JP2001103770A - 超音波モータ及びその駆動方法 - Google Patents

超音波モータ及びその駆動方法

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JP2001103770A
JP2001103770A JP27440199A JP27440199A JP2001103770A JP 2001103770 A JP2001103770 A JP 2001103770A JP 27440199 A JP27440199 A JP 27440199A JP 27440199 A JP27440199 A JP 27440199A JP 2001103770 A JP2001103770 A JP 2001103770A
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frequency
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elements
resonance frequency
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JP27440199A
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Kazuhiro Shibatani
一弘 柴谷
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Minolta Co Ltd
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の圧電素子10,10’を用いた超音波
モータ(トラス型アクチュエータ)において、各圧電素
子10,10’の共振周波数にばらつきがある場合であ
っても、最適な条件で超音波モータを駆動し、駆動効率
を一定で、かつできるだけ高くする。 【解決手段】 第1圧電素子10及び第2圧電素子1
0’の共振周波数をCPU52、位相検出部58、UP
/DOWNカウンタ61等で構成される共振周波数検出
部で検出し、両者の大小を判定して、第3スイッチSW
3による駆動周波数制御信号を切り替える。また、第1
及び第2電流検出器56,57、変位比較判定部59等
で構成される変位量検出部により、第1圧電素子10と
第2圧電素子10’の変位量の差を検出し、その差が0
となるようにUP/DOWNカウンタ61のカウント値
を増減させる信号を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電素子等の変位
素子を用いたアクチュエータ、特に複数の変位素子の変
位を合成して楕円運動を発生させるトラス型アクチュエ
ータや進行波型モータ等の超音波モータにおいて、各変
位素子の変位量が等しくなる周波数を検出し、その周波
数で駆動する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トラス型アクチュエータや進行波型モー
タ等の複数の変位素子を用いた超音波モータでは、周波
数が同一で位相の異なる複数の駆動信号を用いて各変位
素子を駆動する。ところで、圧電素子等を用いた変位素
子はその変位量が小さいため、変位素子を効率良く駆動
するためには、共振現象を用いて駆動することが好まし
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、圧電素
子等の変位素子は、その製造時のばらつきや組立時のば
らつき等により共振周波数特性に個体差を有する。ま
た、複数の変位素子を用いて超音波モータを製造する場
合、超音波モータの構成により、さらに各変位素子の共
振周波数が変化する。一方、変位素子を保持するベース
部材又はチップ部材の設計(質量調整等)を工夫するこ
とにより、複数の変位素子の共振周波数を近似させるこ
とは可能であるが、完全に一致させることは非常に困難
である。
【0004】また、共振周波数は負荷変動や環境条件の
変化により変動するため、共振周波数の変動の影響によ
り駆動効率が一定にならないという問題点を有してい
た。
【0005】さらに、トラス型アクチュエータ等の超音
波モータの用途拡大に伴い、その小型化が望まれてい
る。一般に、小さな素子で大きな変位を得るには、素子
の機械的Q値を大きくすればよいが、圧電素子等では駆
動信号の周波数が共振周波数から外れると、急激に変位
量が減少する。従って、複数の変位素子の共振周波数の
ずれは、各変位素子の変位量に影響し、被駆動部材の駆
動効率を低下させるという問題点を有していた。
【0006】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、複数の変位素子の共振周波数がずれ
ている場合であっても、各変位素子の変位量が等しくな
る周波数を検出し、その周波数で駆動する超音波モータ
及びその駆動方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の超音波モータは、複数の変位素子を含み、
前記複数の変位素子のうち少なくとも2つの変位素子の
変位量が一致する周波数を検出し、当該周波数で前記各
変位素子を駆動することを特徴とする。
【0008】上記構成において、前記少なくとも2つの
変位素子の変位量が一致する周波数が複数ある場合に、
前記複数の周波数のうち最適な周波数を選択して前記各
変位素子を駆動することが好ましい。
【0009】また、本発明の別の超音波モータは、複数
の変位素子と、前記複数の変位素子を駆動するために、
周波数が同じで所定の位相差を有する複数の駆動信号を
発生する駆動信号発生手段と、前記少なくとも2つの変
位素子の変位量を検出すると共に、検出した変位量の大
小を比較する変位量検出手段と、前記変位量検出手段に
よる検出結果に応じて、前記少なくとも2つの変位素子
の変位量が一致するように前記駆動信号発生手段による
駆動信号の周波数を制御する周波数制御手段を具備す
る。
【0010】上記構成において、前記複数の変位素子の
うち少なくとも2つの変位素子の共振周波数を検出する
と共に、検出した共振周波数の大小を判別する共振周波
数検出手段をさらに具備し、前記周波数制御手段は、前
記共振周波数の大小及び前記変位量の大小に応じて、前
記駆動信号の周波数の増減を制御することが好ましい。
【0011】また、前記共振周波数検出手段は各変位素
子に流れる電流を検出する電流検出手段を含み、共振周
波数検出の対象となる変位素子に印加される駆動信号の
電圧と当該変位素子に流れる電流の位相差を検出し、当
