JP3766643B2 - エアバッグ用ガス発生器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアバッグ用ガス発生器、及びそれを用いたエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来技術】
自動車を始め各種車両等に搭載されているエアバッグシステムは、該車両が高速で衝突した際に、ガスによって急速に膨張したエアバッグ(袋体)で搭乗者を支持し、搭乗者が慣性によりハンドルや前面ガラス等の車両内部の硬い部分に激突して負傷すること等を防ぐことを目的とする。このようなエアバッグシステムは、通常、車両の衝突によって作動してガスを放出するガス発生器と、該ガスを導入して膨張するエアバッグとから構成されている。
【0003】
かかるエアバッグシステムは、乗員の体格(例えば座高の高い人若しくは低い人、又は大人若しくは子供等)や、その搭乗姿勢(例えばハンドルにしがみついた姿勢)等が異なる場合であっても、乗員を安全に拘束可能であることが望ましい。そこで従来、作動時初期の段階に於いて、乗員に対してできる限り衝撃を与えないで作動する様なエアバッグシステムの提案がなされている。このようなガス発生器は、特開平8−207696号公報、米国特許第4,998,751号及び米国特許第4,950,458号等に開示されおり、特開平8−207696号公報では、1つの点火器で2種類のガス発生剤のカプセルを着火し、二段階でガスを発生させるガス発生器が、米国特許第4,998,751号、米国特許第4,950,458号では、ガス発生器の作動機能を規制するため二つの燃焼室を設けて、ガス発生剤の燃え広がりにより二段階でガスを発生するガス発生器がそれぞれ提案されている。
【0004】
しかしながらこの様なガス発生器では、その内部構造が複雑であり、容器の大きさが大きくなり、コスト高の要因となるという欠点を有する。
【0005】
また特開平9-183359号、及び独国特許第19620758号では、ハウジング内に、ガス発生剤が収容された燃焼室を2室設けて、それぞれの燃焼室毎に点火器を配置し、各点火器の作動タイミングを調整することにより、ガス発生器の作動出力を調整可能としたガス発生器が開示されている。しかしながら、何れのガス発生器も、各燃焼室毎に配置される点火器は、それぞれ別個に配置されることから、その組み付け(製造)も困難なものとなり、またガス発生器の構造自体も複雑で、容積も大きいものとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
よって本発明は、容器の全体的な大きさを抑え、且つ簡易な構造であって製造容易としながらも、その作動初期の段階に於いて、乗員に対してできる限り衝撃を与えないで作動し、且つ乗員の体格(例えば座高の高い人若しくは低い人、又は大人若しくは子供等)や、その搭乗姿勢(例えばハンドルにしがみついた姿勢)等が異なる場合であっても、乗員を安全に拘束可能な様に、任意にガス発生器の作動出力、及び出力上昇のタイミングを幅広く調整可能としたガス発生器を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、ガス排出口を有するハウジング内に、衝撃によって作動する点火器と、点火器によって着火・燃焼されエアバッグを膨張させるための燃焼ガスを発生するガス発生剤が収容された2つの燃焼室とを含んで収容してなるエアバッグ用ガス発生器であって、
ハウジング内には、同時に又は時間差をおいて燃焼してガスを発生させるガス発生剤を収容する2つの燃焼室が、ハウジングの半径方向に隣接して設けられており、
2つの燃焼室で生じた燃焼ガスは、独立した2つのガス排出経路を経てガス排出口から排出されるものであり、
2つの燃焼室は、2つのガス排出経路を経て相互に連通されており、一方の燃焼室で生じた燃焼ガスにより、他方の燃焼室のガス発生剤が着火燃焼されることがないエアバッグ用ガス発生器を提供する。
【0008】
上記発明では、ハウジング内には、同時に又は時間差をおいて燃焼してガスを発生させるガス発生剤を収容する2つの燃焼室が、ハウジングの半径方向に隣接して、かつ同心円に設けられているものにすることができる。
【0009】
上記発明では、ハウジング内には略円筒状の内筒部材が配置され、内筒部材のハウジング半径方向外側に環状の燃焼室が形成され、前記内筒部材の内側に他方の燃焼室が形成されているものにすることができる。この発明では、2つの燃焼室が、2つのガス排出経路と環状の共通空間を経て相互に連通されているものにすることができる。更にこの発明では、前記内筒部材の内部がハウジング半径方向に設けられた仕切り壁により二分割されており、上部空間側に燃焼室が設けられ、下部空間側に2つの点火器が設けられているものが好ましい。
【0010】
2つの燃焼室に収容されたガス発生剤の燃焼により発生する燃焼ガスが、各燃焼室毎に異なった流路でガス排出口に到達し、一の燃焼室内に収容されたガス発生剤が、他の燃焼室内で発生した燃焼ガスにより、直接着火されることのないガス発生器とした場合には、各燃焼室内のガス発生剤は、それぞれの燃焼室毎に完全に独立して燃焼することから、より確実に、各燃焼室内に収容されたガス発生剤の着火・燃焼を独立して行うことができる。
【0011】
