JP2001105741A - 熱可逆性記録材料および熱可逆性記録媒体 - Google Patents

熱可逆性記録材料および熱可逆性記録媒体

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JP2001105741A
JP2001105741A JP28846599A JP28846599A JP2001105741A JP 2001105741 A JP2001105741 A JP 2001105741A JP 28846599 A JP28846599 A JP 28846599A JP 28846599 A JP28846599 A JP 28846599A JP 2001105741 A JP2001105741 A JP 2001105741A
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electron
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JP28846599A
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Yoichi Nishioka
洋一 西岡
Yukihisa Okada
幸久 岡田
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱の制御によって記録/消去を繰り返し行う
ことができ、良好なコントラストが得られ、かつ日常生
活の環境下で経時的に安定な記録を保持できる。 【解決手段】 電子受容性化合物および電子供与性呈色
性化合物を含み、電子受容性化合物が、下記(1)式で
示されるN−アルキルアミド−カルバミン酸である(た
だし、下記(1)式中のRは、アルキル基とし、このア
ルキル基の炭素数を少なくとも17とする。)。 R−CONHNHCOOH・・・(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、熱印加条件を制
御することで記録と消去とを繰り返し行うことのできる
熱可逆性記録媒体およびこの媒体を構成する熱可逆性記
録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可逆性記録媒体に関する研究が盛んに
行われている。その理由は、この媒体を繰り返して使用
することが可能であるため、地球環境保護の観点等で好
ましいからである。
【0003】熱可逆性記録媒体の一例として、樹脂バイ
ンダーと、この樹脂バインダー中に分散された有機低分
子物質とを含む記録層を支持体上に具えた構成の媒体が
ある。また、他の例として、発色剤と顕色剤あるいは顕
減色剤とを含む記録層を支持体上に具えた構成の媒体が
ある。前者は光散乱型と称され、後者は発色型と称され
ている。
【0004】光散乱型の媒体は、例えば文献1(特開昭
63−39377号公報)に開示されている。この媒体
は、印加する熱エネルギーの制御により記録層の透明度
を可逆的に変化させて記録および消去を行う。しかしな
がら、記録層の透明度は透明と白濁不透明という2つの
状態だけでなく、半透明という透明と不透明との中間の
状態もとりうる。このため、記録部と無記録部とのコン
トラストが不十分であるという問題が生じる。
【0005】これに対して、発色型の媒体は、光散乱型
の媒体に比べると記録部と無記録部とのコントラストを
高くすることができる。
【0006】発色型の媒体としては、例えば文献2(特
開昭58−191190号公報)、文献3(特開平2−
188293号公報)、文献4(特公平7−11554
1号公報)等をはじめとして種々の文献に開示されてい
る。このうち、文献2の媒体は、発色剤と顕色剤とを含
む記録層を有しており、熱を印加することによって画像
を形成し(記録)、この画像は水または水蒸気の作用に
より消去される。従ってこの媒体においては、熱の印加
条件のみで記録および消去を制御することはできない。
また、文献3および4の媒体は、発色剤と顕減色剤とを
含む記録層を有する媒体であり、熱印加条件次第で顕減
色剤が、発色剤に対して顕色剤となったり減色剤となっ
たりする現象を利用している。この顕減色剤として、ロ
イコ染料を発色させる酸性基と発色したロイコ染料を消
色させる塩基性基とを有する両性化合物を用いている。
そして、印加する熱エネルギーによって一方の基の作用
を優先させることにより発色および消色を制御してい
る。また、発色剤として、専らロイコ染料が用いられて
いる。その主たる理由は、ロイコ染料が、顕減色剤の上
記作用に対して可逆的な構造変化をして、有色化合物も
しくは無色のロイコ体になることおよび、現時点で下地
を白色とすれば消色状態で白色を呈する実用的な材料と
して適しているためである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、文献3
および4の媒体における記録および消去は、熱の印加条
件によって酸性基および塩基性基のうちの一方の作用を
優先させて行われる。よって、発色剤に対して一方の基
のみの作用を行わせることはできず、常に両方の基に起
因する反応が生じている。このため、十分な濃度の発色
が得られない、もしくは完全に記録を消去することがで
きないといった問題がある。
【0008】さらに、従来の発色型の媒体において、日
常生活の環境下で経時的に安定した記録(画像)を保持
することのできる媒体はなかった。
【0009】このため、媒体に印加する熱エネルギーの
制御によって記録および消去を繰り返し行うことがで
き、従来よりも良好な記録部と無記録部とのコントラス
トが得られ、かつ日常生活の環境下で経時的に安定な記
録を保持することのできる熱可逆性記録媒体の出現が望
まれていた。そして、このような熱可逆性記録媒体を構
成する熱可逆性記録材料の出現もまた望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】このため、この発明の熱
可逆性記録材料によれば、電子受容性化合物および電子
供与性呈色性化合物を含み、電子受容性化合物が、下記
(1)式で示されるN−アルキルアミド−カルバミン酸
であることを特徴とする。
【0011】R−CONHNHCOOH・・・(1) ただし、上記(1)式中のRは、アルキル基とし、この
アルキル基の炭素数を少なくとも17とする。
【0012】この発明の熱可逆性記録材料は、電子受容
性化合物と電子供与性呈色性化合物とを含んでいるもの
である。このような熱可逆性記録材料が発色および消色
する原理は、以下の通りである。
【0013】通常、無色もしくは淡色である電子供与性
呈色性化合物と電子受容性化合物とを、両者が共に溶融
状態となる程度にまで加熱すると、電子受容性化合物と
電子供与性呈色性化合物とは、互いに電子の移動ができ
る程度に近接する。このような状態になると、電子供与
性呈色性化合物から電子受容性化合物へ電荷移動が起こ
る。この電子の移動によって、電子供与性呈色性化合物
の構造が変化して有色化合物となり、発色する。次に、
溶融状態で近接している電子受容性化合物と有色化合物
とを物理的に引き離すと、有色化合物は電子受容性化合
物から再び電子を受け取り、発色する前の電子供与性呈
色性化合物の構造に戻り、消色する。電子受容性化合物
と有色化合物とを引き離すのは、例えば、実質的に均一
な両物質の溶融した混合物を徐冷することによって行
う。徐冷を行うことにより、電子供与性呈色性化合物相
と電子受容性化合物相とに相分離しながら、それぞれの
相が固化していく。そして、この相分離の際、電子受容
性化合物から有色化合物へ電荷移動が起こって有色化合
物は元の電子供与性呈色性化合物へと変化する。
【0014】また、溶融状態の混合物を急冷した場合に
は、相分離が起こらず混合状態が保持されたまま固化す
る。従って、有色化合物から電子受容性化合物への電荷
移動は起こらず、発色した状態が保持される。
【0015】電子受容性化合物として、上記(1)式で
示される、N−アルキルアミド−カルバミン酸は、電子
親和力の大きい基である、例えばカルボニル基を含む電
子受容性の化合物である。また、アルキル基の炭素数が
17以上という長鎖であるために、電子供与性呈色性化
合物との相溶性を低くすることができる。よって、発色
時の溶融状態にある混合物を徐冷することによって、従
来よりも容易に相分離することができる。従って、消色
をより速やかにかつ簡単に行うことができる。
【0016】これは、アルキル基を長鎖にすることによ
って、徐冷時におけるアルキル基同士の凝集力が増大す
るために、混合状態から相分離しやすくなることに起因
する。
【0017】N−アルキルアミド−カルバミン酸として
は、上述したようにアルキル基の炭素数が17以上のも
のが好ましい。また、現時点では、出発材料であるカル
ボン酸の入手が比較的容易なアルキル基の炭素数が29