該変位素子の共振周波数を検出することが好ましい。
【0012】さらに、前記変位量検出手段は各変位素子
に流れる電流を検出する電流検出手段を含み、変位量検
出の対象となる変位素子に流れる電流値から、当該変位
素子の変位量を演算することが好ましい。
【0013】上記各構成において、各変位素子の先端部
にそれぞれ結合され、各変位素子の変位を合成するため
の変位合成部をさらに含み、各変位素子及び変位合成部
でトラス型アクチュエータを構成し、変位合成部が楕円
運動を行うように各変位素子を駆動することが好まし
い。
【0014】また、変位素子は複数の圧電素子を電極を
介して積層したものであることが好ましい。
【0015】または、変位素子は圧電素子と弾性体を含
み、弾性体を共振させることが好ましい。
【0016】一方、本発明の超音波モータの駆動方法
は、複数の変位素子を位相差を有する複数の駆動信号で
それぞれ駆動し、被駆動部材を所定方向に移動させる超
音波モータの駆動方法であって、前記複数の変位素子の
うち少なくとも2つの変位素子の変位量が等しくなる周
波数を検出し、当該周波数で前記各駆動部材を駆動する
ことを特徴とする。
【0017】上記方法において、前記少なくとも2つの
変位素子の変位量が一致する周波数が複数ある場合に、
前記複数の周波数のうち最適な周波数を選択して前記各
変位素子を駆動することが好ましい。
【0018】また、前記複数の変位素子のうち少なくと
も2つの変位素子の共振周波数を検出すると共に検出し
た共振周波数の大小を判別し、前記共振周波数の大小及
び前記変位量の大小に応じて前記駆動信号の周波数の増
減を制御することが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】第1の実施形態 本発明の超音波モータについて、第1の実施形態である
トラス型アクチュエータを例にして説明する。まず、本
実施形態において変位素子として用いる積層型圧電素子
の構成を図1に示す。図1に示すように、積層型圧電素
子10は、PZT等の圧電特性を示す複数のセラミック
薄板11と電極12,13を交互に積層したものであ
り、各セラミック薄板11と電極12,13とは接着剤
等により固定されている。1つおきに配置された各電極
群12及び13は、それぞれ信号線14,15を介して
駆動電源16に接続されている。信号線14と15の間
に所定の電圧を印加すると、電極12と13に挟まれた
各セラミック薄板11には、その積層方向に電界が発生
し、その電界は1つおきに同じ方向である。従って、各
セラミック薄板11は、1つおきに分極の方向が同じに
なる(隣り合う2つのセラミック薄板11の分極方向は
逆となる)ように積層されている。なお、積層型圧電素
子10の両端部には、保護層17が設けられている。
【0020】駆動電源16により直流の駆動電圧を各電
極12と13の間に印加すると、全てのセラミック薄板
11が同方向に伸び又は縮み、圧電素子10全体として
伸縮する。電界が小さく、かつ変位の履歴が無視できる
領域では、各電極12と13の間に発生する電界と圧電
素子10の変位は、ほぼ直線的な関係と見なすことがで
きる。この様子を図2に示す。図中、横軸は電界強度
を、縦軸は歪み率を表す。
【0021】次に、駆動電源16により交流の駆動電圧
(交流信号)を各電極12と13の間に印加すると、そ
の電界に応じて各セラミック薄板11は同方向に伸縮を
繰り返し、圧電素子10全体として伸縮を繰り返す。圧
電素子10には、その構造や電気的特性により決定され
る固有の共振周波数が存在する。交流の駆動電圧の周波
数が圧電素子10の共振周波数と一致すると、インピー
ダンスが低下し、圧電素子10の変位が増大する。圧電
素子10は、その外形寸法に対して変位が小さいため、
低い電圧で駆動するためには、この共振現象を利用する
ことが望ましい。
【0022】次に、本実施形態のトラス型アクチュエー
タ(以下、単にアクチュエータと称する)の構成を図3
に示す。図3に示すように、2つの変位素子(積層型の
第1圧電素子及び第2圧電素子)10,10’を略直角
に交差させて配置し、それらの交差側端部にチップ部材
(変位合成部)20を接着剤により接合している。一
方、第1及び第2圧電素子10,10’の他端部をベー
ス部材(固定部)30に接着剤により接合している。チ
ップ部材20の材料としては、安定して高い摩擦係数が
得られ、かつ耐摩耗性に優れた超硬合金(タングステン
・カーバイド等)が好ましい。ベース部材30の材料と
しては、製造が容易で、かつ強度に優れたステンレス鋼
等が好ましい。また、接着剤としては、接着力及び強度
に優れたエポキシ系樹脂等が好ましい。なお、第1圧電
素子10及び第2圧電素子10’は図1に示す圧電素子
10と実質的に同一である。ベース部材30はばね41
により付勢されており、ばね41の付勢力によりチップ
部材20はロータ40とが所定の圧力で接触する。
【0023】圧電素子10,10’をそれぞれ所定の位
相差を有する駆動信号で駆動すると、チップ部材20は
楕円形(円形を含む)の軌跡を描くように駆動される。
このチップ部材20を、例えば所定の軸の周りに回転可
能なロータ40の円筒面に押しつけると、チップ部材2
0の楕円運動(円運動を含む)をロータ40の回転運動
に変換することが可能となる。または、チップ部材20
を、例えば棒状部材(図示せず)の平面部に押しつける
ことにより、チップ部材20の楕円運動を棒状部材の直
線運動に変換することが可能となる。ロータ40の材料
としては、アルミニウム等の軽量金属が好ましく、チッ
プ部材20との摩擦による摩耗を防止するため、表面に
アルマイト等の処理を施すことが好ましい。あるいは、
鉄材にタフトライド(窒化処理)を施したものも有効で
ある。
【0024】次に、ロータ40とチップ部材20を完全
剛体としたときのアクチュエータによるロータ40の回
転原理について説明する。第1圧電素子10及び第2圧
電素子10’に印加する正弦波電圧の周波数(圧電素子
の駆動周波数)が小さく、チップ部材20の回転速度が
遅い場合、ばね41の付勢力によりアクチュエータ自体
がチップ部材20の変位に追従してしまい、チップ部材
20はロータ40の表面から離反することはなく、ロー
タ40の表面と接触した状態で往復駆動される。従っ
て、この場合ロータ40を回転させることはできない。
【0025】これに対して、第1圧電素子10及び第2
圧電素子10’に印加する正弦波電圧の周波数が大き
く、チップ部材20の回転速度が速い場合、ばね41の
付勢力によってはアクチュエータ自体がチップ部材20
の変位に追従できず、チップ部材20がロータ40の表
