JP2001100348A - ハロゲン化銀乳剤とその製造方法 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤とその製造方法

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JP2001100348A
JP2001100348A JP27661499A JP27661499A JP2001100348A JP 2001100348 A JP2001100348 A JP 2001100348A JP 27661499 A JP27661499 A JP 27661499A JP 27661499 A JP27661499 A JP 27661499A JP 2001100348 A JP2001100348 A JP 2001100348A
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grain
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halide emulsion
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Katsuhiko Suzuki
克彦 鈴木
Hiroshi Takada
宏 高田
Sadayasu Ishikawa
貞康 石川
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、粒子間距離制御法技術を用
いて写真性能のより改良された転位線を有するハロゲン
化銀乳剤を提供することである。更に詳しくは、転位線
を有するハロゲン化銀乳剤の感度と圧力耐性を改良する
ことにある。 【解決手段】 粒子間距離制御法を用いて粒子形成さ
れ、かつ1粒子あたり30本以上のフリンジ部の転位線
を有し、粒子中心部から粒子端部に向けて沃化銀含有率
が緩慢連続変化する平板状ハロゲン化銀粒子を含有する
ことを特徴とするハロゲン化銀乳剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀乳剤
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンパクトカメラ及び自動焦点1
眼レフカメラ更にはレンズ付きフィルム等の普及によ
り、高感度でかつ画質の優れたハロゲン化銀カラー写真
感光材料(以降、単に感光材料とも言う)の開発が強く
望まれている。そのために、写真用のハロゲン化銀乳剤
(以降、単に乳剤とも言う)に対する性能改良の要求は
ますます厳しく、高感度、優れた粒状性及び優れたシャ
ープネス等、写真性能に対しより高い水準の要求がなさ
れている。
【0003】かかる要求に対して、例えば、米国特許第
4,434,226号、同4,439,520号、同
4,414,310号、同4,433,048号、同
4,414,306号、同4,459,353号等に平
板状ハロゲン化銀粒子(以下、単に平板粒子ともいう)
を使用した技術が開示されており、増感色素による色増
感効率の向上を含む感度の向上、感度/粒状性の改良、
平板粒子の特異的な光学的性質によるシャープネスの向
上、カバーリングパワーの向上などの利点が知られてい
る。しかしながら、近年の高水準の要求に応えるには不
十分であり、より一層の性能向上が望まれている。
【0004】さらにこの様な高感度化、高画質化の流れ
に関連し、感光材料における圧力特性の向上に対する要
望も従来以上に高まってきている。圧力特性の改良に関
しては、以前から様々な手段による改良が提案されてき
た。例えば、可塑剤などの添加剤を用い感光材料の剛性
率をコントロールする技術、ハロゲン化銀粒子自体の応
力耐性を向上させる技術等が提案されているが、後者の
方が実用上好ましく、又効果も大きいという説が有力で
ある。これらの要望に対して、沃化銀含有率の高い型の
ハロゲン化銀粒子が盛んに研究されてきた。かかる技術
は例えば特開昭59−99433号、同60−1477
27号、同60−35726号、同60−147727
号に開示されている。しかし、これらの技術は、近年、
ますます高まる高感度化及び圧力特性の改良に対する要
求に充分に答えられるべきものではなかった。
【0005】平板状粒子を用いたハロゲン化銀乳剤の写
真性能、特に写真感度をさらに改良するに効果的な方法
として、平板状ハロゲン化銀粒子に転位線を導入する技
術が米国特許第4956269号などに開示されてい
る。さらに転位線を有するハロゲン化銀粒子の写真特性
を改良する技術として、特開平3−175440号には
転位線を平板粒子の頂点に集中させる技術が、また特開
平3−189642号にはフリンジ部に転位線を有し、
サイズ分布が単分散である平板状ハロゲン化銀乳剤がそ
れぞれ開示されている。
【0006】しかし、一般に転位線を導入したハロゲン
化銀乳剤は、圧力が加わることにより著しく減感すると
いう欠点を有していた。転位線を導入した平板乳剤の高
感度である利点を保ちつつ圧力特性を改良する技術とし
て、特開平6−27564号には転位線をフリンジ部に
限定した平板乳剤を用いる技術が、また特願平9−28
0459号には主平面およびフリンジ部に転位線を有す
る平板状ハロゲン化銀乳剤がそれぞれ開示されている。
【0007】本発明者らは、上記の技術を参考にさらに
転位線の特性を向上させることにより、さらなる写真性
能の向上、特に、感度と圧力特性の高いレベルでの改良
が期待できると考えた。その手段として本発明者らは特
願平9−89355号に開示されているハロゲン化銀粒
子の成長中の粒子間距離を制御する装置および製造方法
を、転位線を有する平板粒子に適用することを検討し、
その結果、転位線を導入した平板状ハロゲン化銀乳剤の
感度と圧力特性をさらに向上しうることを見い出した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明の目的
は、粒子間距離制御法技術を用いて写真性能のより改良
された転位線を有するハロゲン化銀乳剤を提供すること
である。更に詳しくは、転位線を有するハロゲン化銀乳
剤の感度と圧力耐性を改良することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成により達成された。
【0010】1.粒子間距離制御法を用いて粒子形成さ
れ、かつ1粒子あたり30本以上のフリンジ部の転位線
を有し、粒子中心部から粒子端部に向けて沃化銀含有率
が緩慢連続変化する平板状ハロゲン化銀粒子を含有する
ことを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
【0011】2.粒子間距離制御法を用いて粒子形成さ
れ、かつフリンジ部の転位線の占有面積比率が10%以
上である平板状ハロゲン化銀粒子を含有することを特徴
とするハロゲン化銀乳剤。
【0012】3.粒子間距離制御法を用いて粒子形成さ
れ、かつフリンジ転位線型平板状ハロゲン化銀粒子を含
有することを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
【0013】4.ハロゲン化銀乳剤に含有される平板状
ハロゲン化銀粒子のうち、個数で50%以上がフリンジ
/主平面転位線型平板状ハロゲン化銀粒子であることを
特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載のハロゲ
ン化銀乳剤。
【0014】5.粒子間距離制御法を用いて粒子形成さ
れ、かつコーナー転位線型平板状ハロゲン化銀粒子を含
有することを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
【0015】6.前記1〜5項のいずれか1項に記載の
ハロゲン化銀乳剤を製造するにあたり、転位線導入工程
の前に反応物溶液の濃縮を実施し、反応物溶液が濃縮さ
れた状態で転位線導入を行うことを特徴とするハロゲン
化銀乳剤の製造方法。
【0016】7.前記1〜5項のいずれか1項に記載の
ハロゲン化銀乳剤を製造するにあたり、転位線導入工程
後の粒子成長工程の一部あるいは全体において反応物溶
液の容積を保持しつつ、粒子成長を行うことを特徴とす
るハロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0017】8.前記1〜5項のいずれか1項に記載の
ハロゲン化銀乳剤を製造するにあたり、転位線導入工程
後から粒子成長終了までの間に反応物溶液の希釈を行
い、かつその後の粒子成長の一部あるいは全体において
反応物溶液の容積を保持しつつ、粒子成長を行うことを
特徴とするハロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0018】9.前記1〜5項のいずれか1項に記載の
ハロゲン化銀乳剤を製造するにあたり、転位線導入工程
の前に反応物溶液の濃縮を実施し、反応物溶液が濃縮さ
れた状態で転位線導入を行い、かつ該転位線導入の後
に、反応物溶液の希釈を行い、かつ該希釈工程後の粒子
成長の一部あるいは全体において反応物溶液の容積を保
持しつつ粒子成長を行うことを特徴とするハロゲン化銀
乳剤の製造方法。
【0019】本発明において、技術的に本発明で述べる
効果を発現する機構は現時点で明らかで無いが、転位線
導入と粒子間距離の制御の組み合わせによって、(1)
局所ハライド組成構造の変化、(2)転位線の占有する
結晶内の部位の変化等の効果が生じて性能改良に結びつ
いたものと推察する。具体的には、上記(1)は粒子フ
リンジ部に転位線を有する粒子比率の向上や、沃化銀含
有率の変化が緩慢な粒子比率の向上、主平面に転位線を
有する粒子比率の向上、(2)は転位線の占有面積比率
の向上、コーナー転位線型粒子比率の向上といった粒子
特性と関係しているものと考えている。しかし、それら
の粒子特性の変化だけでは、粒子間距離制御法の効果は
説明しきれない部分が未だ多く、今後の検討が待たれ
る。
【0020】以下、本出願の各発明について、詳細に述
べる。
【0021】本発明のハロゲン化銀乳剤は、粒子間距離
制御法を用いて粒子形成されたハロゲン化銀粒子を含有
することが特徴である。
【0022】以下に粒子間距離制御法について説明す
る。
【0023】本発明でいう粒子間距離制御法とは、ハロ
ゲン化銀粒子の形成工程において、粒子の形成を行う反
応物溶液を濃縮して、反応物溶液の容積を減少せしめ
る、あるいは粒子形成のための添加液による容積増加分
を濃縮して一定に保つ、あるいは該容積増加を抑制する
ことによって、 平均粒子間距離=(反応物溶液の容積/反応物溶液中の
成長粒子数)1/3 で規定される反応物溶液中のハロゲン化銀粒子間の平均
粒子間距離を制御する方法である。
【0024】粒子間距離制御法は、ハロゲン化銀粒子形
成のための反応容器に、例えば限外ろ過装置のような濃
縮機構を接続した装置を用いて、粒子の形成工程におい
て水あるいは可溶性物を含む水溶液のみを、反応液から
除去することにより達成される。具体的には、特願平9
−89355号に開示されている装置および方法により
達成することができる。
【0025】該濃縮機構は、パイプ等で反応容器に接続
され、ポンプ等の反応物溶液の循環機構により反応物溶
液を反応容器と濃縮機構間で任意の流量で循環させ、任
意に停止させることが可能であり、さらには、該濃縮機
構によって反応物溶液から抜きとられる塩を含む水溶液
の容量を検出する装置を有し、かつその量を任意に制御
することが可能な機構を備える設備である。また、必要
に応じてその他の機能を付与することも可能である。
【0026】さらに本発明のハロゲン化銀乳剤を製造す
る装置としては、温度の設定された水あるいは可溶性物
を含む水溶液を反応容器に添加し、平均粒子間距離を増
大せしめる機構を有する装置である事が好ましい。
【0027】本発明において、粒子形成に粒子間距離制
御法を用いる、あるいは粒子形成中に粒子間距離制御法
を適用するとは、 (1)ハロゲン化銀粒子の形成工程において前記の濃縮
機構を用いて、反応物溶液の容積を減少せしめる(濃縮
工程と規定する)。
【0028】(2)ハロゲン化銀粒子の形成工程におい
て前記の濃縮機構を用いて、ハロゲン化銀形成のための
添加液量と同量の水あるいは可溶性物を含む水溶液を反
応物溶液から除去し、反応物溶液の容積を実質的に一定
に保持する(容積保持工程と規定する)。
【0029】(3)ハロゲン化銀粒子の形成工程におい
て前記の濃縮機構を用いて、ハロゲン化銀形成のための