以下のものを用いるのがよい。このようなN−アルキル
アミド−カルバミン酸として、例えば、N−ステアリル
アミド−カルバミン酸(C1735CONHNHCOO
H)、N−ベヘニルアミド−カルバミン酸(C2143
ONHNHCOOH)、N−セロチルアミド−カルバミ
ン酸(C2551CONHNHCOOH)およびN−メリ
シルアミド−カルバミン酸(C2959CONHNHCO
OH)が挙げられる。
【0018】また、熱可逆性記録材料には電子供与性呈
色性化合物も含まれている。電子供与性呈色性化合物と
して、好ましくは、分子構造中にラクトン環を有する化
合物を用いるのがよい。このような化合物として、例え
ば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン
系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミン
系化合物、およびインドリノフタリド系化合物からなる
化合物群から選ばれる化合物を用いることができる。こ
れにより、電子供与性呈色性化合物および電子受容性化
合物間での電荷移動により、電子供与性呈色性化合物は
可逆的に構造変化を起こし、発色および消色を行うこと
ができる。
【0019】また、熱可逆性記録材料中には、電子受容
性化合物と電子供与性呈色性化合物とを分散させるバイ
ンダーが含まれているのがよい。バインダーとしては、
水または有機溶剤に溶解可能な高分子材料を用いること
ができる。
【0020】また、この発明の熱可逆性記録材料におい
て、電子受容性化合物が、下記(2)式で示される官能
基を少なくとも1つ含む化合物であるのがよい。
【0021】
【化5】
【0022】この官能基は、電子親和力の大きいカルボ
ニル基を含む芳香族の基であるために、この基を含む化
合物は電子受容性を有する。このため、電子供与性呈色
性化合物と共に溶融状態に加熱することによって、電子
供与性呈色性化合物から電子を受け取り、電子供与性呈
色性化合物の構造を有色化合物の構造へと変えて発色さ
せることができる。また、溶融状態から徐々に冷却する
ことによって、受け取った電子を再び有色化合物に移動
させ、電子受容性化合物相と電子供与性呈色性化合物相
とに分離する。これにより、消色させることができる。
【0023】また、上記(2)式の官能基を含む化合物
として、さらに好ましくは、下記(3)式で示される化
合物とするのがよい。
【0024】
【化6】
【0025】ただし、上記(3)式中のAを下記(6)
式で示されるp−ヒドロキシフェニルアミド基とし、B
を下記(7)式で示されるアルキルアミド基とする。そ
して、アルキルアミド基中のアルキル基(R)の炭素数
を少なくとも17とする。また、nを1以上の整数とす
る。また、実用性およびコスト面から考慮するとnは5
以下であるのがよい。
【0026】
【化7】
【0027】上記(3)式の電子受容性化合物は、炭素
数17以上という長鎖のアルキル基を有するために、電
子供与性呈色性化合物との相溶性を低くすることができ
る。これにより、溶融状態の混合物を徐冷すると、容易
に相分離させることができるため、消色をより簡単にか
つ速やかに行うことができる。
【0028】また、この発明の熱可逆性記録材料におい
て、電子受容性化合物が、下記(4)式で示される官能
基を少なくとも1つ含む化合物であるのがよい。
【0029】 −NHCO−(CH2k −CONH−・・・(4) ただし、kは1以上の整数とするのがよく、実用性およ
びコスト面から見ると、kは1以上で5以下(1≦k≦
5)とするのが好ましい。
【0030】この官能基は、電子親和力の大きいカルボ
ニル基を有する基であるため、この基を含む化合物は電
子受容性を有する。このため、電子供与性呈色性化合物
と共に溶融状態に加熱することによって、電子供与性呈
色性化合物から電子を受け取り、電子供与性呈色性化合
物の構造を有色化合物の構造へと変えて発色させること
ができる。また、溶融状態から徐々に冷却することによ
って、受け取った電子を再び有色化合物に移動させ、電
子受容性化合物相と電子供与性呈色性化合物相とに分離
する。これにより、消色させることができる。
【0031】また、上記(4)式の官能基を含む化合物
として、さらに好ましくは、下記(5)式で示される化
合物とするのがよい。
【0032】 X−(NHCO−(CH2k −CONH)m −Y・・・(5) ただし、上記(5)式中のXを、上記(6)式のp−ヒ
ドロキシフェニルアミド基とし、Yを上記(7)式のア
ルキルアミド基とする。そして、アルキルアミド基中の
アルキル基(R)の炭素数を少なくとも17とする。ま
た、mを1以上の整数とする。また、実用性およびコス
ト面から見ると、mを1以上で5以下(1≦m≦5)と
するのが好ましい。
【0033】上記(5)式の電子受容性化合物は、炭素
数17以上という長鎖のアルキル基を有するために、電
子供与性呈色性化合物との相溶性を低くすることができ
る。これにより、溶融状態の混合物を徐冷すると、容易
に相分離させることができるため、消色をより簡単にか
つ速やかに行うことができる。
【0034】また、上述した熱可逆性記録材料を用いて
熱可逆性記録媒体を構成するのが好ましい。
【0035】熱可逆性記録媒体の構成は、例えば、支持
体とこの支持体の上側に設けられた記録層とを具えてい
るのがよい。そして、この記録層を、上述した熱可逆性
記録材料を含んで構成する。よって、記録層は電子受容
性化合物、電子供与性呈色性化合物およびバインダーを
含む層となる。
【0036】支持体は、熱可逆性記録媒体の用途に応じ
て、任意好適な材料のものを用いることができる。熱可
逆性記録媒体の用途としては、テレホンカードやプリペ
イドカード等のカード状のもの、ラベル、ファクシミリ
シート等のシート状のもの、ディスプレイ用などが考え
られる。よって、プラスチック、紙または金属などが支
持体の材料として用いられる。
【0037】また、記録層の上側に保護層を設けてもよ
い。保護層は、主に熱可逆性記録媒体が加熱手段などに
接触した際に損傷されることを防止するための層であ
る。保護層を構成する材料としては、可視光に対し透明
でかつ加熱手段に対する耐熱性および耐摩耗性などを有
するものを用いる。
【0038】これにより、上述した熱可逆性記録材料を
含んで構成された熱可逆性記録媒体に対して、例えば一
般的な感熱プリンター用いて印字を行うと、印刷物とし
て良好な濃度の記録(画像)を得ることができる。ま
た、感熱プリンターによる加熱はサーマルヘッドによる
パルス的でかつ部分的な加熱であるために、加熱直後
は、印字部と印字部の周囲の記録層領域との温度差によ
って、印字部は急冷されたと同様の作用を受ける。これ
により、印字部の記録は保持される。
【0039】また、印字を行った熱可逆性記録媒体の全
体を、電子受容性化合物および電子供与性呈色性化合物
が共融混合物となる温度にまで加熱した後、室温中で放
置することによって徐冷を行うことができる。これによ
り、印字部の記録を消去することができる。
【0040】また、この発明の熱可逆性記録媒体におい
ては、上述した印字操作およびこれに続く消去操作を繰
り返し行っても、印刷物として鮮明でかつ高濃度と言え
る記録を得ることができる。また、記録の消去を速やか
にかつ容易に行うことができる。
【0041】さらに、印字済みの媒体については、日常
生活の環境下で経時的、少なくとも1年程度は劣化のな
い安定した記録を保持することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図6を参照してこの
発明の実施の形態につき説明する。なお、各図は発明を
理解できる程度に各構成成分の形状、大きさおよび配置
関係を概略的に示してあるに過ぎず、したがってこの発
明を図示例に限定するものではない。
【0043】図1〜図6は、それぞれ熱可逆性記録媒体
の構成例を示す構成図であり、断面の切り口で示してあ
る。
【0044】この実施の形態の熱可逆性記録材料は、顕
色剤としての電子受容性化合物と、発色剤としての電子
供与性呈色性化合物と、電子受容性化合物および電子供
与性呈色性化合物を分散させるバインダーとを含んでい
る。
【0045】電子受容性化合物は、上記(1)式で示さ
れるN−アルキルアミド−カルバミン酸、上記(3)式
で示される化合物、または上記(5)式で示される化合
物を合成して用いるのがよい。
【0046】電子供与性呈色性化合物は、ラクトン環を
有する化合物とし、例えば、トリフェニルメタンフタリ
ド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化
合物、ロイコオーラミン系化合物、インドリノフタリド
系化合物が挙げられる。より具体的には、クリスタルバ
イオレットラクトン、3,3−ビス(1−エチル−2−
メチルインドール−3−イル)、3−(4−ジエチルア
ミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2
−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノ
フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ア
ニリノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−
(N−エチルイソペンチルアミノ)フルオラン、3−シ
クロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノ
フルオラン、3−ベンジエチルアミノ−6−メチル−7
−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロ
ロ−7−アニリノフルオラン、3−メチルプロピルアミ
ノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、或いは3−
ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラ
ン等から用途および色によって選ばれる化合物とするの
がよい。
【0047】また、バインダーとしては、水または有機
溶剤に溶解する高分子材料を用いる。具体的には、ポリ
ビニルアルコール、エチルセルロース、酢酸セルロー
ス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポ
リウレタン、ポリビニルブチラール、ニトロセルロー
ス、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリアセタール、およびスチレン−ブタジエン共重
合体が挙げられる。
【0048】また、熱可逆性記録材料の形成は、まず、
電子受容性化合物と電子供与性呈色性化合物とを加熱し
て共融物質を得る。次に、共融物質を室温まで冷却して
得られる固体を、バインダー樹脂を溶媒に溶解して得ら
れるバインダー溶液中に加える。この後、バインダー溶
液中で上記固体を粉砕し、溶液中に分散させる。このよ
うにして得られる分散溶液を乾燥させると、バインダー
中に電子受容性化合物および電子供与性化合物の混合物
がミクロレベルで分散している熱可逆性記録材料が得ら
れる。
【0049】なお、電子受容性化合物と電子供与性呈色
性化合物との混合比は、重量比(電子受容性化合物/電
子供与性呈色性化合物)でいうと、0.5〜10である
のがよい。この範囲内の重量比で混合することによっ
て、この熱可逆性記録材料を用いて構成される熱可逆性
記録媒体の特性を、より向上させることができる。その
特性とは、例えば、記録部と非記録部とのコントラス
ト、耐熱性あるいは耐光性等である。
【0050】次に、このような熱可逆性記録材料を用い
た熱可逆性記録媒体の構成例について説明する。
【0051】図1は、第1の構造例の熱可逆性記録媒体
を示した断面図である。この第1の構造例の媒体10
は、支持体12と、この支持体12上に設けた記録層1
4とを具える。
【0052】支持体12は、熱可逆性記録媒体10の用
途に応じた種々の材料とすることができる。この媒体1
0によって熱可逆性のカードを実現する場合であれば、
支持体12の材料は任意好適な材料からなるフィルム、
例えば樹脂製のフィルムとすることができる。また、支
持体12の色も媒体10の用途に応じて、白色をはじめ
任意の色とすることができる。また、透過型の媒体10
を構成する場合は、支持体12を透明な材料で構成す
る。
【0053】記録層14は、上述した熱可逆性記録材料
を含む層である。この記録層14は、記録層形成用の塗
布液を調整して、この塗布液を支持体12上に塗布した
後、塗膜を乾燥させることによって形成される。この記
録層形成用の塗布液は、電子受容性化合物と電子供与性
化合物とを加熱溶融させた後冷却させて得られる個体を
バインダー溶液中に分散させた分散液とする。
【0054】これにより、第1の構造例の熱可逆性記録
媒体10が得られる。
【0055】また、図2に示す第2の構造例の媒体20
のように、第1の構造例の媒体の記録層14の表面に保
護層16を設けてもよい(図2)。
【0056】これにより、媒体20の耐熱性および耐摩
耗性を向上させることができる。従って、媒体20に印
字用の加熱手段を繰り返し接触させても、媒体20の損
傷を抑制することができる。
【0057】また、図3に示す第3の構造例の媒体30
のように、支持体12の下側に記録層18を設けてもよ
い(図3)。また、図4に示す第4の構造例の媒体40
のように、支持体12の下側に設けた記録層18の表面
に保護層22を形成してもよい。
【0058】また、図5に示す第5の構造例の媒体50
のように、支持体12の両面側にそれぞれ記録層24,
26を設けてもよい。ここでは、支持体12の上側の記
録層を第1記録層24とし、支持体12の下側の記録層
を第2記録層26とする。これにより、支持体12の両
面に記録を行うことができる。また、第1記録層24と
第2記録層26とで電子供与性呈色性化合物を含有させ
てもよい。これにより、支持体12の一方の面側と他方
の面側とで記録の色を変えることができる。また、図6
に示す第6の構造例の媒体60のように、第5の構造例
の媒体の第1および第2記録層24,26の表面に、そ
れぞれ保護層28,32を設けてもよい。
【0059】上述した第1〜第6の構造例の熱可逆性記
録媒体によれば、一般的な感熱プリンターを用いて印字
を行うと、印刷物として良好な濃度の鮮明な記録(画
像)を得ることができる。なお、一般的な感熱プリンタ
ーによって媒体に印加される熱の温度は100〜150
℃とする。熱が部分的にしかもパルス的に印加された媒
体は、この熱によって記録層中の電子受容性化合物およ
び電子供与性呈色性化合物が共融状態となる。そして、
電子供与性呈色性化合物から電子受容性化合物へ電荷移
動が起こって電子供与性呈色性化合物は有色化合物とな
る。これにより記録が形成される。また、記録された部
分(記録部)以外の媒体の領域(非記録部)には熱が印
加されていないので記録部と非記録部との間の温度差に
よって、記録部は急冷される。この急冷の場合の冷却速
度は、50℃/s以上であると考えられる。このため、
電子受容性化合物と有色化合物とは共融した混合状態を
保ったまま固化する。従って、形成された記録を保持す
ることができる。そして、日常生活の環境下で短くとも
1年は、この記録を安定な状態で保持することができ
る。また、記録された媒体全体を加熱した後、室温中に
放置することによって、記録部分を速やかに消去するこ
とができる。媒体全体を加熱すると、記録部と非記録部
との温度差がないために、媒体を放置しておくことによ
って徐々に冷却される。そして、この徐冷の間に電子受
容性化合物と有色化合物とは各々の相に分離して固化す
る。そして、この相分離のときに電子受容性化合物から
有色化合物へ電荷移動が起こり、有色化合物は元の電子
供与性呈色性化合物に戻る。これにより、記録の消去が
行われる。また、この媒体に対して記録と消去とを繰り
返して行っても、記録部と非記録部とのコントラストが
印刷物として良好な記録が得られる。しかも、記録を消
去しきれないというおそれはなくなる。
【0060】
【実施例】次に、この発明の熱可逆性記録材料およびこ
れを用いた熱可逆性記録媒体について、さらに具体的な
例を挙げて説明する。なお、以下の説明中で用いる使用
材料および数値的条件はこの発明の範囲内の単なる一例
に過ぎない。従って、この発明がこれら使用材料および
数値的条件にのみ限定されるものではない。
【0061】<第1の実施例>第1の実施例として、電
子受容性化合物および電子供与性呈色性化合物を含む熱
可逆性記録材料であって、電子受容性化合物を下記
(1)式で示されるN−アルキルアミド−カルバミン酸
のうち、アルキル基(R)の炭素数が21であるN−ベ
ヘニルアミド−カルバミン酸(C2143CONHNHC
OOH)を使用した材料と、この材料を用いて構成した
熱可逆性記録媒体について説明する。
【0062】R−CONHNHCOOH・・・(1) 第1の実施例の熱可逆性記録材料は、電子受容性化合物
としてN−ベヘニルアミド−カルバミン酸と、電子供与
性呈色性化合物として、例えば3−ジエチルアミノ−6
−メチル−7−アニリノフルオランと、バインダーとし
てポリビニルアルコールとを含んでいる。
【0063】まず、電子受容性化合物であるN−ベヘニ
ルアミド−カルバミン酸を合成する。合成は以下の(1
−1)〜(1−4)の工程をこの順に行う。
【0064】(1−1)まず、ベヘン酸(C2143CO
OH)とメチルアルコール(CH3OH)とを脱水縮合
させてエステル化して、ベヘン酸メチル(C2143CO
OCH3 )を得る。
【0065】この例では、容量500mlの4口フラス
コ中にクロロホルム200mlを入れ、この中に粉末の