面から一時的に離反する状態が生まれる。従って、チッ
プ部材20がロータ40の表面から離反している間にチ
ップ部材20を所定方向に移動させ、チップ部材20が
ロータ40の表面に接触している間に所定方向と反対の
方向に移動させることにより、ロータ40を回転させる
ことができる。この状態を図4に示す。
【0026】図4において、(a)及び(e)は第1圧
電素子10及び第2圧電素子10が共に伸び、チップ部
材20がロータ40の表面に接触した状態、(b)は第
1圧電素子10が縮み第2圧電素子10’が伸び、チッ
プ部材20がロータ40の表面から離反した状態、
(c)は第1圧電素子10及び第2圧電素子10が共に
縮み、チップ部材20がロータ40の表面から離反した
状態、(d)は第1圧電素子10が伸び第2圧電素子1
0’が縮んでいるが、アクチュエータがチップ部材20
の動きに追いつき、チップ部材20がロータ40の表面
に接触した状態を示す。図4からわかるように、チップ
部材20がロータ40の表面から離反することにより、
ロータ40を回転させることができる。なお、チップ部
材20をロータ40の表面から離反させるための条件
は、本発明の本質部分とは直接関係がないので、その説
明を省略する。
【0027】次に、第1圧電素子10及び第2圧電素子
10’を駆動するための駆動信号について説明する。互
いに直交する独立した2つの運動を合成すると、その交
点は楕円振動の式(Lissajousの式)に従った軌跡を描
く。本実施形態のアクチュエータにおいても、第1圧電
素子10及び第2圧電素子10’を駆動するための駆動
信号の振幅や位相差を変化させることにより、種々の軌
跡を得ることができる。各駆動信号の振幅を等しくした
場合において、各駆動信号間の位相差を0°、45°、
90°、135°及び180°とした場合の軌跡をそれ
ぞれ図5の(a)〜(e)に示す。
【0028】このように、チップ部材20の軌跡を制御
することにより、ロータ40の回転方向、回転速度、回
転力(トルク)等を制御することができる。具体的に
は、ロータ40に対してその接線方向におけるチップ部
材20の軌跡の径を大きくすれば回転速度が上昇する。
また、ロータ40に対してその法線方向におけるチップ
部材20の軌跡の径を大きくすれば回転力が上昇する。
さらに、一方の駆動信号の位相を反転すれば回転方向を
反転させることができる。
【0029】次に、圧電素子の共振特性について説明す
る。図6中、(a)は圧電素子の駆動信号の周波数(以
下、単に「周波数」とする)の変化に対するインピーダ
ンスの変化を、(b)は周波数の変化に対する入力電圧
と圧電素子に流れる電流の位相差の変化を、(c)は周
波数の変化に対する圧電素子の変位量の変化を表し、そ
れぞれ横軸を周波数とする。
【0030】各図の左側から右側に順に注目してゆく。
周波数を徐々に大きくすると、インピーダンスが低下
し、それに伴って圧電素子の変位量が増加する。電圧と
電流の位相差は、通常電流の方が90度進んでいるが、
共振周波数frに近づくと急激に位相差が小さくなる。
周波数が共振周波数frになると、インピーダンスが最
低となり、電圧と電流の位相差が0となる。また、圧電
素子の変位量は最大となる。
【0031】周波数が共振周波数frよりも大きくなる
と、インピーダンスが急激に増加し、電流の位相が電圧
の位相よりも遅れるようになる。一方、圧電素子の変位
量は、共振周波数frの時をピークとして徐々に減少す
る。周波数がさらに大きくなると、電圧と電流の位相差
がほぼ一定となり、安定する周波数領域が存在する。
【0032】周波数がさらに大きくなると、電圧と電流
の位相差が小さくなり、反共振周波数faの時に、両者
の位相差が0となる。このとき、インピーダンスが最大
となる。周波数が反共振周波数faよりも大きくなる
と、インピーダンスが徐々に減少し、電流の位相が電圧
の位相に対して進むようになり、90度進んだ状態で安
定する。このように、共振周波数frの近傍では、入力
電圧の位相と圧電素子に流れる電流の位相の関係(位相
差)が急激に変化することがわかる。
【0033】例えば、第1圧電素子10と第2圧電素子
10’の共振周波数が一致し、かつインピーダンスが揃
っていれば、駆動信号の周波数を共振周波数に一致させ
ても、第1圧電素子10と第2圧電素子10’の変位
量、電圧と電流の位相も同様に変化する。従って、電圧
の振幅が等しく、かつ位相差が90度の2つの駆動信号
を第1圧電素子10と第2圧電素子10’に入力する
と、チップ部材20が円形の軌跡を描くように駆動され
る。
【0034】ところが、実際には圧電素子の製造上のば
らつきや組立時のばらつき等により第1圧電素子10と
第2圧電素子10’の共振周波数やインピーダンスに差
が生じる場合が多い。図7に共振周波数やインピーダン
ス等の特性の異なる2つの圧電素子の共振特性を示す。
図7中、(a)、(b)及び(c)は図6の場合と同様
である。また、実線は第1圧電素子10の共振特性を示
し、破線は第2圧電素子10’の共振特性を表すものと
する。
【0035】図7中実線で示す第1圧電素子10の共振
周波数fr1に着目すると、第1圧電素子10の変位量は
最大であるのに対し、周波数fr1は第2圧電素子10’
の共振周波数fr2以下であるため、第2圧電素子10’
の変位量は最大値には達していない。第1圧電素子10
及び第2圧電素子10’をそれぞれ第1圧電素子10の
共振周波数fr1の駆動信号で駆動すると、第1圧電素子
10の変位量(共振状態)は第2圧電素子10’の変位
量(非共振状態)よりも大きくなる。この場合、図8
(a)に示すように、チップ部材20の軌跡は、第1圧
電素子10の変位方向を長軸とする楕円形となる。チッ
プ部材20がこのような楕円軌跡を描く場合、ロータ4
0は時計方向には回転しやすいが、反時計方向には回転
しにくい。
【0036】同様に、図7中破線で示す第2圧電素子1
0’の共振周波数fr2に着目すると、第2圧電素子1
0’の変位量は最大であるのに対し、周波数fr2は第1
圧電素子10の共振周波数fr1を超えているため、第1
圧電素子10の変位量は最大値よりも低下している。第
1圧電素子10及び第2圧電素子10’をそれぞれ第2
圧電素子10’の共振周波数fr2の駆動信号で駆動する
と、第2圧電素子10’の変位量(共振状態)は第1圧
電素子10の変位量(非共振状態)よりも大きくなる。
この場合、図8(b)に示すように、チップ部材20の
軌跡は、第2圧電素子10’の変位方向を長軸とする楕
円形となる。チップ部材20がこのような楕円軌跡を描
く場合、ロータ40は反時計方向には回転しやすいが、
時計方向には回転しにくい。