添加液の添加と同時に、水あるいは可溶性物を含む水溶
液を反応物溶液から除去し、反応物溶液の容積増加を抑
制する(容積増加抑制工程と規定する)。
【0030】以上の(1)〜(3)の操作あるいはそれ
らの組み合わせを意味する。(2)において、「反応物
溶液の容積を実質的に一定に保持する」とは、反応物溶
液の容積が±20%、好ましくは±10%の増減範囲内
に保持されること示す。(3)においては、反応物溶液
の容積は、容積増加の抑制の結果として、増加しても減
少してもよい。本発明においては、さらに、上記(1)
〜(3)と組み合わせて下記(4)の操作が好ましく用
いられる。
【0031】(4)水あるいは可溶性物を含む水溶液を
添加し、反応物溶液の容積を増大せしめる(希釈工程と
規定する)。
【0032】上記希釈工程は、該工程に続く容積保持工
程と組み合わせて用いると、反応容器の最大量まで希釈
することが可能であるため、希釈の効果を最大限に発現
する上で特に好ましい。
【0033】本発明において、限外ろ過装置のような濃
縮機構と反応容器間を、乳剤を循環させて水あるいは可
溶性物を含む水溶液の除去を行わない状態は、粒子間距
離制御法を適用しているとは規定しない。本発明におい
て粒子間距離制御法は、必ずしも粒子形成の工程全体に
渡って適用する必要は無い。むしろ、粒子形成工程の部
分に用いることが好ましい。
【0034】一般にハロゲン化銀乳剤の粒子形成工程
は、核形成工程(核生成工程及び核の熟成工程から成
る)とそれに続く該核の成長工程に大別される。また、
予め造り置いた核乳剤(或いは種乳剤)を別途成長させ
ることも可能である。該成長工程は、第1成長工程、第
2成長工程、といういくつかの段階を含む場合もある。
本発明に係る粒子間距離制御法は、ハロゲン化銀粒子の
成長工程に適用されることが好ましい。
【0035】本発明のハロゲン化銀乳剤には、平板粒子
を含有する。平板粒子とは、結晶学的には双晶に分類さ
れる。双晶とは、一つの粒子内に一つ以上の双晶面を有
するハロゲン化銀結晶であるが、双晶の形態の分類はク
ラインとモイザーによる報文フォトグラフィッシェ コ
レスポンデンツ(Photographishe Ko
rrespondenz)第99巻,p100、同第1
00巻,p57に詳しく述べられている。本発明におけ
る平板粒子は、主平面に平行な双晶面を2枚有するもの
であることが好ましい。双晶面は透過型電子顕微鏡によ
り観察することができ、具体的な方法は次の通りであ
る。まず、含有される平板粒子が、支持体上にほぼ主平
面が平行に配向するようにハロゲン化銀写真乳剤を塗布
し、試料を作成する。これをダイヤモンド・カッターを
用いて切削し、厚さ0.1μm程度の超薄切片を得る。
この切片を透過型電子顕微鏡で観察することにより双晶
面の存在を確認することができる。
【0036】本発明の平板粒子における2枚の双晶面間
距離は、上記の透過型電子顕微鏡を用いた切片の観察に
おいて、主平面に対しほぼ垂直に切断された断面を示す
平板粒子を任意に1000個以上選び、主平面に平行な
偶数枚の双晶面の内、最も距離の短い2枚の双晶面間距
離をそれぞれの粒子について求め、加算平均することに
より得られる。本発明において、双晶面間距離は、核形
成時の過飽和状態に影響を及ぼす因子、例えばゼラチン
濃度、ゼラチン種類、温度、沃素イオン濃度、臭素イオ
ン濃度、pH、イオン供給速度、撹拌回転数等の諸因子
の組み合わせにおいて適宜選択することにより制御する
ことができる。一般に核形成を高過飽和状態で行なうほ
ど、双晶面間距離を狭くすることができる。過飽和因子
に関しての詳細は、例えば特開昭63−92924号、
あるいは特開平1−213637号等の記述を参考にす
ることができる。本発明において、双晶面間距離の平均
は0.01μm〜0.05μmが好ましく、更に好まし
くは0.013μm〜0.025μmである。
【0037】本発明のハロゲン化銀乳剤に含まれる平板
粒子の厚さは、前述の透過型電子顕微鏡を用いた切片の
観察により、同様にしてそれぞれの粒子について厚さを
求め、加算平均することにより得られる。平板粒子の厚
さは0.05μm〜1.5μmが好ましく、更に好まし
くは0.07μm〜0.50μmである。
【0038】本発明において、平板粒子とはアスペクト
比が3以上の粒子を指す。本発明のハロゲン化銀乳剤に
含まれる平板粒子のアスペクト比(粒径/粒子厚さ)の
個数平均値が5以上であることが好ましく、8以上であ
ることがより好ましく、10以上であることが更に好ま
しい。本発明のハロゲン化銀乳剤は、全投影面積50%
以上がアスペクト比が5以上であることが好ましく、よ
り好ましくは全投影面積の50%以上がアスペクト比8
以上であり、更に好ましくは全投影面積の50%以上が
アスペクト比10以上である。
【0039】本発明のハロゲン化銀乳剤は、含有される
全ハロゲン化銀粒子のうち、平板粒子の個数比率が80
%以上であることが好ましく、90%以上であることが
より好ましい。同様に平板粒子の投影面積比率が85%
以上がであることが好ましく、90%であることがより
好ましい。ただし、本発明のハロゲン化銀乳剤を形成
後、他のハロゲン化銀乳剤と意図的に混合して用いるこ
とは可能であり、その場合上記の平板粒子の個数比率あ
るいは投影面積比率の好ましい領域は、ハロゲン化銀乳
剤混合前の値に関するものである。同様にしてこれ以降
に規定される、本発明のハロゲン化銀乳剤中の特定の粒
子に関する好ましい比率の記載およびハロゲン化銀乳剤
中のハロゲン化銀粒子のサイズあるいはサイズ分布に関
する規定は、同時に粒子形成されたハロゲン化銀粒子の
みを含有する本発明のハロゲン化銀乳剤に関するもので
あり、すなわち他のハロゲン化銀乳剤と混合する以前の
本発明のハロゲン化銀乳剤に関するものである。
【0040】本発明のハロゲン化銀乳剤を他のハロゲン
化銀乳剤と混合することは、本発明の効果を損なう可能
性があるように思われるが、写真業界において、感光材
料に要求される品質性能目標値を達成するために、特性
の異なるハロゲン化銀乳剤を混合することはよく知られ
ており、本発明の意図と矛盾するものではない。
【0041】本発明に係る「粒子中心部から粒子端部に
向けて沃化銀含有率が緩慢連続変化する平板粒子」に付
いて詳しく説明する。
【0042】平板粒子における沃化銀含有率の緩慢連続
変化の具体的な測定方法を以下に述べる。まず、平板粒
子の主平面に対して垂直な方向から見て、平板粒子の主
平面の中心より、辺に垂直な線分を引き、この線分上に
20±2nmおきに点をとり、各点の主平面に垂直な成
分、すなわち測定スポット径と粒子厚さ分の高さを有す
る円筒状部分の平均沃化銀含有率を測定する。このとき
測定スポットは20±2nmに絞ることとする。また、
試料の損傷を考慮して、測定温度は、−100℃以下に
冷却することが必要である。各測定点における積算時間
は30秒以上とることとする。測定スポット各点間の沃
化銀含有率変化は、隣接する2つの測定点間での沃化銀
含有率測定値(モル%)の差とし、粒子中心から外側に
向けて増加する場合をプラス、減少する場合をマイナス
とする。本発明では、中心から辺方向での各点間の沃化
銀含有率変化が−0.6モル%〜+0.6モル%の範囲
内である場合を、粒子中心部から粒子端部に向けて沃化
銀含有率が緩慢連続変化すると定義する。該沃化銀含有
率変化は、−0.2モル%〜+0.4モル%であること
が好ましく、0モル%〜+0.2モル%であることがよ
り好ましい。
【0043】本発明の請求項2で規定されるハロゲン化
銀乳剤において沃化銀含有率が緩慢連続変化する平板粒
子の比率は、該乳剤に含有される全平板粒子に対する個
数比率で、30%以上であることが好ましく、50%以
上であることがより好ましく、70%以上であることが
更に好ましい。
【0044】本発明においてハロゲン化銀粒子の粒径
は、該ハロゲン化銀粒子の投影面積の円相当直径、すな
わち該ハロゲン化銀粒子と同じ投影面積を有する円の直
径として表される。本発明のハロゲン化銀乳剤に含まれ
るハロゲン化銀粒子の平均粒径は、該ハロゲン化銀粒子
の投影面積の円相当直径の個数平均値で示されるが、
0.1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは0.5
〜3.0μmである。
【0045】本発明のハロゲン化銀乳剤は、転位線を有
する平板状粒子を含有する。
【0046】ハロゲン化銀粒子が有する転位線は、例え
ばJ.F.Hamilton、Photo.Sci.E
ng.11(1967)57や、T.Shiozaw
a,J.Soc.Phot.Sci.Japan35
(1972)213に記載の、低温での透過型電子顕微
鏡を用いた直接的な方法により観察できる。即ち、ハロ
ゲン化銀乳剤からハロゲン化銀粒子に転位が発生するほ
どの圧力をかけないように注意して取り出したハロゲン
化銀粒子を、電子顕微鏡用のメッシュに乗せ、電子線に
よる損傷(プリントアウトなど)を防ぐように試料を冷
却した状態で透過法により観察を行う。この時、粒子の
厚みが厚いほど電子線が透過しにくくなるので、高圧型
の電子顕微鏡を用いる方がより鮮明に観察することがで
きる。このような方法によって得られたハロゲン化銀粒
子写真から、個々のハロゲン化銀粒子における転位線の
位置及び数を求めることができる。
【0047】ハロゲン化銀粒子が有する転位線には大別
して2種類ある。1つは、平板粒子の主平面の各辺から
主平面の中心方向に向かって放射状に伸びた線として観
察されるものである。これはしばしば蛇行している場合
がある。本発明においては、この種類の転位線を“フリ
ンジ部の転位線”と規定する。もう1種類の転位線は、
転位線の観察において平板粒子の主平面上のランダムな
場所に存在する、上記のフリンジ部の転位線以外の転位
線である。これは網状のいわゆる転位網を形成している
ものが多く、その本数を明確に数えられない場合があ
る。この種類の転位線を本発明においては“主平面の転
位線”と規定する。
【0048】フリンジ部の転位線の本数の測定は次のよ
うにして行う。入射電子に対して傾斜角度を変えた一連
の粒子写真を各粒子について撮影し、転位線の存在を確
認する。このとき、転位線の本数を数えられるものにつ
いてはその本数を数える。転位線が密集して存在した
り、又は転位線が互いに交わっているときなど、1粒子
当たりの転位線の本数を数える事ができない場合は多数
の転位線が存在すると数える。フリンジ部の転位線の占
有面積比率は、フリンジ部の転位線が粒子主平面の各辺
より中心へ向かった末端を繋いだ線と粒子主平面の外縁
とで囲まれるリング状の部分の面積の、該粒子主平面の
投影面積に対する比率として規定される。
【0049】本発明の請求項2で規定するハロゲン化銀
乳剤は、含有する平板粒子に対してフリンジ部の転位線
の占有面積比率が10%以上である平板粒子が、個数比
率で30%以上であることが好ましく、50%以上(個
数比率)であることがより好ましく、70%以上(個数
比率)であることがさらに好ましい。また本発明におい
て請求項2で規定するハロゲン化銀乳剤は、含有される
全平板粒子の占有面積比率の個数平均値が10%以上で
あることが好ましく、20%以上であることがより好ま
しく、30%以上であることがさらに好ましい。
【0050】主平面の転位線に関しては本数を数えるこ
とは困難であるので、1群の転位を1つとして、その個
数を数えることとする。また1群の転位が存在する不定
形の領域の面積を、1つの主平面の転位線の占有面積
(あるいは単に主平面の転位線の面積)とする。
【0051】本発明においてフリンジ転位線型平板状ハ
ロゲン化銀粒子(以降単にフリンジ転位線型平板粒子と
いう)とは、1粒子あたり20本以上、好ましくは30
本以上のフリンジ部の転位線を有し、かつ主平面の転位
線の占有面積が粒子主平面投影面積の5%未満である平
板粒子として規定される。また、本発明においてフリン
ジ/主平面転位線型平板状ハロゲン化銀粒子(以降単に
フリンジ/主平面転位線型平板粒子という)とは、1粒
子あたり20本以上、好ましくは30本以上のフリンジ
部の転位線を有し、かつ主平面の転位線の占有面積が粒
子主平面投影面積の5%以上である平板粒子として規定
される。
【0052】本発明においてコーナー転位線型平板状ハ
ロゲン化銀粒子(以降単にコーナー転位線型平板粒子と
いう)とは、フリンジ部の転位線が粒子主平面のコーナ
ー近傍領域に集中している平板粒子として規定される。
具体的にコーナー近傍領域とは、粒子主平面中心(粒子
主平面を投影した平面図形の重心とする)と、粒子主平