ベヘン酸34.1g(0.1mol)を攪拌しながら加
えた後、40℃に加熱して溶解させる。次に、溶液中に
メチルアルコール9.6g(0.3mol)を加え、さ
らに硫酸2mlを加えて6時間還流を行う。その後、室
温になるまで溶液を冷却する。次に、溶液が中性になる
まで純水で洗浄する。その後メチルアルコールを用いて
再結晶することにより、粉末のベヘン酸メチル32gが
得られる。このときのベヘン酸メチルの収率は90%で
あった。
【0066】(1−2)次に、ベヘン酸メチルとヒドラ
ジン一水和物(NH2 NH2 ・H2O)とを反応させて
ベヘニルヒドラジド(C2143CONHNH2 )を得
る。
【0067】この例では、容量200mlの4口フラス
コ中にベヘン酸メチル32g(0.09mol)を加
え、このフラスコ中に窒素雰囲気中で液体のヒドラジン
一水和物14g(0.45mol)を加えた後、6時間
還流する。次に、得られる混合溶液をろ過してTHF
(テトラヒドロフラン)を用いて再結晶する。これによ
り、粉末のベヘニルヒドラジド29gが得られる。この
ときの収率は90%であった。
【0068】(1−3)次に、ベヘニルヒドラジドと塩
化アセチル(CH3 COCl)とを反応させてN−ベヘ
ニル−N’−アセチルヒドラジン(C2143CONHN
HCOCH3 )を得る。
【0069】この例では、容量200mlの4口フラス
コ中にベヘニルヒドラジド28.4g(0.08mo
l)を入れた後、この中に窒素雰囲気中で塩化アセチル
5.7ml(0.4mol)を加えて6時間還流する。
次に、得られる混合溶液をろ過した後、THFにより再
結晶する。これにより、粉末のN−ベヘニル−N’−ア
セチルヒドラジン25gが得られる。このときの収率は
80%であった。
【0070】(1−4)次に、N−ベヘニル−N’−ア
セチルヒドラジンを次亜塩素酸ナトリウム(NaCl
O)によって酸化してN−ベヘニルアミド−カルバミン
酸を得る。
【0071】この例では、容量200mlの4口フラス
コ中にN−ベヘニル−N’−アセチルヒドラジン25g
(0.06mol)を入れた後、この中に窒素雰囲気中
で、有効塩素5重量%以上含有している次亜塩素酸ナト
リウム溶液500mlを加えて2時間還流する。次に混
合溶液を水で洗浄した後、THFを用いて再結晶する。
これにより、N−ベヘニルアミド−カルバミン酸25g
が得られる。このときの収率は80%であった。
【0072】合成された物質がN−ベヘニルアミド−カ
ルバミン酸であることは、元素分析、IR分析およびN
MR分析等により構造を決定して確認する。
【0073】次に、熱可逆性記録材料を製造する。この
例では、この材料を熱可逆性記録媒体の記録層形成用塗
布液として用いる。よって、塗布液を調整する。
【0074】バインダーとして、ポリビニルアルコール
を用意する。ポリビニルアルコールとして、市販品であ
る(株)クラレ製のKL−318(商品名)を用いる。
このポリビニルアルコール15重量部を、純水985重
量部に、3時間かけて溶解させる。なお、この溶解は、
試料を80℃に加熱しながら行う。溶解させた後、室温
に冷却してポリビニルアルコール水溶液を得る。
【0075】また、電子供与性呈色性化合物として、3
−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン(3-Diethylamino-6-methyl-7-anilinofluoran)を用
意する。3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリ
ノフルオランは、黒色の発色剤である。
【0076】次に、この3−ジエチルアミノ−6−メチ
ル−7−アニリノフルオラン5重量部と、上記で合成し
たN−ベヘニルアミド−カルバミン酸25重量部とを同
一容器に入れる。これらをホットプレート上で180℃
の温度で加熱溶融させて、これらの共融物を得る。この
後、これらの共融物を室温に冷却して固化させる。こう
して得られる固体を、粉砕機に投入するのに適した大き
さに粉砕する。この粉砕物と上記調整したポリビニルア
ルコール水溶液とをボールミル中に入れ、10時間粉砕
することによって、記録層形成用の塗布液(熱可逆性記
録材料)が得られる。
【0077】次に、この例では、上記塗布液を用いて、
熱可逆性記録媒体を製造する。ここでは、図1を用いて
説明した第1の構造例の媒体を製造する。
【0078】この例の熱可逆性記録媒体10は、支持体
12と、この支持体12の上側に設けられた記録層14
とを具えている。
【0079】支持体12として、厚さが100μmの白
色のPET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム上
に、上記塗布液を、バーコーターによって、乾燥後の膜
厚が約5μmとなるように、塗布する。この塗膜を循環
熱風乾燥機で60℃の温度で30分の加熱乾燥をして、
記録層14を得る。これにより、第1の構造例の媒体1
0が得られる(図1)。
【0080】このようにして得られた媒体10の発色特
性を評価するため、媒体10に対して、一般的に使用さ
れている感熱プリンターを用いて印字を行う。
【0081】感熱プリンターによって印加される熱の温
度は、通常100〜150℃である。これにより、レー
ザプリンター、インクジェットプリンター、および他の
感熱プリンターによって印刷された印刷物と実質的に同
等の、鮮明でかつ高濃度の記録が得られた。
【0082】この例では、発色剤である電子供与性呈色
性化合物として、図7(A)に示した3−ジエチルアミ
ノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを用いてい
る。発色時には、図7(A)に示す構造から電子をN−
ベヘニルアミド−カルバミン酸に移動させることによっ
て、ラクトン環が開環して図7(B)に示すような構造
となる。
【0083】次に、媒体10の記録を消去するため、記
録が形成された媒体を、130℃の温度に設定したホッ
トプレートで充分に加熱した後、媒体10の温度が室温
と等しくなるまで空中放冷する。これにより、媒体10
に形成された記録部は徐冷されて、記録は速やかに消去
された。
【0084】この例では、電子受容性化合物として、N
−アルキルアミド−カルバミン酸を用い、この中に含ま
れるアルキル基の炭素数は21という長鎖の基である。
このため、アルキル基の凝集力を増大させることができ
る。よって、媒体10を徐冷すると、アルキル基同士が
凝集しようとする力が強いために電子受容性化合物と電
子供与性呈色性化合物とが分離する傾向が強くなる。従
って、相分離がしやすくなるため、記録の消去をより速
やかに行うことができる。また、消去しきれないという
おそれを回避することができる。
【0085】また、この例の媒体10に対して印字と消
去とを100回繰り返して行ったところ、100回と
も、印刷物として鮮明でかつ高濃度の記録が得られた。
また、記録の消去も良好にかつ速やかに行うことができ
た。
【0086】また、印字済みの媒体10を室温の大気中
に100日間放置したところ、記録の劣化は見られなか
った。
【0087】この結果、この発明の熱可逆性記録材料を
用いて構成された熱可逆性記録媒体においては、媒体に
印加する熱エネルギーの制御によって記録および消去を
繰り返し行うことができ、従来よりも良好な記録部と無
記録部とのコントラストが得られ、かつ日常生活の環境
下で経時的に安定な記録を保持することのできることが
分かった。
【0088】また、媒体の構成は第1の構成に限られる
ものではなく、図2で示す第2の構成例のように、記録
層14上に保護層16を設けて、媒体の耐熱性や耐摩耗
性を向上させることもできる。また、図3〜図6に示し
たような構造の媒体としてもよい。
【0089】<第2の実施例>第2の実施例として、電
子受容性化合物および電子供与性呈色性化合物を含む熱
可逆性記録材料であって、電子受容性化合物を、下記
(2)式で示される官能基を少なくとも1つ含み、
【0090】
【化8】
【0091】下記(3)式で示される化合物
【0092】
【化9】
【0093】のうち、Aがp−ヒドロキシフェニルアミ
ド基で、Bであるアルキルアミド基であり、このアルキ
ルアミド基中のアルキル基の炭素数が17で、かつnが
1である下記(8)式で示される化合物を使用した材料
と、この材料を用いて構成した熱可逆性記録媒体につい
て説明する。
【0094】
【化10】
【0095】以下、第1の実施例と相違する点につき説
明し、第1の実施例と同様の点についてはその詳細な説
明を省略する。
【0096】第2の実施例の熱可逆性記録材料は、電子
受容性化合物としての上記(8)式の化合物と、電子供
与性呈色性化合物としての、第1の実施例と同様の3−
ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