その結果、2つの点火器の作動タイミングを相当ずらした場合に於いても、最初に作動した点火器により着火された1の燃焼室内のガス発生剤の火炎が、他の燃焼室内のガス発生剤を燃焼することはなく、安定した作動出力を得ることができる。この様なガス発生器は、例えばハウジング内に、流路形成部材を配置して流路を形成し、1の燃焼室内で発生する燃焼ガスをそのままクーラント手段に導くことによって行うことができる。
【0012】
上記各発明では、2つの燃焼室と、2つの燃焼室のハウジング半径方向外側に設けられた環状の共通間隙との間に環状のクーラント・フィルタが配置されており、燃焼ガスがクーラント・フィルタを経由して環状の共通間隙に流入するものが好ましい。
【0013】
上記各発明では、遅れてガスを発生させる燃焼室のガス排出経路が先にガスを発生させる燃焼室内を経由しているものが好ましい。
【0014】
上記各発明では、先にガスを発生させる燃焼室内に流路形成部材が配置され、前記燃焼室を2つに仕切ることにより、2つの燃焼室で生じた燃焼ガスの独立したガス排出経路を形成しているものが好ましい。
【0015】
上記各発明では、先にガスを発生させる燃焼室内に流路形成部材が配置され、前記燃焼室を2つに仕切ることにより、2つの燃焼室で生じた燃焼ガスの独立したガス排出経路を形成すると共に、前記流路形成部材に設けられた貫通孔を経て遅れて生じた燃焼ガスを排出するものが好ましい。
【0016】
上記各発明中、流路形成部材を含む発明においては、流路形成部材が、小径の内周壁及び大径の外周壁と、内周壁及び外周壁を繋ぐ天井面が閉塞された円形部と、円形部に設けられ、内周壁及び外周壁とは反対方向に突設された支持壁とを有し、円形部に対向する面が開口された環状部材であり、前記支持壁に遅れて発生したガスを通過させる貫通孔が設けられたものであることが好ましい。
【0017】
上記各発明中、内筒部材を含む発明においては、小径の内周壁及び大径の外周壁と、内周壁及び外周壁を繋ぐ天井面が閉塞された円形部と、円形部に設けられ、内周壁及び外周壁とは反対方向に突設された支持壁とを有し、円形部に対向する面が開口された環状部材であり、前記支持壁に遅れて生じたガスを通過させる貫通孔が設けられた流路形成部材が、内周壁で内筒部材を挟持し、支持壁をハウジング天井面に当接することで取り付けられているものが好ましい。
【0018】
請求項11に係る発明は、ガス排出口を有するハウジング内に、衝撃によって作動する点火器と、点火器によって着火・燃焼されエアバッグを膨張させるための燃焼ガスを発生するガス発生剤が収容された2つの燃焼室とを含んで収容してなるエアバッグ用ガス発生器であって、
ハウジング内には略円筒状の内筒部材が配置され、内筒部材のハウジング半径方向外側に環状の第一の燃焼室が形成され、前記内筒部材の内側に第二の燃焼室が形成されることで、2つの燃焼室がハウジングの半径方向に隣接して同心円に設けられており、
更に第一の燃焼室のハウジング半径方向外側には、順に環状のクーラント・フィルタと環状の共通間隙が設けられ、第一及び第二の燃焼室は、クーラント・フィルタ及び環状の共通間隙を経て相互に連通されており、
2つの燃焼室は同時に又は時間差をおいてそれぞれのガス発生剤を燃焼させるもので、先にガス発生剤を燃焼させる第一の燃焼室内に流路形成部材が配置され、第一の燃焼室を2つに仕切ることにより、2つの燃焼室より発生した燃焼ガスの独立したガス排出経路が形成されており、
流路形成部材が、小径の内周壁及び大径の外周壁と、内周壁及び外周壁を繋ぐ天井面が閉塞された円形部と、円形部に設けられ、内周壁及び外周壁とは反対方向に突設された支持壁とを有し、円形部に対向する面が開口された環状部材であり、前記支持壁に遅れて生じたガスを通過させる貫通孔が設けられたもので、内周壁で内筒部材を挟持し、外周壁でクーラント・フィルタを押圧し、更に支持壁をハウジング天井面に当接することで取り付けられており、
第一の燃焼室で生じた燃焼ガスにより、第二の燃焼室のガス発生剤が着火燃焼されることがないエアバッグ用ガス発生器を提供する。
【0019】
上記発明では、前記内筒部材の内部が隔壁により軸方向に二分割されており、上部空間側に第二の燃焼室が設けられ、下部空間側に2つの点火器が設けられているものが好ましい。
【0020】
上記各発明では、遅れてガスを発生させる燃焼室(第二の燃焼室)内に、ガス発生剤を着火燃焼させる伝火薬が配置されているものが好ましい。
【0021】
ガス発生剤としては、従来から広く使用されている無機アジド、例えばナトリウムアジド(アジ化ナトリウム)に基づくアジド系ガス発生剤の他、無機アジドに基づかない非アジド系ガス発生剤を使用することができる。但し、安全性を考慮すれば、非アジド系ガス発生剤が望ましく、かかる非アジド系ガス発生剤組成物としては、例えば、テトラゾール、トリアゾール、又はこれらの金属塩等の含窒素有機化合物とアルカリ金属硝酸塩等の酸素含有酸化剤を主成分とするもの、トリアミノグアニジン硝酸塩、カルボヒドラジッド、ニトログアニジン等を燃料及び窒素源とし、酸化剤としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属の硝酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩などを使用した組成物など種々のものを用いることができる。その他にもガス発生剤は、燃焼速度、非毒性、燃焼温度及び分解開始温度等の要求に応じて適宜選定される。
【0022】