面の各コーナー(主平面の角が丸みを帯びている場合
は、隣接する辺の接線の交点に最も近い主平面上の点を
コーナーとする)を結ぶ線分を引き、該線分上でコーナ
ーから該線分の長さの10%の点で、該線分に垂直に交
わる平面によって区切られ、コーナーを含む領域と規定
される。また、「フリンジ部の転位線が粒子主平面のコ
ーナー近傍領域に集中している」とは、該コーナー近傍
領域に一部あるいは全体が含まれるフリンジ部の転位線
が1粒子あたり20本以上、好ましくは30本以上であ
り、かつコーナー近傍領域に一部あるいは全部とも含ま
れていないフリンジ部の転位線が1粒子あたり10本以
下、好ましくは5本以下であることである。
【0053】本発明のハロゲン化銀乳剤は、含有する平
板粒子に対して、フリンジ/主平面転位線型平板粒子と
フリンジ転位線型平板粒子の総和が、個数比率で70%
以上であることが好ましく、80%以上(個数比率)で
あることがより好ましく、90%以上(個数比率)であ
ることがさらに好ましい。また、本発明のハロゲン化銀
乳剤は、含有する平板粒子に対して、フリンジ/主平面
転位線型平板粒子が、個数比率で50%以上であること
が好ましく、70%以上(個数比率)であることがより
好ましく、90%以上(個数比率)であることがさらに
好ましい。
【0054】また本発明において、特に請求項5で規定
するハロゲン化銀乳剤は、含有する平板粒子に対してコ
ーナー転位線型平板粒子が、個数比率で30%以上であ
ることが好ましく、50%以上(個数比率)であること
がより好ましく、70%以上であることがさらに好まし
い。
【0055】本発明において転位線導入工程とは、ハロ
ゲン化銀粒子の成長工程において、下記に説明する方法
で、沃化物イオン源を添加して転位線の起源となる転位
を形成する工程である。転位線の形成は該工程に続く成
長工程でなされる。
【0056】本発明において、具体的なハロゲン化銀粒
子への転位線の導入法として、例えば、沃化カリウムの
ような沃素イオンを含む水溶液と水溶性銀塩溶液をダブ
ルジェットで添加する方法、もしくは沃化銀を含む微粒
子乳剤を添加する方法、沃素イオンを含む溶液のみを添
加する方法、特開平6−11781号に記載されている
ような沃素イオン放出剤を用いる方法、I2や沃素酸塩
のような沃素イオンを遊離しうる無機化合物を用いる方
法等の、公知の方法を使用して所望の位置で転位線の起
源となる転位を形成することができる。これらの方法の
中では、沃化銀を含む微粒子乳剤を添加する方法と沃素
イオン放出剤を用いる方法が特に好ましい。
【0057】沃素イオン放出剤とは、下記一般式(1)
で表され、塩基あるいは求核試薬との反応により沃素イ
オンを放出する化合物である。
【0058】一般式(1) R−I 式中、Rは1価の有機基をあらわし、Iは沃素を表す。
Rは炭素数30以下の有機基であることが好ましく、2
0以下であることがより好ましく、10以下であること
がさらに好ましい。具体的には、アルキル基、アルケニ
ル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、複素
環基、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカル
ボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスル
ホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基で
あることが好ましい。また、Rは置換基を有しているこ
とが好ましく、置換基がさらに他の置換基で置換されて
いてもよい。好ましい該置換基として、ハライド、アル
キル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ア
ラルキル基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、カ
ルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリール
オキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリール
スルホニル基、スルファモイル基、アルコキシ基、アリ
ールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド
基、ウレタン基、スルホニルアミノ基、スルフィニル
基、リン酸アミド基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシ
基、ニトロ基があげられる。
【0059】沃素イオン放出剤R−Iとしては、ヨード
アルカン類、ヨードアルコール、ヨードカルボン酸、ヨ
ードアミドおよびこれらの誘導体が好ましく、ヨードア
ミド、ヨードアルコールおよびこれらの誘導体がより好
ましく、複素環基で置換されたヨードアミド類がさらに
好ましく、最も好ましい例は、(ヨードアセトアミド)
ベンゼンスルフォン酸塩である。
【0060】好ましく用いることのできる沃素イオン放
出剤の具体例を以下に示す。
【0061】
【化1】
【0062】沃素イオン放出剤と求核試薬を反応させ
て、沃素イオンを放出させる場合、求核試薬として、水
酸化物イオン、亜硫酸イオン、チオ硫酸イオン、スルフ
ィン酸塩、カルボン酸塩、アンモニア、アミン類、アル
コール類、尿素類、チオ尿素類、フェノール類、ヒドラ
ジン類、スルフィド類、ヒドロキサム酸類などを用いる
ことができ、水酸化物イオン、亜硫酸イオン、チオ硫酸
イオン、スルフィン酸塩、カルボン酸塩、アンモニア、
アミン類が好ましく、水酸化物イオン、亜硫酸イオンが
より好ましい。
【0063】本発明のハロゲン化銀乳剤に沃素イオン放
出剤を用いて転移線を導入する場合の好ましい反応条件
を以下に示す。
【0064】反応温度は30〜70℃であることが好ま
しく、35〜65℃であることがより好ましい。pBr
は1.50以下であることが好ましく、1.30以下で
あることがより好ましく、1.10以下であることがさ
らに好ましい。添加する沃素イオン放出剤の量は粒子成
長終了後の、総ハロゲン化銀量に対して、0.5〜3モ
ル%であることが好ましい。また、沃素イオン放出反応
時に、求核剤として水酸化物イオンを用いる場合、すな
わちpHの調整によって沃素イオン放出剤を反応させる
場合、pHが9.0以上12.0以下の条件で反応を行
うことが好ましく、pH10.0以上11.0以下であ
ることがより好ましい。また、求核剤として水酸化物イ
オン以外のものを用いる場合、求核剤の量は、沃素イオ
ン放出剤の量の0.25倍以上2.0倍以下であること
が好ましく、0.50倍以上1.5倍以下であることが
より好ましく、0.80倍以上1.2倍以下であること
が更に好ましい。求核剤が水酸化物イオン以外である場
合の、沃素イオン放出反応時のpHは、6.0以上1
1.0以下であることが好ましく、7.0以上10.0
以下であることがより好ましい。
【0065】次に、本発明のハロゲン化銀乳剤に沃化銀
を含む微粒子ハロゲン化銀乳剤を用いて転移線を導入す
る場合の好ましい反応条件を以下に示す。
【0066】沃化銀を含む微粒子ハロゲン化銀乳剤を添
加する際の温度は30〜70℃であることが好ましく、
35〜65℃であることがより好ましい。pBrは1.
50以下であることが好ましく、1.30以下であるこ
とがより好ましく、1.10以下であることがさらに好
ましい。添加する沃化銀を含む微粒子乳剤の量は、沃化
銀量にして、粒子成長終了後の総ハロゲン化銀量に対し
て、0.5〜3モル%であることが好ましい。
【0067】次に、本発明において、転位線を有する平
板粒子の形成に粒子間距離制御法を適用する方法につい
て説明する。粒子間距離制御法は、転位線導入の直前お
よび/または転位線導入直後の成長中に適用することが
好ましい。
【0068】以下に、粒子間距離制御法を適用した好ま
しい具体例を示す。
【0069】(1)転位線導入工程の前に濃縮工程を設
け、反応物溶液が濃縮された状態で転位線導入工程を実
施する。
【0070】(2)転位線導入工程後の成長工程の一部
あるいは全体において容積保持工程を実施しつつ、粒子
成長を行う。
【0071】(3)転位線導入工程後かつ粒子成長終了
までの間に希釈工程を実施し、その後の粒子成長工程の
一部あるいは全体において容積保持工程を実施しつつ、
粒子成長を行う。
【0072】(4)転位線導入工程の前に濃縮工程を設
け、反応物溶液が濃縮された状態で転位線導入工程を実
施し、その後希釈工程を実施し、さらにその後の粒子成
長工程の一部あるいは全体において容積保持工程を実施
しつつ、粒子成長を行う。
【0073】このうち特に好ましい方法は(4)の方法
である。
【0074】濃縮工程の適用形態として、反応物溶液の
容積を2/3以下に濃縮することが好ましい。より好ま
しくは反応物容積は1/2以下に濃縮され、さらに好ま
しくは反応物容積は1/3以下に濃縮される。最も好ま
しくは反応容器の撹拌可能かつ通常のハロゲン化銀形成
工程に支障のない最低液量まで濃縮することである。
【0075】希釈工程の適用形態として、反応物溶液の
容積を1.5倍以上に希釈することが好ましい。さらに
好ましくは反応物容積は3倍以上、特に好ましくは反応
物容積は5倍以上に希釈される。最も好ましくは反応容
器の最大液量まで希釈することである。希釈工程におい
て希釈のために添加される溶液は、温度の制御されてい
ることが好ましい。該溶液は可溶性物を含む溶液であれ
ば特に限定されないが、水あるいはゼラチン液であるこ
とが好ましい。該溶液は反応物溶液のpAg調整のため
のハライド塩を含んでいても構わない。
【0076】容積保持工程の適用形態としては、粒子成
長の銀量として5%以上の成長に渡って実施することが
好ましく、10%以上に渡って実施することがより好ま
しい。
【0077】上記(1)〜(4)の適用法の要件を満た
した範囲で、さらに濃縮工程、希釈工程、容積保持工
程、容積増加抑制工程を単独あるいは複数組み合わせる
ことができる。特に、粒子成長の終了直前、具体的には
総添加銀量の90%〜99%の間に、濃縮工程あるいは
希釈工程を実施した後に粒子成長を続けることは、上記
(1)〜(4)に好ましく組み合わせることができる。
【0078】本発明においてハロゲン化銀粒子の粒径分
布の変動係数とは、(標準偏差/平均粒径)× 100
= 粒径の変動係数 [%]によって定義される。本
発明のハロゲン化銀乳剤においては25%以下であるこ
とが好ましく、より好ましくは20%以下であり、更に
好ましくは16%以下である。ただし、該粒径の変動係
数の測定においては、乳剤中に含有されるハロゲン化銀
粒子を特に選別することなく、300個以上測定するも
のとする。
【0079】本発明のハロゲン化銀乳剤の平均沃化銀含
有率は好ましくは0〜15モル%であり、更に好ましく
は0〜10モル%である。
【0080】本発明のハロゲン化銀乳剤に含まれるハロ
ゲン化銀粒子のハライド組成は特に規定されるものでは
ないが、主として臭化銀からなる沃臭化銀あるいは塩沃
臭化銀、もしくは主として塩化銀からなる塩沃臭化銀で
あることが好ましい。ハロゲン化銀粒子における沃化銀
の分布状態は、各種の物理的測定法によって検知するこ
とができ、例えば日本写真学会・1981年度年次大会
講演要旨集に記載されているような、低温でのルミネッ
センスの測定やEPMA法、X線回折法によって調べる
ことができる。本発明において、個々のハロゲン化銀粒
子の沃化銀含有率及び平均沃化銀含有率は、EPMA法
(Electron Probe Micro Ana
lyzer法)を用いることにより求めることが可能で
ある。この方法は、乳剤粒子を互いに接触しないように
良く分散したサンプルを作成し、電子ビームを照射する
電子線励起によるX線分析より極微小な部分の元素分析
が行える。この方法により、各粒子から放射される銀及
び沃度の特性X線強度を求めることにより、個々の粒子
のハロゲン組成が決定できる。少なくとも50個の粒子
についてEPMA法により沃化銀含有率を求めれば、こ
れらの平均から平均沃化銀含有率が求められる。
【0081】また、平均沃化銀含有率の測定は、蛍光X
線分析法、ICP(誘導プラズマ)発光分析法、ICP
質量分析法など、よく知られた他の方法で、乳剤全体の
沃化銀含有率を測定することによっても求めることがで
きる。
【0082】本発明における平板粒子は、粒子間の沃化
銀含有率がより均一になっていることが好ましい。EP