と、バインダーとしてのポリビニルアルコールとを含ん
でいる。
【0097】まず、上記(8)式の化合物を合成する。
合成は以下の(2−1)〜(2−4)の工程に沿って行
われる。
【0098】(2−1)まず、カルボン酸である4−ア
セトキシベンゾイックアシッド(CH3 COO−Be−
COOH、Beはベンゼン環を示している。)と無機ハ
ロゲン化合物であるチオニルクロライド(SOCl2
とを反応させて、酸ハロゲン化物であるテレフタリック
アシッドモノメチルエステルクロライド(CH3 COO
−Be−COCl)を得る。
【0099】この例では、容量500mlの4口フラス
コ中に、粉末の4−アセトキシベンゾイックアシッド3
6g(0.2mol)を入れて、窒素雰囲気中でこのフ
ラスコ中に液体のチオニルクロライド119g(1mo
l)を加えた後、3時間還流する。その後、過剰のチオ
ニルクロライドをフラスコ内を減圧にすることによって
除いて、粉末のテレフタリックアシッドモノメチルエス
テルクロライド36gが得られる。このときの収率は9
0%であった。
【0100】(2−2)次に、テレフタリックアシッド
モノメチルエステルクロライドと4−ヒドロキシヒドラ
ジド(HO−Be−CONHNH2 )とを反応させてN
−(4−ヒドロキシベンゾイル)−N’−テレフタリッ
クアシッドモノメチルエステル−ヒドラジン(HO−B
e−CONHNHCO−Be−COOCH3 )を得る。
【0101】この例では、容量200mlの4口フラス
コ中にベンゼン100mlを入れた後、粉末の4−ヒド
ロキシヒドラジド5g(0.03mol)を加え、さら
に窒素雰囲気中でテレフタリックアシッドモノメチルエ
ステルクロライド30g(0.15mol)を加えた
後、6時間還流する。次に、得られる混合溶液をろ過し
た後THFを用いて再結晶する。これにより、粉末のN
−(4−ヒドロキシベンゾイル)−N’−テレフタリッ
クアシッドモノメチルエステル−ヒドラジン6gが得ら
れる。このときの収率は70%であった。
【0102】(2−3)次に、N−(4−ヒドロキシベ
ンゾイル)−N’−テレフタリックアシッドモノメチル
エステル−ヒドラジンとヒドラジンモノハイドレート
(NH2 NH2 ・H2 O)とを反応させて、N−(4−
ヒドロキシベンゾイル)−N’−テレフタロイルモノヒ
ドラジノ−ヒドラジン(HO−Be−CONHNHCO
−Be−CONHNH2 )を得る。
【0103】この例では、容量100mlの4口フラス
コにN−(4−ヒドロキシベンゾイル)−N’−テレフ
タリックアシッドモノメチルエステル−ヒドラジン6g
(0.02mol)を入れ、この中に窒素雰囲気中で、
液体のヒドラジンモノハイドレード6g(0.2mo
l)を加えて、6時間還流する。次に、得られる混合溶
液をろ過した後THFを用いて再結晶する。これによ
り、粉末のN−(4−ヒドロキシベンゾイル)−N’−
テレフタロイルモノヒドラジノ−ヒドラジン3gが得ら
れる。このときの収率は50%であった。
【0104】(2−4)次に、N−(4−ヒドロキシベ
ンゾイル)−N’−テレフタロイルモノヒドラジノ−ヒ
ドラジンとステアロイルクロライド(C1735COO
H)を反応させて、上記(8)式の化合物を得る。
【0105】この例では、容量100mlの4口フラス
コ中に、N−(4−ヒドロキシベンゾイル)−N’−テ
レフタロイルモノヒドラジノ−ヒドラジン3g(0.0
1mol)を入れ、窒素雰囲気中で、上記フラスコ中に
液体のステアロイルクロライド15g(0.05mo
l)を加えた後、3時間還流する。次に、得られる混合
溶液をろ過した後THFを用いて再結晶する。これによ
り、粉末の上記(8)式の化合物(HO−Be−CON
HNHCO−Be−CONHNHCOC1735)が得ら
れる。このときの収率は50%であった。
【0106】合成された物質が(8)式の化合物である
ことは、第1の実施例と同様に、元素分析、IR分析お
よびNMR分析等により構造を決定して確認する。
【0107】次に、熱可逆性記録材料を製造する。この
例では、材料を、第1の実施例と同様に熱可逆性記録媒
体の記録層形成用塗布液として用いる。このため、熱可
逆性記録材料を塗布液用に調整する。
【0108】バインダーは、第1の実施例と同様にポリ
ビニルアルコール(KL−318(商品名))を用い
る。そして、第1の実施例と同様にしてポリビニルアル
コール水溶液を調整する。
【0109】また、電子供与性呈色性化合物も、第1の
実施例と同様に、黒色の発色剤である3−ジエチルアミ
ノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを用いる。
【0110】次に、第1の実施例と同様にして、3−ジ
エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン5
重量部と、上記(8)式の化合物25重量部とを加熱溶
融させて、これらの共融物を得た後、冷却して固化させ
る。こうして得られる固体を粉砕した後、ボールミル中
に調整したポリビニルアルコール水溶液と共に入れて、
さらに粉砕することにより、第2の実施例の塗布液(熱
可逆性記録材料)が得られる。
【0111】次に、第1の実施例と同様の製造方法およ
び製造条件で、この第2の実施例の熱可逆性記録媒体を
製造する。
【0112】支持体12としての、厚さ100μmで白
色のPETフィルム上に、上記塗布液を乾燥後の膜厚が
5μmとなるように塗布した後、乾燥させて記録層14
を形成する。これにより、第2の実施例の媒体10が得
られる(図1)。
【0113】この媒体10に対して、第1の実施例で行
ったと同様に印字を行ったところ、通常のプリンターで
印刷した印刷物と同等の、鮮明でかつ高濃度の記録が得
られた。
【0114】また、この媒体10における記録の消去
は、第1の実施例と同様に速やかに行うことができる。
この例の記録層14に含まれる電子受容性化合物は、炭
素数が17という長鎖のアルキル基を有している。この
ため、アルキル基の凝集力が増大しており、この結果記
録の消去を速やかにかつ良好に行うことができる。
【0115】また、この例の媒体10に対して印字と消
去とを100回繰り返して行ったところ、100回と
も、印刷物として鮮明でかつ高濃度の記録が得られた。
また、記録の消去も良好にかつ速やかに行うことができ
た。
【0116】また、印字済みの媒体10を室温の大気中
に100日間放置したところ、記録の劣化は見られなか
った。
【0117】この結果、この発明の熱可逆性記録材料を
用いて構成された熱可逆性記録媒体においては、媒体に
印加する熱エネルギーの制御によって記録および消去を
繰り返し行うことができ、従来よりも良好な記録部と無
記録部とのコントラストが得られ、かつ日常生活の環境
下で経時的に安定な記録を保持することのできることが
分かった。
【0118】また、媒体の構成は第1の構成に限られる
ものではなく、図2で示す第2の構成例のように、記録
層上に保護層を設けて、媒体の耐熱性や耐摩耗性を向上
させることもできる。また、図3〜図6に示すような構
造の媒体としてもよい。
【0119】<第3の実施例>第3の実施例として、電
子受容性化合物および電子供与性呈色性化合物を含む熱
可逆性記録材料であって、電子受容性化合物を、上記
(3)式で示される化合物のうち、Aがp−ヒドロキシ
フェニルアミド基で、Bがアルキルアミド基でありこの
アルキルアミド基中のアルキル基の炭素数が17で、か
つnが2である下記(9)式で示される化合物を使用し
た材料と、この材料を用いて構成した熱可逆性記録媒体
について説明する。
【0120】
【化11】
【0121】第3の実施例の熱可逆性記録材料は、第2
の実施例と類似しているため、以下、第2の実施例と相
違する点につき説明し、同様の点についてはその詳細な
説明を省略する。
【0122】上記(9)式の化合物の合成は、以下の
(3−1)〜(3−3)の工程に沿って行われる。
【0123】(3−1)第2の実施例の合成工程である
(2−1)工程で得られるテレフタリックアシッドモノ
メチルエステルクロライド(CH3 COO−Be−CO
Cl)と、同じく第2の実施例の(2−3)工程で得ら
れるN−(4−ヒドロキシベンゾイル)−N’−テレフ
タロイルモノヒドラジノ−ヒドラジン(HO−Be−C
ONHNHCO−Be−CONHNH2 )とを反応させ
て、ヒドラジン系化合物であるHO−Be−CONHN
HCO−Be−CONHNHCO−Be−COOCH3
を得る。
【0124】この例では、容量200mlの4口フラス
コにベンゼン100mlを入れて、このフラスコ中に粉
末のN−(4−ヒドロキシベンゾイル)−N’−テレフ
タロイルモノヒドラジノ−ヒドラジン9g(0.03m
ol)を加え、その後窒素雰囲気中で、上記フラスコ内
にテレフタリックアシッドモノメチルエステルクロライ
ド30g(0.15mol)を加えた後、6時間還流す
る。次に、得られる混合溶液をろ過した後、THFを用