各燃焼室毎に異なる燃焼速度のガス発生剤を用いる場合には、例えば、アジ化ナトリウム等の無機アジド又はニトログアニジン等の非アジドを燃料及び窒素源として用いる等、その組成や組成比自体が異なるガス発生剤を用いる他、ペレット状、ウエハー状、中空円柱状、ディスク状、又は単孔体状若しくは多孔体状等の様に組成物の形状を変えるか、或いは成形体の大きさ等により表面積を変えたガス発生剤を用いることができる。
【0023】
特に、ガス発生剤の形状を貫通孔が複数個存在する多孔体に形成する場合には、その孔の配置は特に制限はないが、ガス発生器性能の安定化のため、成形体の外端部と孔の中心との距離及び相互の孔の中心間距離がほぼ等しくなる配置構造が望ましい。具体的には、例えば成形体の断面が円型である円筒状成形体においては、中心に1個とその周囲に相互に等距離となる正三角形の頂点の位置に孔の中心を有する6個の孔を配置した構造が好ましい。更に同様にして中心に1個と周囲に18個の孔が存在する配置も考えられる。これらの孔数と配置構造はガス発生剤の製造のしやすさ、及び製造コストと性能の兼ね合いで決定されるものであり、特に限定されるものではない。
【0024】
クーラント・フィルタは、ガス発生剤の燃焼によって生じた燃焼ガスを冷却及び/又は浄化する目的でハウジング内に配設されるものであり、例えば、従来使用されている燃焼ガスを浄化する為のフィルタ及び/又は発生した燃焼ガスを冷却するクーラントを使用する他、適宜材料からなる金網を環状の積層体とし、圧縮成形した積層金網フィルタ等も使用できる。
【0025】
この積層金網クーラントは、望ましくは、平編のステンレス鋼製金網を円筒体に形成し、この円筒体の一端部を外側に繰り返し折り曲げて環状の積層体を形成し、この積層体を型内で圧縮成形するか、或いは平編のステンレス鋼製金網を円筒体に形成し、この円筒体を半径方向に押圧して板体を形成し、該板体を筒状に多重に巻回して積層体を形成して、これを型内で圧縮成形する等によって成形することができる。
【0026】
またその内側と外側とを異なる積層金網体として二重構造として、内側にクーラント手段の保護機能、外側にクーラント手段の膨出抑止機能を有するものとすることもできる。なお、該クーラント手段の外周を、積層金網体、多孔円筒体又は環状ベルト体等からなる外層で支持することにより、その膨出を抑止することもできる。
【0027】
上記ハウジングは、ガス排出口を有するディフューザシェルと、該ディフューザシェルと共に収容空間を形成するクロージャシェルとを鋳造、鍛造又はプレス加工などにより形成し、両シェルを接合して形成することができる。両シェルの接合は各種溶接法、例えば電子ビーム溶接、レーザ溶接、ティグ溶接、プロセクション溶接などにより行うことができる。
【0028】
このディフューザシェルとクロージャシェルとは、ステンレス銅板等の各種鋼板をプレス加工して形成した場合には、両シェルの製造が容易になると共に、製造コストの低減も達成される。また両シェルを円筒形の単純、簡単な形状に形成することによりそのプレス加工が容易となる。ディフューザシェルとクロージャシェルの材料に関しては、ステンレス鋼板が望ましいが、鋼板にニッケルメッキを施したものでもよい。
【0029】
上記ハウジング内には、更に衝撃を感知して作動し、ガス発生剤を着火・燃焼させる点火器も収容される。この点火器は、本発明のガス発生器では衝撃を感知した衝撃センサ等から伝達される電気信号(又は作動信号)により作動する電気着火式点火器が使用される。
【0030】
電気着火式点火器は、半導体式加速度センサなど専ら電気的な機構により衝撃を感知する電気式センサから伝達される電気信号に基づいて作動する点火器と、必要に応じて点火器の作動により着火・燃焼する伝火薬とを含んで構成される。
【0031】
請求項14に係る発明は、上記各発明のエアバッグ用ガス発生器と、衝撃を感知して前記ガス発生器を作動させる衝撃センサと、前記ガス発生器で発生するガスを導入して膨張するエアバッグと、前記エアバッグを収容するモジュールケースとを含むエアバッグ装置を提供する。
【0032】
上記のエアバッグ用ガス発生器は、該ガス発生器で発生するガスを導入して膨張するエアバッグ(袋体)と共にモジュールケース内に収容され、エアバッグ装置となる。このエアバッグ装置は、衝撃センサが衝撃を感知することに連動してガス発生器が作動し、ハウジングのガス排出口から燃焼ガスを排出する。この燃焼ガスはエアバッグ内に流入し、これによりエアバッグはモジュールカバーを破って膨出し、車両中の硬い構造物と乗員との間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態に基づき、本発明のエアバッグ用ガス発生器を説明する。
【0034】
「実施の形態1」
図1は、本発明のエアバッグ用ガス発生器の第一の実施の形態の縦断面図であり、特に運転席側に配置するのに適した構造となっている。
【0035】
このガス発生器は、ガス排出口を有するディフューザシェル1と、該ディフューザシェルと共に内部収容空間を形成するクロージャシェル2とを接合してなるハウジング3内に、略円筒形状の内筒部材4を配置して、その外側を第一の燃焼室としている。また、該内筒部材の内側には段欠き部6を設け、該段欠き部に略平板円形の隔壁7を配置しており、この隔壁で該内筒内を更に2室に画成し、ディフューザシェル側(上部空間側)に第二の燃焼室5b、クロージャシェル側(下部空間側)に点火器収容室8を形成している。
【0036】