MA法により粒子間の沃化銀含有率の分布を測定した時
に、相対標準偏差が30%以下、更には20%以下であ
ることが好ましい。
【0083】本発明の平板粒子の表面のハロゲン組成は
XPS法(X−ray Photoelectron
Spectroscopy法:X線光電子分光法)によ
って次のように求められる。すなわち、試料を1×10
-8torr以下の超高真空中で−110℃以下まで冷却
し、プローブ用X線としてMgKαをX線源電圧15k
V、X線源電流40mAで照射し、Ag:3d5/2、
Br:3d、I:3d3/2の電子について測定する。
測定されたピークの積分強度を感度因子(Sensit
ivity Factor)で補正し、これらの強度比
からハロゲン化銀表面のハライド組成を求める。本発明
のハロゲン化銀乳剤の表面の沃化銀含有率は好ましくは
0〜20モル%であり、より好ましくは2〜10モル%
であり、更に好ましくは3〜7モル%である。
【0084】本発明の平板粒子は、潜像が主として表面
に形成される粒子あるいは主として粒子内部に形成され
る粒子いずれであっても良い。
【0085】本発明のハロゲン化銀乳剤は、多価金属化
合物をドーパントとして含有するものであってもよい。
特に、本発明のハロゲン化銀乳剤に含まれる平板粒子の
外周部に少なくとも1種以上の多価金属化合物を含有す
ることは好ましい。本発明のハロゲン化銀乳剤に含まれ
る、外周部に少なくとも1種以上の多価金属化合物を含
有する平板粒子は、該乳剤中の粒子個数比率にして50
%以上であることが好ましく、70%以上であることが
より好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
【0086】ここで、用語の定義をしておくが、用語
「ドーピング」あるいは「ドープ」はハロゲン化銀粒子
中に銀イオン又はハロゲン化物イオン以外の物質を含有
させることを指す。用語「ドーパント」はハロゲン化銀
粒子にドープする化合物を指す。用語「メタルドーパン
ト」はハロゲン化銀粒子にドープする多価金属化合物を
指す。
【0087】本発明において粒子外周領域に含有せしめ
るメタルドーパントとして、Mg、Al、Ca、Sc、
Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、G
a、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、
Rh、Pd、Cd、Sn、Ba、Ce、Eu、W、R
e、Os、Ir、Pt、Hg、Tl、Pb、Bi、In
等の金属化合物を好ましく用いることができる。
【0088】また、ドープする金属化合物は、単塩又は
金属錯体から選択することが好ましい。金属錯体から選
択する場合、6配位、5配位、4配位、2配位錯体が好
ましく、八面体6配位、平面4配位錯体がより好まし
い。また錯体は単核錯体であっても多核錯体であっても
よい。また錯体を構成する配位子としては、CN-、C
O、NO2 -、1,10−フェナントロリン、2,2′−
ビピリジン、SO3 -、エチレンジアミン、NH3、ピリ
ジン、H2O、NCS-、CO、NO3 -、SO4 2-、O
-、N3 -、S2 -、F-、Cl-、Br-、I-などを用い
ることができる。特に好ましいメタルドーパントとし
て、K4Fe(CN)6、K3Fe(CN)6、Pb(NO
32、K2IrCl6、K3IrCl6、K2IrBr6、I
nCl3等があげられる。
【0089】メタルドーパントのハロゲン化銀粒子中の
濃度分布は、粒子を表面から内部へ少しずつ溶解し、各
部分のドーパント含有量を測定することにより求められ
る。具体例として以下に述べる方法があげられる。
【0090】メタルドーパントの定量に先立ち、ハロゲ
ン化銀乳剤を以下のように前処理する。まず、ハロゲン
化銀乳剤約30mlに0.2%アクチナーゼ水溶液50
mlを加え、40℃で30分間撹拌してゼラチン分解を
行なう。この操作を5回繰り返す。遠心分離後、メタノ
ール50mlで5回、1N硝酸50mlで2回、超純水
で5回洗浄を繰り返し、遠心分離後ハロゲン化銀粒子の
みを分離する。得られたハロゲン化銀粒子の表面部分を
アンモニア水溶液あるいはpH調整したアンモニア(ア
ンモニア濃度及びpHはハロゲン化銀の種類及び溶解量
に応じて変化させる)により溶解する。ハロゲン化銀粒
子のうち臭化銀粒子の極表面を溶解する方法としては、
ハロゲン化銀粒子2gに対し約10%アンモニア水溶液
20mlを用いて粒子表面より約3%程度の溶解をする
ことができる。この時、ハロゲン化銀の溶解量は、ハロ
ゲン化銀の溶解を行なった後のアンモニア水溶液とハロ
ゲン化銀を遠心分離し、得られた上澄み液に存在してい
る銀量を高周波誘導プラズマ質量分析装置(ICP−M
S)高周波誘導プラズマ発光分析装置(ICP−AE
S)、あるいは原子吸光にて定量できる。表面溶解後の
ハロゲン化銀に含まれるメタル量と溶解を行なわないト
ータルのハロゲン化銀のメタル量の差から、ハロゲン化
銀粒子表面の約3%領域に存在するハロゲン化銀1モル
当たりのメタル量を求めることができる。メタルの定量
方法としては、チオ硫酸アンモニウム水溶液、チオ硫酸
ナトリウム水溶液、あるいはシアン化カリウム水溶液に
溶解し、マトリックスマッチングしたICP−MS法、
ICP−AES法、あるいは原子吸光法があげられる。
このうち溶剤としてシアン化カリウム、分析装置として
ICP−MS(FISON Elemental An
alysis社製)を用いる場合は、ハロゲン化銀約4
0mgを5mlの0.2Nシアン化カリウムに溶解後、
10ppbになるように標準元素Cs溶液を添加し、超
純水にて100mlとしたものを測定試料とする。そし
てメタルドーパントフリーのハロゲン化銀を用いてマト
リックスを合わせた検量線を用いてICP−MSにより
測定試料中のメタルの定量を行なう。この時、測定試料
中の正確な銀量は超純水で100倍稀釈した測定試料を
ICP−AES、あるいは原子吸光にて定量できる。な
お、このような粒子表面の溶解を行なった後、ハロゲン
化銀粒子を超純水にて洗浄後、上記と同様な方法で粒子
表面の溶解を繰り返すことにより、ハロゲン化銀粒子内
部方向のメタルドーパント量の定量を行なうことができ
る。上記メタルドーパント定量方法に、よく知られてい
る電子顕微鏡による粒子観察を組みあわせる事によっ
て、平板粒子の外周領域にドープされたメタルドーパン
トの定量を行うことができる。
【0091】本発明の平板粒子のメタルドーパントの好
ましい含有量はハロゲン化銀1モル当たり1×10-9
ル〜1×10-4モルであり、更に好ましくは1×10-8
モル〜1×10-5モルである。
【0092】本発明において、平板粒子の外周部に少な
くとも1種以上の多価金属化合物を含有するという条件
は、外周領域に含有する該金属化合物(すなわちメタル
ドーパント)量と、中心領域に含有する該金属化合物量
の比が、5倍以上である事であり、好ましくは10倍以
上、更に好ましくは20倍以上である。本発明において
メタルドーパントを、予めハロゲン化銀微粒子乳剤にド
ープした状態で基盤粒子に添加する事は好ましい。この
とき、ハロゲン化銀微粒子1モルに対するメタルドーパ
ントの濃度は1×10-1モル〜1×10-7モルが好まし
く、1×10−3モル〜1×10−5モルが更に好まし
い。
【0093】メタルドーパントを予めハロゲン化銀微粒
子にドープする方法としては、メタルドーパントをハラ
イド溶液に溶解した状態で微粒子形成を行う事が好まし
い。
【0094】ハロゲン化銀微粒子のハライド組成は、臭
化銀、沃化銀、塩化銀、沃臭化銀、塩臭化銀、塩沃臭化
銀のいずれでもよく、基盤粒子を構成する主要ハライド
(モル比にしてもっとも多い比率で含有されるハライ
ド)と同じ主要ハライドを有する組成にすることは好ま
しい形態の一つである。添加するハロゲン化銀微粒子
は、基盤粒子1モル当たり1×10-7モル〜0.5モル
の銀量を添加する事が好ましく、1×10-5モル〜1×
10-1モルの銀量を添加する事が更に好ましい。
【0095】ハロゲン化銀微粒子を沈着させるための物
理熟成条件は、30℃〜70℃、10分〜60分の間で
任意に選ぶことができる。
【0096】本発明のハロゲン化銀乳剤には、粒子形成
中に還元増感処理(以降、単に還元増感とも言う)を用
いることが好ましい。還元増感は、ハロゲン化銀乳剤又
は粒子成長のための混合溶液に還元剤を添加することに
よって行われる。あるいは、ハロゲン化銀乳剤又は粒子
成長のための混合溶液をpAg7以下の低pAg条件下
で、又はpH7以上の高pH条件下で熟成又は粒子成長
させることによって行なわれる。また、これらの方法を
組み合わせて行なうこともできる。好ましくは、還元剤
を添加することによって行われる。還元剤として好まし
いものとして二酸化チオ尿素(ホルムアミジンスルフィ
ン酸)、アスコルビン酸及びその誘導体、第1錫塩が挙
げられる。他の適当な還元剤としては、ボラン化合物、
ヒドラジン誘導体、シラン化合物、アミン及びポリアミ
ン類及び亜硫酸塩等が挙げられる。添加量は、ハロゲン
化銀1モル当たり10-2〜10-8モルが好ましく、10
-4〜10-6モルがより好ましい。
【0097】低pAg熟成を行なうためには、銀塩を添
加することができるが、水溶性銀塩が好ましい。水溶性
銀塩としては硝酸銀が好ましい。熟成時のpAgは7以
下が適当であり、好ましくは6以下、更に好ましくは1
〜3である。高pH熟成は、例えばハロゲン化銀乳剤あ
るいは粒子成長の混合溶液にアルカリ性化合物を添加す
ることによって行われる。アルカリ性化合物としては、
例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、アンモニア等を用いることができ
る。ハロゲン化銀形成にアンモニア性硝酸銀を添加する
方法においては、アンモニアの効果が低下するため、ア
ンモニアを除くアルカリ性化合物が好ましく用いられ
る。
【0098】還元増感のための還元増感剤、銀塩、アル
カリ性化合物の添加方法としては、ラッシュ添加でもよ
いし、あるいは一定時間をかけて添加してもよい。この
場合には、一定流量で添加してもよいし、関数様に流量
を変化させて添加してもよい。また、何回かに分割して
必要量を添加してもよい。可溶性銀塩及び/又は可溶性
ハロゲン化物の反応容器中への添加に先立ち、反応容器
中に存在せしめていてもよいし、あるいは可溶性ハロゲ
ン化物溶液中に混入し、ハロゲン化物とともに添加して
もよい。更には、可溶性銀塩、可溶性ハロゲン化物とは
別個に添加を行なってもよい。
【0099】本発明のハロゲン化銀乳剤は、粒子中にカ
ルコゲン化銀核含有層を有することが好ましい。その場
合、該ハロゲン化銀乳剤が、還元増感処理を施したもの
であることは、より好ましい。カルコゲン化銀核含有層
は、粒子全体の体積で50%より外側にあることが好ま
しく、60%より外側にあることがより好ましい。カル
コゲン化銀核含有層は粒子表面と接していてもいなくて
もよいが、化学増感によって形成されているカルコゲン
化物の化学増感核と、カルコゲン化銀核含有層に含有さ
れるカルコゲン化銀核は、それ自身が潜像形成中心を形
成するか否かという点で明らかに区別される。つまり、
カルコゲン化銀核含有層に含有されるカルコゲン化銀核
は、化学増感核よりも、電子捕獲能が低いことが必要で
ある。このような条件を満たすカルコゲン化銀核は、後
に述べる方法で形成される。
【0100】カルコゲン化銀核は、カルコゲンイオンを
放出しうる化合物の添加により形成される。好ましいカ
ルコゲン化銀核は硫化銀核、セレン化銀核、テルル化銀
核であり、より好ましくは硫化銀核である。カルコゲン
イオンを放出しうる化合物として硫化物イオン、セレン
化物イオン、テルル化物イオンを放出しうる化合物が好
ましく用いられる。硫化物イオンを放出しうる化合物と
しては、チオスルフォン酸化合物、ジスルフィド化合
物、チオ硫酸塩、硫化物塩、チオカルバミド系化合物、
チオホルムアミド系化合物およびロダニン系化合物を、
好ましく用いることができる。
【0101】セレン化物イオンを放出しうる化合物とし
ては、セレン増感剤として知られているものを好ましく
用いることができる。具体的には、コロイドセレン金
属、イソセレノシアネート類(例えば、アリルイソセレ
ノシアネート等)、セレノ尿素類(例えばN,N−ジメ
チルセレノ尿素、N,N,N−トリエチルセレノ尿素、
N,N,N−トリメチル−N−ヘプタフルオロセレノ尿
素、N,N,N−トリメチル−N−ヘプタフルオロプロ
ピルカルボニルセレノ尿素、N,N,N−トリメチル−