【0037】そこで、図7(c)において第1圧電素子
10と第2圧電素子10’の変位量が等しくなる周波数
3で駆動する方法が考えられる。一般的に、複数の変
位素子を用いる超音波モータ等においては、各変位素子
の共振周波数ができるだけ一致するように調整されてい
る。従って、第1圧電素子10の変位特性と第2圧電素
子10’の変位特性は近似していると考えられ、両者の
変位量が一致する周波数f3も各圧電素子の共振周波数
r1及びfr2に近い値であると考えられる。第1圧電素
子10及び第2圧電素子10’を両者の変位量が一致す
る周波数f3で駆動することにより、各回転方向におけ
る駆動効率をほぼ同程度で、かつほぼ最大値にすること
が可能である。
【0038】一方、前述のように共振周波数は負荷変動
や環境条件の変化により変動するため、共振周波数の変
動の影響により駆動効率が一定にならない可能性があ
る。そこで、本実施形態では、共振周波数が変動しても
第1圧電素子10と第2圧電素子10’の変位量を等し
く保つために、第1圧電素子10と第2圧電素子10’
の変位量が一致する周波数を検出し、駆動周波数をその
周波数に追従させるように駆動信号の周波数を制御す
る。
【0039】第1圧電素子10と第2圧電素子10’の
変位量が一致する周波数を検出するために、まず第1圧
電素子10の変位量X1及び第2圧電素子10’の変位
量X2の測定方法について説明する。圧電素子の等価回
路を図9に示す。
【0040】圧電素子の変位量は機械腕に流れる電流I
mに比例する。従って、機械腕に流れる電流Imを測定
することにより、圧電素子の変位量を知ることができ
る。一方、圧電素子の等価回路は機械腕と電気腕の並列
回路であり、機械腕に流れる電流Imを直接測定するこ
とはできない。そこで、圧電素子に直列に抵抗Raを接
続し、抵抗Raによる電圧降下から電流値(Im+I
d)を測定する。
【0041】抵抗Raにより求めた電流値には圧電素子
の電気腕に流れる電流値Idが含まれるため、機械腕に
流れる電流値Imを正確には反映していないが、圧電素
子の駆動周波数が共振周波数に近い場合は、このように
して求めた電流値と圧電素子の変位量は非常に近似して
いる。機械腕に流れる電流値Imを正確に知りたい場合
は、あらかじめ電気腕の静電容量Cdを測定しておき、
電気腕に流れる電流値Idを算出し、抵抗Raにより求
めた電流値(Im+Id)から電流値Idを差し引けば
よい。
【0042】以上のようにして求めた第1圧電素子10
の変位量X1及び第2圧電素子10’の変位量X2を比
較し、両者が一致する周波数を求める。ここで、図7
(c)に示すように、第1圧電素子10の共振周波数f
r1の方が第2圧電素子10’の共振周波数fr2よりも小
さい場合(fr1<fr2)と、逆に第1圧電素子10の共
振周波数fr1の方が第2圧電素子10’の共振周波数f
r2よりも大きい場合(f r1>fr2)とがある。このよう
な共振周波数の特性は、実際に超音波モータを組み立て
ることにより決定される。従って、超音波モータの組立
後に共振周波数特性を測定しなければならない。
【0043】次に、本実施形態の駆動回路のブロック構
成を図10に示す。図中ほぼ中央に位置する電圧制御発
振器(VCO)50は、後述するように周波数可変であ
り、所定の周波数で正弦波信号を発生(発振)する。位
相制御部51は、電圧制御発振器(VCO)50からの
正弦波信号に対して、所定角度だけ位相がずれた正弦波
信号を発生する。
【0044】電圧制御発振器(VCO)50及び位相制
御部51からの各正弦波信号は、第5スイッチSW5を
介して第1増幅器53及び第2増幅器54に入力され
る。第5スイッチSW5は、ロータ40の回転方向を制
御するためのものであり、第1増幅器53及び第2増幅
器54に入力する正弦波信号の位相の進み/遅れを制御
する。第1増幅器53及び第2増幅器54は、それぞれ
互いに位相のずれた2つの正弦波信号の振幅を増幅し、
第1圧電素子10及び第2圧電素子10’に印加する。
【0045】第1電流検出器56及び第2電流検出器5
7は、それぞれ第1圧電素子10及び第2圧電素子1
0’に直列に挿入された抵抗R1,R2に流れる電流を検
出する。第1電流検出器56及び第2電流検出器57に
よる検出結果である電流信号は、位相制御部51及び変
位比較判定部59に直接入力されると共に、第2スイッ
チSW2を介して位相検出部58に入力される。第2ス
イッチSW2は、第1圧電素子10に流れる電流値I1
と第2圧電素子10’に流れる電流値I2を切り替えて
位相検出部58に入力するためのものであり、第1電流
検出器56及び第2電流検出器57からの電流信号のう
ち位相検出部58に入力する信号を選択する。
【0046】圧電素子の特性として、駆動信号の周波数
が共振周波数よりも小さい場合及び反共振周波数よりも
大きい場合、圧電素子に流れる電流の位相は駆動信号の
電圧の位相よりも進んでいる。電流と電圧の位相差は共
振周波数及び反共振周波数の近傍で急激に変化し、駆動
信号の周波数が共振周波数又は反共振周波数と一致した
ときに両者の位相差は0となる。また、駆動信号の周波
数が共振周波数と反共振周波数の間では、電流の位相の
方が電圧の位相よりも遅れている。従って、電圧制御発
振器(VCO)50又は位相制御部51により発生した
正弦波信号の電圧の位相と第1電流検出器56又は第2
電流検出器57により検出した電流の位相を比較し、両
者が一致するように正弦波信号の周波数を制御すること
により、第1圧電素子10又は第2圧電素子10’を共
振駆動することができる。
【0047】位相検出部58は、電圧制御発振器(VC
O)50又は位相制御部51による各正弦波信号の電圧
の位相と第1電流検出器56又は第2電流検出器57に
より検出した電流の位相を比較し、電流の位相が進んで
いる場合はUP/DOWNカウンタ61をカウントアッ
プする信号を出力し、電流の位相が遅れている場合はU
P/DOWNカウンタ61をカウントダウンする信号を
出力する。
【0048】変位比較判定部59は、第1電流検出器5
6及び第2電流検出器57の出力から第1圧電素子10
の変位量X1及び第2圧電素子10’の変位量X2を演
算すると共に、両者の差ΔX(ΔX=X1−X2)を演
算する。現在の駆動信号の周波数が、第1圧電素子10
の変位量と第2圧電素子10’の変位量とが一致する周
波数f3よりも低いときは、X1−X2>0、すなわち
ΔX>0となる。一方、現在の駆動信号の周波数が、第
1圧電素子10の変位量と第2圧電素子10’の変位量
とが一致する周波数f3よりも高いときは、X1−X2
<0、すなわちΔX<0となる。従って、変位比較判定