その結果、このガス発生器では、第一の燃焼室5aと第二の燃焼室5bとは、ハウジング3内に同心円に設けられて、該ハウジングの半径方向に隣接している。この第一及び第二の燃焼室内には、衝撃をうけて作動した点火器によって燃焼し、燃焼ガスを発生するガス発生剤(9a,9b)が収容され、点火器収容室8内には、衝撃によって作動する点火器が収容されている。
【0037】
第一の燃焼室5aと第二の燃焼室5bとを画成する内筒部材4には貫通孔10が設けられている。貫通孔10は、ガス排出口26bよりも開口面積を広げており燃焼室5b内の内部圧力をコントロールする機能は有していない。
【0038】
点火器は、センサーが衝撃を感知する事に基づいて出力される作動信号によって作動する2つの電気着火式点火器(12a,12b)を含んで構成されており、該点火器同士は、1つのイニシエータカラー13に互いに平行に、その頭部を突起させて設けられている。この様に1つのイニシエータカラー13に2つの点火器(12a,12b)を設けることにより、該2つの点火器はイニシエータカラー13に固定されて単一の部材となり、ガス発生器への組付けが容易となる。特にこの図に示すガス発生器では、該イニシエータカラー13を、内筒部材4内に挿入可能な大きさとする事により、2つの点火器(12a,12b)を設けたイニシエータカラー13を該内筒4内に挿入した後、内筒部材4の下端をかしめて該イニシエータカラーを固定することにより、点火器を容易且つ確実に固定することができる。
【0039】
また、2つの点火器(12a,12b)をイニシエータカラー13に配置する際には、それぞれの点火器の向きを容易に規制することができる。図面上、この2つの点火器は、ハウジングの中心軸に対して偏心して配置されている。各点火器(12a,12b)の向きを揃えて配置した場合には、図2の本実施の形態のガス発生器の背面図に示すように、点火器(12a,12b)とコントロールユニット(図示せず)とを接続するリードワイヤー50を同一平面上で、同一方向に引き出すことができる。図2では、このリードワイヤー50は、それぞれコネクター50aを介して各点火器(12a,12b)に接続されており、またコネクターは、同一平面上に平行に並べて設けられている。このコネクターをL字状とすることにより、点火器に電気信号(作動信号)を伝えるリードワイヤーを、ハウジングの軸方向と直交する方向(つまり、ハウジングの半径方向に)に引き出すことができ、その際、各点火器毎に接続されるリードワイヤーを同じ方向に引き出すこともできる。
【0040】
この実施の形態では、イニシエータカラー13と隔壁7との間の空間に、何れか1つの点火器12b(以下、「第二の点火器」とする)を包囲するように略円筒形状の分離筒14を配置して、その外側に第一の伝火薬収容室15a、内側に第二の伝火薬収容室15bを画成し、そして各収容室内に、点火器と、該点火器と共に点火器を構成する伝火薬とを収容している。
【0041】
その結果、点火器と共に点火器を構成する伝火薬(16a,16b)は、各点火器(12a,12b)毎に確実に区分されることとなる。この第一の伝火薬収容室15aは、その中に収容された伝火薬16aが燃焼すると、内筒部材4に形成された伝火孔17を閉塞するシールテープ18が破裂して第一の燃焼室5aと連通する。
【0042】
また第二の伝火薬収容室15bも、その中の伝火薬16bが燃焼すると隔壁7に形成された伝火孔19を閉塞するシールテープ20が破裂して第二の燃焼室5bと連通する。依って、このガス発生器は、作動に際して、第一の点火器12aが着火(作動)したときの火炎は、その収容室15a内にある伝火薬16aを着火・燃焼させ、その火炎が内筒部材4に形成された伝火孔17を通り、該収容室15aの半径方向に位置する第一の燃焼室5a内に収容された7孔のガス発生剤9aを着火燃焼させる。
【0043】
また第二の点火器12bは、その収容室15b内の第二の伝火薬16bを着火・燃焼させ、その火炎が該収容室15bの軸方向に設けられた伝火孔19を通り、その延長上にある第二の燃焼室5b内に収容された単孔のガス発生剤9bを着火・燃焼させる。この第二の燃焼室9b内で発生した燃焼ガスは、内筒部材4のディフューザシェル1側に設けられた貫通孔10を通り第一の燃焼室5a内に流入する。
【0044】
特に図1に示すガス発生器では、作動性能を安定化するために第二の点火器12bと第一の点火器12aが同時に着火することはあるが、前者12bが後者12aよりも先に作動することはない。つまり第二の燃焼室5bに収容されたガス発生剤9bは、第一の燃焼室5aに収容されたガス発生剤9aと同時か、或いは遅れて燃焼する。第一の燃焼室5aのガス発生剤9aが第二のガス発生剤9bよりも先に燃焼する場合、前述のようにシールテープ11は第一のガス発生剤9aの燃焼によっては破れず、第二のガス発生剤9bの燃焼のみによって破れる。
【0045】
またこの図に示すガス発生器では、イニシエータカラーと隔壁との間に配置される分離筒14は、図3の要部拡大図に示すように、隔壁7の下面とイニシエータカラー13の上面に該分離筒14の外形に相当する穴部21を設け、それぞれの穴部に分離筒14の上端又は下端を嵌入して配置されている。
【0046】