N−4−ニトロフェニルカルボニルセレノ尿素等)、セ
レノケトン類(例えば、セレノアセトアミド、N,N−
ジメチルセレノベンズアミド等)、セレノフォスフェー
ト類(例えばトリ−p−トリセレノフォスフェート
等)、セレナイド類(例えば、ジエチルセレナイド、ジ
エチルジセレナイド、トリエチルフォスフィンセレナイ
ド等)が挙げられる。テルル化物イオンを放出しうる化
合物としては、テルロ尿素類(例えば、N,N−ジメチ
ルテルロ尿素、テトラメチルテルロ尿素、N−カルボキ
シエチル−N,N−ジメチルテルロ尿素等)、ホスフィ
ンテルリド類(例えば、トリブチルホスフィンテルリ
ド、トリシクロヘキシルホスフィンテルリド、トリイソ
プロピルホスフィンテルリド等)、テルロアミド類(例
えば、テルロアセトアミド、N,N−ジメチルテルロベ
ンズアミド等)、テルロケトン類、テルロエステル類、
イソテルロシアナート類などが挙げられる。
【0102】カルコゲンイオンを放出しうる化合物とし
て特に好ましいのは、チオスルフォン酸化合物であり、
下記式〔1〕〜〔3〕で表わされる。
【0103】〔1〕R−SO2S−M 〔2〕R−SO2S−R1 〔3〕RSO2S−Lm−SSO2−R2 式中、R、R1及びR2は同じでも異なってもよく、脂肪
族基、芳香族基またはヘテロ環基を表し、Mは陽イオン
を、Lは2価の連結基を表し、mは0または1である。
【0104】式〔1〕〜〔3〕で示される化合物は、こ
れらの構造から誘導される2価の基を繰り返し単位とし
て含有するポリマーであってもよく、R、R1、R2、L
が互いに結合して環を形成してもよい。
【0105】式〔1〕〜〔3〕で示されるチオスルホン
酸塩化合物を更に詳しく説明する。R、R1、R2が脂肪
族基の場合、飽和又は不飽和の直鎖、分岐又は環状の脂
肪族炭化水素基であり、好ましくは炭素原子数が1〜2
2のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、
ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、
デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シク
ロヘキシル、イソプロピル、t−ブチル等)、炭素原子
数が2〜22のアルケニル基(アリル、ブテニル等)、
及びアルキニル基(プロパルギル、ブチニル等)であ
り、これらは置換基を有していてもよい。
【0106】R、R1、R2が芳香族基の場合、単環又は
縮合環の芳香族基を含み、好ましくは炭素原子数が6〜
20のもので、例えばフェニル、ナフチルが挙げられ
る。これらは、置換基を有してもよい。
【0107】R、R1、R2がヘテロ環基の場合、窒素、
酸素、硫黄、セレン、テルルから選ばれる元素を少なく
とも1つ有し、かつ炭素原子を少なくとも1つ有する3
〜15員環で、好ましくは3〜6員環であり、例えばピ
ロリジン、ピペリジン、ピリジン、テトラヒドロフラ
ン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾ
ール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンズ
イミダゾール、セレナゾール、ベンゾセレナゾール、テ
トラゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、オキ
サジアゾール、チアジアゾール環が挙げられる。
【0108】R、R1、R2の置換基としては、アルキル
基(例えば、メチル、エチル、ヘキシル)、アルコキシ
基(例えば、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ)、
アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、トリル)、
ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、
臭素、ヨウ素)、アリールオキシ基(例えば、フェノキ
シ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、ブチルチ
オ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ)、アシ
ル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バ
レリル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、
フェニルスルホニル)、アシルアミノ基(例えば、アセ
チルアミノ、ベンゾイルアミノ)、スルホニルアミノ基
(例えば、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニ
ルアミノ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、ベ
ンゾキシ)、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、ア
ミノ基、−SO2SM基(Mは1価の陽イオンを示
す)、−SO21基が挙げられる。
【0109】Lで表される2価の連結基としては、C、
N、S及びOから選ばれる少なくとも1種を含む原子又
は原子団を挙げることができる。具体的にはアルキレン
基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、
−O−、−S−、−NH−、−CO−、−SO2−等の
単独又はこれらの組み合わせからなるものである。
【0110】Lは好ましくは2価の脂肪族基又は2価の
芳香族基である。2価の脂肪族基としては、例えば、
【0111】
【化2】
【0112】キシリレン基等が挙げられる。2価の芳香
族基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基等が
挙げられる。
【0113】これらの置換基は、更にこれまで述べた置
換基で置換されていてもよい。
【0114】Mとして好ましくは、金属イオン又は有機
カチオンである。金属イオンとしては、例えばリチウム
イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンが挙げられ
る。有機カチオンとしては、例えばアンモニウムイオン
(アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブ
チルアンモニウム等)、ホスホニウムイオン(テトラフ
ェニルホスホニウム等)、グアニジル基が挙げられる。
【0115】式〔1〕〜〔3〕で表される化合物がポリ
マーである場合、その繰り返し単位としては、例えば以
下のものが挙げられる。これらのポリマーは、ホモポリ
マーでもよいし、他の共重合モノマーとのコポリマーで
もよい。
【0116】
【化3】
【0117】式〔1〕〜〔3〕で表される化合物の具体
例は、例えば、特開昭54−1019号、英国特許第9
72,211号、Journal of Organi
cChemistry vol.53,p.396(1
988)に記載されるものが挙げられる。
【0118】カルコゲン化銀核を形成するためのカルコ
ゲンイオンを放出しうる化合物の添加量は、ハロゲン化
銀1モル当たり10-2〜10-8モルが好ましく、10-3
〜10-6モルがより好ましい。
【0119】カルコゲン化銀核を形成するためのカルコ
ゲンイオンを放出しうる化合物の添加方法としては、ラ
ッシュ添加でもよいし、あるいは一定時間かけて添加し
てもよい。この場合は、一定流量で添加してもよいし、
関数様に流量を変化させて添加してもよい。また、何回
かに分割して必要量を添加してもよい。カルコゲン化銀
核の形成は粒子形成終了までに行うことが必要である。
粒子形成後にカルコゲン化銀核の形成は行っても行わな
くても良いが、粒子形成後に形成されたカルコゲン化銀
核は、化学増感過程で形成する化学増感核の一部として
取り込まれ、実質的に本発明の効果には寄与しない。同
様に、粒子内部に化学増感をおこなった場合も、化学増
感と同一面に形成するカルコゲン化銀核は、実質的に本
発明の効果には寄与しない。
【0120】本発明のハロゲン化銀乳剤は、分散媒の存
在下に即ち、分散媒を含む溶液中で製造される。ここ
で、分散媒を含む水溶液とは、ゼラチンその他の親水性
コロイドを構成し得る物質(バインダーとなり得る物質
など)により保護コロイドが水溶液中に形成されている
ものをいい、好ましくはコロイド状の保護ゼラチンを含
有する水溶液である。本発明のハロゲン化銀乳剤の粒子
形成工程において、上記保護コロイドとしてゼラチンを
用いる場合は、ゼラチンは石灰処理されたものでも、酸
を使用して処理されたものでもどちらでもよい。ゼラチ
ンの製法の詳細はアーサー・グアイス著、ザ・マクロモ
レキュラー・ケミストリー・オブ・ゼラチン(アカデミ
ック・プレス、1964年発行)に記載がある。本発明
のハロゲン化銀乳剤の粒子形成工程においては特開平5
−72658号公報、同9−197595号公報、同9
−251193号公報などに記載のゼラチンのアミノ基
を置換した化学修飾ゼラチンを好ましく使用することが
できる。粒子形成工程において該化学修飾ゼラチンを用
いる場合、粒子形成に用いる全分散倍の10重量パーセ
ント以上が、該化学修飾ゼラチンであることが好まし
く、30重量パーセント以上である事がより好ましく、
50重量パーセント以上であることがさらに好ましい。
アミノ基の置換比率は30%以上が好ましく、50%以
上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
【0121】保護コロイドとして用いることができるゼ
ラチン以外の親水性コロイドとしては、例えばゼラチン
誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、
アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫
酸エステル類等のごときセルロース誘導体、アルギン酸
ソーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体;ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N
−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポ
リビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体の如き多
種の合成親水性高分子物質等を挙げることができるがあ
る。
【0122】ゼラチンの場合は、パギー法においてゼリ
ー強度200g以上のものを用いることが好ましい。
【0123】本発明のハロゲン化銀乳剤の形成手段とし
ては、当該分野でよく知られている種々の方法を用いる
ことができる。すなわち、シングル・ジェット法、コン
トロールド・ダブルジェット法、コントロールド・トリ
プルジェット法等を任意に組み合わせて使用することが
できるが、単分散粒子を得るためには、ハロゲン化銀粒
子の生成される液相中のpAgをハロゲン化銀粒子の成
長速度に合わせてコントロールすることが重要である。
pAg値としては7.0〜12の領域を使用し、好まし
くは7.5〜11.0の領域を使用することができる。
添加速度の決定にあたっては、特開昭54−48521
号公報、同58−49938号公報に記載の技術を参考
にできる。
【0124】本発明のハロゲン化銀乳剤の製造時に、ア
ンモニア、チオエーテル、チオ尿素等の公知のハロゲン
化銀溶剤を存在させることもできるし、ハロゲン化銀溶
剤を使用しなくても良い。
【0125】本発明のハロゲン化銀乳剤において、熟成
工程のpHと温度はそれぞれ7.0〜11.0、40〜
80℃が好ましく、それぞれ8.5〜10.0、50〜
70℃が更に好ましい。
【0126】本発明のハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化
銀粒子の成長終了後に、不要な可溶性塩類を除去したも
のであってもよいし、あるいは含有させたままのもので
も良い。該塩類を除去する場合には、リサーチ・ディス
クロージャー(Research Disclosur
e、以下RDと略す)17643号II項に記載の方法に
基づいて行なうことができる。さらに詳しくは、沈澱形
成後、あるいは物理熟成後の乳剤から可溶性塩を除去す