部59は、ΔX>0の場合UP/DOWNカウンタ61
をカウントアップする信号を出力し、ΔX<0の場合は
UP/DOWNカウンタ61をカウントダウンする信号
を出力する。
【0049】なお、後述するように第1圧電素子10の
共振周波数fr1と第2圧電素子10’の共振周波数fr2
の大小関係により、UP/DOWNカウンタ61のカウ
ントアップ及びカウントダウンが逆転する。そのため、
変位比較判定部59の出力は2方向に分けられ、一方は
インバータ60に接続された後、それぞれ第3スイッチ
SW3に入力される。第3スイッチSW3は、駆動信号
の周波数追従動作における制御信号をカウントアップか
カウントダウンのいずれかに切り替えるためのものであ
る。
【0050】UP/DOWNカウンタ61は、位相検出
部58又は変位比較判定部95からの信号に応じてクロ
ック発生部62により発生されるクロック信号のカウン
ト値を増減する。UP/DOWNカウンタ61のカウン
ト値(ディジタル信号)は、D/Aコンバータ(D/
A)63によりアナログ信号に変換され、電圧制御発振
器(VCO)50に入力される。電圧制御発振器(VC
O)50は、UP/DOWNカウンタ61のカウント値
に応じた周波数の正弦波信号を発生する。すなわち、カ
ウントアップすれば周波数が増加し、カウントダウンす
れば周波数は減少する。
【0051】なお、第1スイッチSW1は、第1圧電素
子10及び第2圧電素子10’の各共振周波数の検出動
作と第1圧電素子10及び第2圧電素子10’の各変位
量が一致するように駆動信号の周波数を追従させる動作
を切り替えるためのものである。また、第4スイッチS
W4は、位相検出部58にフィードバックする信号とし
て、電圧制御発振器(VCO)50からの出力信号か位
相制御部51による所定の位相差を有する信号のいずれ
かに切り替えるためのものである。第1スイッチSW1
から第5スイッチSW5はそれぞれCPU52により制
御される。
【0052】次に、本実施形態において、第1圧電素子
10と第2圧電素子10’の変位量が一致する周波数を
検出し、駆動信号の周波数をその周波数に追従させるた
めの動作を図11に示すフローチャートを用いて説明す
る。
【0053】まず、CPU52は、第1スイッチSW1
を位相検出部58側に切り替え(端子aとcを接続)、
位相検出部58とUP/DOWNカウンタ61とを接続
する(ステップ#1)。次に、CPU52は、第4スイ
ッチSW4を電圧制御発振器(VCO)50側に切り替
え(端子aとcを接続)、電圧制御発振器(VCO)5
0からの正弦波信号を位相検出部58に入力させる(ス
テップ#3)。さらに、CPU52は、第2スイッチS
W2を第1電流検出器56側に切り替え(端子aとcを
接続)、第1電流検出器56による検出信号を位相検出
部58に入力させる(ステップ#5)。これにより、位
相検出部58は、第1圧電素子10に供給される駆動信
号の電圧と第1圧電素子10に流れる電流の位相差を比
較することが可能となる。
【0054】次に、CPU52は、位相検出部58、U
P/DOWNカウンタ61、電圧制御発振器(VCO)
50等を制御して、第1圧電素子10の共振周波数fr1
を検出する(ステップ#7)。第1圧電素子10の共振
周波数fr1の検出方法の一例として、電圧制御発振器
(VCO)50によりあらかじめ設定されている周波数
の駆動信号を発生させる。次に、位相検出部58により
第1圧電素子10に供給される駆動信号の電圧と第1圧
電素子10に流れる電流の位相差を比較し、比較結果に
応じてUP/DOWNカウンタ61をカウントアップ又
はカウントダウンし、最終的に電圧の位相と電流の位相
の位相差が0になるまで、これらの動作を繰り返す。そ
して、位相差が0になったときの駆動信号の周波数を第
1圧電素子10の共振周波数fr1とする。第1圧電素子
10の共振周波数fr1が検出されると、CPU52は第
1圧電素子10の共振周波数fr1を読み込み、メモリに
一時的に記憶する(ステップ#9)。
【0055】第1圧電素子10の共振周波数fr1が検出
されると、CPU52は、第4スイッチSW4を位相制
御部51側に切り替え(端子bとcを接続)、位相制御
部51からの正弦波信号を位相検出部58に入力させる
(ステップ#11)。さらに、CPU52は、第2スイ
ッチSW2を第2電流検出器57側に切り替え(端子b
とcを接続)、第2電流検出器57による検出信号を位
相検出部58に入力させる(ステップ#13)。これに
より、位相検出部58は、第2圧電素子10’に供給さ
れる駆動信号の電圧と第2圧電素子10’に流れる電流
の位相差を比較することが可能となる。
【0056】次に、CPU52は、位相検出部58、U
P/DOWNカウンタ61、電圧制御発振器(VCO)
50等を制御して、第2圧電素子10’の共振周波数f
r2を検出する(ステップ#15)。第2圧電素子10’
の共振周波数fr2の検出方法は、上記第1圧電素子10
の場合と同様である。第2圧電素子10’の共振周波数
r2が検出されると、CPU52は第2圧電素子10’
の共振周波数fr2を読み込み、メモリに一時的に記憶す
る(ステップ#17)。
【0057】第1圧電素子10の共振周波数fr1及び第
2圧電素子10’の共振周波数fr2がそれぞれ検出され
ると、CPU52は両者の大小を比較する(ステップ#
19)。第1圧電素子10の共振周波数fr1が第2圧電
素子10’の共振周波数fr2よりも大きい場合(ステッ
プ#19でYES)、CPU52は第3スイッチSW3
を変位比較判定部59側に切り替える(端子aとcを接
続:ステップ#21)。一方、第2圧電素子10’の共
振周波数fr2が第1圧電素子10の共振周波数fr1より
も大きい場合(ステップ#19でNO)、CPU52は
第3スイッチSW3をインバータ60側に切り替える
(端子bとcを接続:ステップ#23)。さらに、CP
U52は第1スイッチSW1を変位比較判定部59側に
切り替え(端子bとcを接続)、第1圧電素子10の変
位量X1と第2圧電素子10’の変位量X2が等しくな
る周波数f3の検出を行う。
【0058】第1圧電素子10の変位量X1と第2圧電
素子10’の変位量X2が等しくなる周波数f3を検出
するために、まず、変位比較判定部59により、第1電
流検出器56及び第2電流検出器57の出力信号(電流
信号)から第1圧電素子10及び第2圧電素子10’の
変位量X1及びX2を演算する。次に、変位比較判定部
59は、ΔX=X1−X2を演算し、ΔXが0となるよ
うにUP/DOWNカウンタ61をカウントアップ又は
カウントダウンする。この動作を繰り返すことにより、
第1圧電素子10及び第2圧電素子10’を、それぞれ