いて再結晶する。これにより、粉末の上記ヒドラジン系
化合物7gが得られる。このときの収率は50%であっ
た。
【0125】(3−2)次に、上記(3−1)工程で得
られるヒドラジン系化合物(HO−Be−CONHNH
CO−Be−CONHNHCO−Be−COOCH3
とヒドラジンモノハイドレード(NH2 NH2 ・H2
O)を反応させて、ヒドラジン系化合物であるHO−B
e−CONHNHCO−Be−CONHNHCO−Be
−CONHNH2 を得る。
【0126】この例では、容量100mlの4口フラス
コ中に(3−1)工程で得られるヒドラジン系化合物7
g(0.015mol)入れる。その後、窒素雰囲気中
で、フラスコ中に液体のヒドラジンモノハイドレード5
g(0.15mol)を加えて6時間還流する。その
後、フラスコ内の混合溶液をろ過して、次いでTHFを
用いて再結晶する。これにより、粉末の上記ヒドラジン
系化合物(HO−Be−CONHNHCO−Be−CO
NHNHCO−Be−CONHNH2 )4.5gが得ら
れる。このときの収率は67%であった。
【0127】(3−3)次に、上記(3−2)工程で得
られるヒドラジン系化合物(HO−Be−CONHNH
CO−Be−CONHNHCO−Be−CONHNH
2 )とステアロイルクロライド(C1735COCl)と
を反応させて、上記(9)式の化合物を得る。
【0128】この例では、容量100mlの4口フラス
コ中に上記(3−2)工程で得られたヒドラジン系化合
物4.5g(0.015mol)を入れ、窒素雰囲気中
で、上記フラスコ中に液体のステアロイルクロライド1
5g(0.05mol)を加えた後、3時間還流する。
次に、フラスコ内の混合溶液をろ過した後THFを用い
て再結晶する。これにより、粉末の上記(9)式の化合
物(HO−Be−CONHNHCO−Be−CONHN
HCO−Be−CONHNHCOC1735)が得られ
る。このときの収率は50%であった。
【0129】合成された物質が(9)式の化合物である
ことは、第1および第2の実施例と同様に、元素分析、
IR分析およびNMR分析等により構造を決定して確認
する。
【0130】次に、第1および第2の実施例と同様にし
て、熱可逆性記録材料としての記録層形成用塗布液を調
整する。
【0131】熱可逆性記録材料は、電子受容性化合物と
しての上記(9)式の化合物と、電子供与性呈色性化合
物として3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリ
ノフルオランと、バインダーとしてのポリビニルアルコ
ールを含んでいる。
【0132】第1および第2実施例と同様にして、3−
ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
5重量部と、上記(9)式の化合物25重量部とを加熱
溶融させて、これらの共融物を得た後、冷却して固化さ
せる。こうして得られる固体を粉砕した後、ボールミル
中に調整したポリビニルアルコール水溶液と共に入れ
て、さらに粉砕することにより、第3の実施例の塗布液
(熱可逆性記録材料)が得られる。
【0133】次に、第1および第2の実施例と同様の製
造方法および製造条件で、この第3の実施例の熱可逆性
記録媒体を製造する。
【0134】支持体12としての、厚さ100μmで白
色のPETフィルム上に、上記塗布液を乾燥後の膜厚が
5μmとなるように塗布した後、乾燥させて記録層14
を形成する。これにより、第3の実施例の媒体10が得
られる(図1)。
【0135】この媒体10に対して、第1および第2の
実施例で行ったと同様に印字を行ったところ、通常のプ
リンターで印刷した印刷物と同等の、鮮明でかつ高濃度
の記録が得られた。
【0136】また、この媒体10における記録の消去
は、第1および第2の実施例と同様に速やかに行うこと
ができる。この例の記録層14に含まれる電子受容性化
合物は、炭素数が17という長鎖のアルキル基を有して
いる。このため、アルキル基の凝集力が増大しており、
この結果記録の消去を速やかにかつ良好に行うことがで
きる。
【0137】また、この例の媒体10に対して印字と消
去とを100回繰り返して行ったところ、100回と
も、印刷物として鮮明でかつ高濃度の記録が得られた。
また、記録の消去も良好にかつ速やかに行うことができ
た。
【0138】また、印字済みの媒体10を室温の大気中
に100日間放置したところ、記録の劣化は見られなか
った。
【0139】この結果、この発明の熱可逆性記録材料を
用いて構成された熱可逆性記録媒体においては、媒体に
印加する熱エネルギーの制御によって記録および消去を
繰り返し行うことができ、従来よりも良好な記録部と無
記録部とのコントラストが得られ、かつ日常生活の環境
下で経時的に安定な記録を保持することのできることが
分かった。
【0140】また、媒体の構成は第1の構成に限られる
ものではなく、図2で示す第2の構成例のように、記録
層上に保護層を設けて、媒体の耐熱性や耐摩耗性を向上
させることもできる。また、図3〜図6に示すような構
造の媒体としてもよい。
【0141】<第4の実施例>第4の実施例として、電
子受容性化合物および電子供与性呈色性化合物を含む熱
可逆性記録材料であって、電子受容性化合物を、下記
(4)式で示される官能基を少なくとも1つ含み、 −NHCO−(CH2k −CONH−・・・(4) 下記(5)式で示される化合物 X−(NHCO−(CH2k −CONH)m −Y・・・(5) のうち、Xがp−ヒドロキシフェニルアミド基で、Yが
アルキルアミド基であり、このアルカリアミド基中のア
ルキル基の炭素数が17で、kが3で、かつmが1であ
る下記(10)式で示される化合物を使用した材料と、
この材料を用いて構成した熱可逆性記録媒体について説
明する。
【0142】
【化12】
【0143】以下、第1〜第3の実施例と相違する点に
ついて説明し、これらの実施例と同様の点についてはそ
の詳細な説明を省略する。
【0144】第4の実施例の熱可逆性記録材料は、電子
受容性化合物としての上記(10)式の化合物と、電子
供与性呈色性化合物としての3−ジエチルアミノ−6−
メチル−7−アニリノフルオランと、バインダーとして
のポリビニルアルコールとを含んでいる。
【0145】まず、上記(10)式の化合物を、下記
(4−1)〜(4−4)の工程に沿って合成する。この
合成は第2の実施例の電子受容性化合物の合成工程(2
−1)〜(2−4)と、同様の反応経路にして行う。各
工程での反応条件および反応機構は第2の実施例で説明
したと同様であるため、ここでは詳しい説明を省略す
る。
【0146】(4−1)まず、(2−1)工程に相当す
る工程では、この実施例では、グルタリックアシッドモ
ノメチルエステル(CH3 OOC−(CH23 −CO
OH)とチオニルクロライド(SOCl2 )とを反応さ
せて、酸ハロゲン化物であるグルタリックアシッドモノ
メチルエステルクロライド(CH3 OOC−(CH23
−COCl)を得る。
【0147】(4−2)次に、(2−2)工程に相当す
る工程では、ここでは、グルタリックアシッドモノメチ
ルエステルクロライドと4−ヒドロキシヒドラジド(H
O−Be−CONHNH2 )とを反応させて、ヒドラジ
ン系化合物であるHO−Be−CONHNHCO−(C
23 −COOCH3 を得る。
【0148】(4−3)次に、この実施例の(2−3)
工程に相当する工程では、上記ヒドラジン系化合物とヒ
ドラジンモノハイドレート(NH2 NH2 ・H2 O)と
を反応させて、ヒドラジン系化合物であるHO−Be−
CONHNHCO−(CH23 −CONHNH2 を得
る。
【0149】(4−4)次に、この実施例の、(2−
4)工程に相当する工程では、上記(4−3)工程で得
られるヒドラジン系化合物とステアロイルクロライド
(C1735COCl)とを反応させて、上記(10)式
の化合物(HO−Be−CONHNHCO−(CH2
3 −CONHNHCOC1735)を得る。
【0150】合成された上記(10)式の化合物を用い
て、熱可逆性記録材料としての記録層形成用塗布液を調
整する。
【0151】熱可逆性記録材料は、電子受容性化合物と
しての上記(10)式の化合物と、電子供与性呈色性化
合物として3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニ
リノフルオランと、バインダーとしてのポリビニルアル
コールを含んでいる。
【0152】第1〜第3実施例と同様にして、3−ジエ
チルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン5重
量部と、上記(10)式の化合物25重量部とを加熱溶
融させて、これらの共融物を得た後、冷却して固化させ
る。こうして得られる固体を粉砕した後、ボールミル中
に調整したポリビニルアルコール水溶液と共に入れて、
さらに粉砕することにより、第4の実施例の塗布液(熱