るためには、ゼラチンをゲル化させて行なうヌーデル水
洗法を用いても良く、また無機塩類、アニオン性界面活
性剤、アニオン性ポリマー(たとえばポリスチレンスル
ホン酸)、あるいはゼラチン誘導体(たとえばアシル化
ゼラチン、カルバモイル化ゼラチンなど)を利用した沈
澱法(フロキュレーション)を用いても良い。前記特開
平5−72658号公報に記載のゼラチンのアミノ基を
置換した化学修飾ゼラチンを用いる方法を好ましく使用
することができる。特にゼラチンのアミノ基をフェニル
カルバモイル化した化学修飾ゼラチンが好ましい。塩類
の除去に化学修飾ゼラチンを用いる場合、アミノ基の置
換比率は30%以上が好ましく、50%以上がより好ま
しく、80%以上がさらに好ましい。
【0127】本発明において用いられるハロゲン化銀乳
剤には、化学熟成及び分光増感を行う。このような工程
で使用される添加剤は、RD17643,18716及
び308119に記載されている。以下に記載箇所を示
す。
【0128】 [項 目] [RD308119の頁][RD17643][RD18716] 化学増感剤 996 III−A項 23 648 分光増感剤 996 IV-A-A,B,C,D,H,I,J項 23〜24 648〜9 強色増感剤 996 IV−A−E,J項 23〜24 648〜9 かぶり防止剤 998 VI 24〜25 649 安定剤 998 VI 24〜25 649 本発明のハロゲン化銀乳剤は、同一感光性層中に他の本
発明に係るハロゲン化銀乳剤と混合して用いる事も出来
るし、単独で用いることもできる。本発明の乳剤を用い
た感光材料において、本発明の効果を損なわない範囲
で、本発明のハロゲン化銀乳剤を含有する感光性層中
に、本発明のハロゲン化銀乳剤に相当しないハロゲン化
銀乳剤が含まれていても構わない。
【0129】本発明に係るハロゲン化銀乳剤層に用いら
れる公知の写真用添加剤も上記RDに記載されている。
以下に関連のある記載箇所を示す。
【0130】 [項 目] [RD308119の頁][RD17643][RD18716] 色濁り防止剤 1002 VII−I項 25 650 色素画像安定剤 1001 VII−J項 25 増白剤 998 V 24 紫外線吸収剤 1003 VIII-C,XIIIC項 25〜26 光吸収剤 1003 VIII 25〜26 光散乱剤 1003 VIII フィルタ染料 1003 VIII 25〜26 バインダ 1003 IX 26 651 スタチック防止剤 1006 XIII 27 650 硬膜剤 1004 X 26 651 可塑剤 1006 XII 27 650 潤滑剤 1006 XII 27 650 マット剤 1007 XVI 現像剤 1011 XXB項 (感光材料中に含有)ハロゲン化銀乳剤層には種々のカ
プラーを使用することができ、その具体例は、上記RD
に記載されている。以下に関連ある記載箇所を示す。
【0131】 [項 目] [RD308119の頁] [RD17643][RD18716] イエローカプラー 1001 VII−D項 VIIC−G項 マゼンタカプラー 1001 VII−D項 VIIC−G項 シアンカプラー 1001 VII−D項 VIIC−G項 カラードカプラー 1002 VII−G項 VIIG項 DIRカプラー 1001 VII−F項 VIIF項 BARカプラー 1002 VII−F項 その他の有用残基放出カプラー 1001 VII−F項 アルカリ可溶カプラー 1001 VII−E項 本発明に係る感光材料への添加剤としては、RD308
119XIVに記載されている分散法などにより、添加す
ることができる。
【0132】本発明に係る感光材料には、前述RD30
8119VII−K項に記載されいるフィルタ層や中間層
等の補助層を設けることができる。
【0133】本発明に係る感光材料は、前述RD308
119VII−K項に記載されている順層、逆層、ユニッ
ト構成等の様々な層・構成をとることができる。
【0134】本発明に係る感光材料は前述RD1764
3 28〜29頁、RD18716647頁及びRD3
08119のXIXに記載された通常の方法によって、現
像処理することができる。
【0135】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるも
のではない。
【0136】なお粒子間距離制御法の実施(限外濾過に
よる反応物溶液の濃縮、および純水の添加による反応物
溶液の希釈)にあたっては、特開平10−339923
号に開示の装置を用いた。
【0137】実施例1 (1)比較乳剤Em−1の調製 下記に示す工程に従い、比較乳剤Em−1を調製した。
なお、乳剤調製に用いた総銀量は、硝酸銀に換算して3
000gである。
【0138】《核形成工程》反応容器内の下記反応母液
(Gr−1)を30℃に保ち、特開昭62−16012
8号公報記載の混合攪拌装置を用いて攪拌回転数400
回転/分で攪拌しながら、1Nの硫酸を用いてpHを
1.96に調整した。その後ダブルジェット法を用いて
下記(S−1)液と下記(H−1)液をそれぞれ178
mlづつを、一定の流量で1分間かけて添加し核形成を
行った。
【0139】 (Gr−1) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 40.50g 臭化カリウム 12.40g 蒸留水で16.2Lに仕上げた。
【0140】 (S−1) 硝酸銀 862.5g 蒸留水で4.06Lに仕上げた。
【0141】 (H−1) 臭化カリウム 604.5g 蒸留水で4.06Lに仕上げた。
【0142】《熟成工程》上記核形成工程終了後に下記
(G−1)液を加え、30分間を要して60℃に昇温し
た。この間、反応容器内の乳剤の銀電位(飽和銀−塩化
銀電極を比較電極として銀イオン選択電極で測定)を2
Nの臭化カリウム溶液を用いて6mVに制御した。続い
て、アンモニア水溶液を加えてpHを9.3に調整し、
更に7分間保持した後、酢酸水溶液を用いてpHを6.
1に調整した。この間の銀電位を2Nの臭化カリウム溶
液を用いて6mVに制御した。
【0143】 (G−1) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 173.9g 化合物A(10重量%メタノール溶液) 5.80ml 蒸留水で4.22Lに仕上げた。
【0144】化合物A: HO(CH2CH2O)m[CH(CH3)CH2O]19.8
(CH2CH2O)nH(m+n=9.77) 《第1粒子成長工程》熟成工程終了後、続いてダブルジ
ェット法を用いて前記(S−1)液と前記(H−1)液
を、使用した銀量が乳剤調製に用いる総銀量の6.6%
になるまで、終了時と開始時の添加流量の比が約12倍
になるよう流量を加速しながら、37分間で添加した。
【0145】続けて反応物溶液に下記(G−2)液を加
え、攪拌回転数を550回転/分に調整した後、引き続
いて下記(S−2)液と下記(H−2)液を同量ずつ、
これまでに添加した銀量が乳剤調製に用いる総銀量の5
0.0%になるまで終了時と開始時の添加流量比が約2
倍になるよう流量を加速しながら、40分間で添加し
た。この間乳剤の銀電位を2Nの臭化カリウム溶液を用
いて6mVに制御した。添加終了後、反応容器内の乳剤
温度を、15分間を要して40℃に降温した。
【0146】 (S−2) 硝酸銀 2137.5g 蒸留水で3.60Lに仕上げた。
【0147】 (H−2) 臭化カリウム 859.5g 沃化カリウム 24.45g 蒸留水で2.11Lに仕上げた。
【0148】 (G−2) オセインゼラチン 284.9g 化合物A(10重量%メタノール溶液) 7.75ml 蒸留水で1.93Lに仕上げた。
【0149】《転位線導入工程》上記第1粒子成長工程
の後に、3Nの臭化カリウム溶液を用いて反応容器内の
銀電位を−39mV(pBr1.29)に調整し、続い
て下記(F−1)液を総添加銀量に対して1.2モル%
分、1分間で添加した後、2分間撹拌した。
【0150】 (F−1) 3重量%のゼラチンと、沃化銀粒子(平均粒径0.05μm)からなる微粒子 乳剤(*) 407.5g *の微粒子乳剤の調製方法は、0.06モルの沃化カリ
ウムを含む6.0重量%のゼラチン溶液5000ml
に、7.06モルの硝酸銀と、7.06モルの沃化カリ
ウムを含む水溶液をそれぞれ2000ml、10分間か
けて添加した。微粒子形成中のpHは硝酸を用いて2.
0に、又温度は40℃に制御した。粒子形成後に、炭酸
ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0に調整し、微粒
子ハロゲン化銀乳剤を調製した。なお、仕上がり重量は
12.53kgであった。
【0151】《第2粒子成長工程》添加銀量が使用総銀
量の100%、すなわち硝酸銀に換算して3000gに
なるまで、前記(S−2)液と下記(H−3)液を、終
了時と開始時の添加流量の比が約1.2倍になるよう流
量を加速しながら25分間で添加した。その間pBrは
1.29を保ち、上昇しないよう(H−3)液の流量を
調節した。
【0152】 (H−3) 臭化カリウム 620.6g 蒸留水で1.49Lに仕上げた。
【0153】上記粒子成長終了後に、特開平5−726
58号に記載の方法に従い脱塩処理を施し、その後ゼラ
チンを加え分散し、40℃にてpHを5.80、pAg
を8.05に調整した。このようにして比較乳剤Em−
1を調製した。
【0154】以上のようにして得られた比較乳剤粒子E
m−1は解析結果から、平均粒径1.60μm(投影面
積の円換算直径の平均値)、アスペクト比8.1(平板
粒子の個数平均値)、粒径分布の変動係数16.0%、
粒子厚さの変動係数19.0%の平板粒子から主として
なることが確認された。なお得られた乳剤中の全粒子に
対して個数比率で99.0%、投影面積比率で99.5
%が平板粒子であった。
【0155】(2)比較乳剤Em−2の調製 Em−1の調製工程において、転移線導入工程を下記の
ように変更した以外は同様にして比較乳剤Em−2を調
製した。
【0156】《転位線導入工程》第1粒子成長工程の後
に、下記(Z−1)液に引き続き下記(SS−1)液を
それぞれ総添加銀量に対して1.2モル%相当を添加
し、水酸化カリウム水溶液を用いてpH9.3に調整し
た。続いて、4分間熟成しつつ沃素イオン放出反応をお
こなったのち、酢酸溶液を用いてpHを5.0に調整し
た。その後、3Nの臭化カリウム溶液を用いて反応容器
内の銀電位を−39mV(pBr1.29)に調整し
た。
【0157】 (Z−1) p−ヨードアセトアミドベンゼンスルホン酸ナトリウム 76.9g 蒸留水で1.0Lに仕上げた。
【0158】 (SS−1) 亜硫酸ナトリウム 26.7g 蒸留水で0.3Lに仕上げた。
【0159】以上により得られた比較乳剤粒子Em−2
の解析結果から、平均粒径1.61μm(投影面積の円
換算直径の平均値)、アスペクト比7.9(平板粒子の
個数平均値)、粒径分布の変動係数17.1%、粒子厚
さの変動係数21.4%の平板粒子から主としてなるこ
とが確認された。なお、得られた乳剤中の全粒子に対し
て個数比率で98.3%、投影面積比率で99.5%が
平板粒子であった。
【0160】(3)比較乳剤Em−3の調製 Em−1のハロゲン化銀粒子調製工程のうち、下記3項
目を変更した以外は同様にして比較乳剤Em−3を調製
した。
【0161】A.転位線導入工程直前に、限外濾過によ
り反応物容積を11.0Lまで濃縮した。すなわち、濃
縮の容積の約1/3.4まで濃縮した。
【0162】B.転位線導入工程終了直後に、40℃の
純水を添加し、反応物溶液を60.0L、すなわち希釈
前の容積約5.4倍まで希釈した。なお、希釈に伴うp
Brの変動は3Nの沃化カリウムを用いて補正しながら
希釈を行った。
【0163】C.上記Bの希釈工程の後に第2粒子成長
工程を開始し、粒子成長終了まで、限外濾過により、反
応物溶液の容積を60.0Lに保持した。
【0164】以上により得られた比較乳剤粒子Em−3
の解析結果から、平均粒径1.59μm(投影面積の円
換算直径の平均値)、アスペクト比8.2(平板粒子の
個数平均値)、粒径分布の変動係数15.9%、粒子厚
さの変動係数20.1%の平板粒子から主としてなるこ
とが確認された。なお、得られた乳剤中の全粒子に対し
て個数比率で99.0%、投影面積比率で99.4%が
平板粒子であった。
【0165】(4)本発明乳剤Em−4の調製 前記比較乳剤Em−2の調製工程において、比較乳剤E
m−3で用いたA、B及びCの3項目の変更を行った以
外は同様にして本発明乳剤Em−4を調製した。