この様に分離筒14を配置していることにより、何れか一の伝火薬燃焼室内で発生する伝火薬の火炎が、他の伝火薬収容室内の伝火薬を直接燃焼させることはなく、2つの燃焼室内に収容されたガス発生剤は、それぞれ異なる区分の伝火薬が燃焼した火炎により着火・燃焼される。即ち、通常、該分離筒14内(即ち第二の伝火薬収容室内)で伝火薬が燃焼した場合には、その燃焼によって生じるガスの圧力は、該分離筒を半径方向に押し広げるようにも働くこととなるが、分離筒を図3に示すように配置することにより、該分離筒の上下端部はそれぞれが嵌入する穴部の周壁に確実に支持されていることとなり、単に分離筒を隔壁とイニシエータカラーとの間で挟持した場合に比べ、より確実に伝火薬の燃焼ガス・火炎の漏洩を阻止することができる。
【0047】
またハウジング3内には、ガス発生剤(9a,9b)の燃焼によって発生した燃焼ガスを浄化・冷却するための共通のクーラント・フィルタ22が配設されており、そのディフューザシェル1側の内周面は、クーラント・フィルタ22の端面とディフューザシェル1天井部内面28との間を燃焼ガスが通過することのない様に、ショートパス防止部材23で覆われている。
【0048】
該クーラント・フィルタ22の外側には、燃焼ガスの通過などによる該フィルタ22の膨出を抑止するための外層24を配置している。この外層24は、例えば、積層金網体を用いて形成する他、周壁面に複数の貫通孔を有する多孔円筒状部材、或いは所定巾の帯状部材を環状にしたベルト状抑止層を用いて形成することもできる。
【0049】
更に該外層24の外側には、燃焼ガスが該フィルタ22の全面を通過することができるように、間隙25が形成されている。ディフューザシェルに形成されるガス排出口26は、外気の進入を阻止するためシールテープ27で閉塞されている。このシールテープ27は、ガスを放出する際に破裂する。シールテープ27は外部の湿気からガス発生剤を保護するのが目的であり、燃焼内圧などの性能調整には全く影響を与えるものではない。
【0050】
上記の様に形成されたガス発生器では、点火器収容室8内であって該分離筒14の外に配置された第一の点火器12aが作動すると、第一の伝火薬収容室15a内に収容された伝火薬16aが着火・燃焼し、その火炎が内筒部材4の伝火孔17を通って、第一の燃焼室5a内に収容された7孔を有する多孔円筒状の第一のガス発生剤9aを燃焼させる。
【0051】
また、分離筒14に包囲される第二の点火器12bが、第一の点火器12aと同じか或いは遅れて作動すると、第二の伝火薬収容室15b内に収容された伝火薬16bが着火・燃焼し、その火炎は第二の燃焼室5b内に収容された単孔円筒状の第二のガス発生剤9bを着火・燃焼させる。
【0052】
その結果、2つの点火器(12a,12b)の着火タイミングを調整する、つまり第一の点火器の作動後に第二の点火器を作動させるか、或いは第一の点火器と第二の点火器を同時に作動させるかにより、ガス発生器の出力形態(作動性能)を任意に調整することができ、衝突時の車両の速度や環境温度など様々な状況において、後述のエアバッグ装置とした場合に於けるエアバッグの展開を最大限適正なものとすることができる。
【0053】
特にこの図に示すガス発生器では、各燃焼室(5a,5b)毎に形状の異なるガス発生剤(9a,9b)が使用されており、第一の燃焼室5aには多孔円筒状の第一のガス発生剤9aが、第二の燃焼室5bには単孔円筒状の第二のガス発生剤9bがそれぞれ収容されている。また各燃焼室(5a,5b)に収容されるガス発生剤の量も異なり、第一の燃焼室5a内には35g、第二の燃焼室5b内には6gのガス発生剤(9a,9b)がそれぞれ収容されている。
【0054】
その結果、このガス発生器では、より的確にその出力形態を調整することが可能となっている。なお、ガス発生剤の形状、組成、組成比及び量等は、勿論、所望の出力形態を得るために、適宜変更することができる。
【0055】
このようなガス発生器の作動性能は、例えば以下のタンク燃焼試験に依っても確認することができる。
【0056】
<タンク燃焼試験>
内容積60リットルのSUS(ステンレス鋼)製タンク内に、エアバッグ用ガス発生器を固定し、室温においてタンクを密閉後、外部着火電気回路に接続する。別にタンクに設置された圧力トランスデューサーにより、着火電気回路スイッチを入れた(着火電流印加)時間を0として、タンク内の圧力上昇変化を時間0〜200ミリ秒の間測定する。各測定データをコンピュータ処理により最終的にタンク圧力/時間曲線として、ガス発生剤成型体の性能を評価する曲線(以下「タンクカーブ」とする)を得る。燃焼終了後はタンク内のガスを一部抜き取り、CO及びNOx等のガス分析に供することもできる。
【0057】
図1に示すガス発生器は、第一の燃焼室5a内に流路形成部材51を配置し、該流路形成部材51とディフューザシェル天井部内面28との間に、第二の燃焼室5b内で発生した燃焼ガスが通過する流路52を形成している。
【0058】
流路形成部材51は、円形部材の内周及び外周を屈曲して内周壁53及び外周壁54を形成した環状であって、両周壁面を繋ぐ円形部55には、ディフューザシェル天井部内面28との間に空間を確保する為の支持壁56が一体形成されている。そしてこの流路形成部材51は、その内周壁53で内筒部材4を挟持し、また支持壁56をディフューザシェル天井部内面28に当接する事により、円形部55とディフューザシェル天井部内面28との間には一定の空間が確保される。
【0059】
そして、この支持壁には多数の貫通孔57が形成されていることから、該空間はガス流路52として機能することができる。このガス流路52は、内筒部材4の貫通孔10で第二の燃焼室5bと連通することから、第二の燃焼室5bで発生する燃焼ガスは、該貫通孔10からガス流路52に放出され、クーラント・フィルタ22を通過して、ガス排出口26から放出される。