可逆性記録材料)が得られる。
【0153】次に、第1〜第3の実施例と同様の製造方
法および製造条件で、この第4の実施例の熱可逆性記録
媒体を製造する。
【0154】支持体12としての、厚さ100μmで白
色のPETフィルム上に、上記塗布液を乾燥後の膜厚が
5μmとなるように塗布した後、乾燥させて記録層14
を形成する。これにより、第4の実施例の媒体10が得
られる(図1)。
【0155】この媒体10に対して、第1〜第3の実施
例で行ったと同様に印字を行ったところ、通常のプリン
ターで印刷した印刷物と同等の、鮮明でかつ高濃度の記
録が得られた。
【0156】また、この媒体10における記録の消去
は、第1〜第3の実施例と同様に速やかに行うことがで
きる。この例の記録層14に含まれる電子受容性化合物
は、炭素数が17という長鎖のアルキル基を有してい
る。このため、アルキル基の凝集力が増大しており、こ
の結果記録の消去を速やかにかつ良好に行うことができ
る。
【0157】また、この例の媒体10に対して印字と消
去とを100回繰り返して行ったところ、100回と
も、印刷物として鮮明でかつ高濃度の記録が得られた。
また、記録の消去も良好にかつ速やかに行うことができ
た。
【0158】また、印字済みの媒体10を室温の大気中
に100日間放置したところ、記録の劣化は見られなか
った。
【0159】この結果、この発明の熱可逆性記録材料を
用いて構成された熱可逆性記録媒体においては、媒体に
印加する熱エネルギーの制御によって記録および消去を
繰り返し行うことができ、従来よりも良好な記録部と無
記録部とのコントラストが得られ、かつ日常生活の環境
下で経時的に安定な記録を保持することのできることが
分かった。
【0160】また、媒体の構成は第1の構成に限られる
ものではなく、図2で示す第2の構成例のように、記録
層上に保護層を設けて、媒体の耐熱性や耐摩耗性を向上
させることもできる。また、図3〜図6に示される構造
の媒体としてもよい。
【0161】<第5の実施例>第5の実施例として、電
子受容性化合物および電子供与性呈色性化合物を含む熱
可逆性記録材料であって、電子受容性化合物を、下記
(5)式で示される化合物 X−(NHCO−(CH2k −CONH)m −Y・・・(5) のうち、Xがp−ヒドロキシフェニルアミド基で、Yが
アルキルアミド基であり、このアルキルアミド基中のア
ルキル基の炭素数が17で、kが3で、かつmが2であ
る下記(11)式で示される化合物を使用した材料と、
この材料を用いて構成した熱可逆性記録媒体について説
明する。
【0162】
【化13】
【0163】以下、第1〜第4の実施例と相違する点に
ついて説明し、これらの実施例と同様の点についてはそ
の詳細な説明を省略する。
【0164】第5の実施例の熱可逆性記録材料は、電子
受容性化合物としての上記(11)式の化合物と、電子
供与性呈色性化合物としての3−ジエチルアミノ−6−
メチル−7−アニリノフルオランと、バインダーとして
のポリビニルアルコールとを含んでいる。
【0165】まず、上記(11)式の化合物を合成す
る。この合成は第3の実施例の電子受容性化合物の合成
工程(3−1)〜(3−3)と、同様にして行う。各工
程での反応条件および反応機構は第3の実施例で説明し
たと同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
また、反応に用いる材料物質として、第4の実施例の化
合物合成の途中の工程で得られる中間物質を用いる。
【0166】(5−1)まず、第3の実施例の(3−
1)工程に相当する工程では、この実施例では、第4の
実施例の合成工程の(4−1)工程で得られるグルタリ
ックアシッドモノメチルエステルクロライド(CH3
OC−(CH23 −COCl)と、同じく第4の実施
例の(4−3)工程で得られるヒドラジン系化合物であ
るHO−Be−CONHNHCO−(CH23 −CO
NHNH2 とを反応させて、ヒドラジン系化合物である
HO−Be−CONHNHCO−(CH23 −CON
HNHCO−(CH23 −COOCH3 を得る。
【0167】(5−2)次に、第3の実施例の(3−
2)工程に相当する工程では、ここでは、ヒドラジン系
化合物であるHO−Be−CONHNHCO−(CH
23 −CONHNHCO−(CH23 −COOCH
3 とヒドラジンモノハイドレード(NH2 NH2 ・H2
O)とを反応させて、ヒドラジン系化合物であるHO−
Be−CONHNHCO−(CH23 −CONHNH
CO−(CH23 −CONHNH2 を得る。
【0168】(5−3)次に、この実施例の、第3の実
施例の(3−3)工程に相当する工程では、上記ヒドラ
ジン系化合物とステアロイルクロライド(C1735CO
Cl)とを反応させて、上記(11)式の化合物(HO
−Be−CONHNHCO−(CH23 −CONHN
HCO−(CH23 −CONHNHCOC1735)を
得る。
【0169】合成された上記(11)式の化合物を用い
て、熱可逆性記録材料としての記録層形成用塗布液を調
整する。
【0170】熱可逆性記録材料は、電子受容性化合物と
しての上記(11)式の化合物と、電子供与性呈色性化
合物として3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニ
リノフルオランと、バインダーとしてのポリビニルアル
コールを含んでいる。
【0171】第1〜第4の実施例と同様にして、3−ジ
エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン5
重量部と、上記(11)式の化合物25重量部とを加熱
溶融させて、これらの共融物を得た後、冷却して固化さ
せる。こうして得られる固体を粉砕した後、ボールミル
中に調整したポリビニルアルコール水溶液と共に入れ
て、さらに粉砕することにより、第5の実施例の塗布液
(熱可逆性記録材料)が得られる。
【0172】次に、第1〜第4の実施例と同様の製造方
法および製造条件で、この第5の実施例の熱可逆性記録
媒体を製造する。
【0173】支持体12としての、厚さ100μmで白
色のPETフィルム上に、上記塗布液を乾燥後の膜厚が
5μmとなるように塗布した後、乾燥させて記録層14
を形成する。これにより、第5の実施例の媒体10が得
られる(図1)。
【0174】この媒体10に対して、第1〜第4の実施
例で行ったと同様に印字を行ったところ、通常のプリン
ターで印刷した印刷物と同等の、鮮明でかつ高濃度の記
録が得られた。
【0175】また、この媒体10における記録の消去
は、第1〜第4の実施例と同様に速やかに行うことがで
きる。この例の記録層14に含まれる電子受容性化合物
は、炭素数が17という長鎖のアルキル基を有してい
る。このため、アルキル基の凝集力が増大しており、こ
の結果記録の消去を速やかにかつ良好に行うことができ
る。
【0176】また、この例の媒体10に対して印字と消
去とを100回繰り返して行ったところ、100回と
も、印刷物として鮮明でかつ高濃度の記録が得られた。
また、記録の消去も良好にかつ速やかに行うことができ
た。
【0177】また、印字済みの媒体10を室温の大気中
に100日間放置したところ、記録の劣化は見られなか
った。
【0178】この結果、この発明の熱可逆性記録材料を
用いて構成された熱可逆性記録媒体においては、媒体に
印加する熱エネルギーの制御によって記録および消去を
繰り返し行うことができ、従来よりも良好な記録部と無
記録部とのコントラストが得られ、かつ日常生活の環境
下で経時的に安定な記録を保持することのできることが
分かった。
【0179】また、媒体の構成は第1の構成に限られる
ものではなく、図2で示す第2の構成例のように、記録
層上に保護層を設けて、媒体の耐熱性や耐摩耗性を向上
させることもできる。また、図3〜図6に示すような構
造の媒体としてもよい。
【0180】
【発明の効果】上述した説明から明らかなように、この
発明の熱可逆性記録材料によれば、電子受容性化合物お
よび電子供与性呈色性化合物を含み、電子受容性化合物
が、下記(1)式で示されるN−アルキルアミド−カル
バミン酸であることを特徴とする。
【0181】R−CONHNHCOOH・・・(1) ただし、上記(1)式中のR−は、アルキル基とし、こ
のアルキル基の炭素数を少なくとも17とする。
【0182】上記N−アルキルアミド−カルバミン酸
は、電子親和力の大きい基を含む電子受容性の化合物で
ある。また、アルキル基の炭素数が17以上という長鎖
であるために、電子供与性呈色性化合物との相溶性を低
くすることができる。よって、発色時の溶融状態にある
混合物を徐冷することによって、従来よりも容易に相分
離することができる。従って、消色をより速やかにかつ
簡単に行うことができる。
【0183】また、N−アルキルアミド−カルバミン酸
と同様の効果が得られる電子受容性の化合物として、下