変位量が等しくなる周波数で駆動することができ、回転
方向に関わらず、超音波モータの駆動効率を可能な限り
最大にすることができる。
【0059】なお、図7に示す圧電素子の共振特性は、
2つの圧電素子の機械的品質計数であるQ値が比較的一
致している場合であった。ところが、図12及び図13
に示すように、2つの圧電素子のQ値の差が大きい場合
も起こりうる。図12は、第2圧電素子10’のQ2
が第1圧電素子10のQ1値よりも小さく、かつ第2圧
電素子10’の共振周波数fr2の方が第1圧電素子10
の共振周波数fr1よりも高い場合を示す。図13は、第
2圧電素子10’のQ2値が第1圧電素子10のQ1値よ
りも小さく、かつ第1圧電素子10の共振周波数fr1
方が第2圧電素子10’の共振周波数fr2よりも高い場
合を示す。なお、第1圧電素子10のQ 1値が第2圧電
素子10’のQ2値よりも小さい場合、実線と破線の関
係が逆になるだけであるため、図示を省略する。
【0060】Q値が小さいと、各図中破線で示すよう
に、共振周波数での変位量が小さくなり、周波数に対す
る変位特性曲線はなだらかになる。この場合、第1圧電
素子10の変位量X1と第2圧電素子10’の変位量X
2が一致する周波数がf3とf3’の2箇所に存在する。
言うまでもなく、各共振周波数fr1,fr2に近く、かつ
変位量の大きい方の周波数(図12の場合周波数f3
図13の場合周波数f3’)で駆動することが望まし
い。
【0061】図11に示すフローチャートによれば、ス
テップ#15で駆動信号の周波数は第2圧電素子10’
の共振周波数fr2に設定されている。図12に示す例で
は、f3>fr2>fr1であり、かつΔX=X1−X2>
0である。この条件で、図11に示すフローチャートに
従えば、fr2>fr1であるので、ステップ#21で第3
スイッチSW3が変位比較判定部59側に切り替えられ
る。また、ΔX>0なので変位比較判定部59からカウ
ントアップ信号が出力され、UP/DOWNカウンタ6
1がカウントアップされ、駆動信号の周波数がfr2から
3に収束される。
【0062】一方、図13に示す例では、f3’<fr2
<fr1であり、かつΔX>0である。この条件で、図1
1に示すフローチャートに従えば、fr2<fr1であるの
で、ステップ#23で第3スイッチSW3がインバータ
60側に切り替えられる。また、ΔX>0なので変位比
較判定部59からカウントアップ信号が出力されるが、
インバータ60によりカウントダウン信号に変換され、
UP/DOWNカウンタ61がカウントダウンされ、駆
動信号の周波数がfr2からf3’に収束される。
【0063】このように、第1圧電素子10の共振周波
数fr1と第2圧電素子10’の共振周波数fr2の大小を
判別して第3スイッチSW3を切り替えるように制御し
ているので、第1圧電素子10のQ1値と第2圧電素子
のQ2値の差が大きく、第1圧電素子10の変位量X1
と第2圧電素子10’の変位量X2が一致する周波数が
3とf3’の2箇所に存在する場合であっても、十分に
対応することができ、第1圧電素子10及び第2圧電素
子10’を各共振周波数fr1,fr2に近く、かつ変位量
の大きい方の周波数で駆動することができる。
【0064】最後に、第1圧電素子10及び第2圧電素
子10’を各共振周波数fr1,fr2、変位量X1,X
2、UP/DOWNカウンタ61のカウントアップ/ダ
ウンの関係を表1に示す。但し、UP/DOWNカウン
タ61は、カウントアップで周波数を上げ、カウントダ
ウンで周波数を下げるものとする。
【0065】
【表1】
【0066】第2の実施形態 なお、上記第1の実施形態の説明では、チップ部材20
を駆動するための2つの変位素子10,10’をそれぞ
れ直交するように配置したが、これに限定されるもので
はなく、その他の角度、例えば45°、135°等任意
の角度であってもよい。さらに、変位素子の数は2つに
限定されず、変位素子を3個、あるいはそれ以上用い
て、3自由度又は4自由度の駆動を行うように構成して
もよい。図14に変位素子を3個用いた例を示す。変位
素子10,10’,10”は、それぞれ図1に示す圧電
素子10と実質的に同一とする。この場合、被駆動部材
であるロータ40’は、少なくともチップ部材20と接
触する面を球面とする。このような3次元的なアクチュ
エータであっても、ロータ40’の回転方向に応じてい
ずれかの圧電素子の共振周波数の駆動信号で駆動するこ
とにより、被駆動部材の駆動方向に関わらず、ほぼ最大
の駆動効率が得られ、かつ負荷変動等による影響を受け
にくくすることができる。
【0067】第3の実施形態 上記第1の実施形態では、変位素子として圧電素子を用
いているが、一般に圧電素子はセラミックス材料で作ら
れており、金属材料と比較して振動の減衰が大きく、共
振時の変位拡大率が小さい。また、セラミックスは圧縮
力には強いが引っ張り力には弱く、特に積層型圧電素子
の場合、その接着面で剥がれる可能性もある。そこで、
変位素子として単層の圧電素子と金属製の弾性体を直列
接続したものを用いることもできる。この変位素子を用
いたトラス型アクチュエータの構成を図15に示す。第
1変位素子60及び第2変位素子60’は、それぞれ単
層の圧電素子(セラミックス薄板)61,61’と及び
弾性体62,62’で構成され、圧電素子61,61’
の両面には電極は設けられていない。また、第1変位素
子60及び第2変位素子60’は、それぞれ接着剤を用
いずに、ボルト63,63’によりチップ部材20及び
ベース部材30に固定されている。弾性体62,62’
及びベース部材30をそれぞれ導電性材料で形成し、弾
性体62,62’及びベース部材30の間に駆動電源を
接続し、第1変位素子60及び第2変位素子60’をそ
れぞれ上記いずれかの変位素子の共振周波数で駆動す
る。
【0068】圧電素子61,61’を振動源として弾性
体62,62’を共振させることにより変位を拡大する
ことができる。また、金属材料の減衰が小さいため変位
がより拡大し、圧電素子61,61’に加わる引っ張り
力が小さくなるため、圧電素子61,61’の破壊を防
止することも可能である。弾性体62,62’の材料と
しては、アルミニウム、チタン、鉄、銅及びそれらの合
金等を用いる。
【0069】第4の実施形態 上記第1の実施形態では、変位素子として圧電素子を積
層したものを用いたが、変位素子はこれに限定されず、
その他のものであってもよい。例えばボルト締めランジ
ュバン型の振動子70,70’を用いたトラス型アクチ
ュエータを図16に示す。トラス構造にするため、各振
動子70,70’の単板の圧電素子71,71’の電極