【0060】
上記の様に形成されたガス発生器では、第一の燃焼室5aと第二の燃焼室5bとは、クーラント・フィルタ22の網目空間を介して連通可能となっているものの、何れかの燃焼室内に収容されたガス発生剤が燃焼した燃焼ガスは、クーラント・フィルタ22を通りそのままガス排出口26から放出される。
【0061】
その結果、最初に着火・燃焼したガス発生剤の火炎が、他の燃焼室内に収容されたガス発生剤を着火することはなく、第一の燃焼室5a内に収容された単孔形状のガス発生剤9a'は、第一の点火器12aの作動のみに起因して着火・燃焼し、また第二の燃焼室5b内のガス発生剤9bは、第二の点火器12bの作動のみに起因して着火・燃焼する。
【0062】
従って、この図に示すガス発生器では、2つの点火器(12a,12b)の作動タイミングを相当ずらした場合に於いても、最初に作動した点火器により着火されたガス発生剤の火炎が、他の燃焼室内のガス発生剤を燃焼することはない為、前記タンク燃焼試験でも安定したタンクカーブを得ることができる。このことは、特に第一の点火器12aを作動した後、所定時間が経過してから第二の点火器12bを作動させる場合に一層有利なものとなる。
【0063】
即ち、図1に示すガス発生器では、貫通孔10はシールテープで閉塞されていないことから、流路形成部材を使用しない場合には、第一の燃焼室5a内で発生した燃焼ガスは、内筒部材4の貫通孔10を通り、第二の燃焼室5b内のガス発生剤9bを着火・燃焼する可能性がある。
【0064】
しかし、本実施の形態のように各燃焼室(5a,5b)毎に異なる流路を形成すれば、第一の燃焼室5a内で発生した燃焼ガスは、クーラント・フィルタ22を通り、第二の燃焼室5b内のガス発生剤9bを着火することなくそのまま排出される。その結果、第二の燃焼室5a内に収容されたガス発生剤9bを、第二の点火器12aを作動することのみにより任意に着火・燃焼させることができる。
【0065】
本実施の形態のガス発生器では、貫通孔10はシールテープにより閉塞されていないが、シールテープで閉塞した場合でも、更に各燃焼室内のガス発生剤を独立に着火・燃焼させることができる。従って、車両衝突時の状況に応じてガス発生器の出力性能を最大限適正なものとすることができる。
【0066】
なお、図1に示すガス発生器では、第二の点火器12bにより着火される伝火薬16bは、分離筒14内ではなく、第二の燃焼室5b内に配置されている。この様に伝火薬16bを配置することにより、第二の点火器12bの作動によって該伝火薬16bが着火・燃焼すると、その火炎は第二の燃焼室5b内のガス発生剤9bを均等に燃焼させることができ、更にこの伝火薬16bは、第一の伝火薬収容室15a内の伝火薬16aの火炎により直接燃焼されないものとすることができる。なお、図1中、図1と同一部材については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
次に、この図1に示す構造のガス発生器を用いて前記タンク燃焼試験を行った場合の作動性能を、図4に基づいて説明する。その際、それぞれの燃焼室内には、異なる形状のガス発生剤を、異なる量で充填したものとする。
【0068】
この図4に示すタンクカーブでは、第一の燃焼室5a内のガス発生剤9aの方が第二の燃焼室5b内にあるガス発生剤9bよりも、ガス発生剤単位重量あたりの表面積が小さく、またそれぞれのガス発生剤の充填量の割合は、第一のガス発生剤/第2のガス発生剤が35/6とする。
【0069】
この図4において、「A着火」とは、図1に示すガス発生器の第一の点火器12aの作動により、第一の燃焼室5a内のガス発生剤9aだけが燃焼した時のタンクカーブである。このタンクカーブは、第一の燃焼室5a内のガス発生剤9aの方が第二の燃焼室5b内にあるガス発生剤9bよりもガス発生剤単位重量あたりの表面積が小さいため、着火しても一気には燃焼せず、緩やかなカーブを描いて上昇している。
【0070】
また、「A+B(同時)着火」とは、第一及び第二の点火器(12a,12b)を同時に作動させ、第一及び第二の燃焼室(5a,5b)内のガス発生剤(9a,9b)を同時に燃焼させたときのタンクカーブである。このタンクカーブは、単位重量あたりの表面積が大きい第二の燃焼室5b内の第二のガス発生剤9bが着火と同時に一気に燃焼して燃焼ガスを放出するため、両点火器(12a,12b)に作動信号が伝達されたと同時にタンク圧が急激に上昇し、その後は第一の燃焼室5a内のガス発生剤9aによる燃焼ガスが継続して発生するため、上昇した出力カーブ(タンクカーブ)は暫く維持されている。
【0071】
更に「A+B(Tミリ秒遅れ)着火」とは、先ず第一の燃焼室5a内の第一のガス発生剤9aを燃焼させる第一の点火器12aが作動した後、Tミリ秒遅らせて第二の燃焼室5b内のガス発生剤9bを燃焼させる第二の点火器12bを作動させたときのタンクカーブである。このタンクカーブは、Tミリ秒までは「A着火」のタンクカーブとほぼ同じであるが、第二の点火器12bが作動した後(即ちTミリ秒以降)は、第二の燃焼室5b内のガス発生剤9bの燃焼で急激に発生したガス量が加わるため、一気にタンクカーブが上昇している。なお、この「A+B(Tミリ秒遅れ)着火」のタンクカーブでは、その最高出力(X kPa)が、「A+B(同時)着火」のタンクカーブの最高出力(Y kPa)よりも上回っている。これは「A+B(同時)着火」の場合は、両方の燃焼室(5a,5b)内のガス発生剤(9a,9b)が一気に燃焼してしまうのに対して、「A+B(Tミリ秒遅れ)着火」では、第二の燃焼室5b内の第二のガス発生剤9bが、第一の燃焼室5a内に充填された第一のガス発生剤9bよりもTミリ秒遅れて着火されて燃焼するので、その分発生熱の持続が続くことに依るものと考えられる。
