。な
お、この実施の形態に示すガス発生器に於いては、第1
の点火器112aと第2の点火器112bとは異なる大
きさに形成され、その作動出力が異なるものが使用され
ているが、同じ作動出力の点火器を使用することもでき
る。
【0044】この様に区画された空間内は、第2の点火
器112bが作動することにより、区画円形部材150
の円形穴部152に形成された第2の伝火孔119を閉
塞するシールテープ120が破裂し、第2の燃焼室10
5bと連通する。そして第1の点火器112aと第2の
点火器112bとは、点火器収容口162の裾部−Oリ
ング181−点火器固定部材182からなるシール構造
(以下、「点火器シール構造」とする)によって、確実
に分離されている。これにより、何れかの点火器の作動
によって発生する火炎は、他の点火器が収容された空間
内に直接流入することはない。
【0045】図4に示すガス発生器に於いては、ハウジ
ング103に形成される複数のガス排出口(126a,
126b)は、その開口径及び/又は開口面積が2種類
以上に制御されている。その結果、各々の点火手段が作
動した時のハウジング最大内部圧力の差を抑えることが
でき、ガス発生器の作動時の内圧を均等化し、燃焼性能
が安定したエアバッグ用ガス発生器となる。また、この
実施の形態のガス発生器は、各ガス排出口の開口面積は
一定にしておき、シールテープ127等の遮断手段の厚
さを変更して破裂圧力を調節することにより、各々の点
火手段が作動した時のハウジング最大内部圧力の差を抑
えることもできる。更に、ガス排出口の開口径及び/又
は開口面の制御と積遮断手段の厚さの制御を併用するこ
とも当然可能である。
【0046】また、ハウジング103内には、ガス発生
剤(109a,109b)の燃焼によって発生した燃焼
ガスを浄化・冷却するためのクーラントフィルタ122
が配設されており、そのディフューザシェル101側の
内周面は、クーラントフィルタ122の端面とディフュ
ーザシェル101天井部内面との間を燃焼ガスが通過す
ることのない様に、ショートパス防止部材123で覆わ
れている。クーラントフィルタ122の外側には、燃焼
ガスの通過などによるフィルタ122の膨出を抑止する
ための外層124を配置している。この外層124は、
例えば、積層金網体を用いて形成する他、周壁面に複数
の貫通孔を有する多孔円筒状部材、或いは所定巾の帯状
部材を環状にしたベルト状抑止層を用いて形成すること
もできる。更に該外層124の外側には、燃焼ガスが該
フィルタ122の全面を通過することができるように、
間隙125が形成されている。
【0047】以上の実施形態に於いては、第1の点火器
112aの着火により生じた火炎は、カップ190の孔
191の作用により狭い幅で直進し、伝火薬収容室16
1の奥まで到達して伝火薬116aを瞬時に完全燃焼さ
せ、それにより生じた火炎は、シールテープ118を破
裂させて第1の伝火孔117から第1の燃焼室105a
内に流入し、ガス発生剤109aを燃焼させてガスを発
生させる。このようにカップ190を使用することによ
って、第1の点火器112aの着火から伝火薬116a
の燃焼とガス発生剤109aの燃焼によるガス発生まで
の燃焼動作が円滑になされる。また、第2の点火器11
2bの着火により生じた火炎は、シールテープ120を
破裂させて第2の伝火孔119から第2の燃焼室105
b内に流入し、ガス発生剤109bを燃焼させてガスを
発生させ、このガスはシールテープ111を破裂させ、
貫通孔110から第1の燃焼室に流入する。そして、第
1の燃焼室105aと第2の燃焼室105bで発生した
ガスは、いずれもクーラントフィルタ122及び間隙1
25を経て、複数のガス排出口(126a,126b)
から排出される。
【0048】本発明に於いては、図1、2及び4に示す
実施形態と同様の作用をなすものとして、点火器112
(112a)自体を小さくする(例えば、正面形状にお
いては細くし、平面形状においては小さくする)方法を
採用することができる。また、そのほか点火器112
(112a)をプラスチック製のカバー部材で覆い、点
火器112(112a)天面の火炎放出部に相当する部
分のカバー部材に孔を設ける方法、当該部分のカバー部
材に傷を付けるか、絞りを付けるか又は薄くすること等
で他の部分よりも破れ易くする方法を採用することもで
きる。 「実施の形態3」図6は、電気着火式点火手段を用いた
図1に示すガス発生器を含んで構成した場合の本発明の
エアバッグ装置の実施例を示す。
【0049】このエアバッグ装置は、ガス発生器300
と、衝撃センサ301と、コントロールユニット302
と、モジュールケース303と、そしてエアバッグ30
4からなっている。ガス発生器300は、図1に基づい
て説明したガス発生器が使用されており、その作動性能
は、ガス発生器作動初期の段階に於いて、乗員に対して
できる限り衝撃を与えないように調整されている。
【0050】衝撃センサ301は、例えば半導体式加速
度センサからなることができる。この半導体式加速度セ
ンサは、加速度が加わるとたわむようにされたシリコン
基板のビーム上に4個の半導体ひずみゲージが形成さ
れ、これら半導体ひずみゲージはブリッジ接続されてい
る。加速度が加わるとビームがたわみ、表面にひずみが
発生する。このひずみにより半導体ひずみゲージの抵抗
が変化し、その抵抗変化を加速度に比例した電圧信号と
して検出するようになっている。
【0051】コントロールユニット302は、点火判定
回路を備えており、この点火判定回路に前記半導体式加
速度センサからの信号が入力するようになっている。セ
ンサ301からの衝撃信号がある値を越えた時点でコン
トロールユニット302は演算を開始し、演算した結果
がある値を越えたとき、ガス発生器300の点火器11
2に作動信号を出力する。
【0052】モジュールケース300は、例えばポリウ
レタンから形成され、モジュールカバー305を含んで