部分にベース部材30を配置している。また、チップ部
材20に接続された弾性体72,72’の変位を拡大す
るために、弾性体72,72’の形状を先端(チップ部
材20側)ほど細くなるように形成している。その他
は、上記第3の実施形態と同様である。
【0070】その他の実施形態 上記図10に示す電圧制御発振器(VCO)50の出力
に可変ゲインアンプを挿入することにより、正弦波信号
を任意に増幅することができ、チップ部材20の軌跡を
任意の形状に制御することが可能である。その結果、ロ
ータ40の回転速度やトルクを任意の値に制御すること
ができる。本発明では、2つの変位素子の変位が等しく
なる周波数で各変位素子を駆動するため、可変ゲインア
ンプは1つでよい。
【0071】また、上記各実施形態ではトラス型アクチ
ュエータを例に説明したが、これに限定されるものでは
なく、2相からなる進行波型超音波モータに応用するこ
とも可能である。進行波型超音波モータの場合、各層の
変位量を一致させることにより、駆動特性を安定化する
ことができる。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の超音波モ
ータによれば、複数の変位素子を含み、複数の変位素子
のうち少なくとも2つの変位素子の変位量が一致する周
波数を検出し、当該周波数で各変位素子を駆動するの
で、複数の変位素子の共振周波数が一致しない場合であ
っても、少なくとも2つの変位素子を同じ周波数−変位
量特性で駆動することができ、超音波モータの駆動効率
を高くすることができる。
【0073】前記少なくとも2つの変位素子の変位量が
一致する周波数が複数ある場合に、前記複数の周波数の
うち最適な周波数を選択して前記各変位素子を駆動する
ことにより、変位素子の機械的Q値のばらつきが大きい
場合であっても、最適な条件で超音波モータを駆動する
ことができる。
【0074】また、本発明の別の超音波モータによれ
ば、複数の変位素子と、複数の変位素子を駆動するため
に、周波数が同じで所定の位相差を有する複数の駆動信
号を発生する駆動信号発生手段と、少なくとも2つの変
位素子の変位量を検出すると共に、検出した変位量の大
小を比較する変位量検出手段と、変位量検出手段による
検出結果に応じて、少なくとも2つの変位素子の変位量
が一致するように駆動信号発生手段による駆動信号の周
波数を制御する周波数制御手段を具備するので、共振周
波数等の変位素子の周波数−変位量特性が負荷変動や環
境条件の変化により変動しても、少なくとも2つの変位
素子の変位量が一致するように駆動周波数を調節するこ
とができ、駆動効率を一定に保つことができる。
【0075】また、複数の変位素子のうち少なくとも2
つの変位素子の共振周波数を検出すると共に検出した共
振周波数の大小を判別する共振周波数検出手段をさらに
具備し、周波数制御手段は共振周波数の大小及び変位量
の大小に応じて駆動信号の周波数の増減を制御すること
により、複数の変位素子の共振周波数の大小に関わら
ず、駆動周波数の増減の方向を正確に制御することがで
きる。
【0076】さらに、共振周波数検出手段は各変位素子
に流れる電流を検出する電流検出手段を含み、共振周波
数検出の対象となる変位素子に印加される駆動信号の電
圧と当該変位素子に流れる電流の位相差を検出し、当該
変位素子の共振周波数を検出することにより、電圧と電
流の位相差が0になる周波数を当該変位素子の共振周波
数として容易に特定することができる。
【0077】さらに、変位量検出手段は各変位素子に流
れる電流を検出する電流検出手段を含み、変位量検出の
対象となる変位素子に流れる電流値から、当該変位素子
の変位量を演算することにより、圧電素子等の変位素子
の変位量はその機械腕に流れる電流値に比例するので、
容易に当該変位素子の変位量を演算することができる。
【0078】さらに、各変位素子の先端部にそれぞれ結
合され、各変位素子の変位を合成するための変位合成部
をさらに含み、各変位素子及び変位合成部でトラス型ア
クチュエータを構成し、変位合成部が楕円運動を行うよ
うに各変位素子を駆動することにより、被駆動体(例え
ばロータ等)を任意の方向に任意の速度で移動(又は回
転)させることができる。
【0079】また、本発明の超音波モータの駆動方法に
よれば、複数の変位素子を位相差を有する複数の駆動信
号でそれぞれ駆動し、被駆動部材を所定方向に移動させ
る超音波モータの駆動方法であって、複数の変位素子の
うち少なくとも2つの変位素子の変位量が等しくなる周
波数を検出し、当該周波数で各駆動部材を駆動するの
で、複数の変位素子の共振周波数が一致しない場合であ
っても、少なくとも2つの変位素子を同じ周波数−変位
量特性で駆動することができ、超音波モータの駆動効率
を高くすることができる。
【0080】また、少なくとも2つの変位素子の変位量
が一致する周波数が複数ある場合に、前記複数の周波数
のうち最適な周波数を選択して前記各変位素子を駆動す
るにより、変位素子の機械的Q値のばらつきが大きい場
合であっても、最適な条件で超音波モータを駆動するこ
とができる。
【0081】さらに、複数の変位素子のうち少なくとも
2つの変位素子の共振周波数を検出すると共に検出した
共振周波数の大小を判別し、共振周波数の大小及び変位
量の大小に応じて駆動信号の周波数の増減を制御するこ
とにより、複数の変位素子の共振周波数の大小に関わら
ず、駆動周波数の増減の方向を正確に制御することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態であるトラス型アク
チュエータにおいて変位素子として用いる積層型圧電素
子の構成を示す図である。
【図2】 上記積層型圧電素子における各電極の間に発
生する電界と圧電素子の変位の関係を示す図である。
【図3】 第1の実施形態におけるトラス型アクチュエ
ータの構成を示す図である。
【図4】 第1の実施形態におけるアクチュエータによ
りロータを回転させる原理を示す図である。
【図5】 第1の実施形態において、2つの圧電素子に
印加する駆動信号の振幅を等しくし、各駆動信号間の位
相差を変化させた場合の軌跡を示す図である。
【図6】 圧電素子の共振特性を示す図である。
【図7】 共振周波数やインピーダンス等の特性の異な
る2つの圧電素子の共振特性を示す図である。
【図8】 2つの圧電素子の変位量とチップ部材の軌跡
の関係を示す図である。
【図9】 圧電素子の等価回路を示す図である。
【図10】 第1の実施形態の駆動回路のブロック構成
を示す図である。
【図11】 第1の実施形態における第1圧電素子10
と第2圧電素子10’の変位量が一致する周波数を検出