【0072】
上記の通り、図4中「A+B(Tミリ秒遅れ)着火」では、第一の点火器12aが作動した後、Tミリ秒の間隔をおいて第二の点火器12bを作動させているが、この遅延のタイミングは、点火回路の調整によって任意の間隔に設定することができる。従って、車両の衝突時のスピード、或いは乗員の姿勢(例えば座高の高い人・低い人、またハンドルにしがみついた姿勢で運転する人)等を判断回路が瞬時に判断して適切な遅延時間を設定し、点火器を作動させることにより、様々な状況に於いて最適な展開モードでエアバッグを展開させることができる。
【0073】
「実施の形態2」
図5は、電気着火式点火器を用いたガス発生器を含んで構成した場合の本発明のエアバッグ装置の実施例を示す。
【0074】
このエアバッグ装置は、ガス発生器200と、衝撃センサ201と、コントロールユニット202と、モジュールケース203と、そしてエアバッグ204からなっている。ガス発生器200は、図1に基づいて説明したガス発生器が使用されており、その作動性能は、ガス発生器作動初期の段階において、乗員に対してできる限り衝撃を与えないように調整されている。
【0075】
衝撃センサ201は、例えば半導体式加速度センサからなることができる。この半導体式加速度センサは、加速度が加わるとたわむようにされたシリコン基板のビーム上に4個の半導体ひずみゲージが形成され、これら半導体ひずみゲージはブリッジ接続されている。加速度が加わるとビームがたわみ、表面にひずみが発生する。このひずみにより半導体ひずみゲージの抵抗が変化し、その抵抗変化を加速度に比例した電圧信号として検出するようになっている。
【0076】
コントロールユニット202は、点火判定回路を備えており、この点火判定回路に前記半導体式加速度センサからの信号が入力するようになっている。センサ201からの衝撃信号がある値を越えた時点でコントロールユニット202は演算を開始し、演算した結果がある値を越えたとき、ガス発生器200の点火器12に作動信号を出力する。
【0077】
モジュールケース203は、例えばポリウレタンから形成され、モジュールカバー205を含んでいる。このモジュールケース203内にエアバッグ204及びガス発生器200が収容されてパッドモジュールとして構成される。このパッドモジュールは、自動車の運転席側取り付ける場合には、通常ステアリングホイール207に取り付けられている。
【0078】
エアバッグ204は、ナイロン(例えばナイロン66)、またはポリエステルなどから形成され、その袋口206がガス発生器のガス排出口を取り囲み、折り畳まれた状態でガス発生器のフランジ部に固定されている。
【0079】
自動車の衝突時に衝撃を半導体式加速度センサ201が感知すると、その信号がコントロールユニット202に送られ、センサからの衝撃信号がある値を越えた時点でコントロールユニット202は演算を開始する。演算した結果がある値を越えたときガス発生器200の点火器12に作動信号を出力する。これにより点火器12が作動してガス発生剤に点火しガス発生剤は燃焼してガスを生成する。このガスはエアバッグ204内に噴出し、これによりエアバッグはモジュールカバー205を破って膨出し、ステアリングホイール207と乗員の間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、容器の全体的な大きさを抑え、且つ簡易な構造であって製造容易としながらも、その作動初期の段階に於いて、乗員に対してできる限り衝撃を与えないで作動し、且つ乗員の体格(例えば座高の高い人若しくは低い人、又は大人若しくは子供等)や、その搭乗姿勢(例えばハンドルにしがみついた姿勢)等が異なる場合であっても、乗員を安全に拘束可能な様に、任意にガス発生器の作動出力、及び出力上昇のタイミングを調整可能としたガス発生器となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のガス発生器の一の実施態様を示す縦断面図である。
【図2】 本実施の形態のガス発生器の背面図である。
【図3】 本発明のガス発生器の部分拡大図である。
【図4】 本発明の用ガス発生器の作動出力を示すグラフである。
【図5】 本発明のエアバッグ装置の構成図である。
【符号の説明】
3 ハウジング
5a 第一の燃焼室
5b 第二の燃焼室
7 隔壁
9a 第一のガス発生剤
9b 第二のガス発生剤
12a 第一の点火器
12b 第二の点火器
13 イニシエータカラー
22 クーラント・フィルタ

Claims (14)

  1. ガス排出口を有するハウジング内に、衝撃によって作動する点火器と、点火器によって着火・燃焼されエアバッグを膨張させるための燃焼ガスを発生するガス発生剤が収容された2つの燃焼室とを含んで収容してなるエアバッグ用ガス発生器であって、
    ハウジング内には、同時に又は時間差をおいて燃焼してガスを発生させるガス発生剤を収容する2つの燃焼室が、ハウジングの半径方向に隣接して設けられており、