いる。このモジュールケース303内にエアバッグ30
4及びガス発生器300が収容されてパッドモジュール
として構成される。このパッドモジュールは、自動車の
運転席側取り付ける場合には、通常ステアリングホイー
ル307に取り付けられている。
【0053】エアバッグ304は、ナイロン(例えばナ
イロン66)、又はポリエステルなどから形成され、その
袋口306がガス発生器のガス排出口を取り囲み、折り
畳まれた状態でガス発生器のフランジ部に固定されてい
る。
【0054】自動車の衝突時に衝撃を半導体式加速度セ
ンサ301が感知すると、その信号がコントロールユニ
ット302に送られ、センサからの衝撃信号がある値を
越えた時点でコントロールユニット302は演算を開始
する。演算した結果がある値を越えたときガス発生器3
00の点火器112に作動信号を出力する。これにより
点火器112が作動してガス発生剤に点火しガス発生剤
は燃焼してガスを生成する。このガスはエアバッグ30
4内に噴出し、これによりエアバッグはモジュールカバ
ー305を破って膨出し、ステアリングホイール307
と乗員の間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、伝火薬の燃焼動作、特
に点火器、伝火薬(伝火薬収容室)及び伝火孔との配置
関係に係わらず、点火器の着火から伝火薬の燃焼及びガ
ス発生剤の燃焼までの一連の燃焼動作を円滑に行うこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のガス発生器の一の実施形態を示す縦
断面図。
【図2】 本発明のガス発生器の他の実施形態を示す縦
断面図。
【図3】 カップを示す斜視図。
【図4】 本発明のガス発生器の他の実施形態を示す縦
断面図。
【図5】 隔壁を示す分解斜視図。
【図6】 本発明のエアバック装置の概念図。
【符号の説明】
101 ディフューザシェル 102 クロージャシェルと 103 ハウジング 105 燃焼室 105a 第1の燃焼室 105b 第2の燃焼室 109 ガス発生剤 109a,b ガス発生剤 112 点火器 112a 第1の点火器 112b 第2の点火器 116、116a 伝火薬 161 伝火薬収容室 170 点火手段収容室 190 カップ 191 孔

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス排出口を有するハウジング内に、衝
    撃によって作動する点火器と伝火薬とを含む点火手段
    と、該点火手段によって着火・燃焼されエアバッグを膨
    張させるための燃焼ガスを発生するガス発生手段とを含
    んで収容してなるエアバッグ用ガス発生器であり、該点
    火手段に於いて、点火器の火炎放出部と伝火薬の少なく
    とも一部が向かい合っており、かつ火炎放出部の面積
    (A)と伝火薬の面積(B)の面積比(A/B)が0.
    005〜0.3であることを特徴とするエアバック用ガ
    ス発生器。
  2. 【請求項2】 面積比(A/B)が0.01〜0.3で
    ある請求項1記載のエアバック用ガス発生器。
  3. 【請求項3】 面積比(A/B)が0.01〜0.1で
    ある請求項1記載のエアバック用ガス発生器。
  4. 【請求項4】 点火手段に於いて、点火器自体を小さく
    して、前記面積比(A/B)を満たした請求項1〜3の
    何れか一記載のエアバック用ガス発生器。
  5. 【請求項5】 点火手段に於いて、点火器の天面に1又
    は2以上の孔を有するカップを被せることにより、前記
    面積比(A/B)を満たした請求項1〜3の何れか一記
    載のエアバック用ガス発生器。
  6. 【請求項6】 点火手段に於いて、点火器の火炎放出部
    に相当する部分のみから又は火炎放出部に相当する部分
    から優先的に火炎が放出されるようにして、前記面積比
    (A/B)を満たした請求項1〜3の何れか一記載のエ
    アバック用ガス発生器。
  7. 【請求項7】 少なくとも点火器の天面がカバー部材で
    被覆されており、前記カバー部材の火炎放出部に相当す
    る部分のみから又は火炎放出部に相当する部分から優先
    的に火炎が放出されるものである請求項6記載のエアバ
    ック用ガス発生器。
  8. 【請求項8】 ガス排出口を有するハウジング内に、衝
    撃によって作動する点火器と伝火薬とを含む点火手段
    と、該点火手段によって着火・燃焼されエアバッグを膨
    張させるための燃焼ガスを発生するガス発生手段とを含
    んで収容してなるエアバッグ用ガス発生器であり、該点
    火手段が、点火器と伝火薬が軸方向に正対し、かつ分離
    して配置されている及び/又は燃焼室に連通される伝火
    孔と伝火薬が半径方向に正対しないように配置されてい
    るものである請求項1〜7の何れか一項記載のエアバッ
    ク用ガス発生器。
  9. 【請求項9】 エアバッグ用ガス発生器と、衝撃を感知
    して前記ガス発生器を作動させる衝撃センサと、前記ガ
    ス発生器で発生するガスを導入して膨張するエアバッグ
    と、前記エアバッグを収容するモジュールケースとを含
    み、前記エアバッグ用ガス発生器が請求項1〜8の何れ
    か一項記載のエアバッグ用ガス発生器であることを特徴
    とするエアバッグ装置。
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CNB00813815XA CN1138659C (zh) 1999-10-04 2000-10-04 用于气囊的气体发生器以及气囊装置
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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