し、駆動信号の周波数をその周波数に追従させるための
動作を示すフローチャートである。
【図12】 2つの圧電素子のQ値の差が大きい場合に
おける圧電素子の周波数−変位量特性の一例を示す図で
ある。
【図13】 2つの圧電素子のQ値の差が大きい場合に
おける圧電素子の周波数−変位量特性の他の例を示す図
である。
【図14】 本発明の第2の実施形態の構成を示す図で
ある。
【図15】 本発明の第3の実施形態の構成を示す図で
ある。
【図16】 本発明の第4の実施形態の構成を示す図で
ある。
【符号の説明】
10 :第1圧電素子(第1変位素子) 10’:第2圧電素子(第2変位素子) 20 :チップ部材(変位合成部) 30 :ベース部材 40 :ロータ(被駆動部材) 50 :電圧制御発振器(VCO) 51 :位相制御部 52 :CPU 53 :第1増幅器 54 :第2増幅器 56 :第1電流検出器(電流検出手段) 57 :第2電流検出器(電流検出手段) 58 :位相検出部(共振周波数検出手段) 59 :変位比較判定部(変位量検出手段) 60 :インバータ 61 :UP/DOWNカウンタ(駆動信号制御手段) 62 :クロック発生部 63 :D/Aコンバータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H680 AA00 AA06 AA08 BB13 BC00 CC02 CC10 DD01 DD23 DD27 DD37 DD53 DD55 DD95 EE21 FF04 FF08 FF17 FF25 FF26 FF27 FF30 FF33 FF36 GG21 GG22 GG25

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の変位素子を含み、前記複数の変位
    素子のうち少なくとも2つの変位素子の変位量が一致す
    る周波数を検出し、当該周波数で前記各変位素子を駆動
    することを特徴とする超音波モータ。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも2つの変位素子の変位量
    が一致する周波数が複数ある場合に、前記複数の周波数
    のうち最適な周波数を選択して前記各変位素子を駆動す
    ることを特徴とする請求項1記載の超音波モータ。
  3. 【請求項3】 複数の変位素子と、 前記複数の変位素子を駆動するために、周波数が同じで
    所定の位相差を有する複数の駆動信号を発生する駆動信
    号発生手段と、 前記少なくとも2つの変位素子の変位量を検出すると共
    に、検出した変位量の大小を比較する変位量検出手段
    と、 前記変位量検出手段による検出結果に応じて、前記少な
    くとも2つの変位素子の変位量が一致するように前記駆
    動信号発生手段による駆動信号の周波数を制御する周波
    数制御手段を具備する超音波モータ。
  4. 【請求項4】 前記複数の変位素子のうち少なくとも2
    つの変位素子の共振周波数を検出すると共に、検出した
    共振周波数の大小を判別する共振周波数検出手段をさら
    に具備し、 前記周波数制御手段は、前記共振周波数の大小及び前記
    変位量の大小に応じて、前記駆動信号の周波数の増減を
    制御することを特徴とする請求項3記載の超音波モー
    タ。
  5. 【請求項5】 前記共振周波数検出手段は各変位素子に
    流れる電流を検出する電流検出手段を含み、共振周波数
    検出の対象となる変位素子に印加される駆動信号の電圧
    と当該変位素子に流れる電流の位相差を検出し、当該変
    位素子の共振周波数を検出することを特徴とする請求項
    4記載の超音波モータ。
  6. 【請求項6】 前記変位量検出手段は各変位素子に流れ
    る電流を検出する電流検出手段を含み、変位量検出の対
    象となる変位素子に流れる電流値から、当該変位素子の
    変位量を演算することを特徴とする請求項4又は5記載
    の超音波モータ。
  7. 【請求項7】 各変位素子の先端部にそれぞれ結合さ
    れ、各変位素子の変位を合成するための変位合成部をさ
    らに含み、各変位素子及び変位合成部でトラス型アクチ
    ュエータを構成し、変位合成部が楕円運動を行うように
    各変位素子を駆動することを特徴とする請求項1から6
    のいずれかに記載の超音波モータ。
  8. 【請求項8】 変位素子は複数の圧電素子を電極を介し
    て積層したものであることを特徴とする請求項1から7
    のいずれかに記載の超音波モータ。
  9. 【請求項9】 変位素子は圧電素子と弾性体を含み、弾
    性体を共振させることを特徴とする請求項1から7のい
    ずれかに記載の超音波モータ。
  10. 【請求項10】 複数の変位素子を位相差を有する複数
    の駆動信号でそれぞれ駆動し、被駆動部材を所定方向に
    移動させる超音波モータの駆動方法であって、前記複数
    の変位素子のうち少なくとも2つの変位素子の変位量が
    等しくなる周波数を検出し、当該周波数で前記各駆動部
    材を駆動することを特徴とする超音波モータの駆動方
    法。
  11. 【請求項11】 前記少なくとも2つの変位素子の変位
    量が一致する周波数が複数ある場合に、前記複数の周波
    数のうち最適な周波数を選択して前記各変位素子を駆動
    することを特徴とする請求項10記載の超音波モータの
    駆動方法。
  12. 【請求項12】 前記複数の変位素子のうち少なくとも
    2つの変位素子の共振周波数を検出すると共に検出した
    共振周波数の大小を判別し、前記共振周波数の大小及び
    前記変位量の大小に応じて前記駆動信号の周波数の増減
    を制御することを特徴とする請求項10又は11記載の
    超音波モータの駆動方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004350413A (ja) * 2003-05-22 2004-12-09 Taiheiyo Cement Corp 超音波モータの駆動方法および駆動装置
JPWO2013147206A1 (ja) * 2012-03-30 2015-12-14 池田食研株式会社 フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ及びこれをコードするポリヌクレオチド

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