【0166】得られた本発明乳剤粒子Em−4の解析結
果から、平均粒径1.65μm(投影面積の円換算直径
の平均値)、アスペクト比8.4(平板粒子の個数平均
値)、粒径分布の変動係数17.1%、粒子厚さの変動
係数19.9%の平板粒子から主としてなることが確認
された。なお得られた乳剤中の全粒子に対して個数比率
で98.7%、投影面積比率で99.1%が平板粒子で
あった。
【0167】また、得られたEm−1からEm−4の平
板粒子は、いずれもフリンジ部に1粒子あたり30本以
上の転移線を有する平板状ハロゲン化銀粒子であった。
【0168】(5)各乳剤の化学増感及び分光増感処理 前記各乳剤Em−1〜Em−4を52℃に保持しなが
ら、下記増感色素SSD−1、SSD−2、SSD−3
を加えた。20分間熟成した後、チオ硫酸ナトリウムを
加え、さらに塩化金酸とチオシアン酸カリウムを添加し
た。各乳剤ごとに最適な感度−カブリが得られるように
熟成を行った後、1−フェニル−5−メルカプトテトラ
ゾールと4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,
7−テトラザインデンを加えて安定化し、化学増感及び
分光増感済み乳剤Em−1A〜Em−4Aを得た。な
お、各乳剤に対する増感色素、増感剤、安定剤の添加量
と熟成時間は、1/200秒露光時の感度−カブリ関係
が最適になるように設定した。
【0169】
【化4】
【0170】(6)多層カラー写真感光材料の作製 下引き処理を施したトリアセチルセルロースフィルム支
持体上に下記に示すような組成の各層を順次支持体側か
ら形成した。高感度緑感色層に化学増感/分光増感を施
したEm−1Aを用いて、多層カラー写真感光材料10
1を作製した。
【0171】添加量は1m2当たりのグラム数で表す。
但し、ハロゲン化銀とコロイド銀は銀の量に換算し、増
感色素(SDで示す)は銀1モル当たりのモル数で示し
た。
【0172】 第1層(ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 0.16 UV−1 0.3 CM−1 0.123 CC−1 0.044 OIL−1 0.167 ゼラチン 1.33 第2層(中間層) AS−1 0.160 OIL−1 0.20 ゼラチン 0.69 第3層(低感度赤感色性層) 沃臭化銀a 0.20 沃臭化銀b 0.29 SD−1 2.37×10-5 SD−2 1.2×10-4 SD−3 2.4×10-4 SD−4 2.4×10-6 C−1 0.32 CC−1 0.038 OIL−2 0.28 AS−2 0.002 ゼラチン 0.73 第4層(中感度赤感色性層) 沃臭化銀c 0.10 沃臭化銀d 0.86 SD−1 4.5×10−5 SD−2 2.3×10−4 SD−3 4.5×10-4 C−2 0.52 CC−1 0.06 DI−1 0.047 OIL−2 0.46 AS−2 0.004 ゼラチン 1.30 第5層(高感度赤感色性層) 沃臭化銀c 0.13 沃臭化銀d 1.18 SD−1 3.0×10-5 SD−2 1.5×10-4 SD−3 3.0×10-4 C−2 0.047 C−3 0.09 CC−1 0.036 DI−1 0.024 OIL−2 0.27 AS−2 0.006 ゼラチン 1.28 第6層(中間層) OIL−1 0.29 AS−1 0.23 ゼラチン 1.00 第7層(低感度緑感色性層) 沃臭化銀a 0.19 沃臭化銀b 0.062 SD−4 3.6×10−4 SD−5 3.6×10−4 M−1 0.18 CM−1 0.033 OIL−1 0.22 AS−2 0.002 AS−3 0.05 ゼラチン 0.61 第8層(中間層) OIL−1 0.26 AS−1 0.054 ゼラチン 0.80 第9層(中感度緑感色性層) 沃臭化銀e 0.54 沃臭化銀f 0.54 SD−6 3.7×10-4 SD−7 7.4×10-5 SD−8 5.0×10-5 M−1 0.17 M−2 0.33 CM−1 0.024 CM−2 0.029 DI−2 0.024 DI−3 0.005 OIL−1 0.73 AS−3 0.035 AS−2 0.003 ゼラチン 1.80 第10層(高感度緑感色性層) Em−1A 1.19 M−1 0.065 CM−2 0.026 CM−1 0.022 DI−3 0.003 DI−2 0.003 OIL−1 0.19 OIL−2 0.43 AS−3 0.017 AS−2 0.014 ゼラチン 1.23 第11層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 0.05 OIL−1 0.18 AS−1 0.16 ゼラチン 1.00 第12層(低感度青感色性層) 沃臭化銀b 0.22 沃臭化銀a 0.08 沃臭化銀g 0.09 SD−9 6.5×10-4 SD−10 2.5×10-4 Y−1 0.77 DI−4 0.017 OIL−1 0.31 AS−2 0.002 ゼラチン 1.29 第13層(高感度青感色性層) 沃臭化銀g 0.41 沃臭化銀h 0.61 SD−9 4.4×10-4 SD−10 1.5×10-4 Y−1 0.23 OIL−1 0.10 AS−2 0.004 ゼラチン 1.20 第14層(第1保護層) 沃臭化銀i 0.30 UV−1 0.055 UV−2 0.110 OIL−2 0.30 ゼラチン 1.32 第15層(第2保護層) PM−1 0.15 PM−2 0.04 WAX−1 0.02 D−1 0.001 ゼラチン 0.55 上記各沃臭化銀乳剤の特徴を表1に示す。なお、表1に
おいては、平均粒径は同体積の立方体の一辺長で表す。
【0173】
【表1】
【0174】ここで、本発明で用いた代表的なハロゲン
化銀粒子の形成例として、沃臭化銀d,fの製造例を以
下に示す。また、沃臭化銀a、b、c、e、g、h、i
については沃臭化銀d,fの製造例に準ずる。まず種晶
乳剤−1の調製を行った。
【0175】種晶乳剤−1の調製 以下のようにして種晶乳剤−1を調製した。
【0176】特公昭58−58288号に示される混合
攪拌機を用いて、35℃に調整した下記溶液A−11に
硝酸銀水溶液(1.161モル)と、臭化カリウムと沃
化カリウムの混合水溶液(沃化カリウム2モル%)を、
銀電位(飽和銀−塩化銀電極を比較電極として銀イオン
選択電極で測定)を0mVに保ちながら同時混合法によ
り2分を要して添加し、核形成を行った。続いて、60
分の時間を要して液温を60℃に上昇させ、炭酸ナトリ
ウム水溶液でpHを5.0に調整した後、硝酸銀水溶液
(5.902モル)と臭化カリウムと沃化カリウムの混
合水溶液(沃化カリウム2モル%)を、銀電位を9mV
に保ちながら同時混合法により、42分を要して添加し
た。添加終了後40℃に降温しながら、通常のフロキュ
レーション法を用いて直ちに脱塩、水洗を行った。
【0177】得られた種晶乳剤は、平均球換算直径が
0.24μm、平均アスペクト比が4.8、ハロゲン化
銀粒子の全投影面積の90%以上が最大辺長比率(各粒
子の最大辺長と最小辺長との比)が1.0〜2.0の六
角状の平板状粒子からなる乳剤であった。この乳剤を種
晶乳剤−1と称する。
【0178】 (溶液A−11) オセインゼラチン 24.2g 臭化カリウム 10.8g 化合物A(10%エタノール溶液) 6.78ml 10%硝酸 114ml H2O 9657ml 沃化銀微粒子乳剤SMC−1の調製 0.06モルの沃化カリウムを含む6.0重量%のゼラ
チン水溶液5リトッルを激しく攪拌しながら、7.06
モルの硝酸銀水溶液と7.06モルの沃化カリウム水溶
液、各々2リトッルを10分を要して添加した。この間
pHは硝酸を用いて2.0に、温度は40℃に制御し
た。粒子調製後に、炭酸ナトリウム水溶液を用いてpH
を5.0に調整した。得られた沃化銀微粒子の平均粒径
は0.05μmであった。この乳剤をSMC−1とす
る。
【0179】沃臭化銀dの調製 0.178モル相当の種晶乳剤−1と前記化合物Aの1
0%エタノール溶液0.5mlを含む、4.5重量%の
不活性ゼラチン水溶液700mlを75℃に保ち、pA
gを8.4、pHを5.0に調整した後、激しく攪拌し
ながら同時混合法により以下の手順で粒子形成を行っ
た。
【0180】1)3.093モルの硝酸銀水溶液と0.
287モルのSMC−1及び臭化カリウム水溶液を、p
Agを8.4、pHを5.0に保ちながら添加した。
【0181】2)続いて溶液を60℃に降温し、pAg
を9.8に調整した。その後、0.071モルのSMC
−1を添加し、2分間熟成を行った(転位線の導入)。
【0182】3)0.959モルの硝酸銀水溶液と0.
03モルのSMC−1、及び臭化カリウム水溶液を、p
Agを9.8、pHを5.0に保ちながら添加した。
【0183】なお、粒子形成を通して各溶液は、新核の
生成や粒子間のオストワルド熟成が進まないように最適
な速度で添加した。上記添加終了後に40℃で通常のフ
ロキュレーション法を用いて水洗処理を施した後、ゼラ
チンを加えて再分散し、pAgを8.1、pHを5.8
に調整し、沃臭化銀dを調製した。
【0184】得られた沃臭化銀dは、粒径(同体積の立
方体1辺長)0.74μm、平均アスペクト比5.0、
粒子内部からヨウ化銀含有率2/8.5/X/3モル%
(Xは転位線導入位置)のハロゲン組成を有する平板状
粒子からなる乳剤であった。この乳剤を電子顕微鏡で観
察したところ乳剤中の粒子の全投影面積の60%以上の
粒子にフリンジ部と粒子内部双方に5本以上の転位線が
観察された。表面沃化銀含有率は、6.7モル%であっ
た。
【0185】沃臭化銀fの調製 沃臭化銀dの調製において、1)の工程でpAgを8.
8かつ、添加する硝酸銀量を2.077モル、SMC−
1の量を0.218モルとし、3)の工程で添加する硝
酸銀量を0.91モル、SMC−1の量を0.079モ
ルとした以外は沃臭化銀dと全く同様にして沃臭化銀f
を調製した。
【0186】得られた沃臭化銀fは、粒径(同体積の立
方体1辺長)0.65μm、平均アスペクト比6.5、
粒子内部からヨウ化銀含有率2/9.5/X/8.0モ
ル%(Xは転位線導入位置)のハロゲン組成を有する平
板状粒子からなる乳剤であった。この乳剤を電子顕微鏡
で観察したところ乳剤中の粒子の全投影面積の60%以
上の粒子にフリンジ部と粒子内部双方に5本以上の転位
線が観察された。表面沃化銀含有率は、11.9モル%
であった。
【0187】上記各乳剤に前述の増感色素を添加、熟成
した後、トリフォスフィンセレナイド、チオ硫酸ナトリ
ウム、塩化金酸、チオシアン酸カリウムを添加し、常法
に従い、カブリ−感度関係が最適になるように化学増感
を施した。
【0188】また、沃臭化銀a,b,c,e,g,h,
iについても上記と同様に、分光増感、化学増感を施し
た。
【0189】尚、上記の組成物の他に、塗布助剤SU−
1、SU−2、SU−3、分散助剤SU−4、粘度調整
剤V−1、安定剤ST−1、ST−2、カブリ防止剤A
F−1(重量平均分子量約10,000)及びAF−2
(重量平均分子量約100,000)の2種のポリビニ
ルピロリドン、抑制剤AF−3、AF−4、AF−5、
硬膜剤H−1、H−2及び防腐剤Ase−1を添加し
た。
【0190】上記試料に用いた化合物の構造を以下に示
す。
【0191】
【化5】
【0192】
【化6】
【0193】
【化7】
【0194】
【化8】
【0195】
【化9】
【0196】
【化10】
【0197】
【化11】
【0198】
【化12】
【0199】
【化13】
【0200】続いて、上記試料101における第10層
の乳剤をEm−1Aに代えてEm−2A〜Em−4Aを
用いた以外は同様にして試料102〜104を作製し
た。
【0201】(7)多層カラー写真感光材料の評価 以上により得られた各試料について、相対感度及び圧力
特性の評価を行った。相対感度は、1/200sec.
で緑色光(G光)を用いてセンシトメトリー用ウエッジ
を介して露光を施し、露光後1分以内に下記カラー現像
処理を開始した。発色現像処理済みの試料の緑色光学濃
度を測定し、得られた濃度D−露光量LogE特性曲線
から、Dmin(最小濃度)+0.30の濃度を与える
露光量の逆数値で感度を求め、試料101の感度値を1
00とする相対的な感度値で表した。100に対して、
値が大きいほど高感度で好ましいことを表す。
【0202】また、圧力特性は、23℃/相対湿度55
%の条件において、引っ掻き強度試験器(新東科学社
製、HEIDON18型)を用い、先端曲率半径が0.