    先にガスを発生させる燃焼室内に流路形成部材が配置され、前記燃焼室を2つに仕切ることにより、2つの燃焼室で生じた燃焼ガスの独立したガス排出経路が形成されており、
    2つの燃焼室で生じた燃焼ガスは、燃焼室内では独立した2つのガス排出経路を経てガス排出口から排出されるものであり、
    2つの燃焼室は、2つのガス排出経路を経て相互に連通されており、一方の燃焼室で生じた燃焼ガスにより、他方の燃焼室のガス発生剤が着火燃焼されることがないエアバッグ用ガス発生器。
  2. ハウジング内には、同時に又は時間差をおいて燃焼してガスを発生させるガス発生剤を収容する2つの燃焼室が、ハウジングの半径方向に隣接して、かつ同心円に設けられている請求項1記載のエアバッグ用ガス発生器。
  3. ハウジング内には略円筒状の内筒部材が配置され、内筒部材のハウジング半径方向外側に環状の燃焼室が形成され、前記内筒部材の内側に他方の燃焼室が形成されている請求項1記載のエアバッグ用ガス発生器。
  4. 2つの燃焼室が、2つのガス排出経路と環状の共通空間を経て相互に連通されている請求項1〜3のいずれか1記載のエアバッグ用ガス発生器。
  5. 前記内筒部材の内部がハウジング半径方向に設けられた仕切り壁により二分割されており、上部空間側に燃焼室が設けられ、下部空間側に2つの点火器が設けられている請求項4記載のエアバッグ用ガス発生器。
  6. 2つの燃焼室と、2つの燃焼室のハウジング半径方向外側に設けられた環状の共通間隙との間に環状のクーラント・フィルタが配置されており、燃焼ガスがクーラント・フィルタを経由して環状の共通間隙に流入する請求項1〜5のいずれか1記載のエアバッグ用ガス発生器。
  7. 遅れてガスを発生させる燃焼室のガス排出経路が先にガスを発生させる燃焼室内を経由している請求項1〜6のいずれか1記載のエアバッグ用ガス発生器。
  8. 先にガスを発生させる燃焼室内に流路形成部材が配置され、前記燃焼室を2つに仕切ることにより、2つの燃焼室で生じた燃焼ガスの独立したガス排出経路を形成すると共に、前記流路形成部材に設けられた貫通孔を経て遅れて生じた燃焼ガスを排出する請求項1〜のいずれか1記載のエアバッグ用ガス発生器。
  9. 流路形成部材が、小径の内周壁及び大径の外周壁と、内周壁及び外周壁を繋ぐ天井面が閉塞された円形部と、円形部に設けられ、内周壁及び外周壁とは反対方向に突設された支持壁とを有し、円形部に対向する面が開口された環状部材であり、前記支持壁に遅れて発生したガスを通過させる貫通孔が設けられたものである請求項記載のエアバッグ用ガス発生器。
  10. 小径の内周壁及び大径の外周壁と、内周壁及び外周壁を繋ぐ天井面が閉塞された円形部と、円形部に設けられ、内周壁及び外周壁とは反対方向に突設された支持壁とを有する環状部材であり、前記支持壁に遅れて生じたガスを通過させる貫通孔が設けられた流路形成部材が、内周壁で内筒部材を挟持し、支持壁をハウジング天井面に当接することで取り付けられている請求項3〜5のいずれか1記載のエアバッグ用ガス発生器。
  11. ガス排出口を有するハウジング内に、衝撃によって作動する点火器と、点火器によって着火・燃焼されエアバッグを膨張させるための燃焼ガスを発生するガス発生剤が収容された2つの燃焼室とを含んで収容してなるエアバッグ用ガス発生器であって、
    ハウジング内には略円筒状の内筒部材が配置され、内筒部材のハウジング半径方向外側に環状の第一の燃焼室が形成され、前記内筒部材の内側に第二の燃焼室が形成されることで、2つの燃焼室がハウジングの半径方向に隣接して同心円に設けられており、
    更に第一の燃焼室のハウジング半径方向外側には、順に環状のクーラント・フィルタと環状の共通間隙が設けられ、第一及び第二の燃焼室は、クーラント・フィルタ及び環状の共通間隙を経て相互に連通されており、
    2つの燃焼室は同時に又は時間差をおいてそれぞれのガス発生剤を燃焼させるもので、先にガス発生剤を燃焼させる第一の燃焼室内に流路形成部材が配置され、第一の燃焼室を2つに仕切ることにより、2つの燃焼室より発生した燃焼ガスの独立したガス排出経路が燃焼室内に形成されており、
    流路形成部材が、小径の内周壁及び大径の外周壁と、内周壁及び外周壁を繋ぐ天井面が閉塞された円形部と、円形部に設けられ、内周壁及び外周壁とは反対方向に突設された支持壁とを有する環状部材であり、前記支持壁に遅れて生じたガスを通過させる貫通孔が設けられたもので、内周壁で内筒部材を挟持し、更に支持壁をハウジング天井面に当接することで取り付けられており、
    第一の燃焼室で生じた燃焼ガスにより、第二の燃焼室のガス発生剤が着火燃焼されることがないエアバッグ用ガス発生器。
  12. 前記内筒部材の内部が隔壁により軸方向に二分割されており、上部空間側に第二の燃焼室が設けられ、下部空間側に2つの点火器が設けられている請求項11記載のエアバッグ用ガス発生器。
  13. 遅れてガスを発生させる燃焼室内に、ガス発生剤を着火燃焼させる伝火薬が配置されている請求項1〜12のいずれか1記載のエアバッグ用ガス発生器。
  14. 請求項1〜13のいずれか1記載のエアバッグ用ガス発生器と、衝撃を感知して前記ガス発生器を作動させる衝撃センサと、前記ガス発生器で発生するガスを導入して膨張するエアバッグと、前記エアバッグを収容するモジュールケースとを含むエアバッグ装置。
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