記(2)式で示される官能基を少なくとも1つ含む化合
物のうち、特に下記(3)式で示される化合物や、下記
(4)式で示される官能基を少なくとも1つ含む化合物
のうち、特に下記(5)式で示される化合物を用いても
よい。
【0184】
【化14】
【0185】 −NHCO−(CH2k −CONH−・・・(4) X−(NHCO−(CH2k −CONH)m −Y・・・(5) (ただし、上記(3)式中のAを、p−ヒドロキシフェ
ニルアミド基とし、Bをアルキルアミド基とする。そし
て、アルキルアミド基中のアルキル基の炭素数を少なく
とも17とする。また、nを1以上の整数とし、上記
(5)式中のXを、p−ヒドロキシフェニルアミド基と
し、Yをアルキルアミド基とする。そして、アルキルア
ミド基中のアルキル基の炭素数を少なくとも17とす
る。また、上記(4)式中のkおよび(5)式中のmを
それぞれ1以上の整数とする。)。
【0186】また、上記の熱可逆性記録材料を用いて熱
可逆性記録媒体を構成するのが好ましい。この熱可逆性
記録媒体10の構成は、例えば、支持体12とこの支持
体12の上側に設けられた記録層14とを具えているの
がよい。この熱可逆性記録媒体10に対して、一般的な
感熱プリンター用いて印字を行うと、印刷物として良好
な濃度の記録(画像)を得ることができる。また、感熱
プリンターによる加熱はサーマルヘッドによるパルス的
でかつ部分的な加熱であるために、加熱直後は、印字部
と印字部の周囲の記録層領域との温度差によって、印字
部は急冷されたと同様の作用を受ける。これにより、印
字部の記録は保持される。
【0187】また、印字を行った熱可逆性記録媒体10
の全体を、電子受容性化合物および電子供与性呈色性化
合物が共融混合物となる温度にまで加熱した後、室温中
で放置することによって徐冷を行うことができる。これ
により、印字部の記録を消去することができる。
【0188】また、この熱可逆性記録媒体10において
は、上述した印字操作およびこれに続く消去操作を繰り
返し行っても、印刷物として鮮明でかつ高濃度と言える
記録が得ることができる。また、記録の消去を速やかに
かつ容易に行うことができる。
【0189】さらに、印字済みの媒体10については、
日常生活の環境下で経時的、少なくとも1年程度は劣化
のない安定した記録を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱可逆性記録媒体の第1の構造例を示す概略図
であり、断面の切り口で示してある。
【図2】熱可逆性記録媒体の第2の構造例を示す概略図
であり、断面の切り口で示してある。
【図3】熱可逆性記録媒体の第3の構造例を示す概略図
であり、断面の切り口で示してある。
【図4】熱可逆性記録媒体の第4の構造例を示す概略図
であり、断面の切り口で示してある。
【図5】熱可逆性記録媒体の第5の構造例を示す概略図
であり、断面の切り口で示してある。
【図6】熱可逆性記録媒体の第6の構造例を示す概略図
であり、断面の切り口で示してある。
【図7】(A)は、第1の実施例の説明に供する電子供
与性呈色性化合物の一例としての3−ジエチルアミノ−
6−メチル−7−アニリノフルオランの消色時の分子構
造を示す図であり、(B)は、3−ジエチルアミノ−6
−メチル−7−アニリノフルオランの発色時の分子構造
を示す図である。
【符号の説明】
10,20,30,40,50,60:熱可逆性記録媒
体(媒体) 12:支持体 14,18:記録層 16,22,28,32:保護層 24:第1記録層 26:第2記録層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子受容性化合物および電子供与性呈色
    性化合物を含む熱可逆性記録材料において、 前記電子受容性化合物が、下記(1)式で示されるN−
    アルキルアミド−カルバミン酸である、 R−CONHNHCOOH・・・(1) ただし、Rはアルキル基とし、該アルキル基の炭素数を
    少なくとも17とすることを特徴とする熱可逆性記録材
    料。
  2. 【請求項2】 電子受容性化合物および電子供与性呈色
    性化合物を含む熱可逆性記録材料において、 前記電子受容性化合物が、下記(2)式で示される官能
    基を少なくとも1つ含む化合物である 【化1】 ことを特徴とする熱可逆性記録材料。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の熱可逆性記録材料にお
    いて、 前記電子受容性化合物が、下記(3)式で示される化合
    物である、 【化2】 ただし、(3)式中のAをp−ヒドロキシフェニルアミ
    ド基とし、Bをアルキルアミド基とし、該アルキルアミ
    ド基中のアルキル基の炭素数を少なくとも17とし、お
    よびnを1以上の整数とすることを特徴とする熱可逆性
    記録材料。
  4. 【請求項4】 電子受容性化合物および電子供与性呈色
    性化合物を含む熱可逆性記録材料において、 前記電子受容性化合物が、下記(4)式で示される官能
    基を少なくとも1つ含む化合物である、 −NHCO−(CH2k −CONH−・・・(4) ただし、(4)式中のkを1以上の整数とすることを特
    徴とする熱可逆性記録材料。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の熱可逆性記録材料にお
    いて、 前記電子受容性化合物が、下記(5)式で示される化合
    物である、 X−(NHCO−(CH2k −CONH)m −Y・・・(5) ただし、(5)式中のXをp−ヒドロキシフェニルアミ
    ド基とし、Yをアルキルアミド基とし、該アルキルアミ
    ド基中のアルキル基の炭素数を少なくとも17とし、お
    よびmを1以上の整数とすることを特徴とする熱可逆性
    記録材料。
  6. 【請求項6】 支持体と、該支持体の上側に設けられ
    た、電子受容性化合物および電子供与性呈色性化合物を
    含む記録層とを具えた熱可逆性記録媒体において、 前記電子受容性化合物が、下記(1)式で示されるN−
    アルキルアミド−カルバミン酸である、 R−CONHNHCOOH・・・(1) ただし、Rはアルキル基とし、該アルキル基の炭素数を
    少なくとも17とすることを特徴とする熱可逆性記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 支持体と、該支持体の上側に設けられ
    た、電子受容性化合物および電子供与性呈色性化合物を
    含む記録層とを具えた熱可逆性記録媒体において、 前記電子受容性化合物が、下記(2)式で示される官能
    基を少なくとも1つ含む化合物である、 【化3】 ことを特徴とする熱可逆性記録媒体。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の熱可逆性記録媒体にお
    いて、 前記電子受容性化合物が、下記(3)式で示される化合
    物である、 【化4】 ただし、(3)式中のAをp−ヒドロキシフェニルアミ
    ド基とし、Bをアルキルアミド基とし、該アルキルアミ
    ド基中のアルキル基の炭素数を少なくとも17とし、お
    よびnを1以上の整数とすることを特徴とする熱可逆性
    記録媒体。
  9. 【請求項9】 支持体と、該支持体の上側に設けられ
    た、電子受容性化合物および電子供与性呈色性化合物を
    含む記録層とを具えた熱可逆性記録媒体において、 前記電子受容性化合物が、下記(4)式で示される官能
    基を少なくとも1つ含む化合物である、 −NHCO−(CH2k −CONH−・・・(4) ただし、(4)式中のkを1以上の整数とすることを特
    徴とする熱可逆性記録媒体。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の熱可逆性記録媒体に
    おいて、 前記電子受容性化合物が、下記(5)式で示される化合
    物である、 X−(NHCO−(CH2k −CONH)m −Y・・・(5) ただし、(5)式中のXをp−ヒドロキシフェニルアミ
    ド基とし、Yをアルキルアミド基とし、該アルキルアミ
    ド基中のアルキル基の炭素数を少なくとも17とし、お
    よびmを1以上の整数とすることを特徴とする熱可逆性
    記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007515412A (ja) * 2003-12-10 2007-06-14 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング ジアシルヒドラジン誘導体

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