025mmの針に5gの荷重をかけて一定速度で走査し
た後、上記同様に露光及びカラー現像処理を行い、Dm
in+0.5の濃度を示す露光量点において、未加圧試
料と加圧試料の濃度差(加圧による濃度低下)を求め、
試料101のその値を100とする相対値で示した。な
お、100に対して値が小さいほど、すなわち加圧によ
る濃度変化が少ないほど、圧力特性に優れているといえ
る。
【0203】 (カラー現像処理) 処理時間 処理温度 補充量 発色現像 3分15秒 38±0.3℃ 780ml 漂 白 45秒 38±2.0℃ 150ml 定 着 1分30秒 38±2.0℃ 830ml 安 定 1分 38±5.0℃ 830ml 乾 燥 1分 55±5.0℃ *補充量は感光材料1m2当たりの値である。
【0204】発色現像液、漂白液、定着液、安定液及び
その補充液は、以下のものを使用した。
【0205】 発色現像液及び発色現像補充液 現像液 補充液 水 800ml 800ml 炭酸カリウム 30g 35g 炭酸水素ナトリウム 2.5g 3.0g 亜硫酸カリウム 3.0g 5.0g 臭化ナトリウム 1.3g 0.4g 沃化カリウム 1.2mg − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.5g 3.1g 塩化ナトリウム 0.6g − 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシルエチル) アニリン硫酸塩 4.5g 6.3g ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g 3.0g 水酸化カリウム 1.2g 2.0g 水を加えて1リットルとし、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いて発色現像 液はpH10.06に、補充液はpH10.18に調整した。
【0206】 漂白液及び漂白補充液 漂白液 補充液 水 700ml 700ml 1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)アンモニウム 125g 175g エチレンジアミン四酢酸 2g 2g 硝酸ナトリウム 40g 50g 臭化アンモニウム 150g 200g 氷酢酸 40g 56g 水を加えて1リットルとし、アンモニア水又は氷酢酸を用いて漂白液はpH4 .4に、補充液はpH4.0に調整した。
【0207】 定着液及び定着補充液 定着液 補充液 水 800ml 800ml チオシアン酸アンモニウム 120g 150g チオ硫酸アンモニウム 150g 180g 亜硫酸ナトリウム 15g 20g エチレンジアミン四酢酸 2g 2g アンモニア水又は氷酢酸を用いて定着液はpH6.2に、補充液はpH6.5 に調整後、水を加えて1リットルとした。
【0208】 安定液及び安定補充液 水 900ml p−オクチルフェノールのエチレンオキシド10モル付加物 2.0g ジメチロール尿素 0.5g ヘキサメチレンテトラミン 0.2g 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.1g シロキサン(UCC製L−77) 0.1g アンモニア水 0.5ml 水を加えて1リットルとした後、アンモニア水又は50%硫酸を用いてpH8 .5に調整した。
【0209】以上により得られた結果をハロゲン化銀粒
子の特性と併せて表2に示す。
【0210】
【表2】
【0211】表2より明らかなように、本発明に係る粒
子間距離制御法を適用し作製したハロゲン化銀を用いた
試料は、写真感度及び圧力特性がともに向上しているこ
とがわかる。
【0212】実施例2 粒子間距離制御法の適用パターンの違いによる本発明の
改良効果の違いを確認するため、さらに下記に示す3種
類の乳剤を調製し、写真性能の評価を行った。具体的に
は乳剤Em−1の調製工程において、乳剤Em−3の調
製の際に行った変更点A、BおよびC項目、すなわち A.転位線導入工程直前に、限外濾過により反応物容積
を11.0Lまで濃縮する。
【0213】B.転位線導入工程終了直後に、40℃の
純水を添加し、反応物溶液を60.0Lまで希釈する。
【0214】C.第2粒子成長工程開始時の反応物容積
を粒子成長終了まで、限外濾過により、保持する。
【0215】を表3に示すような組み合わせで乳剤Em
−5〜7を調製した。得られた各乳剤を実施例1と同様
の化学増感を施した後、実施例1の第10層の乳剤Em
−1Aに代えて用いた以外は同様にして試料105〜1
07を作製し、実施例1と同様に試料101の測定値を
100として、相対感度及び圧力特性の評価を行い、得
られた結果を表3に示す。
【0216】
【表3】
【0217】表3より明らかなように、粒子間距離制御
法の適用方法としては本発明の請求項8で示されるパタ
ーンが好ましいことが判る。
【0218】実施例3 コーナー転位線型粒子を含有する平板乳剤における粒子
間距離制御法の効果を本実施例で示す。
【0219】(1)比較例乳剤Em−8の調製 実施例1のEm−1の調製における「転位線導入工程」
を下記の様に変更した以外は同様にして、Em−8の調
製を行った。
【0220】《Em−8における転位線導入工程》第1
粒子成長工程の後に、下記(H−4)液を使用総銀量に
対して0.8モル%になるよう、一定流量で10分間か
けて添加した。次に下記(S−3)液と下記(H−5)
液を、使用総銀量に対して5.0モル%になるよう、ダ
ブルジェット法を用いて一定流量で2分間かけて添加し
た。次に下記(Z−2)に引き続き下記(SS−2)を
いずれも総添加銀量に対して1.0モル%相当添加し、
水酸化カリウム水溶液を用いてpH9.3に調整した。
次いで4分間熟成しつつ、沃素イオン放出反応をおこな
ったのち、酢酸溶液を用いてpHを5.0に調整した。
その後、3Nの臭化カリウム溶液を用いて反応容器内の
銀電位を−39mV(pBr1.29)に調整した。
【0221】 (H−4) 0.50N沃化カリウム溶液 (S−3) 0.50N硝酸銀溶液 (H−5) 0.50N塩化ナトリウム溶液 (Z−2) p−ヨードアセトアミドベンゼンスルホン酸ナトリウム 64.1g 蒸留水で1.0Lに仕上げた。
【0222】 (SS−2) 亜硫酸ナトリウム 22.3g 蒸留水で1.0 Lに仕上げた。
【0223】(2)本発明乳剤Em−9の調製 Em−8の調製法において、実施例1において乳剤Em
−3の調製の際に行った条件変更A、B、Cによる粒子
間距離制御法を適用した以外は同様にして本発明の乳剤
Em−9を作製した。
【0224】(3)作製ハロゲン化銀粒子の観察結果 走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡による粒子観
察の結果、Em−8は全粒子個数の99.7%が平板粒
子であり、うち個数で52%がコーナー転位線型平板粒
子であった。Em−9は全粒子個数の98.3%が平板
粒子であり、うち個数で77%がコーナー転位線型平板
粒子であった。
【0225】(4)写真性能の評価結果 実施例1、2と同様に得られた乳剤に化学熟成を施した
後、それを用いて感光材料を作製した。得られた各試料
について実施例1と同様の写真特性の評価を行った結
果、比較品であるEm−8の感度、圧力特性をそれぞれ
100としたとき、本発明品であるEm−9を用いた試
料の感度、圧力特性はそれぞれ137、43であり、コ
ーナー転位線型平板粒子含有乳剤においても、本発明に
係る粒子間距離制御法の適用が写真性能に効果を示すこ
とがわかった。
【0226】実施例4 本実施例では、高アスペクト比乳剤における本発明の効
果を示す。
【0227】(1)比較乳剤Em−10の調製 実施例1のEm−1の調製において、熟成工程および第
1粒子成長工程における制御EAgを6mVから−24
mVに変更し、かつ(G−1)および(G−2)で用い
たゼラチンをすべてフェニルカルバモイル化ゼラチン
(アミノ基の置換率90%)に置き換える以外は同様に
して比較乳剤Em−10を調製した。
【0228】(2)本発明乳剤Em−11の調製 実施例1のEm−3の調製において、熟成工程および第
1粒子成長工程における制御EAgを6mVから−24
mVに変更し、かつ(G−1)および(G−2)で用い
るゼラチンをすべてフェニルカルバモイル化ゼラチン
(アミノ基の置換率90%)に置き換える以外は同様に
して本発明乳剤Em−11を調製した。
【0229】(3)粒子の観察結果 走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡による粒子観
察の結果、Em−10は全粒子個数の99.7%が平板
粒子であり、うち個数で76%が沃化銀含有率が緩慢変
化する平板粒子であった。全平板粒子の平均アスペクト
比は13.4、同じく平均の直径は1.81μm、同じ
く平均の厚さは0.13μmであった。また粒径分布の
変動係数は23.2%であった。Em−11は全粒子個
数の99.9%が平板粒子であり、うち個数で81%が
沃化銀含有率が緩慢変化する平板粒子であった。全平板
粒子の平均アスペクト比は15.0、同じく平均の直径
は1.86μm、同じく平均の厚さは0.12μmであ
った。また粒径分布の変動係数は19.9%であった。
【0230】(4)写真性能の評価結果 実施例1、2と同様に得られた乳剤に対し化学熟成を施
した後、それぞれを用いて感光材料を作製した。得られ
た各試料について実施例1と同様の写真特性の評価を行
った結果、比較品であるEm−10の感度、圧力特性を
それぞれ100としたとき、本発明品であるEm−11
を用いた試料の感度、圧力特性はそれぞれ155、11
であり、高アスペクト比平板粒子含有乳剤においても、
本発明に係る粒子間距離制御法の適用が写真性能に効果
を示すことがわかった。
【0231】
【発明の効果】本発明により、粒子間距離制御法技術を
用いて写真性能のより改良された転位線を有するハロゲ
ン化銀乳剤を提供することができた。詳しくは、転位線
を有するハロゲン化銀乳剤の感度と圧力耐性を改良する
ことができた。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子間距離制御法を用いて粒子形成さ
    れ、かつ1粒子あたり30本以上のフリンジ部の転位線
    を有し、粒子中心部から粒子端部に向けて沃化銀含有率
    が緩慢連続変化する平板状ハロゲン化銀粒子を含有する
    ことを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
  2. 【請求項2】 粒子間距離制御法を用いて粒子形成さ
    れ、かつフリンジ部の転位線の占有面積比率が10%以
    上である平板状ハロゲン化銀粒子を含有することを特徴
    とするハロゲン化銀乳剤。
  3. 【請求項3】 粒子間距離制御法を用いて粒子形成さ
    れ、かつフリンジ転位線型平板状ハロゲン化銀粒子を含
    有することを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
  4. 【請求項4】 ハロゲン化銀乳剤に含有される平板状ハ
    ロゲン化銀粒子のうち、個数で50%以上がフリンジ/
    主平面転位線型平板状ハロゲン化銀粒子であることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン
    化銀乳剤。
  5. 【請求項5】 粒子間距離制御法を用いて粒子形成さ
    れ、かつコーナー転位線型平板状ハロゲン化銀粒子を含
    有することを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のハ
    ロゲン化銀乳剤を製造するにあたり、転位線導入工程の
    前に反応物溶液の濃縮を実施し、反応物溶液が濃縮され
    た状態で転位線導入を行うことを特徴とするハロゲン化
    銀乳剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のハ
    ロゲン化銀乳剤を製造するにあたり、転位線導入工程後
    の粒子成長工程の一部あるいは全体において反応物溶液
    の容積を保持しつつ、粒子成長を行うことを特徴とする
    ハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のハ
    ロゲン化銀乳剤を製造するにあたり、転位線導入工程後
    から粒子成長終了までの間に反応物溶液の希釈を行い、
    かつその後の粒子成長の一部あるいは全体において反応
    物溶液の容積を保持しつつ、粒子成長を行うことを特徴
    とするハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のハ
    ロゲン化銀乳剤を製造するにあたり、転位線導入工程の
    前に反応物溶液の濃縮を実施し、反応物溶液が濃縮され
    た状態で転位線導入を行い、かつ該転位線導入の後に、
    反応物溶液の希釈を行い、かつ該希釈工程後の粒子成長
    の一部あるいは全体において反応物溶液の容積を保持し
    つつ粒子成長を行うことを特徴とするハロゲン化銀乳剤
    の製造方法。
JP27661499A 1999-09-29 1999-09-29 ハロゲン化銀乳剤とその製造方法 Pending JP2001100348A (ja)

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